2 ; d Ø'¼ b1 2 ; /%2( (&É 1 Â2( q hg2g

35
財政制度等審議会 財政投融資分科会 説明資料 (イギリス、ドイツにおける財政投融資類似制度について) 平成 30 5 31 財務省理財局

Upload: others

Post on 24-May-2020

3 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

財政制度等審議会 財政投融資分科会

説明資料

(イギリス、ドイツにおける財政投融資類似制度について)

平成30年5月31日

財 務 省 理 財 局

資料1

目次

1.諸外国におけるリスクマネー供給の状況

1.1 PE投資の国際比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P1

2. イギリスの財政投融資類似制度

2.1 The British Business Bankについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P2~9

2.2 Infrastructure and Projects Authorityについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P10

3.ドイツの財政投融資類似制度

3.1 ハイテク起業基金(High-Tech Gründerfonds)について・・・・・・・・・・・ P11~14

3.2 ドイツ復興金融公庫(KfW)について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P15~19

4.参考資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.1 The British Business Bankのプログラムについて・・・・・・・・・・・・・・・ P20~26

4.2 KfWのプログラムについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P27、28

2,346

493

175 159 146 109 85 67 40 360

500

1,000

1,500

2,000

2,500

PE投資の国際比較

活動中のPEファーム数

3,223

844 702 590 541334 304 197 174 103

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500(件数)

PEの投資金額(過去20年間)

(注1)2016年8月30日時点で活動中のPEファーム数。(注2)データについて・Thomson Reuterのデータベースにおいて、過去20年の間に一度でもバイアウト投資(VC投資はカウントしていない)を行ったファームで、現在も活動中のステータスになっているファームの数を合計している。

・ファームの中には主に下記のような種類が含まれている。➡PEファーム、銀行系列会社、大企業系列会社、政府系ファーム、保険

会社系列会社、投資ファンド、SBIC、大学系列ファーム

出所:経済産業省「第四次産業革命に向けたリスクマネー供給に関する研究会」(2017年10月18日)事務局説明資料より財務省作成

(10億$)

(注1)2016年9月1日時点の投資金額合計。(注2)米国、イギリス、ドイツ、日本の円表記は、平成29年12月26日財務省

告示第348号に規定する外国貨幣換算率に基づいて算出。(注3)データについて・Thomson Reuterのデータベースにおいて、過去20年間の間に実施されたバイアウト投資案件(VC案件は含んでいない)の金額を合計している。

・公表されている金額のみの集計をベースとしている。

約263兆円

約55兆円

約16兆円 約8兆円

イギリスは米国に次いでPE投資が進んでいるが、米国と比較するとPEファーム数及びPE投資金額に大きな差が見られる。

ドイツは、PEファーム数がイギリスの6割程度、投資金額はイギリスの3割程度となっている。

日本のPEファーム数及びPE投資金額は中国やインドなどの新興国と同水準又はそれ以下。

― 1 ―

― ―0123456789

イギリス

各省庁が中小企業を支援する様々な金融プログラムをばらばらに設けていたが、2012年に公表された報告書

「Boosting finance options for business」において、1つの組織を立ち上げ、政府の中小企業に関する金融プログ

ラムを1つの窓口に統合すべきとの指摘がなされた。

英国会計検査院なども税金を効率的に使うという観点からこれを支持。各プログラムの統合的管理の必要性が

認識され、より整合的で包括的なパッケージを供与するため、政府は2012年9月に中小企業に対するファイナンス

支援のための新機関(British Business Bank)を創設する方針を発表した。

具体的には、 HM Treasury(イギリス財務省。以下「HMT」) 、BIS(※)、 Capital for Enterprise Limited (CfEL:

BIS100%保有の事業体)などが所管していたプログラムを、British Business Bank(以下「BBB」)に一元化し、

ホールディングカンパニーを創設。各業務の専門性が発揮される仕組みを構築し、2014年秋から本格始動。

The British Business Bankの概要

(※)2009年にDepartment for Business, Innovation and Skills(ビジネス・イノベーション・職業技能省。以下「BIS」)が誕生したが、

2016年にDepartment for Business, Energy & Industrial Strategy(ビジネス・エネルギー・産業戦略省。以下「BEIS」)に組織改編。

政策目的に沿った事業を実施するBritish Business Finance Limited(以下「BBFL」)は、赤字となる可能性がある

ため、商業ベースのリターンを確保するBritish Business Bank Investment Limited(以下「BBBIL」)の収益を活用

し、BBB全体としての収益を確保する仕組みとなっている。

― 2 ―

― ―0123456789

(注) 支援制度の一部のみを記載。

The British Business Bankの一元化のイメージ図

(一元化前)

Start Up LoansCompany

Start-Up Loans(融資)

Business Finance Partnership(出資・中小企業向け)

BIS(現BEIS)

Enterprise Finance Guarantee(保証)

CfEL

Enterprise Capital Funds(出資)

British Business Financial Services Ltd

Enterprise Finance Guarantee(保証)

British Business Finance Ltd

Enterprise Capital Funds(出資)

Start Up LoansCompany

Start-Up Loans(融資)

HM Treasury

Business Finance Partnership(出資・中堅企業向け)

British BusinessBank Investments Ltd

Business Finance Partnership(出資・中堅企業向け)

Business Finance Partnership(出資・中小企業向け)

British Business Bank(ホールディングカンパニー)

(一元化後)

British Business Bank 100%保有の子会社※グループとして一体的に経営

2017年4月よりBBFL 100%保有の子会社

― 3 ―

― ―0123456789

(注)本スキーム図は、必要な機関や制度等を抽出したものであり、全てを網羅しているわけではない。

The British Business Bankの組織構造(概念図)

モニタリング

・資金供与の権限付与・予算措置

BBBの活動状況等の報告

British Business Bankの職員が出向

・事業計画の提出・新規事業等の要求 100%株式保有

モニタリング

British Business Bank

ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)

・事業計画の提出・新規事業等の要求

BBBからの要求事項に関する協議イギリス財務省(HM Treasury)

所管 BEISに代ってBBBの株主として活動

(ホールディングカンパニーであり、直接投資などは行わない)

中小企業

民間ファンド、貸付事業者 等

融資 投資

投資民間部門

投資

British Business Bank Investments Ltd

Investment programme VC Catalyst

民間部門

VCファンド 等

投資

投資

商業ベースのリターンを追求する子会社であり、EUの国家補助規制(State Aid Rule)の対象外

Help to Grow

保証

中小企業

融資

保証料

民間金融機関

投資

British Business Finance Ltd

Enterprise Capital Funds

民間ファンド

投資

民間部門

投資

Start Up LoansCompany

Start-Up Loans

起業家

融資

中小企業

補助金の提供など、政府の目的に沿った事業を実施する子会社であり、EUの国家補助規制(State Aid Rule)の対象

UK Government Investments Limited (UKGI)イギリス財務省所管の政府機関。政府保有法人のコーポレートファイナンス・コーポレートガバナンスを監督。

