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平成 28 年 3 月

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Page 1: 平成 28 年3月 - Nagasaki Prefectural Government...Ⅰ.計画策定の趣 -1- Ⅰ.計画策定の趣旨 1.ねらい 我が国は人口減少局面にあり、国内需要の減衰に伴う経済の縮小など、

平成 28 年 3 月

Page 2: 平成 28 年3月 - Nagasaki Prefectural Government...Ⅰ.計画策定の趣 -1- Ⅰ.計画策定の趣旨 1.ねらい 我が国は人口減少局面にあり、国内需要の減衰に伴う経済の縮小など、

は じ め に

我が国の経済は、国内企業の努力や政府の様々な金融政策等に

より、大企業を中心に一部で持ち直しの動きも見られるものの、グ

ローバル化の進展による諸外国、中でも新興国との厳しい競争や、

人口減少に伴う働く世代の減少等により、依然模索のただ中にある

といえます。

一方で世界の産業界を取り巻く環境は目まぐるしく変化してお

り、特に再生可能エネルギーに関する技術の発達や、ICTを製造

業に直接活用する取組などの、革新的な動きが生まれてきています。

このような中、本県経済は、人口減少等に伴う需要・消費の低迷

や高齢化の進展等、全国に先行して試練に直面しており、企業の経営環境は厳しい状況にありま

す。

今般、国では、「地方創生」の旗印の下、地方から国全体を元気づけるため、戦略を策定し、各

種施策への取組が始められたところです。これを受け、本県では、平成27年度から5ヵ年の計

画である「長崎県まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定するとともに、平成28年度から5

ヵ年の県政運営の指針を定めた「長崎県総合計画チャレンジ2020」を策定したところです。

「ながさき産業振興プラン」は、こうした国内、国外の情勢の中、本県経済の活性化及び持続

的な発展を目指していくため、総合計画の部門別計画として、今後の製造業及びサービス産業振

興の方向性を定めたものです。

本県の経済を活性化するためには、何よりも力強い産業と良質な雇用の場が必要です。その実

現のために、本計画では、本県産業の強化に必要な4つの方向性、「生産性/競争力を高める」、

「新たな需要を発掘/創出する」、「働く場を創る/改善する」、「有能な人材を育成/獲得する」

を基本指針として定め、その下に具体的な35の重点施策と6つの重点推進プロジェクトを掲げ

ております。

これらの施策により、良質な雇用の場の創出及び県内外の有能な人材の県内定着を促進し、

「ひと」と「しごと」の好循環の実現を目指してまいります。

関係の皆様には、今後ともそれぞれのお立場で、企業活動の活性化に努めていただくとともに、

本計画へのご協力をお願いいたします。

結びに、県議会をはじめ、県内外の企業関係者や商工団体、学識経験者の方々等、本計画の策

定に際して貴重なご意見やご提言を賜りました多くの皆様に対し、改めて厚くお礼申し上げます。

平成28年3月

長崎県知事 中村 法道

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目 次

Ⅰ.計画策定の趣旨 ............................................................ 1

1.ねらい .................................................................. 1

2.計画期間 ................................................................ 1

3.計画の位置づけ .......................................................... 1

4.現行ビジョンの総括~成果と残された課題~ ................................ 2

Ⅱ.本県産業を取り巻く環境 .................................................... 5

1.本県産業の現状 .......................................................... 5

(1) 県内の企業数等 ..................................................... 5

(2) 本県経済の概観 ..................................................... 5

(3) 本県企業の動向 ..................................................... 8

(4) 雇用の状況 ........................................................ 10

(5) 県民所得 .......................................................... 12

(6) 本県産業の特徴 .................................................... 13

2.県内企業の声 ........................................................... 15

(1) アンケート調査概要 ................................................ 15

(2) 調査結果概要 ...................................................... 15

3.国の施策 ............................................................... 22

(1) 成長戦略 .......................................................... 22

(2) 地方創生 .......................................................... 23

4.海外市場の状況 ......................................................... 26

(1) 海外市場への国内企業の展開状況 .................................... 26

(2) 国の海外展開関係施策 .............................................. 27

(3) 海外市場の現状 .................................................... 28

(4) TPPについて .................................................... 32

Ⅲ.本県産業の課題 ........................................................... 33

1.本県産業の現状分析 ..................................................... 33

(1) 域外との経済活動の状況 ............................................ 33

(2) 付加価値額の水準 .................................................. 35

(3) 付加価値額への影響度の検証 ........................................ 36

(4) 「卸売・小売業」の課題分析 ........................................ 37

(5) 「製造業」の課題分析 .............................................. 41

(6) 企業誘致関係の課題 ................................................ 54

(7) 経済成長要因 ...................................................... 55

(8) 雇用情勢 .......................................................... 56

2.本県産業のポテンシャル ................................................. 59

(1) 本県のポテンシャル ................................................ 59

(2) ポテンシャルを活かす施策の方向性 .................................. 61

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Ⅳ.本県産業の将来像 ......................................................... 63

1.本県産業の将来像 ....................................................... 63

(1) 今後予想される社会経済の変化 ...................................... 63

(2) 望ましい本県産業の将来像 .......................................... 63

2.今後の成長市場について ................................................. 65

(1) 成長予測について .................................................. 65

Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策 ..................................... 69

1.基本指針 ............................................................... 69

(1) 基本指針の考え方 .................................................. 69

2.施策体系 ............................................................... 72

(1) 施策の方向性(イメージ) .......................................... 72

(2) 施策体系図 ........................................................ 73

3.基本指針と施策の方向性 ................................................. 75

(1) 生産性/競争力を高める ............................................ 75

(2) 新たな需要を発掘/創出する ........................................ 84

(3) 働く場を創る/改善する ............................................ 96

(4) 有能な人材を育成/獲得する ........................................ 99

(5) 重点推進プロジェクト ............................................. 104

4.施策推進のために ...................................................... 110

(1) 推進体制について ................................................. 110

(2) 進捗管理について(PDCAサイクル) ............................. 111

(3) 数値目標について ................................................. 111

(参考)次期「長崎県産業振興ビジョン(仮称)」策定会議委員名簿 ............. 113

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Ⅰ.計画策定の趣旨

-1-

Ⅰ.計画策定の趣旨

1.ねらい

我が国は人口減少局面にあり、国内需要の減衰に伴う経済の縮小など、

様々な問題が顕在化してきている。国はこのような情勢を受け、「地方創生」

の旗印のもと、各種戦略を構築するなど、地方から国全体を活気づける方向

性を打ち出している。

国は「まち」「ひと」「しごと」に焦点をあてた総合戦略(計画期間:平成

27年度~31年度)を策定し、各地方に地方版の同戦略の策定を促すなど、

産業・労働部門を振興することによる地方の振興を図ろうとしている。

このような我が国全体の方向性の中にあって、全国の中でも人口減少・高

齢化が著しい我が県では、限りある資源を効率よく活用し、如何にこの厳し

い局面を克服し、または順応し、県民が豊かな生活を営むことができるか、

知恵を絞ることが求められているといえる。

県民が豊かな生活を送るためには、取りも直さず活気ある産業と、それを

支える県民一人ひとりの働きが必要不可欠である。

以上を踏まえ、本県産業を取り巻く国内、国外の情勢、本県産業の抱える

課題、ポテンシャル等の分析と、県内で事業活動を実施しておられる企業の

皆様や産業支援機関の皆様の声を聞き、本県産業の実態を踏まえた、実効性

と納得性の高い、本県産業の振興のための計画を定めようとするものである。

また策定した計画について、県と事業活動の主体である県内企業等の皆様

とが同じ方向を向き、実行し、結果を出すことができる仕組みを構築するこ

とが必要であり、課題でもある。

2.計画期間

本計画は平成 23 年度から平成 27 年度までの県の産業振興計画を定めた

現行の「長崎県産業振興ビジョン」(以下、「現行ビジョン」と略す。)の後

継計画で、平成 28 年度から平成 32 年度までの本県産業の振興計画を定め

るものである。

3.計画の位置づけ

本計画は「長崎県総合計画チャレンジ 2020」の部門別計画にあたり、産

業・労働部門に特化した計画である。対象となる産業分野は、県内産業のう

ち、製造業及びサービス産業1である。

また、『長崎県中小企業・小規模企業の振興に関する条例(平成 27 年 4

月施行)』第 16 条に定める「中小企業の振興を図るための施策を総合的に推

1 経済活動別分類(SNA 産業分類)における「サービス業」を狭義の「サービス産業」と解する場合もあるが、本県

では「サービス産業」を広義のものと捉え、「サービス産業」=「第 3 次産業」とする。なお、本県ではサービス産業

のうち、本県経済の規模拡大を図る「県外需要の取込」、県内消費の活性化を図る「新サービスの創出」、人材育成や

ICT 等の基盤整備を図る「生産性の向上」に資するという観点から、「卸売・小売業」「運輸業」「情報通信業」「サー

ビス業」を支援対象としている。

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Ⅰ.計画策定の趣旨

-2-

進する計画」にあたり、県内企業の 99.9%を占める中小企業・小規模企業の

振興計画でもある。

○「長崎県中小企業・小規模企業の振興に関する条例」抜粋

4.現行ビジョンの総括~成果と残された課題~

現行ビジョンにおける重点施策の概要を示すと、下図のとおりである。

図に示される基本方針及び基本方針のもとで推進する重点プロジェクト

に応じ、数値目標を定めている。

1.本県の強みを活かした地場企業の育成

2.本県の特性を活かした企業誘致の促進

3.時代をリードする新産業の創出・育成

4.アジアをはじめ とするグローバル

マーケットへのビジネス展開の促進

5.本県産業を支えるものづくり人材の育成

6.地域再生に向けた商工業の元気回復

1. 地域資源活用型産業振興プロジェクト① 高度加工技術を活かした製造業の振興② 豊富な農林水産資源などを活かした製造業の振興

基本方針 重点プロジェクト(具体的な振興策)

2. 企業誘致促進プロジェクト戦略的、効果的な企業誘致の促進

3. 新産業(成長分野産業)振興プロジェクト① 環境・新エネルギー分野の振興② 医療・福祉における地域課題の解決と新事業の創出

4. アジア戦略プロジェクト東アジアへのビジネス展開の促進

5. ものづくり産業人材育成プロジェクト本県産業の次代を担う人材の育成・確保

6. 地域再生に向けた商工業支援プロジェクト① 地域商業の振興② 中小企業に対する支援の推進

力強い地域経済の実現

(雇用の場の創出、所得の向上)

現行ビジョンのもとでの各種施策の推進によるこれまでの成果と、残され

た課題について、以下整理していく。

平成26年度における、現行ビジョンの実績は図表 2 のとおりである。

第 16 条 知事は、中小企業の振興を図るための施策を総 合的に推進する計画(以下「計画」という。)を策定するものとする。 2 計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。 (1) 基本方針 (2) 具体的な振興策 (3) 数値目標 (4) 前3号に掲げるもののほか、中小企業の振興に関し必要な事項 3 知事は、計画を定めようとするときは、あらかじめ、中小企業者及び中小企業関係団体の意見を聴くほか、県民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 4 知事は、計画を定めたときは、議会の議決を経て、これを公表するものとする。 5 前2項の規定は、計画の変更について準用する。

図表 1

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Ⅰ.計画策定の趣旨

-3-

基本方針 基準値 最終目標値

数値目標 (基準年) 目標値 実績値 達成率 (年度)

本県の強みを活かした地場企業の育成

①中小製造業1事業所あたりの付加価値額企業振興・技術支援課

542百万円(H20年度)

613百万円 471百万円 76.8% 650百万円650百万円

(H27年度)

②地場企業と県との立地協定締結数企業振興・技術支援課

- 20件  24件 120.0% 25件25件

(H27年度)

③中小企業支援100億円ファンド事業の活用率企業振興・技術支援課

59.0%(H21年度)

88.5%  74.1% 83.7% 100.0%100.0%

(H27年度)

④農水商工連携による事業化件数食品産業・産地振

興室- 26件  43件 165.4% 30件

30件(H27年度)

⑤第2次産業や第3次産業との連携取組数農政課、農産加工・流通室、食品産業・産地振興室

562件(H21年度)

944件 1,139件 120.7% 962件962件

(H27年度)

本県の特性を活かした企業誘致の促進

①企業誘致による立地企業数 企業立地課 - 20社  25社 125.0% 25社25社

(H27年度)

②誘致企業による雇用創出者数 企業立地課 - 1,680人  2,217人 132.0% 2,100人2,100人

(H27年度)

時代をリードする新産業の創出・育成

①環境・新エネルギー分野で取引を拡大する企業数

GND室 - 80社 87社 108.8% 100社100社

(H27年度)

②長崎環境・エネルギーネットワーク会員数 GND室126社

(H21年度)190社 219社 115.2% 200社

200社(H27年度)

③県内企業が参加した事業化プロジェクトの創出件数(長崎EV&ITSプロジェクト)

GND室 - 6件 6件 100.0% 8社8件

(H27年度)

④事業化検討会への参加企業数(長崎EV&ITSプロジェクト)

GND室20社

(H22年度)75社 76社 101.3% 80社

80社(H27年度)

⑤EV導入によるCO2削減量(長崎EV&ITSプロジェクト)

GND室 - 470トン 403トン 85.7% 576トン576トン

(H27年度)

⑥新たな「一社一技」獲得数(新たな取組により事業化したもの)

企業振興・技術支援課

- 1,058件 1018件 96.2% 1,325件1,325件

(H27年度)

⑦事業化をめざした研究開発プロジェクト創出件数(環境エネルギー分野全体)

GND室 - 12件 13件 108.3% 15件15件

(H27年度)

⑧事業化をめざした研究開発プロジェクト創出件数(農林水産分野)

GND室 - 4件 5件 125.0% 5件5件

(H27年度)

⑨研究開発の成果件数(農林水産分野の製品化件数等)

GND室、漁政課、農政課

- 10件 17件 170.0% 18件18件

(H27年度)

⑩医療・福祉分野における事業化案件創出数企業振興・技術支援課

- 16社 20社 125.0% 20社20社

(H27年度)

⑪大学等との連携により創出されたプロジェクト件数

企業振興・技術支援課

- 8件 14件 175.0% 10件10件

(H27年度)

⑫国内外の産業展示会等におけるマッチング・成約件数

GND室 - 8件 8件 100.0% 10件10件

(H27年度)

⑬県(産業振興財団)の創業支援を受けて創業した件数

企業振興・技術支援課

- 80件  92件 115.0% 100件100件

(H27年度)

①ビジネスサポートデスク等の支援による商談機会の創出件数

産業政策課 - 80件  84件 105.0% 100件100件

(H27年度)

②中国への進出等による販路拡大企業数 産業政策課 - 20件 21件 105.0% 25件25件

(H27年度)

③「長崎福建経済交流促進会議」での合意内容の達成割合

産業政策課100%

(H21年度)100% 実績なし - 100%

100%(H27年度)

④東アジアに向けたコンテナ取扱量 産業政策課6,200TEU(H21年度)

9,000TEU  9,905TEU 110.1% 10,000TEU10,000TEU(H27年度)

本県産業を支えるものづくり人材の育成

①県が実施している訓練等の受講者総数 雇用労働政策課4,990人

(H21年度)5,000人  4,967人 99.3% 5,000人

5,000人(毎年度)

②溶接の技能資格(JIS資格)取得合格率(日本一)

雇用労働政策課83%

(H21年度)88% 77.7% 88.3% 90%

90%(H27年度)

③高等技術専門校の新規高卒者等修了生の就職者数

雇用労働政策課232人

(H21年度)230人  237人 103.0% 230人

230人(H27年度)

④高等技術専門校の新規高卒者等修了生の就職率

雇用労働政策課94.5%

(H15年度)95% 97.5% 102.6% 95%

95%(H27年度)

⑤高等技術専門校の在職者訓練受講者満足度 雇用労働政策課96.%

(H21年度)96% 99.4% 103.5% 96%

96%(H27年度)

⑥高度人材育成研修の受講者数 雇用労働政策課720人

(H21年度)800人 1,607人 200.9% 800人

800人(毎年度)

⑦県内高校生の県内就職率 雇用労働政策課60.1

(H21年度)61.7% 57.7% 93.5% 62.0%

62.0%(H27年度)

地域再生に向けた商工業の元気回復

①地域で議論を通してまちなかの活性化や商店街の振興について計画やビジョンを策定した地区数

商務金融課10地区

(H21年度)27地区 22地区 81.5% 30地区

30地区(H27年度)

②市町がまちづくりに取り組むための計画を策定した地区数

商務金融課10地区

(H21年度)20地区

(H25年度)22地区

(H25年度)110.0% -

20地区(H25年度)

③市町が設定した活性化の目標を達成した商店街等団体の割合

商務金融課68%

(H21年度)70% 68.5% 97.9% 70%

70%(H27年度)

④県内企業の開業率企業振興・技術支援課

5.1%(H22年度)

5.7% 4.4% 77.2% 6.3%6.3%

(H27年度)

アジアをはじめとするグローバルマーケットへのビジネス展開の促進

長崎県産業振興ビジョンの数値目標と平成26年度の実績

所管課H26

H27目標値

図表 2

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Ⅰ.計画策定の趣旨

-4-

現行ビジョンに掲げた数値目標である 35 指標のうち、13 の指標について

は、計画満了となる平成 27 年度を前に目標を達成しており、これらを含む

24 の指標については計画達成に向け概ね順調に推移している。

一方で、表の赤実線箇所のように、平成 26 年度の目標が未達成の指標が

あり、中には現状では目標値まで隔たりが大きく、達成が困難と見られる指

標もある。

特に中小製造業1事業所あたりの付加価値額を 542 百万円(平成 20 年度)

から 650 百万円へ向上させるとした目標値や、県内高校生の県内就職率を

60.1%(平成 21 年度)から 62.0%へ向上させるとした目標など、平成 26

年度末現在において、基準年の数値を下回って(悪化して)おり、引き続き

重点的な取組が求められる指標が見られる。

また、数値目標を達成した指標においても、数値目標設定時には想定して

いなかった質的な課題や、数値目標追及の過程で、新たな取組への端緒をつ

かみ、今後の取組へ昇華していくべき課題が生じるなど、単に数値目標の達

成如何に関わらない課題の把握が可能である。

これらは以下のとおり図示できる。

図表 3

1.本県の強みを活かした地場産業の育成

2.本県の特性を活かした企業誘致の促進

3.時代をリードする新産業の創出・育成

4.アジアをはじめとする グローバルマーケットへ

のビジネス展開の促進

5.本県産業を支えるものづくり人材の育成

6.地域再生に向けた商工業の元気回復

• 地場企業との立地協定数の目標値20件を達成

• 第2次産業や第3次産業との連携取組数の目標値である944件を達成

• 食品製造業は事業所数約2割減にも関わらず、製造品出荷額が微増、付加価値額の製造業全体に占める割合が上昇(13.4%→16.3%)

• 企業誘致による雇用創出数2,100人の目標を達成

• 目標であった誘致企業数25社を達成

• 環境新エネルギー分野での取引拡大企業数80社の目標を達成

• 研究開発の成果件数(製品化)10件を達成

• 医療・福祉分野における事業化案件創出数16社を達成

• ビジネスサポートデスク等の支援による商談機会の創出支援件数80件を達成

• 中国への進出等による販路拡大企業数20件を達成

• 高等技術専門校の新規高卒者等修了生の就職率95%を達成

• 高等技術専門校の在職者訓練受講者満足度96%を達成

• 市町が設定した活性化の目標を達成した商店街の割合の目標である70%に対して、実績は68.5%と惜しくも達成できなかったが、多くの商店街において目標を達成

成果

• 中小製造業1事業所あたりの付加価値額の目標額613百万円については未達成であり、H25年度末現在で依然九州最下位の地位にあるため、付加価値向上へ向けた更なる対策が必要

• 県内企業とのサプライチェーン構築可能性や本県にない技術を有するなど、県内技術の高度化等に寄与する企業の誘致

• 再生可能エネルギー関連分野(海洋エネルギーを含む)への県内企業の参入や取引拡大へ向けた更なる取組

• 国等の動きを受け、今後成長が見込めるロボット関連産業やICT、水素エネルギー等を含む新たな産業の創出、育成へ向けた取組

• 東アジア地域だけでなく、ASEAN地域等、今後成長が見込まれ、メリットが享受できる国・地域への県内企業の展開に対する支援

• 県内高校生の県内就職率目標61.7%は未達成• 県内高校、大学卒業生の県外流出は続いている

ため、県内企業が求める人材の育成を進めることと併せて、学生が県内企業の情報に接する機会を創出することが必要

• 県内企業の処遇改善による魅力ある職場づくり

• 卸売・小売業の労働生産性は低位• 新たな需要の獲得や、商業者の生産性向上へ向

けた更なる取組

成果

成果

成果

成果

成果

課題

課題

課題

課題

課題

課題

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-5-

Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

1.本県産業の現状

ここでは、各種統計データ等から本県産業の現状を把握することとする。

(1) 県内の企業数等

① 県内の企業数、従業者数

県内企業の約 99.9%が中小

企業であり、87.5%が小規模

企業である(それぞれの定義

は図表 5 のとおり。)。

全 国 で は 、 中 小 企 業 が

99.7%、小規模企業が 86.5%

を占めており、本県の方がや

や中小企業、小規模企業の割

合ともに大きい。

また、県内の従業者のうち、

92.5%が中小企業で、うち

39.4%が小規模企業で働いて

いる。一方全国では、中小企

業で 69.7%、うち小規模企業

で 25.8%が働いており、本県

では全国と比較して中小企

業または小規模企業で働く

従業者の割合が相当に高い

といえる。

(2) 本県経済の概観

① 我が国及び本県の経済成長率

我が国の経済成長率はリーマンショックの影響を受けた平成 19~20 年の

大きな落ち込み(名目△4.6%)から徐々に回復し、平成 24 年には△0.2%

の成長となった。

本県においても同時期リーマンショックの影響を受けたものの、平成 24

年は名目で 0%の成長と、国の△0.2%を上回っている(実質では国が 0.7%、

本県が 0.2%と逆転)。

リーマンショック前の水準へは国、本県ともにまだ到達していない。

図表 4

図表 5

〔出典:2015 年版中小企業白書〕

企 業 数、従 業 者 数(民営、非一次)

構成比 構成比

3,863,530 100.0% 46,138,943 100.0%

10,596 0.3% 13,971,459 30.3%

3,852,934 99.7% 32,167,484 69.7%

うち小規模企業 3,342,814 86.5% 11,923,280 25.8%

44,730 100.0% 338,956 100.0%

43 0.1% 25,521 7.5%

44,687 99.9% 313,435 92.5%

うち小規模企業 39,157 87.5% 133,663 39.4%

中小企業

  従業者数(人)

 資料出所:2015年版中小企業白書

総数

大企業

中小企業

総数

大企業

企業数(者)

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-6-

② 県内総生産の推移

平成 24 年度の国内

総生産は名目で 472 兆

5,965 億円と、対前年度

比 0.2%減となった。同

様に県内総生産額は名

目で 4 兆 4,034 億円と

対前年 0.04%減と微減

となっている。

産業別にみると、第 1

次産業、第 2 次産業で

は対前年比減となった

が、第 3 次産業は微増

となっている。

本県の産業構成を総

生産額の構成割合で見

ると、電気・ガス・水道業~サービス業にあたる第 3 次産業の占める割合

図表 6

図表 7

図表 8

0.7

-0.5

-1.0-0.7

-2.0

1.4 1.0

-2.3

-0.6

0.8

1.0

-0.0

1.3

-0.0

0.8

-0.8

2.62.0

-0.9

-0.5

2.2 2.4

0.2

-0.7

0.8

0.2

0.50.7 0.8

-4.6

-3.2

1.3

-1.4

-0.2

1.1

2.3

1.51.9

1.81.8

-3.7

-2.0

3.4

0.3

-6

-4

-2

0

2

4

14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24年度

県:名目

  実質

国:名目

  実質 

〔出典:長崎県統計課まとめ〕

経済成長率と県内総生産(名目)の推移

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

第1次産業 121,871 115,522 118,055 113,544 108,234 112,387 116,481 113,510

第2次産業 744,365 838,091 820,452 787,835 798,298 823,943 821,164 805,901

第3次産業 3,464,830 3,430,524 3,488,549 3,422,332 3,398,283 3,396,520 3,436,549 3,448,882

全産業 4,350,513 4,409,751 4,454,700 4,351,183 4,326,679 4,361,533 4,405,186 4,403,384

1,219 1,155 1,181 1,135 1,082 1,124 1,165 1,135

7,4448,381 8,205 7,878 7,983 8,239 8,212 8,059

34,648 34,305 34,885 34,223 33,983 33,965 34,365 34,489

43,505 44,098 44,54743,512 43,267 43,615 44,052 44,034

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

産業別県内総生産額(名目)の推移(億円)

第1次産業 第2次産業 第3次産業 全産業

〔出典:県民経済計算〕

県(国)民経済計算主要指標(単位:%,億円,千円/人)

長崎県 国項    目 平成23年度 平成24年度 平成23年度 平成24年度

2011 2012 2011 2012名目 1.0 -0.0 -1.4 -0.2実質 2.4 0.2 0.3 0.7

県 ( 国 ) 内 総 生 産 名目 44,052 44,034 4,736,691 4,725,965(生産側) 実質 46,913 44,025 5,140,221 5,174,992

県(国)内総生産(支出側) 44,052 44,034 4,736,691 4,725,965県(国)民所得 33,525 33,789 3,490,563 3,511,139

