平成 31(2019)年度「とちぎっ子学習状況調査」の結果につい …...- 0 -...

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令和元年 9 月 27 日 平成 31(2019)年度「とちぎっ子学習状況調査」の結果について【中学校】 宇都宮市教育委員会 各種学力調査を有効に活用して児童生徒の学力向上を図るためには,調査結果を分析して 児童生徒の学力や学習状況等についての成果や課題を明らかにした上で,課題の解決に向け て学習指導の工夫・改善を図ることや実効性のある取組を見いだし実践することが大切です。 こうした考えから,平成 31(2019)年度「とちぎっ子学習状況調査」における本市立中学校 生徒の学力や学習状況の概要,指導の改善策などをまとめました。 参考:「とちぎっ子学習状況調査」について 1 目的 本県児童生徒の学力や学習の状況等を把握・分析し,児童生徒一人一人の課題を明確にすると ともに,各学校が組織的に学習指導における検証改善(学力向上PDCA)サイクルの構築・運 用に取り組むことにより,本県児童生徒の学力向上に資する。 2 調査期日・調査対象 平成 31(2019)年4月 18 日(木) 第2学年 3 調査内容 (1) 教科に関する調査 調査教科 国語・社会・数学・理科・英語 ② 出題範囲 調査する学年の前学年までの学習内容 出題内容 学習指導要領に基づき,教科の目標及び内容に即した基礎的・基本的な 知識・技能及び思考力・判断力・表現力等に関わる内容 (2) 質問紙調査 児童質問紙調査 学習意欲,学習方法,学習環境,家庭学習等に関すること 学校質問紙調査 指導に関する取組や学習環境等に関すること 等 4 本市の参加状況 (1) 学校数 宇都宮市立中学校 25 校(25 校中) (2) 生徒数 国語 4,059 人 社会 4,059 人 数学 4,056 人 理科 4,057 人 英語 4,055 人 5 留意事項 (1) 調査結果について 本調査は,対象となる学年や実施教科が限られていることや,必ずしも学習指導要領全体 を網羅するものでないことなどから,本調査の結果については,児童生徒が身に付けるべき 学力の特定の一部分であることに留意することが必要となる。 (2) 教科に関する調査について 調査結果のデータについては,本市の傾向等を示すために,教科全体及びカテゴリー別 の平均正答率,正答率度数分布を示した。 平均正答率等の数値は調査結果のすべてを表すものではないため,「傾向と課題」「指導 の工夫・改善」等の分析を併せて記載した。 「傾向と課題」は,領域等ごとに良好な状況や課題が見られた設問の状況を記載した。 ※「良好な状況が見られるもの」と「課題が見られるもの」は,正答率が県平均より高 い(低い)設問などを基に考察した。 「指導の工夫・改善」は,調査結果に見られた課題を解決するため,今後の学習指導 において参考となるポイントを中心に記載した。 (3) 質問紙調査について 本市の推進する教育施策と関連の深い質問及び県との比較において本市の特徴が見られる 質問を取り上げて,調査結果と傾向,考察を示すとともに,クロス集計結果も踏まえた指導 の工夫・改善のポイントを記載した。 (4) 用語について 「カテゴリー別平均正答率」等の中で,学習指導要領において領域による内容構成を行っ ていない教科についても,内容のまとまりなどを「領域等」として表記した。

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Page 1: 平成 31(2019)年度「とちぎっ子学習状況調査」の結果につい …...- 0 - 令和元年9月27日 平成31(2019)年度「とちぎっ子学習状況調査」の結果について【中学校】

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令和元年 9月 27日

平成 31(2019)年度「とちぎっ子学習状況調査」の結果について【中学校】

宇都宮市教育委員会

各種学力調査を有効に活用して児童生徒の学力向上を図るためには,調査結果を分析して

児童生徒の学力や学習状況等についての成果や課題を明らかにした上で,課題の解決に向け

て学習指導の工夫・改善を図ることや実効性のある取組を見いだし実践することが大切です。

こうした考えから,平成 31(2019)年度「とちぎっ子学習状況調査」における本市立中学校

生徒の学力や学習状況の概要,指導の改善策などをまとめました。

参考:「とちぎっ子学習状況調査」について

1 目的

本県児童生徒の学力や学習の状況等を把握・分析し,児童生徒一人一人の課題を明確にすると

ともに,各学校が組織的に学習指導における検証改善(学力向上PDCA)サイクルの構築・運

用に取り組むことにより,本県児童生徒の学力向上に資する。

2 調査期日・調査対象 平成 31(2019)年4月 18日(木) 第2学年

3 調査内容

(1) 教科に関する調査

① 調査教科 国語・社会・数学・理科・英語

② 出題範囲 調査する学年の前学年までの学習内容 ③ 出題内容 学習指導要領に基づき,教科の目標及び内容に即した基礎的・基本的な

知識・技能及び思考力・判断力・表現力等に関わる内容 (2) 質問紙調査

① 児童質問紙調査 学習意欲,学習方法,学習環境,家庭学習等に関すること

② 学校質問紙調査 指導に関する取組や学習環境等に関すること 等

4 本市の参加状況

(1) 学校数 宇都宮市立中学校 25校(25校中)

