平成 29年3月coal.jogmec.go.jp/content/300335193.pdf平成28 年度海外炭開発支援事業...
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1
目次 1. 石炭価格の推移 ................................................................................................................ 2 2. 資源メジャー・大手企業の状況及び石炭事業戦略 ......................................................... 3 3. 操業中の炭鉱 .................................................................................................................. 27 4. 主要新規開発案件 .......................................................................................................... 38 5. 近年の炭鉱の売却 .......................................................................................................... 43 6. 近年の操業休止・閉山炭鉱 ............................................................................................ 45 7. 遅延・中止・売却対象の新規開発案件 ......................................................................... 46 8. まとめ ............................................................................................................................. 47
2
1. 石炭価格の推移 近年の一般炭と原料炭価格の推移を図 1-1 に示す。グラフは原料炭が一般炭よりも高
価であることと、一般炭と原料炭の価格の動きはほぼ同様の傾向であることを示してい
る。2004~2011 年にかけてオーストラリアでは資源ブームとなり、コモディティ価格
が上昇した。また、2008 年には QLD 州で大規模な洪水が発生して石炭の供給が滞り、
原料炭の価格は 300US$/t に達し、一般炭の価格は 190US$/t 以上となった。さらに
2011 年も QLD 州において洪水が発生し、原料炭の価格は 330US$/t、一般炭の価格も
140US$/t 以上となったが、2011 年以降、コモディティ価格の下落が始まり、2016 年
1 月に原料炭は 75US$/t、一般炭は 53US$/t まで価格が下落した。 しかしその後、原料炭の価格が緩やかに上昇を開始し、それに追随して一般炭の価格
も上昇に転じた。そして 2016 年 7 月から石炭の価格は急激に上昇し、2016 年 11 月に
原料炭は 300US$/t、一般炭は 100US$/t を超える状況となった。
出典:TEX レポートデータ
出典:IMF データ
図 1-1 一般炭と原料炭価格の推移
050
100150200250300350
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原料炭価格(US$/t)
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一般炭価格(US$/t)
US$
U
S$
3
2016 年 7 月以降石炭の価格が急激に上昇した原因として、中国政府が国内炭鉱の操
業日数を年間 330 日から 276 日に規制したことによる中国国内の石炭の生産の減少が
挙げられる。また、これに加えて South32 社の坑内掘りの Illawarra 炭鉱(NSW 州)
が通気系統のトラブルにより生産の削減を余儀なくされたこと、2016 年 9 月に QLD州で石炭を輸送する鉄道の事故が発生したこと(Aurizon 社の Newlands 路線)なども
影響した。ただし石炭価格の上昇はあまりに急激であったことから、この高水準の価格
は長続きしないとも見られていた。その後、中国政府が国内炭鉱の操業日数の制限を緩
和したことを受けて石炭価格は値を下げた。しかしながら、2017 年 1 月時点では原料
炭価格が 180US$/t であるなど石炭価格は 2016 年以前と比べて高い水準を維持してい
る。 2. 資源メジャー・大手企業の状況及び石炭事業戦略 資源メジャーの石炭事業が全体に占める利益比率を図 2-1 に示す。石炭の利益比率は
Glencore(28%)、Anglo American(22%)が大きく、BHP Billiton(5%)、Rio Tinto(4%)は石炭が全体に占める割合が小さい。
図 2-1 資源メジャー4 社の利益比率
資源メジャー4 社が石炭の生産を行っている国と各国が生産量に占める割合を図 2-2
4
に示す。Anglo American は南アフリカでの生産量が最も多いが、BHP Billiton、Glencore、Rio Tinto はオーストラリアにおける生産量が最も多い。
図 2-2 資源メジャー4 社の石炭生産国
Anglo American、BHP Billiton、Glencore、Rio Tinto、South32、Vale、Peabody Energy、Centennial Coal、New Hope、Wesfarmers、Whitehaven の各社の 2015 年
の石炭生産量を表 2-1 に示す。
表 2-1 主要企業の 2015 年の石炭生産量(全世界) 企業名 石炭生産量 原料炭 一般炭
Peabody Energy 249.8Mt 17.2Mt 232.6Mt Glencore 131.5Mt 9.5Mt 122.0Mt Anglo American 94.88Mt 21.21Mt 73.68Mt BHP Billiton 83.63Mt 42.62Mt 41.01Mt South32 42.65Mt 7.46Mt 35.20Mt Rio Tinto 30.14Mt 11.51Mt 18.64Mt Centennial Coal 15.4Mt 詳細内訳データ非公表 Wesfarmers Resources
15.2Mt 8.47Mt 6.77Mt
Whitehaven Coal 14.9Mt 詳細内訳データ非公表 New Hope 6.6Mt - 6.6Mt Vale 6.51Mt 5.61Mt 0.89Mt
出典:Annual Report は各社 HP から入手
5
石炭年間生産量に関しては、Peabody Energy 社が 2 億 4,980 万 t で世界一となって
おり、Glencore が 1 億 3,150 万 t で次いでいる。資源メジャーのうち、Rio Tinto につ
いては年間の石炭生産量は 3,014 万 t、同じく Vale は 651 万 t であり、他の資源企業
に比べて石炭の生産量は多くない。 BHP Billiton、Vale、Wesfarmers 社は原料炭の生産比率が一般炭に比べて高い。BHP Billiton は 2014 年 8 月に鉄鉱石、石油、銅、原料炭、カリウムの中核事業に集中する
方針を発表し、2015 年 5 月に非中核事業を分社化(新たに設立された South32 社に移
管)したため、他社よりも原料炭の比率が高くなっている。 オーストラリアにおける石炭生産量の上位 5 企業の生産割合を図 2-3 に示す。オース
トラリア国内の石炭生産量の 57%を上位 5 企業が占めている。
* BMA 及び BMC JV を含む
出典:Energy in Australia 2015 図 2-3 主要企業のオーストラリア国内における石炭生産量
各社の近年の経営状況(総収益、税引き後利益)を表 2-2 に示す。
表 2-2 主要企業の 2015 年の経営状況
企業名 Revenue EBITDA Profit (loss) Net debt
Anglo American US$23,003Mn US$4,854Mn US$(5,842Mn) US$12,901Mn
BHP Billiton US$44,636Mn US$21,852Mn US$8,670Mn US$24,417Mn
Glencore US$170,497Mn US$8,694Mn US$(8,114Mn) US$25,889Mn
Rio Tinto US$34,829Mn US$13,334Mn US$(866Mn) US$13,783Mn
South32 US$7,743Mn US$1,001Mn US$519Mn US$402Mn
Vale US$25,609Mn US$7,081Mn US$(12,620Mn) US$26,347Mn
Peabody Energy US$5,609Mn US$435Mn US$(1,855Mn) US$6,293Mn
Centennial Coal A$973Mn A$120Mn 詳細データなし 詳細データなし
New Hope A$506Mn A$72Mn A$(22Mn) A$223Mn
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Wesfarmers
Resources
A$1,374Mn A$215Mn A$(118Mn) 詳細データなし
Whitehaven Coal A$763Mn A$130Mn A$(342Mn) A$936Mn 出典:各社 Annual Report や HP より
石炭価格の低迷により、多くの企業が赤字を計上すると共に、大きな負債を抱えてい
る。企業によってはキャッシュフローを健全化させるためにノンコアアセットの売却を
積極的に進めている。各企業の状況及び石炭事業戦略について以下に示す。内容について
は、各社の年間報告書等を参考にした。 2-1. Anglo American Anglo American は世界最大級の資源企業の一つであり、鉱種として鉄鉱石、マンガ
ン、原料炭、一般炭、銅、ニッケル、白金、ダイヤモンド鉱山の操業及び探鉱等を実施
している。本部は英国ロンドンであり、現在ロンドン証券取引所とヨハネスブルグ証券
取引所に上場している。 Anglo American はカナダ、南アフリカ、オーストラリア、コロンビアの炭鉱で権益
を保有しており、オーストラリア国内で操業中の炭鉱は、Capcoal 炭鉱(Aquila, Bundoora, German Creek, Grasstree, Lake Lindsay, Oak Park)(QLD 州)、Dawson炭鉱(QLD 州)、Grosvenor 炭鉱(QLD 州)、Jellinbah 炭鉱(QLD 州)、Moranbah North 炭鉱(QLD 州)及び Drayton 炭鉱(NSW 州)の権益を保有しており、開発・
探鉱プロジェクトとして Aquila プロジェクト(QLD 州)、Boundary Hill South プロ
ジェクト(QLD 州)、Theodore プロジェクト(QLD 州)、Drayton South プロジェク
ト(NSW 州)、Monash Energy プロジェクト(VIC 州)等の権益を保有している。Anglo American が権益を有する炭鉱を表 2-3 に示す。また、同社の石炭プロジェクトの位置
図を図 2-4 に示す。
表 2-3 Anglo American がオーストラリアで権益を保有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015)
QLD Capcoal (70%) OC/UG Coking 12,413,900
Dawson (51%) OC Thermal, Coking 8,459,800
Grosvenor (100%) OC Coking 499,800
Jellingah (23%) OC PCI 13,740,300
Moranbah North (88%) UG Coking 5,593,000
NSW Dartbrook (83.33%) OC/UG Thermal 2007 年から操業休止
Drayton (88.17%) OC Thermal 2,405,900
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図 2-4 Anglo American の石炭プロジェクト位置図 Anglo American は資源価格の低迷を受けて事業のリストラを進めており、2016 年 2 月
16 日には、銅、白金及びダイヤモンドを中核事業として定めると共に、石炭や鉄鉱石等の
事業はキャッシュを産まなければ売却して事業を集約化していくとする方針を示した。こ
の結果、全世界の 55 件の資産を 16 件にまで削減することとなった。既に 2015 年 2 月 13日に Dawson 炭鉱(QLD 州)、Foxleigh 炭鉱(QLD 州)については売却を進めることを発