一人当たり県(国)民所得 2,365 2,400 2,733 2,754

経 済 成 長 率

〔出典:長崎県統計課まとめ〕

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-7-

が、平成 24 年までの過去 8 年間、約 78%、次いで鉱業~建設業にあたる

第2次産業が約 18%、第1次産業が約 3%の構成で推移している。

平成 24 年の数値を対前年で見ると、建設業、サービス業、不動産業など

が増加したが、製造業、電気・ガス・水道業、卸売・小売業については減

少している。

図表 9

図表 10

2.6%

0.1%

12.7%

5.4%2.4%

10.8%

3.5%13.3%

5.0%2.8%

22.5%

13.7%

4.0%

1.2%

H24産業分類別構成割合

(1) 農林水産業

(2) 鉱 業

(3) 製造業

(4) 建設業

(5) 電気・ガス・水道業

(6) 卸売・小売業

(7) 金融・保険業

(8) 不動産業

(9) 運輸業

(10) 情報通信業

(11) サービス業

2.政府サービス生産者

3.対家計民間非営利サ-ビス生

産者

5.輸入品に課される税・関税

第二次産業18.3%

第三次産業78.3%

121,871 115,522 118,055 113,544 108,234 112,387 116,481 113,5106,088 6,251 5,698 4,735 4,212 4,408 4,882 4,888

506,337 569,576 598,025 562,678 554,012 599,615 597,740 562,573

231,940262,264 216,728 220,422 240,074 219,920 218,542 238,439

156,054142,592 137,228 137,833 138,401 133,795 123,579 107,535

492,810476,282 466,243 477,570 477,788 463,653 487,859 475,458

222,714 197,434 222,195166,886 163,787 160,812 154,645

153,402

504,055 510,873 519,569529,187 548,251 561,854 574,290 589,867

239,053 244,020 246,684229,747 215,818 219,546 221,723 220,151

139,295 137,139 134,654130,309 129,244 128,754 125,804 125,741

935,964 939,974 973,794966,652 962,066 966,166 975,244 993,624

641,904 636,889 640,229635,904 617,294 608,148 605,735 607,594

132,980145,320 147,953

148,244 145,635 153,793 167,671 175,50941,291

47,132 49,60451,733 40,191 43,804

51,740 52,8174,350,5134,409,751

4,454,700

4,351,183 4,326,679 4,361,533 4,405,186 4,403,385

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

3,000,000

3,500,000

4,000,000

4,500,000

5,000,000

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

産業分類別県内総生産額(名目)の推移(百万円)

5.輸入品に課される税・関税

3.対家計民間非営利サ-ビス生産者

2.政府サービス生産者

(11) サービス業

(10) 情報通信業

(9) 運輸業

(8) 不動産業

(7) 金融・保険業

(6) 卸売・小売業

(5) 電気・ガス・水道業

(4) 建設業

(3) 製造業

(2) 鉱 業

(1) 農林水産業

〔出典:県民経済計算〕

〔出典:県民経済計算〕

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-8-

③ 県内総生産額構成割合の他地域との比較

平成 24 年の総生産額構成割合を見ると、本県の第 3 次産業の構成割合は

78.3%と、九州各県(76.8%)及び全国(74.9%)と比較して大きい。

一方、製造業の構成割合は 12.8%と、九州各県(14.4%)、全国(18.2%)

と比較して低位となっている。

(3) 本県企業の動向

① 業況判断

平成 27 年(2015 年)第 3 四半期までの本県企業の業況を見ると、全産

業では、平成 26 年(2014 年)以降「良い」と回答した企業が全国値を上

回っている。

製造業においては、平成 26 年第 3 四半期以降全国との関係が逆転し、「良

い」と回答した割合が減少し、平成 27 年(2015 年)第 2 四半期には「悪

い」との回答が「良い」を上回っている。

非製造業においては、平成 26 年(2014 年)の消費増税の影響から年末

にかけて「良い」の割合が減少したが、平成 27 年(2015 年)に入り徐々

に持ち直しの動きがみられる。

図表 11

〔出典:県民経済計算〕

〔出典:県民経済計算〕

2.6% 2.1% 1.1%0.1% 0.2% 0.1%

12.8% 14.4% 18.2%

5.4% 5.6%5.2%2.4%

1.9%2.1%10.8% 12.4%

13.5%3.5%

3.5%

4.7%13.4%

12.9%

14.0%5.0%5.4%

4.8%2.9%

4.4%

5.2%22.6%

22.2%

19.6%

13.8%11.4%

8.9%

4.0% 2.8% 2.1%1.2% 1.3% 1.1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

長崎県 九州各県計 全県計

県内総生産額構成割合の他地域との比較

輸入品に課される税・

関税対家計民間非営利

サービス生産者政府サービス生産者

サービス業

情報通信業

運輸業

不動産業

金融・保険業

卸売・小売業

電気・ガス・水道業

建設業

製造業

鉱業

農林水産業

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-9-

図表 12

図表 13

図表 14

〔出典:「長崎県・企業短期経済観測調査」日本銀行長崎支店〕

〔出典:「長崎県・企業短期経済観測調査」日本銀行長崎支店〕

〔出典:「長崎県・企業短期経済観測調査」日本銀行長崎支店〕

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-10-

② 設備投資の動向

設備投資の動向をみる

と、平成 26 年度(2014

年度)は全産業で前年度

を上回る実績となったが、

平成 27 年度(2015 年度)

の計画は全産業において

前年度を下回るものとな

っており、投資を手控え

る動きが見られる。

(4) 雇用の状況

① 有効求人倍率

有効求人倍率は、平成 22 年度以降上昇し、平成 26 年度には 0.87 倍とな

っている。

全国の有効求人倍率は平成 26 年度に 1 倍を超えている。

県内の月間有効求人数は平成 22 年度以降上昇を続けている一方、有効求

職者数は減少を続けている。

② 完全失業率

平成 26 年の完全失業者数は約 25,000 人と、平成 20 年以降最少となって

いる。

完全失業率は 3.7%と、ほぼ全国と同じ水準となっており、全国同様低減

傾向となっている。

図表 15

図表 16

〔出典:厚生労働省、長崎労働局「職業紹介状況」〕

〔出典:「長崎県・企業短期経済観測調査」日本銀行長崎支店〕

前年比:%設備投資計画(短観)

全業種 製造業 非製造業11年度 (実績) 1.6 38.1 17.212年度 (実績) 8.8 3.8 13.213年度 (実績) 21.9 ▲ 7.3 44.514年度 (実績) 10.5 18.5 6.915年度 (計画) ▲ 1.5 ▲ 3.9 ▲ 0.3

   (注)・14年度以降は新ベース

371,949

424,757 424,601 405,988

391,093 368,276

330,325

196,732 172,901

206,946 243,269 254,516

275,626 286,161

0.53

0.41

0.49

0.60 0.65

0.75

0.87

0.77

0.45 0.56

0.68

0.82

0.97

1.11

0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

450,000

20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度

有効求人倍率等の推移(人、倍)

月間有効求職者数(件) 月間有効求人数(人) 有効求人倍率(県) 【参考】有効求人倍率(全国)

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-11-

③ 県内企業の雇用人員判断

企業の雇用人員判断 D.I.を見ると、全国では 2012 年第 4 四半期以降、本

県では 2013 年第 3 四半期以降「不足」と感じる企業が「過剰」と感じる企

業を上回っており、以降不足と感じる度合いが全国より高い傾向が続いて

いる。

図表 17

図表 18

〔出典:総務省「労働力調査結果」〕

28 33 35 32 30 28 25

687 672 666 663 654 651 656

3.9

4.75.0

4.6

4.44.1

3.74.0

5.1 5.14.6

4.34.0

3.6

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

0

100

200

300

400

500

600

700

800

20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年

(%)(千人)完全失業率等の推移

(県)完全失業者数 (県)就業者数 (県)完全失業率 【参考】(全国)完全失業率

〔出典:「長崎県・企業短期経済観測調査」日本銀行長崎支店〕

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-12-

④ 産業分野別就業者の推移

県内の就業者数は漸減傾

向にある。就業者数の構成

を産業分野別にみると、農

林水産業、鉱業、建設業、

卸売・小売業で減少傾向が

目立ち、不動産業、情報通

信業、サービス業では逆に

増加傾向が目立つ。以上か

ら、就業者の構成は第1次、

第2次産業から第3次産業

へとシフトしていく傾向が

見られる。

(5) 県民所得

① 本県の県民所得の推移

平成 24 年度(2012 年度)の本県の一人当たり県民所得は、4 ヵ年連続で

上昇し、過去 12 年間で最高となったが、全国、九州地域の一人当たり県民

所得の水準には

達していない。

一方、全国での

県民所得が平成

20 年度(2008 年

度)に急減してい

ることもあり、本

県との格差は相

対的に縮小して

いる。(平成 17

年度(2005 年度)

の全国比 75.7%

から、平成 24 年

度(2012 年度)

には 87.1%とな

っている。)

図表 19

図表 20

〔出典:県民経済計算〕

2,286 2,275 2,262 2,258 2,218 2,2502,322

2,246 2,282 2,341 2,365 2,400

2,883 2,855 2,883 2,897 2,928 2,957 2,978

2,7732,690

2,755 2,733 2,754

2,498 2,4742,516 2,508 2,501 2,496

2,551

2,424 2,4012,481 2,505 2,506

79.3% 79.7%

78.5%77.9%

75.7% 76.1%

78.0%

81.0%

84.8%85.0%

86.5% 87.1%

70.0%

72.0%

74.0%

76.0%

78.0%

80.0%

82.0%

84.0%

86.0%

88.0%

90.0%

1,500

1,700

1,900

2,100

2,300

2,500

2,700

2,900

3,100

H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

一人あたり県民所得(千円)

長崎県 全国 九州 対全国比

〔出典:県民経済計算〕

63,349 61,635 59,947 58,256 56,542 54,878 53,036 51,145

482 471 460 450 440 430 433 320

73,042 73,437 73,879 74,336 74,820 75,299 75,387 74,039

67,991 65,647 63,389 61,134 58,856 56,562 54,467 50,506

5,405 5,500 5,597 5,697 5,796 5,895 6,076 5,886

126,765 124,395 122,028 119,714 117,342 114,974 118,487 117,737

18,705 18,430 18,325 18,23618,080 17,928 17,584 18,229

4,0414,081

4,143 4,2114,280 4,346 4,469

4,215

30,307 30,116 29,897 29,675 29,437 29,205 29,371 29,240

10,294 10,888 11,438 11,971 12,584 13,204 13,762 11,987

205,947 207,017 207,845 208,329 208,793 209,371 211,792 217,524

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

分野別就業者の推移(人)

(1) 農林水産業 (2) 鉱業 (3) 製造業

(4) 建設業 (5) 電気・ガス・水道業 (6) 卸売・小売業

(7) 金融・保険業 (8) 不動産業 (9) 運輸業

(10) 情報通信業 (11) サ-ビス業

(1)

(2)

(3)

(4)

(5)

(6)

(7)

(8)

(9)

(10)

(11)

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-13-

〔出典:県民経済計算〕

② 九州各県の県民所得の推移

過去 3 ヵ年の県民所得の推移を九州各県と比較すると、平成 22年度(2010

年度)の本県の一

人あたり県民所

得は 2,341 千円

と九州 6 位。平成

24 年度(2012 年

度)は 2,400 千円

となり佐賀県に

次いで第 5 位の

位置づけとなっ

ており、本県の県

民所得は増加傾

向にはあるもの

の、九州各県と比

較すると依然低

位といえる。

(6) 本県産業の特徴

① 特化係数

本県の産業の付加価値構成割合を産業分類ごとに全国 2と比較すると、本

県産業の特徴を把握することができる。(係数が 1 を超える産業が本県にお

いて特化している産業である。)

2 ただし、ここでの算定では大都市部(東京都、大阪府、愛知県)を除いた値を用いている。

図表 21

図表 22

〔出典:H24 経済センサスをもとに産業労働部にて作成〕

1.12

6.52

0.661.03 0.79 0.54 0.61 0.83 0.97 1.08

0.72 0.801.14 1.21 1.10

1.58 1.77

0.93

0.00

1.00

2.00

3.00

4.00

5.00

6.00

7.00

特化係数(全国の付加価値構成割合との比較)

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

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本県は農業・林業、漁業の第一次産業、第二次産業では建設業、第三次

産業では金融業・保険業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・

娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業の付加価値構

成割合が全国(東京都、大阪府、愛知県を除く)と比較して高い。

本県は全国と比較すると、特に漁業に代表される第一次産業と第三次産

業に特化した産業構成だということができる。

逆に全国と比較して付加価値構成割合が低いのは、第三次産業では電

気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業等、第二次産業では鉱業・採石業、

砂利採取業、製造業となっている。

(参考)

〔出典:雇用保険事業年報を基に産業労働部にて算定〕

(注)

開業率:当該年度に雇用関係が新規に成立した事業所数÷前年度末の適用事業所数×100

廃業率:当該年度に雇用関係が消滅した事業所数÷前年度末の適用事業所数×100

適用事業所:雇用保険に係る労働保険の保険関係が成立している事業所(雇用保険法第 5 条)

5.1%

4.2%

4.5%

4.3% 4.4%

3.7%3.8%

3.9%3.9%

3.6%

4.5% 4.5%4.6%

4.8%4.9%

4.1%

3.9%

3.8%

4.0%

3.7%

3.0%

3.5%

4.0%

4.5%

5.0%

5.5%

H22 H23 H24 H25 H26

県内及び全国の有雇用事業所による開廃業率の推移

(県内)開業率 (県内)廃業率

(全国)開業率 (全国)廃業率

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-15-

2.県内企業の声

ここでは、県内企業の生の声として、県内の約 2 千事業所を対象に実施し

たアンケート(以下、県内企業アンケートと略)の結果の概要をまとめるこ

ととする。

(1) アンケート調査概要

① 調査対象

県内に事業所を有する民間企業。

② 調査数、回収数

2,336 事業所に調査票を発送、703 の回答を回収した(回収率 30.1%)。

回答があった業種は以下のとおりであった。

建設業・・・・・・・・・・・・141 事業所〔構成比 20.0%〕

食料品製造業・・・・・・・・・ 55 事業所〔構成比 7.8%〕

その他(上記以外)の製造業・・143 事業所〔構成比 20.3%〕

サービス産業関連・・・・・・・359 事業所〔構成比 51.1%〕

その他・・・・・・・・・・・・・5 事業所〔構成比 0.7%〕

③ 調査実施期間

平成 27 年 7 月 23 日(木)~平成 27 年 8 月 6 日(木)

(2) 調査結果概要

① 経営上の課題(雇用面)について

雇用面で現在抱えている課題について選択式で問うたところ、募集して

も人が集まらないとの回答が際立った。次いで、従業員の高齢化、必要な

技術を持つ人材の不足と続き、県内の雇用の人材不足の状況、ミスマッチ

の状況を表す結果となった。

また、求める人材としては、高卒程度の人材、次いで実務経験者という

結果となっている。

図表 23

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

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② 経営上の課題(資金面)について

資金面についての課題を選択式で問うたところ、設備更新資金に苦慮し

ているとの回答が最も多数を占めた。次いで自己資本力が弱い、借入金の

負担が重い、の順であった。ただし、この問いについては、業種により回

答に差異があった。特に食料品製造業においては店舗拡張等の資金に苦慮

しているとの回答が多く、その他の製造業では設備更新資金に苦慮してい

るとの回答が目立った。

③ 設備投資計画等について

今後の設備投資計画について問うたところ、回答があったものの中で特

に食料品製造業において増加予定との回答が過半を占めた。その他の製造

業・サービス業においても 3 割が増加予定との回答であった。

また、設備投資の目的についての問いに対しては、全体では品質向上の

ためとの回答が最も多かった。食料品製造業については、次いで衛生管理

が他の業種と比較して突出して高かった。その他の製造業においては、増

産、出店、増床が 2 番目に多かった。サービス業についてはICT・情報

化が最も多くの回答を占めた。

図表 24

図表 25

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④ 市場の展開状況について

市場の展開先等について選択式で問うたところ、食料品製造業において

は県外からの売上が県内からの売上を上回るとの回答であった。また、そ

の他の製造業においては、海外での売り上げが 5%程度と、他の業種と比較

すると海外展開が進んでいる。

また、海外も含めた県外への展開先については、国内においては、九州・

沖縄地域が最も多く、次いで首都圏、関西圏の順となった。

海外展開先については、全体では上海以外の中国、次いで台湾、韓国の

順に多かった。業種別にみると、食料品製造業については台湾、次いで香

港、タイの順、その他の製造業については韓国、上海以外の中国、台湾の

順、サービス業については上海以外の中国、次いで台湾、韓国同数となっ

た。(建設業についてはほとんど事例がなく、ここでは除外している。)

図表 26

図表 27

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⑤ 今後の市場展開計画について

今後の展開計画については、九州・沖縄地域への展開が最も多く、次い

で首都圏、関西圏の順であった。ただし、その他の製造業については首都

圏より関西圏の方が上位となっている。

図表 28

図表 29

図表 30

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

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今後の海外展開計画については、全体では上海以外の中国、台湾、韓国

の順、食料品製造業については香港、台湾、タイの順、その他の製造業に

ついては韓国、上海以外の中国、米国の順、サービス業については、上海

以外の中国、上海、韓国の順であった。

⑥ 雇用状況

雇用の過不足感について問うたところ、全ての業種において、不足との

回答が約 40%と高い割合を示した。

⑦ 支援機関による支援

支援機関による支援のうち望ましいものを問うたところ、資金面での支

援が最も多く、次いで従業員確保対策、高度人材育成の順となった。県内

企業にとって、人材の確保及び育成が非常に大きなリスク要因となってい

るといえる。ただし、食料品製造業では試作等のチャレンジ支援が第 3 位、

その他の製造業では他社事業とのマッチングが第 3 位であった。

図表 31

図表 32

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⑧ 今後有望と思われる産業分野

今後有望と思われる産業分野について問うたところ、再生可能エネルギ

ー関連が最も有望と捉えられていた。次いで介護・福祉関連、観光・レジ

ャーの順となった。ただし、食料品製造業においては、観光・レジャーが 1

位となった。

図表 33

図表 34

0.94

0.39

0.12

0.41 0.48

0.74

0.33 0.28

0.11 0.12

0.36

0.62

0.07 0.15

0.09 0.04

0.19

0.02

0.00

0.25

0.50

0.75

1.00

1.25

1.50

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

全体(n=703)

1位 2位 3位 指数

0.86

0.26

0.05 0.17 0.20

0.39

0.20 0.28

0.45 0.29

0.77

0.40

0.06 0.14

0.02 0.02

0.29

0.06

0.00

0.40

0.80

1.20

1.60

2.00

0%

10%

20%

30%

40%

50%

全体(n=703)

1位 2位 3位 指数

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

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⑨ 本県での事業活動に対する障害要因

本県で事業活動を行う上で障害となっていることについて問うたところ、

全体では従業員を確保しにくい点が最も障害となっているとの回答であっ

た。次いで大都市部とのアクセスの悪さ、人口減少の順であった。

ただし、食料品製造業については、輸送コストがかさむ(国内)を最大

の障害とする回答が突出して高く、1 位となった。

0.69

0.47

0.04 0.11

0.89

0.57

0.06 0.13

0.52

0.00

0.29 0.15

0.69

0.19 0.20 0.06

0.00

0.25

0.50

0.75

1.00

1.25

1.50

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

全体(n=703)

1位 2位 3位 指数

図表 35

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

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3.国の施策

ここでは現在の国の施策の方向性についてまとめることとしたい。

(1) 成長戦略

① 日本再興戦略

2015 年 6 月に閣議決定された、現下の我が国の成長戦略「『日本再興戦

略』改定 2015」では、今後の経済成長には生産性の向上が不可欠として、

以下の基本的な考え方が打ち出されている。(内閣官房日本経済再生総合事

務局「日本再興戦略改定 2015 概要(2015 年 8 月)」から抜粋)

(ア) 未来投資による生産性革命

人員削減や単なる能力増強でない、「投資の拡大」と「イノベーションの創出」

による「付加価値の向上」

A) 「稼ぐ力」を高める企業行動(≒前向投資)を引き出す

(a) 「攻め」のコーポレートガバナンスの更なる強化

(b) イノベーション・ベンチャーの創出

(c) アジアをはじめとする成長市場への挑戦

B) 新時代への挑戦を加速する(「第 4 次産業革命」)

(a) IоT、ビッグデータ、人工知能による産業構造、就業構造変革の検討

(b) セキュリティを確保したうえでのIT利活用の徹底

C) 個人の潜在力の徹底的な磨上げ

(a) 長時間労働是正による労働の質の向上、女性・高齢者等の活躍促進

(b) 変革の時代に備えた人材力強化(雇用と教育の一体的改革)

(イ) ローカルアベノミクスの推進

A) 中堅・中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」の徹底強化

(a) 事業者にとっての成長戦略の「見える化」、「よろず支援拠点の強化」

B) サービス産業の活性化、生産性の向上

(a) 地域金融機関等による経営支援、官民協同生産性向上運動(5 分野)、IT活

用、経営支援の参考となる指標(ローカルベンチマーク)の策定

C) 農林水産業、医療・介護(ICT含む)、観光産業の基幹産業化

② 日本再興戦略における主要施策

上記ローカルアベノミクスの考え方は、「地方創生」と「成長戦略」を車

の両輪と捉えるものであり、主要な施策として以下の例を示している。

これらの施策の方向性の中には、本県においても課題を共有するものが

あり、本県の産業施策もこれらを踏まえながら推進していく必要がある。

本県の産業振興施策として踏まえるべき視点としては、「中堅・中小企業

の「稼ぐ力」の強化」、「サービス産業活性化・生産性の向上」、「経営支援

の強化」、「ヘルスケア産業創出支援」、「「攻め」の受け入れ環境整備」など

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-23-

があげられる。

(2) 地方創生

① まち・ひと・しごと創生総合戦略

国は地方創生へ向けた取組として「まち・ひと・しごと創生総合戦略

(2015改訂版)」をまとめた。

戦略においては、以下の現状認識に基づいて施策の方向性を定めている。

(「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015 改訂版 (H27.12.24))」より

抜粋)

(ア) 人口減少の現状

(人口の減少幅は年々拡大。平成 26 年の合計特殊出生率 1.42 となり、9 年ぶり

低下。年間出生数も過去最低の 100 万 3,539 人。)

(イ) 東京一極集中の傾向

(東京圏へ約 11 万人の転入増加(前年比約 1 万 3 千人増)、東京一極集中傾向が加

速化。)

(ウ) 地域経済の現状

(有効求人倍率や賃金、就業者数など雇用面で改善も、消費の回復が大都市圏で先

行するなど地域間でばらつき。地方を中心に人手不足も顕在化。)

これらの現状認識に基づき、今後の政策の方向として、4 つの基本目標及

び地方創生の深化を目指す「ローカルアベノミクスの実現」として 3 つの

項目を掲げ、あわせて新たな「枠組み」、「担い手」、「圏域」づくり、地方

創生版・三本の矢として「情報支援」、「人的支援」、「財政支援」が示され

ている。

図表 36

〔出典:日本再興戦略改定 2015 概要(2015 年 8 月)〕

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

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(ア) 4 つの「基本目標」

A) 基本目標 1:地方における安定した雇用を創出する

B) 基本目標 2:地方への新しいひとの流れをつくる

C) 基本目標 3:若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

D) 基本目標 4:時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、

地域と地域を連携する

(イ) ローカルアベノミクスの実現

A) 「稼ぐ力」を引き出す(生産性の高い、活力に溢れた地域経済の構築)

B) 「地域の総合力」を引き出す(頑張る地域へのインセンティブ改革)

C) 「民の知見」を引き出す(民間の創意工夫・国家戦略特区の最大活用)

以上の現状認識、施策の方向性に基づき、具体的な施策として、4 つの基

本目標ごとの施策を構築している。

(ア) 地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする

A) 生産性の高い、活力に溢れた地域経済実現に向けた総合的取組

(a) 地域の技の国際化(ローカルイノベーション)、地域の魅力のブランド化(ロ

ーカルブランディング)、地域のしごとの高度化(ローカルサービスの生産

性向上)

(b) 地域企業の経営体制の改善・人材確保等、地域全体のマネジメント力の向上

(c) ICT等の利活用による地域の活性化、地域の総力を挙げた地域経済好循環

拡大に向けた取組、総合的な支援体制の改善

B) 観光業を強化する地域における連携体制の構築

C) 農林水産業の成長産業化

D) 地方への人材還流、地方での人材育成、地方の雇用対策

(イ) 地方への新しいひとの流れをつくる

A) 政府関係機関の地方移転

B) 企業の地方拠点強化、企業等における地方採用・就労の拡大

C) 地方移住の推進

D) 地方大学等の活性化

(ウ) 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

A) 少子化対策における「地域アプローチ」の推進

B) 若い世代の経済的安定

C) 出産・子育て支援

D) 地域の実情に即した「働き方改革」の推進(仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・

バランス)の実現等)

(エ) 時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携

する

A) まちづくり・地域連携

(a) まちづくりにおける地域連携の推進

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

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(b) 都市のコンパクト化と周辺等の交通ネットワーク形成に当たっての政策間

連携の推進

(c) ひとの流れと活気を生み出す地域空間の形成

(d) まちづくりにおける官民連携の推進

(e) 人口減少を踏まえた既存ストックのマネジメント強化

B) 「小さな拠点」の形成(集落生活圏の維持)

