相続セミナー これ であなたも相続が分かる

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株式会社ファミリーオフィス 代表取締役・公認会計士・税理士 鈴 木 一 正. 相続セミナー これ であなたも相続が分かる. 目次. 1. 相続・贈与とは 2.相続の仕組み 3.相続財産・贈与財産の評価 4 .相続税・贈与税の計算方法 5 .遺言書の書き方、残し方 6 .相続・贈与の段取り、諸手続き 7 .節税対策. 1-1 相続税とは何か. 死亡し、財産を残した人を被相続人、財産をもらう人を相続人と言います。 被 相続人が死亡すると、その人の所有していた財産は、所有者が居なくなります。 - PowerPoint PPT Presentation

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相続セミナーこれであなたも相続が分かる

株式会社ファミリーオフィス代表取締役・公認会計士・税理士鈴 木 一 正

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目次

1.相続・贈与とは 2.相続の仕組み 3.相続財産・贈与財産の評価 4.相続税・贈与税の計算方法 5.遺言書の書き方、残し方 6.相続・贈与の段取り、諸手続き 7.節税対策

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1-1 相続税とは何か

死亡し、財産を残した人を被相続人、財産をもらう人を相続人と言います。

被相続人が死亡すると、その人の所有していた財産は、所有者が居なくなります。

そこで、残された家族等が、その財産を引き継ぐことが必要になり、その行為を相続と言います。

財産を引き継ぐときに掛かってくる税金を相続税と言います。

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1-2 相続税はいつ掛かるか

相続は、被相続人が亡くなった時点で開始され、相続税が計算されます。

相続税は、相続のほかに、遺贈(法定相続人以外への遺言による贈与)、死因贈与(死を原因とする贈与契約)の場合にも掛かります。

相続税対策の基本は、生前対策です。生前に財産を計算して相続税を算出し、多額になるようであれば、税額を低く抑えられるように手立てを講ずる必要があります。

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1-3 いくら以上の財産に掛かるか

3000万円以上の財産には相続税の掛かる可能性あります。

基礎控除額は 3000万円+( 600万円×法定相続人の数)です。

基礎控除額を超えた分には、相続税が掛かります。

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1-4 どんな財産に掛かるか

相続税は、お金で売買できるものに掛かり、相続税の掛かる財産を相続財産と言います。

代表的な相続財産は、現金、預貯金、有価証券、不動産、ゴルフ会員権などです。

借金や債務も相続財産です。 プラスの財産からマイナスの財産を引いた額に対し相続税は掛かります。

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1-5 相続税の掛からない財産

墓地、仏壇、仏具等には掛かりません。 業務上の死亡などで会社から支払われる弔慰金等は、次の額まで非課税です。 業務上の死亡:賞与を除いた給与 3年分 業務上の死亡でない:賞与を除いた給与半年分

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1-6 生命保険金、死亡退職金

生命保険金や死亡退職金など、被相続人が死亡した後に相続人が受け取る財産を、みなし相続財産と言います。

みなし相続財産にも、相続税が掛かります。 生命保険金や死亡退職金には、非課税限度額が設けられていますので、限度額超過分が相続財産に加算されます。

生命保険金の非課税限度額は、 500万円×未成年者・障害者・同一生計者である法定相続人の数です。

死亡退職金の非課税限度額は、 500万円×法定相続人の数です。

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1-7 生前贈与財産

相続開始前 3年以内に贈与された財産についても相続税が掛かります。

被相続人が死亡した日から遡って 3年以内に贈与された資産は、相続財産として、みなします。

この制度は、相続または遺贈により財産を取得した者にのみ適用されるので、相続人ではない孫などが贈与を受けても、贈与税を払っていれば、適用されません。

贈与時に支払った贈与税は、相続税額から控除できます。

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1-8 贈与税とは何か

贈与とは、ある個人が自分の財産を無償で他の個人に与えることを言います。

贈与税とは、贈与により財産を取得した者(受贈者)が取得した財産評価額に応じて払う税です。

相続税は死後の財産所有権移転に際し掛かりますが、贈与税は、生前の財産所有権移転に際し掛かります。

財産贈与が生前に行われると、その分相続財産が減少し、相続税が少なくなることから、相続税回避を防ぐ補完税として規定されています。

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1-9 いくら以上の財産に掛かるか

贈与税には、年間 110万円の基礎控除額があります。110万円を超えた贈与に対し、贈与税が掛かります。

贈与税は、財産が多くなるほど税率が高くなる累進課税方式を採用しています。

基礎控除額は、贈与を受ける一人に対して年間 110万円ですので、多くの人に贈与すれば、贈与税を支払う必要はなくなります。

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1-10 贈与税の掛かる財産等

贈与税の掛かる財産は、お金で売買できる財産です。相続税と同じで、個人間の贈与財産です。

贈与税の掛からない財産は、法人から贈与を受けた財産、生活費や教育費に充てるための扶養義務者からの贈与財産、公益事業者が取得した公益用財産、心身障害者救済制度に基づく給付金の受給権、公職選挙の候補者の受ける贈与財産、特定公益信託から交付される金品、特別扶養信託契約の受益権、冠婚葬祭費用などがあります。

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1-11 相続贈与一体化措置とは

相続贈与税一体化措置(相続時精算課税制度)とは、相続財産と贈与財産とを合算して税額計算するというものです。

この制度を選択すると、生前に財産を贈与した場合の贈与税が軽減されますが、相続時に、生前贈与財産と相続財産を足した額に相続税が掛けられます。

適用対象は、 60 歳以上の親から 20 歳以上の子供または孫への贈与です。選択は受贈者の意思によります。

選択すると、贈与財産 2500万円までは贈与時非課税、それ以上の財産に対し、一律 20 %の贈与税が課されます。相続時には、相続財産に贈与財産贈与時評価額を加算した額に対し、相続税が課されます。

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1-12 相続税の税率(新税率案)

法定相続人の取得金額 税率 控除額

1,000万円以下 10 % ―

3,000万円以下 15 % 50万円

5,000万円以下 20 % 200万円

1 億円以下 30 % 700万円

2 億円以下 40 % 1700万円

3 億円以下 45 % 2700万円

6 億円以下 50 % 4200万円

6 億円超 55 % 7200万円

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1-13 贈与税の税率(新税率案)( 20 歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に掛かるもの)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額

200万円以下 10 % ―

400万円以下 15 % 10万円

600万円以下 20 % 30万円

1,000万円以下 30 % 90万円

1,500万円以下 40 % 190万円

3,000万円以下 45 % 265万円

4,500万円以下 50 % 415万円

4,500万円超 55 % 640万円

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1-14 贈与税の税率(新税率案)( 20 歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に掛かるもの以外のもの)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額

