放送通信連携システムの機能拡張 ”究発表 1.まえがき...

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研究発表 1.まえがき NHKは2013年9月,放送と通信を連携させた新しい テレビサービス「NHK Hybridcast」 を開始した。ハイ ブリッドキャストは,1図に示すように,全国の視聴 者に高品質のコンテンツを一斉に送り届けることがで きるという放送の特長と,視聴者の個別の要求に応え ることができるという通信の特長の両方を生かしたプ ラットフォームであり,便利で魅力的な放送通信連携 サービスを視聴者に提供することが可能となる。 当所では,ハイブリッドキャストの技術検討を2010 年に開始し,さまざまなサービスの試作とユースケー ス(利用形態)の分析を行い,それに基づくシステム の研究開発を行ってきた 。2013年3月には,IPTV フォーラム *1 における技術仕様 の策定,および ARIB (Association of Radio Industries and Busi- nesses:電波産業会)における標準規格 の改定がそれ ぞれ行われ,ハイブリッドキャストのサービス開始に 必要な技術規格が策定された。現在,国内メーカー各 *1 Internet Protocolを利用したTVサービスであるIPTVの国内規格策 定や普及促進を目的とする民間の標準化団体。 ABSTRACT Hybridcast is a technology platform for integrated broadcast-broadband services that provide viewers with a new TV experience. In September 2013, NHK launched a new TV service,“NHK Hybridcast ” . STRL has conducted research and development on enhancing Hybridcast technologies to realize more advanced and diverse services. We are also contributing to standardization activities so as to extend the technical specifications of Hybridcast. This paper describes elemental technologies which have been developed for advanced Hybridcast services. We present enhancements for time - shifted TV viewing with video streaming and recorded broadcast programs, and frame-by-frame synchronization between broadcast and broadband. This paper also describes the technical concept of a non-broadcast - oriented managed application which allows third - party service providers other than broadcasters to provide Hybridcast services. This type of application can provide various cross -channel services. This paper introduces examples of these services and a system model for secure and smooth delivery of application service by broadcasters and third parties. In conclusion, we present our efforts to launch advanced Hybridcast services and our vision for the 8K Super Hi-Vision era. 放送通信連携システムの機能拡張 ~ハイブリッドキャストの高度化に向けて~ 大亦寿之 Enhancement of Integrated Broadcast−Broadband SystemToward Advanced Hybridcast Services Hisayuki OHMATA NHK技研 R&D/No.146/2014.8 27

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Page 1: 放送通信連携システムの機能拡張 ”究発表 1.まえがき NHKは2013年9月,放送と通信を連携させた新しい テレビサービス「NHKHybridcast」1)を開始した。ハイ

研究発表

1.まえがきNHKは2013年9月,放送と通信を連携させた新しい

テレビサービス「NHK Hybridcast」1)を開始した。ハイブリッドキャストは,1図に示すように,全国の視聴者に高品質のコンテンツを一斉に送り届けることができるという放送の特長と,視聴者の個別の要求に応えることができるという通信の特長の両方を生かしたプラットフォームであり,便利で魅力的な放送通信連携サービスを視聴者に提供することが可能となる。当所では,ハイブリッドキャストの技術検討を2010

年に開始し,さまざまなサービスの試作とユースケース(利用形態)の分析を行い,それに基づくシステムの研究開発を行ってきた2)3)。2013年3月には,IPTVフォーラム*1における技術仕様4)5)の策定,およびARIB(Association of Radio Industries and Busi-nesses:電波産業会)における標準規格6)の改定がそれぞれ行われ,ハイブリッドキャストのサービス開始に必要な技術規格が策定された。現在,国内メーカー各

*1 Internet Protocolを利用したTVサービスであるIPTVの国内規格策定や普及促進を目的とする民間の標準化団体。

ABSTRACT Hybridcast is a technology platform for integrated broadcast-broadband services that provideviewers with a new TV experience. In September 2013, NHK launched a new TV service,“NHKHybridcast ” . STRL has conducted research and development on enhancing Hybridcasttechnologies to realize more advanced and diverse services. We are also contributing tostandardization activities so as to extend the technical specifications of Hybridcast.This paper describes elemental technologies which have been developed for advanced

Hybridcast services. We present enhancements for time-shifted TV viewing with videostreaming and recorded broadcast programs, and frame-by-frame synchronization betweenbroadcast and broadband. This paper also describes the technical concept of a non-broadcast- oriented managed application which allows third - party service providers other thanbroadcasters to provide Hybridcast services. This type of application can provide various cross-channel services. This paper introduces examples of these services and a system model forsecure and smooth delivery of application service by broadcasters and third parties. Inconclusion, we present our efforts to launch advanced Hybridcast services and our vision forthe 8K Super Hi-Vision era.