C) 東京圏をはじめとした大都市圏の医療・介護問題・少子化問題への対応

D) 住民が地域防災の担い手となる環境の確保

E) ふるさとづくりの推進

これらのうち、産業振興施策として踏まえるべき視点としては、「生産性

の高い地域経済実現」、「企業の地方拠点強化、企業等における地方採用・

就労の拡大」、「働き方改革」、「「小さな拠点」の形成」など、本県において

も取組を検討すべき課題であるといえる。

〔出典:「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015 改定版)」全体像〕

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4.海外市場の状況

本土地域にあってアジア地域に最も近接している本県にとって、また現下

の人口減少および需要の減衰が見込まれる国内・県内経済の情勢にあって、

海外、特にアジア地域の市場を無視することはできない。

ここでは現在の海外市場への国内・県内企業の展開状況、国の関連施策の

方向性についてまとめることとする。

(1) 海外市場への国内企業の展開状況

① 展開先の国、企業数について

我が国の企業の海外展開状況を進出先国別に見ると、進出数では多い順

に中国、米国、インドの順となる。中国への進出が圧倒的に多いが、イン

ドへの進出数は平成 23 年から平成 26 年にかけて倍以上となる急激な伸び

を示している。

ASEAN 地域では、進出数ではインドネシア、進出の伸び率ではフィリピ

ン、ベトナムが安定して上昇している。

図表 37

〔出典:外務省「海外在留邦人数調査統計」を産業労働部にて再編・加工〕

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

中国 14,63 10,75 25,76 29,19 29,87 29,95 33,42 31,06 31,66 32,66

米国 5,427 5,304 5,460 5,639 6,139 6,207 6,792 6,899 7,193 7,816

インド 340 462 581 810 1,049 1,228 1,428 1,713 2,510 3,880

32,667

7,816

3,880

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

海外進出日系企業数の推移(1)

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

インドネシア 1,347 1,376 1,265 1,296 1,287 1,278 1,308 1,397 1,438 1,766

ドイツ 1,259 1,227 1,292 1,344 1,444 1,437 1,446 1,527 1,571 1,684

タイ 1,257 1,262 1,344 1,356 1,366 1,370 1,363 1,469 1,580 1,641

フィリピン 635 650 618 823 954 1,075 1,171 1,214 1,260 1,521

ベトナム 616 730 820 950 948 981 1,081 1,211 1,309 1,452

マレーシア 1,210 1,199 1,233 1,183 1,121 1,184 1,172 1,056 1,390 1,347

台湾 297 309 436 752 854 996 1,100 1,141 1,119 1,112

英国 921 1,004 1,179 1,185 1,272 1,169 1,105 1,083 1,064 1,084

1,766

1,684

1,641

1,521

1,452

1,347

1,112

1,084

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

海外進出日系企業数の推移(2)

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② ③(②/①) 全国順位

福 岡 県 154,223 530 0.34% 12 10

長 崎 県 47,991 119 0.25% 23 24

熊 本 県 58,158 116 0.20% 29 26

鹿児 島県 57,860 100 0.17% 33 27

大 分 県 40,870 64 0.16% 37 34

佐 賀 県 28,423 40 0.14% 38 44

沖 縄 県 51,812 64 0.12% 41 34

宮 崎 県 40,524 45 0.11% 43 40

企業等数①

海外支所数全国順位

海外支所数

構成割合

〔出典:H26 経済センサス基礎調査〕

② 県内企業の海外展開状況

県内企業の海外展開状況を見

ると、海外支所の設置企業数は

119 社と、九州内で 2 位、全国で

は 24 位となっている。

また、企業等数(全事業所数 )

に占める海外支所の構成割合は

0.25%であり、全国 23 位の水準

である。

進出対象国については、不明で

あるが、支所数からは、本県では

海外展開が一定進んでいると推

測できる。

(2) 国の海外展開関係施策

平成 27 年版通商白書において、国は今後の経済戦略について、「内外一

体の経済政策」として、以下の戦略を示している。

「日本の成長を支える 3 つの力」として示される中には、「輸出」や「外

で稼ぐ」といったいわゆる海外進出に加え、海外からの投資を呼び込む視

点についても示されている。

また、競争力の強化のための環境整備策として、プラットフォームの形

成が有効とされている。

また、国は今後の海外戦略のうち、新興国戦略として、国・地域ごとに

以下のような戦略を描いている。

図表 38

図表 39

〔出典:通商白書 (2015 年 7 月 )〕

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-28-

このうち、県内企業の多くにとっては、地理的近接性が有利に働く分野

において、「1)中国・ASEAN」地域への進出・展開が最も視野に入り易

いものと思われる。

この他、国は対日直接投資残高を 2020 年までに 35 兆円(2013 年比で倍

増)まで拡大させることを目標として、以下を推進することとしている。

A) 関係省庁と連携したJETRO 3のワンストップ支援機能の強化や、我が国中

堅・中小企業と外国企業との投資提携機会の創出等に取り組む。

B) 百貨店・スーパーマーケット・コンビニエンスストア等の小売業の多言語化 等

C) 無料公衆無線LANの普及 等

D) 外国人留学生の日本国内企業への就職支援

の強化 等

E) 地方拠点強化税制(平成 27 年度新設)

F) 自治体の希望に応じたJETROによるメ

ニュー別支援(平成 27 年度新設)

G) JETROによる誘致活動(産業スペシャリ

スト事業)

域内への投資誘致は本県経済の活性化に資するものと考えられるため、

検討の必要があるといえる。

(3) 海外市場の現状

① ジェトロによる調査結果

3 「独立行政法人日本貿易振興機構」の略称。以後本文では「ジェトロ」と記載する。

図表 40

〔出典:通商白書 (2015 年 7 月 )〕

〔出典:通商白書 (2015 年 7 月 )〕

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-29-

海外市場の情勢について、ジェトロが実施したアンケート(ジェトロの

会員制度への加入企業約 9,800 社に対するアンケート4)によると、輸出先、

拠点設置先ともに中国、台湾、タイ、米国、香港が上位にあがった。次い

で西欧、韓国、タイ以外のASEAN諸国、インドのグループが次の2位

グループというイメージである。

ASEAN諸国の中では、タイが突出し、次いでシンガポール、マレー

シア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、更に下位にミャンマー、カ

ンボジアが位置するという状況である。

海外拠点の機能としては、販売拠点としての活用が最も多く、次いで生

産拠点、地域統括拠点という順位となっている。

国別に海外拠点の機能を見ると、中国、タイ、インドネシアは販売拠点、

生産拠点ともに多く、シンガポールは地域統括拠点が多く、ベトナムは唯

一生産拠点が販売拠点を上回っている。

4 ジェトロが実施したアンケートでは 2014 年度のものが最新である(2015 年 3 月公表)が、質問項目の違いから、

ここでは 2013 年度版を用いた。

図表 41

図表 42

〔出典:(独)日本貿易振興機構「2013 年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」〕

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-30-

② 新興国のリスク等

新興国の魅力・長所としては、市場規模・成長性、インフラの充実、関

連産業の集積等、多くの点でタイの評価が高い。また、市場の成長性、人

件費の安さの面では、インドネシア、インド、ベトナム、ミャンマーの評

価が高い。

一方ビジネスリスクの面では、最も多くの日系企業が進出している中国

であるが、知的財産権の保護、人件費の高さ、代金回収上のリスク、不買

運動のリスク等において突出してリスクの高さが示された。

このほか、インフラの未整備として、ミャンマー、インド、ベトナムの

リスクが高いとされた。

ASEAN 地域では特段のリスクを感じないとのマレーシアの評価が突出

して高い。

以上から、県内企業の海外展開においては、リスクとメリットを適切に

評価したうえで取り組むことが必要である。例えば市場の魅力やインフラ

図表 43

図表 44

〔出典:(独)日本貿易振興機構「2013 年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」〕

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-31-

の充実度、またこれまでの国内企業の進出実績を見れば中国は変わらず魅

力的な展開先であるが、人件費の安さというメリットが減じ、法制度や知

的財産、政情の不安定さはリスクとして認識されていることがわかる。

県内企業アンケート(図表 29、31)の結果からは、県内企業の現在の海

外展開先、将来の展開先ともに中国、韓国、台湾が多くを占めているもの

の、今後の展開にあたっては、県内企業のビジネスモデルや将来ビジョン

を十分見据え、適切な展開先・手法を選択することが重要である。そのた

めにも法制度や現地の今の情報をいかに獲得し、県内企業において共有す

るかが重要といえる。

〔出典:(独)日本貿易振興機構「2013 年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」〕

図表 45

図表 46

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Ⅱ.本県産業を取り巻く環境

-32-

(4) TPPについて

平成 27 年 10 月 5 日に大筋合意に至ったTPP協定(環太平洋パートナ

ーシップ協定)について、概況と本県の基本的な考え方について触れてお

く。

① 概況

TPP協定は、日本、米国、カナダなど太平洋を取り巻く 12 ヵ国で取組

を進めている、経済連携協定である。TPP協定が発効すると、日本国内

では、国内製品とTPP参加国からの輸入品が競合する分野が出る一方で、

世界のGDPの約 4 割、人口約 8 億人という巨大な自由貿易圏が創出され

ることとなる。

今回の大筋合意では日本からTPP参加 11 カ国への輸出について、

99.9%の関税が撤廃されることとなり、輸出や国内投資の拡大に大きく貢献

することが期待されている。

また、関税分野以外でも、投資、サービス、知的財産、政府調達などの

分野で企業の海外での事業活動を推進するものと考えられている。

② 本県の基本的な考え方

今後、TPP協定が発効した際に、県内企業が本協定を最大限に活用し、

大きなビジネスチャンスを掴めるよう、国、ジェトロなど関係機関と連携

をとり、国の施策も取込みながら、県内企業のTPP参加国への事業展開

を積極的に支援していく。

〔出典:内閣府ホームページ〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-33-

Ⅲ.本県産業の課題

1.本県産業の現状分析

ここでは本県の産業について、各種統計データ等をもとに現状の分析及び

課題の抽出を行う。

(1) 域外との経済活動の状況

① 産業連関表5に見る輸移入の状況

産業連関表から輸移出額と輸移入額の関係を産業別に見ると、とりわけ

「船舶・同修理」、「電力・ガス・熱供給」分野において輸移出額が大きい。

すなわち域外へ製品等を販売(域外からのお金の獲得)している金額が多

く、次いで「電子部品」、「対個人サービス」、「水産業」の順となる。

一方輸移入額が大きい、すなわち域外からの製品等の購入(域外へのお

金の流出)が多いのは「石油・石炭製品」、「その他の機械」、「化学製品」、

「鉄鋼」、「対事業所サービス」の順となる。

輸移出額から輸移入額を差し引いた総額、すなわち本県から域外へ流出

している金額は総額で約 5,500 億円にのぼる。

5 ここで利用している産業連関表は、利用できるもので直近のものであるが、平成 17 年のデータであるため、現状と

は乖離が生じている可能性が大きい点に留意が必要である。

図表 47

〔出典:県統計課作成の産業連関表をもとに産業労働部にて作成〕

8,079

69,818

-87,620

-55,132

-18,634

-65,315

-148,577

-159,820

3,124

-20,936

-123,202

-32,505

-61,606

53,326

-21,137

-72,538

81,818

247,682

-151,055

-78,593

0

218,716

397

-7,588-6,862

-10,705

48,178

-102,821

0

-9,542

61,053

-110,323

74,476

0

-16,475

-200,000

-150,000

-100,000

-50,000

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

農林業

水産業

鉱業

飲食料品

繊維製品

パルプ・紙・木製品

化学製品

石油・石炭製品

陶磁器

窯業・土石製品

鉄鋼

非鉄金属

金属製品

一般機械

電気機械

情報・通信機器

電子部品

船舶・同修理

その他の機械

その他の製造工業製品

建設

電力・ガス・熱供給

水道・廃棄物処理

商業

金融・保険

不動産

運輸

情報通信

公務

教育・研究

医療・保健・社会保障・介護

その他の公共サービス

対事業所サービス

対個人サービス

事務用品

分類不明

平成17年長崎県産業連関表 輸移出額〔正の数値が県外から獲得した額〕(百万円)

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Ⅲ.本県産業の課題

-34-

② 各産業分野の分類

域外との経済活動の在り方により、各産業分野を次のとおり分類するこ

とができる。

域外から外貨を稼いでいる「輸移出型産業」として、水産業、電子部品、

電力・ガス・熱供給、農林業。

輸移出率・輸移入率共に大きく、域外との流通が活発な「県際流通型産

業」として、船舶・

同修理、陶磁器、電

気機械、一般機械、

情報通信機器等。

また、輸移入率も

輸移出率も低位な

「県内自給型産業」

として、対個人サー

ビス、対事業所サー

ビス、金融・保険、

医療・保険・社会保

障・介護等。

輸移入率が大き

く、県外からの部材

等の仕入れが大き

い「輸移入依存型産

業」として、窯業・

土石製品、金属製品、

鉱業、鉄鋼、パル

プ・紙・木製品等が

あげられる。

図表 48

〔出典:長崎県統計課まとめ〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-35-

(2) 付加価値額の水準

① 本県の産業別付加価値額の

全国順位等

本県の事業所あたり、従

業者あたり付加価値額、す

なわち労働生産性 6はとも

に全国で 39 位の水準であ

り、九州内では 5 位となっ

ている。

また本県の事業所あたり、

従業者あたり付加価値額を

産業分類別に全国と比較す

ると、下位の産業が多く見られる。

6 算出式:「付加価値額」÷「従業者数」または「事業所数」

なお、ここでは採用しないが、「付加価値額」÷「従業者数×労働時間(マンアワー)」により算出する場合もある。

図表 49

図表 50

〔出典:H24 経済センサス〕

(人、百万円)

全国順位 全国順位

福 岡 県 176,462 1,909,661 8,486,892 48.1 11 4.4 16

佐 賀 県 33,544 317,608 1,193,172 35.6 34 3.8 38

長 崎 県 54,868 490,337 1,822,151 33.2 39 3.7 39

熊 本 県 66,993 630,721 2,449,826 36.6 30 3.9 34

大 分 県 47,575 437,719 1,668,294 35.1 35 3.8 37

宮 崎 県 46,865 407,716 1,402,852 29.9 44 3.4 47

鹿 児 島 県 67,819 611,084 2,175,119 32.1 42 3.6 44

沖 縄 県 51,186 435,087 1,497,846 29.3 47 3.4 46

従事者あたり

付加価値(③/②)

事業所あたり

付加価値(③/①)

事業所数①

事業従事者数

付加価値額

〔出典:H24 経済センサス〕

(人、百万円)

事業所数事業

従事者数付加価値額

① ② ③ (③/①) 順位 (③/②) 順位

 A 農業,林業 274 3,766 8,960 0.49% 32.7 16 2.4 25

 B 漁業 185 2,854 11,923 0.65% 64.4 ※ 4.2 ※

 C 鉱業,採石業,砂利採取業 29 344 1,491 0.08% 51.4 16 4.3 28

 D 建設業        5,254 39,636 134,179 7.36% 25.5 35 3.4 39

 E 製造業 3,746 67,629 344,136 18.89% 91.9 32 5.1 27

 F 電気・ガス・熱供給・水道業    61 1,956 11,051 0.61% 181.2 40 5.6 34

 G 情報通信業       379 5,481 29,318 1.61% 77.4 40 5.3 45

 H 運輸業,郵便業       1,438 25,710 91,025 5.00% 63.3 44 3.5 41

 I 卸売業,小売業 16,194 102,378 350,212 19.22% 21.6 45 3.4 44

 J 金融業,保険業      937 13,963 128,936 7.08% 137.6 25 9.2 26

 K 不動産業,物品賃貸業 3,035 9,270 34,187 1.88% 11.3 38 3.7 43

 L 学術研究,専門・技術サービス業 1,716 12,142 52,327 2.87% 30.5 21 4.3 32

 M 宿泊業,飲食サービス業 6,282 42,128 74,303 4.08% 11.8 28 1.8 21

 N 生活関連サービス業,娯楽業 5,318 23,180 65,590 3.60% 12.3 28 2.8 24

 O 教育,学習支援業 1,429 16,578 47,047 2.58% 32.9 19 2.8 40

 P 医療,福祉 4,346 85,427 330,303 18.13% 76.0 22 3.9 38

 Q 複合サービス事業 683 7,562 27,317 1.50% 40.0 26 3.6 39

 R サービス業(他に分類されないもの)    3,562 30,333 79,846 4.38% 22.4 32 2.6 38

※他県の秘匿値により算定不能

事業所あたり付加価値額

従事者あたり付加価値額付加価値

構成割合産業大分類

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Ⅲ.本県産業の課題

-36-

(3) 付加価値額への影響度の検証

① 従業者あたり付加価値額にお

ける影響度

付加価値構成割合を加味し

たうえで本県の従業者あたり

付加価値額を全国の水準 7と比

較すると、本県の産業全体にと

っての当該産業分類の付加価

値額の負の影響度合が算出で

きる8。

以上により算定すると、マイ

ナスの影響が大きい産業分野

は、卸売・小売業、建設業、製

造業の順となる。

② 事業所あたり付加価値額への

影響度

同様に、事業所あたり付加価

値額について算定すると、マイ

ナスの影響が大きい産業分野

は、卸売・小売業、製造業、運

輸業・郵便業の順となる。

7 ここでは大都市圏(東京都、大阪府、愛知県)を除いて算出している。 8 算出式:「従業者/事業所あたり付加価値額の全国値との乖離」×「本県における付加価値額構成割合」

図表 51

図表 52

-4.0 -3.5 -3.0 -2.5 -2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0

A 農業,林業

B 漁業

C 鉱業,採石業,砂利採取業

D 建設業

E 製造業

F 電気・ガス・熱供給・水道業

G 情報通信業

H 運輸業,郵便業

I 卸売業,小売業

J 金融業,保険業

K 不動産業,物品賃貸業

L 学術研究,専門・技術サービス業

M 宿泊業,飲食サービス業

N 生活関連サービス業,娯楽業

O 教育,学習支援業

P 医療,福祉

Q 複合サービス事業

R サービス業(他に分類されないもの)

従業者あたり付加価値額への影響度

-7.0 -6.0 -5.0 -4.0 -3.0 -2.0 -1.0 0.0 1.0

A 農業,林業

B 漁業

C 鉱業,採石業,砂利採取業

D 建設業

E 製造業

F 電気・ガス・熱供給・水道業

G 情報通信業

H 運輸業,郵便業

I 卸売業,小売業

J 金融業,保険業

K 不動産業,物品賃貸業

L 学術研究,専門・技術サービス業

M 宿泊業,飲食サービス業

N 生活関連サービス業,娯楽業

O 教育,学習支援業

P 医療,福祉

Q 複合サービス事業

R サービス業(他に分類されないもの)

事業所あたり付加価値額への影響度

〔出典:H24 経済センサスをもとに産業労働部にて作成〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-37-

(4) 「卸売・小売業」の課題分析

① 卸売・小売業における労働生産性(その1)

本県の卸売・小

売業の労働生産

性について、地域

経済分析システ

ム 9を見ると、卸

売業、小売業とも

に、付加価値額、

従業者数が全国

並み(1 に近い)

の業種について

は、労働生産性が

目立って低い業

種はないといえ

る。

ただし、この地

域経済分析シス

テムにおいて使

用されているデータは企業単位のものであり、県内に本社を有する企業の

みの数値となっている点に注意が必要である。これは、本県には県外に本

社をもつ経営規模の大きな事業所が多数存在しているが、それらのデータ

が算入されていないことを意味する。

② 卸売・小売業における労働生産性(その2)

本県の卸売業の事業所

と販売額の推移を見ると、

平成 11 年以降一貫して

事業所は減少を続けてい

る。特に個人事業所の減

少が著しい。

事業所あたり、従業者

あたりの販売額について

は、概ね一定であるが、

法人事業所あたりの販売

額が大きく減少し、逆に

個人事業所あたり販売額

は上昇傾向にある。

9 データは H24 経済センサスが再編加工されたもの。ここでの「特化係数」とは、「域内のある産業の比率を全国の

同産業の比率と比較したもの。1.0 を超えていれば、当該産業が全国に比べて特化している産業とされる。労働生産性

の場合は、全国の当該産業の数値を 1 としたときの、ある地域の数値。労働生産性=付加価値額(企業単位)÷従業者

数(企業単位)」とされている。

図表 54

図表 53

〔出典:H24 経済センサス〕

〔出典:H24 経済センサス〕

9,646 9,591 10,339 9,932 9,945 9,432 9,519

17,13815,252 15,282 13,637 12,679

10,9818,925

141.5 152.7 147.9 139.9 148.5 148.2 150.3

393.0 395.7366.5

332.1 337.8320.6

291.2

221.2248.8 247.9 241.8

264.9 275.4

310.5

28.3 29.7 27.3 24.5 26.2 25.4 25.00.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

300.0

350.0

400.0

450.0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

H6 H9 H11 H14 H16 H19 H24

卸売業事業所数と販売額の推移(百万円)

法人事業所 個人事業所 事業所あたり販売額

法人事業所あたり販売額 個人事業所あたり販売額 従業者あたり販売額

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Ⅲ.本県産業の課題

-38-

小売業も同様に、事業

所数が大幅に減少してお

り、そのほとんどが個人

事業所の減少によるもの

である。一方販売額につ

いては、事業所あたり販

売額は平成 6 年以降概ね

上昇を続けてきたが、平

成 24 年には、減少に転じ

た。また法人事業所あた

り販売額は減少傾向だが、

個人事業所あたり販売額

は一貫して上昇している。

卸売業、小売業共に見

られるこの傾向は、全体的な消費の低迷が体力のない個人事業所を直撃し、

廃業に追い込まれる一方で、強い個人事業所が生き残っている可能性を示

すと考えられる。

③ 小売業における労働生産性の状況

本県の小売業の事業所

は九州各県と比較して規

模の小さいもの(売場面

積 100 ㎡未満)の割合が

大きく、規模の大きいも

の(売場面積 3,000 ㎡以

上)の割合が少ないとい

う特徴がある。また、販

売額においても、規模の

小さい事業所の額が大き

く、規模の大きい事業所

の販売額が少ない。

このことは、離島や半

島が多く、平地の少ない県土の特性により県内各地域において商圏が分断

または孤立し、小規模に閉ざされていることに多くを拠っている 10と考えら

れる。

10 いわゆる「ハフモデル」 の考え方によれば、本県の小売業の事業所は吸引率(店舗がお客さんを引き付ける割合)

の低い事業所が多いといえる。

※ハフモデル:米国のマーケティング学者であるD .ハフにより提唱された。店舗や商業中心地選択の確率は店舗の品

揃え量(店舗面積)に比例し、居住地から店舗までの距離に反比例するとする仮説

図表 56

〔出典:H24 経済センサス〕

0.9%0.8%

0.5%

0.7%

0.8%

0.7%

0.6%0.6%

21.1%

13.4% 12.3%

17.7% 18.1%

13.7%

17.5% 16.8%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

0.0%

0.1%

0.2%

0.3%

0.4%

0.5%

0.6%

0.7%

0.8%

0.9%

1.0%

福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県

小売業事業所のうち売場面積3,000㎡以上の事業所の割合

事業所の割合 販売額の割合

〔出典:H24 経済センサス〕

図表 55

6,467 6,608 7,036 6,990 6,902 6,736 6,556

15,85914,241 13,984

12,515 11,542

9,9708,079

64.5 70.7 70.6 76.5 79.5 83.0 81.8

222.6 223.1210.9 213.4 212.4 206.0

182.6

90.8103.5 106.1

119.2127.0

139.2148.2

15.3 16.1 15.0 15.0 15.5 15.6 14.50.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

H6 H9 H11 H14 H16 H19 H24

小売業事業所数と販売額の推移(百万円)

法人事業所数 個人事業所数 事業所あたり販売額

法人事業所あたり販売額 個人事業所あたり販売額 従業者あたり販売額

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Ⅲ.本県産業の課題

-39-

また、各事業所の規模ご

との割合と売上総額との関

係を見ると、規模の小さい

事業所が全体に占める割合

の高さと、売上総額の低さ

に一定の相関がみられる。

④ 卸売・小売業の労働生産性についての国の対応

国の分析によれば、卸売・小売業について生産性が低いのはひとり本県

のみではなく、国全体でも米国の 6 割程度であるなど、他国との比較にお

いて我が国が劣っている分野でもある。ただし、本県の卸売業・小売業は

そのような我が国の中でも労働生産性で見ると下位に位置する。

国は生産性向上へ向けた対策として、需要の掘り起しと、効率性の向上

を掲げている。

図表 57

60.2%

56.2%

64.1%

56.1%

59.2%

57.3%

59.8%

62.9%

15.7%

17.2%

18.2%

15.9%

16.9%

17.6%

16.7%

15.5%

14.0%

14.5%

15.0%

15.5%

16.0%

16.5%

17.0%

17.5%

18.0%

18.5%

52.0%

54.0%

56.0%

58.0%

60.0%

62.0%

64.0%

66.0%

小売業事業所のうち売り場面積100㎡未満の事業所の割合

事業所の割合 販売額の割合

〔出典:H24 経済センサス〕

図表 60 〔出典:H24 経済センサス〕

図表 58 図表 59

0.0%

0.2%

0.4%

0.6%

0.8%

1.0%

1.2%

1.4%

0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000

売場面積3,000㎡以上の事業所の割合と売上総額の相関関係

(東京、大阪、愛知を除く) (百万円)