200万円以下 10 % ―

300万円以下 15 % 10万円

400万円以下 20 % 25万円

600万円以下 30 % 65万円

1,000万円以下 40 % 125万円

1,500万円以下 45 % 175万円

3,000万円以下 50 % 250万円

3,000万円超 55 % 400万円

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2-1 相続税を支払う人

相続税を支払う人は、相続、遺贈、死因贈与により財産を取得した人です。

相続では、遺言者の有無により、誰が財産を相続するかが決まります。遺言書があるときは遺言書上に書かれている人、ないときは法定相続人が相続します。

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2-2 法定相続人になれる人

法定相続人になれるのは、被相続人の配偶者、被相続人の子、被相続人の父母、非相続人の兄弟姉妹、などです。

法定相続人には第 1 順位から第 3 順位まで順位が決められており、上位の順位者がいるときは下位の順位者は同時に相続人になれません。

第 1 順位は子供、第 2 順位は父母、第 3 順位は兄弟姉妹です。子供がいる場合には、父母、兄弟姉妹は相続人になれません。

配偶者は特別の立場にいるので常に相続人になります。他の法定相続人の有無に関係ありません。

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2-3 血縁のない人

法定相続人になれるのは、配偶者以外では、血縁のある家族に限られます。

内縁の妻や夫、再婚後の配偶者の連れ子などは法定相続人にはなれません。血が繋がっていても、愛人の子は認知されていなければ相続権が生じません。

養子は、養子縁組の日から実子と同じ身分になるので、法定相続人になれます。

但し、税法上、法定相続人となれる養子の数には制限があり、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合には 2人までです。基礎控除額を用いた租税回避防止のためです。

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2-4 法定相続人の相続分

民法は、法定相続分を定め、各法定相続人の取り分を決めています。但し、法定相続分通りに遺産分割をしなくとも、話合いで合意すれば法定相続分は関係ありません。

法定相続分は、まず配偶者の取り分があり、その残りを同順位の法定相続人の中で分けます。

相続人が配偶者と子 :配偶者 1/2 子供 1/2 相続人が配偶者と父母 :配偶者 2/3 父母 1/3 相続人が配偶者と兄弟姉妹:配偶者 3/4 兄弟等

1/4

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2-5 寄与分と特別受益分

相続人の中で、被相続人の事業を手伝うなどして、被相続人の財産の維持または増加に貢献した相続人は、寄与分、がもらえます。

寄与分がある場合の相続分は、まず相続財産から寄与分を引き、残りを法定相続分通りに分け、最後に寄与分を受ける人の財産に加算します。

相続人の中で、生前に被相続人から住宅資金や事業資金の援助を受けていた相続人は、その援助分を、特別受益分、として返還します。

特別受益分がある場合の相続分は、まず相続財産に特別受益分を足し、その合計額を法定相続分通りに分け、最後に特別受益分を受けた人の財産から引きます。

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2-6 遺留分

遺言書に、家族以外の人に全財産を遺贈する、と記載されていると、基本的にその通りになります。自分の財産をどのように処分しようと、所有者の自由であり、それは、生前死後を問わないからです。

しかし、残された家族が気の毒なので、民法は一定の相続人が最低限相続できる財産を、遺留分、として保証しています。

遺留分が保証されている相続人は、配偶者、子供、父母であり、兄弟姉妹にはありません。

遺留分として請求できる財産は、配偶者、子供は相続財産の 1/2、父母は 1/3になります。遺留分を行使するには、遺贈された人に対し遺留分減殺請求権をする必要があります。

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2-7 欠格及び廃除

被相続人や他の相続人を殺害したり、遺言を取り消させようと脅迫したりした場合、民法上、相続人の資格を失います。これを相続欠格といいます。

被相続人に対する非行があった者に対して、被相続人の意思で相続権を奪うことができます。これを相続人の廃除といいます。被相続人は家庭裁判所に申請するか遺言によりできます。

相続人の廃除対象は、遺留分を有する相続人であり、兄弟姉妹以外の法定相続人です。

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2-8 代襲相続

相続人が死亡などの理由で相続権を失った場合、その相続人の子などが相続権を引き継ぎます。これを代襲相続といいます。

代襲相続の原因は、以前死亡、欠格、廃除です。 相続人の子も相続権を失っていた場合には、その子(孫)に相続権が移ります。これを再代襲といいます。

財産は、上から下へ流れるのが自然という思想が背景にあります。

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2-9 相続放棄

相続放棄とは、借金も財産も一切相続しないという方法です。

限定承認とは、非相続人の財産の範囲内で、借金を支払う方法です。わからない借金がある可能性がある場合には有効です。

限定承認か相続放棄かのいずれかを選択する場合は、相続の開始があったことを知った日から 3か月以内に被相続人の住所地の家庭裁判所に申告しなければなりません。

限定承認は相続人全員が共同で申請する必要があります。

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2-10 遺産分割

遺言書がない場合、各相続人の財産の取り分は基本的に相続人同士の話合いで決めます。法定相続分はあくまで遺産分割の目安にすぎません。

誰がどの財産をもらうのか、を決める話合いのことを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議は、相続税の申告期限までに分割協議が終わっていないと、税制上の優遇措置が受けられなくなりますので、早めに済ませるようにします。

相続人同士でどのように遺産を分割するかを話合って全員が納得したら、遺産分割協議書を作成します。協議書はその後、相続登記や名義変更に必要となります。

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2-11 遺産分割の方法

遺産分割では、現物分割、換価分割、代償分割といった方法をとります。

現物分割:一つ一つの財産を誰が取得するのか決める方法

換価分割:相続財産を全て換金し、相続人に金銭で分配する方法

代償分割:特定の相続人に相続分を超える財産を与え、その相続人が他の相続人に現金を支払う方法

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2-12 相続税納付方法

相続税は、期限内金銭一括納付が原則です。 申告書の提出期限は、被相続人が死亡した日から 10か月以内です。

相続税が高すぎて現金一括納付が出来ない場合には、一定の条件のもと、延納(相続税を分割して納付)や物納(延納でも払えない場合に金銭ではなく不動産等で納付)を認めています。

期限内に納付しなかった場合や、申告漏れなどがあった場合には加算税が課せられます。延滞税、過小申告加算税、重加算税などがあります。

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3-1 財産の評価

現金や預貯金はそのままの額が財産評価額ですが、その他の財産は、それぞれの財産の種類に応じて評価方法が決まっており、その評価方法に従って、財産評価額を算出することになります。

相続税の節税対策の一つは、この財産評価額を下げることにあります。評価方法を工夫して評価額を下げられる財産はたくさんあります。特に不動産に効果的です。

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3-2 土地の評価

相続財産の中で最も大きな割合を占めるのは住居や事務所といった建物の敷地となる宅地です。

宅地は使用目的に応じて評価額が大きく変わり、意図的に使用目的を変えることで相続税額を安くすることも可能です。

宅地の評価方法は、路線価方式と倍率方式の 2 通りです。どちらの方式で評価するかは評価する宅地の所在地によって決まります。

税務署に置いてある路線価図を見て、相続する宅地と接している道路に路線価が付されていれば路線価方式、それ以外は倍率方式です。ほどんとは路線価方式でしょう。

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3-3 路線価方式

路線価方式は、宅地の面積 × 路線価× 奥行価格補正率(× 各種補正率)で算出します。

各種補正率には、間口が狭い宅地に適用される間口狭小補正率、奥行の長い宅地に適用される奥行長大補正率、不整形地に適用される不整形地補正率、などがあります。

複数の路線に面している場合には、路線価× 奥行価格補正率が一番高くなる路線価を基準にします。

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3-4 貸借地の評価

宅地は使用目的によって評価方法が異なります。人に宅地を貸すことで、貸している自分の土地の利用に関して制限されるため、相続税評価額は下がるのです。

貸宅地の評価額は、自用地(自分で所有し自分で使用している土地:路線価方式や倍率方式で評価)としての評価額から借地権割合(路線価図の路線価の右脇に表示)を引いて計算します。

貸宅地の評価額:自用地としての評価額×( 1‐借地権割合)