投資

投資

中小企業

融資

Enterprise FinanceGuarantee

British Business Financial Services Ltd

保証料

政府と契約を結び、政府に代わってサービスを提供する子会社

民間金融機関

保証

Angel Co Fund

Angel Co Fund

中小企業

ビジネスエンジェル

のシンジケート

投資

投資

100%株式保有の子会社

※BBFLの100%子会社

― 4 ―

― ―0123456789

The British Business Bankの主な支援の流れ

British Business Bank民間金融機関等と協力して、中小企業に対して約40億£の資金供給(2017年9月末時点)

民間資金

民間資金

BBBは、中小企業がより活動しやすくなるような支援プログラムを開発する。企業の成長や雇用の増加につながるよう、BBBは市中銀行やチャレンジャーバンク(新規参入行)などの民間金融機関、ビジネスエンジェルなどと協力し、民間資金も活用しながら、各種支援プログラムを通じて中小企業等に資金供給を行っている。

企業の成長や雇用の増加につなげる

主な支援プログラム

スタートアップ スケールアップ(高い成長が見込まれる企業等への資金提供)

競争力維持(中小企業への資金供給の促進等)

スタートアップ資金提供者

ビジネスエンジェル P2Pレンダー市中銀行

チャレンジャーバンク

(新規参入行)

VCファンド売掛金担保融資提供事業者デットファンド

出所:BBB資料より作成― 5 ―

― ―0123456789

スタートアップ スケールアップ(高い成長が見込まれる企業等への資金提供)

競争力維持(中小企業への資金供給の促進等)

出資

保証

Angel Co Fund(※)

⇒ビジネスエンジェルのシンジケートとの共同出資

Start Up Loans⇒イギリスで事業を開始しよう

とする個人向け融資

Enterprise Finance Guarantee

⇒民間金融機関の中小企業融資に保証を供与する

Enterprise Capital Funds

⇒アーリーステージの中小企業向けのファンドオブファンズ

Investment Programme

⇒中小企業への資金供給の促進を目的とした商業ベースの出資

(※) 「Angel Co Fund」というBritish Business Bankとは別の組織が出資を行っているが、当該組織はBritish Business Bankから出向した職員が運営している。

融資

⇒事業の成長に必要な資金を提供する民間金融機関への出資

Help to Grow(Capital Investment)

Help to Grow(Guarantee)

⇒事業の成長に必要な資金を提供する民間金融機関への保証

The British Business Bankの主な支援プログラムの概要

VC catalyst

⇒VCファンド向けの商業ベースのファンドオブファンズ

出所:BBB資料より作成

― 6 ―

― ―0123456789

組織目標 KPI(2014年11月設立時)KPIの達成状況(2016年度実績)

税収の効率的な活用国債の利率である2-2.5%以上の投下資本に対するリターン(※1)

3.9%(2015年度は2%)

中小企業(※2)向けの資金供給量の増加

2019年までに100億£の資金供給92億£

(2015年度は75億£)

中小企業の資金調達源の多様化

2019年までに4大銀行(※3)以外を通じた資金供給を50%以上とする*2016年度の年次報告から75%以上に目標変更

94%(2015年度は90%)

中小企業への多様な資金調達手段の周知

6つの資金調達手段(※4)に対する中小企業の認知度(毎年、中小企業に調査を実施)

50%(2015年度は48%)

(※1)英国債務管理庁(DMO)が発表しているDMOレート(イギリス国債の加重平均名目利回り)を参考に、投下資本に対するリターンを設定

(※2)従業員250人未満であり、年間売上高5,000万€未満又は総資産額4,300万€未満(※3)バークレイズ、HSBC、ロイズ・バンク、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(※4)リース、VC、エンジェル投資家、ソーシャルレンディング、クラウドファンディング、メザニンファイナンス

BBBは、HMT、BEISと協議を行い組織目標とKPIを設定している。個別のプログラムの中には、リターン目標(例:投資倍率2倍)を設定しているものもあるが、赤字となることを許容しているものもあり、BBB全体として、投下資本に対するリターン目標など、 4つの目標の達成を目指している。

BBBの運営については、BBBの民間からの信頼獲得や業務運営の効率性確保の観点から、主務省であるBEISはBBBの業務の独立性を担保し、個別案件に関する意思決定に介入しないこととされている。また、過去の実績も踏まえ、民間の専門家によるファンドを通じたLP出資が好ましいという方針。

次の事業計画に、「イギリス国内の各地域に対して公平に資金を供与すること」、「民間金融機関に対して専門知識を提供すること」を新しい目標として追加する方針で、現在議論を行っている。

The British Business Bankの組織目標とKPI

出所:British Business Bank Annual Report and Accounts 2016,2017

― 7 ―

― ―0123456789

The British Business Bankと政府との関係等

高い商業的リターンを求めるBBBILの給与水準は、類似業務を行う民間銀行より低いが、 BBBILで得られる経験やミッションに賛同する人材が集まっている。

BBBの経営幹部は、経験豊富で能力が高い一方で、シニアミドル、ミドル、ジュニア層は、BBBの組織規模の拡大に合わせて、短期間で多くの人材を採用したこともあり、経験がそれほど豊かではない、という評価もある。そのため、British Private Equity & Venture Capital Association(イギリスプライベートエクイティ・ベンチャーキャピタル協会。以下「BVCA」)が、BBBの職員に対してBVCAのイベントや研修に参加するよう促し、BBBを支援している。

人材等

BBBは、毎年、今後5年間の事業計画を策定し、HMT、BEISに提出し、承認を受けている。この事業計画の中には、各プログラムへのコミットメント、財務状況の目標などを記載する。計画と実績に大幅な乖離があった場合には、将来の資金配分に影響する。また、BBBの各プログラムには、HMTが個別に承認した資金供与金額の上限があり、その範囲内で、BBBは権限を有している。

BBBの唯一の株主はBEISであり、UKGIはその代理人として、BBBのパフォーマンスをチェックし、BEIS、HMTに報告している。BBBの取締役会には、UKGIから1名が株主として参加しているが、議決権は持たない。

情報開示については、BBBは可能な限り公表しているが、商業的に問題があるものなどは開示していない。

BBB内部には、HMT、イングランド銀行、民間企業等から転籍した7人で構成される「エコノミストチーム」が存在する。エコノミストチームの役割は主に以下3点。

① プログラムの開発(市場の失敗を是正するため、市場にどのようなギャップがあるかを分析した上で投資対象領域を特定)

② 対外的な情報発信(例えば、産業界などからデータを集め、定期的にレポートを公表)