55.0%

60.0%

65.0%

70.0%

75.0%

80.0%

0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000

売場面積100㎡未満の事業所の割合と売上総額の相関関係

(東京、大阪、愛知を除く) (百万円)

15.0%

17.0%

19.0%

21.0%

23.0%

25.0%

27.0%

29.0%

31.0%

33.0%

35.0%

0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000

売場面積30㎡未満の事業所の割合と売上総額の相関関係

(東京、大阪、愛知を除く) (百万円)

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Ⅲ.本県産業の課題

-40-

⑤ まとめ

本県においても域内需要の掘り起こしと域外需要の取込みに向けた取組

を進める必要がある。域内においては、県内各地の商店街など、人が集ま

る場所をより活性化していくこと等が小売業の活性化に繋がるものと考え

られる。また、域外については、インターネットを通じた販売に活路を見

出すことも一案である。

一方で、業務効率化については、店舗または事業体が小さくなればなる

ほど基幹的な業務が太宗を占め、効率化にも自ずと限界があると考えられ

る。まずは、厳しい状況の中、廃業を免れ生き残っている店舗または事業

体が、どのような対策や工夫をおこなっているのか、成功事例を学び活路

を見出していくことが有効と考えられる。

図表 63

図表 61 図表 62

〔出典:内閣府「サービス産業の生産性」H26.4.18〕

〔出典:経済産業省「小売業・卸売業の活性化・生産性向上について H27.1」〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-41-

(5) 「製造業」の課題分析

① 概況

平成 20 年を 100 とし

た場合の製造業全体の推

移を見ると、事業所数、

付加価値額が約 20%減少

しているのに対し、従業

者は 8%程度の減少に留

まっている。

製造品出荷額等は 10%

程度の減少となっている。

② 産業分野別の概況

平成 25 年時点の県内製造業において最も事業所数が多いのは、食料品製

造業、次いで窯業・土石製品製造業、金属製品製造業の順となる。

事業所数の推移 11を見

ると、減少基調にあり、

総数は平成 20 年の 2,274

事業所から平成 25 年に

は 1,849 事業所と約 81%

まで減少している。特に

食料品製造業は、平成 20

年の 891 から 698 へ大き

く減少。その他、減少幅

が大きいのは金属製品製

造業(205 から 159 事業

所へ)、窯業・土石製品製

造業(251 から 195 事業

所へ)となっている。

11 事業所数等に関する経年推移の記述のうち、産業分類ごとの内訳については、主要な製品に応じ各事業所の判断で

同じ事業所でも年に応じて属する区分が変更されることがありうるため、留意が必要。

図表 65

図表 64

【実績値】H20 H21 H22 H23 H24 H25

事業所数 2,274 2,091 2,006 2,044 1,935 1,849従業者数 61,052 58,077 58,349 60,337 58,017 56,459製造品出荷額(百万円) 1,823,417 1,675,555 1,740,081 1,653,981 1,775,007 1,627,820付加価値額(百万円) 616,988 591,243 611,848 613,211 582,864 506,323

92.0%

88.2%89.9%

85.1%

81.3%

95.1%95.6% 98.8%

95.0%92.5%

91.9%

95.4%

90.7%

97.3%

89.3%

100.0%

95.8%

99.2% 99.4%

94.5%

82.1%

80.0%

85.0%

90.0%

95.0%

100.0%

105.0%

H20 H21 H22 H23 H24 H25

平成20年を100とした場合の増減(製造業全体)

事業所 従業者 製造品出荷額 付加価値額

〔出典:H25 工業統計〕

891 826 789 764 731 698

158143 140 129 129 126

9484 85 78 76 71

251231 213 212 194 195

205187

170 171177

159

64

6161 65

6660

152

141138 179

160156

2,274

2,0912,006 2,044

1,9351,849

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

H20 H21 H22 H23 H24 H25

事業所数の推移

食料品製造業 飲料・たばこ・飼料製造業 繊維工業

木材・木製品製造業(家具を除く) 家具・装備品製造業 パルプ・紙・紙加工品製造業

印刷・同関連業 化学工業 石油製品・石炭製品製造業

プラスチック製品製造業(別掲を除く) ゴム製品製造業 なめし革・同製品・毛皮製造業

窯業・土石製品製造業 鉄鋼業 非鉄金属製造業

金属製品製造業 はん用機械器具製造業 生産用機械器具製造業

業務用機械器具製造業 電子部品・デバイス・電子回路製造業 電気機械器具製造業

情報通信機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 その他の製造業

製造業計

〔出典:H25 工業統計〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-42-

従業者数は、総数を見

ると平成 20 年の 61,052

人から平成 25 年には

56,459 人と、約 4,500 人

の減少となっている。

食料品製造業(16,725

から 15,380 人)、輸送用

機械器具製造業( 8,169

から 6,885 人)、電子部

品・デバイス・電子回路

製造業(5,490 から 3,992

人)などで各 1,000 人以

上減少している。逆に情

報通信機械器具製造業で

は、1,000 人程度増加し

ている(112 から 1,374

人)。

製造品出荷額等は、総額では平成 20 年の約 1 兆 8 千億円から、平成 25

年には約 1 兆 6 千億円と、

約 2 千億円減少している。

平成 25 年の構成は、主

要なものから、はん用機

械器具製造業(約 4,200

億円〔構成比 25.8%〕)、

輸送用機械器具製造業

(約 2,630 億円〔構成比

16.2%〕)、電子部品・デ

バイス・電子回路製造業

(約 2,440 億円〔構成比

15.0%〕)、次いで食料品

製造業(約 2,390 億円〔構

成比 14.7%〕)の順となっ

ている。

年により波はあるが、

輸送用機械器具製造業の

減少が約 2 千億円と大きい。

一方で、はん用機械器具製造業は 1 千億円程度の増加となっている。

図表 66

図表 67

〔出典:H25 工業統計〕

230,910 221,207 219,298 233,265 237,583 238,992

33,500 35,656 37,893 32,927 30,483 32,438

48,746 46,822 44,249 42,964 41,807 41,617

58,942 54,771 46,307 45,775 45,771 44,681

329,977 365,580 336,538 285,215 298,458419,467

406,680306,008

268,614245,227 261,011

243,900

34,825 213,763

31,72230,104

55,252

55,334

3,869 3,893

55,24774,975

162,346104,115

472,605

264,478 527,268482,663

461,663263,063

1,823,417

1,675,5551,740,081

1,653,981

1,775,007

1,627,820

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

1,400,000

1,600,000

1,800,000

2,000,000

H20 H21 H22 H23 H24 H25

製造品出荷額等の推移(百万円)

食料品製造業 飲料・たばこ・飼料製造業 繊維工業

木材・木製品製造業(家具を除く) 家具・装備品製造業 パルプ・紙・紙加工品製造業

印刷・同関連業 化学工業 石油製品・石炭製品製造業

プラスチック製品製造業(別掲を除く) ゴム製品製造業 なめし革・同製品・毛皮製造業

窯業・土石製品製造業 鉄鋼業 非鉄金属製造業

金属製品製造業 はん用機械器具製造業 生産用機械器具製造業

業務用機械器具製造業 電子部品・デバイス・電子回路製造業 電気機械器具製造業

情報通信機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 その他の製造業

秘匿分 製造業計

〔出典:H25 工業統計〕

16,725 15,772 15,448 15,103 15,322 15,380

5,085 4,687 4,599 4,095 4,319 4,198

1,411 1,291 1,296 1,169 1,238 1,130

3,621 3,375 3,2013,031 2,936 2,862

4,0853,835 3,648 3,734 3,618 3,462

8,0797,788 7,967 8,767 7,917 8,217

967991 958 1,459 921 1,323

5,4904,550 4,733 4,534 4,331 3,992

1,9673,357 1,971 2,005 2,662 2,561

112135

1,030 1,451 1,382 1,374

8,1696,957 8,272 9,876

8,165 6,885

61,05258,077 58,349

60,33758,017

56,459

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

H20 H21 H22 H23 H24 H25

従業者数の推移(人)

食料品製造業 飲料・たばこ・飼料製造業 繊維工業

木材・木製品製造業(家具を除く) 家具・装備品製造業 パルプ・紙・紙加工品製造業

印刷・同関連業 化学工業 石油製品・石炭製品製造業

プラスチック製品製造業(別掲を除く) ゴム製品製造業 なめし革・同製品・毛皮製造業

窯業・土石製品製造業 鉄鋼業 非鉄金属製造業

金属製品製造業 はん用機械器具製造業 生産用機械器具製造業

業務用機械器具製造業 電子部品・デバイス・電子回路製造業 電気機械器具製造業

情報通信機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 その他の製造業

製造業計

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Ⅲ.本県産業の課題

-43-

付加価値額についても減少基調にあり、平成 20 年の約 6 千億円から平成

25 年には約 5 千億円と 1 千億円の大きな減少を示している。

平成 25 年の構成は、主

なものから、はん用機械

器具製造業(約 1,340 億

円〔構成比 26.5%〕)、輸

送用機械器具製造業(約

920億円〔構成比 18.1%〕)、

食料品製造業(約 830 億

円〔構成比 16.3%〕)、次

いで電子部品・デバイ

ス・電子回路製造業(約

610億円〔構成比 12.1%〕)

となっている。

平成 20 年と比較して

減少が大きなものとして

は、輸送用機械器具製造

業が 8 百億円程度の減少

となっている。

③ 地域別の概況(その1)

本県の製造業を地域別に見る12と、地域ごとの特徴が見られる。

各地域の製造業全体の事業所数、従業者数、製造品出荷額等、付加価値

額を比較13すると、本土部と離島部において、全ての項目で大きな差がある

ことがわかる。

本土部においては、島原地域とその他の地域に大きな差が見られる。

事業所数は県北地域が最も多く、製造品出荷額等、付加価値額では長崎・

西彼地域が最も多い。島原地域は、事業所数は他の本土地域と同水準の多

さであるが、従業者数は少なく、製造品出荷額等、付加価値額においては

さらに少ない。このことは島原地域に従業者が少なく、付加価値が少ない

小規模な事業所が多く存在することを示す。

離島部では五島地域が他地域を全ての項目において上回っている。

12 ここでは、長崎県総合計画の地域区分に倣い、以下のとおりの区分をしている(下線の市町は重複して計上)。

「長崎・西彼地域」:長崎市、西海市、長与町、時津町

「県北地域」:佐世保市、平戸市、松浦市、西海市、東彼杵町、川棚町、波佐見町、小値賀町、佐々町

「県央地域」:諫早市、大村市、東彼杵町、川棚町、波佐見町、

「対馬地域」:対馬市 / 「壱岐地域」:壱岐市 / 「五島地域」:五島市、新上五島町

13 ただし、本グラフは秘匿値を除外して算出している。

図表 68

82,761 80,374 80,926 86,812 92,785 82,678

14,873 13,065 13,043 14,368 14,400 11,774

19,696 21,776 18,507 19,973 19,53419,627

28,542 27,835 23,075 24,324 22,49421,794

134,110121,914

105,735127,665

90,441 133,926

11,3987,192

5,767

8,868

17,23517,453

69,102 115,280

85,512

89,740

86,56161,229

11,515

60,073

9,645

18,549

21,334 7,256

176,67283,922

205,819153,247

153,922

91,661

616,988591,243

611,848 613,211582,864

506,323

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

H20 H21 H22 H23 H24 H25

付加価値額の推移(百万円)

食料品製造業 飲料・たばこ・飼料製造業 繊維工業

木材・木製品製造業(家具を除く) 家具・装備品製造業 パルプ・紙・紙加工品製造業

印刷・同関連業 化学工業 石油製品・石炭製品製造業

プラスチック製品製造業(別掲を除く) ゴム製品製造業 なめし革・同製品・毛皮製造業

窯業・土石製品製造業 鉄鋼業 非鉄金属製造業

金属製品製造業 はん用機械器具製造業 生産用機械器具製造業

業務用機械器具製造業 電子部品・デバイス・電子回路製造業 電気機械器具製造業

情報通信機械器具製造業 輸送用機械器具製造業 その他の製造業

秘匿分 製造業計

〔出典:H25 工業統計〕

Page 48: 平成 28 年3月 - Nagasaki Prefectural Government...Ⅰ.計画策定の趣 -1- Ⅰ.計画策定の趣旨 1.ねらい 我が国は人口減少局面にあり、国内需要の減衰に伴う経済の縮小など、

Ⅲ.本県産業の課題

-44-

④ 地域別の概況(その2)

事業所数、従業者数、製造品出荷額等、付加価値額の状況を、地域別・

産業分類別に見ると、地域ごとに強い産業の特色が推定できる。

本土部では、ほとんどの地域で食料品製造業の事業所が他の業種より多

い。特に島原地域では際立って多く、次いで県北地域、長崎・西彼地域の

順となる。窯業・土石製品製造業は、県北地域、県央地域14に多い。また輸

送用機械器具製造業が長崎地域、県北地域に多い。

従業者数では、食料品製造業において県央地域が最も多く、島原地域は

県央、県北に次ぐ順位となっている。はん用機械器具製造業では、長崎・

西彼地域が抜きん出て多い。電子部品・デバイス・電子回路製造業におい

ては県央地域が突出している。輸送用機械器具製造業では、長崎・西彼地

域、県北地域が多い。

製造品出荷額等においては、はん用機械器具製造業において、長崎・西

14 県央地域にこの業種が多いのは、東彼 3 町(東彼杵、川棚、波佐見)の 86 事業所を重複計上しているためと考え

られる。

〔出典:H25 工業統計〕

図表 72 図表 71

図表 70 図表 69

471

598

437

365

43 4578

0

100

200

300

400

500

600

700

合計

製造業 事業所数の状況(地域別)

長崎・西彼地域(西海市を含む) 県北地域

県央地域(東彼三町を含む) 島原地域

対馬地域 壱岐地域

五島地域

19,17317,651 18,147

6,202

387 630 906

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

合計

製造業 従業者数の状況(地域別)〔人〕

長崎・西彼地域(西海市を含む) 県北地域

県央地域(東彼三町を含む) 島原地域

対馬地域 壱岐地域

五島地域

6,727.2

5,019.3 5,181.8

558.932.0 56.7 72.2

0.0

1,000.0

2,000.0

3,000.0

4,000.0

5,000.0

6,000.0

7,000.0

合計

製造業 製造品出荷額の状況(地域別)〔億円〕

長崎・西彼地域(西海市を含む) 県北地域

県央地域(東彼三町を含む) 島原地域

対馬地域 壱岐地域

五島地域

2,430.7

1,587.1 1,568.9

206.216.2 35.5 41.4

0.0

500.0

1,000.0

1,500.0

2,000.0

2,500.0

合計

製造業 付加価値額の状況(地域別)〔億円〕

長崎・西彼地域(西海市を含む) 県北地域

県央地域(東彼三町を含む) 島原地域

対馬地域 壱岐地域

五島地域

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Ⅲ.本県産業の課題

-45-

彼地域が群を抜いており、輸送用機械器具製造業において、長崎・西彼地

域、県北地域が突出している。食料品製造業では県央地域が際立っている。

付加価値額では、食料品製造業において県央地域と県北地域、はん用機

械器具製造業において長崎・西彼地域、電子部品・デバイス・電子回路製

造業において県央地域、輸送用機械器具製造業において長崎・西彼地域、

県北地域が高い値を示している。

以上のことから、長崎・西彼地域では、はん用機械器具製造業において

付加価値額が高く規模の大きい事業所があること、輸送用機械器具製造業

において集積があることがわかる。県北地域では、食料品製造業において

一定の集積があること、窯業・土石製品製造業において小規模な事業所が

多く存在すること、輸送用機械器具製造業において集積があることがわか

る。県央地域においては食料品製造業において付加価値額の高い規模の大

きな事業所が存在すること、電子部品・デバイス・電子回路製造業におい

てごく少数ながら付加価値額が高い事業所が存在することがわかる。また、

島原地域においては、食料品製造業において小規模かつ付加価値額の低い

事業所が多く存在することがわかる。

図表 73

図表 74

〔出典:H25 工業統計〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-46-

離島部では、3 地域全てにおいて、事業所数、従業者数ともに食料品製造

業が多い。対馬地域、五島地域では窯業・土石製品製造業が多く、壱岐地

域では飲料・たばこ・飼料製造業において事業所が複数存在する。また輸

送用機械器具製造業も 3 地域において複数存在する。

一方で製造品出荷額等、付加価値額については、五島地域において食料

品製造業、窯業・土石製品製造業の数値が高く、壱岐地域では飲料・たば

こ・飼料製造業が高い付加価値額を示している。対馬地域では輸送用機械

器具製造業が比較的高い数値を示した。

以上から、五島地域においては、食料品製造業、窯業・土石製品製造業

が、壱岐地域では飲料・たばこ・飼料製造業が一定の強みを持っており、

対馬地域においては輸送用機械器具製造業が比較的強みを持っているとい

える。

図表 75

図表 76

〔出典:H25 工業統計〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-47-

図表 77

図表 79

図表 78

〔出典:H25 工業統計〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-48-

⑤ 製造業における労働生産性について(その1)

地域経済分析システムにより、付加価値額、労働生産性、従業者数を、

全国を 1 として比較してみると、本県の製造業において労働生産性が低い

分野として、食料品製造業、繊維工業、窯業・土石製品製造業などをあげ

ることができる。

逆に労働生産

性が高い分野と

して、電子部品・

デバイス・電子回

路製造業、輸送用

機械器具製造業

などをあげるこ

とができる(付加

価値額、従業者数

が低い分野を除

く)。ただし、先

に触れたように

本データは県内

に本社を持つ企

業のみのもので

ある。

図表 81

〔出典:H24 経済センサス〕

〔出典:H25 工業統計〕

図表 80

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Ⅲ.本県産業の課題

-49-

⑥ 製造業における労働生産性について(その2)

本県の製造業を事業所規模別に見ると、従業者 4~9 人の小規模な事業所

が 874 事業所と最も

多い。

事業所数で全体の

1%程度の従業者 300

人以上の事業所にお

いて、全体の原材料

使用額、製造品出荷

額、付加価値額の過

半を占めている。ま

た、従業者あたり付

加価値も他と比較し

て大きい。

従業者規模別の事

業所あたり付加価値

額について、九州各

県と比較すると、全

体では九州で 6 位の

位置にあるが、従業

者 300 人以上の事業

所あたり付加価値額

は九州で大分県に次

いで 2 位である。

一方で 4 人以上 299 人以下の事業所あたり付加価値額は九州で最下位で

図表 82

〔出典:H24 経済センサス〕

図表 84

図表 83

〔出典:H25 工業統計〕

9,310.9 7,289.114,022.7

7,174.6

16,198.6

6,807.4 8,943.2

2,221.0

391.1 400.2

273.8

370.8

567.9

328.8255.1

124.0

0.0

200.0

400.0

600.0

0.0

5,000.0

10,000.0

15,000.0

20,000.0

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

平成25年 九州各県 従業者規模別 事業所あたり付加価値額(百万円)

従業者300人以上 全区分合計

874

5,207 9,901 21,534 43,782 21,120 4.1

462

6,28416,352

36,584 74,26535,671

5.7

196

4,680

12,815

49,698 80,42929,296

6.3

232

12,160

37,912

128,894 212,47971,455

5.9

65

10,172

32,732

106,215 188,360

68,326

6.7

20

17,956

99,667

667,459 1,028,505280,454

15.6

1,849 56,459 209,380 1,010,384 1,627,820 506,323

0%

50%

100%

製造業 県内事業所規模別構成割合比較(人、百万円)

従業者

4人~9人

従業者

10人~19人

従業者

20人~29人

従業者

30人~99人

従業者

100人

~299人

従業者300人以上

〔出典:H25 工業統計〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-50-

ある。

また、従業者あたり

付加価値額(=労働

生産性)について見

ると、全体では九州

で 5 位の位置にある

が、300 人以上の従業

者あたり付加価値額

は 2 位、4 人以上 299

人以下の従業者あた

り付加価値額は九州

で最下位である。

なお、全国での順位

においても、従業者 4

人以上 299 人以下の

事業所の労働生産性

は最下位。300 人以上

の事業所では 25 位で

ある。

以上のことから、本

県の製造業全体のう

ち事業所数で約 99%、

従業者数で約 68%を

占める従業者 299 人

以下の事業所の生産

性が全国最下位であ

る一方、従業者 300

人以上の事業所の生

産性については、九

州地域でも上位に位

置するいびつな格差

構造にあるといえる。

こうした傾向は現

金給与額にも反映されている。事業所

規模別に従業者一人あたり現金給与額

を算出すると、4 人以上 19 人以下の事

業所における現金給与額は九州で最下

位となっている。また、従業者 300 人

以上の事業所における給与額(5,551 千

円(九州 2 位))と、4~9 人の事業所

における給与額(1,901 千円(九州で最

下位))の格差が 3,650 千円と九州で最

大である。

図表 85

図表 87

図表 86

図表 88

〔出典:H25 工業統計〕

〔出典:H25 工業統計〕

〔出典:H25 工業統計〕

13.7 13.4 15.610.0

21.9

13.910.0

4.1

10.79.8

9.0 8.7

13.8

9.28.2

6.2

0.0

5.0

10.0

15.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

平成25年 九州各県 従業者規模別 従業者あたり付加価値額(百万円)

従業者300人以上 全区分合計

5.8 5.2 4.1 5.8 5.9 7.5 5.5 3.9

7.3 6.25.7

6.3 6.45.8

6.26.2

8.38.7

6.37.3 8.1 5.9

12.3

6.1

8.88.7

5.9

6.79.0

8.5

8.0

7.7

12.49.6

6.7

10.7

11.98.7

6.8

6.8

42.6

38.5

28.6

36.8

41.3

36.438.8

30.7

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

平成25年 九州各県 従業者規模別 従業者あたり付加価値額(百万円)

従業者

4人~9人

従業者

10人~19人

従業者

20人~29人

従業者

30人~99人

従業者

100人…

合計

35.6 32.0 24.2 36.3 37.5 46.1 33.0 24.4100.9 84.7 77.2 87.1 87.0 80.4 83.6 84.4

203.6 216.0 149.5 178.2 196.8 141.7298.1

148.4

479.0 501.3

308.0375.2

491.9446.5

420.1

370.2

2,034.9

1,499.4

1,051.2

1,766.1

1,890.6

1,510.51,102.0

996.8

2,854.0

2,333.4

1,610.0

2,442.9

2,703.8

2,225.2

1,936.8

1,624.2

0.0

500.0

1,000.0

1,500.0

2,000.0

2,500.0

3,000.0

0.0

500.0

1,000.0

1,500.0

2,000.0

2,500.0

3,000.0

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

平成25年 九州各県 従業者規模別 事業所あたり付加価値額(百万円)

従業者

4人~9人

従業者

10人~19人

従業者

20人~29人

従業者

30人~99人

従業者

100人~299人

合計

従業者規模別 従業者あたり付加価値全国順位 (百万円、位)

付加価値額 順位 付加価値額 順位福 岡 県 9.4 16 13.7 31佐 賀 県 8.6 29 13.4 32

長 崎 県 5.9 47 15.6 25

熊 本 県 8.0 34 10.0 42大 分 県 9.2 19 21.9 9宮 崎 県 7.8 35 13.9 30鹿 児 島 県 7.7 36 10.0 43沖 縄 県 6.4 44 4.1 46

4~299人 300人以上

〔出典:H25 工業統計〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-51-

この原因は単純には判

断できないが、県内企業

アンケートの結果(図表

24)では、県内製造業に

おける経営上の課題(資

金面)の第 1 に設備更新

資金への苦慮があげられ

ている。

このことから、特に小

規模な事業所ほど、設備

更新等へ充てる投資余力

がなく、生産効率の低い

設備での操業を余儀なく

される結果、より規模の

大きな他社に更に生産性

の面で差をつけられてい

くという悪循環に陥って

いることが一因として考

えられる。

また、同じく県内企業アンケート(図表 35)から、本県の場合は地理的

条件から、物流コストが他の多くの地域と比較して負担となっているとい

うことも要因の一つと考えられる。

いずれにしても従業者 4 人以上 299 人以下の事業所の生産性向上へ向け

た取組が急務である。設備導入や ICT 等を活用した働き方の見直しも重要

であるが、県内での企業間の連携体制の構築や M&A 等により事業体や事

業実施体制の規模を拡大することなどが、格差構造を改善する一助となる

と考えられる。

⑦ 製造業各分野別の労働生産性について

食料品製造業の付加価値の

総額は九州で 5 位であるが、

事業所あたり付加価値は、九

州最下位となっている。また、

従業者一人あたり付加価値

額も 6 位と低い(全国順位は

事業所あたり付加価値額で

42 位、従業者あたり付加価値

額で 39 位と低位)。

はん用機械器具製造業の

付加価値総額、事業所あたり

付加価値額、従業者あたり付

加価値額はいずれも九州 1 位

図表 90

図表 89

〔出典:H25 工業統計〕

2.700 2.282 1.901 2.356 2.347 2.279 2.414 2.019

3.1252.869

2.6022.639 2.658 2.573 2.754

2.636

3.3132.916

2.7382.818 2.952

2.4642.864

2.696

3.581

3.3453.118

3.150 3.2482.931

2.8223.032

3.914

3.944

3.2183.854 4.107

3.2153.146

2.982

5.611

4.146

5.551

5.0185.299

4.1824.456

2.612

4.130

3.6063.709

3.8734.043

3.1723.248

2.726

0.000

0.500

1.000

1.500

2.000

2.500

3.000

3.500

4.000

4.500

0.000

5.000

10.000

15.000

20.000

25.000

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

製造業 H25 事業所規模

従業者一人あたり現金給与額(百万円)