放送通信連携システムの機能拡張~ハイブリッドキャストの高度化に向けて~

大亦寿之

Enhancement of Integrated Broadcast−BroadbandSystem:Toward Advanced Hybridcast Services

Hisayuki OHMATA

NHK技研 R&D/No.146/2014.8 27

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新たな視聴体験

放送(高品質,高信頼,同報性)

インターネット(クラウド)

通信(視聴者の個別の要求に応える)

受信機

さまざまなコンテンツやサービスの提供

さまざまな要求SNSなど

アプリケーション実行環境

放送と通信の同期提示

セキュリティー 端末連携

放送局

番組関連情報など

社からハイブリッドキャスト対応受信機が発売されており,ハイブリッドキャストの利用者も増加しつつある。また,2014年1~3月には,民間放送事業者によるハイブリッドキャストの実証実験7)も行われ,今後のハイブリッドキャストのさらなる普及が期待されている。このように,現行の技術仕様(以下,フェーズ1仕

様と呼ぶ)に基づいたハイブリッドキャストのサービスが開始された一方で,当所ではハイブリッドキャストのさらなる発展を目指し,多様で高機能なサービスの提供に必要な放送通信連携システムの高度化技術の研究開発を進めている。また,IPTVフォーラムにおいては技術仕様4)5)の拡張(以下,フェーズ2仕様と呼ぶ)に関する議論も進められており,当所はこの標準化作業にも寄与している。本研究発表では,2章で,ハイブリッドキャストの

高度化を支える技術として,ストリーミング(ネットワーク経由でデータを受信しながら同時に再生を行う技術)によるVoD(Video on Demand)や録画再生といったタイムシフト視聴への対応,放送と通信の高精度な同期機能について述べる。また3章で,放送局以外のサービス事業者による多様なサービスの提供を可能にする放送外マネージドアプリケーションについて,サービス例を交えながら述べる。さらに4章で,今後の実用化に向けた取り組みを紹介するとともに,スーパーハイビジョン時代のハイブリッドキャストの展望を示す。

2.放送マネージドアプリケーションの拡張IPTVフォーラムの技術仕様4)では,ハイブリッドキャストのアプリケーションは,放送マネージドアプリケーションと放送外マネージドアプリケーションの2つに

分類される。前者は,放送局による提供を想定しており,放送信号で起動するアプリケーションである。また後者は,放送局だけでなくそれ以外の事業者による提供も想定しており,放送信号以外で起動するアプリケーションである。現行のハイブリッドキャストでは,放送局が提供す

る放送マネージドアプリケーションによるサービスが行われている。当所では,この放送マネージドアプリケーションを拡張することにより,主に放送局が提供するサービスを高度化することを目指している。本章では,タイムシフト視聴時にもハイブリッドキャストのサービスを利用できるようにするための,ストリーミングによるVoDや録画再生への対応,放送と通信のストリームを高い精度で同期させ提示する機能について述べる。2.1 タイムシフト視聴への対応ここ数年,VoDサービスや,ハードディスクレコー

ダーなどのデジタル録画機の普及に伴い,放送番組をタイムシフトして視聴する人が増加している。NHKは,放送受信機やパソコン,スマートフォン向けに,見逃し番組や過去に反響の大きかった番組をVoD配信する「NHKオンデマンド」8)を2008年に開始した。利用者数は年々増加しており,2013年には登録会員数が100万人を超えた。一方,録画視聴の現状に目を向けると,2012年のデジタル録画機の世帯普及率は75%に達し,約4割の視聴者が週1日以上放送番組を録画して視聴するという調査結果が報告されている9)。ハイブリッドキャストのフェーズ1仕様では,リアルタイム視聴時の利用のみを想定しており,タイムシフト視聴については規定されていない。そこで当所では,VoDや録画番組の視聴時にもハイブリッドキャストのサービスを利用可能とするために,受信機機能の拡張方法の検討

1図 ハイブリッドキャストの概要

研究発表 1

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とサービス例の試作を行った。(1)ストリーミングによるVoDへの対応現在,「NHK Hybridcast」では,過去のアーカイブ

ス映像などをVoDサービスとして提供している。フェーズ1仕様では,映像の配信形式として,タイムスタンプ 付MPEG-2 TS(Moving Picture Experts Group-2 Transport Stream)を用いている。この配信形式は,一般的なデジタル放送対応受信機向けのVoDサービスで用いられる「IPTV規定VOD仕様」10)で規定されている。この配信形式は,従来のVoDサービスをハイブリッドキャストから利用できる一方で,受信機向け以外のサービスでは用いられておらず汎用性は高くない。一方,インターネットでも,スマートフォンなどの

携帯端末向けの映像配信サービスが数多く提供されている。現在普及している配信形式として,HLS(HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)Live Streaming)*2

