特定健康診査における 血液検査項目の標準化

62
社社社社 社社社社社社社社社 社社社社社 社社社社社社社社社社 社社社社社社社社社社 社社社社社社社社社社社 社社社社社 社社社社社社社社社社社社社社社社社社 社社社社社 社社社 社社社社社

Upload: orli

Post on 18-Mar-2016

225 views

Category:

Documents


0 download

DESCRIPTION

特定健康診査における 血液検査項目の標準化. 作成: 日本臨床検査薬協会 技術委員会 監修:筑波大学大学院人間総合科学研究科 臨床医学系 准教授 桑克彦先生. 「はかる:測る」行為には総合的な検証が必要. 目的に適した検査方法の設定 基準とすべき標準物質の選定 計量学的 traceability の確認 検査機器や検査基準の維持・管理 得られた結果の適切な解析と表現. 拠り所. JCTLM の設置                         2002 年 国際単位系( SI )第 8 版 2006 年 - PowerPoint PPT Presentation

TRANSCRIPT

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

特定健康診査における血液検査項目の標準化作成:日本臨床検査薬協会 技術委員会監修:筑波大学大学院人間総合科学研究科

臨床医学系 准教授 桑克彦先生

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会「はかる:測る」行為には総合的な検証が必要

① 目的に適した検査方法の設定② 基準とすべき標準物質の選定③ 計量学的 traceability の確認④ 検査機器や検査基準の維持・管理⑤ 得られた結果の適切な解析と表現

1. JCTLM の設置                         2002 年2. 国際単位系( SI )第 8 版 2006年3. 国際計量用語集( VIM )第 3 版⇒ ISO/IEC Guide99 2007年4. 計測における不確かさの表現ガイド( GUM ) 2007年

拠り所

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

特定健康診査における血液検査 8 項目• 脂質

– 中性脂肪、 HDL コレステロール、 LDL コレステロール• 肝機能

– AST 、 ALT 、 -GT• その他

– 空腹時血糖、 HbA1c

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

臨床検査値の標準化は標準物質による• 常用参照標準物質により校正された値• MHLW が METI ・ AIST/NMIJ ・ JCCLS などの協力を得て検査の標準化が出来るようにする• 血液検査 8 項目の標準物質を設定

健診機関はこれら標準物質にトレーサブルなキットを使用し、トレーサビリティを含めた精度管理を実施する

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

トレーサビリティと不確かさ• トレーサビリティ

– 標準物質と測定操作法で組立てられた階層構造• 不確かさ

– 測定値の信頼幅がある確率で存在する範囲• トレーサビリティを確保しているということは

– 測定値に対して不確かさを付けて表すことができること

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会n段の校正の連鎖と実試料測定

国家標準

二次標準

‥‥上位の標準

標準

三次標準

校正1

校正2

校正n 測定作業実試料

校正の連鎖

測定者

u 1

u2

un

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

NMIJ による外部機関標準物質公表制度

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

外部機関標準物質公表制度

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

外部機関標準物質公表制度の概要• 目的

– 各領域で設定されている標準物質のうち、計量学的に質の高いものを、国家計量標準機関が認めたものとして登録し、社会に公表することによって、要求される測定値の信頼性が確保できるようにすること• 登録

– 特定の組成(分析対象成分とマトリックスの組み合わせ)の標準物質の中でトレーサビリティ体系において現時点で最上位と位置づけられるもの• 登録基準

– 標準物質生産者の認定に適用される ISO Guide 34及び ISO Guide 35 の要求事項のうち、トレーサビリティ体系を確保する上で必要な技術的項目

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

外部機関標準物質公表制度のしくみ(案)

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

 

•TG, HDL-C, LDL-C : JCCRM224•GLU : JCCRM521•HbA1c : JCCLS CRM-004•AST,   ALT, γ-GT : JCCLS CRM-001

  NMIJ(独)産業技術総合研究所計量標準総合センター

キャリブレータ:試薬メーカー

日常検査法:ユーザー

特定健診の臨床検査に用いる認証標準物質―外部機関標準物質公表制度への登録: NMIJ―申請( 2008 年 2 月)→審査→公表

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

ISO との関係

標準物質製造業者ISO 認証機関

製造業者認証: ISO9001

ISO13485

認証書

認定: ISO17025ISO Guide34

NMIJ :外部機関標準物質公表制度への登録

ISO 認定機関 (独)製品評価技術基盤機構    (NITE)