従業者4人~9人 従業者10人~19人 従業者20人~29人

従業者30人~99人 従業者100人~299人 従業者300人以上

合計

352,452

113,532

82,678

114,124

47,00471,019

155,297

49,402

346.9

366.2

118.4

208.6

143.7

171.1

205.4

122.9

7.98 6.78 5.38 6.32 5.68 4.95 5.86 4.64 0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

300.0

350.0

400.0

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

九州各県付加価値額等の比較(食料品製造業)(百万円)

付加価値額 事業所あたり付加価値 従業者あたり付加価値

〔出典:H25 工業統計〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-52-

である(全国順位は、事業所

あたり付加価値額は 2 位。従

業者あたり付加価値額は 7 位

と高水準である)。

電子部品・デバイス・電子

回路製造業における付加価

値総額は九州 4 位だが、事業

所あたり付加価値額は 1 位。

従業者あたり付加価値額は 2

位である(沖縄県の値は秘匿

されているため不明)。

輸送用機械器具製造業の

付加価値総額は九州 3 位。事

業所あたり付加価値額は 5 位、従業者あたり付加価値額は 4 位である。

⑧ 本県製造業における課題(まとめ)

これまで見てきたことから、本県製造業の課題を次のとおりまとめるこ

とができる。

A) 本県の製造業は、製造品出荷額や付加価値額の観点において、長崎・西彼地域のは

ん用機械器具製造業、県央地域の電子部品・デバイス・電子回路製造業、長崎・西

彼地域及び県北地域の輸送用機械器具製造業により牽引されている。(事業所あた

り、従業者あたり付加価値額(=生産性)で見ても同様である。)

B) 上記の「リーディング企業」は従業者 300 人以上の大企業である。

C) 本県製造業がリーディング企業に牽引されている度合い(すなわち上下間の格差)

は、他の九州各県以上である。

図表 91

73,544

4,930

133,926

2,016

25,389

2,692 1,466 125

355.3 170.0

2232.1

80.6

793.4

134.6 73.3 25.0

10.96 6.67 16.30 4.45 14.83 5.73 5.64 3.05 0.0

500.0

1000.0

1500.0

2000.0

2500.0

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

九州各県付加価値額等の比較

(はん用機械器具製造業)(百万円)

付加価値額 事業所あたり付加価値 従業者あたり付加価値

〔出典:H25 工業統計〕

図表 93 図表 93

59,214

30,207

61,229

102,714

57,986

77,04587,087

1020.9

1887.9

3826.8

2232.9 2070.9

2963.3

1527.8

9.87 9.75 15.34 9.52 8.22 15.90 7.43

0.0

500.0

1000.0

1500.0

2000.0

2500.0

3000.0

3500.0

4000.0

4500.0

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島

九州各県付加価値額等の比較

(電子部品・デバイス・電子回路製造業)(百万円)

付加価値額 事業所あたり付加価値 従業者あたり付加価値

〔出典:H25 工業統計〕

318,849

46,23091,661 89,224

158,175

13,281 6,816 577

2070.4

983.6

587.6

883.4

1630.7

442.7 378.7

64.1

13.58 13.44 13.31 7.83 19.16 4.41 11.59 5.25 0.0

500.0

1000.0

1500.0

2000.0

2500.0

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄

九州各県付加価値額等の比較

(輸送用機械器具製造業)(百万円)

付加価値額 事業所あたり付加価値 従業者あたり付加価値

〔出典:H25 工業統計〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-53-

D) 本県製造業において、最も事業所が多く、従業者も多いのは食料品製造業である。

E) 食料品製造業の生産性(事業所あたり、従業者あたり付加価値額)は全国的に見て

低い水準である。

F) 本県製造業のうち生産性が低位であるのは、従業者規模が 30 人未満の中小・小規

模企業である。

G) 離島地域において、生産性が高い製造業は、食料品製造業および飲料・たばこ・飼

料製造業、窯業・土石製品製造業である。

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Ⅲ.本県産業の課題

-54-

(6) 企業誘致関係の課題

① 企業誘致の動向

平成 22 年に分譲可能であった工業団地は 34ha であったが、現在の残地

は 31ha とほぼ横ばいとなっており、このうち、潮風の影響を受けにくく、

BCP15の観点から企業ニーズが高い内陸型の工業団地は残り 9ha と、少

ない現状である。

本県への進出企業の属性を見ると、平成 10 年代後半は加工型の工場立地

が多く見られたが、平成 20 年以降は低調となり、代わりに事務処理センタ

ー、コールセンター等の非製造型の企業立地が進んでいる。

15 Business Continuity Plan(事業継続計画)の略:企業が緊急事態に陥った場合に、損害を最小限におさえるため

に定めたプラン

図表 94

【属性の説明】

① 雑 貨 型:衣服、家具、印刷、プラスチック製品、ゴム製品、皮革、

その他製造業

② 地方資源型:食料品、飲料・たばこ・飼料、繊維工業、木材、木製品、

パルプ、紙、窯業、土石製品

③ 基礎素材型:化学工業、石油・石炭製品、鉄鋼業、非鉄金属

④ 加工組立型:金属製品、一般機械、電気機械、情報通信機械、電子・

デバイス、輸送用機械、精密機械、武器

⑤非 製 造 型:コールセンター、ソフトウェア、研究所

※産業類型は、工場立地動向調査(経済産業省)による区分

(非製造型は県独自の区分)

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Ⅲ.本県産業の課題

-55-

(7) 経済成長要因

① シフト・シェア分析(成長に寄与している産業分野の特定)

県民経済計算の数値をもとにシフト・シェア分析16という手法を用いて本

県の産業のうち経済成長への寄与が大きい分野について見てみると、大分

類では順に不動産業、サービス業が成長への寄与が大きい。

中分類をみると、製造業では輸送用機械部門、一般機械部門、食料品部

門、サービス産業では公共サービス業、不動産業では住宅賃貸業、卸売・

小売業のうち、小売業の成長への寄与が大きい。

一方で、建設業、電気・ガス・水道業、金融・保険業、運輸業、情報通

信業は成長への寄与がマイナスとなっている。

製造業(特に食料品、一般機械、輸送

用機械)及び小売業は経済成長への寄与

が大きいにも関わらず、従業者あたり及

び事業所あたり付加価値額が低いため、

生産性を向上させる必要がある(製造業

は生産波及も大きいとされている)。

公共サービス業(教育、研究、医療・保

健衛生、その他の公共サービス業)を含

むサービス業については、今後更なる需要の獲得に取り組む必要がある。

16 各産業分野の全国における成長率と地域における成長率、および全国における構成割合と各地域における構成割合

の変化を指数化したもの。地域における各産業分野の成長への寄与度が推定できる。

【算出方法】:産業分類ごとに以下①~③の和を求める。

① 全国成長要因=「全国の産業成長率」×「県内の各産業構成比」

② 産業構成要因=「全国の各産業の成長率」×「県内の各産業構成比」

③ 地域特殊要因=「県内各産業の成長率」×「県内の各産業構成比」

図表 96

図表 95

〔出典:県民経済計算の数値をもとに産業労働部にて作成〕

-3.0%

-2.0%

-1.0%

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

(1)

農林水産業

①農業

②林業

③水産業

(2)

(3)

製造業

①食料品

②繊維

③パルプ・紙

④化学

⑤石油製品・石炭製品

⑥窯業・土石製品

⑦鉄鋼

⑧非鉄金属

⑨金属製品

⑩一般機械

⑪電気機械

⑫輸送用機械

⑬精密機械

⑭その他の製造業

(4)

建設業

(5)

電気・ガス・水道業

①電気業

②ガス・水道・熱供給業

(6)

卸売・小売業

①卸売業

②小売業

(7)

金融・保険業

(8)

不動産業

①住宅賃貸業

②その他の不動産業

(9)

運輸業

(10

)

情報通信業

①通信業

②放送業

③情報サービス・映像文字情報制作業

(11

)

サービス業

①公共サービス業

②対事業所サービス業

③対個人サービス業

シフト・シェア分析で見る本県の産業(平成18年-平成24年)

全国成長要因

(Ei/E)*G

産業構成要因

(Ei/E)*(Gi-G)

地域特殊要因

(Ei/E)*(gi-Gi)

成長率

寄与度

〔出典:H26 ものづくり白書〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-56-

(8) 雇用情勢

① 人口流出の状況

本県の人口は社会減、自然減双方合わせて毎年 1 万人程度が減少してい

る状況である。このうち、社会減で年間約 6 千人近くが減少しており、そ

の主な理由は進学・就職によるものである。

② 本県人口の年齢構成予測

国立社会保障・人口問

題研究所(以下、「社人研」

と略)の推計から、10 年

後の本県人口の年齢構成

を把握したい。

本県の総人口は、平成

37 年(2025 年)までに、

12 万人程度減少すると

見込まれている。これを

高齢者人口とそれ以外に

分けると、65 歳未満の人

口が 15 万人程度減少し、

65 歳以上の人口が 3 万人

程度増加するとの見込み

である。

図表 97

図表 98

408

△ 559

△ 3,701

△ 5,135△ 5,531△ 5,058△ 5,229

△ 5,286

△ 8,613

△ 9,536

△ 9,711

△ 5,062

△ 5,957

△ 5,586△ 7,989 △ 4,495△ 5,056

△ 5,053

△ 4,244

△ 3,092

△ 1,187

△ 1,206

△ 2,748

△ 2,505

△ 3,549

△ 5,679

△ 5,696

△ 4,960

△ 15,000

△ 13,000

△ 11,000

△ 9,000

△ 7,000

△ 5,000

△ 3,000

△ 1,000

1,000

H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

(人)

社会動態 自然動態

2 人口

(2)人口減少の要因(社会動態と自然動態)

図表3 長崎県の社会動態・自然動態

社会減と自然減が同時に進行。特に少子化・高齢化により自然減の進行が顕著化 県外への転出事由は就職や進学など複合的な要因

(出典)「長崎県異動人口調査」

*自然動態=出生児数-死亡者数*社会動態=「県外・県内転入者数-県内・県外転出者数」

+ 「入国者数-出国者数」

用語解説用語解説

社会減と自然減の進行社会減と自然減の進行(1)就職 ・・・ 新たに就職、卒業と同時に就職

→ 高校卒業者の就職希望者の約4割が県外就職(H25年度卒業:約1,700人)

(2)進学・転校 ・・・大学、専修学校等に進学(入学)や転校→ 4年制大学進学者の約6割が県外大学進学

(H25年度卒業:約3,800人※)

(3)転職①前勤務先の退職による変更②前勤務先の廃業・倒産による変更

(4)転勤 ・・・ 同一企業内で勤務地の変更(5)結婚・離婚等・・・ 結婚や離婚、養子縁組など(6)住宅事情・・・住宅新築、老人福祉施設への入居など

社会動態(県外への転出)の主な事由社会動態(県外への転出)の主な事由社会動態(県外への転出)の主な事由

図表4 高校(全日制・定時制)卒業者の県外就職率

61 .357 .6 57 .1

61 .8

67 .970 .5

73 .2 72 .4

64 .4

58 .662 .3

68 .4

57 .7

39 .8 38 .5 38 .942 .4 44 .1 45 .8 44 .7 46 .3

39 .9 39 .4 41 .2 40 .7 39 .5

18 .1 17 .6 17 .5 18 .4 19 .3 20 .2 20 .8 21 .919 .6 19 .0 18 .6 18 .0 17 .9

0

20

40

60

80

H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

(%)

長崎県のうち離島地区

長崎県

全国

〔出典:長崎県政策企画課まとめ〕

27,308

29,719

32,025

33,573

29,439

28,655

33,245

37,588

42,770

39,326

41,176

45,462

52,762

52,662

36,099

31,659

25,129

14,281

6,198

25,906

28,322

30,645

32,412

29,640

30,258

34,903

39,175

45,133

43,129

44,567

48,765

56,196

57,860

46,071

44,280

41,118

30,814

22,626

0 20,000 40,000 60,000

020,00040,00060,000

0~4歳

5~9歳

10~14歳

15~19歳

20~24歳

25~29歳

30~34歳

35~39歳

40~44歳

45~49歳

50~54歳

55~59歳

60~64歳

65~69歳

70~74歳

75~79歳

80~84歳

85~89歳

90歳以上

長崎県の人口ピラミッド(2015年)

男 女

〔出典:社人研推計〕

※2015 年以降の就業者数予測はコーホート変化率法を用い

た独自推計〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-57-

本県の人口の年齢構成は、国内の他の多くの地域と同様に、いわゆる団

塊の世代の高齢化にあわせ

高齢者人口の占める割合

が高まっていく見込みと

なっている。

平成 27 年(2015 年)

時点では 60~69 歳の人

口が最も多くを占めてい

るが、平成 37 年(2025

年)では 70~79 歳の人

口が最も多くを占めてい

る。

また、平成 27 年時点で

40~44 歳であった第二

次ベビーブーム世代が、

50~54 歳の層として次

に大きな群となっている

と予想される。

人口構成が以上のように変化することにより、県民の需要の性向も変化

するものと予想される。端的には健康サービス需要や医療・介護サービス

需要など、中でも高齢者の需要が今後益々増加するものと予想される。

③ 就業者人口の減少予測17

本県の生産年齢人口は、近年減少を続けており、2020 年には 72 万人程

度まで減少する見込みである。

17 平成 27 年 11 月に厚生労働省から発表された「雇用政策研究会報告書(案)-人口減少下での安定成長を目指して -」

においては、2030 年における本県の就業者数は、「経済成長と労働参加が適切に進むケース」で 57.6 万人、「経済

成長と労働参加が適切に進まないケース」で 51.5 万人と推計されている。推計上の大きな違いは、上図においては

2015 年以降の本県人口について社人研推計を用いたが、上記報告書では 2014 年の本県人口について(独)労働政

策研究・研修機構の独自推計を用いており、それぞれの推計に乖離が生じていることも一因である。

図表 100

図表 99

1,312,976

155,967

722,294

273,335 434,715

563,568 514,817 465,254

415,422 366,381

0

200,000

400,000

600,000

800,000

1,000,000

1,200,000

1,400,000

1,600,000

1,800,000

1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年

実績 推計

就業者減少予測(人)

人口総数 若年者人口(14歳以下) 生産年齢人口(15~64歳)

高齢者人口(65歳以上) 就業人口

〔出典:国勢調査、社人研推計をもとに産業労働部にて作成〕

〔出典:社人研推計〕

21,297

23,303

26,807

27,872

26,333

29,517

29,659

28,381

32,612

36,653

41,398

37,581

38,633

41,379

45,985

42,572

24,628

16,140

10,993

20,207

22,081

25,345

26,788

26,506

29,266

29,266

29,584

33,927

38,138

43,998

42,016

43,284

46,896

53,032

52,770

38,851

31,934

34,384

0 20,000 40,000 60,000

020,00040,00060,000

0~4歳

5~9歳

10~14歳

15~19歳

20~24歳

25~29歳

30~34歳

35~39歳

40~44歳

45~49歳

50~54歳

55~59歳

60~64歳

65~69歳

70~74歳

75~79歳

80~84歳

85~89歳

90歳以上

長崎県の人口ピラミッド(2025年)

男 女

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Ⅲ.本県産業の課題

-58-

本県の就業者人口について、コーホート変化率法18を用いて推計すると、

5 年後の 2020 年には約 4 万 5 千人減少し 56 万人程度、2035 年には高齢者

人口とほぼ同程度の 42 万人程度となる見込みである。

総人口の減少に伴い、県内経済は消費(需要)面が縮小することが見込

まれるため、県内における新たな需要の創出・獲得に加え、県外からの需

要の取込み(域外需要の獲得)が重要となる。

同様に就業人口の減少は、生産(供給)面での県内経済の縮小を惹起す

ることが見込まれるため、生産性を向上させ取り込んだ需要に対応する

とともに、女性や高齢者等の労働力の更なる活用が必要となる。

併せて、より少ない就業者人口に対応するため、雇用のミスマッチ解消

と若者の県内就職促進、UIJターンの推進が重要となる。

④ ミスマッチの状況

平成 27 年 11 月末

現在のミスマッチの

状況(年度累計)を

見ると、医師、看護

師等の資格を必要と

する職業や販売・接

客 の 職 業 、 生 産 工

程・労務の職業、介

護サービスの職業等

で、求人は多いが求

職者が少なく、ミス

マッチが生じている。

一方で、一般事務の

職業やその他運搬、

清掃、包装等の職業

については求職者が

多く、求人が少ない

状況にある。

総人口の減少、就

業者人口の減少が予

測される中、県内の

有効求人倍率は 1.0 倍近傍で推移しており(図表 16)、今後人材不足の傾向

が続くことが考えられる。

限られた人数で市場の需要に応える必要が生じるため、雇用のミスマッ

チを解消する必要性は今後ますます高まっていくと予想される。

18 コーホート変化率法:過去における実績人口の動勢から「変化率」を求め、それに基づき将来人口を推計する方法

(厚生労働省 HP より)。ここでは、2015 年以降の就業者数予測についてコーホート変化率法を用い独自に推計した

(その他の推計は社人研推計による。)。

図表 101

1.求人は多いが求職者が少ない職業

職       業 新規求人 新規求職 求人倍率 充足数 充足率

【資格を必要とする職業】医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 212 49 4.33 13 6.1%看護師、保健師、助産師等 1,899 1,069 1.78 535 28.2%医療技術者 515 285 1.81 141 27.4%建築・土木・測量技術者 691 213 3.24 87 12.6%

【販売・接客の職業】商品販売の職業 2,873 1,820 1.58 538 18.7%営業の職業 976 687 1.42 198 20.3%生活衛生サービスの職業(理・美容師、エステティシャン等) 421 223 1.89 94 22.3%飲食物調理の職業 2,483 1,201 2.07 619 24.9%接客・給仕の職業 2,466 923 2.67 382 15.5%

【保安の職業】保安の職業 561 176 3.19 130 23.2%

【生産工程・労務の職業】金属材料製造等の職業 1,125 494 2.28 240 21.3%製品製造・加工の職業(金属除く) 1,544 816 1.89 613 39.7%生産関連・生産類似の職業 495 179 2.77 60 12.1%建設躯体工事の職業 201 37 5.43 20 10.0%建設の職業(建設躯体工事の職業を除く) 569 194 2.93 74 13.0%電気工事の職業 312 184 1.70 60 19.2%

【輸送・機械運転の職業】自動車運転の職業 1,617 801 2.02 411 25.4%

【介護サービス等の職業】介護サービスの職業 3,288 1,615 2.04 1,023 31.1%

2.求職者が多くて求人が少ない職業

【事務の職業】一般事務の職業 2,541 6,939 0.37 1,364 53.7%

【その他の運搬・清掃・包装等の職業】その他の運搬等の職業 1,005 2,094 0.48 495 49.3%

〔出典:厚生労働省長崎労働局まとめ〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-59-

2.本県産業のポテンシャル

本県産業の振興のためには、本県の強みを活かしていくことが必要である。

以下では本県産業の強み、「ポテンシャル」についてまとめる。

(1) 本県のポテンシャル

① 豊かな自然環境

本県は、リアス式海岸と多くの湾など入り組んだ海岸線を有し、海岸線

の長さは 4,137kmと北海道に次いで全国 2 位の地位にある。また、対馬海

峡や針尾瀬戸、大村湾、有明海、東シナ海など、バラエティに富んだ海洋

環境を有する海洋県である。

また、有する離島は 971 と全国一であり、あわせて県内に 4 つの半島地

域を有するなど、変化に富んだ地形を有する。

こうした豊かな海洋環境に恵まれ、全国 2 位の水揚げ量を誇る水産資源

と、多くの品目で全国トップクラスの生産量を誇る多様な農産物の生産に

恵まれている。

② 地震の少ない地理的特性

地震調査研究推進本部の公表資料によると、本県において今後 30 年以内

に震度 6 弱以上の地震が起こる確率は、太平洋沿岸と比べると低くなって

いる。【図:今後 30 年以内に震度 6 弱以上の地震が起こる確率(基準日:

H24.1.1)】

図表 102

〔出典:長崎県産業振興財団ホームページより〕

農産物

全国第1位 全国第2位 全国第4位 全国第4位 全国第4位

びわ ばれいしょ かぼちゃ アスパラガス いちご

750t 99,700t 6,930t 2,090t 10,100t

全国第5位 全国第5位 全国第5位 全国第5位 全国第5位

にんじん はくさい レタス みかん たまねぎ

31,700t 21,700t 25,100t 53,600t 23,100t

(出所:H24年 野菜生産出荷統計・果樹生産出荷統計)

漁獲量(長崎県の水揚げ量 全国2位 245,424t )

全国第1位 全国第1位 全国第1位 全国第1位

たい類 あじ類 ふぐ類 あなご類

4,001t 46,718t 2,289t 886t

全国第2位 全国第2位 全国第2位 全国第2位

さば類 ぶり類 くろまぐろ 真珠

68,454t 10,592t 2,655t 6,904t

(出所:H24年 野菜生産出荷統計・果樹生産出荷統計)

全国第3位 全国第3位 全国第4位 全国第4位

いか類 うに類 いわし類 海藻類

18,086t 471t 42,490t 1,862t

(出所:H24年 漁業・養殖業生産統計年報)

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Ⅲ.本県産業の課題

-60-

③ 豊富な人材

本県は各種大学、短大、高校、高等技術専門校、専修学校等多くの教育

機関を有し、優秀な人材を多数輩出している。特に工業系の人材は優秀・

豊富であり、各種資格試験において、優秀な成績を修めている。

(例)

「第一種電気工事士」高校生合格者数日本一(平成 25 年度〔14 年連続〕)

「第三種電気主任技術者」高校生合格者数全国第 3 位(平成 25 年度)

高校、高専、大学各ロボットコンテスト等において成績上位

④ 地理的優位性

本県は本土地域で最もアジア地域に近接しており、古くから中国をはじ

めとしたアジア地域や欧州等、海外へ向けた窓口として、交流の歴史を築

いてきた。

「シュガーロード」に由来する菓子類などの食文化や「和華蘭」に見ら

れる国際色豊かな文化はこうした交流の歴史を通じて培われてきた。

図表 103

〔出典:全国地震動予測地図 2014 年版〕

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Ⅲ.本県産業の課題

-61-

⑤ 個性豊かな観光資源

平成 27 年度、世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」関連施

設や、今後の世界遺産登録を目指している「長崎の教会群とキリスト教関

連遺産」関連施設、古くからの海外との交流の足跡を示す各種施設など、

歴史的価値の高い施設や、国内外に広く知られるテーマパークであるハウ

ステンボス、世界新三大夜景に認定された長崎の夜景など、個性豊かで豊

富な観光資源を有している。

またクルーズ船の寄港は全国でもトップクラス(長崎港、H26 年度第 5

位)であり、また平成 26 年における本県への観光客延数は 3,270 万人(う

ち延宿泊者数 670 万人)〔H26 長崎県観光統計〕と過去最高19となり、国内

はもとより、中国、韓国をはじめとして、アジア、欧州、南北アメリカな

ど多くの海外の国・地域からも観光客が訪れている。

⑥ 産業集積・地域産品

歴史ある三菱重工業長崎造船所をはじめとした造船関連企業や、県央地

区の電子・デバイス産業の集積のほか、陶磁器、手延そうめん、手延うど

ん、焼酎、かんころ餅など、各地域経済の基幹となる地域産品が存在する。

⑦ 造船関連産業の技術力

県内に三菱重工業株式会社長崎造船所、佐世保重工業株式会社、株式会

社大島造船所を中心に、中小事業所を含め多くの造船関連事業所が立地し

ており、造船関連の高度な技術力を有する。

(2) ポテンシャルを活かす施策の方向性

① 豊かな自然環境

(ア) 海洋エネルギーをはじめとした自然環境を活かした再生可能エネルギ

ー関連産業の振興等

(イ) 離島地域における再生可能エネルギー産業の振興

(ウ) 高度加工や希少性を生かした加工により、付加価値の高い商品の製造

を行う食料品製造業の振興

② 地震の少ない地理的特性

(ア) 本社のバックアップ機能を含む企業誘致の推進

③ 豊富な人材

(ア) 豊富な人材を活かした企業誘致の推進

(イ) 優秀な人材の県内企業への就職推進による企業の生産性向上

19 H26 長崎県観光統計

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Ⅲ.本県産業の課題

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④ 地理的優位性

(ア) 企業の進出や製品・商品の販路拡大など、アジア市場への事業展開に

よる域外需要の取込み

(イ) 国際コンテナ航路を活用したアジア地域との貿易の活発化

⑤ 個性豊かな観光資源

(ア) 世界遺産やクルーズ船の寄港により来訪する観光客等を対象とした小

売業や飲食、宿泊関連等のサービス産業の振興

(イ) 歴史・文化を活かした付加価値型観光産業の振興

⑥ 産業集積・地域産品

(ア) 産業の集積や協業化、域外から獲得した需要を域内でより効率よく分

配し、地域経済が円滑に循環する仕組みを構築

(イ) 地域産品のブランド化により域外需要を取込み、地域経済を振興

⑦ 造船関連産業の技術力

(ア) 造船産業の更なる振興に加え、技術力の蓄積を活かした海洋産業等の

振興

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Ⅳ.本県産業の将来像

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Ⅳ.本県産業の将来像

1.本県産業の将来像

今後 10 年ほどの間に見込まれる社会経済の変化と、それに伴う望ましい

本県産業の将来像について、以下のとおりまとめた。

(1) 今後予想される社会経済の変化

① 国・世界

(ア) 我が国の総人口が 1 億 2 千万人程度に減少

(イ) デフレ経済からの脱却を果たし、国の経済成長率が実質 2%程度のプラ

ス成長(政府目標)。

(ウ) 2020 年東京オリンピックの開催

(エ) 消費税率の引き上げ(8%→10%)

