canaan-jpcreated date 11/14/2017 3:08:48 pm

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1 8 TSK123 No.123 発行日/2017年11月15日 編集/社会福祉法人カナンの園 〒028-5133 岩手県二戸郡一戸町 中山字大塚4番地7 TEL 0195(36)1026 FAX 0195(36)1027 ホームページ http://www.canaan-jp.net/ E-mail/[email protected] カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号 カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号 本誌は再生紙を使用しています。 ●機関誌「カナンの園」では、読者さまからのもおちしております。機関誌カナンのするご意見、感想、事務局までおさい●お知らせ シュトーレン まったこの時期、恒例 となりましたシュトーレンの仕込みをしています今年はここ 数年原材料高騰影響 もあって、価格改定をせざるをない状況 となりましたどうぞご理解下さい。仕込んでから熟成時間をかけるため、今年 数量限定なくなり 次第終了 となります用命はお早目 にご注文します改定価格 2,300円★ わせカナン牧場 〒028-5134  岩手県二戸郡一戸町 奥中山字西田子1027-8 TEL 0195-35-3505 FAX 0195-35-3145 あとがき 今年もまた使者、白鳥れをかけるよう になり 、我機関誌にはシュトーレンのご案内せる季節となりましたカレンダーや時計れとは一味違“時じられるも のがりにくあるのはせなことかもしれませ 10月20日学校法人カナン学園三愛学舎創立40周年記念礼拝感謝会たれ、多くのじってそれぞれにかけがえのない学生生活 ごしたくの卒業生母校ねてくれましたまさしく 一人ひとりにとっての“大切時”であった 同時それぞれがつながり 、絡そして40年 歴史 という “時” 形作ることにも不可欠であった ことを感謝しながら成長したらの姿をみていましたカナンの年計画となる第7次将来像 計画策定中です。時、時区切 りをつけな がらも そのにどんなふうに利用する一人ひとりの 人生“時”ねられるかけながらの 作業です(佐藤真名) 薪切りやのお世話仕事山本勝さんこれらの作業のほかに、健康維持のため毎日約2.8キロのウォーキングはかせませ 。皆をリードし、楽しそうにいていますまた、動物好きのさんは、作業場ているとも仲良。飛りの笑顔写真れましたこれからも健康られたくさんの笑顔でみんなをんでくださいS cope & S pot 調77 退45 姿奥中山地域運動会にカナンの若手チームが参加。 どものスヌーズレンにてカナンの園法人本部  〒028-5133 岩手県二戸郡一戸町中山 字大塚4番地7 TEL 0195(36)1026 FAX 0195(36)1027 郵便振替 02330-6-6631 ホームページ http://www.canaan-jp.net/ E-mail/[email protected] 社会福祉法人カナンの園 福祉型障害児入所施設 奥中山学園 ☎0195-35-2314 FAX 0195-35-3406 多機能型事業所 ゆいまぁる ☎0195-35-2314 FAX 0195-35-3406 生活介護事業所 小さき群の里 ☎0195-35-3080 FAX 0195-35-3080 共同生活援助事業所 ののさわ (グループホーム1~6) ☎0195-35-2232 FAX 0195-35-3405 生活介護事業所 ヒソプ工房 ☎019-646-8581 FAX 019-646-8582 共同生活援助事業所 HANA (盛岡地区グループホーム1~6) ☎019-646-8581 FAX 019-646-8582 特定相談支援事業所 らぽーる ☎019-656-6863 FAX 019-656-0553 生活介護事業所 シャローム ☎0195-35-2883 FAX 0195-35-2884 就労継続支援B型事業所 ウィズ ☎0195-36-1120 FAX 0195-36-1121 多機能型事業所 福祉工場カナン牧場 ☎0195-35-2583 FAX 0195-35-3145 共同生活援助事業所 美空 (グループホーム1~10) ☎0195-35-3844 FAX 0195-35-3840 居宅介護事業所 れもん ☎0195-35-3844 FAX 0195-35-3840 障害児相談・特定相談支援事業所 むつび ☎0195-35-3665 FAX 0195-35-3840 多機能型事業所 となんカナン ☎019-681-3004 FAX 019-637-2601 カナン市場(カナンの園商品一括取扱所) ☎019-639-3120 FAX 019-637-2601 学校法人カナン学園 三愛学舎(特別支援学校高等部・知的) ☎0195-35-2231 FAX 0195-35-2781 グループホームで隣近所ってバーベキュー

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    編集者 社会福祉法人カナンの園 

        〒〇二八│五一三三 岩手県二戸郡一戸町中山字大塚四番地七 ☎〇一九五│三六│一〇二六

    発行所 東北障害者団体定期刊行物協会(略称TSK) 