が挙げられる。また,より汎用的な形式であるMPEG-DASH(MPEG-Dynamic Adaptive Streaming overHTTP)*3については,今後の普及が見込まれる。これらの配信形式は,アダプティブストリーミング(通信回線の状況に応じて最適な品質で映像を提供するストリーミング)に対応している。ハイブリッドキャストの特長の1つは,端末連携機

能を用いて受信機とスマートフォンといった複数の端末向けのサービスを提供できることである。複数の端末向けの映像配信サービスを想定すると,端末の種類にかかわらず同じ形式の映像を配信することが効率的である。そこで当所では,フェーズ1仕様の受信機をベース

に試作を行い,今後普及が見込まれるMPEG-DASHに対応するための機能拡張を行った。MPEG-DASHについては,HTML5(Hyper Text Markup Language5)アプリケーションから映像を扱えるように,W3C(World WideWeb Consortium)*4においてMSE(Media SourceExtensions)*5などのAPIの標準化が進められている。今回,このMSEに対応したHTML5ブラウザーを用いることにより,アプリケーションからMPEG-DASHの映像を再生できることを確認した。(2)録画再生への対応録画再生への対応にあたっては,録画再生時のハイ

ブリッドキャストサービスの提供と,リアルタイム視聴とタイムシフト視聴の連携を想定し,機能要件の整理を行った。以下に3つの要件を示す。要件1:録画番組の再生時にも番組連動アプリケーショ

ンを起動できること

要件2:アプリケーションから番組の録画や録画予約ができること

要件3:アプリケーションから録画番組の再生制御ができること

これらの要件をもとに,受信機機能の拡張方法の検討を行った。放送マネージドアプリケーションは,放送信号中の

アプリケーション制御情報(起動命令やアプリケーション取得先のURL(Uniform Resource Locator)などを含む)に記述されたアプリケーション取得先のURLに従って起動される。録画再生中にアプリケーションを起動する際にも,このアプリケーション制御情報が必要となるため,録画再生時にも,放送時のアプリケーション制御情報を用いてアプリケーションを起動する機能を導入する。これにより,要件1を満たすことができる。また,フェーズ1仕様では,録画番組の蓄積管理や

予約・再生といった録画関連の機能は,アプリケーションから利用できなかった。そこで,新たにHTML5ブラウザーの拡張API*6を追加し,アプリケーションから録画関連の機能を利用できるようにした。これらの機能を用いることで,要件2と要件3を満たすことができる。(3)タイムシフト視聴におけるサービス例(1)(2)で示した拡張機能を用いて,VoDと録画再生を想定した2種類のサービス例を試作し,2014年のNHK技研公開で展示した。2図に受信機の画面例とサービスの概要を示す。2図(a)は,VoDを想定したサービスである。1週間先までと過去最大30日分のNHKの番組情報が見られる番組表アプリケーションから,VoDを利用できるサービスを試作した。番組表アプリケーションから番組を選択した際に,その番組の連動アプリケーションを起動させる。その番組連動アプリケーションにおいてMSEを用いてMPEG-DASHの映像を再生させることで,VoD再生時にも放送時と同じ番組連動サービスが利用

*2 HTTPを用いたストリーミングプロトコルの1つ。米アップル社によって開発された。

*3 HTTPを用いたストリーミングプロトコルの1つ。MPEGで承認された国際標準規格(ISO/IEC 23009-1)である。

*4 Webの関連技術の標準化を推進する国際的な非営利団体。*5 HTML5で映像や音声のストリーミングを扱うためのAPI

(Application Programming Interface:あるOSやアプリ実行環境向けのソフトウエアを開発する際に使用できる命令や関数の集合)。MPEG-DASHなどのストリーミングプロトコルをサポートしている。

*6 ハイブリッドキャストで必要とされる機能を実現するために,HTML5の標準的なAPIに加えて定められた独自のAPI。

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VoD

番組連動アプリのURL(遷移先)

番組表アプリケーション

録画番組リスト(受信機機能)

放送時のアプリケーション制御情報を用いて起動

(a)VoDの場合

(b)録画再生の場合

番組連動アプリケーション

録画番組の再生 番組連動アプリケーション

録画番組 録画番組

通信(ストリーミング映像)

放送

フレーム単位の高精度な同期

できることを確認した。2図(b)は,録画再生を想定したサービスである。

受信機の機能として提供される録画番組の一覧表から番組を選択し,その番組を再生したときに,録画時と同じアプリケーション制御情報から番組連動アプリケーションが起動され,放送時と同じ番組連動サービスが利用できることを確認した。タイムシフト視聴では,番組を視聴する時刻が視聴

者ごとに異なる上に,同じ番組を繰り返し視聴することも想定される。今回は,タイムシフト視聴時に放送時と同じサービスが利用できることを示したが,起動するアプリケーションやその内容を変化させることで,タイムシフト視聴の視聴時刻に応じた適切な情報を提