(オ) 東アジア、ASEAN 諸国の経済成長の進展

(カ) 外国人観光客が年間 2,000 万人来日

(キ) TPP協定(環太平洋パートナーシップ協定)の発効

② 長崎県

(ア) 「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産登録

(イ) 九州新幹線西九州ルートの開業

(ウ) 西九州自動車道の開通

(エ) 島原道路の開通

③ 産業面での変化

(ア) ICT関連技術の更なる普及・一般化

(イ) インダストリー4.0、IoT、インダストリアル・インターネットなど、

ICTやビッグデータ等の活用による製造業の変革

(ウ) 再生可能エネルギー関連技術の更なる普及

(エ) AI関連技術の進歩と普及

(2) 望ましい本県産業の将来像

① 産業面

【製造業関連】

(ア) 海洋再生可能エネルギー分野で新たな産業が興り、海外企業を含む関

連企業が多数参入し、県内への投資が活発化している。参入企業は県

内地場企業とサプライチェーンを形成する。

(イ) ロボット関連産業分野への県内企業の参入が進み、他分野への活用が

進むとともに、関連産業の集積が形成されている。

(ウ) 基幹産業である造船業の技術の高度化により、国際競争力が高まって

いる。

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Ⅳ.本県産業の将来像

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(エ) インダストリー4.0、IoT、インダストリアル・インターネットな

ど、ICTやビッグデータ等の活用による製造業の変革の動きを取

込み、県内に先端技術を導入した工場が複数稼動し、生産性が飛躍

的に向上する。

(オ) ICT技術の導入が進むことで、県内企業の生産性が向上し、競争

力が高まるとともに、関連投資を受け、県内の関連産業が活性化し

ている。

(カ) 食料品製造業の高付加価値化や地域産品のブランド化が進み、県外・

海外への販路が拡大して製造品出荷額及び付加価値額が増加する。

(キ) 再生可能エネルギー関連技術が更に普及している。

【その他サービス産業等関連】

(ア) 高齢化等に伴う新たな需要や海外を含む域外の需要を取込み、サー

ビス産業が活性化する。

(イ) 県内の高齢人口の増加と国内の健康高齢者の移住、海外の高齢者の

ヘルスツーリズム等が進み、高齢者を対象とした産業が規模を拡大

している。

(ウ) 世界遺産観光やクルーズ船の訪問客需要を活かし、小売業、宿泊業

などのサービス産業が活性化している。

(エ) 県内企業の海外展開が進み、アジア地域からの県内への投資も活発

化するとともに、県内への海外企業の進出が一定程度みられる。

(オ) ICT等新たなツールの導入等により、卸・小売業の生産性が向上

する。

(カ) 県内企業とのサプライチェーンの構築が可能な企業や本県にない技

術を有する企業などの誘致が進み、関連産業の集積が進むとともに

競争力が向上する。

(キ) 企業の本社機能移転など、県内への立地が増加する。

② 社会・経済面

(ア) 就業者人口の減少を克服する生産性の向上などにより、県内経済が

成長している。

(イ) 女性や高齢者の就業促進と雇用のミスマッチの改善により、就業人

口の減少が抑制されている。

(ウ) 安定した雇用の創出や県内企業の処遇改善等により、雇用情勢は改

善し、完全失業率がさらに低下している。

(エ) 企業の生産性・競争力の向上により改善した業績の成果が雇用者報

酬に分配され、県民がより豊かな生活を営んでいる。

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Ⅳ.本県産業の将来像

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2.今後の成長市場について

ここでは今後拡大が見込まれている市場または産業分野について、いくつ

か触れることとする。今後の本県の産業振興を図るうえでは、本県産業の強

み弱みを踏まえながら、市場としての成長性が高い分野に果敢に挑戦してい

くことにより、本県産業の成長の糧としていくことが重要である。

(1) 成長予測について

① 海洋エネルギー分野

国は、洋上風力発電の普及拡大、世界最先端の海洋環境技術開発、海洋

産業の戦略的育成等へ向けた施策の実施により、2020 年までに 2.5 兆円の

新市場の創出を目指すとしている。

本県は海洋環境に恵まれ、更に造船関連産業に培われた技術力の蓄積を

有することから、「洋上風力発電」及び「海洋環境技術開発」について、今

後の市場を獲得できる好機であるといえる。

② ロボット分野

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、

NEDOと略)の推計によると、ロボット産業の市場は 2015 年の 1.6 兆円

から 2035 年には 9.7 兆円へと約 6 倍に成長しうると予測されている。

その内訳を見ると、サービス分野で約 13 倍、農林水産分野で約 10 倍、

製造分野で約 3 倍と、いずれの分野でも市場が拡大されうるとしており、

有望な市場ということができる(サービス分野の市場拡大予測はサービス

分野をはじめとした新たな分野へのロボットの普及が前提)。

〔出典:国土交通省ホームページ〕

図表 104

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Ⅳ.本県産業の将来像

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本県においては、全国に先行して進む高齢化や離島・半島を多く有する

地理的特性等、新たなニーズ発掘の余地が大きく、特にサービス分野の市

場拡大の好影響を受けることができる可能性が高いといえる。

③ センサー分野

民間シンクタンクの推計によると、車載用センサーの世界市場は 2014 年

の約 2.3 兆円から 2020 年には 3.1 兆円へと約 1.3 倍に拡大することが予測

されている20。このうちADAS21に限っては、2014 年の 2,973 億円から

2020 年には約 3 倍の 9,094 億円への市場が拡大すると予測されている。

本県産業の中においては、電子部品・デバイス・電子回路製造業の高い

生産性が大きな武器の一つであり、センサー分野の市場の拡大から好影響

を得られる可能性は高いと考えられる。

20 ただし、金額はメーカー出荷額ベース。また磁気センサ、半導体による MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)

センサなどのセンサデバイスの中で、乗用車及び車両重量 3.5t 以下の商用車に搭載されるデバイスを対象とした推

計。

21 Advanced Driving Assistant System(先進運転支援システム)の略:事故などの可能性を事前に検知し回避する

システム

〔出典:NEDOホームページ〕

図表 105

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Ⅳ.本県産業の将来像

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④ ヘルスケア産業分野

国は、2011 年時点で 4 兆円の市場規模であったヘルスケア産業について、

2020 年に 2.5 倍の 10 兆円とする目標を掲げ22、取組を進めている。

国はヘルスケア産業について政策の方向性をまとめる中で、公的保険外

の健康サービス等の「予防・健康管理サービス」が、地域において新たな

産業を創出し、地域経済の活性化と医療費の適正化の双方に資するとして

いる。

本県においても、前述の高齢化から生じる新たなニーズを活かし、市場

を獲得できる可能性が高いものと考えられる。

22 「次世代ヘルスケア産業の創出―健康経営と地方創生の視点―」(平成 27 年 7 月 経済産業省)

〔出典:「車載用センサの世界市場に関する調査結果 2015」(株式会社矢野経済研究所)〕

図表 106

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Ⅳ.本県産業の将来像

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図表 107

図表 108

〔出典:「次世代ヘルスケア産業の創出―健康経営と地方創生の視点―」(経済産業省)〕

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

1.基本指針

これまでの分析や本県産業の進むべき方向性等を踏まえ、県として今後進

めていく施策について記載していく。

施策を推進していくにあたり、県の基本姿勢と施策推進に際しての視点を

確認するため、まずは基本的な指針を定めることとしたい。この指針は、「本

県の産業には“・・・”ことが必要」というフレーズの中に当てはめること

ができる、シンプルな行動原理として考案したものである。

(1) 基本指針の考え方

① 基本指針1:生産性/競争力を高める

我が国の人口は減少局面にあり、今後国内における地域間競争が激化す

ることが見込まれる中、他地域に先行して人口が減少している本県におい

て、これまでの製品・商品・サービス等の生産を維持し、所得の維持・向

上を図るためには、各生産現場における生産性を向上させ、製品・商品の

付加価値を高め、ひいては各企業・事業所の競争力を高めることが何より

も重要である。

そのためには、製品等の開発・製作に係る企業内の技術力の向上はさる

ことながら、新たな技術の導入を図ることも重要である。海外においては

すでに取組の端緒が見られるが、生産性の向上にICT、ビッグデータ等

を活用することで劇的に生産性を向上させることができる可能性があるた

め、県内における適用を視野に入れる必要がある。(例:インダストリー4.0

(独)、インダストリアル・インターネット(米))

また、県内の中・小規模な企業、事業所の単体での生産性向上の取組に

は限界があるため、企業間で連携をとり、例えばこれまで単体の部材とし

て納入していたものを、一定の組み立て工程を経た部品として納入するこ

とで競争力を向上させたり、最先端の加工機械を共同購入・利用するなど、

規模のメリットを生じさせる形での取組も重要となる。

併せて生産性向上の成果を雇用者の報酬に反映させることで、県民が豊

かに生活できる産業社会を目指すことが必要である。

“生産性/競争力を高める”

施策の柱

生産性/付加価値の向上

技術力の向上

経営基盤の強化

企業間連携の促進(クラスター組成)

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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② 基本指針2:新たな需要を発掘/創出する

人口減少により、県内需要は今後も縮小していくことが見込まれるため、

国内にとどまらない視野で域外に需要を求めることが必要である。

特に発展が続くアジア地域の需要の増大を取り込むため、県内企業は当

該地域への進出や市場開拓を積極的に検討すべきである。

また、域内においても、今後需要の拡大が見込まれる高齢者や、全国で

も高位にある合計特殊出生率から子育て世帯の需要など、新たに興りうる

需要の発掘・創出を図ることが必要である。

また、ICTやロボット技術等、新たな技術力を活用することで、別の

新たな需要を創造することも必要となる。

③ 基本指針3:働く場を創る/改善する

人口は今後も減少していくことが見込まれているが、県内に働く場を創

出することにより、県外へ流出していた県民を県内に留める、または県外

から職を求めて本県に移り住む可能性も考えられる。このため、県内企業

と親和性の高い企業やオフィス系企業等の誘致等により、雇用の場を創出

するとともに産業の集積化を図ることが望ましい。

また、すでに県内において事業活動を営んでいる企業等についても、多

様な働き方に対応できるよ

うな制度の改善や、処遇の向

上等により、魅力的な雇用の

場を創出するとともに、ワー

クライフバランスを推進す

ることが必要である。このこ

とがひいては県内就職の促

進や女性・高齢者等の労働力

の効率的な活用を進めるこ

ととなると考えられる。

“働く場を創る/改善する”

施策の柱

企業誘致の推進

魅力ある職場環境づくり

新たな産業の創出(再掲)

新分野への進出(再掲)

創業・起業(再掲)

“新たな需要を発掘/創出する”

施策の柱

新たな産業の創出

新分野への進出

域内での需要の確保

域外需要の獲得

創業・起業

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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④ 基本指針4:有能な人材を育成/獲得する

県内企業の業績を向上させるためには、県内企業が求める有意・優秀な

人材を育成することが重要であるが、育成した人材を県内に留めることが

できるよう、人材の育成と併

せ、育成した人材を県内企業

への就職に促すような、両面

の取組が重要である。

“有能な人材を育成/獲得する”

施策の柱

産業人材の育成

県内就職の促進

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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2.施策体系

本計画における施策の体系を以下に示す。

(1) 施策の方向性(イメージ)

図表 109

UIJターン就職

域外(国内・海外)経済

市場・需要獲得

域内(県内)経済

【働く場を創る/改善する】企業誘致、職場環境整備 など

【有能な人材を育成/獲得する】産業人材育成、

若者就職支援、など

【生産性/競争力を高める】中堅企業育成、企業間連携の促進、

技術力向上支援 など

県内経済の成長

良質な人材の県内定着

【新たな需要を発掘/創出する】新産業創出支援、新分野進出支援域内需要確保、海外展開支援 など

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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(2) 施策体系図

施策の柱

国は日本再興戦略に「生産性革命」「サービス産業の生産性向上」を位置づけ

製造業従業者300名以上の事業所の労働生産

性は高い 基幹産業である造船業の企業集積と技術力

製造業従業者300名未満の事業所の労働生産

性は低い 小規模な事業者が多い

ポテンシャル

課題

好機

新たな産業の興りと国内外の市場の拡大(海洋エネルギー、ロボット、センサー、ヘルスケア、燃料電池など)

世界遺産を含む豊かな観光資源 アジア地域の経済発展

豊かな自然環境と地域産品 造船業に培われた県内企業の技術の蓄積 電子部品・デバイス・電子回路製造業の生産

性が高い アジア地域に近い地理的優位性

人口減少による域内需要の縮小

他県に先駆けて進む高齢化

ポテンシャル

課題

好機

国はまち・ひと・しごと創生総合戦略に地方における安定した雇用の創出を位置づけ

地震の少ない地理的特性

優秀な人材が豊富

若者の県外流出 女性・高齢者の労働力の活用

ポテンシャル

課題

好機

国はまち・ひと・しごと創生総合戦略に地方への新しい人の流れを位置づけ

優秀な人材が豊富

若者の県外流出 雇用のミスマッチ

ポテンシャル

課題

好機

(1)生産性/競争力を高める

施策の柱

①生産性/付加価値の向上

③技術力の向上

④経営基盤の強化

②企業間連携の促進(クラスター組成)

(2)新たな需要を発掘/創出する

①新たな産業の創出

②新分野への進出

③域内での需要の確保

④域外需要の獲得

⑤創業・起業

(3)働く場を創る/改善する

①企業誘致の推進

②魅力ある職場環境づくり

新たな産業の創出(再掲)

新分野への進出(再掲)

創業・起業(再掲)

(4)有能な人材を育成/獲得する

①産業人材の育成

②県内就職の促進

施策の柱

施策の柱

(ア)ものづくり企業の事業拡大対策

(エ)サービス産業の生産性向上へ向けた官民連携推進体制の構築

(ア)企業力の結集による県内企業全体の競争力の強化

(イ)新たな取引拡大の仕組みの構築

(ア)工業技術センター及び窯業技術センターによる県内企業の技術力向上支援と産学官連携による研究開発の支援

(イ)食品加工設備の導入支援による加工水準の高度化

(ウ)県内企業の知的財産の取得と活用推進

(ア)中小企業・小規模事業者の持続的発展へ向け た支援

(ア)海洋エネルギー産業の拠点形成、集積化

(イ)ロボット関連産業の創出支援

(ウ)燃料電池関連産業の創出

(エ)センサー関連産業の創出

(オ)再生可能エネルギーを活用した産業の創出

(ア)介護周辺・健康サービスの事業化促進

(イ)ナガサキ型超小型モビリティの製品化

(ア)地域拠点商店街支援

(ア)県内企業のアジア地域へのビジネス展開支援

(イ)ASEAN等との経済交流の促進

(エ)外貿物流体制の構築

(オ)地域産品の域外・海外への移輸出を見据えた高付加価値化の推進

(カ)サービス産業の県外需要獲得支援

(ア)創業・起業の支援

(ア)企業誘致の受け皿の整備促進

(イ)効果的な企業誘致の実施

(ア)働きがいのある魅力的な職場環境の整備

(ウ)職業能力開発による人材育成

(ア)高校生・大学生の県内就職促進

(イ)若者などの就業支援

(イ)事業承継の推進

(イ)基幹産業である造船産業の振興と地域経済を牽引する中堅企業の育成

(ウ)食料品製造業の付加価値向上

(ア)産学官の連携強化による人材育成

(ウ)アジア地域の環境問題等への貢献のため海外展開に挑戦する企業シーズの創出を支援

(オ)宿泊業生産性向上促進支援

(イ)学校段階でのキャリア教育の充実

図表 110

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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3.基本指針と施策の方向性

ここでは、基本指針及び施策の方向性に沿って、具体的な取組として、何を

目指し、どのようなことを実施するのか等を示す。

(1) 生産性/競争力を高める

本県産業の生産性/競争力を高めるための取組としては、県内企業、特に本

県の主要産業の一つである造船業を含む輸送用機械器具製造業や食料品製造業、

卸売・小売業等のサービス産業などに対し、ICTを含む設備導入や、企業間連

携の促進による生産性、競争力の向上へ向けた支援や、県内企業の技術力向上へ

向けた支援、経営支援等に取り組む。

① 生産性/付加価値の向上

県内企業が行う、本県のポテンシャルを活かした生産性向上、製品・商品付

加価値の増大へ向けた取組を活性化させるため、的を絞った支援を実施する。

【重点施策】

(ア) ものづくり企業の事業拡大対策

【目的】

県内ものづくり企業が、技術開発、人材育成、設備投資など、生産性向上につ

ながる取組を加速させ、「稼ぐ力」が向上する。

目指す姿 県の取組

A) 県内ものづくり企業の生産性向上

B) 県外需要の獲得

C) 県内企業間取引の拡大

県内ものづくり企業による事業

拡大に向けた取組を、技術面、

営業面等から総合的に後押し

県内ものづくり企業が取り組

む、生産性向上を図るための設

備投資を後押し

活躍主体

県内のものづくり企業等

地場企業

①ICT等を活用した業務効率の向上による生産性向上支援 ②中堅企業等の規模拡大による地域経済の牽引③中小企業の連携組織の組成による効率的な受発注の推進 ④クラスター形成による生産性向上⑤中小、小規模企業の経営支援、事業承継支援 ⑥技術力向上支援

製造業(輸送用機械器具、食品など)サービス産業(卸・小売業など) 中堅企業 中小企業大企業

戦略の

方向性

施策の対象

【基本戦略】

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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(イ) 基幹産業である造船産業の振興と地域経済を牽引する中堅企業の育成

【目的】

造船関連産業の生産性や技術力の向上などによる競争力強化や地域経済の牽

引力となる中堅企業と受注側中小企業への支援や県内企業の連携を促進すると

ともに新たな受発注体制の構築を支援し、生産性の向上を後押しする。

目指す姿 県の取組

A) 県内造船関連企業の生産性や技術力の向上

B) 造船業界の環境変化への対応

県内中小造船及び関連企

業が行う生産性や技術力

の向上へ向けた取組や、

造船業界の環境変化への

対応へ向けた取組を後押

活躍主体

県内中小造船及び関連企業

【数値目標及び工程表】※(ア)、(イ)双方に係るもの

(ウ) 食料品製造業の付加価値向上

【目的】

本県では豊かな農水産「資源」を活用した、加工度の高い商品の生産が拡大し

ておらず、食料品製造業の付加価値率は全国と比べて低い。

高付加価値マーケットに合致した商品づくりを行う中堅企業や中堅企業予備

軍を 4 つの視点から支援し、食料品製造業の付加価値向上と規模拡大を図る。

目指す姿 県の取組

県の支援を受けた県内食料品製造業者の

付加価値額が5年間で20%向上

付加価値向上に繋がる4つの視点

(高度加工、希少素材の活用、衛生

体制の強化、アワード等の獲得)か

らの支援強化

活躍主体

県内中小食料品製造業者

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標 基準値〈年度〉: -

 目標値〈年度〉:5%〈H32〉県の支援施策を受けた企業の付加価値額の増加率

工程

設備投資支援

支援の効果検証・フィードバック

技術開発・人材育成・販路開拓などの総合的な支援

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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【数値目標及び工程表】

(エ) サービス産業の生産性向上へ向けた官民連携推進体制の構築

【目的】

県内サービス産業の事業者間の連携や新たな分野へ向けた事業化が促進され、

県内サービス産業の付加価値増大と生産性向上が図られる。

目指す姿 県の取組

県内のサービス産業関連事業者の付加価値増大、

生産性向上

県内サービス産業事業者

間の連携を後押し

新サービスの創出や域外

需要の取込等につながる

ベストプラクティスの発

掘・普及と実践支援

活躍主体

県内サービス産業関連事業者

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標 基準値〈年度〉: 18,150億円〈H24〉

目標値〈年度〉: 18,330億円〈H32〉サービス産業の県内総生産額の増

セミナーや県事業等による普及・実践支援

工程

官民連携協議会の設置

長崎県サービス大賞等によるベストプラクティスの発掘・普及(見える化)

支援効果検証・フィードバック

H28 H29 H30 H31 H32

基準値〈年度〉:118,450千円〈H25〉

目標値〈年度〉:142,140千円〈H32〉県内食料品製造業1事業所当たりの付加価値額の増

実績・成果を踏まえた振興策を実施

物流コスト軽減へ向けた現状調査

県内企業地域別グループでの検討

対策案の策定・実施

数値目標

4つの視点からの付加価値向上へ向けた取り組みを支援

工程

4つの視点を学ぶセミナーの開催等

相互連携

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-78-

(オ) 宿泊業生産性向上促進支援

【目的】

観光産業の中心であり、サービス産業の中の大きなウェィトを占める宿泊業に

ついて、質の高いサービスや効率性の向上など、付加価値の向上につながる取組

を支援する。

目指す姿 県の取組

A) 生産性の向上

B) 経営体質の強化

C) サービスの質の向上

「儲かる経営」を目指すための

生産性向上計画の策定支援

生産性向上計画の遂行を支援す

る補助制度や融資制度の新設

活躍主体

県内の中小観光ホテル・旅館

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

工程

基調セミナーの開催

生産性向上計画の策定支援(実践講座)

生産性向上計画の実行支援(補助金、制度資金)

数値目標 生産性向上計画の策定数 目標値〈年度〉:40件〈H31〉

基準値〈年度〉:  ―  

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-79-

② 企業間連携の促進(クラスター組成)

県内ものづくり企業が持てる力を結集し、新分野への挑戦や新たな市場を開拓

する取組を支援していく。

【重点施策】

(ア) 企業力の結集による県内企業全体の競争力の強化

【目的】

県内全域を対象とする工業会組織の組成により、県内製造業企業の連携と各企

業の卓越した技術力の結集による事業拡大や競争力強化を図るとともに、県境を

越えた連携による更なる事業拡大を検討する。

目指す姿 県の取組

事業拡大に意欲的に取り組む製造業企業の裾野が

拡大するとともに、競争力の強化が図られる。

県内全域の製造業企業

を会員とする工業会組

織の設立を後押し

当団体が行う競争力強

化や人材育成・確保な

どの取組を支援

活躍主体

県内全域を対象とする工業会組織(及び加盟企業)

【数値目標及び工程表】

(イ) 新たな取引拡大の仕組みの構築

【目的】

県内外大手企業と県内中小企業間の受発注体制の新たな仕組みを構築し、県内

企業間の取引拡大と県外・国外からの需要の飛躍的な取込みを目指す。

目指す姿 県の取組

効率的な受発注体制による県内企業間の取

引拡大と県外・国外需要の取込み。

発注企業と受注企業の参画に

よる新たな受発注共通プラッ

トフォーム構築を後押し

協業化や共同受注体制構築の

ための複数企業の連携体の設

備投資を支援

活躍主体

県内大手企業

県内中小企業(受発注企業)

H28 H29 H30 H31 H32

工程

工業会組織の設立

競争力強化の取組への支援

数値目標 工業会組織の自立的な運営 目標値〈年度〉:1件〈H32〉

基準値〈年度〉: -

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-80-

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

工程

開発事業化調査

共通プラットフォームの開発支援

運用準備・開始

数値目標 受発注共通プラットフォームの構築 目標値〈年度〉:1件〈H32〉

基準値〈年度〉: -

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-81-

③ 技術力の向上

県内企業の製品開発、技術開発を支援するとともに、大学や高等専門学校など

と連携した共同研究開発による新たな技術開発に取り組む。また、県内の研究機

関や企業との連携による知的財産権の取得と活用を促進する。

あわせて環境・保健分野、農林水産分野の県試験研究機関と引き続き連携し、

分野の異なる専門的な知見を結集して新たな製品や技術の開発に取り組む。

【重点施策】

(ア) 工業技術センター及び窯業技術センターによる県内企業の技術力向上支援と

産学官連携による研究開発の支援

【目的】

工業技術センターや窯業技術センター及び産学官連携による研究開発、技術提

供により、県内企業の技術力向上を後押しし、競争力向上と新たな成長分野への

参入を図る。

目指す姿 県の取組

技術力の向上

により県内企

業の競争力向

上と新たな成

長分野への参

入を図る。

【工業技術センター】

保有する評価試験設備及び試作設備を用いて、パワーエレクトロ

ニクス、機械システム、光応用技術、材料加工、食品・環境の各

分野を重点に技術開発及び新製品開発支援を行い、製造業の競争

力強化、新産業分野の創出並びに県内企業の参入を図る。

《技術開発の具体例》

エネルギー分野及び EV 分野での参入を促進する高効率電力変換技術 IoTによる生産効率向上技術 医療・農産物向け非侵襲成分計測技術 高精度機械加工技術 表面処理技術 シミュレーション技術 機能性等を持つ高付加価値食品を実現する微生物・酵素活用食品加工

技術 活魚輸送や養殖のための水質浄化技術

【窯業技術センター】

陶磁器・デザイン分野や環境・無機材料分野で、県内企業と共同

で製品を開発し、企業の技術力向上と新たな分野への参入を図る。

《技術開発の具体例》

原料の有効活用による新陶土開発 陶磁器の機能性付与技術 高精度な 3 次元デジタル技術 高齢社会に対応したユニバーサルデザイン 資源・リサイクル技術 不焼成製品化技術 新たな熱放射等エネルギー関連材料技術

