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2011.7.1 19回日本慢性期医療学会札幌大会 2011.7.1 19回日本慢性期医療学会札幌大会 医療法人渓仁会 札幌西円山病院 ○櫻井 貴之 1) 伊藤 隆 1) 横串 算敏 2) 橋本 茂樹 2) 1)リハビリテーション部 2)診療部 医療法人渓仁会 札幌西円山病院 ○櫻井 貴之 1) 伊藤 隆 1) 横串 算敏 2) 橋本 茂樹 2) 1)リハビリテーション部 2)診療部 胃瘻患者家族へのアンケート調査 胃瘻患者家族へのアンケート調査

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2011.7.1 第19回日本慢性期医療学会札幌大会2011.7.1 第19回日本慢性期医療学会札幌大会

医療法人渓仁会 札幌西円山病院○櫻井貴之1) 伊藤 隆1) 横串 算敏2) 橋本 茂樹 2)

1)リハビリテーション部 2)診療部

医療法人渓仁会 札幌西円山病院○櫻井貴之1) 伊藤 隆1) 横串 算敏2) 橋本 茂樹 2)

1)リハビリテーション部 2)診療部

胃瘻患者家族へのアンケート調査胃瘻患者家族へのアンケート調査

札幌西円山病院リハビリテーション部の概要札幌西円山病院リハビリテーション部の概要

渓仁会札幌西円山病院渓仁会 札幌西円山病院

リハビリテーション部リハビリテーション部

許可病床 866床内訳 介護療養型医療施設 310床

療養病棟入院基本料 298床障害者施設等

13対1入院基本料 154床回復期リハ病棟 89床

許可病床 866床内訳 介護療養型医療施設 310床

療養病棟入院基本料 298床障害者施設等

13対1入院基本料 154床回復期リハ病棟 89床

入院平均年齢:82.0歳(2009年度)入院平均年齢:82.0歳(2009年度)

胃瘻患者数 :270名(2010.7現在)胃瘻患者数 :270名(2010.7現在)

16322522132計

400004ACT

42001239ST

59012947PT

582121142OT

計産休出向通所訪問入院

リハスタッフ数;163名(2011.6現在)リハスタッフ数;163名(2011.6現在)

*ACT:レクリエーションワーカー・音楽療法士・健康運動指導士集団リハの専門サービスを提供しています.

*ACT:レクリエーションワーカー・音楽療法士・健康運動指導士集団リハの専門サービスを提供しています.

目 的目 的

当院入院の胃瘻患者に対して,胃瘻造設後の家族の心境や口から食べる満足度についてアンケート調査したので報告する.

当院入院の胃瘻患者に対して,胃瘻造設後の家族の心境や口から食べる満足度についてアンケート調査したので報告する.

アンケート調査の結果から,胃瘻造設を受けた患者と家族にSTがどのように関わるかを考察する.アンケート調査の結果から,胃瘻造設を受けた患者と家族にSTがどのように関わるかを考察する.

STの関わりや胃瘻造設後に口から何か食べることが,家族の心境や満足度に影響があるのかを検討する.

STの関わりや胃瘻造設後に口から何か食べることが,家族の心境や満足度に影響があるのかを検討する.

対象と方法対象と方法

対象対象

対象患者のご家族へアンケートを郵送し,返信分を集計対象患者のご家族へアンケートを郵送し,返信分を集計

・胃瘻造設後の心境について・ 〃 の経口摂取とSTリハの実施状況・口から食べることの満足度について

・胃瘻造設後の心境について・ 〃 の経口摂取とSTリハの実施状況・口から食べることの満足度について

調査項目調査項目

方法方法

(男性-98名,女性-172名,患者平均年齢;81.3歳)(男性-98名,女性-172名,患者平均年齢;81.3歳)胃瘻造設患者のご家族 ; 270家族胃瘻造設患者のご家族 ; 270家族

満足度の測定満足度の測定非常に不満非常に不満

非常に満足非常に満足

00 33 44 5522-5-5 -1-1-2-2-3-3-4-4 11

ご家族様自宅

ご家族様自宅

郵送(270通)郵送(270通)

返信(140通)返信(140通)札幌西円山病院札幌西円山病院

アンケート回収率:51.9%アンケート回収率:51.9%

PASW Statistics ; t検定PASW Statistics ; t検定統計処理統計処理

結果①胃瘻造設後の心境について

結果①胃瘻造設後の心境について

満足を感じている(1~5)

どちらとも言えない(0)何らかの不満あり(-1~-5)

無回答

満足を感じている(1~5)

どちらとも言えない(0)何らかの不満あり(-1~-5)

無回答

3.5%3.5%

64.3%64.3%18.6%18.6%13.6%13.6%

問.胃瘻造設後の心境について,当てはまる数字に○をつけて下さい.問.胃瘻造設後の心境について,当てはまる数字に○をつけて下さい.