表しており、また、一般炭を生産する Callide 炭鉱(QLD 州)、Dartbrook 炭鉱(NSW 州)
及び Drayton 炭鉱(NSW 州)も削減の対象になっていると見られてきたが、今次の発表に
より、原料炭を生産する Moranbah 炭鉱(QLD 州)及び Grosvenor 炭鉱(QLD 州)まで
もが削減の対象とされ、オーストラリアに保有する全ての炭鉱を売却等によって削減して
いく方針が示される形となった。 このうち Callide 炭鉱(QLD 州)については 100%の権益を保有していたが、2016年 1 月 20 日、Batchfire Resources 社への売却に合意したと発表し、同年 10 月 31 日
には売却を完了したことを発表している。 Foxleigh 炭鉱(QLD 州)については 70%分の権益を保有していたが、2016 年 4 月 4日、投資ファンドの Taurus Funds Management 社傘下の企業である Middlemount South(MS)社等で構成されるコンソーシアムに売却することに合意したことを発表し、同年 8月に売却を完了したと発表した。売却金額は明らかにされていない。Foxleigh 炭鉱は QLD州の Bowen Basin に位置しており高品質の PCI 炭を産出している。 Dawson 炭鉱(QLD 州)については保有する 51%分の権益の売却を進めているが、2017
8
年 1 月の報道によれば交渉に残っているのはインドの AvidSys Group 社とロシアの
Siberian Coal Energy 社 (SUEK)の 2 社である。Dawson 炭鉱は年間 850 万 t の原料炭及
び一般炭を生産しており、Anglo American は 2 億 5,000 万~3 億 A$での売却を望んでい
るとされる 1。 Dartbrook 炭鉱(NSW 州)は 83.33%分の権益を保有し、一般炭を生産していたが、
2006 年に操業停止の状態になっていた。2015 年 12 月 24 日に同社保有分の権益を
Australian Pacific Coal 社に 5,000 万 A$で売却することで合意したことを発表した。
2017 年 3 月現在、Australian Pacific Coal 社は買収を完了させるための資金調達を進めて
いると見られる。 Drayton 炭鉱(NSW 州)については、2016 年 6 月 17 日、2016 年 9 月末までに採炭
を終了させると発表しており、今後、同炭鉱の跡地の原状回復が実施される予定である。
Anglo American は、同炭鉱の終掘を見越して、かねてより同炭鉱の拡張事業となる
Drayton South プロジェクトを計画し、NSW 州の計画評価委員会(PAC:Planning Assessment Commission)に環境認可の申請を行ってきた。しかしながら、2014 年以
降、3 度にわたって却下され、Anglo American はその都度、計画を見直して再度の申
請を行ってきたが、2017 年 2 月 23 日に PAC から 4 度目の却下をされるに至った。同
プロジェクトの開発場所の周辺には世界的に知られたサラブレッド飼育場などがあるが、
PAC は粉じんによる大気環境への影響や発破による騒音がこれらの近隣の土地利用者に影
響を与えると判断した。 原料炭の坑内掘り炭鉱であるMoranbah North 炭鉱(QLD 州)及び Grosvenor炭鉱(QLD州)については、2016 年 10 月の報道によれば、プライベート・エクイティ(PE)ファン
ドの Apollo Global Management 社と米国の Xcoal Energy & Resources 社によるコンソー
シアムへの売却が確実視され、売却額は 10 億 US$以上になると見られていた。これらの炭
鉱には BHP Billiton や米国の Coronado Coal 社も取得に向けて動いていたが Apollo 社の
コンソーシアムはファイナンスを前提とした競争力のある提案になっていると報じられて
いた 2。 ところが、2017 年 2 月 21 日、Anglo American はこれまでの方針を転換し、Moranbah North 炭鉱及び Grosvenor 炭鉱については売却せず維持するとの方針を示した。2016 年以
降の石炭をはじめとするコモディティ価格の回復、また同社のコスト削減やこれまでの総
額 18 億 US$の資産売却が効を奏して同社の負債が減少したことから、更なる資産売却を進
める必要はなくなったとしている。 2-2. BHP Billiton
1 “AvidSys, Siberian Coal in late stage talks at Anglo American's Dawson” Australian Financial Review, 2017/1/31 2 “Apollo Global Management in exclusive talks to buy Anglo American's coal assets” Australian Financial Review, 2016/10/3
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BHP Billiton は世界最大の資源企業であり、鉄鉱石、石油、石炭(主に原料炭)、銅、
カリウムを中核事業として鉱山の操業及び探鉱等を実施している。本部はオーストラリ
アのメルボルン及び英国ロンドンに各々あり、現在オーストラリア証券取引所、ロンド
ン証券取引所、ヨハネスブルグ証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場している。 BHP Billiton は炭鉱の権益をオーストラリア、コロンビア、米国で保有している。 オーストラリアの QLD 州では、三菱商事の 100%子会社である MDP(三菱デベロ
ップメント)社と 50%ずつのシェアを分け合う BMA 社、もしくは BHP Billiton が
80%、三井物産が 20%のシェアを有する BMC 社によって操業を実施しており、NSW州では BHP Billiton 単独で操業を実施している。 QLD 州では BMA 社による Blackwater 炭鉱、Caval Ridge 炭鉱、Daunia 炭鉱、
Goonyella Riverside 炭鉱、Gregory Crinum 炭鉱、Peak Downs 炭鉱、Saraji 炭鉱を
有しており、BMC 社による Poitrel 炭鉱、South Walker Creek 炭鉱を有している。
NSW 州では BHP Billiton 単独で Mt Arthur 炭鉱を有している。 開発・探鉱プロジェクトとして QLD 州では BMA 社による Peak Downs East プロ
ジェクト(QLD 州)、Red Hill プロジェクト(QLD 州)、Saraji East プロジェクト(QLD州)、BMC 社による Bee Creek プロジェクト(QLD 州)、Nebo West プロジェクト
(QLD 州)、Wards Well プロジェクト(QLD 州)、Liskeard プロジェクト(QLD 州)
等の権益を保有している。BHP Billiton が権益を保有する炭鉱を表 2-4 に示す。また、
同社の石炭プロジェクトの位置図を図 2-5 に示す。
表 2-4 BHP Billiton がオーストラリアで権益を保有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) QLD Blackwater (50%) OC Thermal, Coking 6,994,000
Caval Ridge (50%) OC Coking 3,064,000 Daunia (50%) OC Thermal, Coking, PCI 2,383,000 Goonyella Riverside (50%)
OC Coking 8,510,000
Gregory Crinum (50%)
UG Thermal, Coking 3,294,000
Peak Downs (50%) OC Coking 5,111,000 Poitrel (80%) OC Coking 3,466,000 Saraji (50%) OC Coking 3,294,000 South Walker Creek (80%)
OC/UG Coking 5,293,000
NSW Mount Arthur (100%)
OC/UG Thermal 19,698,000
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図 2-5 BHP Billiton の石炭プロジェクト位置図
BHP Billiton は原料炭価格の低迷により 2015 年 11 月に QLD 州の Gregory Crinum炭鉱の操業を停止させていたが、その後、原料炭価格が高騰したことから、2016 年 12月には同炭鉱の売却を検討していると報じられた 3。同炭鉱は南西部が Rio Tinto の
Kestrel 炭鉱と北東部が Glencore の Oaky Creek 炭鉱と接している。BHP Billiton は
2013 年にも Gregory Crinum 炭鉱の売却を試みたが、買い手がつかなかったため操業
の継続を判断した経緯がある。なお同炭鉱の採掘鉱区内の未開発の M Block 中に石炭
が発見される可能性があることも報じられている。 この他、BHP Billiton が 100%の権益を保有し、NSW 州 Hunter Valley で一般炭を
生産する Mt Arthur 炭鉱を売却する意向であることも報じられている 4。また、2016年 6 月にはインドネシアの石炭資産を全て売却することを発表し、同年 10 月に売却を
完了させている。 なお、2016 年 7 月に BHP Billiton は、原料炭の 2016/17 年度の生産目標量を前年度
の 4,300 万 t よりも 3%引き上げて 4,400 万 t に設定し、鉄鉱石、銅と共に原料炭事業
を積極的に推進することを表明している。
3 “BHP Billiton mulls fresh attempt to sell Gregory Crinum”Australian Financial Review, 2016/12/04 4 “Mt Arthur thin on ice”Australian Mining, 2016/03/02
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2-3. Glencore Glencore は世界最大級の資源企業の一つであり、鉱種として銅、亜鉛、鉛、ニッケ
ル、合金鉄、アルミナ、アルミニウム、石油、石炭鉱山の操業及び探鉱等を実施してい
る。本部はスイスのバールにあり、現在ロンドン証券取引所と香港証券取引所に上場し
ている。 Glencore はオーストラリア、南アフリカ、コロンビアで炭鉱の権益を所有しており、
オーストラリア国内で操業中の炭鉱は、Clermont 炭鉱(QLD 州)、Collinsville 炭鉱・
Newlands 炭鉱(QLD 州)、Oaky Creek 炭鉱(QLD 州)、Rolleston 炭鉱(QLD 州)、
Tahmoor 炭鉱(NSW 州)、Bulga 炭鉱(NSW 州)、Liddell 炭鉱(NSW 州)、Mangoola炭鉱(NSW 州)、Mount Owen Complex 炭鉱(NSW 州)、Ravensworth 炭鉱(NSW州)、Ulan 炭鉱(NSW 州)、West Wallsend 炭鉱(NSW 州)の権益を保有している。 なお、Glencore は 2015 年 3 月 26 日に West Wallsend 炭鉱(NSW 州)を 2016 年
に閉山することを発表し、また、2016 年 6 月 1 日には Tahmoor 炭鉱(NSW 州)を 2019年初めに閉山すると発表した。同炭鉱はシドニーの南西約 75km に位置する原料炭を産出
する坑内掘りの炭鉱である。閉山の理由は石炭価格の低迷としている。 開発・探鉱プロジェクトとして Cook プロジェクト(QLD 州)、Milray プロジェクト
(QLD 州)、Pentland プロジェクト(QLD 州)、Red Rock プロジェクト(QLD 州)、
Sarum プロジェクト(QLD 州)、Togara North プロジェクト(QLD 州)、Wandoan プ
ロジェクト(QLD 州)、Cardiff Borehole プロジェクト(NSW 州)、Glendell プロジェ
クト(NSW 州)、Mitchell’s Flat プロジェクト(NSW 州)、Running Stream プロジェ
クト(NSW 州)等の権益を保有している。Glencore が権益を保有する炭鉱を表 2-5 に
示す。また、同社の石炭プロジェクトの位置図を図 2-6 に示す。
表 2-5 Glencore がオーストラリアで権益を保有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) QLD Clermont (25.05%) OC Thermal 13,110,000