③ 各プログラムの達成状況等の評価(評価に当たっては、信頼性を担保するため、外部コンサルタントを活用)

政府との関係等

― 8 ―

― ―0123456789

出所:British Private Equity & Venture Capital Association (BVCA)(2016)Private Equity and Venture Capital Report on Investment Activity 2016より作成

政府は、各プログラムがBBBに一元化されたことにより、各プログラムに横断的なリソースをプールすることができるようになり、効率性の向上や、より優秀な人材の確保ができるようになったと評価。また、窓口が1つになったことで利用者の利便性が高まったことを最大のメリットと考えている。

政府とBBBは、民業圧迫にならないよう配慮しており、民間金融機関が市場ギャップを埋められない場合に、投資などを行い、民間の支援を行っている。BVCAによると、BBBが十分にデューデリジェンスを行うことにより、安心して投資ができるという民間ファンドが多く、現時点では、BBBが民間セクターを圧迫しているという声はないとのこと。BBBのプログラムに参加するVCファンドからは、民間では対応できない資金需要を満たし、また、関与も最低限であり活動しやすいなど、高く評価されている。 Brexit後も、特にVCファンドにとっては重要な組織であり、European Investment Fund(欧州投資基金。以下「EIF」)に代わるような組織となることが期待されている。

イギリスにおけるエクイティの最大の提供者はEIF、続いてBBBとなっている。政府は、Brexitによる影響を考慮し、BBBの子会社として、新しいVCファンドを立ち上げることを現在検討している。

The British Business Bankに対する評価(一元化の効果等)、今後の課題等

0

50

100

150

200

250

0

5

10

15

20

25

30投資金額(左軸) 投資を受けた企業数(右軸)

イギリスの地方向けファンドは、規模が小さく、細分化されていたため、 European Investment Bank(欧州投資銀行。以下「EIB」)等からの資金が分割され、非効率となっていた。そのため、2017年に、BBBと10の地域産業パートナーシップ(地域の経済開発の促進を目的とした地方自治体と民間企業のパートナーシップ)等が共同し、Northern Powerhouse Investment Fund、Midlands Engine Investment Fundの2つのファンドを立ち上げた。これらは、BBBが管理しており、プロのファンドマネージャーが運営している。今後も地方向けファンドの統合を進め、新たにCornwall and Isles of Scilly Fundを立ち上げる予定。

また、現在はEIB等の資金を活用して地域支援を行っているが、Brexit後、当該支援は廃止される見込みであるため、行政や公的機関などすべての関係者が一貫性のとれた形態で地方のファンドマネージャーや企業、ビジネス・エンジェルを支援できるよう取り組む予定。

(参考)イギリスの地方向けファンドの統合について

The British Business Bankに対する評価、今後の課題

イギリスの地域別プライベート・エクイティ投資(2016年)

(注)BVCAの登録機関による、イギリス国内企業に対する投資(イギリス国外からイギリス国内企業への投資は含まない。)。

(億£) (先数)

― 9 ―

― ―0123456789

Infrastructure and Projects Authority(IPA)の概要

2016年1月、政府の主要なインフラプロジェクトを支援する「Infrastructure UK (IUK)」と、政府の重要プロジェクトを監督する「Major Projects Authority (MPA) 」を統合し設立。Cabinet Office(イギリス内閣府)及びHMTの所管。

政府の各インフラプロジェクト等に関し、省庁横断で、各インフラプロジェクト等の見通しや透明性に関する情報の提供を行い、また各インフラプロジェクト等を支援するため、専門家派遣や目標設定手法の開発なども行う。

IPAには約150名のスタッフと5つのチームが存在。5つのチームのうち「Finance & International」が、インフラプロジェクトへの政府保証制度「UK Guarantees Scheme」を管理するとともに、デジタルインフラなど新しい分野で、金額が小規模なものに関するファンドのアドホックな設立を行っている。現在、EV(電気自動車)向けファンドの新設を検討中。

投資(4億£)UK Guarantees Scheme

保証

銀行 等 借入 民間部門

インフラプロジェクトの遂行

保証料

Amber Fund Management

Limited

M&G Investments

Digital Infrastructure Investment Fund (DIIF)

(ファンドマネージャー)

2012年創設 インフラプロジェクトに対する民間

部門からのデット・ファイナンスを支援する

2026年まで、総額400億£分まで保証を付与する予定

過去5年で10件(総額約40億£)の保証を付与

UK Guarantees Schemeの概要

民間部門

投資

政府の諸活動に対し民間資金の活用を助言し、政府のPPPを支援。また諸外国政府のインフラ計画等に助言も行う。

各省庁のインフラプロジェクト等の遂行を支援する。

インフラプロジェクト等に必要な能力開発等を行う。

HM Treasury

Infrastructure UK (IUK)主要なインフラプロジェクトを支援するため、政府保証制度「UK Guarantees Scheme」を担う。また政府のPPP/PFI政策も所管。

Cabinet Office

Major Projects Authority (MPA)政府の重要プロジェクトのポートフォリオ管理等を行う。

Infrastructure and Projects Authority(IPA)

2016年1月に統合

Project Profession& Standards

Operations Finance & International Strategy & Policy Infrastructure Delivery

インフラプロジェクト等の遂行に係る政策目標を設定し、政府方針や年次報告書等を発表する。

社会基盤、住宅分野等の専門家で構成され、重要かつ複雑なインフラプロジェクトに専門的知見を提供。

― 10 ―

― ―0123456789

ドイツ

出資額(出資割合)

連邦経済エネルギー省

ドイツ復興金融公庫(KfW)

民間企業(出資企業は基金毎に異なる)

第一基金(2005年設立)2億7,200万€

2億4,000万€(88%)

1,500万€(6%)

1,700万€(6%)

6社

第二基金(2011年設立)

3億400万€

2億2,000万€(72%)

4,000万€(13%)

4,400万€(14%)

18社

第三基金(2017年設立)3億2,000万€

1億7,000万€(53%)

4,000万€(13%)

1億1,000万€(34%)

29社

ドイツにおける創業間もないイノベーション企業に対するシード投資が停滞していたこと等を踏まえ、民間(産業界)との

議論を経て、2005年、ドイツ連邦経済エネルギー省(以下「連邦経済エネルギー省」)が主導し、連邦経済エネルギー省、

ドイツ復興金融公庫(以下「KfW」)、民間企業の出資により「ハイテク起業基金」(以下「基金」)を設立。

2005年に第一基金(規模2.72億€)、2011年に第二基金(規模3.04億€)、2017年に第三基金(規模3.2億€)を設立。

連邦政府とKfWをあわせた出資割合は、第一基金が94%、第二基金が85%、第三基金が66%と減少する一方、民間企

業の出資割合が増加。

四半期に一度、コスト等を除いた後の利益を出資割合に応じて出資者に返還している。

各基金の存続期間は、投資期間6年、回収期間7年の計13年間。そのため、第一基金は2018年に設置終了期間を迎え

るが、投資先企業からより大きなリターンを得るため、回収期間の延長を検討している。

投資対象企業・投資条件はそれぞれ以下のとおり。

ハイテク起業基金(High-Tech Gründerfonds)の概要

出資スキーム

【投資対象企業】

• 設立後1年以内(第三基金は3年以内)