非常に不満非常に不満

非常に満足非常に満足

00 33 44 5522-5-5 -1-1-2-2-3-3-4-4 11

【平均;1.9】【平均;1.9】

両者有意差なし両者有意差なし

胃瘻造設後の心境胃瘻造設後の心境

結果②胃瘻造設後の心境に関わる因子の検討

結果②胃瘻造設後の心境に関わる因子の検討

(点)(点)

2.262.261.891.89

00

2.52.5

1.51.5

1.01.0

2.02.0

0.50.5

STあり

STなし

(点)(点)

1.901.902.422.42

00

2.52.5

1.51.5

1.01.0

2.02.0

0.50.5

経口摂取あり

経口摂取なし

結果③口から何か食べることの満足度について

結果③口から何か食べることの満足度について

満足を感じている(1~5)

どちらとも言えない(0)何らかの不満あり(-1~-5)

無回答

満足を感じている(1~5)

どちらとも言えない(0)何らかの不満あり(-1~-5)

無回答

27.1%27.1% 30.0%30.0%

28.6%28.6%14.3%14.3%

非常に不満非常に不満

非常に満足非常に満足

00 33 44 5522-5-5 -1-1-2-2-3-3-4-4 11

問.胃瘻造設後,口から何かを食べることについての満足度について,当てはまる数字に○をつけて下さい.(現在,食べていない方もお答え下さい.)

問.胃瘻造設後,口から何かを食べることについての満足度について,当てはまる数字に○をつけて下さい.(現在,食べていない方もお答え下さい.)

【平均;0.97】【平均;0.97】

有意差なし有意差なし

結果④口から何か食べることの満足度に関わる因子の検討

結果④口から何か食べることの満足度に関わる因子の検討

口から何か食べることの満足度口から何か食べることの満足度

P<0.01P<0.01

(点)(点)

0.020.022.502.50

00

2.52.5

1.51.5

1.01.0

2.02.0

0.50.5

経口摂取あり

経口摂取なし

0.830.830.970.97

(点)(点)

00

2.52.5

1.51.5

1.01.0

2.02.0

0.50.5

STあり

STなし

結果⑤口から何か食べることの満足度と胃瘻造設後の心境の関係

結果⑤口から何か食べることの満足度と胃瘻造設後の心境の関係

(ピアソン相関係数 r:0.518;P<0.001)

結果⑥「楽しみ程度の経口摂取」の実施状況

結果⑥「楽しみ程度の経口摂取」の実施状況

いいえはいわからない無回答

いいえはいわからない無回答

5.0%5.0%

64.3%64.3%27.1%27.1%

3.6%3.6%

問.現在,楽しみ程度または食事として,口から何かを食べていますか?

【 はい ・ いいえ ・ わからない 】

問.現在,楽しみ程度または食事として,口から何かを食べていますか?

【 はい ・ いいえ ・ わからない 】

*例;水一口,ST訓練の時にゼリーを食べる,ご家族の面会時に差入れを食べるなど*例;水一口,ST訓練の時にゼリーを食べる,ご家族の面会時に差入れを食べるなど

結果⑦STリハの成果結果⑦

STリハの成果

P<0.01P<0.01

経口摂取の再開率経口摂取の再開率

3.333.3342.942.9

(%)(%)

00

5050

3030

2020

4040

1010

STあり

STなし

経口摂取再開患者の口から何か食べることの満足度

経口摂取再開患者の口から何か食べることの満足度

(%)(%)

00

100100

6060

4040

8080

2020

16.216.2 10.810.873.073.0

満足(1〜5)

どちらともいえない(0)

不満(1〜5)--

--

胃瘻患者とSTスタッフ数の推移(年度別)胃瘻患者とSTスタッフ数の推移(年度別)

STスタッフ数

STスタッフ数

胃瘻患者数

胃瘻患者数

00

5050

100100

150150

200200

250250

300300

20042004 20052005 20062006 20072007 20082008 20092009 20102010

2020

1010

3030

4040(名)(名) (名)(名)

(年度)(年度)

STスタッフSTスタッフ胃瘻胃瘻

考察①胃瘻造設後の満足度向上にSTが出来ること

考察①胃瘻造設後の満足度向上にSTが出来ること

経口摂取を断念したとしても,ご本人やご家族が希望する場合は,味や香りを楽しむために少量ではあっても経口摂取を再開する可能性を追求する.