(2) 生徒数 国語 4,059人 社会 4,059人 数学 4,056人 理科 4,057人 英語 4,055人

5 留意事項

(1) 調査結果について

本調査は,対象となる学年や実施教科が限られていることや,必ずしも学習指導要領全体

を網羅するものでないことなどから,本調査の結果については,児童生徒が身に付けるべき

学力の特定の一部分であることに留意することが必要となる。

(2) 教科に関する調査について

① 調査結果のデータについては,本市の傾向等を示すために,教科全体及びカテゴリー別

の平均正答率,正答率度数分布を示した。

② 平均正答率等の数値は調査結果のすべてを表すものではないため,「傾向と課題」「指導

の工夫・改善」等の分析を併せて記載した。

・ 「傾向と課題」は,領域等ごとに良好な状況や課題が見られた設問の状況を記載した。 ※「良好な状況が見られるもの」と「課題が見られるもの」は,正答率が県平均より高い(低い)設問などを基に考察した。

・ 「指導の工夫・改善」は,調査結果に見られた課題を解決するため,今後の学習指導において参考となるポイントを中心に記載した。

(3) 質問紙調査について

本市の推進する教育施策と関連の深い質問及び県との比較において本市の特徴が見られる

質問を取り上げて,調査結果と傾向,考察を示すとともに,クロス集計結果も踏まえた指導

の工夫・改善のポイントを記載した。

(4) 用語について

「カテゴリー別平均正答率」等の中で,学習指導要領において領域による内容構成を行っ

ていない教科についても,内容のまとまりなどを「領域等」として表記した。

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1 中学校第2学年 国語

平均正答率 (%)

宇都宮市(市立)

栃木県(公立)

a-b

教科全体 68.3 67.2 1.1

カテゴリー別集計結果 (%)

宇都宮市 a 栃木県 b 差 a-b

基礎・基本 68.8 67.8 1.0

思考・判断・表現 66.5 65.2 1.3

領域等別

話すこと・聞くこと 69.6 68.2 1.4

書くこと 71.7 71.5 0.2

読むこと 52.6 51.0 1.6

伝統的な言語文化と国語の特質

に関する事項 74.8 73.7 1.1

観点別

国語への関心・意欲・態度 72.8 72.1 0.7

話す・聞く能力 69.9 68.7 1.2

書く能力 70.7 70.3 0.4

読む能力 54.7 53.1 1.6

言語についての知識・理解・技能 74.5 73.5 1.0

正答率度数分布

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0% <10% <20% <30% <40% <50% <60% <70% <80% <90% <100% 100%

(生徒の割合)

(正答率)

本市

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話すこと・聞くこと (県平均との差 1.4ポイント)

○ 話合いにおいて,司会者が行っていた進め方の工夫としてふさわしい選択肢を選ぶ設

問の正答率は 79.7%で,県平均を 2.0ポイント上回る。司会者の工夫の理解に良好な状

況が見られる。 書くこと (県平均との差 0.2ポイント)

○ 発表するための原稿の文言をふさわしいものに修正する設問の正答率は 77.5%で,

県平均を 1.2ポイント上回る。書いた文章を読み直し,適切な表現にすることに良好な

状況が見られる。

● ポスターを評価する文章を書くにあたり,自分の考えとその理由を明確に記す設問の

正答率は 72.0%で,県平均を 0.9ポイント下回る。自分の考えを明確にして書くことに

課題が見られる。 読むこと (県平均との差 1.6ポイント)

○ 文学的文章中の表現の効果の説明としてふさわしい選択肢を選ぶ設問の正答率は

72.0%で,県平均を 1.7ポイント上回る。文章の表現の特徴を捉えることに良好な状況

が見られる。

○ 説明文において,指示語の内容の説明としてふさわしい選択肢を選ぶ設問の正答率は

72.0%で,県平均を 1.7ポイント上回る。文章の展開に即して内容を捉えることに良好

な状況が見られる。 伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項 (県平均との差 1.1ポイント)

○ 文節と文節の関係について,例文と同じ修飾・被修飾の関係が含まれている文を選ぶ

設問の正答率は 72.7%であり,県平均を 3.0 ポイント上回る。文節と文節の関係の理解

に良好な状況が見られる。

書くこと

・ 設問7では,ポスターを比較し,マナー向上にはどちらが効果的か自分の考えとその

理由を記すことが求められた。評価するためには「観点」を設定し,「観点」に基づい

て考えを記述することが必要である。今回の設問であれば,「言葉の選び方(あたたか

く訴える言い方/よくないところをとがめる言い方)」,「表現上の工夫(5音7音の組

合せの有無)」,「具体的な場面の説明(イラストを補助する言葉の有無)」などの観点を

設定した上で,理由を明確に記すことが重要である。授業では,「タウン誌の記事を推

敲しよう」等において,「興味をひく書き出し」,「言葉の選び方」,「臨場感のある描写」,

「会話文の使用」,「文末表現の仕方」等,効果的な表現の技術について指導するととも

に,実際の作品を評価し合い,自分の作品を点検する指導が効果的である。※1,2

読むこと

・ 「読むこと」における正答率は,全ての設問で県平均を上回った。言語活動を通して

技能を指導することが浸透し,生徒は習得した技能を基に話や文章に含まれている情報

を的確に理解していると考えられる。今後とも,国語科のみならず他教科とも連携しな

がら,言語活動の更なる工夫を行うなど,指導の充実が望まれる。 ※1 「授業力向上プロジェクトだより第 16号」平成 26年1月 ※2 「授業力向上プロジェクトだより第 26号」平成 28年1月