• 従業員50名未満、年間売上高又は総資産額1,000万€未満

• 技術に関する特許までは不要だが、それに相当する知的財産を有している

• 出資(Equity funding)又は株式転換可能な劣後ローン(Convertible loans)の形で資金提供

• 初回の投資上限額は50万€(第三基金は100万€)

• 追加投資上限額は150万€(第三基金は200万€)であるため、計200万€(第三基金は300万€)まで投資可能

【投資条件】

連邦経済エネルギー省

ドイツ復興金融公庫(KfW)

民間企業(ダイムラー等)

ハイテク起業基金

シード段階のハイテク企業

第一基金 第二基金 第三基金

出資 回収

出資 回収 出資 回収 出資 回収

出資 回収 出資 回収

― 11 ―

― ―0123456789

ハイテク起業基金における投資決定プロセス、投資実績

基金内部の投資分野別の投資マネージャーチームによる審査の後、投資委員会(※)で審査をして投資決定。

投資委員会には政府からの委託委員が含まれるが、政府の意向とは独立し、純粋に自らの経験に基づき技術が市場に受け入れられるか否かの投資判断を行う。

連邦経済エネルギー省は戦略を考え、監督は行うが、個々の投資決定は基金に任せているため、透明性が担保されている。

(※)投資分野別に3つの委員会が存在。各投資委員会は、それぞれ政府(委託委員)、政府系金融機関、ベンチャー・キャピタル、学識経験者等の5名から成る。

基本コンセプトの審査

ビジネスプランに係る書類審査

デューデリジェンスのための申請者とのミーティング

投資決定

1~2週間 4~6週間 2か月に1回

投資マネージャーチームによる審査 投資委員会による審査

※基金のスカウトが書いた推薦状があると、出資のチャンスが増す。

投資決定プロセス

2015年1月1日 2018年1月時点

396 投資件数 489

2.64億€ 投資額 8.86億€

704 追加投資件数 約1,200

8.4億€追加投資額(基金以外)

16億€

41 投資回収先89

第一基金:66第二基金:23

43 従業員数 58

出所:2014年度、2017年度調査におけるハイテク起業基金資料より作成

2015年以降、3年間で投資額は約3倍になっている。 投資先が成長後に民間からも追加投資(Follow-up

financing)を受けることができるよう、基金のネットワークを利用し、民間投資家等とのマッチング(※)を行っている。

(※)投資家と基金のポートフォリオ企業のマッチングのためのイベントなどを定期的に実施。

こうしたマッチングが好循環を生み、民間等の第三者と協調して約1,200件の追加投資を実施しており、約16億€の投資(そのうち約13億€は民間資金)が得られた。

投資回収(Exit)を行った会社は89社。リターンがない(又はほとんどない)会社は150社(投資件数の約30%) 。

投資実績

前回訪問時との実績の比較

― 12 ―

― ―0123456789

ドイツにおけるシード段階(※)の企業への投資件数(シード投資件数)のうち、基金による投資が占める割合は大きく、

直近では約40%を占める。現時点では、民間ファンドから基金に対するネガティブな反応はない。

民間からの追加投資は、海外VCやビジネスエンジェル等が大きな割合を占めており、国内VCは少ない。

(※) 一般に、シード段階とは、商業的事業がまだ完全に立ち上がっておらず、研究及び製品開発を継続している段階。

ハイテク起業基金の投資件数の推移等

出所:German Private Equity and Venture Capital Association(BVK)統計、ハイテク起業基金資料より作成

シード投資件数の推移

(件数)

追加投資額の内訳

19.5 35 22.9 22.5 36.7 32 30.7 33.321.9

14.3 23.451.5

69.149.7

128.786.3

11.415.4 25

40.9

33.640.5

56.7

82.6

614.7 10.8

26.318.7

16.5

74

35.6

29.830.8 26.3

31.720.5

22.8

60.7

45.6

11.4

13.9 12.4

14.5 11.215.8

19.6

17.3

€100.0M

€124.1M €120.8M

€187.4M €189.8M€177.3M

€370.4M

€300.7M

020406080

100120140160180200220240260280300320340360380

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2016国内VC 海外VC ビジネスエンジェル 民間企業 公的機関 ハイテク起業基金

(百万ユーロ)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

シード投資総計(ドイツ全体) うちハイテク起業基金

― 13 ―

― ―0123456789

ハイテク起業基金と政府との関係等

マネジメント

ハードウェア、オートメーション、光学技術

ライフサイエンス・素材・ヘルスケア 等

・KfW出身 1名・民間出身 1名

2名

13名

通信・メディア・ソフトウェア 等

13名

Controlling/IT

9名 Relationship Management,

Marketing/Communication,Office

11名10名

総務・広報等部門投資マネージャー

組織・人材等

全体の45%が起業の経験があり、52%が研究者出身、17の異なる学位を持つ職員が所属している。また、国籍もさまざまであり、女性も約32%おり、多様な人材で構成されている。

ボーナスシステムは、創設当初のものに変更を加えており、投資マネージャーについては、投資額より回収金が多ければボーナスとなり、管理部門などについては、勤務年数に応じて、利益があった場合にボーナスとして分配。

投資先に対しては、月1回、現状報告、特別な出来事、数値データ、コスト、流動性などについて記載したレポートの提出を求めている。投資先に対する内部監査の報告書は、基金と会計監査人で作成し、連邦経済エネルギー省に提出する。内部監査で問題を見つけた場合、マネジメントチームの補強や新しい外部投資家等の派遣などを行うが、それでも改善できない場合は、報告書に記載し、連邦経済エネルギー省と共有する。

年1回、基金の内部モニタリングが行われる。連邦経済エネルギー省に対しては、年1回、基金から外部監査機関に依頼し、新しい案件は通常監査、追加投資やExitした案件は抜き打ち監査などを行い、報告する。また、連邦経済エネルギー省がイニシアチブをとり、基金によるスタートアップ支援が国民経済にどういった影響を与えるかという学術的評価も行っている。そのほかにも、連邦会計検査院、税務署、社会保障関係の検査なども行われる。

情報開示については、投資契約に基づく守秘義務事項以外は、最大限公表を行っている。 連邦経済エネルギー省から、第一基金はDPI(実現倍率)(※)50%、第二基金は75%、第三基金は100%という目