ReCCS 等

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

一次校正物質

二次校正物質

製造業者実用校正物質

製造業者製品校正物質

CGPM による SI 単位の定義一次基準測定操作法

二次基準測定操作法

製造業者自社推奨測定操作法

製造業者社内標準測定操作法

最終使用者の日常測定操作法日常試料

測定結果

BIPM,MMI,ARML

NMI,ARMLBIPM,NMI

NMI,ARML 、 MLMLML

MLML

製造業者又は最終使用者最終使用者最終使用者

材料 校正値付け 操作法 実施 不確かさ

計量学的

トレー サ

ビリティ

ARML :認定基準検査室、 BIPM :国際度量衡局、 CGPM :度量衡委員会、 ML :製造業者の検査室、 NMI :国内計量研究所

計量学的トレーサビリティ連鎖と校正の階層段階:ISO17511

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会臨床検査関連標準(標準物質)の計量トレーサビリティ体系( VIM 第3版: 2007 )

計量標準研究所NMIJ

↓校正事業者

↓標準物質生産者

↓ 製造業者

↓ 製造業者

検査室(日常検査)

キャリブレータCalibrator

日常試料↓

国家計量標準物質National Standard(Primary Standard)

特定二次標準物質Secondary Standard

常用参照標準物質Reference Standard

実用標準物質Working Standardトレ

ーサビリ

ティの流

れ 標準物質供給の流れ計量トレーサビリティ体系は、いずれの階層

(国家、二次、常用参照、実用等)でも

標準物質が存在する場合を

想定しているが、ある階層で存在しない場合には、

その上の階層に直接繋がる場合も容認される。

JCCLS RM/WG 作成

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

特定健康診査項目に用いる標準物質 ( 本日現在 )項目 標準物質 値付け 薬事法 JCTLMAST JCCLS CRM-001a JCCLS- SOP ○ List IIALT JCCLS CRM-001a JCCLS- SOP ○ List II-GT JCCLS CRM-001a JCCLS- SOP ○ List ITG JCCRM 224-3 JSCC勧告法 ○ List IHDL-C JCCRM 224-3 CDC レファレンス法 ○

<CDC>LDL-C JCCRM 224-3 CDC レファレンス法 <○>

CDCGlu JCCRM 521-7 JSCC勧告法 ○ List IHbA1c JCCLS CRM-004a KO500 法 ○ List I

供給機関は検査医学標準物質機構( ReCCS )<> は厚生労働省の告示待ち

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

臨薬協と標準物質の認証の関係• JCCLS 関係: CRM-001 、 004

技術委員会から JCCLS 標準物質小委員会への参加(従来より)

• ReCCS 関係: JCCRM 224 、 521技術委員会から ReCCS 認証委員会への参加( H20 年度より)

• 外部機関標準物質公表制度臨薬協理事会より審議会への参加( H20年度より)

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

各項目の常用参照標準物質及びtraceability 体系

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

AST ・ ALT ・ -GT

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

JCCLS CRM-001 を用いる• JCCLS により認証されている「 JCCLS

CRM-001 」を用いる• 現在のロットは a (従来表記の Lot 5 )で、 JCCLS CRM-001a と表記• 現状と変更点は無い• JCCLS が旭化成ファーマの協力の下に「外部機関標準物質公表制度」へのノミネートしている

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会別図5  AST, ALT, -GT活性測定のトレーサビリティ連鎖図 

 日常測定操作法( JSCC 標準化対応法)

検査室

製造業者日常試料

測定結果

JSCC 常用基準法(AST, ALT, γ-GT)

(JCCLS-SOP 法 )

製造業者社内標準測定操作法

常用参照標準物質(JCCLS CRM-001)

製造業者製品校正物質

共同実験29機関

非 SI 単位系

  材料       校正     操作法      実施 機関       値付け

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

LDL-C ・ HDL-C ・中性脂肪

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

JCCRM 224 を用いる• ReCCS により認証されている「脂質測定用常用標準物質 」を用いる• 現在のロットは 3 で、 JCCRM 224-3 と表

記• LDL-C は本品を用いる• 各項目共濃度は一濃度• ReCCS が「外部機関標準物質公表制度」

へのノミネートしている

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

LDL-C直接法と薬事法の関係• 告示 120 号の修正・追加に関して厚生労働省に

て審議され、 JACRI 原案とおり決定した。 LDL-C に関しては供給機関に「 ReCCS 」が追加追加されている。

• 近々告示される予定である。• 製造販売業者は「特定健康診査」に用いる場合、

基準用較正物質を「 CDC 法」から「 ReCCS が供給する標準物質(供給機関: ReCCS )」への変更届けを医薬品医療機器総合機構に提出する必要がある。

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会JCCRM 224-3 の血清性状測定項目  測定値 単位 測 定 法    