供することも可能となる。2.2 放送と通信の高精度な同期機能ハイブリッドキャストによるサービスの特長の1つ

は,放送と通信の双方の伝送路から配信されるコンテンツの同期提示である。フェーズ1仕様では,イベントメッセージ*7を用いて放送と通信のコンテンツを同期提示させることが可能である。この手法では,既存のデータ放送の仕組みを利用できるが,フレーム単位の高精度な同期を実現することは難しい。これまで当所では,放送と通信の高精度な同期を実現するための機能の検討とサービスの試作を行ってきた11)。放送の映

*7 放送局から受信機に対して,放送信号に多重して送出するトリガー信号。

2図 タイムシフト視聴におけるサービス例

3図 マルチビューサービス

研究発表 1

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選手名などの番組関連情報(通信より取得)

アプリケーション

放送受信デコーダー

受信機

拡張API

通信受信デコーダー

バッファー

バッファー

同期制御

合成出力

放送放送局

放送送出のクロック情報

タイムスタンプ

通信ストリーミング映像やデータなど

配信サーバー

タイムスタンプ

像と通信からのストリーミング映像との同期再生によるマルチビューサービス(3図)や,時々刻々と変化する選手の位置情報を利用して,選手名などの関連情報を,放送の映像と同期させて提示するサービス(4図)の実現により,中継番組などライブ性の高い番組における連動サービスの高機能化が見込まれる。これらのサービスを実現するためには,受信機にお

ける同期処理の機能と,アプリケーションからこの同期処理の機能を扱うための仕組みが必要となる。5図にこれらの機能の概要を示す。放送の伝送路は安定性が高く,タイムスタンプであるPTS(PresentationTime Stamp)を映像に多重し,受信機では正確な時間

管理のもとに映像の再生が行われる。一方,通信の伝送路は,放送ほどの安定性はなく,受信機へのコンテンツの到着時刻はネットワークの状況により変動する。このように異なる特徴を持つ伝送路からのコンテンツ同士を同期させるためには,通信側の変動要素を吸収しなければならない。そのために,到着時刻が早い伝送路のコンテンツを受信機のバッファーで一時蓄積し,到着時刻が遅い伝送路のコンテンツが到着してから同期させて表示する方法について検討を行った。通信側のコンテンツにも放送と同じタイムスタンプを多重し,受信機で両者のタイムスタンプを参照してバッファーを調整し,タイミングを合わせて表示することで高精

4図 高精度に同期した関連情報の提示例

5図 放送と通信の高精度な同期の仕組み

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度な同期が可能となる。さらに,アプリケーションからこの同期機能を利用できるように,同期処理のための拡張APIとして,PTSなどの放送の基準時刻の取得,同期処理の制御,同期状態の取得などを行うAPIを,HTML5ブラウザーに追加した。

3.放送外マネージドアプリケーションへの対応

3.1 放送外マネージドアプリケーションの概要放送外マネージドアプリケーションは,放送局以外

の事業者がハイブリッドキャストのサービスを提供することを想定したアプリケーションであり,さまざまな事業者による多種多様なハイブリッドキャストのサービス提供の実現を目的としている。総務省の「放送サービスの高度化に関する検討会」の報告資料12)にもあるように,放送通信連携サービスに対応した次世代スマートテレビの普及に向けては,アプリケーションの普及が不可欠であり,そのためにはオープンなプラットフォームの整備が必要であると考えられる。放送マネージドアプリケーションと放送外マネージ

ドアプリケーションのそれぞれの特徴を1表に示す。放送マネージドアプリケーションは,放送局による提供を前提としたアプリケーションであり,フェーズ1仕様において,その動作が規定されている。放送マネージドアプリケーションは,放送に多重されたアプリケーション制御情報によって起動される。安全な伝送手段である放送を用いてアプリケーションの取得先を受信機に指示することによって,アプリケーション取得先とアプリケーション自体の正当性を保証している。アプリケーション制御情報は放送局ごとに放送波に多重されるため,放送マネージドアプリケーションは,チャンネルを選局するたびに終了する。これにより放送局ごとにサービスの独立性が確保されるが,一方で,複数のチャンネルにまたがったサービス(チャンネル横断サービス)の提供には適さない。一方,放送外マネージドアプリケーションは,フェーズ2仕様で規定する項目の1つとして標準化が行われ

