一 「敬体」と「常体」

敬語を含む文体を敬体と言い、含まない文体を常体という

（常体）

「きのうお前は佐藤と一緒にどこへ行った

か。」

「昨日　あなたは　佐藤さんと　御一緒に

どちらへ　お出かけに　なりましたか。」　　

　

（敬体）

一 「敬体」と「常体」

敬語を含む文体を敬体と言い、含まない文体を常体という

（常体）

「きのうお前は佐藤と一緒にどこへ行った

か。」（

敬体）

　　

「昨日　あなたは　佐藤さんと　御一緒に

　

どちらへ　お出かけになり　ましたか。」　　

　

文章語的であり、

　　　より敬語的

である。　　　敬

語に使われる単

語

尊敬を表す接尾辞尊

敬を表す接頭辞

直接的でなく、より敬語的であ

る。

お～なる　（尊敬表

現）

丁寧を表す助動詞

二 敬語の種類

・尊敬語

・謙譲語

・丁寧語

聞き手を直接敬う

語

話題の中で

動作をする人を直接敬う語

話題の中で動作をする人を低める事で

動作を受ける人を敬う語

話し

手聞き

手

「ＡさんがＢさんに言う。」

ＡＢ

言う

尊敬語とは

話題の中で

話し

手聞き

手

「ＡさんがＢさんにおっしゃる。」

ＡＢ

おっしゃ

る

尊敬語とは

話題の中で

話し

手聞き

手

「ＡさんがＢさんにおっしゃる。」

Ａ

Ｂ

おっしゃ

る

尊敬語とは

話題の中で

話し

手聞き

手

「ＡさんがＢさんにおっしゃる。」

Ａ

Ｂ

おっしゃ

る

敬意

尊敬語は、

話し手が

動作をする人

を敬う

言葉である。

尊敬語とは

話題の中で

話し

手聞き

手

「ＡさんがＢさんに申し上げる。」

ＡＢ

申し上げる

謙譲語とは

話題の中で

話し

手聞き

手

「ＡさんがＢさんに申し上げる。」

ＡＢ

申し上げる

謙譲語とは

話題の中で

話し

手聞き

手

「ＡさんがＢさんに申し上げる。」

ＡＢ

申し上げる

敬意

謙譲語は、

話し手が

動作をする人を

低め

動作を受ける人

を敬う

言葉である。

謙譲語とは

話題の中で

話し

手聞き

手

「ここにＡさんとＢさんがいる。」

ＡＢ

いる丁寧語とは

話し

手聞き

手

「ここにＡさんとＢさんがいます。」

ＡＢ

いる

ます

丁寧語とは

話し

手

聞き

手

「ここにＡさんとＢさんがいます。」

ＡＢ

いる

ます

敬意

丁寧語は、

話し手が

聞き手を

直接

敬う

言葉である。

丁寧語とは

三 敬語についてのきまり

丁寧語は、単に丁寧な言い方で話し

手が聞き手を尊重する時に使う言葉

でしかないので、場合によっては、

丁寧語だけでは正しく敬語を使って

いるとは言えないことがあります。

Ａ先

生

Ｂ先

生Ｃ先

生Ｄ先

生

Ｅ先

生

例 一

Ａ先

生

Ｂ先

生Ｃ先

生Ｄ先

生

Ｅ先

生

Ｃ先生いますか。

丁寧語

例 一

Ａ先

生

Ｂ先

生Ｃ先

生Ｄ先

生

Ｅ先

生

Ｃ先生いますか。

丁寧語

聞き手である先生方に敬意

を払っているのに・・・・

？

？？ ？

？

例 一

Ａ先

生

Ｂ先

生Ｃ先

生Ｄ先

生

Ｅ先

生

正しい敬語の使い

方

例 一

Ａ先

生

Ｂ先

生Ｃ先

生Ｄ先

生

Ｅ先

生

正しい敬語の使い

方

Ｃ先生はいらっしゃい

ます

か。

丁寧語 聞

き手の先生方

に敬意を払う　

尊敬語

話題のＣ先生

に敬意を払う

例 一

話し

手 聞き

手

例 二

話し

手 聞き

手

パンを食べて

も

いいですか

？

例 二

丁寧語

聞き手（相手）に敬意を

払っているのに・・・・

　