Collinsville (100%) OC Thermal, Coking 2,752,000 Newlands (100%) OC/UG Thermal, Coking 5,840,000 Oaky Creek Coal (55%) UG Coking 6,565,000 Rolleston (75%) OC Thermal 11,151,000
NSW Bulga Coal (68.25%) OC/UG Thermal, Coking 9,893,000 Integra (100%) UG Thermal, Coking 休止中 Liddell Open Cut (67.5%) OC Thermal, Coking 4,098,000 Mangoola (100%) OC Thermal 9,330,000 Mount Owen Coal (100%) OC Thermal, Coking 8,069,000 Ravensworth Coal (90%) OC/UG Thermal, Coking 6,510,000 Tahmoor (100%) UG Thermal, Coking 2,118,000 Ulan Coal (90%) OC/UG Thermal 11,643,000 West Wallsend (80%) UG Thermal, Coking 1,543,000
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図 2-6 Glencore の石炭プロジェクト位置図
Glencore は負債削減策として非中核事業である NSW 州の石炭運搬鉄道(GRail)の
売却を行うこととし、2016 年 10 月、Genesee & Wyoming Australia(G&W)社に
11.4 億$で売却することに合意したと発表した。GRail は NSW 州の Hunter Valley にお
いて Glencore が生産する石炭のうち約 4,000 万 t/年を港湾に向けて運搬してきた。G&W社は Macquarie Infrastructure and Real Assets 社と共に買収を実施しており、G&W 社が
51%、Macquarie 社が残り 49%分のシェアを保有することになる。G&W 社は、これまで
Glencore との契約に基づき GRail の運行を担当していたことから最も有力な買い手と見ら
れていた。なお、今後、この鉄道(旧 GRail)は、Glencore 以外が生産する石炭も扱う可
能性もあることから、Hunter Valley において石炭を運搬する鉄道企業の間の競争が激しく
なるかもしれないと報じられている 5。 既述のとおり Glencore は、石炭価格の低迷や負債削減を理由として炭鉱の閉山や資産売
却を図る動きがある一方、他社が売却を予定している炭鉱の買収にも関心を示してきた。 2015 年 8 月 25 日には Glencore 及び Bloomfield 社が Vale 社が保有する Integra 炭
鉱(NSW 州)を買収することで同社と合意したことが発表された。同炭鉱は 2014 年 7 月
に操業を停止していた。Bloomfield 社は Integra 炭鉱の露天掘り部分と選炭施設および鉄
道を取得する一方、Glencore は坑内掘り部分を取得する。その後、2015 年 12 月に
5 “GRail sale will boost haulage competition” Australian Financial Review, 2016/10/21
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Glencore は同社 100%子会社の HV Coking Coal 社を通じて Integra 炭鉱の坑内採掘
部分の取得を完了させた。また、2016 年 5 月の報道によれば、Glencore は前述の Anglo American の Moranbah 炭鉱及び Grosvenor 炭鉱にも関心を示していたようであり 6、ま
た、2016 年 9 月には Rio Tinto が売却を発表したオーストラリア国内の炭鉱の買収に
も関心を示していたと報じられている 7。 また、2016 年後半になると石炭価格が回復したことにより、休止していた露天掘り
の Collinsville 炭鉱(QLD 州)と前述の Vale から買収した坑内掘りの Integra 炭鉱
(NSW 州)の操業の再開を発表している。Collinsville 炭鉱については 2016 年 10 月
11 日、操業の再開に向けて 200 名以上となる従業員の採用活動を開始したことが発表され
た。同社は、同炭鉱で生産される特定の石炭に対して東南アジアからの需要が増加している
ことから操業を再開することとしたと述べている。また、Integra 炭鉱については 2016 年
11 月 1 日、再稼働させることが発表された。今後 2 年間稼働させる計画を立てており 2017年には 130 万 t/年の原料炭を生産することを見込んでいる。 2-4. Rio Tinto Rio Tinto は世界最大級の資源企業の一つであり、鉱種としてアルミナ、アルミニウ
ム、ボーキサイト、銅、石炭、金、銀、モリブデン、ダイヤモンド、イルメナイト、ル
チル、ホウ酸塩、食塩、ウラン、鉄鉱石鉱山の操業及び探鉱等を実施している。本部は
英国ロンドンであり、現在オーストラリア証券取引所、ロンドン証券取引所とニューヨ
ーク証券取引所に上場している。 Rio Tinto は現在石炭の権益はオーストラリアでのみ保有している。操業中の炭鉱は、
Kestrel 炭鉱(QLD 州)、Hail Creek 炭鉱(QLD 州)、Hunter Valley Operations 炭鉱
(NSW 州)、Mount Thorley-Warkworth 炭鉱(NSW 州)の権益を所有しており、開
発・探鉱プロジェクトとして Lake Elphinstone プロジェクト(QLD 州)、Mount Robertプロジェクト(QLD 州)、Valeria プロジェクト(QLD 州)、Winchester South プロジ
ェクト(QLD 州)、Oaklands プロジェクト(NSW 州)等の権益を保有している。Rio Tinto が権益を保有する炭鉱を表 2-6 に示す。また、同社の石炭プロジェクトの位置図
を図 2-7 に示す。
表 2-6 Rio Tinto がオーストラリアで権益を所有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) QLD Blair Athol Mine (71.23%) OC/UG Thermal 操業休止中
Hail Creek Mine (82%) OC Coking 9,463,000 Kestrel Mine (80%) UG Coking 4,087,000
6 “Glencore, Apollo‘unite’for tilt at Anglo mine’ The Australian, 2016/5/30 7 “Glencore’s interest in Rio Tinto coal assets reignited”Austrailan Financial Review, 2016/09/01
14
NSW Hunter Valley Operations (67.6%) OC Thermal, Coking 13,014,000 Mt Thorley (80%) OC Thermal, Coking 4,213,000 Warkworth (55.57%) OC/UG Thermal, Coking 7,516,000
図 2-7 Rio Tinto の石炭プロジェクト位置図 Rio Tinto は石炭を非中核事業として扱っており、オーストラリアで保有している石
炭資産の売却を進めている。 2015 年 9 月 30 日には傘下の Coal & Allied 社が Bengalla 炭鉱(NSW 州)の保有権益
(40%)を New Hope Energy 社に売却することに合意したことを発表し、2016 年 3 月 1日、売却が完了したことを発表した。売却額は 6 億 1,670 万 US$である。なお、Coal & Allied 社は Rio Tinto と三菱デベロップメント社(三菱商事子会社)との合弁であったが、
2016 年 2 月 3 日に Rio Tinto は Coal & Allied の保有シェアを 100%とする手続きを完了
させている。 2016 年 1 月 27 日には、MACH Energy Australia 社との間で、Mount Pleasant 炭鉱
(NSW 州)を 2 億 2,400 万 US$で売却することに合意したと発表した。この合意には将
来石炭価格が 72.5US$/t を超えた場合に Rio Tinto が石炭の売上げの 2%分のロイヤルティ
を得るという内容も含まれている。なお MACH Energy Australia 社はインドネシアの複
合企業である Salim Group 傘下の企業である。 2016年7月4日にはRio Tintoが運営するBlair Athol Coal Joint Venture(BACJV)
15
が Blair Athol 炭鉱(QLD 州)の権益を TerraCom Resources 社の子会社の Orion Mining 社に売却することに合意したことが TerraCom 社によって発表された。Blair Athol 炭鉱は一般炭の炭鉱であり 2012 年に操業を停止していた。この合意の内容は Rio Tinto は Blair Athol 炭鉱の権益を 1A$で売却する共に、Rio Tinto が環境修復に要する費
用として約 8,000 万 A$を支払うというものである。環境修復は QLD 州の環境遺産保護省
によって定められた措置であり、この環境修復費の一部となる約 8,000 万 A$は保証金とし
て銀行に預けられ QLD 州の天然資源鉱山省によって管理される。TerraCom 社では今後、
Blair Athol 炭鉱において環境修復を実施すると共に、2017 年第 2 四半期に同炭鉱の生産
を再開させる予定である。 さらに 2017 年 1 月 24 日、RioTinto は 100%子会社である Coal & Allied 社の事業を
中国系の Yancoal Australia 社(以下 Yancoal 社)に 24.5 億 US$で売却することに合意
したと発表した。Yancoal 社はオーストラリア証券取引所の上場企業であるが中国企業
の Yanzhou Coal 社が 78%分のシェアを有している。Coal & Allied 社の事業には Hunter Valley Operations 炭鉱(NSW 州 Hunter Valley)の 67.6%分の権益、Mount Thorley 炭
鉱(同)の 80%分の権益、Warkworth 炭鉱(同)の 55.6%分の権益、また未開発の石炭鉱
区も含まれている。さらに、NSW 州 Newcastle において石炭輸出ターミナルを有する
Waratah Coal Services 社の 36.5%分のシェアも保有している。Yancoal 社によるこれら
の資産の取得については 2017 年 3 月現在、豪州政府の外国投資審査委員会(FIRB)
による審査が行われている。なお、Yancoal 社についてはこれらの資産の取得に要する
資金の調達が困難になっており親会社の中国の Yanzhou Coal 社から増資に対する支援
を受ける予定であるとの報道がされている 8。 この他、原料炭を産出する Hail Creek 炭鉱(QLD 州)、Kestrel 炭鉱(QLD 州)に
ついても売却する意向でることが報じられている。2017 年 2 月 17 日付けの報道によれ
ば、これらの Hail Creek 炭鉱及び Kestrel 炭鉱に対して取得を希望する者が現れており、
これらの炭鉱の売却に向けて金融アドバイザーを選定中である 9。同報道によれば、Rio Tinto はこれらの炭鉱の売却額が 15 億 US$に達することを期待しているものの、取引の成
立に至るとは保証できず、結局、Rio Tinto は両炭鉱を維持するかもしれないとの見方もあ
る。 2-5. South32
South32 社は 2015 年に BHP Billiton からの分社により誕生した企業であり、鉱種
としてアルミナ、アルミニウム、ボーキサイト、石炭、マンガン、ニッケル、銀、鉛、
亜鉛鉱山の操業及び探鉱等を実施している。本部はオーストラリアのパースであり、オ
8 “Rio Tinto agrees to sell mines to Yancoal for $3.2bn”, The Australian, 2017/1/25 9 “Bidders line up for Rio Tinto’s Bowen Basin mines” The Australian, 2017/2/17
16
ーストラリア証券取引所、ヨハネスブルク証券取引所、ロンドン証券取引所に上場して
いる。 South32 社はオーストラリアと南アフリカ共和国の炭鉱で権益を所有しており、オー
ストラリア国内で操業中の炭鉱は、Appin 炭鉱、West Cliff 炭鉱及び Dendrobium 炭鉱
で構成される Illawarra 炭鉱(NSW 州)である。South32 が権益を所有する炭鉱を表
2-7 に示す。また、同社の石炭プロジェクトの位置図を図 2-8 に示す。