A/G比 1.5 - -

アンモニア 87 mol/L 比色法グルコース 102 mg/dL 酵素法

総ビリルビン 0.5 mg/dL 酵素法ヘモグロビン 4以下 mg/dL 比色法濁 度 Abs 0.05 - 吸光度法 (710n

m)

ディスク電気泳動アガロースゲル電気泳動

リポタンパク分画 単位 JCCRM224

VLDL % 16

LDL % 47

HDL % 36

リポタンパク分画 単位 JCCRM 224α % 39preβ % 10β % 48other % 3

• 原料ヒト新鮮プール血清• 血清処理方法

CLSI CA37-A による• CLSI の規格適合

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

項目 USA(ワシントン大学)

カナダ( CEQAL)

日本 *(ReCCS)

TC(mg/dl) 190.9 188.6 191.1 192.2HDL-C(mg/dl) 60.1 59.7 60.5 60.8LDL-C

(mg/dl) 130.8 128.9 130.6 131.4

JCCRM 224-3 各施設での BQ 法測定結果

* 測定者及び日を変えた二個の測定結果を示す。

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会認証値および不確かさ 25℃

認証値および不確かさ, mg/dL

   HDL-C    LDL-C60.3 ± 0.9   130.4 ± 2.1 JCCRM 224-3

不確かさは、拡張不確かさ( 95%信頼水準)で表した。

血清標準物質 NIST SRM 1951b ⅠLDL-C 測定結果 (mg/dL)  

CDC 認証値   113.2 ± 3.1 SRC 測定値   111.8 ( バイアス - 1.4%)

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

中性脂肪用標準物質について

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

中性脂肪用標準物質及び問題点• 厚労省告示 120 号における中性脂肪の標準物質

供給機関は HECTEF(今後は ReCCS )となっており、 JCCRM 223/224 が該当する。

• 223 を検体として各社中性脂肪測定試薬にて測定した場合、認証値に対する測定値の回収率が各レベルにより異なり、高濃度になるほど高くなる傾向が見られた。この為、各社の値付けに用いるレベルにより試薬間差が生じていた。

• JCCLS ・ JSCC ・ JACRI にて問題点及び今後の対応を協議し、 224 で対策を講じた。

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

脂質標準血清の各社キャリブレータによる測定値企業名 A社 B社 D社

直近上位標準 J CCRM223 HECTEF SRC基準品 トリオレイン認証値 血清 血清 水溶液

J CCRM 224-1 M 78.4 78.0 77.0 72.6H 140.3 142.0 142.1 133.0TG 215.4 223.0 220.4 207.4

M 回収率 99.5% 98.2% 92.6%H 回収率 101.2% 101.3% 94.8%TG 回収率 103.5% 102.3% 96.3%

a -5.585 -4.939 -4.744b 1.059 1.047 0.984r 1.000 1.000 1.000

Sy/ x 1.235 0.251 0.412

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会JCCRM224/223 の各試薬 TG 測定値

90%92%94%96%98%

100%102%104%106%108%110%

50 100 150 200 250

J CCRM 224/223認証値

試薬回収率

A B C D E F G224

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会TG 測定用血清標準物質のアガロース電気泳動パターン(和光純薬提供)

JCCRM-224-3 ( TG )の認証値 ±拡張不確かさ( k=2 )

  125.6 ± 0.9 mg/dL

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会 4 J CCRM224- 3図 による補正効果

0%1%2%3%4%5%6%7%

0 100 200 300 400mg/ dL各社測定平均値( )

(CV%

収束

性)

補正前 補正後

JCCRM 224-3 による補正効果検体はボランティア採血十二検

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会中性脂肪測定のトレーサビリティ連鎖図 

  材料       校正     操作法      実施 機関       値付け

純度の確認方法(屈折率・クロロホルム溶状・ TLC など)高純度標準物質

(トリオレイン)

常用参照標準物質JCCRM 224-3(TG) 製造業者社内標準測定

操作法製造業者製品校正物質日常測定操作法日常試料

測定結果検査室

製造業者

JSCC勧告法(アルコール性 KOH加水分解 GK-PK-LD 法)

JSCC/JCCLS会員

SI 単位系

JSCC/JCCLS会員

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会HDL 、 LDL コレステロール測定のトレーサビリティ連鎖図 

純度の確定方法( LC, GC, TLC )高純度標準物質

( NIST SRM 911NMIJ CRM

6001 )常用参照標準物質

JCCRM 224

製造業者製品校正物質日常測定操作法

日常試料測定結果

NISTAIST

検査室製造業者

共同実験3機関CDC レファレンス法

  材料       校正     操作法      実施 機関       値付け

SI 単位系

製造業者社内標準測定操作法

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

今後の JCCRM224 の目標濃度項目 濃度 現行製品中性脂肪 140 mg/dL HLDL-C 130 mg/dL LDL1HDL-C 40 mg/dL L

各項目一濃度の設定とする!