話し

手 聞き

手

正しい敬語の使い

方

例 二

話し

手 聞き

手

パンをいただいて

も

いいですか

正しい敬語の使い

方丁寧語

謙譲語

例 二 丁寧語・・・話し手が聞き手に敬意を払ってい

る。

謙譲語・・・話し手が話題の人物（話し手自

身）を低

めて、話題の人物の相手（聞き

手）に敬

意を

払っている。

四 敬語の使われ方

私たちは、敬語の使われ方を聞くだけで、

話し手が誰にしゃべっているのかを判断

することができます。またその場の人間

関係についても察することができます。

（例一）丁寧語から察することができる関係

（例二）丁寧語と尊敬語から察することができる関係

（例三）丁寧語と謙譲語から察することができる関係

話し

手 友　

人先　

生

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

話し

手 友　

人先　

生

クラスのＡさ

ん （場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例一）丁寧語から察することができる関係

話し

手 友　

人先　

生

クラスのＡさ

ん 今、来たよ。

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例一）丁寧語から察することができる関係

話し

手 友　

人先　

生

クラスのＡさ

ん 今、来ました。

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例一）丁寧語から察することができる関係

話し

手 友　

人先　

生

クラスのＡさ

ん 今、来ました。

丁寧

語

敬意

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例一）丁寧語から察することができる関係

クラスのＡさんだな。

話し

手 友　

人先　

生

　校長先生

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例二）丁寧語と尊敬語から察することができる関

係

話し

手 友　

人先　

生

　校長先生

今、いらっしゃった。

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例二）丁寧語と尊敬語から察することができる関

係

話し

手 友　

人先　

生

　校長先生

今、

いらっしゃい　ま

した。

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例二）丁寧語と尊敬語から察することができる関

係

話し

手 友　

人先　

生

　校長先生

今、

いらっしゃい　ま

した。

丁寧

語

尊敬

語

敬意

敬意

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例二）丁寧語と尊敬語から察することができる関

係

校長先生だな。

話し

手 友　

人先　

生

話し手の父親

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例三）丁寧語と謙譲語から察することができる関

係

話し

手 友　

人先　

生

話し手の父親

今、来た。

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例三）丁寧語と謙譲語から察することができる関

係

話し

手 友　

人先　

生

話し手の父親

今、

まいり　ました。

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例三）丁寧語と謙譲語から察することができる関

係

話し

手 友　

人先　

生

話し手の父親

今、

まいり　ました。

敬意

丁寧

語

謙譲

語

敬意

（場面設定）　　　　　　　

教室に、話し手と担任の先生

と話し手の友人の三人がいる。

三人は、クラスのＡさん、校

長先生、話し手の父親を待っ

ている。

（例三）丁寧語と謙譲語から察することができる関

係

身内の人間を低めて敬意を払ってくれて

いる。保護者の方だ

な。

五 日本語のなかの敬語

日本語は主語がなくても、敬語で主語

がわかるという言語です。

例一「源氏物語」から

例二　「大鏡」から　

古典作品を読む時に、敬語に注目すること

はありませんか？　

例 一

朝夕の宮仕へにつけても、

人の心をのみ動かし、

恨みを負ふ積り

にやありけむ、

いとあつしくなりゆき、

もの心細げに里がち

なる

を、

いよいよあかずあはれなるものに思ほして、

人のそし

りをも

え憚らせたまはず、

世のためしにもなりぬべき御もてなし

なり。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

「

源氏物語

」

より

（問）　傍線部の主語は、桐壺の更衣、帝のどちらで

すか？

敬語に注目！

例 一

朝夕の宮仕へにつけても、

人の心をのみ動かし、

恨みを負ふ積り

にやありけむ、

いとあつしくなりゆき、

もの心細げに里がち

なる

を、

いよいよあかずあはれなるものに思ほして、

人のそし

りをも

え憚らせたまはず、

世のためしにもなりぬべき御もてなし

なり。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

「

源氏物語

」

より

二重敬語

尊敬語

（桐壺の更衣

は）

（帝

は）

（帝

は）

（問）　傍線部の主語は、桐壺の更衣、帝のどちらで

すか？

例 二

そのころは、

源民部卿殿は職事にておはしますに、

上達部になり

給ふべければ、

一条院、

「

この次にはまた誰かなるべき」

と問はせ

ければ、「

行成なんまかりなるべき人に候ふ」

と奏せさせ給ひけ

るを、「

地下のものはいかがあるべからん」

と宣はせければ、

　　

「

いとやむごとなきものに候ふ・・・・・

」と申させ給ひければ、

道理

のこととはいひながら、

なり給ひにしぞかし。　

（「

大鏡

」

より）

　　

（問）　傍線部は、誰の会話です

か？

登場人物は源民部卿と一条院であ

る。

例 二

そのころは、

源民部卿殿は職事にておはしますに、

上達部になり

給ふべければ、

一条院、

「

この次にはまた誰かなるべき」

と問はせ

ければ、「

行成なんまかりなるべき人に候ふ」

と奏せさせ給ひけ

るを、「

地下のものはいかがあるべからん」

と宣はせければ、

　　

「

いとやむごとなきものに候ふ・・・・・

」と申させ給ひければ、

道理

のこととはいひながら、

なり給ひにしぞかし。　

（「

大鏡

」

より）

　　

（問）　傍線部は、誰の会話です

か？

登場人物は源民部卿と一条院であ

る。 謙譲語（天皇や上皇に申し上げ

る）

謙譲語

尊敬語（天皇・上皇・皇

后など最高位の人に用い

る）

源民部卿が

源民部卿が

一条院が