表 2-7 South32 がオーストラリアで権益を所有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) NSW Illawarra (100%) UG Thermal, Coking 8,926,000
図 2-8 South32 の石炭プロジェクト位置図
South32 社は他の資源企業と比較して負債が少ないことから、今後は優良資産の買収
を行う方針を示している。また一般炭ではなく原料炭の資産を買収の対象としている 10。 2016 年 11 月 3 日、South32 社は、Peabody Energy 社から Metropolitan 炭鉱(NSW州)を 2 億 A$で買収することに合意したと発表した。この合意には同炭鉱の買収と共
に、Port Kembla 石炭ターミナル (PKCT) の 16.67%分のシェアの取得も含まれ、さらに、
2017 年 3 月期~12 月期の間の各四半期において、原料炭価格が各々160US$、130US$/t、120US$/t 及び 115US$/t を超過した場合には、これらの追加的なキャッシュフローを
10 “South32 won't hunt for thermal coal bargains”Sydney Morning Herald, 2016/06/02
17
South32 社と Peabody 社が 50:50 の割合でシェアするという条件も含まれている。同炭鉱
は South32 社が現在操業中の炭鉱が位置する lllawarra 地域に位置し、同地域のこれ
らの炭鉱で生産される原料炭は、沿岸部の Port Kembla にある BlueScope Steel 社の
製鉄所に供給され、また SA 州の Arrium 社の Whyalla 製鉄所にも供給されている。
South32 社とMetropolitan 炭鉱はこれらの製鉄所に原料炭を供給する 2大業者であること
から、South32 社による買収により原料炭供給の競争性が著しく低下するとして、2017 年
2 月 23 日、オーストラリアの競争当局であるオーストラリア競争消費者委員会(ACCC)
は、今回の South32 社による買収に対して懸念を示す声明を発表している。 2-6. Vale Vale は世界最大級の資源企業の一つであり、鉱種としてボーキサイト、銅、石炭、コ
バルト、鉄鉱石、カリウム、カオリナイト、マンガン、合金鉄、ニッケル、リン酸塩、
白金鉱山の操業及び探鉱等を実施している。Vale は鉄鉱石とニッケルの生産量が世界
一である。本部はブラジルのリオデジャネイロであり、現在ブラジルの BM&F Bovespa証券取引所、スペインの Bolsa de Madrid 証券取引所、Euronext 証券取引所、香港証
券取引所、インドネシア証券取引所、ニューヨーク証券取引所等に上場している。 Vale はオーストラリア、モザンビークの 2 か国で炭鉱の権益を保有しており、オー
ストラリア国内の炭鉱では、Broadlea 炭鉱(QLD 州)、Carborough Downs 炭鉱(QLD州)の権益を保有しており、開発・探鉱プロジェクトとして Belvedere プロジェクト
(QLD 州)、Eagle Downs プロジェクト(QLD 州)、Ellensfield プロジェクト(QLD州)、Galilee basin プロジェクト(QLD 州)、Red Hill プロジェクト(QLD 州)の権
益を保有している。なお、Broadlea 炭鉱は 2010 年以降操業を休止している。Vale が
権益を保有する炭鉱を表 2-8 に示す。また、同社の石炭プロジェクトの位置図を図 2-9に示す。
表 2-8 Vale がオーストラリアで権益を保有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) QLD Broadlea (100%) OC Thermal, Coking 休止中、売却発表
Carborough Downs (90%) UG Coking, PCI 2,648,000、売却発表 Eagle Downs (50%) UG Coking 建設中
18
図 2-9 Vale の石炭プロジェクト位置図
Vale の石炭事業は 2015 年の全事業の収益の約 2%を占めるに過ぎず、さらに石炭の
主要事業はモザンビークの Moatize 炭鉱であり、オーストラリアの石炭事業からは撤
退する方針であることが報じられている 11。 2015 年 8 月 25 日には Glencore 及び Bloomfield 社に Integra 炭鉱(NSW 州)を売却
することで合意したことが発表された。同炭鉱は 2014 年 7 月に操業を停止している。
Bloomfield 社は Integra 炭鉱の露天掘り部分と選炭施設及び鉄道を取得し、Glencore は坑内掘り部分を取得する。なお、Bloomfield 社 は同炭鉱の南部で隣接している Rix’s Creek 炭鉱を保有しており、この Integra 炭鉱の露天掘り部分を「Rix Creek North」に名称を変更した。2016 年 10 月 14 日には Bloomfield Group 社は、Rix’s Creek North炭鉱の再稼働に際して約 100 名を雇用したと発表し、同年 11 月 1 日には Glencore が
Integra 炭鉱の坑内掘り部分を再稼働させることを発表している。 また 2016 年 12 月の報道によれば Fitzroy Queensland Resources 社に Carborough Downs 炭鉱(QLD 州)、Broadlea 炭鉱(QLD 州)、Ellensfield プロジェクト(QLD州)及び Red Hill プロジェクト(QLD 州)を売却することで合意した 12。このうち
Carborough Downs 炭鉱は Bowen Basin に位置する坑内掘りのロングウォール式採炭の炭
鉱であり、生産される石炭の多くは原料炭であるが、マインライフは残り 1 年未満となっ
11 “Vale speeds up Australia coal exit with second sale in month”Bloomberg, 2015/08/27 12 “Carborough Downs sold to Fitzroy” Australia’s Mining Monthly, 2016/12/09
19
ている。Fitzroy 社は Vale が保有していた同炭鉱の 90%分の権益を取得するとともに、隣
接の未開発鉱区における Ellensfield 及び Red Hill の両プロジェクトも取得する。また操業
停止の状態となっているBroadlea炭鉱も取得する。同報道によれば、これらの売却の結果、
Vale はオーストラリアでは 3 カ所の石炭資産を維持することになる。これらは現在開発中
で原料炭を生産する予定の Eagle Downs 炭鉱、未開発の Belvedere の鉱区、Galilee Basinにおける鉱区などである。しかしながら、同社の石炭事業の優先度はモザンビークの炭鉱開
発にあることから、Vale はこれらの 3 つの資産についても良い価格が提示されれば売却す
ると見られている。 2-7. Peabody Energy Peabody Energy 社は世界最大の石炭企業である。本部は米国ミズーリ州セントルイ
スであり、ニューヨーク証券取引所に上場している。 Peabody Energy 社は米国、オーストラリアの 2 か国で炭鉱権益を所有しており、オ
ーストラリアの操業中の炭鉱は、Burton 炭鉱(QLD 州)、Coppabella 炭鉱(QLD 州)、
Middlemount 炭鉱(QLD 州)、Millenium 炭鉱(QLD 州)、Moorvale 炭鉱(QLD 州)、
North Goonyella 炭鉱(QLD 州)、Wambo 炭鉱(NSW 州)、Wilpinjong 炭鉱(NSW州)である。
開発・探鉱プロジェクトとして Capricorn プロジェクト(QLD 州)、Codrilla プロジ
ェクト(QLD 州)、Horse Creek プロジェクト(QLD 州)、Mavis Downs プロジェク
ト(QLD 州)、Moorvale West プロジェクト(QLD 州)、Monto プロジェクト(QLD州)、Olive Downs North プロジェクト(QLD 州)、Pisces プロジェクト(QLD 州)、
Vermont East プロジェクト(QLD 州)、West Rolleston プロジェクト(QLD 州)、West Walker プロジェクト(QLD 州)、Yeerun プロジェクト(QLD 州)等の権益を保有し
ている。 Peabody Energy 社は 2016 年 4 月 13 日に米連邦破産法第 11 条の適用を申請し経
営破綻した。中国経済の減速による需要減と石炭価格の下落、米国における安価な天然
ガスの普及と石炭の利用減少、環境規制等が経営破綻の原因となったと報じられてい
る 13。ただし同社のオーストラリアの事業については上記申請の対象外であり引き続き
操業が継続されているが、Burton 炭鉱をはじめとして、オーストラリアの炭鉱の閉山
を計画していることが報じられている 14。 また、同社は非中核資産とされる原料炭の Metropolitan 炭鉱(NSW 州)及び
Millennium Mine 炭鉱(QLD 州)の 2 つの炭鉱の売却を計画していることが地元紙に
13 “Coal Slump Sends Mining Giant Peabody Energy Into Bankruptcy”Bloomberg, 2016/04/13 14 “Peabody to shut Burton mine and other Australian assets”, Courier Mail, 2016/08/11
20
よって報じられている 15。Peabody Energy が権益を所有する炭鉱を表 2-9 に示す。ま
た、同社の石炭プロジェクトの位置図を図 2-10 に示す。
表 2-9 Peabody Energy がオーストラリアで権益を所有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) QLD Burton (100%) OC Thermal, Coking 1,179,340
Coppabella (73.3%) OC PCI coal 2,540,117 Middlemount (50%) OC PCI, Coking 4,013,000 Millenium (100%) OC PCI, Coking 3,991,613 Moorvale (73.3%) OC Thermal, PCI, Coking 1,995,806 North Goonyella (100%) UG Coking 2,358,680
NSW Metropolitan (100%) UG Coking 1,905,088 Wambo (100%) UG/OC Thermal, PCI 5,586,701 Wilpinjong (100%) OC Thermal 16,886,217
図 2-10 Peabody Energy の石炭プロジェクト位置図
2015 年 7 月、Peabody Energy 社は Wilkie Creek 炭鉱(QLD 州・2013 年 12 月に
操業休止)を Sekitan Resources 社(Energen子会社)に売却することで合意したものの、
同社が購入資金を調達できなかったため、2016 年 5 月にこの合意は破棄された。 15 “Peabody gets ducks in row for coalmine sales” The Australian, 2016/08/24
21
2016 年 5 月 9 日には Peabody Energy 社は未開発の石炭資産である Olive Downs Complex(QLD 州)を Pembroke Resources 社に 1 億 400 万 A$で売却することに合
意したことを発表した。同社はプライベート・エクイティファンドの Denham Capital 社が出資する企業である。また、同年 11 月 2 日には South32 社に Metropolitan 炭鉱(NSW州)を 2 億 A$で売却することに合意したことを発表した(注:South32 側の発表は同
年 11 月 3 日付け)。 なお、石炭価格の上昇にも関わらず、同社は 2016 年 12 月に QLD 州の Burton 炭鉱を保
存整備の状態におくとして操業を停止させている 16。石炭価格は上昇していたものの同炭
鉱は豪州で最もコストが高い炭鉱とされており、2014 年における同炭鉱の生産量は 120 万
t/年にまで半減させていた。
2-8. Centennial Coal (Banpu) Centennial Coal は 1989 年に創業したオーストラリアの石炭企業である。本部はニ
ューサウスウェールズ州シドニーである。1994 年からオーストラリア証券取引所に上
場していたが、2010 年にタイの Banpu に買収されて同社の 100%子会社となり、上場
が廃止となった。 Centennial Coal は NSW 州内で炭鉱の操業及び開発・探鉱を行っている。Airly 炭