標を与えられているが、現時点では、第一基金については、 DPI75%、うまくいけば100%が見込まれている。

(※)累積分配金/払込出資金

政府との関係等

― 14 ―

― ―0123456789

資金調達は、資本市場から主としてKfW債により調達(2017年時点では、資金の99%を資本市場から調達)。

KfWは健全な金融機関と評価されており、 KfW 債はAAAの格付けを持つ。

① 中小企業銀行中小企業、ベンチャー企業、自営業者等に対し、ローン、メザニン資本

(無担保劣後ローン)、出資により助成。

② 地方自治体及び民間顧客銀行/信用機関地方自治体に対するインフラ整備プロジェクトへの融資、個人に対する住宅ローン・教育関連ローン等の助成。

③ 輸出金融及びプロジェクトファイナンス

KfWの完全子会社であるKfW IPEX銀行がプロジェクトファイナンス及び輸出金融等により助成(KfWとは別会社)。

④ 発展途上国及び新興経済国支援-KfW開発銀行

・・・外国の公共部門の借入人や受取人に対して貸出及び供与を行う。-ドイツ投資開発会社(DEG)

・・・途上国に投資する民間企業に対し、長期融資を提供(KfWとは別会社)。

⑤ 金融市場融資活動及び金融資産管理を含む、財務活動を実施。加えて、KfWの資産担保証券及びグリーンボンド等のポートフォリオ管理や、ドイツテレコム及びドイツポストの民営化政策も実施。

(注)「助成事業計」は、KfW IPEX銀行が行った輸出金融及びプロジェクト・ファイナンスであって、中小企業銀行の助成プログラムの一部として貸し付けられた273百万ユーロ(2015年は229百万ユーロ)を含む。

ドイツ復興金融公庫(KfW)は、1948年、KfW法に基づいて設立された政策金融機関。総資産は5,070億€(2016年末)であり、ドイツで3番目に大きな銀行。※欧州復興プログラム(ERP)特別基金の貸出・運用を行う機関として設立。

出資構成は、連邦政府80%、州政府20%。債務はKfW法に基づき、全て連邦政府保証(毎年の議会予算承認は不要)。法人税非課税。利益配分は禁止され、利益は積み立て。Tier1資本比率22.3% (2016年末)。

民間金融機関の支店網が充実していることを生かし、原則として、州立支援財団や仲介銀行を通じた代理貸付を行っている。

事業分野 2016会計年度(百万ユーロ)

2015会計年度(百万ユーロ)

対前年比(%)

①中小企業銀行 21,388 20,431 5

②地方自治体及び民間顧客銀行/信用機関

33,698 30,054 12

③輸出金融及びプロジェクトファイナンス(KfW IPEX銀行)

16,072 20,214 -20

④発展途上国及び新興経済国支援 8,844 7,726 14

うちKfW開発銀行 7,290 6,662 9

うちドイツ投資開発会社(DEG) 1,553 1,064 46

⑤金融市場 1,274 1,119 14

助成事業計 81,002 79,314 2

ドイツ復興金融公庫(KfW)の概要

出所:KfW有価証券報告書

組織概要

資金調達

事業分野別の助成事業額(貸付金額等)事業分野

― 15 ―

― ―0123456789

民間金融機関の支店網が充実していることを生かし、原則として、仲介銀行(※1)や州立支援財団(以下「財団」)を通じた代理貸付(※2)を行っている。政府保証を受けたKfW が低コストで調達した資金を、仲介銀行等が低いマージンで融資することにより、中小企業への低利融資を行っている。

(※1)KfWが直接貸出を行っている200行程度の商業銀行。(※2)地方自治体への融資などには直接融資も実施。なお、KfW中小企業銀行部門の主要なプログラムの融資上限は、1プロジェクトあたり2,500万€(約31億円)。

日本政策金融公庫中小企業事業部門、国民生活事業部門の資金毎の融資上限は、それぞれ最大7.2億円、最大7,200万円。

具体的には、借り手はまず仲介銀行等にコンタクトする。そして、仲介銀行等が、自行のプログラムやKfW・財団の助成プログラムを一覧できるようにした上で、借り手とともにこれらのプログラムの活用を検討する(※3)。

(※3)仲介銀行以外の貯蓄銀行、信用協同組合等も、財団を経由することによってKfWのプログラムを活用できる。また、財団は、KfWからのリファイナンス資金を活用して独自のプログラムを提供することもできる。ただし、このようにKfWと財団の双方を経由する場合には、マージンの二重取りが発生することとなる。

信用リスクを含め、借り手の審査は仲介銀行が行い、KfWや財団は、原則として借り手の信用リスクを負わず、仲介銀行が負う。従って、KfWや財団の審査は、借り手ではなく仲介銀行(KfWにとっては財団を含む)の信用リスクについて行われる。

KfWにおける代理貸付制度の概要

代理貸付のスキーム図 ドイツの銀行システム(2017年12月時点)

出所:Deutsche bundesbank monthly report December 2017

銀行数 (割合)総資産(億€)

(割合)

1機関あたり

総資産

(億€)

ユニバーサルバンク(Universalbanken) 1,585 96.7% 61,369 78.0% 38.7

①民間商業銀行(Kreditbanken) 264 16.1% 31,657 40.2% 119.9

大銀行 4 0.2% 17,569 22.3% 4,392.3

地方銀行・その他銀行 153 9.3% 10,013 12.7% 65.4

外国銀行支店 107 6.5% 4,075 5.2% 38.1

②公的銀行 399 24.3% 20,909 26.6% 52.4

州立銀行(Landesbanken) 8 0.5% 9,044 11.5% 1,130.5

貯蓄銀行(Sparkassen) 391 23.9% 11,865 15.1% 30.3

③信用協同組合(Kreditgenossenschaften)

922 56.3% 8,803 11.2% 9.5

特殊銀行(Spezialbanken) 54 3.3% 17,348 22.0% 321.3

不動産抵当銀行(Realkreditinstitute)

14 0.9% 2,556 3.2% 182.6

建築貯蓄金庫(Bausparkassen)

20 1.2% 2,306 2.9% 115.3

特殊課題銀行(Banken mit Sonderaufgaben)

20 1.2% 12,486 15.9% 624.3

銀行計 1,639 100.0% 78,717 100.0% 48.0

個人、企業、地方自治体、関連団体、プロジェクト

(注)本スキーム図は、必要な機関や制度等を抽出したものであり、全てを網羅しているものではない。

代理貸付

KfW(復興金融公庫)(連邦レベルの政策金融機関)

仲介銀行

ドイツ連邦政府

州政府・地方自治体

・株式所有(KfWの80%)

・監督・助成

株式所有(KfWの20%)

・株式所有・監督・助成

代理貸付

代理貸付

直接貸付(主に地方自治体向け)