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

グルコース

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

JCCRM 521 を用いる• ReCCS により認証されている「 JCCRM 5

21 」を用いる• 現在のロットは 7 で、 JCCRM 521-7 と表

記• 現状と変更点は無い• ReCCS が「外部機関標準物質公表制度」

へのノミネートしている

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会グルコース測定のトレーサビリティ連鎖図

純度の確定方法( DSC, TLC, GC, NMR )高純度標準物質( NIST SRM

917 )

常用参照標準物質JCCRM521 製造業者社内標準測定

操作法製造業者製品校正物質 日常測定操作法日常試料

測定結果

NIST

検査室

製造業者

一次血清標準物質(NIST SRM 965 )

ID-MSNIST

JSCC勧告法(除蛋白・ HK-G6PD 法)

SI 単位系

JSCC/JCCLS会員

  材料       校正     操作法      実施 機関       値付け

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

HbA1c

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

JCCLS CRM004 を用いる• JCCLS により認証されている「 JCCLS CR

M-004 」を用いる• 現在のロットは aで JCCLS CRM-004aと

表記• 現状と変更点は無い• ReCCS が「外部機関標準物質公表制度」

へのノミネートしている

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会 HbA1c 測定のトレーサビリティ連鎖図  

 日常測定操作法検査室

製造業者

JDS 標準品

日常試料測定結果

JSCC 基準標準測定操作法案 (KO500 法 )

製造業者社内標準測定操作法

常用参照標準物質(JCCLS CRM-004)

製造業者製品校正物質

JDS

非 SI 単位系

共同実験4機関

  材料       校正     操作法      実施 機関       値付け

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

トレーサビリティと不確かさに関して

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

わが国における許容誤差限界項目 CVA(%) BA(%)TG 14.8 15.4

HDL-C 4.2 6.0LDL-C 4.6 6.9AST 7.6 7.1ALT 11.1 12.4γ-GT 8.2 12.8GLU 2.9 2.3

•CVA :施設内精度•個体内生理的変動の CV(CV1) の 1/2以下、 CVA< 1/2 ×CV1

•BA :かたより•個体内生理的変動の CV(CV1) と個体間生理的変動の CV(CVG) の    それぞれの 2乗和の平方根の 1/4以下、 BA  < 1/4 × √ ( CVG

2 + CV12 )

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

トレーサビリティ及び値付けに関して• 各社は常用血清標準物質を直近上位の校正物質として値付けを実施する。• トレーサビリティ連鎖が常用の血清標準物質より上位の標準物質に繋がっている場合(グルコース等)は容認できる。(産総研見解)• 中性脂肪は JSCC勧告法の値を伝達する。• キャリブレータの表示値に関しては不確かさを付記することとする。

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

特定健康診査の手順と検体の取扱

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

 健診検査手順

検査前手順

Preanalytical Phase

検査後手順

Postanalytical Phase

検査手順Analytical Phase

・健診者への事前注意・検体採取者への指示・採血管の選択・採血時の確認事項・尿検体の扱い・採血管の処理(血清・血漿 の分離)・検体の搬送・測定検体の保存

・試薬キット(標準化されたも 

 の)

・測定装置

・測定の検査マニュアル

・内部精度管理

 ・試薬キットの管理

 ・装置の保守

 ・管理試料による測定管理

 ・健診者データによる測定管

  理

・外部精度評価

・測定のみのアウトソーシング

・報告書・測定結果の確認・基準範囲・個人の生理的変動幅・健診判定値・保健指導・健診データベース・健診担当者の教育

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会健診項目における検体の取り扱い(1)

項目名 絶食条件 採血管 採血後の保 存 測定までの検体保存 測定検体種TG, HDL-C, LDL-

C, AST,ALT, γ-

GT

10 時間以上(脂質項目のみ)