        〒九八一│〇九〇七 宮城県仙台市青葉区高松一丁目四│一〇 頒価百円

    123

    No.123発行日/2017年11月15日編集/社会福祉法人カナンの園〒028-5133 岩手県二戸郡一戸町中山字大塚4番地7TEL 0195(36)1026FAX 0195(36)1027ホームページhttp://www.canaan-jp.net/E-mail/[email protected]

    カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号 カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号

    本誌は再生紙を使用しています。

    ●機関誌「カナンの園」では、読者の皆さまからの声もお待ちしております。機関誌カナンの園に対するご意見、ご感想を、事務局までお寄せ下さい。

    ●お知らせ

    シュトーレン 秋が深まったこの時期、恒例となりましたシュトーレンの仕込みをしています。今年はここ数年の原材料高騰の影響もあって、価格の改定をせざるを得ない状況となりました。どうぞご理解下さい。仕込んでから熟成に時間をかけるため、今年も数量限定で、なくなり次第終了となります。ご用命の方はお早目にご注文お願いします。

    ★改定価格 2,300円★

    ●お問い合わせ先カナン牧場〒028-5134 岩手県二戸郡一戸町奥中山字西田子1027-8TEL 0195-35-3505FAX 0195-35-3145

    あとがき

     今年もまた冬の使者、白鳥の群れを見かけるようになり、我が機関誌にはシュトーレンのご案内を載せる季節となりました。カレンダーや時計の刻む時間の流れとは一味違う“時の流れ”を感じられるものが身の回りに多くあるのは幸せなことかもしれません。 去る10月20日に学校法人カナン学園三愛学舎の創立40周年記念礼拝と感謝会が持たれ、多くの来賓に交じって、それぞれにかけがえのない学生生活を過ごした多くの卒業生が母校を訪ねてくれました。まさしく一人ひとりにとっての“大切な時”であったと同時に、それぞれがつながり、絡み、そして40年の歴史という“時”を形作ることにも不可欠であったことを感謝しながら成長した彼らの姿をみていました。 カナンの園は次の5ヶ年計画となる第7次将来像計画を策定中です。時を刻み、時に区切りをつけながらも、その中にどんなふうに利用する一人ひとりの人生の“時”を重ねられるか、を問い続けながらの作業です。 (佐藤真名)

     薪切りや豚のお世話が仕事の山本勝さん。これらの作業のほかに、健康維持のため、毎日約2.8キロのウォーキングは欠かせません。皆をリードし、楽しそうに歩いています。 また、動物好きの勝さんは、作業場に来ている猫とも大の仲良し。飛び切りの笑顔の写真が撮れました。これからも健康が守られ、たくさんの笑顔でみんなを包んでください。

    Scope&

    Spot

     

    奥中山生活支援部は、グループホーム

    をはじめ、地域の居住支援の担い手とし

    て、児童から高齢者まで包括的に事業を

    展開している。この間、福祉制度はめま

    ぐるしく変化し、障がい者の権利に関す

    る法律も制定されてきた。

     

    2016年4月に施行された障害者差

    別解消法では「合理的配慮」を求められ

    ている。しかし今年9月の調査では、国

    民の8割が「世の中には障がいがある人

    に対して差別や偏見がある」と思ってい

    ることが明らかになり、同法を知らない

    人は77・2%にのぼる、という。障がい

    があろうとなかろうと、あるいは障がい

    者が身近に居ようと居まいと、障がいを

    自分の身近なことと捉え、一人ひとりの

    内面から湧き起ってくる気持ち、すなわ

    ち内発的なモチベーションに繋がっていか

    なければ、どんなに法律が整備されてい

    っても機能していかないのではないかと思

    それぞれの地域での﹁福祉の地産地消﹂をめざして

    奥中山生活支援部部長

    兼生活支援センター長

    山舘憲行

    う。

     

    草創期の職員や退職した職員から「利

    用者の方は、いつでも変わらなく、分け

    隔てなく接してくれて救われた思いがす

    る」と利用者への感謝の気持ちを聞いた

    ことがある。同じことを地域の方からも

    耳にすることがあり、大変うれしかった

    ことを覚えている。福祉の仕事は利用者

    から学ぶことが多いのである。

     

    カナンの園が始まって今年で45年。こ

    こ奥中山地区はカナンの園や他の福祉施

    設が集まっており〝合理的配慮〞が地域

    をあげて自然に行われている。奥中山に

    見学などで訪れる福祉関係者からは、「奥

    中山地区だからできている」と評価され

    ることが多い。奥中山の小中学校ではい

    わゆる「心のバリアフリー教育」がなさ

    れ、職員の中には、この地の出身で利用

    者と共に学齢期を過ごした人たちもいる。

    またカナンの職員がこの地域に世帯を構

    え、本人や家族が地域の担い手として消

    防団やPTA、スポーツ少年団等で活躍

    している姿は喜ばしい。

     