鉱、Charbon 炭鉱、Clarence 炭鉱、Mandalong 炭鉱、Mannering 炭鉱、Myuna 炭鉱、
Springvale 炭鉱を操業している。 Angus Place 炭鉱は 2015 年 3 月から、Awaba 炭鉱は 2012 年 3 月から、Newstan 炭
鉱は 2014 年 8 月から操業を休止している。Lamberts Gully 炭鉱は 2010 年に、Ivanhoe炭鉱は 2012 年に閉山して原状回復工事が行われている。 開発・探鉱プロジェクトとして Airly Extension プロジェクト、Angus Place Extension プロジェクト、Inglenook 探鉱プロジェクト、Neubeck プロジェクト、
Newstan Extension プロジェクト、Springvale 拡張プロジェクト等が行われている。
Centennial Coal が権益を所有する炭鉱を表 2-10 に示す。また、同社の石炭プロジェ
クトの位置図を図 2-11 に示す。 このうち、Springvale 拡張プロジェクトについては Springvale 炭鉱のマインライフを
13 年間延長させるものである。同プロジェクトは雇用創出等の観点から地元自治体から
16 “Coal rise a $770m bonus for Peabody”The Australian 11/1/2017
22
の支持を得ており、また、NSW 州政府からも環境認可を得ているものの、一部の環境保護
団体は炭鉱から排水には塩分、栄養分、金属分などが含まれていると主張し、これが河川に
排出されることにより飲料水に悪影響を与えるとして、プロジェクトの実施に反対し、環境
認可への異議申し立てを行っている 17。
表 2-10 Centennial Coal がオーストラリアで権益を所有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) NSW Airly (100%) UG Thermal 745,571
Angus Place (50%) UG Thermal 298,286 Awaba (75%) UG Thermal 休止中 Charbon (95%) OC/UG Thermal 650,152 Clarence (85%) UG Thermal 2,770,000 Mandalong (100%) UG Thermal 5,700,000 Mannering (100%) UG Thermal 休止中 Myuna (100%) UG Thermal 1,700,000 Newstan (100%) UG Thermal, Coking 休止中 Springvale (50%) UG Thermal 3,530,000
図 2-11 Centennial Coal の石炭プロジェクト位置図
2-9. New Hope
17 “'Not worth the paper it's written on': environment groups lose challenge to Springvale mine extension” Sydney Morning Herald, 2016/9/13
23
New Hope 社はオーストラリアの石炭エネルギー企業である。本部はクイーンズラン
ド州ブリスベンにあり、オーストラリア証券取引所に上場している。 New Hope 社が操業中の炭鉱は、New Acland 炭鉱(QLD 州)、West Moreton
(Jeebropilly)炭鉱(QLD 州)、Bengalla 炭鉱(NSW 州)である。開発・探鉱プロジェ
クトとして Colton プロジェクト(QLD 州)、Lenton プロジェクト(QLD 州)、Ellimattaプロジェクト(QLD 州)、Yamala プロジェクト(QLD 州)、Bee Creek(QLD 州)、
Churchyard Creek プロジェクト(QLD 州)、Ownaview プロジェクト(QLD 州)、
Collingwood プロジェクト(QLD 州)、Taroom プロジェクト(QLD 州)、Woori プロ
ジェクト(QLD 州)、Ashford プロジェクト(NSW 州)等の権益を所有している。New Hope が権益を所有する炭鉱を表 2-11 に示す。また、同社の石炭プロジェクトの位置図
を図 2-12 に示す。
表 2-11 New Hope がオーストラリアで権益を所有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) QLD New Acland (100%) OC Thermal 5,100,000
New Oakleigh (100%) OC Thermal 閉山 Swanbank (100%) OC Thermal 閉山 West Moreton (100%) OC Thermal 700,000
NSW Bengalla (40%) OC Thermal 8,319,000
図 2-12 New Hope の石炭プロジェクト位置図
New Hope 社は優良資産の買収を進めている。2014 年 11 月 21 日に New Hope 社の
24
100%子会社であるNorth Surar Coal 社が、Cockatoo Coal 社が保有するQLD州 Surat盆地北部の 3 カ所の石炭資産を 2,500 万 A$で買収することで合意したことが発表され
た また、2015 年 9 月 30 日には New Hope 社が、Rio Tinto 傘下の Coal & Allied 社が保
有する Bengalla 炭鉱(NSW 州)の 40%分の権益を買収することで合意したことが発表さ
れ、2016 年 3 月 1 日、買収が完了したことが発表された。買収額は 6 億 1,670 万 US$である。
なお、New Hope 社では New Acland 炭鉱(QLD 州)を拡張するため連邦政府と QLD州政府に対して申請を行ってきたが、2017 年 1 月 20 日、連邦政府から環境認可を得たと
発表した。本計画の最初の認可申請は 2007 年に行われたことから、申請から認可まで 10年を要したことになる。ただし同社は依然として同事業に関しては QLD 州政府からマイニ
ングリースを取得すると共に、環境認可、水ライセンス等も得る必要がある。
2-10. Wesfarmers Wesfarmers 社はオーストラリアの巨大な複合企業(コングロマリット)であり、オ
ーストラリア国内に多数出店しているスーパーマーケット「Coles」やホームセンター
「Bunnings」も同社の傘下にある。本部は西オーストラリア州パースにあり、オース
トラリア証券取引所に上場している。 Wesfarmers 社が権益を保有している炭鉱は、Curragh 炭鉱(QLD 州)と Bengalla
炭鉱(NSW 州)の2つだけである。開発プロジェクトは Curragh 炭鉱に隣接する鉱区
で同炭鉱の拡張プロジェクトを実施中である。Wesfarmers 社が権益を所有する炭鉱を
表 2-12 に示す。また、同社の石炭プロジェクトの位置図を図 2-13 に示す。
表 2-12 Wesfarmers がオーストラリアで権益を所有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) QLD Curragh (100%) OC Thermal, PCI, Coking 11,500,000 NSW Bengalla (40%) OC Thermal 8,319,000
25
図 2-13 Wesfarmers が権益を所有する炭鉱の位置図
同社の石炭事業は石炭価格の低迷を受けて 2015/16 年度は損失を計上するなど、他
の事業の足を引っ張る形になっていたことから同社は事業の見直しを進めてきた。 2016 年後半に石炭価格が回復したことを見て、Wesfarmers は Bengalla 炭鉱の自社
権益分 40%と 100%の権益を所有する Curragh 炭鉱の売却に向けて検討を開始した。
これらの資産総額は 20 億 A$と見られている。 このうち Bengalla 炭鉱には Pembroke Resources 社、Jellinbah Group 社、Mach Energy 社が、Curragh 炭鉱には New Hope 社が関心を示していることが報じられてい
る 18。2017 年 1 月の報道によれば、最終的な売却先の決定は 2017 年 6 月までに行われる
見込みである。しかしながら、石炭価格の上昇により同社の石炭事業は 2015/16 年度の
損失計上から 2016/17 年度は黒字に転じる見込みであることから、売却額に満足でき
なければ引き続き石炭事業を維持するとの見方もある 19。
2-11. Whitehaven Coal Whitehaven はオーストラリアの石炭企業である。本部はニューサウスウェールズ州
シドニーにあり、オーストラリア証券取引所に上場している。 Whitehaven が権益を所有している炭鉱は、Maules Creek 炭鉱(NSW 州)、Narrabri
炭鉱(NSW 州)、Rocglen 炭鉱(旧 Belmont 炭鉱)(NSW 州)、Tarrawaonga 炭鉱(NSW州)、Werris Creek 炭鉱(NSW 州)である。開発・探鉱プロジェクトとして Dingo プ
18 “Wesfarmers seen starting $2b sale of its Curragh, Bengalla coal assets”, AFR, 2016/11/16 19 "Wesfarmers’coal decision nearer as earnings rebound" Australian Financial Review, 2017/1/19
26
ロジェクト(QLD 州)、Monto プロジェクト(QLD 州)、Sienna プロジェクト(QLD州)、Ashford プロジェクト(NSW 州)、Oaklands プロジェクト(NSW 州)、Vickeryプロジェクト(NSW 州)、Vickery South プロジェクト(NSW 州)、Ferndale プロジ
ェクト(NSW 州)等の権益を所有している。Whitehaven Coal が権益を所有する炭鉱
を表 2-13 に示す。また、同社の石炭プロジェクトの位置図を図 2-14 に示す。
表 2-13 Whitehaven Coal がオーストラリアで権益を所有する炭鉱 炭鉱名 (権益) 採掘法 石炭タイプ 生産量(t)(2015) NSW Maules Creek (75%) OC Thermal, PCI 2,600,000
Narrabri (70%) UG Thermal 7,193,000 Rocglen (100%) OC Thermal, PCI 848,000 Tarrawonga (70%) OC Thermal, PCI 1,983,000 Werris Creek (100%) OC Thermal, PCI 2,309,000
図 2-14 Whitehaven が権益を所有する炭鉱及び開発・炭鉱プロジェクト位置図
Maules Creek 炭鉱では石炭開発の反対運動が行われたが、Whitehaven は 2014 年
12 月から Maules Creek 炭鉱の出荷を開始し、順調に操業を続けている。2014 年 9 月
には Vickery プロジェクトの採掘権が認可されており、今後炭鉱の開発が進められる予
定である。Vickery プロジェクトに関しては、JV パートナー企業(30%権益)との開
発を希望している。その他、同社の石炭アセット売却や他社石炭アセット買収に関する
報道は認められない。
27
3. 操業中の炭鉱 オーストラリアの炭鉱は主に東部の QLD 州と NSW 州に多く分布している(図 3-1)。高品質な石炭を胚胎する堆積岩ベーズンが QLD 州と NSW 州のそれぞれ東部に分
布しているためである(図 3-2)。QLD 州では Bowen ベーズン、NSW 州では Sydneyベーズンで多くの炭鉱が操業を行っている。SA 州、TAS 州、WA 州には少ないながら
も操業中の炭鉱が存在する。VIC 州では褐炭の大型炭鉱がラトローブバレー地域に集
中して存在する。NT 準州には石炭の探鉱を行っている企業が存在するが、操業中の炭
鉱は認められない。なお、ACT(オーストラリア首都特別地域)には鉱業が存在しない。
出典:豪州地質調査所資料
図 3-1 オーストラリアの石炭プロジェクト分布図
28
出典:豪州鉱業協会(MCA)資料 20
図 3-2 オーストラリア東部の主要な石炭胚胎ベーズン及びその炭種 3-1. QLD 州 QLD 州の操業中の炭鉱を表 3-1 に示す。また、各炭鉱の位置図を図 3-1 に示す。
表 3-1 QLD 州の炭鉱一覧 炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2014/15 生産量(t) 1 Baralaba Baralaba Coal 62.5%
Noble Group 37.5% OC Thr, PCI 774,219
2 Blackwater BHP Billiton 50% Mitsubishi Corp. 50%
OC/UG Cok, Thr 13,387,290
3 Broadmeadow BHP Billiton 50% Mitsubishi Corp. 50%
UG Cok n.a.