借宅地の評価額は、自用地としての評価額に借地権割合いを乗じて計算します。

借宅地の評価額:自用地としての評価×借地権割合

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3-5 貸家建付地の評価

宅地に一戸建ての貸家、賃貸アパート、賃貸マンションを建てている自己所有地のことを貸家建付地といいます。

貸家建付地も宅地の評価額は下がるので、相続対策で有効です。

貸家建付地の評価:自用地としての評価額×(1 -借地権割合×借家権割合× 賃貸割合)

借地権割合は、全国的に 30 %です。 賃貸割合は、賃貸されている部屋数の合計 /その建

物全部の部屋数です。

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3-6 小規模宅地等の評価減の特例

一定の要件を満たした宅地には、小規模宅地等の評価減の特例が適用できます。この特例が適用できると評価額が最大 80 %割引になります。

被相続人が事業用や居住用として使ってきた土地は財産である前に生活の基盤であり、こうした土地にまで高い評価をしてしまうと相続人の生活を脅かすことになりかねないからです。

特定居住用宅地等の評価減特例: 240 ㎡まで 80 %割引 特定事業用宅地等の評価減特例: 400 ㎡まで 80 %割引 特定同族会社事業用宅地等の評価減特例: 240 ㎡まで 80 %割引 

貸付事業用宅地等の評価減特例: 200 ㎡まで 50 %割引

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3-6 特定居住用宅地等

特定居住用宅地等は被相続人の居住用に使われていた宅地のことで、次のいずれかの要件を満たした場合に 240 ㎡まで 80 %割引になります。 被相続人の配偶者が相続する。 被相続人と同居していた親族が相続し、申告期限まで引き続き所有し居住用に使用する。

被相続人に配偶者も同居していた親族もいない場合に、相続開始前 3年以内に持ち家のない別居親族が取得し申告期限まで引き続き所有する。

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3-7 特定事業用宅地等

特定事業用宅地とは、自営業者などが店舗や工場の敷地として使用していた土地のことで、次の条件を全て満たした場合に 400 ㎡まで 80 %割引になります。 被相続人の事業を引き継ぐ親族がいる。 その宅地の一部または全部を、事業を引き継ぐ親族が取得し、申告期限まで事業を継続する。

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3-8 特定同族会社事業用宅地等

特定同族会社事業用宅地とは、被相続人および被相続人と生計を共にする親族の持ち株割合が 50 %超の同族会社の事業用に貸し付けていた宅地のことで、次の条件を全て満たした場合に 400 ㎡まで 80 %割引になります。 引き続きその同族会社の事業用に使用する。 その同族会社の役員である被相続人の親族が取得し、申告

期限まで引き続き所有する。

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3-9 不動産貸付地

貸宅地、貸家建付地、アスファルト舗装などの構築物のある駐車場の敷地等、不動産貸付地については、貸付事業用宅地等の評価減を適用します。 200 ㎡まで 50 %割引で評価することができます。

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3-10 建物の評価

自ら使用する居住用や事業用の建物は、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。

固定資産税評価額は都税事務所、市町村役所の固定資産税係で確認できます。

自ら使用する居住用のマンションも建物部分と土地部分とで別々に評価することになります。

マンションの評価額:評価額建物部分(固定資産税評価額)+土地部分(マンションの敷地全体の評価額×持分割合)

建築中の家屋の場合には、費用原価(相続開始までの建築材料費や施工費)の 70 %が相続税評価額になります。

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3-11 貸家やアパートの評価

一軒家やアパート、マンションを他人に貸している場合、その建物は貸家として評価されるので評価額は下がります。借家人がいるため自由に処分できないなどの制限を強いられるためです。

貸家の評価額:建物としての評価額(固定資産税評価額)×(1 -借家権割合)

借家権割合は、全国的に 30 %です。 集合住宅の評価額:建物としての評価額(固定資産税評価額)×(1 -借家権割合× 賃貸割合)

一棟の建物のうち、 1階から 2階を賃貸し、 3階を自宅にしてる場合には、賃貸部分と自宅部分を別に評価します。

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3-12 株式の評価

相続においては、株式を以下の 3 種類に区分して、それぞれ評価方法を定めています。

上場株式:証券取引所のいずれかに上場されている株式のことです。

気配相場等のある株式:日本証券業協会によって店頭管理銘柄、登録銘柄として指定された株式、公開途上にある株式、国税局長が指定した株式です。

取引相場のない株式:上記以外の株式で、個人商店と変わらない零細企業規模の会社が発行する株式から大規模会社の株式で上場しようと思えばすぐにでも出来る株式まで、多くの株式があり、評価方法も複雑です。

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3-13 上場株式の評価

上場株式は、次に挙げる 4 通りの評価額のうちで、最も低い金額で評価します。 課税時期の最終価格(終値) 課税時期の属する月の最終価格の月平均額 課税時期の属する月の前月の最終価格の月平均額 課税時期の属する月の前々月の最終価格の月平均額

課税時期とは、相続、遺贈または贈与のあった日です。相続の場合は被相続人が死亡した日になります。課税時期に最終価格がない場合には、課税時期の前日以前の終値または翌日以降の最終価格のうち課税時期に最も近い日の最終価格を採用します。二つある場合には平均します。

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3-14 気配相場等のある株式の評価

気配相場のある株式とは、登録銘柄・店頭管理銘柄、公開途上にある株式、国税局長の指定する株式、のことをいいます。 登録銘柄・店頭管理銘柄:上場株式と同じ。 公開途上にある株式:公開価格で評価します。 国税局長の指定する株式:課税時期の取引価格、課税時期の取引価格と類似業種比準価額との平均額、のいずれか低い金額で評価します。

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3-15 取引相場のない株式の評価

取引相場のない株式とは、上場株式、気配相場等のある株式のいずれにも該当しない株式のことです。オーナー社長の所有する株式になります。

オーナー社長にとっては、土地の評価以上に自社株の評価が相続税額を大きく左右します。対策を立てておかないと多額の相続税を払わさせられることになります。

取引相場のない株式の評価方法は、とても複雑ですので、顧問税理士等に相談されるべきでしょう。

評価方法は、 3 種類(純資産価額方式、類似業種批准方式、配当還元方式)があり、会社規模や所得する株主の性質に応じて適用していきます。

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3-16 取引相場のない株式の評価

純資産価額方式:会社の持つ資産の相続税評価額の合計から負債の合計額を引いた金額(純資産価値)を発行済株式数で割って株価を計算する方法です。資産に含み益を持つ会社ほど株の評価額が高くなります。

類似業種比準価額方式:評価する会社と、評価する会社と業種が類似する上場会社の株価、会社の配当、利益、純資産を基にして株価を計算する方法です。業績がいい会社ほど株の評価額が高くなります。

配当還元価額方式:少数株主のもつ取引相場のない株式は、配当金から逆算的に株価を求める配当還元価額方式で評価します。

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3-17 公社債の評価

公社債の評価は債券の種類により異なります。 利付公社債の評価:①発行価格+既経過利息 -源泉税相当額か②課税時期の最終価格+既経過利息 -源泉税相当額のいずれか低い方

割引債の評価:①発行価格+既経過償還差益か②課税時期の最終価格のいずれか低い方

転換社債の評価方法:①株式の価額が転換価額よりも低い場合は、利付公社債の場合と同じ②株式の価額が転換価額よりも高い場合(上場株式)は、課税時期の最終価格+既経過利息 -源泉税相当額③②の場合で上場していない転換社債の場合は、株式の価額+( 100円÷転換価格)