分離剤入りプレイン管 冷蔵保存,12 時間以内に遠心分離

分離後 ,冷蔵保存、採血から 72 時間以内に測定血清

空腹時血糖 10 時間以上 NaF 入り採血管 ( 血糖測定用採血管 )

全血のまま冷蔵保存 6 時間以内に測定または遠心分離( 12時間以内に測定または遠心分離)、遠心分離血漿は採血から 72 時間以内に測定

血漿

HbA1c (午後健診の場合でも軽めの朝食)

血糖測定用採血管またはEDTA入りの採血管

全血のまま冷蔵保存 採血後 48 時間以内に測定 全血

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

健診項目における検体の取り扱い(参考)項目名 条件 採血管 採後の保存 測定までの検体保存 測定検体種尿糖尿蛋白

中間尿採取後4時間以内に試験紙法で測定

専用容器に移して蜜栓、室温保存では採取から 24時間以内に測定、 .冷蔵保存では採取から 48時間以内に測定

尿

貧血( RBC, Hb,

Ht )

EDTA入り採血管 全血のまま室温保存 6 時間以内に測定 全血

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

トレーサビリティと測定値の不確かさ及び精度管理

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

内部精度管理と外部精度管理の実施• 基本的考え方

– 「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」における精度管理に関する事項に準拠して、精度管理を行うものとする。• 内部精度管理

– 健診機関内では、検体の採取・輸送・保存、測定、検査結果の管理、安全、管理者の配置等について常に管理し、検査値の精度を保証する。そのためには、トレーサビリティも含めた十分な内部精度管理が定期的に行われることが必要である。トレーサビリティ:健診判定値について、測定の基準となる標準物質あるいは基準となる測定方法の結果に合わせられることである。• 外部精度管理

– 現在実施されている外部精度管理事業(日本医師会、日本臨床検査技師会、全国労働衛生団体連合会など)を少なくとも一つは定期的に受け、検査値の精度が保証された結果であることが必要である。

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会トレーサビリティと測定値の不確かさ及び精度管理

認証標準物質の不確かさ

キットのキャリブレータの不確かさ日常検査法による測定値の不確かさ

医療・健診機関における許容幅

製造業者社内標準物質の不確かさ

外部精度評価による監視

内部精度管理による維持 ・管理限界( CL )の設定

標準物質生産者

検査室医療機関健診機関

試薬製造業者

第三者機関精密さ (CVA%)かたより( BA

%)}

トレーサビリティ

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会製造販売会社がキャリブレータに値付けする方法1. 常用参照標準物質( RS) から直接値付けする方法

• RS は認証値とほぼ同じ値に測定される。2. 社内標準物質を介する方法

• 標準物質の測定値は、認証値とずれが生ずる。( JCCLS CRM-001 の AMY と同様)

JCCLS  標準的な健診・保健指導プログラムにおける血液検査8項目のトレーサビリティに関する指針(第1版)

社内標準測定法の詳細が必要な場合は、製造販売会社(販売会社)に問い合わせする。

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

RS の値付けの方法

日常検査法

RS の値付けの方法日常検査法

RS の値付けの方法

社内SOP

社内 SOP

日常検査法

常用参照標準物質ヒト血清

社内標準物質

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会メーカーがキャリブレータに不確かさを付ける方法

• 不確かさの基本実験方法(指針: p×q×r回測定)1. 15 日間 ×2 バイアル×2重測定= 5 日間( 1 日 3回) ×2 バイアル×2重測定

2. 標準物質でキャリブレーションし 60回のデータを取る。標準物質 15 本→ 5 本

• HbA1c (桑 克彦:糖尿病検査の標準化,検査と技術 35 : 749-756 、 2007 )

1. JDS 校正のキャリブレータの設定2. キャリブレータ検量で、 HbA1c測定用標準物質を測定

認証値に対して測定値をプロット 直線回帰分析

3. 性能評価試験: 1 項または 2 項を実施① 実試料の測定

表示値( JDS 校正 KO500 法値)に対して測定値をプロット 直線回帰分析

② 性能評価用試料の測定 単日反復測定あるいは連日反復測定

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

表示値および不確かさが必要な試料認証標準物質認証標準物質

日常試料(健診者血清)日常試料(健診者血清)内部精度管理試料(内部精度管理試料( PSPS 、管理血、管理血清)清)

管理物質(メーカー指定管理血管理物質(メーカー指定管理血清)清)検量用試料(キャリブレータ)検量用試料(キャリブレータ)