4 Burton Peabody Energy 100% OC Cok, Thr 1,198,373
5 Callide Batchfire Resources 100% OC Thr 1,525,083 6 Cameby Downs Yancoal 100% OC Thr 2,820,349 7 Capcoal
(German Creek) Anglo American 70% Mitsui & Co. 30%
OC/UG Cok, Thr, PCI 11,347,455
8 Carborough Downs
Vale 90% JFE Holdings 5% POSCO 5%
UG Cok, Thr, PCI 2,820,349
9 Caval Ridge BHP Billiton 50% OC Cok 6,292,387
20 “Australia’s Coal Industry: Short-term challenges, long-term opportunities”, SIEW Roundtable
29
炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2014/15 生産量(t) Mitsubishi Corp. 50%
10 Clermont Mitsubishi Corp. 31.4% Glencore 25.05% Sumitomo Corp. 25.05% J-Power 15% Japan Coal Development 3.5%
OC Thr 12,251,401
11 Collinsville Glencore 100% OC Cok, Thr 3,444,439 12 Commodore InterGen Australia
53.69% Marubeni Corp. 30% GEC 6.31% Energy Investor Funds Group 5% Tohoku Electric Power 5%
OC Thr 3,527,723
13 Cook Caledon Resources 100% UG Cok, Thr 577,999 14 Coppabella Peabody Energy 73.3%
CITIC Resources 14% Marubeni Corp. 7% JFE Holdings 3.7% Nittetsu Mining 2%
OC PCI 4,085,742
15 Crinum BHP Billiton 50% Mitsubishi Corp. 50%
UG Cok 6,586,063
16 Curragh Wesfarmers 100% OC Cok, Thr, PCI 12,224,395 17 Daunia BHP Billiton 50%
Mitsubishi Corp. 50% OC Cok, PCI 4,755,875
18 Dawson Anglo American 51% Mitsui & Co. 49%
OC Cok, Thr 8,148,072
19 Drake QCoal 100% OC Cok, Thr 6,000,000 20 Ensham Idemitsu Australia
Resources 85% LG International 15%
OC/UG Thr 3,733,425
21 Foxleigh Realm Resources Limited 70% POSCO 20% Nippon Steel & Sumitomo Metal 10%
OC Thr, PCI 3,097,926
22 Goonyella Riverside
BHP Billiton 50% Mitsubishi Corp. 50%
OC/UG Cok 16,905,895
23 Grosvenor Anglo American 100% UG Cok 121,818 24 Hail Creek Rio Tinto 82%
Nippon Steel & Sumitomo Metal 8% Marubeni Coal 6.67% Sumitomo Corp. 3.33%
OC Cok, Thr 9,502,986
25 Isaac Plains Stanmore Coal 100% OC Cok, Thr, PCI 1,196,746 26 Jellinbah East Jellinbah Group 70%
Marubeni Corp. 15% Sojitz Corporation 15%
OC PCI 4,532,332
27 Kestrel Rio Tinto 80% Mitsui & Co. 20%
UG Cok, Thr 3,379,838
28 Kogan Creek CS Energy 100% OC Thr 2,660,646 29 Lake Vermont Jellinbah Group 70%
AMCI 10% OC Cok, PCI 8,388,484
30
炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2014/15 生産量(t) Marubeni Corp. 10% Sojitz Corporation 10%
30 Meandu (Tarong)
Stanwell Corporation 100%
OC Thr 3,429,513
31 Middlemount Peabody Energy 50% Yancoal Australia 50%
OC Cok, PCI 3,998,865
32 Millenium Peabody Energy 100% OC Cok, PCI 3,736,759 33 Minerva Sojitz Corporation 96%
Korea Resources 4% OC Thr 2,437,431
34 Moorvale Peabody Energy 73.3% CITIC Resources 14% Marubeni Corp. 7% JFE Holdings 3.7% Nittetsu Mining 2%
OC Cok, PCI 3,057,330
35 Moranbah North Anglo American 88% Nippon Steel & Sumitomo Metal 5% Mitsui & Co. 4.75% NS Resources 1.25% JFE Mineral Company 0.5% Shinsho Corp 0.5%
UG Cok 5,481,688
36 New Acland New Hope 100% OC Thr 5,123,453 37 Newlands Glencore 100% OC/UG Cok, Thr 6,657,776 38 North Goonyella Peabody Energy 100% OC/UG Cok 2,599,445 39 Oaky Creek Glencore 55%
Sumitomo Corp. 25% ITOCHU 20%
UG Cok 6,489,484
40 Peak Downs BHP Billiton 50% Mitsubishi Corp. 50%
OC Cok 10,057,840
41 Poitrel BHP Billiton 80% Mitsui & Co. 20%
OC Cok, PCI 3,465,230
42 Rolleston Glencore 75% ITOCHU 12.5% Sumitomo Corp. 12.5%
OC Thr 10,517,938
43 Saraji BHP Billiton 50% Mitsubishi Corp. 50%
OC Cok 9,010,721
44 Sonoma QCoal 90% China Steel 5% JFE Holdings 5%
OC Cok, Thr 4,157,503
45 South Walker Creek
BHP Billiton 80% Mitsui & Co. 20%
OC/UG Cok, PCI 5,180,097
46 West Moreton (Jeebropilly)
New Hope 100% OC Thr 664,217
47 Yarrabee Yancoal 100% OC Thr, PCI 3,058,317 出典:QLD 州政府公表資料 21
21 “Queensland coal – mines and advanced projects”, Queensland government, July 2016
31
出典:豪州地質調査所資料
図 3-1 QLD 州の炭鉱位置図 3-2. NSW 州 NSW 州の炭鉱を表 3-2 に示す。また、各炭鉱の位置図を図 3-2 に示す。
表 3-2 NSW 州の炭鉱一覧 炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2013/14 生産量(t) 1 Airly Banpu PCL 100% UG Thr 140,000
2 Angus Place Banpu PCL 50% Korea Resources 25% SK Corporation 25%
UG Thr 3,260,000
3 Ashton Yancoal Australia 100% OC/UG Cok, Thr 1,570,000 4 Austar Yancoal Australia 100% UG Thr 1,410,000 5 Awaba Banpu PCL 75%
Banpu Minerals 25% UG Thr -
6 Baal Bone Glencore 74.1% JX Energy 14.44% Sumitomo Corp. 5% Toyota Tsusho 4.75% JFE Holdings 1.71%
OC/UG Thr -
7 Bengalla New Hope 40% Wesfarmers 40% Mitsui & Co. 10%
OC Thr 8,620,000
32
炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2013/14 生産量(t) Taipower Bengalla 10%
8 Berrima Boral 100% UG Thr 90,000
9 Bloomfield Bloomfield 100% OC Cok, Thr 630,000
10 Boggabri Idemitsu 80% Chugoku Electric Power 10% Nippon Steel & Sumitomo Metal 10%
OC Cok, Thr, PCI
5,300,000
11 Bulga Complex Glencore 68.25% JX Energy 13.3% Nippon Steel & Sumitomo Metal 12.5% Toyota Tsusho 4.38% JFE Holdings 1.57%
OC/UG Thr 11,360,000
12 Chain Valley LDO Coal 100% UG Thr 1,100,000
13 Charbon Banpu PCL 95% SK Energy Australia 5%
OC/UG Thr 1,050,000
14 Clarence Banpu PCL 85% SK Energy Australia 15%
UG Thr 2,210,000
15 Cullen Valley Coalpac 100% OC - 16 Donaldson (Abel) Yancoal Australia 100% UG Cok, Thr 1,990,000 17 Duralie/Stratford Yancoal Australia 100% OC Cok, Thr 2,220,000 18 Hunter Valley