貸付信託の評価方法:元本+既経過収益 -源泉税相当額 -手数料

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3-18 投資信託の評価

証券投資信託の受益証券の評価は、課税時期に解約請求した場合に証券会社から支払を受けることができる価額です。

中期国債ファンド、MMF等、日々決算型の証券投資信託の受益証券 1 口あたりの基準価額× 口数+未収分配金 -源泉税相当額 -解約手数料等

日々決算型以外の証券投資信託の受益証券 1 口あたりの基準価額× 口数 -源泉税相当額 -解約手数料等

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3-19 ゴルフ会員権の評価

ゴルフ会員権は、取引相場のある会員権、取引相場のない会員権、株式の所有を必要とせずかつ譲渡できない会員権、に分類して評価します。

取引相場のある会員権: 原則、課税時期の取引価格 ×70 % 取引価格に含まれない預託金等がある場合、(課税時期の取引価格

×70 %)+預託金等の評価額 取引相場のない会員権:

株主でなければ会員となれない会員権・・株式としての評価額 株主であり、かつ、預託金等を預託しなければ会員となれない会員権・・株式としての評価額+預託金の評価額

預託金等を預託しなければ会員となれない会員権・・預託金等の評価額 株式の所有を必要とせず、かつ譲渡できない会員権で、返還を受けることのできる預託金等がなく、単にプレーできるだけのものは評価しません。

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3-20 外貨建財産の評価

外貨建てによる財産及び国外にある財産は、日本円に換算した額が相続税課税評価額になります。

現在では、海外資産が相続税に対象とならないケースは非常に稀です。海外の財産についても国内の財産と同じように相続税の対象となるので、海外に資産を移すことだけによるメリットはあまりありません。

海外の資産で相続税の対象とならないケースは、①相続人の住所と国籍が海外にあり、②相続人と被相続人のどちらも課税時期前 5年以内に日本に住んだことがない場合のみとなっています。

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4-1 相続税の計算

相続税は、どのような遺産分割を行おうとも、相続税の総額が同額になるよう、以下の 3段階で計算します。 課税価格の合計から基礎控除額を引いて計算する。 法定相続分どおりに相続したと仮定して相続税総額を計算する。

各相続人の相続税額を計算する。 まず①相続財産の評価額から課税価格の合計を算出し、②課税価格の合計を法定相続分通りに相続したと仮定して全体に対する相続税額を求め、③その後に各相続人の相続した割合に応じて各相続人の相続税額を決めます。②の段階で相続税総額を計算しますので、相続財産をどのように分割しても、相続税総額は同じになります。

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4-2 課税価格の合計

課税価格とは、財産を取得した各相続人が個別に取得した財産の評価額です。相続税の対象となる財産の評価額なので相続税計算の基になります。

各相続人の算出した課税価格を合計したものが課税価格の合計です。これが基礎控除額を上回った分に対して相続税がかかります。

①相続した財産の評価額を計算する。 ②みなし相続財産の金額から非課税金額を控除したものを加える。

③相続時精算課税適用財産の評価額を加える。 ④債務や葬式費用を差し引く。 ⑤相続開始前 3年以内に贈与された財産の評価額を加える。

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4-3 相続税総額

相続税総額は、課税価格の合計から基礎控除額を引いた額を法定相続分通りに分割したと仮定してから計算します。

課税遺産総額に対する相続税額を求めることで、どのように遺産分割しても相続税総額は同額になるのです。

①課税価格の合計額 -基礎控除額=課税遺産総額 ②課税遺産総額× 各法定相続人の法定相続分=各法定相続人の取得金額

③各法定相続人の取得金額×税率=各法定相続人の仮相続税額

④各法定相続人の相続税額の合計額=相続税総額 遺産分割が決まっていなくても相続税総額がわかるので、対策を立てやすいと言えます。

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4-4 各相続人の相続税額

各相続人の税額は、相続税総額に各相続人が取得した財産割合を掛けて算出します。

各相続人の相続税額=相続税の総額×按分割合 按分割合とは、課税価格の合計額に対する各相続人に取得額の割合です。

ここで算出した相続税額から税額控除額を引いた額が最終的な納付税額になります。

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4-5 相続税の 2 割加算

相続税額の 2 割加算になる人は、次に挙げる人以外の人です。

①一親等の血族(子供、父母) ②配偶者 ③①以外の代襲相続人 つまり、祖父母、兄弟姉妹、代襲相続人となっていない孫、アカの他人は相続税が 2 割増しになります。被相続人と血縁関係が近い人と遠い人の相続額が同額なのは不自然だからです。

被相続人の養子となった被相続人の孫も対象者です。養子であっても、その養子が孫であれば 2 割加算になるのです。

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4-6 税額控除

相続税では、算出した各相続人の相続税額から税額控除を引いた額が最終納付額になります。税額控除には以下の 6つがあります。

①贈与税額控除、②配偶者の税額軽減、③未成年者控除、④障害者控除、⑤相次相続控除、⑥外国税額控除

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4-7 贈与税額控除

贈与税額控除は、贈与時に贈与税を納めていた場合、相続開始前 3年以内の贈与財産であっても、相続税額からその贈与税額を引くことができ、次のように計算します。

贈与税額控除:贈与を受けた年分の贈与税額×(相続税の課税価格に加算された金額÷贈与を受けた年分の贈与税の課税価格)

さらに、相続贈与税一体化措置を選択したときに払った贈与税も対象となります。

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4-8 配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減を適用すると、配偶者が取得する財産が①法定相続分内、もしくは②法定相続分を超えていても 1 億 6000万円以内、ならば相続税が掛かりません。

配偶者は、被相続人の財産形成に貢献していること、配偶者が亡くなったときに、もう一度相続が生じること、から配偶者にはなるべく相続税を課税しないようにしています。

配偶者の税額軽減額:相続税の総額×(次の①②のいずれか少ない金額÷課税価格の合計)

①課税価格の合計額× 配偶者の法定相続分(法定相続分が 1億 6000万円に満たないときは、 1 億 6000万円

②配偶者の課税価格(実際の取得額) 配偶者の税額軽減は、申告期限までに申告書提出の必要

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4-9 未成年者控除

法定相続人のうち 20 歳未満の者については、その者が 20 歳に達するまでの養育費を考慮して控除を認めています。

未成年者控除額= 10万円×( 20 歳‐その者の年齢)

一年未満の端数がある場合には、切り上げて 1年としても構いません。

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4-10 障害者控除

法定相続人のうち障害者については、福祉の増進のため控除を認めています。

障害者控除額= 10万円(特別障害者の場合 20万円)×( 85 歳‐その者の年齢)

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4-11 相次相続控除

10年以内に続けて相続があったときに、 2回目の相続(第二次相続)で 1回目(第一次相続)に払った相続税の一部と引くことができます。これを相次相続控除といいます。

相次相続控除は、次の計算式で求めます。 A:被相続人が第一次相続の際、課された相続税額 B:被相続人が第一次相続の際に相続した財産価額 C: 第二次相続の際、全員がもらった財産の合計額 D: 第二次相続の各相続人のもらった財産価額 E: 第一次相続から第二次相続までの年数 相次相続控除額= A×C/( B-A)×D/C×( 10‐E) /10 適用できるのは、法定相続人に限定されます。