指導の工夫・改善

※…本市が作成した資料との関連

傾向と課題 ○…良好な状況が見られるもの ●…課題が見られるもの

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2 中学校第2学年 社会

平均正答率 (%) 宇都宮市(市立)

栃木県(公立)

b 差 a-b

教科全体 68.3 66.5 1.8

カテゴリー別集計結果 (%)

宇都宮市 a 栃木県 b 差 a-b

基礎・基本 71.6 69.9 1.7

思考・判断・表現 56.2 54.1 2.1

領域等別

世界の地域構成 57.6 56.0 1.6

世界各地の人々の生活と環境 74.6 71.9 2.7

世界の諸地域 67.0 66.3 0.7

古代までの日本 75.7 73.3 2.4

中世の日本 57.9 56.7 1.2

観点別

社会的事象への関心・意欲・態度 65.0 63.0 2.0

社会的な思考・判断・表現 62.5 60.5 2.0

資料活用の技能 67.2 65.9 1.3

社会的事象についての知識・理解 71.8 70.1 1.7

正答率度数分布

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0% <10% <20% <30% <40% <50% <60% <70% <80% <90% <100% 100%

(生徒の割合)

(正答率)

本市

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世界の地域構成 (県平均との差 1.6ポイント)

〇 ニュージーランドが属する州の名称を記述する設問の正答率は 78.8%で,県平均を

2.6ポイント上回る。世界の地域区分に関する知識の定着に良好な状況が見られる。

● 緯線と経線が直角に交わる地図の特色について,正しく説明している文章を選択す

る設問の正答率は 39.9%で,教科全体の中で最も正答率が低い。様々な地図の特色に

関する知識及び技能の定着に課題が見られる。

世界各地の人々の生活と環境 (県平均との差 2.7ポイント)

〇 資料からアンデス山脈に暮らす人の生活の特色を読み取り,その地域を世界地図の

中から選択する設問の正答率は 65.9%で,県平均を 7.5 ポイント上回る。世界各地の

人々の生活と環境に関する知識及び,資料から適切な情報を読み取る技能の定着に良

好な状況が見られる。

世界の諸地域 (県平均との差 0.7ポイント)

〇 地図中の砂漠,川,山脈の正しい名称を選択する設問の正答率は 83.8%で,県平均

を 2.1ポイント上回る。世界各州の地形に関する知識の定着に良好な状況が見られる。

● 西アジア・中央アジアの産業について,地図と説明文を関連付けて,正しい文章を選

択する設問の正答率は 64.8%で,県平均を 4.7 ポイント下回る。西アジア・中央アジ

アにおける重要な産業に関する知識の定着に課題が見られる。

古代までの日本 (県平均との差 2.4ポイント)

〇 奈良時代の仏教の特色を説明する設問の正答率は 57.6%で,県平均を 6.4 ポイント

上回る。複数の資料から共通点を見出し,適切に表現することに良好な状況が見られ

る。

中世の日本 (県平均との差 1.2ポイント)

○ 武士の台頭ついて説明した文章を,年代順に正しく並べた組合せを選択する設問の

正答率は 54.6%で,県平均を 4.5 ポイント上回る。武士の台頭と支配の広がりに関す

る知識の定着に良好な状況が見られる。

世界の地域構成

・ 地図を活用する技能を養うためには,目的に応じた様々な世界地図があることを取り

上げ,それらの特色を読み取る学習活動とともに,地球儀で地球上の位置関係や陸地面

積,形状などを正しく捉える学習活動を関連付けて,多面的・多角的に考察しながら,

緯度や経度の仕組や性質などについて理解を深めていくことが必要である。

世界の諸地域

・ 地誌的な知識や概念の定着を図るためには,授業を通して,地球儀や地図,衛生画像

などを活用するとともに,学習の成果について地図を用いて表現する活動を設定するこ

とが効果的である。

傾向と課題 ○…良好な状況が見られるもの ●…課題が見られるもの

指導の工夫・改善

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3 中学校第2学年 数学

平均正答率 (%) 宇都宮市(市立)

栃木県(公立)

b 差 a-b

教科全体 56.0 54.4 1.6

カテゴリー別集計結果 (%)

宇都宮市 a 栃木県 b 差 a-b

基礎・基本 60.9 59.4 1.5

思考・判断・表現 36.6 34.1 2.5

領域等別

数と式 68.4 66.8 1.6

図形 57.8 56.5 1.3

関数 40.1 38.5 1.6

資料の活用 46.3 43.8 2.5

観点別

数学への関心・意欲・態度 36.4 34.1 2.3

数学的な見方や考え方 42.5 40.5 2.0

数学的な技能 59.6 57.9 1.7

数量や図形についての知識・理解 56.0 54.3 1.7

正答率度数分布

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0% <10% <20% <30% <40% <50% <60% <70% <80% <90% <100% 100%

(生徒の割合)

(正答率)

本市

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数と式 (県平均との差 1.6ポイント)

○ 祖父の年齢が孫の年齢の4倍になるのは今から何年後かを比例式で求める設問の正

答率は 45.9%で県平均を 6.6 ポイント上回り,妹の後に出発した兄が妹に追いつくま

での時間を求める1次方程式をつくる設問の正答率は 23.7%で県平均を 3.0 ポイント

上回る。問題を解決するために,数量の関係を等式に表すことに良好な状況が見られる。 図形 (県平均との差 1.3ポイント)