債券発行による資金調達

債券発行による資金調達

KfW IPEX銀行(輸出金融・プロジェクトファイナンスなどの商業事業)

債務保証

・100%株式所有・必要資金を市場金利で提供

貸付

州立支援財団(州レベルの政策金融機関)

国内外の金融資本市場

貯蓄銀行、信用協同組合 等

貸付

貸付

貸付

― 16 ―

― ―0123456789

代理貸付は、基本的に仲介銀行が信用リスクを負担するため、リスクが高い貸付先や貸付額が少なく事務経費が賄えないような貸付先については、仲介銀行が融資を渋る懸念がある。借り手の資金調達ができないという状況を回避するため、2005年以降、一部のプログラムでは、KfWが借り手の信用リスクの一部を負担するオプションが設けられている。

深刻な金融危機の場合などは、KfWが借り手の信用リスクの90%を負担する場合などもあるが、仲介銀行に借り手の信用リスクを担わせるという基本的な考え方であるため、KfWが借り手の信用リスクを100%負担することはない。

なお、借り手に対する金利は、リスクを考慮して設定するが、EUが定める金利に沿って、A~Iまでの9つのカテゴリーから設定される。

具体例

KfWによる借り手の信用リスクを一部負担するスキーム

仲介銀行が100%借り手の信用リスクを負う

通常

KfWが借り手の信用リスクの50%を負う

仲介銀行が借り手の信用リスクの50%を負う

オプション

出所:KfW資料より作成

仲介銀行が100%借り手の信用リスクを負う

通常

KfWが借り手の信用リスクの80%を負う

仲介銀行が借り手の信用リスクの20%を負う

オプション

例)KfW起業家ローンの場合設立5年以上の中小企業等を対象とし、20年を上限に、

2,500万€まで融資。

例)ERP-スタートアップローン-スタート資金(零細向け)の場合設立5年未満の起業家や零細企業等を対象とし、5年又は10年の

期間で、最大10万€を融資。

― 17 ―

― ―0123456789

KfWの中小企業銀行部門は、2017年度は219億€の規模で、フェーズの異なる企業に対し、多様な支援プログラムを

提供し、市場の失敗に対処している。特に、リスクが高いため民間金融機関では支援が難しいスタートアップ段階の企

業に対しても資金提供を行っている。

起業家、中小企業、環境などの各分野への融資、革新的な企業に対するエクイティ投資も行っている。

ローン・プログラムの中には、仲介銀行に対して信用リスクの一部を負担するオプションが設けられているものもある。

KfWの中小企業銀行部門の概要

助成プログラムとファンド投資

公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金(Coparion)

中小企業銀行部門の事業分野

KfW-起業家ローン*

ERP 地域促進プログラム

ERP スタートアップローン-ユニバーサル(中小向け)*

ERP-スタートアップキャピタル

ハイテク起業基金

ERP ベンチャー・キャピタル基金投資

ERP-スタートアップローン-スタート資金(零細向け)*

ERP資本参加プログラム

KfW 環境保護プログラム

KfW 再生可能エネルギープログラム

KfW エネルギー効率化プログラム

BMUB 環境イノベーションプログラム

KfW -エネルギー・環境分野向けシンジケートローン **

KfW 風力エネルギープログラム**FG

KfW買収資金**(KfW Acquisition Financing)

ローン

メザニン

エクイティ

EIF/EFSI保証

* 信用リスクの一部負担

** KfWがリスク負担(直接事業)FG 連邦保証

ERP メザニンイノベーション *

ERP デジタル化・イノベーション向けローン*

出所:KfW資料(2017年7月時点)より作成

(※)EIF=欧州投資基金

EFSI=欧州戦略投資基金

起業融資 一般融資 環境投資 技術革新

― 18 ―

― ―0123456789

KfWにおけるエクイティ投資に関する施策の一元化プライベートエクイティ

シード スタートアップ グロース

アーリー・ステージ レイター・ステージベンチャーキャピタル

ハイテク起業基金 coparion(公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金)

ERP ベンチャー・キャピタル基金投資

プライベートエクイティ

シード スタートアップ グロース

アーリー・ステージ レイター・ステージベンチャーキャピタル

• ハイテク起業基金➡アーリー・ステージの企業への資金提供• Coparion➡スタートアップ、アーリー・グロースの企業への資金提供• ERP ベンチャー・キャピタル基金投資➡民間VCファンドへの資金提供

KfW 子会社

現在、中小企業銀行部門でエクイティ投資に係る3つのプログラムを行っているが、VC市場へのコミットメントの強化、専門家人材の集約化を目的に、 2018年7月にKfWの100%子会社を設立予定。 出所:KfW資料より作成

※これら3プログラムのVC市場への呼び水効果は、約25億€が見込まれる。

― 19 ―

― ―0123456789

参考資料

イギリス-The British Business Bankのプログラム-

1. Angel Co Fundの概要-スケールアップ-

The British Business Bankの出資プログラム

ビジネスエンジェル投資の質と量を向上させ、高い成長が見込まれる中小企業に資本を供給することなどを目的に、2011年11月に創設された、ビジネスエンジェルのシンジケートとの共同出資プログラム。

当初の事業規模は5,000万£であったが、2013年予算において5,000万£が追加され、総額1億£となっている。

1企業への出資額は10万£~100万£。

中小企業を対象としており、分野は問わない(出資を受ける企業は、高い成長性を有するアーリーステージの中小企業が多い。)

ビジネスエンジェルのシンジケートには、例えば、3人以上の民間個人投資家から構成されていること、などの要件がある。

2017年10月末時点で、79の企業に対し3,700万£を出資。他のビジネスエンジェルなどからも約1億8,000万£の出資を呼び込んでいる。

(1)プログラム概要

当該出資プログラムは、BBBとは別組織の「Angel Co Fund」が行っており、独自の取締役会を有しているが、当該組織の運営や投資の管理はBBBから出向した職員が行っている。

組織内部に、取締役会やBBBから独立した、新規及び継続投資案件について最終決定を行う「投資委員会」が存在。当該委員会は、経験豊富な14名のエンジェル投資家によって構成されている。

(2) 「Angel Co Fund」の組織について

① ビジネスエンジェルのシンジケートが対象企業のデューデリジェンスを実施。

② Angel Co Fundが当該シンジケートからの投資提案の内容や適格性等を審査。

③ (承認された場合)当該シンジケートがAngel Co Fundに投資計画書を提出。

④ Angel Co Fundの投資委員会が、当該出資は商業的な観点から適切であるか、デューデリジェンスが十分に実施されたか、などの観点から審査。

⑤ (承認された場合)出資決定(当該シンジケートは法的手続きに移行)。 Angel Co Fundはシンジケートの投資条件に可能な限り従う。

⑥ シンジケートは投資に対するモニタリングを実施し、Angel Co Fundと情報を共有する。

(3)投資決定プロセス

― 20 ―

― ―0123456789

2.Enterprise Capital Funds (ECFs)の概要-スケールアップ-

BBFLの1つのファンドに対する出資額は5,000万£、ファンド規模の3分の2を上限としている。また、各ファンドは民間出資の過半数を1者が占めてはならないとされ、民間出資の半分以上はファンドマネージャー以外の出資者からの出資でなければならない。