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4-12 外国税額控除

外国税額控除は、海外で相続税を払った場合、日本での相続税額から海外で納めた相続税額を控除できるというものです。

外国税額の控除できる金額は、各相続税控除額控除後の相続税額と相続した外国資産のうち海外で相続税を課されたときの税額のいずれか少ない金額となります。

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4-13 贈与税の計算

暦年課税贈与による贈与税の税率構造は、平成 23年 1月以降に行われる贈与より大幅に緩和されます。

直系尊属から成年への贈与とそれ以外の贈与の税率構造が明確に区分され、前者の贈与税の負担がさらに軽減されたことも大きな特徴となっています。

一年間にもらった財産の評価額の合計額(課税価格)から基礎控除額の 110万円を引き、その残額に贈与税の税率を掛け、さらに控除額を差し引いた額が納税額です。

暦年課税の贈与税額=(贈与財産の評価額の合計額‐110万円)×税率‐控除額

相続時精算課税制度の場合、特別控除額 2500万円を超えた分につき、一律 20 %の税率で贈与税が課税されます。

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5-1 遺言書

遺言書がある場合、基本的には遺言書通りに遺産分割することになります。遺言書の中で指定された人が指定された財産を相続します。

遺言書は死亡した人の意思なので、何よりも優先されます。日本では処分方法などの財産に関する全ての権限は所有者が持っており、それは生前も死後も変わらないと考えられているからです。

遺言書がある場合、遺留分を犯していなければ、遺言書通りに遺産を分割します。

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5-2 遺言書の種類

遺言書は、正式な手順で作成、保存されたものでないと無効です。

大きく普通方式と特別方式に分けられますが、一般的に使われるのは普通方式です。

普通方式の遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、の 3 種類があります。この違いは、作成方法と保存方法の違いです。

きちんと遺言書を残したいのであれば、公正証書遺言で残すべきです。紛失や偽造の恐れがないからです。

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5-3 遺言書作成のポイント

自筆証書遺言は、遺言書を残す者が遺言書の全文・日付・氏名を自分で書き、印を押すことによって作成します。メリットはその存在・内容を秘密にでき、作成時に費用も掛からず簡単にできる点です。デメリットは滅失偽造の恐れがある点、ワープロや代筆は無効である点です。

公正証書遺言は、公証人役場で公正証書として作成します。2人以上の証人が立ち会い遺言者が遺言の内容を公証人に口頭で伝えます。公証人が筆記したものを遺言者と証人が承認し署名押印します。メリットは、その存在・内容が明らかなため、滅失偽造の恐れがなく、検認の必要もなく簡単に執行できる点です。デメリットは手間と費用が掛かる点です。

秘密証書遺言は、封印した遺言を公証人役場に持参し、その遺言の存在のみを公証してもらう遺言です。秘密証書遺言は、署名押印や封印は自分でしなければなりませんが、内容の自署は要件とされず、ワープロでも代筆でも構いません。メリットは内容の秘密が守られながら滅失偽造の恐れがないことです。デメリットは検認の必要がある点です。

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5-4 遺言書を発見したとき

被相続人が遺言書を残して死亡した場合、遺言書の発見者はすぐに遺言書を開封してはいけません。遺言書を発見した者または保管している者は、遺言書を家庭裁判所に持っていき検認してもらう必要があります。

ただし、公正証書遺言は、原本が公証役場に保管してあるので、検認の必要はありません。

検認とは、その遺言書の偽造を防ぐために、遺言書がどんな紙に書かれているかなどを調べ、遺言書の存在を確認することです。遺言書の証拠保全手続きのようなものです。

内容の有効無効を問うものではないので、正式な遺言形式に合致していない遺言書であっても検認を受ける必要があります。

封のある遺言書は、家庭裁判所で相続人又はその代理人立ち会いのものでなければ原則として開封することが出来ません。

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6-1 相続税申告スケジュール

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から 10ヶ月以内です。

被相続人が死亡して相続が発生したら 2~ 3日以内に、親戚や知人等への連絡、死亡届の提出、通夜葬儀告別式を行わなければなりません。

まず遺言書の有無を確認します。遺言書がある場合は遺言書通りに遺産分割します。遺言書がない場合は遺産分割協議の上、合意した内容を遺産分割協議書に書いて残します。

遺産の中で財産より借金のほうが多い場合には3ヵ月以内に相続の放棄をする必要があります。

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6-2 遺産分割協議の進め方

遺産分割協議で中心的役割を果たす相続人(同居者)は、他の相続人に遺産分割協議の進め方を聞くことから始めます。いきなり分割案を提示したりせずに、誠実な態度で先祖代々の土地を守らせて欲しいとお願いする姿勢が大切になります。

遺産分割協議で中心的役割を果たす相続人は葬儀が一段落し、お世話になった人へのお礼が済んだら、すべての相続人に会います。主張したい人がいる場合には別々に会ったほうが無難です。

この時に、遺産分割協議の出席者や進め方について意見を聞きます。

税理士ともコンタクトをとり方向性について話し合います。 相続人全員に集まってもらい、税理士の作成した遺産分割協議法についてたたき台を提出します。スムーズな場合にはその場で全員の意見を話してもらい、問題ある場合には一人ひとり税理士と話しあってもらいます。

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6-3 遺産分割協議書の作成方法

相続人同士の話し合いである遺産分割協議の結果、どのように遺産分割するか合意したら、遺産分割協議書を作成することになります。合意内容を明確にして後日の争いを防ぐためにも作成します。不動産の相続登記や銀行預金の払い戻しにも必要です。

遺産分割協議書は相続人の人数分作成し、各相続人が署名・押印し、相続人全員の実印の印鑑証明書を添付したものを各相続人が1通づつ保管します。

遺産分割協議書には、誰が、何を、どれくらい相続するのかを書きます。また新たな相続財産が見つかったときのことも書いてあると後日の争いを防ぐことになります。

書式は自由ですが、相続財産の記載は具体的に記載します。

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6-4 名義変更と生命保険金の請求

遺産分割協議の結果、誰がどの財産を相続するか決まったとしても、不動産、銀行預金、株式などの財産は名義変更しなければその財産の所有権は相続人に移りません。名義変更をしないと財産を処分することが出来なくなります。

名義変更の方法は、不動産なら登記所に、株式なら証券会社に、車なら陸運局に各種書類を提出します。銀行預金については原則として相続人全員で手続きを行うことになりますので注意が必要です。

被相続人に生命保険が掛けられていた場合には、その保険契約で指定された受取人が保険会社に請求し、各社所定の書類を遺産分割前に提出します。指定されている受取人が複数いるときは代表者が手続きします。

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6-5 相続税申告書

相続税の申告期限は、相続を知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。

相続税の申告書の提出先は、被相続人が死亡したときの住所地を所管する税務署になります。相続人の住所地は関係ありません。

相続財産の金額が基礎控除額を下回る場合には、相続税の申告は必要ありません。ただし、配偶者の税額軽減などの各種の税額控除や小規模宅地等の評価減の特例の結果、相続税が0円になった場合には申告する必要があります。

税額控除や特例は申告することで初めて適用になります。

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6-6 延納

延納は、相続税を期限内に金銭で一括納付できない場合に、相続税を分割して払う方法です。

延納期限は原則5年ですが、相続財産に占める不動産の割合が大きい場合には最高 20年まで認められます。

但し、延納は一定の条件を満たした場合にのみ認められますので、どんな場合にも延納できるというわけではありません。

①納めるべき相続税額が 10万円を超える、②期限内に金銭で納めることが困難な理由がある、③担保を提供できる、④期限内に延納申請書を提出し税務署長の許可を得る、ことが条件です。

延納をする場合、利子税が加算されるほか、担保の提供も必要となります。

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6-7 物納

物納は、延納でも相続税を払うことが出来ない場合に、金銭ではなく不動産などの特定の相続財産で納付する方法です。

物納が認められるには、①延納でも金銭で納められない理由がある、②金銭で納付することが困難である金額である、③物納できる財産がある、④期限内までに物納申請書を提出し税務署長の許可を得る、ことが条件となります。