○ 三角錐の投影図を選ぶ設問の正答率は 57.6%で県平均を 2.5 ポイント上回り,長方

形の一辺を軸として1回転させたときにできる立体を選ぶ設問の正答率は 81.8%で県

平均を 1.5ポイント上回る。空間図形の特徴についての理解に良好な状況が見られる。 関数 (県平均との差 1.6ポイント)

○ 比例の関係にある1組のx,yの値から比例の式を求める設問の正答率は 55.5%で

県平均を 3.3 ポイント上回り,反比例のグラフに対応する式を選ぶ設問の正答率は

57.7%で県平均を 3.1 ポイント上回る。比例や反比例の関係を式やグラフを用いて表す

ことに良好な状況が見られる。

● 縦と横の長さの和が一定である長方形の横の長さと面積について「横の長さを決める

と,それにともなって面積がただ一つ決まる」という関係があるときに,「□は□の関

数である」の□に当てはまる言葉を答える設問の正答率は 22.4%であり,県平均を 0.1

ポイント下回る。関数についての理解に課題が見られる。 資料の活用 (県平均との差 2.5ポイント)

○ 度数分布表をもとに相対度数を求める設問の正答率は 53.9%で県平均を 4.8 ポイン

ト上回り,資料の範囲についての正しい記述を選ぶ設問の正答率は 56.7%で県平均を

2.5ポイント上回る。資料の活用に係る用語の意味の理解に良好な状況が見られる。

● 携帯電話の使用時間に係る資料について,1日当たり 1.5時間よりも長い生徒と短

い生徒のどちらが多いのかを調べるためには,1.5時間をどの代表値と比べればよい

のかを選ぶ設問の正答率は 37.0%で,県平均を 0.8ポイント下回る。代表値の意味を

理解した上で,目的に応じて用いることに課題が見られる。

関数

・ 関数の意味については,様々な事象の中の二つの数量x,yについて,具体的な数を

xにあてはめて,yが一意に決まるかどうかを確かめ,「yはxの関数である」といえる

かどうかを判断する学習や,関数ではないと考えられる事象を生徒に自由に挙げさせ,

関数の定義に照らして確かめる学習を通して理解を図るとともに,第2・3学年におけ

る関数の領域の学習の際に,意図的に学び直しの機会を設けることが大切である。

資料の活用 1

・ 代表値について理解を図るためには,資料の特徴や傾向を考え話し合う学習において,

感覚的な表現ではなく,代表値を用いた数学的な表現で判断の根拠を説明するよう指導

することが大切である。その上で,発表された生徒の考えに対して批判的な考察を促す

問い返しをし,例えば,「平均値の度数が多いとは限らない」ことを見いだせるようにす

るなど,代表値についての理解を深められるようにしたい。また,教師が意図的に誤っ

た判断のモデルを示し,生徒に誤りの理由を説明させる活動も効果的である。※1

※1「新学習指導要領の趣旨を踏まえた学習評価-中学校各教科の具体的評価例-」平成 24年3月 P10

傾向と課題 ○…良好な状況が見られるもの ●…課題が見られるもの

指導の工夫・改善

※…本市が作成した資料との関連

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4 中学校第2学年 理科

平均正答率 (%) 宇都宮市(市立)

栃木県(公立)

b 差 a-b

教科全体 60.8 60.3 0.5

カテゴリー別集計結果 (%)

宇都宮市 a 栃木県 b 差 a-b

基礎・基本 60.3 59.8 0.5

思考・判断・表現 62.4 61.8 0.6

領域等別

エネルギー 56.6 55.8 0.8

粒子 69.6 69.0 0.6

生命 64.4 63.0 1.4

地球 49.2 50.2 △1.0

観点別

自然現象への関心・意欲・態度 65.2 64.7 0.5

科学的な思考・表現 52.8 52.8 0.0

観察・実験の技能 72.0 71.2 0.8

自然現象についての知識・理解 63.7 62.7 1.0

正答率度数分布

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0% <10% <20% <30% <40% <50% <60% <70% <80% <90% <100% 100%

(生徒の割合)

(正答率)

本市

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エネルギー (県平均との差 0.8ポイント)

○ 虚像の名前と性質を答える設問の正答率は 71.4%で,県平均を 3.4ポイント上回る。

虚像の名前と性質の知識の定着に良好な状況が見られる。

粒子 (県平均との差 0.6ポイント)

○ 二酸化炭素の発生方法について答える設問の正答率は 58.5%で,県平均を 4.1 ポイ

ント上回る。二酸化炭素の発生方法についての知識の定着に良好な状況が見られる。

○ 発生した気体が二酸化炭素であることを調べるための方法について答える設問の正

答率は 89.3%で,県平均を 1.6ポイント上回る。二酸化炭素の確認方法とその結果につ

いての知識の定着に良好な状況が見られる。

● ろ過の正しい方法について答える設問の正答率は 77.8%で,県平均を 3.0 ポイント

下回る。ろ過の正しい方法についての理解に課題が見られる。

生命 (県平均との差 1.4ポイント)

○ コケ植物とシダ植物を分類する特徴について答える設問の正答率は 71.1%で,県平

均を 4.0ポイント上回る。コケ植物とシダ植物を分類する特徴についての理解に良好な

状況が見られる。

地球 (県平均との差 △1.0ポイント)