ている。数多くの事業者から多種多様なアプリケーションが提供されることになるため,視聴者は,受信機に実装されたランチャー(アプリケーションを起動するためのユーザーインターフェース)などの放送信号以外の手段を用いて,複数のアプリケーションの中から任意のタイミングでアプリケーションを選んで起動することを想定している。また,チャンネルを変更しても継続して同じアプリケーションが動作可能となるので,チャンネル横断サービスの提供が可能になる。一方で,単にプラットフォームをオープン化すると,サービスの安全性が低下する可能性がある。具体的には,不正なアプリケーションが提供されたり,放送局が意図しないアプリケーションが放送と同時に表示されたりして,視聴者が混乱するといったリスクが考えられる。このようなリスクを抑制するために,アプリケーション提供元やアプリケーション自体の正当性を保証する手段として,配信サーバーやアプリケーションを認証する機能が必要となる。当所では,放送外マネージドアプリケーションによ

るサービスの実現を目指し,さまざまなサービス例を想定したユースケースの分析を実施した。これを基に,サービスの提供にあたってシステムに求められる要件を抽出し,システムアーキテクチャーの技術検討を行ってきた13)14)。以下に,サービス例と技術検討の結果について述べる。3.2 放送外マネージドアプリケーションによる

サービス放送外マネージドアプリケーションの特長の1つは,インターネットサービスと放送との連携が簡単にできることである。NHK放送文化研究所が平成24年に実施した「デジタル時代の新しいテレビ視聴(テレビ60年)調査」によると,回答者全体の約2割,30代以下では約3割が,テレビを見ながらインターネットを利用している15)。また,SNS(Social Networking Service)の普及に伴い,16~29歳の約4割が,週に1日以上,SNSでテレビに関する情報の読み書きを行っているという調査結果も得られている9)。このように,放送とイン

放送マネージドアプリケーション 放送外マネージドアプリケーション

アプリケーションの起動を指示する手段 放送信号 放送信号以外

アプリケーションの提供者 放送局 放送局,サービス事業者

正当性を保証するための手段 放送 配信サーバーやアプリケーションの認証など

チャンネル横断サービスの提供の可否 × ○

1表 ハイブリッドキャストのアプリケーションの種別

研究発表 1

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ボタン一つで選局

放送局A

放送局B

盛り上がりランキング

セカンドスクリーン端末 受信機

通販サイト

地図サイト

放送局A

チャンネル変更

チャンネル変更

リンク

リンク

放送局B

放送局A

放送局B

セカンドスクリーン端末受信機

ターネットの2つのメディアの親和性は良く,両者を相互に,簡単に行き来できるサービスへの期待は高いと言える。放送外マネージドアプリケーションの実現は,放送局とインターネットサービス事業者が連携して新たなビジネスを創出する機会とも捉えられる。本章では,2014年のNHK技研公開で展示を行った放

送外マネージドアプリケーションの例として,インターネットサービスから放送へと誘導する例と,放送とインターネットサービスが連携する例を紹介する。(1)インターネットサービスから放送への誘導の例SNSや検索サイトの情報をもとに,視聴者の盛り上がりの度合いを番組ごとに求め,盛り上がっている放送中の番組の視聴を推薦するアプリケーションを試作した。6図に受信機とセカンドスクリーン端末におけるアプリケーションの表示例を示す。セカンドスクリーン端末には,盛り上がりの度合いに基づいた番組のランキングや,急に盛り上がった番組を表示する。そして,チャンネル横断サービスならではの機能として,どのチャンネルの番組を視聴中でも,盛り上がっている番組のチャンネルを,端末上のアプリケーションか

らボタン一つで選局できる機能を実装した。(2)放送とインターネットサービスとの連携の例放送番組では時々刻々と多種多様な情報が提供され

る。情報番組の1つのシーンだけを見ても,登場人物,ロケ地の位置情報,紹介している店舗や商品などさまざまな情報が存在する。このような情報を番組の進行に合わせて配信し,情報の種別に応じてリンクを張った各種のインターネットサービス(検索,地図,通販など)を簡単に利用できるアプリケーションを試作した。7図に受信機とセカンドスクリーン端末におけるアプリケーションの表示例を示す。チャンネル横断サービスならではの機能として,視聴中の全ての放送番組に関する情報がアプリケーションに保存される機能を実装した。また,放送中だけでなく終了後であっても,保存された情報に基づき,リンクされたインターネットサービスを利用することができる。3.3 放送外マネージドアプリケーションを

提供するためのシステム(1)システムに求められる要件放送外マネージドアプリケーションを提供するため

6図 インターネットサービスから放送への誘導の例

7図 放送とインターネットサービスとの連携の例

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受信機

サービス事業者

プラットフォーム事業者 各放送局の放送+ポリシー

アプリ※のチェック基準など

アプリマーケット

アプリの登録依頼

・ルールの運用・管理

・アプリの管理

・アプリの正当性担保

・多様なアプリの選択

・アプリの起動・終了

・アプリの正当性確認

・アプリの実行・提示制御・アプリの開発

・アプリの配信

・サービスの提供

アプリリスト

放送局

※ アプリケーション

アプリサーバー

届出アプリ

アプリ

アプリ

のシステムを構築するにあたり,多様なサービスに対して,視聴者,放送局,サービス事業者,それぞれの立場におけるユースケースを検討し,システムに求められる4つの要件を抽出した。要件1:アプリケーションの提供元やアプリケーショ