物納対象外の資産が明記され、物納許可基準が明確化しました。また物納不適格財産(抵当権設定不動産、境界不明確土地等)が明確にされ、物納劣後財産(市街化調整区域内土地、接道条件未充足土地等)に該当する場合、その他物納適格財産がある場合には物納申請が却下されます。

物納申請後に延納に変更することは出来ますが、延納申請後に物納に変更することは資力の状況の変化がないと認められません。

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6-8 被相続人の所得税の申告

被相続人が死亡した年に所得があった場合、相続人が被相続人に代わって確定申告します。これを準確定申告といいます。

相続人が 2人以上いる場合には、確定申告書に「死亡した者の○年分の所得税の確定申告書付表」を貼付して提出することになります。

準確定申告で払った金額は被相続人の未納税金なので、被相続人の相続財産から引くことが出来ます。

申告期限は、年の途中で死んだ場合には、相続を知った日の翌日から4ヵ月以内となっています。

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6-9 申告期限内に遺産分割できないと

相続税の申告書の提出期限は相続の開始から10ヵ月以内です。 一方、遺産分割はいつまでに行わなければならないということは決

められていませんので、相続人同士で納得いくまで話合いを続けることは出来ます。

しかし、相続税の納付金額が決まるのは遺産分割後になるので、申告書の提出期限までには遺産分割が出来ていないと相続税を払うことが出来ません。

申告書の提出期限内に遺産分割が出来ない場合、とりあえず法定相続分通り相続したものとして各相続人が相続税を払い、遺産分割が纏まった後に修正申告を行い相続税を改めて納付する方法があります。

ただ、10ヵ月以内に遺産分割が纏まらないと、その後も纏まらない可能性はとても高いのが現実です。

申告書提出期限内に遺産分割しないと、各種税額控除が受けられなくなりますので、要注意です。

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6-10 相続税の申告書類

相続税の申告書類は全 15表ありますが、第 1表が基本になります。第 1表以外の申告書は、第 1表に附随する計算書と明細書で構成され、あくまでも第1表の補足的な表です。

相続人が複数の場合も申告書類は一組になります。被相続人一人につき一組の申告書類でいいのです。

申告書類の書き方は、税務署に置いてある相続税の申告の仕方という手引書に載っており、手順に沿って記入していけば出来る簡単なものです。

ただ、実際には、土地等の評価等もあり、専門家に任せたほうが相続税が安くなる場合も多いので、税理士に任せる人が多いのが現実です。

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6-11 贈与税申告のスケジュール

贈与税は、相続税とは違って一年毎に申告することになります。

ある年の 1 月 1日から 12 月 31日までの 1年間に基礎控除額 110万円超の贈与があった場合に、翌年の 2 月 1日から 3 月 15日までの期間に課税価格、贈与税額等を記載した申告書に一定の書類を貼付して納税地の所轄税務署長に提出します。

贈与財産の評価額が 110万円以下の場合は申告する必要がありませんが、贈与税の配偶者控除や住宅取得資金贈与の特定等を適用する場合には、申告をする必要があります。

相続贈与税一体化措置を選択した場合も申告が必要になります。

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7-1 相続税節税対策

相続税の節税の考え方は大きく分けると 2 通りです。生前贈与と財産評価を下げる方法です。

生前贈与とは、生前に財産を贈与することです。贈与税は贈与方法を工夫することで相続税よりも安く済ませることも出来ます。贈与税は年間にどれだけ贈与したかにより税額が決まるので、低い金額の贈与を長年に渡り行えば安い税金で済みます。相続贈与税一体化措置を利用すれば、最大 3500万円まで贈与税が掛かりません。

財産評価を下げる方法とは、小規模宅地等の特例などを適用して財産評価額を安くしたり、税額控除を適用できるように工夫することで納付税額を安くすることです。更地にアパートを建てることで貸家建付地にしたり、小規模宅地等の特例を適用できるよう工夫すると評価額を安くできます。

生前贈与活用対策、土地活用対策、生命保険活用対策、自社株対策、世代飛び越し相続対策、が主な対策となります。

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7-2 相続税節税対策

相続税対策として忘れてはいけないのが、財源対策(納税資金の確保)です。相続税をいくら下げても相続税を払う資金がないのでは意味がありません。節税は納税資金の目途が立って初めて意味が生じます。

多額の現金預金が残せれば対策は無用ですが、そうでなければ物納用の土地を残す、会社からもらう死亡退職金を使う等の財源対策が必要です。保険に加入して死亡時に保険金が受け取れるようにしておくなどの対策も考えておく必要があります。生命保険金には非課税額が設けられているので、うまく使えば節税にも効果的です。

相続争いを防ぐことも重要です。相続を機に仲の良かった兄弟姉妹間で陰湿な相続争いが起き、親戚付き合いがなくなることが多くありますが、これは財産の残し方に問題があるのです。

自分の死後、どのように分けたいのかキチンと遺言書に残し、財産を分けやすくしておくことが重要です。

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7-3 相続発生後の対策

相続発生後の対策として、①もめない対策、②節税対策、③財源対策、を考える余地はあります。

①もめない対策とは、どうやってスムーズに遺産分割を行うかということです。いきなり遺産分割協議に入り、何をどう話し合ってよいのかわからないうちに意見が食い違い、トラブルにつながる可能性があります。方向性を確認し協議を円滑に進めるための準備が必要です。

②節税対策とは、主に土地の評価を正しく行うことです。相続財産に占める土地の比率は高いので、上手に実行すると税金を安くできます。

③財源対策とは、相続税をどのように納めるか、その財源を確保するための対策です。現金納付と物納とをどのように組み合わせるかです。

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7-4 贈与して得な財産

相続贈与税一体化措置の導入により、贈与が発生した時に払う贈与税は 2500万円まで非課税になりました。そのかわり相続時に相続財産と過去に受け取った贈与財産を合わせて評価し、その分に応じた税金を納めます。

アパートやマンションなどの収益物件を生前贈与すると得になります。贈与税や相続税は建物の固定資産税評価額が基本となりいくら収益を上げるかは関係ありません。

収益物件を贈与された人は毎年、家賃収入が入ってきます。この物件の贈与を受ければ、相続税の納税資金にも使えます。

現行制度では土地建物の収益性を評価に反映させないため、収益を上げる土地も上げない土地も同様に評価されます。従って、贈与するなら、収益を上げる物件がよいのです。

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7-5 財産価値と収益性

遺産分割を行うときに、土地の財産価値には誰もが注意しますが、土地の収益性については見逃されることが多く、分割後に問題になるケースがあります。

遺産分割協議のときには、財産価値と収益性との両方を考えることが大切になります。

財産評価額 5000万円で収益性はゼロの土地と、財産評価額 3000万円で 10年間に 2000万円の現金収入のある土地なら、 10年後にはほぼ等価値になるという判断もできます。