● 岩石の特徴から岩石の種類を同定する設問の正答率は 39.8%で,県平均を 3.3 ポイ

ント下回る。岩石の種類とそれぞれの特徴についての理解に課題が見られる。

粒子

・ ろ過の正しい方法についての理解を高めるには,実験をしっかりと行い,実感を伴っ

た学習活動を行うことが大切である。また,ろ過については,小学校で学習しており,

既習事項とはなっているものの,身に付いていないことも考えられるので,ろ過の正し

い方法について丁寧に説明を行った上で,実験を行うことが重要である。

地球

・ 岩石の特徴から岩石の種類を同定することについての理解を深めるためには,実際に

同定する場面を設けるなど,探究的な学習になるように授業を改善する必要がある。教

科書の通りに学習を進めると,岩石について観察し,特徴についてまとめるという学習

の流れになるが,それでは,探究的な学習にはならない。そこで,岩石の特徴について

の知識を身に付けた後,名前の分からない岩石について同定する学習場面を設けること

で,探究的な学習の過程となり,主体的・対話的で深い学びの実現につながると考えら

れる。※1

※1「主体的・対話的で深い学びの実現に向けて」平成 29年1月

傾向と課題 ○…良好な状況が見られるもの ●…課題が見られるもの

指導の工夫・改善

※…本市が作成した資料との関連

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5 中学校第2学年 英語

平均正答率 (%) 宇都宮市(市立)

栃木県(公立)

b 差 a-b

教科全体 58.5 57.8 0.7

カテゴリー別集計結果 (%)

宇都宮市 a 栃木県 b 差 a-b

基礎・基本 63.7 63.2 0.5

思考・判断・表現 45.4 44.3 1.1

領域等別

聞くこと 72.8 71.8 1.0

読むこと 59.4 57.5 1.9

書くこと 46.6 47.3 △0.7

観点別

コミュニケーションへの関心・

意欲・態度 63.0 62.2 0.8

外国語表現の能力 44.2 43.6 0.6

外国語理解の能力 66.8 65.4 1.4

言語や文化についての知識・理解 52.3 52.5 △0.2

正答率度数分布

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0% <10% <20% <30% <40% <50% <60% <70% <80% <90% <100% 100%

(生徒の割合)

(正答率)

本市

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聞くこと

・ 聞くことの指導にあたっては,問いかけに対して適切に応答する力をさらに高めるた

め,場面などの設定に工夫をしながら,話すことと結び付けた言語活動を行い,対話の

内容にふさわしい応答を自分で考えさせる機会を増やす指導が必要である。教師が,授

業の最初に最近の出来事について生徒に話したり,ALT とのやり取りを聞かせたりする

ことで,自然な口調で話される音声に慣れさせるとともに,教師の行う Small Talk や

ALT とのやり取りを生徒とのやり取りへ発展させ,教師からの質問に対し,生徒がその

場で考えて応答する活動が有効である。※1

読むこと

・ 読むことの指導にあたっては,日常的な話題や社会的な話題について書かれた文章の

概要を捉えることができる力をさらに高めるため,学習者のレベルに合ったまとまりの

ある文章を通して読む機会を設定したり,教科書の内容理解の方法を工夫したりするこ

とが必要である。その際,キーワードを拾わせ,全体としての内容を数文の英語でまとめ

させたり,どんな内容を伝えようとしているのかを絵や簡単な英語で表現させたりする

などの活動が有効である。また,ペアやグループになり,読み取れたことについて生徒同

士が考えを交流するなど,学習形態を工夫することも大切である。

書くこと

・ 書くことの指導にあたっては,簡単な単語テストだけではなく,言語の使用場面を意

識した必然性のある場面設定を普段から授業に取り入れ,自分の考えや気持ちをペアや

グループで伝える活動をした後に,その内容を書いてまとめる活動を設定することが有

効である。また,そのような活動を行う際は,手本となるような文章を提示したり,個の

習熟度に応じてヒントを示したりするとともに,辞書の使用を促したり,誤りの修正を

行ったりすることが必要である。さらに,学習者全体に共通する誤りについては,機会

を捉えて説明し直し,自分が書いたものを確認させることも大切である。

※1「授業力向上プロジェクトだより第 40号」平成 30年2月

聞くこと (県平均との差 1.0ポイント)

○ 対話の内容を聞き取り,絵にもとに英語で答える設問の正答率は 33.0%で県の平均

を 4.5ポイント上回る。また,対話の内容を聞き取り,適切に応答する設問の正答率は

57.4%で県平均を 4.4ポイント上回ることから,対話文を聞き取って,場面を把握して

から,英語の問いかけに対して適切に応答することに良好な状況が見られる。 読むこと (県平均との差 1.9ポイント)

○ まとまりのある英文が書かれたメールの内容を把握して答える設問の正答率は

66.4%で県の平均を 2.8ポイント上回る。また,同問題の下線部の指示詞の表す内容を

把握する設問の正答率は 70.7%で県の平均を 2.7ポイント上回ることから,メールや対

話文などのまとまりのある文章を読み,質問の内容に応じて必要な情報を的確に読み取

ることに良好な状況が見られる。

書くこと (県平均との差 △0.7ポイント)