ン自体の正当性を保証できること要件2:アプリケーションの起動の可否や提示方法,

放送リソース(映像,音声,番組の名称やIDなどのデータ)へのアクセスなどの動作を,放送局の意思によって制御できること

要件3:視聴者が,受信機の機能やセカンドスクリーン端末を用いて,アプリケーションを選択して起動や終了ができること

要件4:複数のアプリケーションを同時に実行できること

これらの要件に基づき,システムおよびアプリケーションの動作のモデル化と,受信機のアーキテクチャーの検討を行った。(2)システムモデルシステムモデルの検討にあたっては,視聴者への安

全・安心なアプリケーションの提供を目的としたルールの下に,放送局とサービス事業者が円滑にサービスを提供できることを前提とした。想定するシステムモデルを8図に示す。システムは以下の4つのエンティティ(実体)から構成される。・プラットフォーム事業者システム全体を管理するエンティティである。第三

者機関が運営し,ルールの運用と管理を行う。このルールに関しては,視聴者の安全・安心の確保の観点から,放送局がチェック基準を設定する。また,アプリケーションを提供するためのアプリケーションマーケットの運営と管理も行い,アプリケーションリスト(アプリケーションの名称や取得先のURLなどの情報の一覧)を受信機に提供する。・サービス事業者アプリケーションの開発と配信,およびサービスの

提供を行うエンティティである。プラットフォーム事業者に事業の届出とアプリケーションの登録依頼を行い,チェック基準に適合したアプリケーションを配信する。・放送局番組を放送するだけでなく,アプリケーションの起

動可否や放送リソースの利用可否,提示方法に関するポリシーを受信機に伝送する。・受信機視聴者がサービスを利用するためのインターフェー

スであり,アプリケーションを実行する。(3)放送外マネージドアプリケーションの動作モデル(2)で示したシステムモデルを前提に,放送外マネージドアプリケーションの動作モデルを検討した。ここでは,アプリケーションの起動と,アプリケーションの利用中にチャンネルを変えるというユースケースにおける動作について,9図を用いて説明する。まず,視聴者はランチャーを用いてアプリケーショ

8図 放送外マネージドアプリケーションを提供するためのシステムモデル

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③ ④②①

④③

ランチャーによるアプリの起動

アプリの提供元や正当性の確認

アプリの起動可否判定と制御

アプリの提示制御

放送リソースへのアクセス制御

各チャンネルのアプリケーション制御情報に記述したポリシーに基づく

選局

選局

アプリアプリ

アプリ

アプリ

受信機

連携端末

HTML5ブラウザー

・マルチウィンドウ対応ブラウザー

アプリケーションマネージャー

・アプリリストの表示

・アプリの登録/削除

・ランチャー機能

・アプリの正当性確認

・アプリの起動制御

・放送リソースへのアクセス制御

レイアウトマネージャー

・アプリの提示制御

ウィンドウ ウィンドウ

チューナー放送+ポリシー

ポリシー 提示ポリシー

放送局

・アプリリストの表示

・アプリの登録/削除

・受信機アプリの

 ランチャー機能

起動/終了命令

提示制御

アプリ アプリ

ディスプレー

起動/終了命令

ンを起動する。このとき,アプリケーションの起動制御と提示制御が実行される。受信機は,認証などによりアプリケーションの正当性の確認を行い,正当性が確認されたアプリケーションのみ起動を許可する。次に,放送局のポリシー(アプリケーションの起動可否や提示方法などを指定した情報)に基づいた起動判定と提示制御を行う。放送局は,ポリシーをアプリケーション制御情報に

記述し,放送信号に多重して配信する。受信機はそのポリシーを解釈して制御を行う。起動中のアプリケーションが放送リソースにアクセ

スしようとする際には,受信機は,ポリシーに基づいたアクセス制御を実行する。視聴者がアプリケーションの利用中にチャンネルを

変更した場合は,変更先のチャンネル(放送局)のポリシーに基づき,受信機は改めて起動制御と提示制御を実行する。この仕組みにより,受信機は常に,視聴中の放送局のポリシーに従って,アプリケーションを動作させることができる。(4)受信機のアーキテクチャー(3)で示した放送外マネージドアプリケーションの動作を実現するための受信機のアーキテクチャーを10図

9図 放送外マネージドアプリケーションの動作モデル

10図 放送外マネージドアプリケーションの動作を実現するための受信機のアーキテクチャー

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に示す。10図において,アプリケーションマネージャーは,