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7-6 相続贈与一体化措置への対策

相続贈与一体化措置は、従来の方式との二者択一ですが、選択して有利になるのは、収益の上がる土地を贈与してもらった場合です。

さらにその土地については優先的に相続できる可能性が高くなります。生前に受贈したという事実は大きく、分割協議時に白紙撤回して再分割という話にはなり難いからです。

選択して不利になるのは、受贈時の財産評価額が相続時に下がる場合です。相続贈与一体化措置では、贈与財産として受贈した財産価額は贈与時の時価で評価されるからです。

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7-7 贈与税の基礎控除額活用

贈与税には、年間 110万円の基礎控除額があります。基礎控除額をフルに活用すれば、節税額は何千万にもなります。

例えば 1000万円を贈与したいと考えたとき、一度に贈与するのではなく、 10年間に渡り贈与すれば贈与税は 0円になります。 1年間に 100万円づつ贈与し続ければ、毎年の贈与額が基礎控除額以下になるので、贈与税は掛からないのです。

但し、同額の贈与を数年続けると、その総額に対して贈与税が掛けられる可能性があります。

毎年贈与額を変えたり、基礎控除額を上回る贈与をして贈与税を支払うなどの工夫をすると良いでしょう。

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7-8 贈与税の配偶者控除

贈与税の配偶者控除とは、①婚姻期間 20年以上の夫婦間で、②居住用不動産または居住用不動産取得のための金銭の贈与で、③贈与された不動産に翌年 3 月 15日まで住み、その後も住み続ける予定であって、④同一の配偶者からの贈与で、この控除を受けていなければ、 2000万円までは贈与税がかからないという制度です。贈与税の基礎控除額 110万円と組み合わせれば 2110万円までは、その年の贈与税は掛かりません。

この贈与税の配偶者控除を適用する場合は、金銭よりも不動産そのものを贈与したほうが得になります。不動産の相続税評価額は実際の時価よりも低いのが普通だからです。

贈与税の配偶者控除を有効に活用するためには、居住用不動産の土地の評価額が 2110万円を超える場合に、 2110万円までの土地の持分を贈与するのが最も効果的になります。

相続開始前 3年以内の贈与であっても相続税は掛かりません。

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7-9 子供のマイホーム購入資金 

マイホーム購入資金には、 2つの特例が設けられています。 自宅の取得や増改築のための費用として贈与を受ける場合、相続・贈与税一体化措置における 2500万円の非課税枠に、さらに1000万円が上乗せされ、非課税枠は 3500万円になります。年齢要件も緩和され、子供が 20 歳以上であることだけです。

この特例は、平成 23年度中に行われる贈与に限り認められます。また暦年課税贈与で基礎控除と住宅非課税の 1000万円を併せて1110万円までの非課税枠を使う特例も認められており、受贈者が選択できます。

相続贈与一体化措置を選択するメリットは、自宅を建てるときに親に大部分の資金を出してもらえることです。デメリットは相続発生時に土地家屋の評価が下がっていても、受贈した時の金額で評価されることです。

相続税の基礎控除額以下の財産の方にとっては有利な制度です。

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7-10 負担付贈与

負担付贈与とは、財産とともに債務も引き継ぐ贈与のことです。負担付贈与は節税対策に有効でしたが現在は使えません。

贈与税は、その財産の評価額から借金分を引いた額に対して掛かりますので、財産の評価額が通常の取引価格(市場価格)よりも低い財産の場合は、負担付贈与をすると節税効果がありました。

しかし、今ではこの方法は規制され、財産評価額と通常の取引価格の差額は贈与税の課税対象となります。

通常の取引価格‐負担する借金=贈与財産

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7-11 小規模宅地の活用

相続税額は、持っている土地に小規模宅地等の評価減の特例が適用できるかで大きく変わってきます。この特例が適用できれば、宅地の評価額が最大で 80 %割引になるからです。

しかもこの特例は土地を持っているほとんどの人に適用されるので、相続税を安くすることが出来る人が多くいます。

①小規模宅地等の評価減を受けられる土地があるのか ②50 %割引になるのか、 80 %割引になるのか ③現状のままだと 50 %割引の場合、 80 %割引にするにはどうしたらいいか

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7-12 土地評価額

土地の価値は土地の状態や周囲の環境によって変動します。相続前に所有する土地について客観的に判断しておく必要があります。

墓地に面している土地、凹凸の激しい土地の価値は低いです。線路に面したり、トラック道路に面した騒音の激しい土地、雨が降ると水がたまりやすい土地の価値も、路線価の評価額よりも 10 %ほど安くなります。

セットバック部分は自分の宅地であっても家が建てられないので評価額が 7 割ほど安くなります。

容積率の高い土地は高いビルを建てることが出来るので路線価は高くなりますが、住宅地区は容積率が低く定められているので、土地の評価額は低くなります。

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7-13 生前測量

相続した土地を売却する場合、あるいは物納する場合には、土地の面積をはっきりさせる必要があります。そのため隣接する土地との境界線を画定させた後、測量して土地の面積を明確にします。

測量すると多額の費用が掛かります。相続が発生してから測量を行うと相続人個人が測量費用を捻出しなければなりません。

売却目的乃至物納目的の土地については、生前に測量をしておくと、相続財産を減らし、相続税の節減が出来ます。

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7-14 宅地分割

路線価方式による土地の評価では、宅地が接する路線の数が多いほど評価額は高くなります。

そこで、この点に着目して土地を分割すると評価額を下げることが出来ます。

例えば、 2 路線に面している角地を、角地と 1 路線に面した宅地に分割すると土地の評価を下げることが出来るのです。

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7-15 相続した土地の売却

相続税の納税資金をつくるために、相続した土地を売却することはよくあります。しかし、相続税を支払った上に、土地売却に係る譲渡税を払うのではたまったものではありません。

そこで、相続税では二重課税を防ぐために、相続税の取得費加算の特例があります。

相続税の申告期限の翌日から 3年以内に限り、相続時に相続税を納めていれば、土地に対する相続税額分を土地の取得費(経費)として認めるというものです。

経費として認められる相続税は、その相続人が支払った相続税額×取得した土地全てに対する相続税評価額 /その相続人の取得した財産の相続税評価額の合計、となります。

この特例を適用しない場合、土地の取得費として認められるのは売却額の 5 %だけです。

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7-16 高く売れない土地

不動産相場が停滞している時期は、相続した土地を売ろうと思っても相続税評価額より低い価格でした売却できないことも少なくありません。

そのような場合には、その土地を物納してしまいましょう。 物納した財産は相続税評価額で収納してもらえるので、その財産を売却するよりも高い価格で処分できる結果となります。

相続税を納めるための売却であっても相続した土地を売却すると譲渡税が掛かりますが、物納してしまえば譲渡税は掛かりません。

但し、物納が認められるためには、要件を満たす必要がありますので、注意が必要です。

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7-17 賃貸不動産化

相続する土地の上にアパートやマンション、賃貸ビルを建てると、不動産評価額は下がります。土地の評価は、その土地がどのように活用されているかによって変わってくるからです。

更地のままであれば、土地の評価額は更地の評価額のままになってしまいますが、アパートなどの賃貸物件を建てれば貸家建付地として評価するので、評価額は下がるのです。

賃貸物件の建っている宅地は事業用の宅地なので、その他の小規模宅地等の評価減の特例が適用できます。つまり評価額は面積 200 ㎡まで 50 %割引になります。

賃貸物件の一部が被相続人の居住用であれば、特定居住用宅地等の評価減を適用できるので、面積 240 ㎡まで 80 %割引で評価できるのです。

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7-18 賃貸不動産化2

例えば、自用地評価額 1 億円の更地 200 ㎡と現金 5000万円を持っていたとします。このままでは 1 億 5000万円に対して相続税が掛かります。しかし、土地の上に手持ち資金 5000万円でアパートを建てたとすると、評価額はA+B= 6050万円になります。