● 単語を正しく英語で書くことを答える設問で,old(古い)と正しく答えられたのは

55.0%で県の平均を 16.1ポイント下回り,語の定着に課題が見られる。

● 疑問詞 what+名詞を使った疑問文を正しい語順に並び替える設問の正答率は 26.3%

で県の平均を 12.1ポイント下回り,疑問詞を含む文の理解に課題が見られる。

傾向と課題 ○…良好な状況が見られるもの ●…課題が見られるもの

指導の工夫・改善

※…本市が作成した資料との関連

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6 中学校質問紙調査

【生徒質問紙調査】

調査結果(全 113 問から抜粋) ・ 本市の推進する取組と関連のあるもの,又は,県平均と3ポイント以上差があり本市生徒の特徴を

表すものを取り上げた。(教科等別の学習に関する質問を除く)

・ 肯定的な回答の割合は,「はい」「どちらかといえば,はい」と回答した割合の合計である。

№ 質問の内容 肯定的な回答の割合

宇都宮市 県平均 との差

1 授業を集中して受けている。 93.4% 1.8

2 勉強していて,おもしろい,楽しいと思うことがある。 81.3% 3.9

3 疑問や不思議に思うことは,分かるまで調べたい。 67.8% 3.2

4 学習して身に付けたことは,将来の仕事や生活の中で役に立つと

思う。 93.6% 5.2

5 本やインターネットなどを利用して,勉強に関する情報を得てい

る。 63.5% 3.2

6 授業では,授業の目標(めあて・ねらい)が示されている。 94.6% △1.6

7 授業の最後に,学習したことを振り返る活動をよく行っている。 71.3% △0.9

8 授業で扱うノートには,学習の目標(めあて・ねらい)とまとめを

書いている。 86.9% △1.7

9 グループなどでの話し合いに自分から進んで参加している。 79.7% 1.9

10 友達の前で自分の考えや意見を発表することは得意である。 46.3% 2.2

11 授業で自分の考えを文章にまとめて書くことは難しくない。 34.8% △4.7

12 家で,学校の授業の復習をしている。 74.9% △0.2

13 家で,学校の授業の予習をしている。 51.7% 5.2

14 家で,自分で計画を立てて勉強をしている。 68.7% 2.8

15 家で,学校や塾の決められた宿題のほかに自分で考えた勉強をし

ている。 65.8% 6.2

16 家で,テストで間違えた問題について勉強をしている。 71.5% 3.6

17 学校の授業時間以外の普段(月~金曜日),1日当たりの勉強時間

(学習塾や家庭教師を含む) ※2時間以上 32.8% △1.3

18 自分には,よいところがあると思う。 75.8% 2.8

19 自分はクラスの人の役に立っていると思う。 64.1% 4.0

20 難しいことでも,失敗を恐れないで挑戦している。 70.1% 3.7

21 自分の行動や発言に自信をもっている。 61.8% 5.8

22 先生は学習のことについてほめてくれる。 81.1% 4.3

23 家の人は,ほめてもらいたいことをほめてくれる。 78.4% 4.2

24 家の人と将来のことについて話すことがある。 71.2% 5.8

25 家の人と学習について話をしている。 86.0% 5.1

26 普段(月~金曜日),1日当たりのテレビゲームをする時間

※1時間未満 38.6% 2.3

27

普段(月~金曜日),1日当たりの携帯電話やスマートフォンで通

話やメール,インターネットをする時間

※1時間未満,持っていない

63.1% △2.3

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学ぶ意欲・授業について (№1~№11)

○ No.1の肯定的な回答の割合は 90%以上であり,特に高い。学習規律の維持徹底を図

る指導が行われているためと考えられている。

○ No.2~4の肯定的な回答の割合は県平均より3ポイント以上高く,上回り方が大き

い。生徒の知的好奇心を大切にした指導や,学習についての有用感を高める指導が工夫

されているためと考えられる。

○ No.5の肯定的な回答の割合は県平均より3ポイント以上高く,上回り方が大きい。

学校図書館を活用した学習やコンピュータを活用した学習を取り入れるなど,情報活

用能力を育む指導が推進されているためと考えられる。

● No.6~8の肯定的な回答の割合は,県平均を下回っている。授業の導入では本時の

授業で学ぶこと,授業の終末では本時の授業で学んだことを生徒が自覚できるように

指導を工夫し,主体的な学びを促すことが必要であると考えられる。

● No.10,11の肯定的な回答の割合は 50%未満に留まっているとともに,No.13につい

ては県平均を3ポイント以上下回っている。自分の考えを話したり書いたりして表現

する力を育む指導を工夫することが必要である。

家庭学習について (№12~№17)

◯ No.13~16の肯定的な回答の割合は県平均より約3ポイント以上高く,上回り方が大

きい。家庭学習に主体的に取り組む態度を育む指導が推進されているためと考えられ

る。

● No.17の家庭学習の時間について,県平均を下回っている。ただし,昨年度と比べて

2時間以上取り組んでいる生徒の割合は増加しており,家庭学習の習慣化に向けた指

導を引き続き推進していく必要があると考えられる。

自分自身のこと・家の人や先生について (№18~№25)

○ No.18~21の肯定的な回答の割合は,県平均より約3ポイント以上高く,上回り方が

大きい。挑戦したり達成感を味わったりすることができる教育活動を積極的に取り入

れるなどして,自己肯定感や心のたくましさが育まれているためと考えられる。

○ No.22~25の肯定的な回答の割合は県平均より4ポイント以上高く,上回り方が大き

い。授業において,生徒の発言や考えのよさを認めて生かすなどの認め励ます指導や,

学びに向かう力を養う指導が,家庭と連携・協力しながら進められているためと考え

られる。

毎日の生活について (№26,27)