Operations Rio Tinto 67.6% Mitsubishi Corp. 32.4%
OC Cok, Thr 13,360,000
19 Illawarra (Appin/Dendrobium/West Cliff)
South32 100% UG Cok, Thr 7,410,000
20 Integra Bloomfield n.a. Glencore n.a.
OC/UG Cok, Thr 2,380,000
21 Invincible Coalpac 100% OC Thr -
22 Liddell Glencore 67.5% Mitsui Matsushima 32.5%
OC/UG Cok, Thr 4,570,000
23 Mandalong Banpu PCL 100% UG Thr 4,910,000
24 Mangoola Glencore 100% OC Thr 8,800,000 25 Mannering Banpu PCL 100% UG Thr - 26 Metropolitan Peabody 100% UG Cok 1,740,000 27 Moolarben Yancoal Australia 81%
Sojitz 10% Korea Electric Power 4% Korea Resources 4% Hanwha 1%
OC/UG Thr 6,510,000
28 Mount Thorley Rio Tinto 80% POSCO 20%
OC Cok, Thr 12,410,000
33
炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2013/14 生産量(t) 29 Mt Arthur BHP Billiton 100% OC/UG Thr 19,880,000 30 Mt Owen Complex Glencore 100% OC Thr 8,730,000 31 Muswellbrook Idemitsu 100% OC Thr 1,180,000 32 Myuna Banpu PCL 100% UG Thr 1,730,000 33 Narrabri Whitehaven Coal 70%
EDF Group 7.5% J-Power 7.5% Upper Horn Investments 7.5% Daewoo 5% Korea Resources 2.5%
UG Thr 5,510,000
34 Newstan Banpu PCL 100% UG Cok, Thr 550,000 35 Pine Dale Energy Australia 100% OC/UG Thr 170,000 36 Ravensworth
Operations Glencore 90% ITOCHU 10%
OC Cok, Thr 6,520,000
37 Ravensworth UG Glencore 70.2% Marubeni 19.8% POSCO 10%
UG Thr 1,890,000
38 Rix's Creek Bloomfield 100% OC Cok, Thr 1,570,000 39 Rocglen Whitehaven Coal 100% OC Thr, PCI 1,010,000 40 Russel Vale Wollongong Coal 100% UG Cok 240,000 41 Springvale Banpu PCL 50%
Korea Resources 25% SK Networks 25%
UG Thr 3,100,000
42 Sunnyside Namoi Mining 100% OC Thr - 43 Tahmoor Complex Glencore 100% UG Cok 1,710,000 44 Tarrawonga Whitehaven Coal 70%
Idemitsu 30% OC Thr, PCI 1,980,000
45 Tasman Yancoal Australia 100% UG Thr 20,000 46 Ulan Glencore 90%
Mitsubishi Corp. 10% UG Thr 7,050,000
47 Wambo Complex Peabody 100% OC/UG Thr, PCI 7,390,000 48 Werris Creek Whitehaven Coal 100% OC Thr, PCI 2,380,000 49 West Wallsend Glencore 80%
Marubeni 17% JFE Holdings 3%
UG Cok, Thr 3,090,000
50 Wilpinjong Peabody 100% OC Thr 14,620,000 51 Wongawilli Wollongong Coal 100% UG Cok, Thr 500,000
出典:NSW 州政府公表資料 22
22 “2014 New South Wales Coal Industry Profile”, NSW Government, 2014
34
出典:豪州地質調査所資料
図 3-2 NSW 州の炭鉱位置図 3-3. SA 州 SA 州の炭鉱を表 3-3 に示す。また、各炭鉱の位置図を図 3-3 に示す。Leigh Creek炭鉱が 2015 年に閉山したため、同州には操業中の炭鉱はなく、今後 Leigh Creek 炭鉱
では In Situ Gasification (ISG)によるガスの生産が計画されている。
表 3-3 SA 州の炭鉱一覧 炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2014/15 生産量(t)
1 Leigh Creek Leigh Creek Energy
100%
OC Thr n.a.
出典:各社 HP 情報
35
出典:豪州地質調査所資料
図 3-4 SA 州の炭鉱位置図 3-4. WA 州 WA 州の操業中の炭鉱を表 3-4 に示す。また、各炭鉱の位置図を図 3-4 に示す。パー
スの南方約 150 ㎞に位置する Collie には、2 つの炭鉱(Premier、Griffin)と 3 つの石
炭火力発電所が操業中である。
表 3-4 WA 州の炭鉱一覧 炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2014/15 生産量(t) 1 Griffin Coal Mine
(Ewington 1&2) Lanco Infratech Ltd. (100%)
OC Cok, Thr 4,000,000
2 Premier Yanzhou Coal Mining Co. Ltd. (100%)
OC Thr 4,800,000
出典:各社 HP 情報
36
出典:豪州地質調査所資料
図 3-3 WA 州の炭鉱位置図 3-5. VIC 州 VIC 州の操業中の炭鉱を表 3-5 に示す。また、各炭鉱の位置図を図 3-5 に示す。
Gippsland 炭田のラトローブバレーに大型の褐炭炭鉱が集中しており、火力発電所が併
設され、いわゆる「山元発電」が行われている。 このうち、Hazelwood 褐炭火力発電所については老朽化による経済性の低下のため 2017年 3 月末をもって閉鎖され、Hazelwood 炭鉱では環境修復の作業が進められている。なお、
保守系議員や産業界からは電力の安定供給や雇用維持の観点から同発電所の存続を求める
声が上がっていたが、連邦政府は同発電所が閉鎖されても電力供給に余裕があると判断し、
また、5 年後には水力発電の増強が計画されていること等を背景に公的資金による支援を行
うことはせず、当初の予定どおり閉鎖された。
表 3-5 VIC 州の炭鉱一覧 炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2014/15 生産量(t) 1 Hazelwood Engie (72%)
Mitsui & Co. Ltd. (28%) OC Thr n.a.
2 Loy Yang AGL Energy Limited (100%)
OC Thr n.a.
37
炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2014/15 生産量(t) 3 Maddingley Mine Maddingley Brown
(100%) OC Thr n.a.
4 Yallourn Energy Australia (100%) OC Thr n.a.
出典:豪州地質調査所資料
図 3-5 VIC 州の炭鉱位置図 3-6. TAS 州 TAS 州の炭鉱を表 3-6 に示す。また、各炭鉱の位置図を図 3-6 に示す。小規模な炭鉱
が主である。
表 3-6 TAS 州の炭鉱一覧 炭鉱名 企業名 採掘法 石炭タイプ 2014/15 生産量(t) 1 Duncan Cornwall Coal
Company NL (100%) OC/UG Thr n.a.
2 Kimbolton n.a. OC Thr n.a.
38
出典:豪州地質調査所資料
図 3-6 TAS 州の炭鉱位置図 4. 主要新規開発案件
連邦政府が 2017 年 1 月に発表した Resources and Energy Major Projects23では、
2016 年 12 月末時点における資源・エネルギー関連の主要プロジェクト(投資予定額が
0.5 億 A$以上のプロジェクト)が以下の4つの開発段階ごとに整理されている。 ・ 公表済み(Publicly Announced)
・ FS 実施段階(Feasibility Stage)
・ FID 実施済段階(工事中を含む)(Committed)
・ 工事完了段階(2016 年 12 月までに工事を完了)(Completed)
2013 年 4 月以降の主要な石炭開発プロジェクト数の推移を表 4-1 に示す。近年は、
石炭開発のプロジェクト数が徐々に減少している傾向が認められる。 23 “Resources and Energy Major Projects December 2016”, Australian Government, Department of Industry, Innovation and Science, Office of the Chief Economist
39
表 4-1 主要石炭開発プロジェクト数の推移
出典データ:Resources and Energy Major Projects
表 4-1 に QLD 州及び NSW 州の新規開発炭鉱プロジェクトを示す。2016 年 12 月末
時点で QLD 州における新規炭鉱プロジェクトは 29 件認められる。QLD 州のプロジェ
クトは Galilee Basin、Bowen Basin、Surat Basin 等と広範囲に認められる。2016 年
12 月末時点で NSW 州における新規炭鉱プロジェクトは 8 件認められる。NSW 州のプ
ロジェクトは Gunnedah Basin、Hunter Basin、Southern Basin に分布している。 表 4-2 に QLD 州及び NSW 州の炭鉱拡張プロジェクトを示す。2016 年 12 月末時点
で QLD 州における新規炭鉱プロジェクトは 29 件認められる。QLD 州のプロジェクト
は Galilee Basin、Bowen Basin、Surat Basin 等と広範囲に認められる。2016 年 12月末時点で NSW 州における新規炭鉱プロジェクトは 8 件認められる。NSW 州のプロ
ジェクトは Gunnedah Basin、Hunter Basin、Southern Basin に分布している。 表 4-1、表 4-2 に記した炭鉱プロジェクトの位置を図 4-1、4-2 に示す。また、近年オ
ーストラリア国内で操業を開始した炭鉱を以下に示す。 QLD 州
・ Clermont 炭鉱(三菱商事, Glencore, 住友商事, J-Power, JCD)2010 年 ・ Daunia 炭鉱(QLD 州)2013 年 ・ Middlemount 炭鉱(QLD 州)2013 年 ・ Caval Ridge 炭鉱(QLD 州)2014 年 ・ Drake 炭鉱(QLD 州)2014 年 ・ Grosvenor 炭鉱(QLD 州)2016 年
NSW 州 ・ Mangoola 炭鉱(NSW 州)2011 年 ・ Moolarben 炭鉱(NSW 州)2011 年 ・ Maules Creek 炭鉱(NSW 州)2015 年
0
20
40
60
公表済 F/S 着工済 完了
2013年4月 2013年10月 2014年4月 2014年10月
2015年4月 2015年10月 2016年12月
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表4-2
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及び
NSW州
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5. 近年の炭鉱の売却 石炭価格の低迷や一部のメジャー企業がオーストラリアの石炭事業を非中核的事業
と位置付けたこと等を受けて、近年、メジャー企業等による炭鉱の売却が活発化してい
る。地元紙による報道や各企業が発表した情報に基づき、近年の炭鉱の買収売却案件を
表 5-1 に示す。
表 5-1 近年の炭鉱の買収売却案件リスト 鉱山名 州 購入企業 売却企業 売却時期 売却価格
1 Blair Athol QLD TerraCom Resources
Rio Tinto (57.2%)
2016 年 7月売却発表 1.00A$
2 Broadlea QLD Fitzroy Queensland Resources
Vale (100%) 2016 年 12月売却発表 非公表
3 Callide QLD Batchfire Resources
Anglo American (100%)
2016 年 1月売却発表
2016 年 10月売却完了
非公表
4 Capcoal QLD Anglo American (70%)
売却意向の
報道
5 Carborough Downs QLD
Fitzroy Queensland Resources
Vale (90%) 2016 年 12月売却発表 非公表
6 Clermont QLD GS Coal (Glencore-Sumitomo)
Rio Tinto (50.1%)
2013 年 10月売却発表
2014 年 6月売却完了
10 億 1,500 万
A$
7 Curragh QLD Wesfarmers (100%)
売却意向の
報道
8 Dawson QLD Anglo American (51%)
売却意向の
報道
9 Foxleigh QLD
Taurus Funds Management (Middlemount South)