土地評価額= 1 億円×( 1‐70 % ×30 %)= 7900万円 7900万円× 小規模宅地評価減特例 50 %= 3950万円:A アパート評価額= 5000万円×( 1‐30 %)= 2100万円:B 土地が余っているけれど自己資金がない場合には、借金をしてアパートを建てることによって節税できます。上記で 1 億円の土地に借金 5000万円でアパートを建てた場合、相続税評価額 6050万円から借金 5000万円と基礎控除額を引くので、相続税は 0円になります。但し、資金繰りが困難になる点は覚悟が必要です。

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7-19 会社組織化

所有する土地・建物を自分の経営する法人に貸し付けた場合、土地は貸家建付地、建物は貸家の評価になり、評価額は下がります。

自己所有する土地・建物で個人事業を行っている場合、その事業を法人化し、その法人に土地・建物を貸すことで不動産評価を下げることが出来ます。

例えば、自用地評価額 2 億円の土地 400 ㎡と固定資産税評価額 3000万円の家屋を所有し、個人事業を営んでいる場合、相続税の課税価格は 7000万円(= 2 億円×( 1‐0.8)+3000万円)になります。これを法人化してその法人に貸し付けると、土地と建物の評価額は 5260円(= 4000万円×( 1‐借地権割合 0.7×借家権割合 0.3)+ 3000万円×( 1-借家権割合 0.3))になり、 1740万円評価額が下がります。

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7-20 駐車場化

土地の相続税評価額を下げることが有用であることは理解していても、お金を掛けてまではという方も多いでしょう。

でも、土地を遊ばせたまま、更地にしておくと土地の相続税評価額は高いままになってしまいます。収益を生まず固定資産税などの税金ばかり取られては、いいことありません。

とりあえずの策としては駐車場経営があります。 駐車場であれば、売却も比較的容易にできますし、物納財産としても使えるので便利です。また駐車場代も入ってきます。土地に塀やアスファルトなどの構築物を建てて駐車場として利用すれば、貸付事業用宅地等の評価減の特例を適用できるので、200 ㎡までは 50 %割引で評価できます。

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7-21 自宅の改築

相続税の節税を考えた場合、相続財産を残さないこともポイントの一つです。でも無駄遣いするのではなく有効に使いたいと思うのは当然のことです。

その場合、方法の一つが自宅を改築することです。現金で 1000万円を持っていれば相続時には当然 1000万円と評価されますが、改築費用にあてると建物の一部になります。建物は固定資産税評価額で評価されますから、改築すると固定資産評価額は論理的に上がります。

しかし、改築に掛かった費用がそのまま上乗せされることはなく、だいたい 4 割~ 6 割の評価となります。従って、建物の改築は有効な節税方法となりえます。

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7-22 生命保険は損か得か

相続税対策として、生命保険に入ることを勧められることも多いと思います。節税対策にも、納税資金の確保にも使え、また遺族に纏まった現金を残すことが出来るので遺産分割が用意になり、相続争いが防げると考えられるからです。

相続税対策ということを考えれば、終身保険になります。終身保険とは保証期間が決まっていなくていつ死亡しても保険金が支払われる保険ですが、保険料が高いのが難点です。でも非課税枠限度額分がありますので、結果的に得することも多いです。

高い保険料を払ってでも節税のために生命保険を考えるなら非課税限度額分の保険に入っておくのも一つの手です。この場合、生命保険金額全額が非課税扱いになるので、節税対策として確実な効果を得ることができ、遺族に纏まったお金を残すことが可能です。

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7-23 自社株対策

オーナー社長は生前から自社株の評価を下げるなどの相続対策をしておく必要があります。相続対策を怠ると自社株に対して多額の相続税が掛かってきてしまうからです。

オーナー社長が死亡すると自社株が相続財産になります。オーナー社長の持つ自社株が取引相場のない株式として評価されますが、自社株自体は高額は評価額になりますが、売却することが出来ません。つまり自社株には換金性が全くないにも拘わらず、多額の相続税が掛かってくるのです。

もし、オーナー社長の個人名義の財産が自宅のみで、他の財産のほとんどは会社名義の場合、多額の相続税が課されても納税資金がないという状態になってしまい、会社の経営にも影響が出てきます。

自社株は、純資産価額方式か類似業種比準価額方式で評価されるので、まず自社がどちらで評価されるのかチェックしましょう。

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7-24 自社株対策2

純資産価額方式は、会社の持つ純資産を基にして株価を評価します。純資産額が多くなるほど評価額が高くなります。つまり評価額を下げるには、不動産に投資したり、退職金を支給したりして純資産額を少なくすればいいのです。

①土地に投資する・・・土地に投資することで時価より安い評価額にし、貸家建付地の評価を利用して純資産額を下げます。

②建物等に投資する・・・建物やゴルフ会員権などの時価よりも評価額が安くなる資産に投資することです。貸家であれば、さらに評価減出来ます。

③役員退職金の支給をする・・・役員に退職金を支給することで純資産額を少なくします。

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7-25 自社株対策3

類似業種比準価額は、類似業種の上場会社と、評価する会社の、株価、配当金額、利益金額、純資産価額などを基に計算します。類似業種の上場会社のものは公表されたものをそのまま使うのでどうすることも出来ませんが、評価する会社のものは対策が可能です。

役員退職金の支給で純資産価額を低くしたり、収益部門の分社化などの対策で、評価する会社の配当金額、利益金額、純資産価額の評価額を下げることが出来ます。

評価額が安いときに贈与や譲渡するのも節税対策として有効です。具体的には配当金額、利益金額、純資産価額が低いとき(業績が悪いとき)や上場株式が低迷しているときです。景気後退期は評価額が安くなる可能性が高いので、自社株対策をするいい時期となります。

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7-26 自社への貸付金

会社の資金繰りが苦しいときなど、社長が自分の会社に貸付けする場合があります。しかし、この状態で相続が発生すると、貸付金が相続財産として残ってしまいます。この場合、次の方法を取ることで、相続財産から除外できます。

増資に充てる方法です。社長からの借入金を現物出資して資本に組入れ、会社の財務体質の改善を図るのです。

債務を放棄する方法です。社長が貸付金を放棄すると、会社側からみて、借入金の免除で生じる利益、債務免除益が上がります。欠損填補のために使われるのが一般的ですので、法人でも実質的に課税されません。

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7-27 自社株を納税財源に

オーナー社長は大量の自社株を保有しています。自社株は高価ですが、取引相場がなく、換金できない財産です。

しかし、相続税の納税財源として、自社株が認められるようになり、自社株での物納が認められるようになりました。譲渡制限株式以外であれば、原則として物納可能です。

さらに、株式買取先として、当事者の会社認められ、会社も自社株を買ってよいことになりました。

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7-28 世代飛び越し

財産を相続権のない孫に相続させれば、世代飛び越しで相続税の課税を1回逃れることが出来ます。その時、相続税には、相続税の2割加算、という制度があり、孫が財産を相続する場合は相続税が2割加算されます。

ただ、多くの場合、直接孫に相続させた方が得になります。

親死亡時から子死亡時までの期間も考慮にいれておかなければなりません。

孫に財産を相続させるには、養子にするか、遺言書で指定する必要があります。

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最後に

相続は、きちんと事前に対策をたてておくことが何よりも重要です。

もし、ご相談したいことがあれば、お気軽にご連絡下さい。

ご清聴頂き、ありがとうございました。

株式会社ファミリーオフィス 電話: 072-601-4208 メール: info@ familyoffice-consulting.co.jp