● No.27の携帯電話やスマートフォンの使用時間について,1日に1時間未満の生徒の

割合は県平均を下回っている。「スマホ・ケータイ宮っ子ルール共同宣言」に基づく取

組等により,節度のある使用についての指導の工夫が必要であると考えられる。

傾向と考察

○…良好な状況が見られるもの ●…課題が見られるもの

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【学校質問紙調査】

調査結果(全 65 問から抜粋) ・ 本市の推進する取組と関連のあるもの,又は,県平均と 10ポイント以上差があり本市の特徴を表すものを取り上げた。(本調査問題及び全国学力・学習状況調査問題の活用に関する質問を除く)

・ 肯定的な回答の割合は,「はい」「どちらかといえば,はい」と回答した割合の合計である。(№9~14の肯定的な回答の割合は,「学校全体で」「どちらかといえば,学校全体で」の割合の合計)

<生徒の様子>

№ 質問の内容 肯定的な回答の割合

宇都宮市 県平均 との差

1 生徒は,授業中の私語が少なく,落ち着いている。 100% 5.0

2 生徒は,学級やグループでの話し合いなどの活動で,相手の考えを最後まで聞くことができている。

92.0% 2.6

3 生徒は,学級やグループでの話し合いなどの活動で,自分の考えを相手にしっかり伝えることができている。

92.0% 2.6

4 生徒は,学級やグループでの話し合いなどの活動で,自分の考えを深めたり,広げたりすることができている。

84.0% 0.8

<学校の取組>

№ 質問の内容 肯定的な回答の割合

宇都宮市 県平均 との差

5 生徒の様々な考え方を引き出したり,思考を深めたりするような発問や指導をしている。

100% 3.7

6 自分の考えを文章にまとめる指導(記述)を重点的に行っている。 96.0% 7.8

7 授業において,生徒自ら学級やグループで課題を設定し,その解決に向けて話し合い,まとめ,表現するなどの学習活動を取り入れている。

76.0% 2.1

8 「ねらい」「指導」「評価」のつながりを意識した授業づくりを行っている。

100% 1.2

9 宿題の出し方について,教科間で情報交換をしている。 72.0% 5.5

10 生徒の実態を把握して,宿題を出している。 92.0% 8.1

11 やり方を生徒に十分説明して,宿題を出している。 92.0% 11.9

12 宿題について,評価・点検の仕方を教職員間で情報交換している。 88.0% 11.0

13 宿題の内容に応じて評価し,生徒に伝える工夫をしている。 84.0% 12.0

14 宿題の意図について保護者へ説明をしている。 92.0% 10.0

15 教職員間で,互いの授業を見せ合っている。 92.0% 2.6

16 教職員は教科の枠にとらわれず,指導案検討を行ったり,授業研究会で発言したりしている。

76.0% △12.2

17 全体で行う研修と小集団で行う研修を効果的に組み合わせている。 84.0% △4.8

18 本調査実施後,調査対象学年の生徒に対して,全てまたは一部調査問題を解かせることで,課題の改善状況を確認している。

68.0% △12.7

19 本調査実施後,調査対象学年の1学年下の生徒に対して,全てまたは一部調査問題を解かせることで,習得状況を確認している。

52.0% △20.7

20 全国学力・学習状況調査実施後,調査対象学年の生徒に対して,全てまたは一部調査問題を解かせることで,課題の改善状況を確認している。

60.0% △15.8

21 調査結果の分析を全教職員で行っている。 100% 12.4

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生徒の様子 (№1~4)

○ No.1~3の肯定的な回答の割合は 90%以上であり,特に高い。話し方や聞き方を含

む学習規律の徹底について,学校全体での組織的な指導が推進されているためと考えら

れる。

授業における学習指導 (№5~8)

○ No.5,6の肯定的な回答の割合は 100%以上であり,特に高い。授業において,言語

活動が積極的に取り入れられていると考えられる。

○ №8の肯定的な回答の割合は 100%であり,特に高い。指導と評価の一体化を念頭に

おいた授業づくりが意識されていると考えられる。

家庭学習の指導 (№9~14)

○ No.11~14の肯定的な回答の割合は県平均より 10ポイント以上高く,上回り方が大き

い。宿題の意義や取り組み方などについて生徒や保護者に対して十分に説明するなど,

家庭学習の習慣化に向けた指導が丁寧に行われていると考えられる。

校内研修の充実 (№15~17)

○ No.15の肯定的な回答の割合は 90%以上であり,特に高く,「いいえ」と回答した学校

はない。教員同士が互いに授業を見せ合う取組が概ね定着していると考えられる。

● No.16,17 の肯定的な回答の割合は県平均を大きく下回っている。教科の枠を越えた

校内研修の活性化,学校規模等に応じた実施方法の工夫が必要であると考えられる。

学力調査の活用 (№18~21)