経口摂取を断念したとしても,ご本人やご家族が希望する場合は,味や香りを楽しむために少量ではあっても経口摂取を再開する可能性を追求する.

経口摂取再開経口摂取再開 口から何か食べることの満足度向上

口から何か食べることの満足度向上

胃瘻造設後の満足度向上

胃瘻造設後の満足度向上

直接訓練実施例直接訓練実施例

考察②経口摂取再開はより慎重に行う

考察②経口摂取再開はより慎重に行う

【注意事項】・飲み込む途中でも,スプーンを口に近づけると開口します.ノドを見て飲み込んだのを確認し,飲み込んでから,次の一口をお願いします.

また口元を見て,飲み込んだかを判断できます.⇒

・少しゆっくりで,20分を目安にすると安全に摂取出来ると思われます.

お食事条件表1B病棟 田中 ヒサエ 殿

【現段階で好ましいお食事形態】 ミキサー食,ペースト粥,水分(ヨーグルト状のトロミ)

【ギャッジアップする前に】

ギャッジアップする前に,まずは体全体をベッドの先端に持っていく.また下肢のギャッジアップも行う.

左右殿部に小体交枕を入れる.(姿勢の崩れを防止する)

正面像

側面像

頚部は中体交枕×2個で屈曲を促す.

角度はベッド左側に目印があります.

(ベッド板と柵の矢印を合わせる)

平成20年8月8日 ST櫻井

閉口しモグモグしている時は飲み込んでいる最中です.

開口している時が飲み込んだサインです.

お食事条件表お食事条件表

客観的評価客観的評価

VFVF

VEVE S‐SPTS‐SPT カンファレンスカンファレンス

医師NsPTOTSTMSW栄養士歯科医放射線科家族など・・

医師NsPTOTSTMSW栄養士歯科医放射線科家族など・・

場合によっては作成する場合によっては作成する

情報共有

情報共有

検討検討

経口摂取再開経口摂取再開

経口摂取断念経口摂取断念

誤嚥リスクが高い

誤嚥リスクが高い

スクリーニングスクリーニング

結 語結 語

当院入院の胃瘻患者に対して,胃瘻造設後の家族の心境や満足度についてのアンケート調査をした.

胃瘻造設の心境に満足を感じているご家族は64%, STリハと経口摂取の有無は満足度に影響はなかった.

口から何か食べることの満足度は満足を感じているご家族が30.0.%,STリハの有無は影響がないが,経口摂取の有無では食べている患者様の満足度が有意に高かった.

胃瘻造設後の心境と口から食べる満足度は相関があった

STリハありの42.9%は経口摂取再開に至り,STリハなしと比較すると,STリハありの方の再開率は有意に高く,口から食べる満足度も高い方が多かった.

経口摂取を再開することはQOL向上だけでなく,ご家族にとっては胃瘻造設後の満足度向上になりえるということをSTは認識しておくべきではと思われる.しかし,嚥下障害が重度な例が多いため,客観的評価をもとに,チーム医療として慎重に進めるべきと思われる.

当院入院の胃瘻患者に対して,胃瘻造設後の家族の心境や満足度についてのアンケート調査をした.

胃瘻造設の心境に満足を感じているご家族は64%, STリハと経口摂取の有無は満足度に影響はなかった.

口から何か食べることの満足度は満足を感じているご家族が30.0.%,STリハの有無は影響がないが,経口摂取の有無では食べている患者様の満足度が有意に高かった.

胃瘻造設後の心境と口から食べる満足度は相関があった

STリハありの42.9%は経口摂取再開に至り,STリハなしと比較すると,STリハありの方の再開率は有意に高く,口から食べる満足度も高い方が多かった.

経口摂取を再開することはQOL向上だけでなく,ご家族にとっては胃瘻造設後の満足度向上になりえるということをSTは認識しておくべきではと思われる.しかし,嚥下障害が重度な例が多いため,客観的評価をもとに,チーム医療として慎重に進めるべきと思われる.