Anglo American (70%)
2016 年 4月売却発表
2016 年 8月売却完了
非公表
10 Gregory Crinum QLD
BHP Billiton (50%)
売却意向の
報道
11 Grosvenor QLD Anglo American (100%)
売却の意向
であったが
維持する方
向に転換か
12 Hail Creek QLD Rio Tinto(82%) 売却意向の
報道
13 Isaac Plains QLD Stanmore Coal Vale(50%)、 住友商事(50%)
2015 年 7月売却発表
2015 年 9月売却完了
1.00A$及びロイヤ
ルティ 2.0A$/t
14 Kestrel QLD Rio Tinto(80%) 売却意向の
報道
44
鉱山名 州 購入企業 売却企業 売却時期 売却価格
15 Millennium QLD Peabody Energy (100%)
売却意向の
報道
16 Moranbah North QLD Anglo American
(88%)
売却の意向
であったが
維持する方
向に転換か
17 Moranbah South project QLD Anglo American
(50%) 売却意向の
報道
18 North Goonyella QLD Peabody Energy
(100%) 売却意向の
報道
19 Wilkie Creek QLD Peabody Energy (100%)
売却意向の
報道
20 Olive Downs North project QLD Pembroke
Resources Peabody Energy (73.3%)
2016 年 5月売却発表 2016 年 8月売却完了
1億 400 万 A$ 及びロイヤルティ
21 Olive Downs South project QLD Pembroke
Resources Peabody Energy (100%)
22
Olive Downs South Extended project
QLD Pembroke Resources
Peabody Energy (100%)
23 Willunga project QLD Pembroke
Resources Peabody Energy (100%)
24 Wotonga project (Isaac Plains East)
QLD Stanmore Coal Peabody Energy (100%)
2015 年 7月売却発表
2015 年 11月売却完了
700 万 A$及び
ロイヤルティ 1.0A$/t
25 Biolea project QLD United Mining Linc Energy (100%)
2015 年 2月売却発表
2015 年 5月売却完了
500 万 A$及び
ロイヤルティ
26 Blair Athol (royalty) QLD United Mining
Linc Energy (0.5US$/t royalty)
27 Dalby project QLD United Mining Linc Energy (100%)
28 Pentland project QLD United Mining Linc Energy
(100%)
29 Teresa project QLD United Mining Linc Energy (100%)
30 Bengalla NSW New Hope Rio Tinto (40%)
2015 年 9月売却発表
2016 年 3月売却完了
6 億 1,670 万
US$
31 Bengalla NSW Wesfarmers (40%)
売却意向の
報道
32 Dartbrook NSW Australian Pacific Coal
Anglo American (83.33%)、丸紅
(16.67%)
2015 年 12月購入発表
5000 万 A$ 及びロイヤルティ
33 Integra NSW
Glencore(坑内
部分) Bloomfield Group(露天部
分)
Vale (68.4%) 2015 年 12月売却完了
非公表、ロイヤルテ
ィ 1.50A$/t
45
鉱山名 州 購入企業 売却企業 売却時期 売却価格
34 Metropolitan NSW South32 Peabody Energy (100%)
2016 年 11月売却発表 2 億 A$
35 Mount Pleasant NSW MACH Energy
(Salim Group) Rio Tinto (100%)
2016 年 1月売却発表
2016 年 8月売却完了
2 億 2,400 万
US$及びロイヤルテ
ィ 2%FOB
36 Mt Arthur NSW BHP Billiton (100%)
売却意向の
報道
37 Vickery project NSW Whitehaven
(100%)
JV パートナー
を希望 30%権益
38 Hunter Valley Operations NSW Yancoal Rio Tinto
(67.6%) 2017 年 1月売却発表
24 億 5,000 万
US$ 39 Mount Thorley NSW Yancoal Rio Tinto (80%)
40 Warkworth NSW Yancoal Rio Tinto (55.57%)
6. 近年の操業休止・閉山炭鉱 企業は 2012~16 年にかけて石炭価格が下落した時期に、生産コストの高い採算性の
低い炭鉱の操業を休止した。オーストラリア国内で近年操業を休止した炭鉱及び閉山予
定の炭鉱を以下に示す。 QLD 州
・ Baralaba 炭鉱(Baralaba Coal, Noble Group):Baralaba 社破たんにより 2015年操業休止
・ Blair Athol 炭鉱(Rio Tinto):2012 年操業休止 ・ Broadlea 炭鉱(Vale):2009 年 11 月操業休止 ・ Burton 炭鉱(Peabody):2016 年 8 月に操業休止を検討していることが報じられ
た。 ・ Commodore 炭鉱(InterGen Australia, 丸紅, GEC, 東北電力, Energy Investor
Funds):2016 年 1~3 月四半期に操業休止 ・ Crinum 炭鉱(BHP Billiton, Mitsubishi Corp.):2016 年 11 月に鉱量枯渇で閉山 ・ Gregory 炭鉱(BHP Billiton, Mitsubishi Corp.):2015 年閉山・原状回復工事実
施中 ・ Moranbah North 炭鉱(Anglo American):操業中 Anglo American が売却の意
向 ・ New Acland 炭鉱(New Hope):2018 年閉山予定 ・ New Oakleigh 炭鉱(New Hope):2013 年 1 月に閉山・原状回復工事実施中
46
・ Norwich Park 炭鉱(BHP Billiton, Mitsubishi Corp.):石炭価格の下落により
2012 年 5 月操業休止 ・ Wilkie Creek 炭鉱(Peabody Energy):2012 年 12 月操業休止
NSW 州
・ Angus Place 炭鉱(Centennial Coal):2014 年 12 月四半期に操業休止 ・ Baal Bone 炭鉱:(Glencore, JX 日鉱日石エネルギー, 住友商事, 豊田通商, JFE
商事)2011 年 9 月閉山 ・ Canyon 炭鉱(Whitehaven):2009 年 7 月閉山 ・ Cullen Valley 炭鉱(Coalpac):2013 年 1 月操業休止 ・ Dartbrook 炭鉱(Anglo American, 丸紅):2006 年操業休止 ・ Donaldson 炭鉱(Yancoal Australia):2016 年 5 月操業休止 ・ Drayton 炭鉱(Anglo American, 三井物産, 日本コークス工業, 大宇, 現代):
2016 年 9 月操業休止 ・ Invincible 炭鉱(Coalpac):2013 年 5 月操業休止 ・ Mannering 炭鉱(Centennial Coal):2013 年 7 月操業休止 ・ Newstan Lochiel 炭鉱(Banpu PCL):2016 年 5 月操業休止 ・ Newstan 炭鉱(Banpu Minerals):2014 年 8 月操業休止 ・ Ravensworth UG 炭鉱(Glencore, 丸紅, POSCO):2014 年 10 月操業休止 ・ West Wallsend 炭鉱(Glencore, 丸紅, JFE Holdings):2016 年閉山予定
VIC 州
・ Hazelwood 炭鉱(Engie, 三井物産):2017 年 3 月閉山 WA 州
・ Muja 炭鉱(Lanco Infratech)2010 年閉山 7. 遅延・中止・売却対象の新規開発案件 操業中の炭鉱に加えて新規開発案件の売却を進められている。また、地元住民による
炭鉱開発反対運動によって開発が停滞している新規開発石炭事業も認められる。遅延・
中止・売却対象の新規開発案件を以下に示す。 QLD 州
・ Grosvenor 炭鉱 (Anglo American):2016 年 5 月操業開始したが、Anglo American が売却の意向。
47
・ Eagle Downs プロジェクト:(Vale, Baowu Group(宝武鋼鉄集団), Aurizon Holdings)2017 年操業開始予定。Vale が売却の意向。
NSW 州
・ Drayton South プロジェクト(Anglo American):開発が遅延。周辺のサラブレ
ッド牧場の反対を受けて州政府の環境認可が得られていない。Anglo Americanは売却する意向であるとも報じられる。
・ Watermark プロジェクト(Shenhua Group):開発が遅延。州政府及び連邦政府
から環境認可は取得したものの、連邦政府の認可は水資源管理などの条件付き
であると共に環境団体や農業関係者からの根強い反対あり。 8. まとめ 石炭価格が低迷していた 2015~16 年には QLD 州の炭鉱の 1/3 が赤字となっていた
ため 24、石炭資産の売却を発表する企業が増加した。しかし、2016 年 7 月頃から原料
炭価格の上昇が始まり、一般炭価格も原料炭に追随して上昇した。石炭価格は 2016 年
11 月にピークを迎えた後、値を下げ始めたが 2017 年 1 月時点で原料炭は 180US$/t、一般炭は 80US$/t の高い価格水準を維持している。2017 年以降、各社は石炭資産を売
り急がず、高値で売却に合意しない限りは保有しようとする傾向が表れ始めている。
Anglo American は Moranbah North 炭鉱や Grosvenor 炭鉱などの優良資産の売却を
発表し、BHP Billiton 等が購入に関心を示したものの、Anglo American は売却中断を
判断している。 オーストラリアでは炭鉱閉山後の鉱業用地の原状回復について厳しい条件が伴うた
め、閉山コストが数億 A$に上る事例が報道されている 25。このため将来の閉山費用を
勘案した結果、Isaac Plains 炭鉱や Blair Athol 炭鉱など操業休止中の炭鉱がタダ同然
(1A$)で売却される事例が認められる。Isaac Plains 炭鉱の 3,200 万 A$の原状回復
費用は Stanmore Coal が準備する必要がある。Blair Athol 炭鉱の原状回復には 3 億
A$程度要するとみられ、TerraCom 社は元の所有者である Rio Tinto が売却時に積み立
てた約 8,000 万 A$を除く 2 億 2,000 万 A$を準備する必要がある 26。オーストラリア
の環境規制は厳しく、多くの企業にとって閉山は多大な費用を伴うため、悩みの種とな
っている。一方、中小企業が炭鉱を買収したケースでは閉山後の原状回復がきちんと行
われるのか懸念が示されている 27。 24 “One third of Queensland’s coal mines running at a loss - QRC”, Mining Weekly, 2016/02/08 25 “Too costly to shut: Mine sales stumble on looming clean-ups”, Mining Weekly, 16/05/2016 26 Rio Tinto's $1 sale of Blair Athol coal mine 'puts risk back on taxpayer'ABC, 2016/7/12 27 “Coal mine fire sales pose environmental rehabilitation threat”, ABC news, 2016/4/29
48
近年、労働党が与党の QLD 州、VIC 州、SA 州、ACT では積極的に再生可能エネル
ギーの導入が推進されており、QLD 州では 2030 年までに再生可能エネルギーによる
発電を全発電量の 50%、VIC 州では 2025 年までに再生可能エネルギーによる発電を
全発電量の 40%、SA 州では 2025 年までに再生可能エネルギーによる発電を全発電量
の 50%、ACT では 2020 年までに再生可能エネルギーによる発電を全発電量の 100%にする目標を掲げている。これらの各州では二酸化炭素排出量削減のために今後石炭火
力発電所の閉鎖が進み、脱石炭の傾向が強まると予想される。既にオーストラリアの 4大銀行の一部は今後石炭に関するプロジェクトに対して融資を行わない方針を表明し
ている。オーストラリアでは石炭資源の開発に対して厳しい目が向けられつつあるため、
今後、再び石炭価格が下落すれば企業の石炭資産の売却が再び活発になる可能性がある。
49
平成 28 年度海外炭開発支援事業 海外炭開発高度化等調査 「豪州炭鉱の売却、閉山及び新規開発案件の動向等調査」 平成 29 年 3 月 発行
発行: 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 2 丁目 10 番 1 号 虎ノ門ツインビルディング http://www.jogmec.go.jp/ おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするように最大限の努力を
行っておりますが、本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然
ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責を負いかねます。なお、本報告書の
内容を引用等する際は、あらかじめ独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の許可を
受けてください。