認証機関認証機関

メーカメーカーー

ユーザーユーザーメーカーがバリデーションを実施

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

不確かさ推定の実験系と使用ソフトの例1日当たり 測定の試料数 回数

①キャリブレータ不確かさ計算v4-20.XLS③日常検査の不確かさ計算v4-20.XLS②初回校正不確かさ

v4-20.XLS計算:④初回校正日常検査不確かさ

v4-20.XLS計算:精度管理 基本的に ⑤内部精度管理日常不確

試料データ 毎日 v4-20.XLSかさ計算:

不確かさ推定の実験系と使用ソフト

40日 1本 2

メーカー

検査室

メーカー

検査室

検査室

15日

15日

2本 2

2本 2

基本形

初回検量

毎日

初回のみ

使用者 ソフト名実験条件例

タイプ 検量 日数

http://www.jccls.org/active/calculation_soft.html

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

検査室のバリデーション方法(精密さ)・併行精度(同時再現性)・再現精度(日差再現性)・実試料による測定値の精密さ(ランダマイズ 2回測定) 

JCCLS  標準的な健診・保健指導プログラムにおける血液検査8項目のトレーサビリティに関する指針(第1版)

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

検査室のバリデーション方法(精確さ)・常用参照標準物質( RS:Reference Standard )から直接値付けする方法

   RS を測定し確認。  →測定値は、認証値とほぼ同じ値にでる。 ・社内標準物質を介する方法  メーカー指定の管理物質(表示値と不確かさ付)

で確認する。   → RS の測定値は、認証値と一致しない。   

   

JCCLS  標準的な健診・保健指導プログラムにおける血液検査8項目のトレーサビリティに関する指針(第1版)

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会わが国における許容誤差限界(1)

項目 CVA(%) BA(%)TG 14.8 15.4

HDL-C 4.2 6.0LDL-C 4.6 6.9AST 7.6 7.1ALT 11.1 12.4γ-GT 8.2 12.8GLU 2.9 2.3

CVA :施設内精度で個体内生理的変動の CV(CV1) の 1/2以下               CVA< 1/2 ×CV1BA   :かたよりで個体内生理的変動の CV(CV1) と個体間生理的変動のCV(CVG) の    それぞれの 2乗和の平方根の 1/4以下               BA  < 1/4 × ( CVG

2 + CV12 ) 1/2

臨床化学 35:144,2006

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

わが国における許容誤差限界(2): HbA1c(HbA1cの単位:%値)

試料 連日反復測定における不確かさの評価基準

標準不確かさ 拡張不確かさ(k=2) 標準不確かさ 拡張不確かさ(k=2)

認証値 標準不確かさ HbA1c% 相対値 HbA1c% 相対値 HbA1c% 相対値 HbA1c% 相対値

S-1 4.54 0.03 0.15 3.2 0.30 6.4 0.12 2.6 0.25 5.2

S-2 5.27 0.03 0.12 2.3 0.24 4.6 0.09 1.8 0.18 3.5

S-3 6.96 0.04 0.20 2.8 0.40 5.6 0.16 2.2 0.32 4.4

S-4 9.24 0.05 0.26 2.8 0.53 5.5 0.21 2.2 0.43 4.5

S-5 11.58 0.07 0.37 3.3 0.75 6.7 0.32 2.9 0.64 5.8

JCCLS CRM-004a 単日反復測定における不確かさの評価基準

・桑 克彦: HbA1c 測定の総合的な不確かさの評価の手順と基準 ( URL : http://www.jccls.org/active/standard/hba1c_4.pdf )・日本臨床化学会糖尿病関連指標専門委員会: HbA1c 測定の信頼性確保のための指針. 臨床化学 37 : 68-74, 2008

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

まとめ特定健康診査血液項目の標準化方法(メーカー)• 標準物質による標準化•厚労省告示の較正物質を用いること。• 外部機関標準物質公表制度で公開された常用参照標準物質を用いる。• キャリブレータに不確かさを付ける。• ユーザーが精確さを確認する為の「管理物質(不確かさ付)」を用意する

社団法人 日本臨床検査薬協会 技術委員会

まとめ特定健康診査血液項目の標準化方法(検査機関)• メーカーによりバリデーションされた測定手順により、表示値に不確かさがついたキャリブレータで校正された測定値は、トレーサビリティがとれた値となる。• 不確かさを有する管理物質を用いて、測定値の不確かさを推定することができる。• 精確さを常用参照標準物質で確認できるのはこれで直接値付けられた試薬キットのみで、これ以外はメーカーによる精確さの確認用試料を用いて確認する。(メーカーに確認)