【産学官連携による研究開発の支援】

国等の制度を活用しながら、県内企業の製品化につながる研究開

発を支援する。

活躍主体

県内企業

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-82-

【数値目標及び工程表】

(イ) 食品加工設備の導入支援による加工水準の高度化

【目的】

食料品製造業の高付加価値化の取組の1つとして、急速冷凍技術や微粒摩砕技

術など、高度な加工技術の導入を支援する。

目指す姿 県の取組

県の支援を受けた県内食料品製造業者の付加価

値額が5年間で20%向上

高度加工設備の導入を支援

活躍主体

県内中小食料品製造業者

(ウ) 県内企業の知的財産の取得と活用推進

【目的】

知的財産の取得と活用推進による新製品の開発及び新産業の創出

目指す姿 県の取組

A) 県内企業の知的財産に関する理解の深化

B) 知的財産を活用した新製品の開発、新産業の

創出

知的財産セミナーを実

施し、普及啓発を図る。

知的財産の専門家を配

置し、県有特許及び大企

業等の開放特許と県内

企業とのマッチング及

び事業化支援を行う。

活躍主体

県内企業

※数値目標及び工程表は①(ウ)と同様

H28 H29 H30 H31 H32

工程

ものづくり試作加工支援センター等の設備開放と依頼試験による県内企業支援

県内企業との共同研究開発推進

数値目標工業技術センター及び窯業技術センターの技術支援による製品化のための試作件数

目標値〈年度〉:累計1,384件〈H32〉

基準値〈年度〉:238件〈H26〉

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-83-

【数値目標及び工程表】

④ 経営基盤の強化

県内企業、特に中小企業・小規模事業者の競争力の強化や持続的発展のために

は、安定し、かつ強固な経営基盤を構築することが非常に重要である。

【重点施策】

(ア) 中小企業・小規模事業者の持続的発展へ向けた支援

【目的】

中小企業・小規模事業者の多様なニーズに対応し、その活力を最大限に発揮

し、持続的に成長発展できるよう商工会等の機能の充実・強化を図るとともに、

企業の経営基盤の安定、成長を金融面から支援するため、信用保証協会等と連

携を図りながら、県制度資金による円滑な資金供給を行う。

目指す姿 県の取組

1社当たりの売上高の増加

商工会等による中小企

業・小規模事業者の経

営支援の後押し

中小企業連携組織体制

支援

中小企業向け金融対策

活躍主体

A) 県内中小企業、小規模事業者

B) 商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、

信用保証協会、金融機関

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標 基準値〈年度〉:  ―  

目標値〈年度〉:年間10件特許実施許諾成約件数

工程

知的財産セミナーの開催

知的財産の専門家配置

効果の検証・フィードバック

マッチングによる事業化支援

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-84-

(イ) 事業承継の推進

【目的】

中小企業・小規模事業者は地域の雇用を担うとともに、地域のニーズに対応

した商品・サービスを提供するという社会的な役割を担うなど、地域経済の持

続的発展に不可欠な存在であり、事業が円滑に承継されることが重要である。

このため、長崎県事業引継ぎ支援センター、商工会、商工会議所、金融機関等

の支援機関と連携を図り、円滑な事業承継を推進する。

目指す姿 県の取組

廃業数の減少、事業承継の増

商工会、商工会議所の経営指導員によ

る事業承継の潜在需要の発掘、事業承

継案件の長崎県事業引継ぎ支援センタ

ーへの橋渡し等の後押し

広報媒体等による長崎県事業引継ぎ支

援センターの利用促進

活躍主体

A) 中小企業・小規模企業経営者

B) 商工会、商工会議所、長崎県事業

引継ぎ支援センター、金融機関

【数値目標及び工程表】※(ア)、(イ)双方に係るもの

(2) 新たな需要を発掘/創出する

県内市場の縮小傾向を見据え、県内企業等が、県内のみならず、県外、海外

を含む域外において新たな需要を捉え、事業拡大、競争力向上を図ることができ

るよう、産学官金のネットワーク等も活用し、支援を実施する。

①海洋再生可能エネルギー関連産業、燃料電池(水素)関連産業、ロボット関連産業など、新たな産業分野の関連事業への県内企業の取組支援や新分野進出支援

②サービス産業等の新たな需要創出・獲得支援 ③県内企業の海外市場への展開支援

戦略の

方向性

施策の対象

【基本戦略】

地場企業県内外リーディング企業等

新産業創出・新分野進出

(連携・共同事業など)

域内での新たな需要創出

域外(海外含む)展開

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標基準値〈年度〉:269,210千円〈H25〉

目標値〈年度〉:282,670千円〈H32〉県内中小企業(法人企業)の1社当たりの売上高の増加

工程

制度資金による金融支援

商工会等の機能の充実・強化を支援

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-85-

① 新たな産業の創出

県内に新たな産業を興し、域内における需要の増大と域外からの投資増大

を図るとともに、それを糧とした県内企業の業績拡大と競争力の向上を図る。

【重点施策】

(ア) 海洋エネルギー産業の拠点形成、集積化

【目的】

本県海域内における海洋再生可能エネルギーの実用化や商用化を推進するこ

とにより、本県製造業の基幹である造船業とも連携しながら、海洋再生可能エネ

ルギー関連産業の集積、拠点形成を進め、国際競争力のある産業を育成する。

目指す姿 県の取組

長崎に世界最先端の技術や人が世界中から集

い育つ海洋エネルギー産業の拠点ができる。

本県の取組等を発信し、海外と

も連携したアジアの拠点とな

る実証フィールド構築の後押

拠点形成の後押しと実証から

商用化までを見据えた支援

活躍主体

A) 造船業を含む地場企業

B) 県内大学、研究機関

【数値目標及び工程表】

(イ) ロボット関連産業の創出支援

【目的】

ロボット産業の市場規模は今後拡大が見込まれており、製造、医療・福祉、サー

ビス、農業、海洋・水産、インフラなどの各分野におけるロボット関連産業への参

入を図る。

H28 H29 H30 H31 H32 H33~

工程

実証プロジェクト誘致

研究開発拠点の形成

地元企業の実証プロジェクトへの参画

アンカー企業の出現

実証フィールド第2期整備検討

実証フィールド第1期供用開始

研究開発組織設立検討

商用化に向けた応用研究

商用化へ向けた研究開発への参画

地元企業の技術の蓄積(産学官連携による研究開発)

数値目標 実証フィールドにおける実証プロジェクト数(累計) 目標値〈年度〉:6件〈H32〉

 基準値〈年度〉:1件〈H27〉

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-86-

目指す姿 県の取組

ロボット関連産業への参入企業の増

加と参入による業績の拡大

ロボットネットワーク(仮称)の設立

県内外の技術シーズ提供企業とロボッ

ト活用ユーザーや実証フィールド提供

者とのマッチングを行い、共同開発・

実証試験を促進

専門家を活用した開発支援、販売力向

上支援

活躍主体

A) 県内企業等

B) 県内大学、研究機関

【数値目標及び工程表】

(ウ) 燃料電池関連産業の創出

【目的】

海洋県である本県のニーズに合った、漁船、作業船、海上タクシー、フェリー、

クルーザー等の燃料電池船化に向けた技術開発や製品化、水素・燃料電池技術の

積極活用による産業の省エネ化を促進する。

目指す姿 県の取組

A) 燃料電池船の量産化により、船体設計、メン

テナンス等、新たな市場を創出

B) 様々な産業において、エネルギーの効率化に

伴い、コストパフォーマンスが向上

燃料電池船研究開発の

実証フィールドを整備

し燃料電池船を開発

太陽光発電による燃料

電池を農業等で活用す

るビジネスモデルを構

活躍主体

A) 国、県内企業

B) 農業者等

H28 H29 H30 H31 H32

工程

ロボットネットワークの設立

県の支援によるロボット開発・実証

ロボット関連製品化

数値目標 基準値〈年度〉: -

 目標値〈年度〉:8件〈H32〉県の支援によるロボット関連分野における製品化

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-87-

【数値目標及び工程表】

(エ) センサー関連産業の創出

【目的】

センサー技術を活用した先進運転支援システムや高感度画像処理等、関連産業

の誘致と県内関連産業の集積に取り組む。

目指す姿 県の取組

次世代のセンサー技術関連産業が本県に定着し集積

することで、外貨獲得・雇用創出・所得向上を実現

自動走行実証のため

のフィールドを整備

技術開発のため、産

学官連携コンソーシ

アム組成を後押し

センサー関連企業の

誘致及び工業団地等

の整備

活躍主体

【産学官連携コンソーシアム】

A) 自動運転技術等の開発に取り組む大手企業

B) 県内のセンサー関連企業

C) 教育機関

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

工程

水素エネルギー研究会ワーキングの組成・検討

プロジェクト実施のための国プロジェクト獲得

燃料電池漁船の研究開発(水産総合研究センター)

数値目標 商用ベースの燃料電池船の開発 目標値〈年度〉:1隻〈H31〉

 基準値〈年度〉:0〈H27〉

H28 H29 H30 H31 H32 H33~

 目標値〈年度〉:1社〈H31〉

 基準値〈年度〉:0〈H27〉

センサー関連企業の誘致

数値目標 自動走行実証フィールド活用企業の誘致

自動走行実証フィールドの整備

人材育成プログラムの構築

産学官連携のプロジェクトチームの組成・検討

工程

Page 92: 平成 28 年3月 - Nagasaki Prefectural Government...Ⅰ.計画策定の趣 -1- Ⅰ.計画策定の趣旨 1.ねらい 我が国は人口減少局面にあり、国内需要の減衰に伴う経済の縮小など、

Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-88-

(オ) 再生可能エネルギーを活用した産業の創出

【目的】

島原半島、対馬、西海地域における地熱や木質バイオマス、潮流のポテンシャ

ルを活用し、発電事業や熱供給事業、排熱の農業等への二次利用事業を創出する。

目指す姿 県の取組

A) 地熱発電の余熱利用による農業等の付加価値と生産

性の向上

B) 「地域エネルギー会社」の創設に伴う雇用効果の創出

C) 潮流発電事業の創出とシステム量産化による売上増

地熱発電の余熱を

活用し二次利用モ

デルを構築

「地域エネルギー

会社」の創設を後押

50kW 規模の潮流発

電システムの開発

と製品化を後押し

活躍主体

県内企業、農業者等

【数値目標および工程表】

② 新分野への進出

今後新たな需要が見込まれる分野への県内企業の進出を支援し、業績拡大

を後押しする。

【重点施策】

(ア) 介護周辺・健康サービスの事業化促進

【目的】

高齢化社会の進展により、健康維持への関心が今後ますます高まると予想され

るため、高齢者などを対象とした介護周辺・健康サービスの事業化を後押しする

とともに、関連サービスの利用を促進する。

H28 H29 H30 H31 H32

工程

地域エネルギー会社の創設支援

50kW規模の潮流発電システムの開発支援

数値目標 地域エネルギー会社の創設 目標値〈年度〉:1社〈H31〉

 基準値〈年度〉:0〈H27〉

Page 93: 平成 28 年3月 - Nagasaki Prefectural Government...Ⅰ.計画策定の趣 -1- Ⅰ.計画策定の趣旨 1.ねらい 我が国は人口減少局面にあり、国内需要の減衰に伴う経済の縮小など、

Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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目指す姿 県の取組

介護周辺・健康サービス分野における新たなビジ

ネスを事業化

介護周辺・健康サービス

の事業者間の連携や認知

度向上を図るプラットフ

ォーム構築の後押し

プラットフォームから生

まれるビジネスモデルの

事業化を支援

活躍主体

A) 介護周辺・健康サービス分野のビジネスに関

心のある県内事業者

B) 介護周辺・健康サービス事業者連携プラット

フォーム(仮称)

【数値目標及び工程表】

(イ) ナガサキ型超小型モビリティの製品化

【目的】

地域特性を踏まえた超小型モビリティの研究開発と製品化、県内地場企業によ

る自動車メーカーの創出に取り組む。

目指す姿 県の取組

A) 超小型モビリティ関連産業の創出

B) 過疎地域の高齢者等の生活利便性の向上

C) レンタカーとしての活用による観光振興への貢献

県内の地域ニーズ

に合った超小型モ

ビリティの製品化

に向け、県内企業が

取り組むプロトタ

イプの製造につい

て支援

活躍主体

EV関連製品の研究開発に取り組む県内企業

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標 基準値〈年度〉:  -  

目標値〈年度〉:25件〈H31〉介護周辺・健康サービス分野の事業化件数

事業化に向けた資金面の支援

工程

事業化に向け関係者を集めた検討会の開催

支援の効果検証・フィードバック

事業者の連携を図るポータルサイトの設置

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-90-

【数値目標及び工程表】

③ 域内での需要の確保

県内市場の縮小が見込まれる中、域内における新たな需要を的確に捉え、

域内において確保するとともに、域外に流出している需要を域内に留める

取組が重要である。

【重点施策】

(ア) 地域拠点商店街支援

【目的】

地域の拠点となる商店街の活性化に向けた持続的な取組や幅広い世代が集う

商店街の生活空間化に向けた取組を推進する。

目指す姿 県の取組

A) 活性化プランを策定して活性化に取り組む商店街を増

やす

B) プランに基づく活動による商店街の更なる活性化

商店街活性化プ

ランの策定や人

材育成、新陳代

謝の促進等を市

町と連携して支

援する

活躍主体

商店街(商店街振興組合、事業協同組合)

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

工程

研究開発ワーキングの組成・検討

プロトタイプの改良・量産化

プロトタイプの設計・製造支援

数値目標 2人乗り超小型モビリティの製品化 目標値〈年度〉:1台〈H30〉

 基準値〈年度〉:0〈H27〉

H28 H29 H30 H31 H32

工程

商店街活性化プラン策定の促進

商店街活性化プランに基づく事業への支援

支援の効果検証・フィードバック

数値目標 基準値〈年度〉:  ―  

目標値〈年度〉:25箇所〈H31〉補助事業を活用する商店街数

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-91-

④ 域外需要の獲得

縮小が見込まれる県内市場の中にのみ留まっていては、将来へ向けた県内

企業の業績の向上を見込むことは困難であるため、国内のみならず成長が続

くアジア地域を始めとした海外市場を視野に入れた事業展開へ向けた支援が

必要である。

【重点施策】

(ア) 県内企業のアジア地域へのビジネス展開支援

【目的】

ビジネスサポートデスクの設置などにより、経済発展が顕著なアジア地域への

県内中小企業の進出及び販路拡大企業の増加を図る。

目指す姿 県の取組

海外展開にチャレンジしやすい環境が整い、海

外市場への進出を検討する県内企業が増加す

る。

ビジネスサポートデスクの

設置(中国・東南アジア)

市場調査・実証事業・ODA

などによる後押し

展示会・商談会への出展支援

長崎県貿易協会上海事務所

に産業アドバイザーを設置

活躍主体

県内中小企業

【数値目標及び工程表】

(イ) ASEAN等との経済交流の促進

【目的】

県内中小企業等による海外需要の獲得に向けた動きを促進するため、海外市場

等の情報提供機能の強化やASEAN地域でのビジネスマッチング機会の提供

等を行い、県内企業の海外展開支援体制の充実に取り組む。

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標 基準値〈年度〉: 6社〈H26〉

目標値〈年度〉:30社〈H32〉海外への進出や販路拡大を行う企業・団体等の数(累計)

工程

ビジネスサポートデスクによる支援(中国・東南アジア)

企業が行う市場調査等への支援

展示会・商談会への出展支援

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-92-

目指す姿 県の取組

海外展開を行う県内企業が増加し、海外との経済交

流が活発になることで、県民所得向上に寄与する。

県内企業への海外市場

等の情報提供機能の強

ASEAN地域へのビ

ジネス展開支援

活躍主体

県内中小企業

【数値目標及び工程表】

(ウ) アジア地域の環境問題等への貢献のため海外展開に挑戦する企業シーズの創

出を支援

【目的】

経済成長に伴い、水質汚濁や大気汚染等、環境問題が深刻になりつつあるアジ

ア地域に対し、県内の環境産業が有する技術を提供し環境保全とともに外貨獲得

による売上増加を図る。

目指す姿 県の取組

県内企業の有する環境技術の製品化

長崎環境・エネルギー産業

ネットワークの活動を通じ

海外展開可能な技術シーズ

の創出を支援

活躍主体

県内中小企業

H28 H29 H30 H31 H32

工程

海外展開プラットフォームを活用した成功事例や現地情報等の共有

ビジネスマッチング支援

ASEANセミナー等の実施

数値目標 基準値〈年度〉: 6社〈H26〉

目標値〈年度〉:30社〈H32〉海外への進出や販路拡大を行う企業・団体等の数(累計)

Page 97: 平成 28 年3月 - Nagasaki Prefectural Government...Ⅰ.計画策定の趣 -1- Ⅰ.計画策定の趣旨 1.ねらい 我が国は人口減少局面にあり、国内需要の減衰に伴う経済の縮小など、

Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-93-

【数値目標及び工程表】

(エ) 外貿物流体制の構築

【目的】

県内企業の海外との貿易を促進するため、外貿物流体制の充実に向けて、コン

テナ物流の拠点となる長崎港の利便性向上に取り組む。

目指す姿 県の取組

海外とのモノの流れが活発化し、本県経済

が活性化する。

既存コンテナ航路の維持対策

と新規航路開設の取組推進

長崎港のPRを図り、新たなコ

ンテナ貨物の創出を促進

活躍主体

A) 船社

B) 輸出入企業

C) 物流企業

【数値目標及び工程表】

(オ) 地域産品の域外・海外への移輸出を見据えた高付加価値化の推進

【目的】

雇用面を含む地域経済に深く関係する、手延そうめん、手延うどん、陶磁器、

かんころ餅などの地域産品の高付加価値化や販路拡大を後押しすることにより、

域外需要を取込み、地域経済の振興を図る。

H28 H29 H30 H31 H32

工程

長崎環境・エネルギー産業ネットワークの活性化

海外展開支援

 基準値〈年度〉:0〈H27〉海外展開が可能な技術シーズの創出数値目標

 目標値〈年度〉:1件〈H32〉

H28 H29 H30 H31 H32

基準値〈年度〉: 3,500TEU〈H24〉

目標値〈年度〉:10,000TEU〈H32〉長崎港取扱コンテナ貨物量(実入り)数値目標

新たなコンテナ貨物の創出を促進

既存コンテナ航路の維持と新規航路開設へ向けた取組

工程

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-94-

目指す姿 県の取組

県の支援を受けた県内食料品製造業者の付

加価値額が5年間で20%向上

付加価値の高い商品の開発や、

アンテナショップを活用した

PR、展示会・商談会への出展

支援により地域産品の振興を

図る

活躍主体

県内中小食料品製造業者

【数値目標及び工程表】

(カ) サービス産業の県外需要獲得支援

【目的】

県内サービス産業の規模拡大を図るため、インターネットを活用した販売手法

の導入支援等を実施する。

目指す姿 県の取組

インターネット通信販売ならではのノウハウやテクニ

ックを活用した売上拡大

通 販 事 業 者 と 連

携 し た セ ミ ナ ー

と 特 別 支 援 を 実

活躍主体

県内関連企業(小売業等)

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標

特別支援(講座、長崎県コーナー設置)を実施

目標値〈年度〉:1,800,000千円〈H31〉

特別支援受講者に対するフォローアップ

セミナーを開催後、特別支援参加者を募集

工程

基準値〈年度〉:    ―   

ネットではばたく通信販売支援事業によるインターネット通販の年間販売額

H28 H29 H30 H31 H32

② 地域産品のPR・販路拡大支援

工程

付加価値の高い商品開発の支援

数値目標 基準値〈年度〉:118,450千円〈H25〉

目標値〈年度〉:142,140千円〈H32〉県内食料品製造業1事業所当たりの付加価値額の増

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-95-

⑤ 創業・起業

県内経済の活性化のためには、県内における新たな需要の萌芽をビジネス

に繋げ、経済を循環させていくことができる環境が重要であり、これがひい

ては新たな産業や雇用を生むと言える。

【重点施策】

(ア) 創業・起業の支援

【目的】

創業に関心のある者の掘り起しや県民の創業意識の醸成のほか、県内で創業を

行う際に障害となっている様々な課題を解決する。

目指す姿 県の取組

県内で年間600件以上の創業 市町や長崎県産業振興財団等の関係機関

と連携した創業者向けの研修の実施

市町が取り組む創業者発掘事業への支援

大学等との連携による事業化促進

クラウドファンディングの活用促進

UIJターンによる創業・起業を支援

活躍主体

県民等

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

工程

相談対応・専門家派遣

支援の効果検証・フィードバック

クラウドファンディングでの資金支援

数値目標 基準値〈年度〉:  ―  

目標値〈年度〉:3,000件〈H32〉創業件数(累計)

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-96-

(3) 働く場を創る/改善する

魅力的な雇用の場の創出により、県民が県内に職を求め、県外への人口流出

が抑制されるよう、企業誘致や県内企業の雇用環境改善に努める必要がある。

①県内企業と親和的な企業の誘致により、県内企業にとってのメリット創出②求職者ニーズにあった雇用の創出

戦略の

方向性

施策の対象

【基本戦略】

県外企業のうち誘致対象企業

県内企業のうち新分野に進出する企業や魅力的な職場づくりに取組む企業等

① 企業誘致の推進

企業ニーズや本社機能の地方移転に向けた国の動きなどを踏まえて、本県

の優位性を生かした戦略的、効果的な企業誘致を推進し、良質な雇用の場の

創出と地域経済の活性化を図る。

【重点施策】

(ア) 企業誘致の受け皿の整備促進

【目的】

製造業やオフィス系企業等の誘致を推進するため、アクセスやインフラなど、

企業ニーズに合致した工業団地やオフィスの整備を促進する。

目指す姿 県の取組

A) 企業ニーズに合致した優良な工業団地が、平成

32 年度までに 5 箇所造成される。

B) 企業ニーズに合致したオフィスが、平成 32 年

度までに 2,000 坪整備される。

市町が行う工業団地

整備に対して支援を

行う。

公有地活用や民間開

発の誘発などにより

オフィス整備を行う。

活躍主体

A) 市町

B) 誘致企業、デベロッパー、市町等

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

市町による工業団地整備

数値目標

県有地活用や、民間開発等によるオフィスビル整備

基準値〈年度〉:  ―  

①目標値〈年度〉:5箇所〈H32〉 ①新規分譲工業団地数5箇所②オフィスの整備面積

②目標値〈年度〉:2,000坪〈H32〉

工程

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-97-

(イ) 効果的な企業誘致の実施

【目的】

企業ニーズに対応した支援制度や円滑に事業展開できる環境を整備し、長崎県

産業振興財団を主体に県、市町及び関係機関等が連携して、民間を活用した情報

収集や企業への効果的な働きかけにより、それぞれの地域の特性を生かしながら、

(a)市場の拡大や製品の増加が見込まれる企業、 (b)一定規模かつ継続的な雇用を

創出する企業、 (c)取引拡大による地場企業の成長を促進する企業、 (d)県内技術

の高度化等に寄与する企業、などを中心とした企業誘致を推進する。

目指す姿 県の取組

A) 誘致対象企業のニーズに

合致した助成制度によっ

て、企業誘致が促進され、

平成 32 年度までに 2,700

名の雇用が創出される。

B) 誘致企業と地場企業の取

引が拡大する。

誘致企業のニーズを踏まえた支援制度の見直し

を実施する。

誘致企業に対して、立地奨励補助金を交付する。

既立地企業へのアフターフォローや地場企業と

のマッチング等を実施する。

重点誘致分野(例)

① 自動車関連(次世代自動車を含む)

② 航空機関連

③ 自動化技術関連

④ 精密機器・医療福祉機器関連

⑤ 食品関連

⑥ エネルギー(省エネ・再生含む)関連

⑦ 金融・保険・BPOセンター関連

⑧ ソフトウェア開発関連など

活躍主体

誘致企業等

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

② 企業誘致の実施

企業ニーズに対応した支援制度の見直し

工程

基準値〈年度〉:2,217人〈H26〉

目標値〈年度〉:2,700人〈H32〉誘致企業による雇用計画数数値目標

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-98-

② 魅力ある職場環境づくり

県内中小企業等が、誰にとっても働きやすい環境を備えることができるよう、

職場環境改善などに取り組む企業を支援する。

【重点施策】

(ア) 働きがいのある魅力的な職場環境の整備

【目的】

若者の県内定着を促進し、女性や高齢者の就業率を向上させるために、誰もが

働きやすい良質な職場環境の実現を目指し、雇用者の処遇改善や職場環境改善な

どに取り組む中小企業等を支援する。

目指す姿 県の取組

A) 良質な雇用の場の創出

B) 若者の県内定着促進

C) 女性や高齢者の就業率向上

誰もが働きやすい職場づ

くり実践企業認証制度の

創設

職場環境づくりアドバイ

ザーの派遣

労働セミナー等の開催

活躍主体

県内中小企業等

【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標 基準値〈年度〉:60.6%〈H26〉

目標値〈年度〉:71.3%〈H32〉ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業の割合

工程

認証企業の周知・インセンティブ付与

職場環境づくりアドバイザーの派遣

労働セミナー等の開催

誰もが働きやすい職場づくり実践企業の認証

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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(4) 有能な人材を育成/獲得する

