外来高齢者ケア ポートフォリオ
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【背景】高齢者は多数の疾患や複雑な心理・社会的要因を抱えていることが多く、疾患の評価以外にも生活機能やQuality of Life(QOL)を含めた総合的な評価が必要であ
る。そのため限られた外来の中で高齢者の健康問題に対応する上で、CGAは非常に有用な方法である。
CGAの評価項目には患者本人のみならずCaregiver(介護者)の評価も含まれているが、残念なことに実臨床では介護負担度の定量的評価は行われることが少ない。
青木拓也
日本医療福祉生活協同組合連合会 家庭医療学開発センター、東京ほくと医療生活協同組合 北足立生協診療所
高齢者総合評価(Comprehensive Geriatric Assessment:CGA)は高齢者のプライマリケアにおいて必須の臨床的方法論といえる。故にCGAは実臨床でも日常的に行われているが、主に患者本人の評価が優先されるため、介護者については十分なアセスメントが実施されていないケースが多い。そのため今回CGAの項目のうち特に介護者の評価を強化し、当院外来高齢者に対し介護負担の定量的評価を行った上で問題点の同定・介入を行ったため、その内容を報告する。
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CGAは継続的に繰り返し評価を行うことが重要であるため、初回介入前後で介護負担尺度を比較し、どのような追加介入が必要かも検討していく必要がある。参考文献1)藤沼康樹.新・総合診療医学 家庭医療学編.カイ書林;2012
2) Yumiko Arai et al . The short version of the japanese version of the Zarit Caregiver Burden Interview(J-ZBI_8): its
reliability and validity . Jpn J Geriat 2003 ; 40 : 497-503.
考察CGAの項目のうち、介護者の介護負担を定量的に評価することによって、特に介入を要する事例を特定し、適切な家族教育やケアを行うことが可能となった。
介護者に対する介入を行うことは、介護者の介護負担の軽減のみならず、高齢者本人の精神症状(うつ症状など)の改善にも有効と報告されており、重視されるべき視点である。
ベースラインの評価
医師による
評価
問題点を
まとめる
介入
①生活機能Activity of Daily Living(ADL)、Instrumental Activity of Daily Living(IADL)
②認知能3 item recall test、Clock Drawing Test、HDS-R/MMSE
③社会的支援formal support、informal support
①病歴のABC
ADL/IADL
Brain failure(認知障害)
Collateral history(関係者からの病歴聴取)
Drugs and alcohol(薬剤とアルコール)
Emotional problems(うつや問題行動)
Falls and mobility failure(転倒と移動障害)
Guardianship , caregiver(介護者):「介護負担感」Hazard(危険なこと)
Incontinence(失禁)
②身体診察のABC
Ambulation(歩行・移動)
Blood pressure changes(血圧変動)
CNS&MSK(神経系と筋骨格系)
Drug taking and alcohol evidence(服薬と飲酒の確認)
Environment(生活環境)
Function(機能)
Zarit介護負担尺度
⇒CGAの評価項目として外来で実施
• 介護負担とは:介護者が情緒的・身体的健康・社会生活および経済状態に関して被った被害の程度である。
• 定義に基づきZaritらが介護負担尺度を開発。
• 外来にて短時間で評価するため、日本語の短縮版を使用。(計8項目のJ-ZBI_8)
○介護負担が大きい集団を特定特にBPSDを発症した認知症事例において、Zarit介護負担尺度は高得点であり、介護負担の増大が認められた。
○Care giver assessment
Caregiver‘s Guide to Understanding Dementia Behaviors
(Family Caregiver Alliance発行)の翻訳資料を作成。
介護負担が大きい患者家族に対し、資料を用いて認知症患者との関わり方や介護について教育。・認知症の方とのコミュニケーションの取り方・BPSD(徘徊や失禁、保続、興奮など)の具体的な対応の仕方
着目