各ファンドは、利子・配当金など投資から利益が発生した場合に再投資を行ってはならず、まずBBFLと民間投資家等に対する債務返済に充て、残余分を分配割合に応じて分配する。

ファンドの選定に当たっては、①投資チームの強固さ、経験と専門性、②投資戦略、③民間資金源、④BBFLとの金銭面に関する条件、という4つの基準がある。特に、BBFLとの金銭面に関する条件に関しては、BBFLと民間投資家等の債務返済及び利益分配割合、各ファンドの運営経費、ファンドマネージャーの報酬などを評価し、事前に明確にする。

各ファンドは、欧州プライベートエクイティ・ベンチャーキャピタル協会(EVCA)のガイドラインに従って投資を評価し、資金収支などと合わせて四半期に一度BBFLに情報提供しなければならない。

(2)BBFLとECFsのファンドとの関係について

中小企業の「equity gap」を埋めるため、アーリー・ステージの中小企業への資金供給(エクイティ及びデット)を促進することなどを目的に、2006年に創設されたファンドスキーム。具体的には、各ファンド(ECFs)に一定額の出資を行い、当該ファンドが中小企業を対象としてエクイティ資金やデット資金を供給する。

設立当初は、BIS(現 BEIS)が100%保有する事業体「Capital for Enterprise Limited」が各ファンドの管理機能を果たしていたが、 BBBの設立により、子会社のBBFLが管理を承継した。

2017年12月末時点の実績は以下のとおり。

・ECFsのファンド数:26ファンド ・ECFsの投資企業数:400以上

・企業へのコミット額:10億£以上

各ファンドの1件(企業)当たり投資額は、他のファンドからの投資額も含めて500万£が上限。中小企業を対象としており、分野は問わない。

ただし、①自動車、②造船、③鉄鋼、④石炭、⑤輸送等には投資できない。

(1)プログラム概要

The British Business Bankの出資プログラム

― 21 ―

― ―0123456789

3.VC Catalystの概要-スケールアップ-

イギリスのベンチャーキャピタルやグロースキャピタルの基盤を強化することなどを目的に、2013年に創設された、商業ベースの出資プログラム。BBBの子会社であるBBBILが当該プログラムを実施している。

1ファンドへの投資額は500万£~5000万£(例外的に上限を超えることを認める場合がある)。

ファンド規模の33%まで投資可能(例外的に50%まで可能)。なお、ファンドの規模に上限はない。

Institutional Limited Partners Association(ILPA)の策定する「プライベートエクイティ原則」という投資に当たってのガイドラインに沿った条件で投資をすることを求めている。

2017年3月末時点の実績は以下のとおり 。

・出資ファンド数:9

・出資ファンドの投資企業数:24

・ファンドへのコミット額:7,800万£

・ファンドへの投資実額:2,600万£

(1)プログラム概要

The British Business Bankの出資プログラム

① 立証可能な実績(トラックレコード)や投資経験を持つ、強固で能力の高いマネジメントチームを有していること。

② BBBILの出資が民間からの追加出資につながること。

③ 民間投資家から投資を受ける確約があること。

④ 主にイギリスに拠点を置く中小企業へ投資を行うこと。

⑤ 他の公的資金が入ったプログラムから資金を受けていないこと。

(2)ファンドへの主な出資基準

― 22 ―

― ―0123456789

4. Investment Programmeの概要-競争力維持-

中小企業への資金供給を促進するため、①多様なデットファイナンス市場の成長支援、②民間部門からの追加投資の促進、③効果的で適切かつ信頼のできる方法での中小企業への資金供給、④中小企業が利用できるデット資金の拡大を目的に、2013年4月に創設された出資プログラム。BBBの子会社であるBBBILが当該プログラムを実施している。

出資方法として「Managed Investment(以下「Managed」)と「Direct capital Investment(以下「Direct capital」)」 の2種類が存在。前者は資金の貸付を行っているファンド・類似団体に出資し、後者は資金の貸付を行っている事業者に出資する。

2015年1月には、新たに「Expansion Capital」を創設。 Managed/Direct Capitalと組み合わせて出資を申し込むことも可能。

2017年3月末時点の実績は以下のとおり 。・出資ファンド等数:29 ・出資ファンド等の投資企業数:17,801・ファンド等へのコミット額:15億4,000万£ ・ファンド等への投資実額:8億8,100万£

(1)プログラム概要

① 貸付対象の企業は、イギリス国内企業であり、年間の売上高が1億£以内であること。なお、2,500万£以内が望ましい。

② 資金供給者(ファンド・類似団体・事業者)の投資戦略がデットファイナンスを提供するものであること。

③ BBBILから資金供給者への投資規模は、1,000万£~1億£以内であること。なお、3,000万£~5,000万£以内が望ましい。

④ BBBILからの出資後、3年以内に中小企業に貸付を行うこと。

⑤ BBBILに商業ベースのリターン(commercial return)を提供できること。

⑥ 民間投資家から十分な資金を集められること。

⑦ 民間投資家とパリパス(優先劣後のない同順位)であること。

⑧ 投資戦略を実行するために、十分な専門知識を持った能力の高い人材(チーム)を有していること。

⑨ 投資・規制・税務上のストラクチャーが透明かつ適切であるとともに、投資事業を行うために必要な許認可を得ていること。

(2)出資基準(Managed・Direct Capital)

The British Business Bankの出資プログラム

― 23 ―

― ―0123456789

Start-up Loansの概要-スタートアップ-

(1)プログラム概要

イギリスで事業を開始したり成長させようとしている個人が、必要な資金調達や事業支援を受けられることを目的に、2012年9月に創設された、個人ローン。創設時はStart-Up Loans Company(政府保有の会社)が業務を実施していたが、2017年4月にBBFLの100%子会社となった。現在、Start-Up Loans CompanyはBBFLとの合併に向け、段階的に計画を進めている。

平均融資額:約5,000£~1万£

(1個人は500£~2万5,000£が上限。また、複数人が共同で1つの事業を行う場合10万£が上限。)

満期5年、固定金利(2018年5月時点:年率約6%)