若年層の人口流出が常態化しており、県内企業の人材確保が困難となってき

ている。また、県内の雇用環境にはミスマッチが見られるため、企業が求める人

材の育成と、育成した人材が県内企業を選ぶように、雇用環境を整える必要があ

る。

① 産業人材の育成

県内企業の声を聞きながら、企業が求める人材像を見極め、送り出し側で

ある学校と連携して県内企業への就職を推進する。

【重点施策】

(ア) 産学官の連携強化による人材育成

【目的】

産業界と学校及び行政が緊密に連携し、産業人材の育成、県内就職の促進、処

遇改善、人材確保という 4 つのテーマについて情報共有・意見交換を行いながら

「人財県長崎」の実現のために有効な具体的取組を検討し、実施する。

目指す姿 県の取組

A) 優れた人材を確保することによる県内企業の発

展と雇用の拡大

B) 若年者の県内就職・定着化の拡大

C) 中間管理職等リーダー層のキャリア開発促進に

よる県内企業の人材力強化・業績拡大

D) 経営革新の気運醸成による新分野進出、新事業

展開に取り組む県内企業の拡大

コンソーシアムにお

ける意見交換、情報

共有

人材育成戦略の策定

コンソーシアムでテ

ーマごとに事業化の

検討・実行

COC+事業など、

大学と連携した人材

育成

活躍主体

【長崎県産業人材育成産学官コンソーシアム】

(県内企業、学校、県等で組織)

①県内企業の魅力を県内外の高校、大学に発信(UIJターン促進)②県内企業が求める技能等のスペックを満たす人材を、出口を見据えて育成③雇用のミスマッチ解消支援

戦略の

方向性

施策の対象

【基本戦略】

人手を求める県内企業

県内高校・大学卒業者

本県出身者等

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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【数値目標及び工程表】

(イ) 学校段階でのキャリア教育の充実

【目的】

学校教育で実施されるキャリア教育 23をより充実・支援し、職場体験、インタ

ーンシップの効果的な活用等により、地域産業に対する関心・理解を進め、将来

の本県の産業を担う人材の育成と確保を図る。

目指す姿 県の取組

若年者の職業観の醸成と併せ、地域産業・企

業の情報を発信することで、将来の産業発展

を担う若手人材の育成・確保を推進する。

キャリア教育を充実・発展さ

せるために、恒常的に対話す

る場を設置し、有効な取組を

検討・実施する。

職場見学、職場体験、インタ

ーンシップを推進する。

高校生資格取得講習会の開

催等ものづくりを担う人材

育成を図る。

活躍主体

A) 県

B) 県内企業 及び業界・地域団体等

C) 小中高校 及び大学等

【数値目標及び工程表】

23 キャリア教育:一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、

キャリア発達を促す教育

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標 コンソーシアムで検討し、事業化する件数 目標値〈年度〉:15件〈H32〉

基準値〈年度〉:  ― 

工程

コンソーシアムにおいてテーマごとに事業化の検討

事業の検証・見直し・改善

COC+事業など大学と連携した人材育成の実施

事業実行

人材育成戦略の策定

H28 H29 H30 H31 H32

工程

大学生インターンシップの実施

基幹産業等のものづくりを担う人材の育成・確保

数値目標インターンシップ受講者アンケート調査で「新たに県内企業を知ることができた」と回答した割合

目標値〈年度〉:82.0%〈各年度〉

基準値〈年度〉:82.0%〈H27〉

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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(ウ) 職業能力開発による人材育成

【目的】

県立高等技術専門校、国及び民間教育訓練機関等において、必要な技能・技術

及び知識を習得するための職業訓練を行い、県内企業が求める産業人材を育成す

る。

目指す姿 県の取組

県内企業が求める産業人材が、県内企業に

就職し、企業の業績向上に資する。

県立高等技術専門校において、

主にものづくり系の職業訓練を

行う。

民間教育訓練機関に委託して離

職者に対する職業訓練を行う

中小事業主等が、事業所内で在

職者に対する職業訓練を実施で

きるよう後押し

活躍主体

A) 県(県立高等技術専門校)

B) 国及び民間教育訓練機関等

C) 県内企業(中小事業主等)

【数値目標及び工程表】

② 県内就職の促進

県内企業の情報の提供や、インターンシップの推進等により、県内高校、

大学卒業生が県内企業に就職しやすい環境を整えるとともに、就職希望者と

県内企業のマッチングを支援する。

【重点施策】

(ア) 高校生・大学生の県内就職促進

【目的】

高校生や大学生、その保護者等に対して、県内企業の情報や本県の暮らしやす

さについて発信するとともに、経済団体、県内企業、高校、大学など関係機関と

の連携を強化し県内就職の促進に取り組む。

H28 H29 H30 H31 H32

工程

ワーキンググループによる訓練内容等の見直し

見直し項目の実施

職業訓練による産業人材育成

数値目標高等技術専門校の新規高卒者等修了生の県内就職率

目標値〈年度〉:90%以上維持〈H32〉

基準値〈年度〉:85.7%〈H26〉 

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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目指す姿 県の取組

県内就職率を平成 32 年度までに、65%(高

校生)、55%(大学生)とする。

県内企業情報や本県の暮らしや

すさについて情報発信

合同企業面談会・説明会の開催

インターンシップの推進

求人の早期提出要請

奨学金返還支援制度の創設

活躍主体

A) 県

B) 県内企業

C) 高校、大学等

【数値目標及び工程表】

(イ) 若者などの就業支援

【目的】

長崎県総合就業支援センターを拠点に若者、中高年、女性、高齢者等の様々な

求職者のニーズに応じた就業支援を実施するとともに、人材確保・離職対策等の

企業支援に取り組む。

目指す姿 県の取組

県内就職促進、定着による県内企業の発展及び、

地域活力の活性化

求職者ニーズに応じた

就業支援の実施

企業の人材確保支援

活躍主体

ながさき若者・女性・高齢者就職応援団、長崎県

総合就業支援センター等

H28 H29 H30 H31 H32

工程

県内企業情報や本県の暮らしやすさの発信

インターンシップの実施

効果の検証・フィードバック

合同企業面談会・説明会の開催

求人の早期提出要請

数値目標

基準値〈年度〉:大学生44.9%〈H26年度〉

基準値〈年度〉:高校生57.7%〈H26年度〉

目標値〈年度〉:大学生55%〈H32年度〉 目標値〈年度〉:高校生65%〈H32年度〉

高校生、大学生の県内就職率

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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【数値目標及び工程表】

H28 H29 H30 H31 H32

数値目標 基準値〈年度〉:54%〈H26〉

目標値〈年度〉:72%〈H32〉総合就業支援センター登録者の就職率

工程

求職者ニーズに応じたカウンセリング、適職診断、セミナー等の実施

求人・求職支援サイトによる情報発信

ながさき若者・女性・高齢者就職応援団登録企業への人材確保支援

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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(5) 重点推進プロジェクト

基本指針に則り、今後県として中長期的に進めていく施策パッケージについ

て、「重点推進プロジェクト」として、以下のとおり位置づけ、特に注力してい

くものとする。

① 長崎県海洋エネルギー産業拠点形成プロジェクト

本県は、広大な海域を有する海洋県であり、豊富な海洋エネルギーポテンシャルを

有し、また、全国有数の造船産業集積地で、長年、培われた技術等の蓄積もある。

造船業で培われた技術を活用し、海洋再生可能エネルギーの実用化や商用化を推進

することで、本県の造船業とも連携しながら海洋再生可能エネルギー関連産業の集積、

拠点形成を促し、国際競争力のある産業への育成、良質な雇用の創出、県民所得の向

上に繋げていく。

拠点形成については、造船業を含む地元産業界、地元大学等の研究機関、行政の地

元産学官が共通目的として位置付け、産学官がそれぞれの役割を果たし、それぞれの

取組の情報を共有し、更に新たな課題の解決に向けて連携・協議を行うことで、柔軟

性を持ちつつ着実な推進を図っていく。

今後、製造・設置・メンテナンス等の各拠点機能を創出しつつ、新たな課題を解決

しながら拠点形成を実現していくために、以下のようなステップを踏んでいく。

(ア) イノベーション環境の改善

(イ) 企業の集積・アンカー企業の出現

(ウ) 起業環境の改善(地域社会・経済への拡がり)

(エ) 評判の確立

今後、5年間(平成32年度まで)では、「 (ア)イノベーション環境の改善」として、

実証フィールドの構築、研究開発拠点の形成、「 (イ)企業の集積・アンカー企業の出現」

として、地元企業の実証プロジェクトへの参画、技術の蓄積等に取り組んでいく。

図表 111

1.実証フィールドの姿を長崎から示す2.海洋エネルギーのポテンシャルを地域で最大限活用3.ポテンシャルや蓄積した技術を活かし国内外へ展開

港湾労働者

漁業関係者

ダイバー

関連産業・団体【研究海域空間を目指す】・海象データの揃った・安全対策が整った・社会実装研究所

海洋エネルギー関連技術のノウハウの蓄積

【地元産業界の目指す姿】・コネクターハブ企業、アンカー企業としての役割・地元企業による研究開発

・地場企業のビジネスチャンスの拡がり

大学・研究機関

地元産業界

離島

実証フィールド

・研究施設の提供・研究成果の共有・共同研究・人材交流・情報提供、助言・技術・製品サービスの提供 等

・実証サイト運営、運営対応・利用者へのONE STOPサービス・地元関係者対応・商用サイト対応 等

・日本に適した海域利用ルールの検討

・実証フィールドを中心とした環境

面、安全面に係る日本に適したルールの構築・導入 等

検討すべき項目

必要な支援策

必要な支援策の提言、予算要求

係わり方

係わり方

長崎で実証

・海外における評判確立

欧米諸国

・研究施設の提供・研究成果の共有・共同研究・人材交流・専門的なアドバイス 等

【行政の目指す姿】・県の重要施策として位置づけ、推進。・「イノベーション環境の改善」から

産学官が連携したクラスターの形成

船舶運行管理者実証フィールド利用者

海上作業

見学・視察

【大学研究機関の目指す姿】・県内外、国外大学との連携による研究開発拠点、人材育成拠点の構築

■4つのステップ①イノベーション環境の改善②企業の集積・アンカー企業の出現③起業環境の改善④評判の確立

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-105-

② センサー関連産業集積プロジェクト

自動車のグローバル市場規模は、2014 年、年間約 8,720 万台、約 1 兆 7,000 万米ド

ルであったが、2035 年には 1 億 5,000 万台、約 3 兆米ドル≒350 兆円規模に達すると

いう試算もある。車 1 台当たりのカメラ搭載数は現在約 9 個だが、2020 年までに倍増

するとの予測もあり、新たな取組である自動走行への期待は大きく、また、車のみな

らず、エネルギー、医療・福祉、農業、観光等、多方面において、進化したセンサー

技術が豊かな未来を形作る絵姿が想起され、関連市場の大幅な拡大が見込まれている。

このような中、本県においては、主に大手半導体メーカー等をはじめとした誘致企

業がこの分野を牽引しているが、次世代のキーテクノロジーとなるセンサー技術の関

連産業を県内に新たに定着させ、集積させることで、域内に外貨を呼び込む力を涵養

するとともに、あらゆる産業の生産性向上に貢献することを目指すこととする。

【自動走行等、センサー技術を活用した県内での研究開発に意欲のある企業の取組を

支援】

(ア) 自動走行の技術開発のため、長崎大学等、産学官連携のプロジェクトチームを

組成する。

(イ) 南島原市と連携し、島原鉄道廃線敷及び一般公道並びに廃校となった校舎を活

用して自動走行実証のためのフィールドを整備する。

(ウ) 長崎県産業人材育成産学官コンソーシアムを活用しセンサー関連企業が求める

人材育成プログラムを構築する。

(エ) センサー関連企業のニーズを把握しつつ、工業団地等受け皿の整備を図りなが

ら、センサー関連企業の誘致を推進する。

図表 112

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

-106-

③ サービス産業の振興プロジェクト

県内のサービス産業を取り巻く環境が変化している中、今後のサービス産業の活性

化に向けて対応が必要な主な変化は以下の3つである。

1) 高齢化社会の進行

2) ICT社会の進展

3) 国内外からの観光客の増加

高齢化社会の進行は、医療・介護サービスへのニーズが高まるだけでなく、高齢者

の日常生活を支援する「買い物」等のサービスに対するニーズや予防のための健康サ

ービスのニーズの高まりにもつながり、高齢者を対象とした新たなビジネスチャンス

が広がる。また、地域の拠点となる商店街等において、高齢者向けのサービスを充実

させることで高齢者の来街を促し、新たな顧客の獲得につながる。

ICT社会の進展に伴い、消費者の購買行動が変化し、実店舗で購入する以外にも

インターネットを通じて購入する例が増えている。購入方法の選択肢が広がったこと

により購買行動の多様化が進み、インターネットを活用した商品・サービス提供への

ニーズが高まっている。

世界遺産や県内の豊富な観光資源を目指して、国内外からの観光客が増加しており、

県内の宿泊事業者や観光事業者などに対して、外国人やハイエンドの顧客を含む多様

なニーズに対応できるようなサービスの提供が求められている。

以上のニーズを今後の県内のサービス産業の付加価値向上と従事者の所得向上へ向

けた好機と捉え、以下の施策を実施していく。

(ア) 官民共同の協議会による先進事例の普及促進

(イ) 高齢化社会を背景にした新サービス(介護周辺・健康サービス分野の事業化等)

促進

(ウ) 宿泊業の生産性向上支援

(エ) 飲食業の振興

(オ) 通信販売事業への支援

(カ) 県外需要の獲得支援

(キ) 地域の拠点となる商店街の取組支援

(ク) 空き店舗の活用・運営手法等の検討

図表 113

取組方針

サービス産業官民連携推進• 官民連携の協議会を設置し、優良事例の普及等を推進

健康づくりサービス(介護周辺・健康サービスの拡充)• 介護周辺・健康サービスの事業化とともに、関連サービスの利用を促進

EC市場(インターネット通販)• 域外へのインターネット通販支援を実施

宿泊業の生産性向上• 金融機関等と連携して宿泊業の生産性向上を支援

商店街の生活空間化• 商店街の活動支援等により、幅広い世代が集う商店街の生活空間化を実現

県外需要の取込み 新サービスの創出 生産性の向上

業界の底上げ

成長が期待される市場へ向けた取組

足元の市場を活性化する取組

取組の方向性 具体的な施策

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Ⅴ.本県産業の進むべき方向性と具体的施策

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④ 食料品製造業の高付加価値化支援

本県の製造業のうち、最も従業者数の多い食料品製造業は、従業者1人当たりの付

加価値額が全国39位と下位である。

これまで、食の総合産業化プロジェクト事業やふるさと企業包括支援事業により、

売上約1億円以上の規模の企業への総合的な支援を実施。また、農商工連携・地域資

源の活用による商品開発に対する支援、商談会やテストマーケティングの場の提供に

よる販路拡大の支援を実施している。

今後、更なる製造業者の生産性の向上、高付加価値な商品開発等を推進するため、

以下の取組を実施する。

(ア) 付加価値向上に繋がる4つの視点(高度加工、希少素材の活用、衛生体制の強

化、アワードの獲得)からの支援強化

(イ) 輸出・物流対策支援

図表 114

・県内で農林水産業者と製造業者のマッチングの仕組みがなく、県産原材料の利用拡大が進まない

マッチングが進んでいない

・従業者1人当たりの付加価値額が全国39位

現状の主な取り組み 今後必要な取り組み

・売上5億円以上の中堅企業の規模拡大の取組を支援、中間加工設備の導入支援、アドバイザー派遣や商談会出展支援(『食の総合産業化プロジェクト』)

・売上1億円~5億円程度の中堅企業予備軍に対する包括的支援(『ふるさと企業包括支援事業』)

・島原手延そうめん、五島手延うどん等の産地ブランド確立・販路拡大(『産地ブランド確立推進事業』)

○高付加価値マーケットに合致した商品づくりを推進・付加価値向上に繋がる4つの視点(高度加工、希少素材の活用、衛生体制の

強化、アワードの獲得)からの支援強化

○海外への輸出に意欲的な企業の支援

○距離的ハンディ解消に向けた物流コストの低減化

付加価値が低い

・従業者4人以上の食料品製造企業における規模別の割合は、30人以上(13%)、29人以下(87%)。付加価値額は30人以上の企業で75%を占める。

中堅企業への付加価値の集中

(数字はH25工業統計より)

現状・課題

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⑤ 「人財県長崎」人材育成モデル構築プロジェクト

優れた人材の活躍により県内産業を活性化させ、そのことが地域の企業を育て新

たな雇用を生み出すという「しごと」と「ひと」の好循環を生み出すためには、産

業界、学校及び行政の連携が不可欠である。

産学官が緊密に連携し、産業人材の育成や若年者の県内就職・定着化等について

意見を交換し、情報を共有しながら「人財県長崎」を実現するため、長崎県産業人

材育成産学官コンソーシアムを設置した。

具体的には、以下4つのテーマに基づき、今後の施策を検討していく。

(ア) 人材育成

教育段階でのふるさとキャリア教育から、就業段階でのキャリアパスづくりま

での一貫した人材育成のあり方

(イ) 県内就職の促進

県内企業の魅力や長崎県の暮らしやすさについて県民に理解を深めてもらう

等県内就職の促進に資する方策

(ウ) 処遇改善

県内企業の処遇改善へ向けた経営者の意識改革等に資する方策

(エ) 人材確保

雇用のミスマッチの解消や県外流出者に対する県内求人情報等の提供等UI

Jターンの推進に資する方策

各テーマについて、ワーキンググループの中で産・学・官が一体となって議論し、

より具体的・効果的な取組を企画、立案、実行していく。

まずは、本県の産業構造や産業人材育成の現状を踏まえたうえで、企業・学校・

行政の役割と取組事項を明確にした戦略を策定し、より効果的な人材育成、県内企

業への就職・定着、企業誘致を促進することで、優秀な人材が企業振興を促進する

「ひと」と「しごと」の好循環を目指す。

なお、本プロジェクトの推進に当たっては、国の「地(知)の拠点大学による地

方創生推進事業(COC+)」等と連携し、県内大学等と県が具体的な協定を締結

し、人材育成や地元定着に向けた取組を実施する。

図表 115

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⑥ 長崎金融バックオフィスセンター構想2020の推進

優秀な人材が豊富で、地震や津波が少ない本県の強みを活かし、2020年度ま

でに長崎港ウォーターフロントに保険会社など金融機関のバックオフィス機能等を

誘致・集積させ、新たに2,000名を超える良質な雇用を創出する。

中でも今後成長分野と考えられる金融IT分野においてプロフェッショナル人材

のUIJターンを促進するとともに、2016年4月、長崎県立大学に日本で初め

て開設予定の「情報セキュリティ学科」等と連携し高度専門人材を育成するなど、

既存金融拠点の拡充や更なる企業誘致を図る。

さらに企業の本社機能の移転・拡充の動きや製造業のBCP対応も捉えた積極的

な誘致活動を実施する。

(ア) 長崎港ウォーターフロントにおいて県有地活用や民間開発の誘発などによ

り良質なオフィスを確保

(イ) プロフェッショナル人材のUIJターンを促進するとともに長崎県立大学

情報セキュリティ学科等と連携し高度専門人材を育成

(ウ) 情報力、交渉力を強化するため民間企業等経験者を配置するとともに、本

県の企業誘致情報の積極的な発信等を行って企業誘致を推進

(エ) 企業誘致を推進するため、長崎県産業振興財団の積極的な企業訪問等の活

動を支援し、雇用の場を創出

図表 116

長崎金融バックオフィスセンター構想2020の推進

○ 2020年度までに長崎港ウォーターフロントに保険会社など金融機関のバックオフィス機能等を誘致・集積させ、新たに2,000名を超える良質な雇用を創出

○ 金融IT分野においてプロフェッショナル人材のUIJターン促進や長崎県立大学に日本で初めて来春開設予定の 「情報セキュリティ学科」等と連携した高度専門人材の育成

※下図中、企業名は本県と企業立地協定を締結の上立地した主な金融系企業

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4.施策推進のために

本計画の推進にあたっては、推進体制を整備し、数値目標を設定したうえで

着実に成果を出すことができるよう取り組むこととする。

(1) 推進体制について

本計画の推進にあたっては、推進母体として、関係機関が一体となり取組を

推進できるような組織を構築する。

以下に推進体制の組織イメージを掲載するが、組織については計画の実施の

中で引き続き調整・検討していく。

なお、下記「ナガサキ産業振興ネットワーク(仮称)」には、構成員として各

産業支援団体に参画いただくことを想定している。

図表 117

県内各地域の支援を要する地場企業等

商工関係団体

JETRO

市町

金融機関

産業振興財団

その他

産業人材育成産学官コンソー

シアム

食料産業クラスター協議会

ロボットネットワーク(仮称) 海洋産業

クラスター形成推進協議会

環境エネルギー産業ネットワーク

サービス産業推進協議会(仮

称)

その他

連携ネットワーク構築

①各推進組織における取組を支援

②推進組織と県内企業間のコーディネート

③県外・県内企業と県内企業コーディネート

市場・資金・技術・人材

面のコーディネート

働く場の創出/改善

新たな需要の発掘/創出

有望な人材の育成/確保

生産性/競争力向上

工業会

教育機関

ナガサキ産業振興ネットワーク(仮称)について1.県内各産業支援機関のネットワークを組成2.「ながさき産業振興プラン」の掲げる目標へ向け、県内各産業関係団体や企業連携組織とともに県内企業を支援3.県内企業・関係団体・企業連携組織等と、県内企業間のコーディネートを実施

よろず支援拠点

国の関係機関

ナガサキ産業振興ネットワーク(仮称)

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(2) 進捗管理について(PDCAサイクル)

本計画を実行していく際には、それ

ぞれの施策について定めた工程表を

もとに、PDCAサイクルに則り進

捗管理を行い、定めた数値目標の達

成に向け事業を実施していく。

(3) 数値目標について

① 数値目標一覧

基準値 〔基準年度〕 最終目標値 〔年度〕

 生産性/競争力を高める 県内製造業の従業者一人当たり付加価値額の増 10,046千円 〔H24年〕 10,550千円 〔H32年〕

県内中小企業(法人企業)1社当たり売上高 269,210千円 〔H25年度〕 282,670千円 〔H32年度〕

サービス産業の県内総生産額 18,150億円 〔H24年度〕 18,330億円 〔H32年度〕

(宿泊業)生産性向上計画の策定数 - 40件 〔H31年度〕

県の支援施策を受けた企業の付加価値額の増加率 - 5% 〔H32年度〕

県内食料品製造業1事業所当たりの付加価値額の増 118,450 千円〔H25年度〕 142,140千円 〔H32年度〕

工業会組織の自立的な運営 - 1件 〔H32年度〕

受発注共通プラットフォームの構築 - 1件 〔H32年度〕

工業技術センター及び窯業技術センターの技術支援による製品化のための試作件数

238件 〔H26年度〕累計1,384件

〔H28年度~H32年度〕

特許実施許諾成約件数 - 累計30件 〔H30年度〕

 新たな需要を発掘/創出する 新たな産業分野における事業創出・参入件数 0件 〔H26年度〕 4件 〔H32年度〕

県内実証フィールドでの海洋再生可能エネルギー実証プロジェクト実施件数(累計)

1件 〔H27年度〕 6件 〔H32年度〕

県の支援によるロボット関連分野における製品化 - 8件 〔H32年度〕

商用ベースの燃料電池船の開発 - 1隻 〔H31年度〕

自動走行実証フィールド活用企業の誘致 - 1社 〔H31年度〕

地域エネルギー会社の創設 - 1社 〔H31年度〕

介護周辺・健康サービス分野の事業化件数 - 25件 〔H31年度〕

2人乗り超小型モビリティの製品化 - 1台 〔H30年度〕

補助事業を活用する商店街数 ― 25箇所 〔H31年度〕

県の支援を受けて海外への進出や販路拡大を行う企業・団体等の数 6社 〔H26年度〕 30社 〔H28年度~H32年度〕

海外展開が可能な技術シーズの創出 ― 1件 〔H32年度〕

長崎港取扱コンテナ貨物量(実入り) 3,500TEU 〔H24年度〕 10,000TEU 〔H32年度〕

通信販売支援事業によるインターネット通販の年間販売額 ― 1,800,000千円 〔H31年度〕

創業件数 ―3,000件

〔H28年度~H32年度〕

数値目標基本指針 指標

図表 118

図表 119

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基準値 〔基準年度〕 最終目標値 〔年度〕

 働く場を創る/改善する 新規分譲工業団地数 - 5箇所 〔H32年度〕

オフィスの整備面積 - 2,000坪 〔H32年度〕

誘致企業による雇用計画数 2,217人 〔H26年度〕 2,700人 〔H32年度〕

ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業の割合 60.6% 〔H26年度〕 71.3% 〔H32年度〕

 有能な人材を育成/獲得する コンソーシアムで検討し、事業化する件数 - 15件 〔H32年度〕

インターンシップ受講者アンケート調査で「新たに県内企業を知ることができた」と回答した割合

82.0% 〔H27年度〕 82.0% 〔各年度〕

高等技術専門校の新規高卒者等修了生の県内就職率 85.7% 〔H26年度〕 90%以上維持 〔H32年度〕

県内大学生の県内就職率 44.9% 〔H26年度〕 55% 〔H32年度〕

県内高校生の県内就職率 57.7% 〔H26年度〕 65% 〔H32年度〕

総合就業支援センター登録者の就職率 54% 〔H26年度〕 72% 〔H32年度〕

基本指針 指標数値目標

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(参考)次期「長崎県産業振興ビジョン(仮称)」策定会議委員名簿

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