HTML5ブラウザー上のアプリケーションの実行制御を行う。アプリケーションマネージャーは,アプリケーションのランチャー機能,認証などによりアプリケーションの正当性を確認する機能,認証結果や放送局のポリシーに基づく起動制御機能,放送リソースに対するアクセス制御機能を備える。ランチャーは,アプリケーションリストを使って,利用するアプリケーションを登録・削除する機能も提供する。タブレットなどの連携端末(セカンドスクリーン端

末)のネイティブアプリケーション(端末のプラットフォーム上で動作するアプリケーション)にも上記と同様の機能を持たせ,さらに,受信機のアプリケーションマネージャーに対して起動と終了の制御命令を発行する機能を搭載することで,連携端末からの起動制御を実現する。10図のレイアウトマネージャーは,アプリケーショ

ンの提示制御を行う。以上の機能により,(1)の要件1~3を満たすことができる。また,複数のアプリケーションを同時に実行するた

めの仕組みとして,複数のウィンドウを同時に展開できるブラウザーを実行環境として採用した。1つのウィンドウで1つのアプリケーションを実行することにより,アプリケーション間の独立性を確保したまま並列実行ができる。またレイアウトマネージャーは,各ウィンドウを制御して提示制御を行う。これらの仕組みにより,(1)の要件4を満たすことができる。

4.ハイブリッドキャストの今後の展開4.1 高度なサービスの実用化に向けた取り組みハイブリッドキャストのより高度なサービスを実現

するためには,フェーズ1仕様からの拡張項目に関するシステムや受信機仕様の標準化,運用に関わる取り決め,配信側のシステム構築などが必要である。ここでは,当所がこれまでに行ってきた取り組みを中心に説明する。標準化については,フェーズ1仕様をベースにした

拡張仕様の策定が,2013年8月からIPTVフォーラムにおいて進められている。当所は,2~3章で述べた検討結果に基づき,仕様の策定作業に寄与している。今後,この拡張仕様は,2014年6月を目途に公開される見込みである。一方,サービスの提供にあたっては,運用に関わる

さまざまな取り決めと,配信側のシステムの技術的な検討が必要である。運用面については,例えばタイムシフト視聴への対

応に関しては,番組連動サービスを,放送終了後いつまで保証するかといった取り決めが必要である。また,放送外マネージドアプリケーションの実現には,例えばプラットフォーム事業者の運営や,アプリケーションのチェック基準などの規定が必要となる。今後,さまざまなユースケースを考慮した上で,安定かつ効率的な運用に向けた取り決めを検討しなければならない。また,当所では,配信側のシステムの技術検討を行っている。特に放送外マネージドアプリケーションの提供には,大規模な配信システムの構築が不可欠である。これまでに,アプリケーションの配信管理システム16)や,放送局とサービス事業者の間で番組関連情報のメタデータを受け渡すためのスキーム,大量の端末に向けた情報のプッシュ配信技術について試作と検証を行った。今後は,これらの検討結果を生かし,配信側のシステムの技術検討を進める。4.2 スーパーハイビジョン時代の

ハイブリッドキャストNHKでは,2016年のスーパーハイビジョンの試験放

送に向けた研究開発を進めている。本研究発表では,現行のデジタルテレビ放送を基盤としたハイブリッドキャストのサービスの高度化について述べたが,スーパーハイビジョン放送においてもより高度なサービスが提供できるよう検討を進めている。総務省の「放送サービスの高度化に関する検討会」においても,スーパーハイビジョンの普及には,次世代スマートテレビと一体となった検討を進めることが望ましいとされている12)。当所では,スーパーハイビジョンにおけるマルチメディア放送の検討を進めており,スーパーハイビジョンでもハイブリッドキャストのサービスが利用できるよう,データ放送符号化方式としてHTML5の採用を検討している。スーパーハイビジョンの特長は,ハイビジョンの16

倍の解像度で表示ができることである。また,放送と通信の複数の経路から伝送されるさまざまな情報を組み合わせ,同期させて柔軟に表示することができるように,多重化方式を検討中である。11図は,2014年のNHK技研公開で展示したスーパーハイビジョンに対応したハイブリッドキャストのサービス例である。8K対応のHTML5ブラウザーを搭載した試作受信機を用いて表示を行い,高精細・大画面というスーパーハイビジョンの特長を生かし,放送映像

研究発表 1

NHK技研 R&D/No.146/2014.836

Page 11: 放送通信連携システムの機能拡張 ”究発表 1.まえがき NHKは2013年9月,放送と通信を連携させた新しい テレビサービス「NHKHybridcast」1)を開始した。ハイ

と複数の番組関連情報を一覧性良く表示するマルチウィンドウ型のサービス例を示した。また,Canvas要素*8

やWebGL*9による3次元コンピューターグラフィックス(Computer Graphics)を用いて,HTML5の特長である高い表現力を生かした表示を行い,高解像度のオブジェクトであっても精細かつ滑らかに表示できることを確認した。今後は,スーパーハイビジョンにおけるハイブリッ