申請が通った場合は、12ヶ月間の無料の経営指導と成功するための事業計画の提案が受けられる。

創設時は総額8,250万£の融資を予定していたが、2017年9月末時点で約5万人以上の起業家に約3億5,800万£を貸し出している。

イギリスで働く資格を有する18歳以上の者で、イギリス在住であること。

事業の拠点がイギリスであること。

既に新しいビジネスを始めている、あるいは、少なくとも24ヶ月間何らかの取引を行っていること。

他から資金を調達することができないこと。

信用調査に合格し、貸付金の返済が可能であること。

ビジネスタイプとローンの目的が本プログラムの要件に合致していること。

(※)ローンの対象外となるビジネスタイプ・目的

(ビジネスタイプ)兵器、化学製造、ポルノ、薬物、違法行為、銀行振込、送金サービス など

(目的)債務返済、資格・教育プログラム など

(2)主な融資要件

The British Business Bankの融資プログラム

― 24 ―

― ―0123456789

Enterprise Finance Guarantee (EFG)の概要-競争力維持-

(2)保証対象

金融機関による中小企業(※)に対する融資

(※)事業の拠点がイギリスであり、年間の売上高が4,100万£以下であること、などの要件がある。

融資額:1,000£~120万£、融資総額の20%とする上限キャップがある。(創設当初は9.75%)

満期:3か月~10年(売掛金担保融資などの場合は最大3年)

金融危機を受け、成長が見込まれるが十分な担保がなく、民間金融機関から資金を得ることができないイギリス国内の中小企業への貸付を奨励するため、2009年に創設。金融機関が中小企業融資を行う際に、政府が保証対象となる融資金額の75%に保証を供与する。保証を受けた中小企業は年2%の保証料をBritish Business FinancialServices(BBFSL)に支払う。

(注)EFG創設以前にも融資保証制度SFLG(Small Firms Loan Guarantee)があったが、世界的金融危機を受け、対象等を拡大し、EFGを創設。

2017年9月末時点で、28,000社以上の中小企業に対して、30億£以上の資金調達を支援。

保証供与の判断は金融機関(※)に完全委任されており、政府は決定に関与しないが、事業モニタリングを行っている。

(※)金融機関は、BBFSLにより指定された金融機関であり、市中銀行のほか、チャレンジャーバンク(新規参入行)など、イギリス国内で40社以上と提携している。

中小企業からの保証料でEFGの全てのコストを賄っているわけではなく、赤字となることを許容しているプログラムだが、経済状況が良好である場合は黒字となることもある。

2018年度予算において、予算額を年間2.5億£から年間5億£に引き上げ、プログラムを4年間延長する予定であることを公表。

(1)プログラム概要

The British Business Bankの保証プログラム

― 25 ―

― ―0123456789

Help to Growの概要-スケールアップ-

中小企業に事業の成長に必要な資金を提供するため、 BBFLが民間金融機関に出資又は保証を行い、当該金融

機関から、1企業当たり50万£~200万£を上限に融資を行う。

BBFLから出資を受ける場合は、ファンド規模の50%以内で、1,000万£~2,000万£の出資を受けることができる。

BBFLから保証を受ける場合は、BBFLに対し、融資総額の2%程度の保証料を支払い、個別のキャピタルロスの75

%をBBFLが保証する。

対象となる中小企業は、「直近3年間で5%~20%の成長率」や「十分なシニアデットを受けることができないこと」な

どの条件が存在する。また、①合成繊維、②自動車、③造船、④石炭・鉄鋼、⑤輸送、⑥農産物・水産物に関する

事業を行う中小企業は対象外。

2016年5月に第1号案件としてロイズ・バンクを通じ総額3,000万£、2017年1月に第2号案件としてOakNorth(チャレ

ンジャーバンク)を通じ同額3,000万£の融資を行うことが決定。

(1)プログラム概要

(2)BBFLからの支援(出資・保証)を受けるための主な要件

① 出資を受ける場合は、少なくともBBFLからの出資額(1,000万£~2,000万£)と同額の民間投資家からの出資を

受けること。保証を受ける場合は最低1,000万£以上の融資が可能であること(満期は最大7年)。

② 応募者は対象の中小企業に対する明確な期待リターンを設定するとともに、BBFLから支援を受けることの効果等

を説明できること。

③ 融資戦略を実行するために、十分な専門知識を持った能力の高い人材(チーム)を有していること。

④ BBFLの権限やEUの国家補助規制(State Aid Rule)に則っていること。

⑤ 投資・規制・税務上のストラクチャーが透明かつ適切であるとともに、投資事業を行うために必要な許認可を得て

いること。

The British Business Bankのその他のプログラム

― 26 ―

― ―0123456789

ドイツ-KfWのプログラム-

スタートアップ段階とアーリーグロース段階にある企業のベンチャーキャピタル資金のギャップを埋めることを目的と

して、2016年に設立。ファンド規模は2億2,500万€(ERP特別基金(連邦経済エネルギー省の代理):1億8,000万€

KfW:4,500万€)。

民間投資家との共同出資ファンドであり、リードの民間投資家とパリパス(優先劣後のない同順位)の条件で投資。

民間出身の2名のマネージングディレクターがファンドを運営。

1企業に対する投資額は、最大1,000万€。

投資対象企業は、特に分野別の制約(※)や要件はないが、新しい製品・工程・サービス等の開発やそれらの市場導

入等を試みており、かつ、ドイツを拠点とする設立10年未満のハイテク関連の中小企業を対象。

(※)EIFのガイドラインにおいて“EIF Restricted Sectors”と定義される分野については除外される。

ファンドの設置期限は10年。

VC市場への呼び水効果は、 4億5,000万€が見込まれる。

公的ベンチャー・キャピタル共同投資基金(Coparion)の概要

50%

ERP特別基金(連邦経済エネルギー省の代理)

1億8,000万€

KfW4,500万€

民間投資家(VCファンド、ビジネスエンジェル 等)

ハイテク関連の中小企業

50%

Coparion

スキーム図

出所:KfW資料より作成

― 27 ―

― ―0123456789

一度廃止されたが、民間から復活を望む声があったため、2015年に再開。スタートアップ段階、成長段階であっ

て、技術を有し成長志向のあるドイツの若いハイテク関連企業に対する追加の資金調達ギャップを埋め、VCか

らの資金供給を促進することを目的としており、2018年2月時点でのKfWの事業規模は4億€。

民間投資家とパリパス(優先劣後のない同順位)の条件で投資する。また、ファンドマネージャーには、成功報酬

などの適切なインセンティブを与える。

KfWは全体の投資額の20%以下の出資までが可能。

KfWが参加しているため、民間投資家の参加が促されており、VC市場への呼び水効果は20億€が見込まれる。

ERPベンチャー・キャピタル基金投資の概要

スキーム図

全体の投資額の20%以下の出資

民間VCファンド

民間投資家KfW4億€

民間VCファンド

民間VCファンド

ハイテク関連企業

出所:KfW資料より作成

ハイテク関連企業ハイテク関連企業

― 28 ―

― ―0123456789