◯ No.21の肯定的な回答の割合は 100%で特に高いとともに,県平均より 10ポイント以

上高く,上回り方が大きい。調査結果をもとに成果や課題を把握し,学校全体で指導改

善に生かす取組が推進されていると考えられる。

● No.18~20の肯定的な回答の割合は,県平均を 10ポイント以上下回っており,下回り

方が大きい。学習内容の習得状況や課題の改善状況を確認するために,学力調査の問題

を活用する必要があると考えられる。

傾向と考察

○…良好な状況が見られるもの ●…課題が見られるもの

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【生徒質問紙調査と教科の正答率のクロス集計結果】

・ 選択肢が「はい」,「どちらかといえば,はい」,「どちらかといえばいいえ」,「いいえ」である質問

について,それぞれの選択肢を選んだ生徒の5教科の正答率の平均から,意識と正答率との相関を分

析している。

より肯定的な選択肢を選んだ生徒ほど正答率が高く,「はい」と回答した生徒と「いいえ」と回答し

た生徒間で正答率の差が大きい質問は,正答率との関係があると考えられる。

<「はい」,「いいえ」と回答した生徒の間で正答率の差が大きい主な質問>

№ 質問の内容 宇都宮市

「はい」,「いいえ」の平均正答率の差

肯定的な 回答の割合

1 授業を集中して受けている。 16.7 93.4%

2 疑問や不思議に思うことは,分かるまで調べたい。 16.0 67.8%

3 授業の中で,目標(めあて・ねらい)が示されている。 17.9 94.6%

4 授業で扱うノートには,学習の目標(めあて・ねらい)

とまとめを書いている。 12.6 86.9%

5 授業では,自分の考えを発表する機会が与えられて

いる。 21.4 90.6%

6 授業では,クラスの友達との間で話し合う活動をよく

行っている。 20.4 91.5%

7 友達と話し合うとき,友達の話や意見を最後まで聞

くことができている。 19.8 95.8%

8 クラスの友達との間で,話し合う活動を通じて,自分

の考えを深めたり,広げたりすることができている。 14.4 84.2%

9 授業で自分の考えを文章にまとめて書くことは難し

くない。 10.2 34.8%

10 家で,自分で計画を立てて勉強をしている。 9.9 68.7%

11 家で,学校の宿題をしている。 24.1 95.6%

12 家で,学校の授業の復習をしている。 14.9 74.9%

13 家で,テストで間違えた問題について勉強をしてい

る。 20.1 71.5%

14 家で,学校や塾の決められた宿題のほかに自分で考

えた勉強をしている。 13.1 65.8%

15 地域や社会で起こっている問題やできごとに関心が

ある。 11.1 75.6%

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・ No.1において,授業に集中している生徒ほど平均正答率が高い傾向が見られる。既に

肯定的な回答の割合が高い状況ではあるが,今後とも学習規律の維持・徹底に努めるこ

とが大切であると考えられる。 ・ No.2において,課題に対する追究の意欲をもつ生徒ほど平均正答率が高い傾向が見ら

れる。教材を工夫して問いを持たせることや,課題解決の過程を大切にした授業展開を

取り入れることが大切であると考えられる。 ・ No.3,4において,授業の目標(めあて)を意識して学習している生徒ほど平均正答

率が高い傾向が見られる。目標(めあて)やまとめは,生徒の問いや言葉を生かして設定

したり,確実にノートに書かせて共有したりすることが大切であると考えられる。 ・ No.5,6において,自分の考えを表現し話し合う活動がよく行われていると思う生徒

ほど平均正答率が高い傾向が見られる。生徒一人一人に対して考えを発表する機会を保

障することや,話合いの場の設定を工夫することが大切であると考えられる。

また,No.7~9において,話を最後まで聞いたり話し合いながら考えたりする習慣が

身に付き,自分の考えを書いて表現する力が育っている生徒ほど平均正答率が高い傾向

が見られる。話し合う目的や話合い方,書き方のモデルや条件を具体的に示した上で活

動を設定したり,生徒の表現を適切に評価し,フィードバックしたりすることが大切で

あると考えられる。 ・ No.10~14において,宿題を着実に行うとともに,家庭学習に主体的に取り組んでいる

生徒ほど平均正答率が高い傾向が見られる。家庭学習の計画の立て方や復習の仕方,間

違えた問題について勉強することなど,家庭学習の仕方を具体的に指導しながら家庭学

習の習慣化を図ることが大切であると考えられる。 ・ No.15 において,地域や社会への関心が高い生徒ほど平均正答率が高い傾向が見られ

る。地域や社会の事象を授業の教材や宿題に取り入れることが大切であると考えられる。

傾向と考察

中学校質問紙調査のまとめ

-生徒・学校質問紙,クロス集計に基づく指導の工夫・改善のポイント-

・ 授業において目標(めあて)を設定し共有する活動を適切に行い,生徒の主体的に学

習に取り組もうとする態度の育成を図るとともに,課題解決的な学習の流れを大切にし

た授業展開を積極的に取り入れる。

・ 授業において,自分の考えを話したり,文章で書いたりする活動を積極的に取り入れ

るとともに,活動の前には表現の仕方を具体的に指導したり,生徒の記述を適宜指導に

生かすなど,言語活動の一層の充実に努める。

・ 家庭学習の指導では,宿題の内容や出し方を工夫して効果的な取り組み方が身に付く

ようにするとともに,ゲームやスマートフォンの使用といった生活習慣も含め,家庭と

連携した取組を推進する。

・ 学力調査実施後に再度調査問題に取り組ませて課題の改善状況を確認したり,学期末

や学年末のまとめの学習の教材に調査問題を取り入れたりするなど,習得状況の確認等

のために学力調査の問題を効果的に活用する

・ 教員が,授業改善に向けて教科の枠を越えて協働的に取り組める校内研修を行う。