ドキャストのサービスの実現を目指し,スーパーハイビジョン放送におけるマルチメディア放送方式の標準化を進めるとともに,視聴者にとってより魅力的なサービスの検討を進める予定である。

5.むすび本研究発表では,ハイブリッドキャストのサービス

を高度化するための技術として,放送マネージドアプリケーションの機能を拡張して,タイムシフト視聴に対応する技術や,放送と通信の高精度な同期機能につ

いて述べ,さらに,さまざまな事業者による放送通信連携サービスの提供を可能にする放送外マネージドアプリケーションについて,サービス例を交えながら説明した。また,実用化に向けた取り組みとともに,スーパーハイビジョン時代のハイブリッドキャストの展望を示した。今後は,これらの技術を用いたハイブリッドキャス

トのサービスの実用化に向けた検討を進める予定である。また,2016年に試験放送を予定しているスーパーハイビジョン放送においては,大画面・高精細という特長を生かし,さらに高度なハイブリッドキャストのサービスを提供できるように,サービスとシステムの両面から技術検討を行う予定である。

参考文献1) NHK Hybridcast,http://www.nhk.or.jp/hybridcast/online/

2) A. Baba,K. Matsumura,S. Mitsuya,M. Takechi,H. Fujisawa,H. Hamada,S. Sunasaki and H. Katoh:“Seamless,Synchronous,and Supportive:Welcome to Hybridcast-An Advanced Hybrid Broadcast andBroadband System,”IEEE Consumer Electronics Magazine,Vol.1,No.2,pp.43-53(2012)

3) 馬場,大亦,松村,武智,砂崎:“技研公開2013におけるハイブリッドキャストサービスの試作,”映情学技報,Vol.37,No.41,pp.17-20(2013)

4) IPTVFJ STD-0010,“IPTV規定放送通信連携システム仕様1.0版”(2013)

5) IPTVFJ STD-0011,“IPTV規定HTML5ブラウザ仕様1.0版”(2013)

6) ARIB STD-B24,“デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式(5.8版)第四編”(2013)

*8 HTML5においてHTML文書を構成する要素の1つ。図形やアニメーションといったグラフィックスの動的な生成と描画を可能とする。

*9 Canvas要素の1つであり,Webブラウザーにおいて3次元コンピューターグラフィックスの表示と制御を可能とするAPI。

11図 スーパーハイビジョンに対応したハイブリッドキャストのサービス例

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Page 12: 放送通信連携システムの機能拡張 ”究発表 1.まえがき NHKは2013年9月,放送と通信を連携させた新しい テレビサービス「NHKHybridcast」1)を開始した。ハイ

7) 総務省:“放送・通信連携によるスマートテレビの実証実験「Hybridcast 2014」の実施,”http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu04_02000033.html

8) NHKオンデマンド,http://www.nhk-ondemand.jp/

9) 平田,執行:“広がる“カスタマイズ視聴”と“つながる視聴”~「テレビ60年調査」から(1)~,”放送研究と調査,2013年6月号,pp.18-45(2013)

10)IPTVFJ STD-0002,“IPTV規定VOD仕様1.1版”(2010)

11)K. Matsumura,M. J. Evans,Y. Shishikui and A. McParland:“Personalization of Broadcast Programs UsingSynchronized Internet Content,”Proc. of IEEE ICCE2010,4.1-5(2010)

12)総務省:“放送サービスの高度化に関する検討会これまでの検討結果についてとりまとめ,”http://www.soumu.go.jp/main_content/000230953.pdf

13)大槻,大亦,藤井,真島,井上:“Hybridcastにおけるアプリケーション提示制御方式,”映情学技報,Vol.36,No.7,pp.29-32(2012)

14)大亦,馬場,松村,武智,真島,砂崎:“ハイブリッドキャストにおける放送外マネージドアプリケーションの提供に向けたシステムアーキテクチャの検討,”映情学技報,Vol.38,No.14,pp.17-20(2014)

15)木村:“メディア観の変化と“カスタマイズ視聴”“つながり視聴”~「テレビ60年調査」から(2)~,”放送研究と調査,2013年7月号,pp.64-81(2013)

16)広中,大亦,大竹,大槻,武智,加井,真島:“放送通信連携サービス用アプリケーション配信管理システムの試作,”情処学研報,Vol.2013-AVM-83,No.32,pp.1-6(2013)

おおまたひさゆき

大亦寿之

2003年入局。甲府放送局を経て,2007年から放送技術研究所において,コンテンツ流通技術,放送通信連携サービスの研究開発に従事。現在,放送技術研究所ハイブリッド放送システム研究部に所属。

研究発表 1

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