    奥中山地区が特別ではない。福祉の手

    を必要とする人たちが、それぞれの生ま

    れ育った地域で、その必要が満たされる

    ような地域づくりが求められている。そ

    れぞれの市町村で、住民一人ひとり、事

    業者それぞれが、「我が事」としてこのこ

    とを受け留め「丸ごと」地域で支えてい

    く。このことに

    積極的に参画

    し、実現させて

    いくことが、カ

    ナンの園の理念

    を具現化してい

    くことに繋がっ

    ていくのだと思

    う。

    奥中山地域の運動会にカナンの園の若手チームが参加。子どもの森スヌーズレンにて。

    カナンの園法人本部 

    〒028-5133岩手県二戸郡一戸町中山字大塚4番地7TEL 0195(36)1026FAX 0195(36)1027郵便振替 02330-6-6631ホームページhttp://www.canaan-jp.net/E-mail/[email protected]

     社会福祉法人カナンの園

    福祉型障害児入所施設 奥中山学園☎0195-35-2314 FAX 0195-35-3406多機能型事業所 ゆいまぁる☎0195-35-2314 FAX 0195-35-3406生活介護事業所 小さき群の里☎0195-35-3080 FAX 0195-35-3080共同生活援助事業所 ののさわ

    (グループホーム1~6)☎0195-35-2232 FAX 0195-35-3405生活介護事業所 ヒソプ工房☎019-646-8581 FAX 019-646-8582共同生活援助事業所 HANA

    (盛岡地区グループホーム1~6)☎019-646-8581 FAX 019-646-8582特定相談支援事業所 らぽーる☎019-656-6863 FAX 019-656-0553生活介護事業所 シャローム☎0195-35-2883 FAX 0195-35-2884

    就労継続支援B型事業所 ウィズ☎0195-36-1120 FAX 0195-36-1121多機能型事業所 福祉工場カナン牧場☎0195-35-2583 FAX 0195-35-3145共同生活援助事業所 美空

    (グループホーム1~10)☎0195-35-3844 FAX 0195-35-3840居宅介護事業所 れもん☎0195-35-3844 FAX 0195-35-3840障害児相談・特定相談支援事業所 むつび☎0195-35-3665 FAX 0195-35-3840多機能型事業所 となんカナン☎019-681-3004 FAX 019-637-2601カナン市場(カナンの園商品一括取扱所)☎019-639-3120 FAX 019-637-2601

     学校法人カナン学園

    三愛学舎(特別支援学校高等部・知的)☎0195-35-2231 FAX 0195-35-2781

    グループホームで隣近所を誘ってバーベキュー。

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    カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号

    ■地域に愛される

    施設を目指して

     

    私は開所2年目よりヒソプ工房で働か

    せて頂きましたが、利用者一人ひとりの

    これまでの話(ライフヒストリー)をご家

    族から伺うなかで「自分に何ができるの

    だろう?」と悩み、私自身の関わりがそ

    の方の人生を大きく左右するかもしれな

    い責任の重さを感じたことを覚えていま

    す。

     

    開所当初より障がいの程度に関係なく

    「働く」ことを大切にしてきました。てん

    かん発作や片腕麻痺の方が関われる作業

    を考え青果物の袋詰めがスタートしたこ

    と、旅行経験がなく海を一度も見たこと

    がない方の声で年一回の海旅行(施設旅

    行)がスタートしたこと、ご家族のレスパ

    特集地

    域に育まれ25年││

    ヒソプ工房のこれまでの

    歩みを振り返って

    利用者の皆さんであった。町内のゴミ拾

    いしてくれたり、通所途中での挨拶や、

    毎年開催されるヒソプ工房カナン祭での

    歌や踊りは、むしろ地域の人たちにとっ

    て誰よりも親近感があり、信頼を持てる

    関係として受け入れられるようになった。

     

    今では、ヒソプ工房のある大館町なん

    だと自負できる街、利用者の皆さんに恥

    じないような町内会になろうと思ってい

    る。ヒソプ工房さん、大館町に来てくれ

    てありがとう。

         (大館町町内会長 

    細川光正)

    ■親子一緒に年を重ねて

     

    主人の故長岡光男は、ヒソプ工房保護

    者会初代会長を務めました。息子は、開

    所直前まで、奥中山学園から三愛学舎に

    通っていました。盛岡に同じカナンの園の

    作業所ができるということで、希望して

    入ることができました。

     

    ヒソプ工房での仕事は、子どもたちも

    開所当初の作業の様子。保護者がボランティアで参加。

    現在の菓子製造班の様子。人気商品のプレッツェルを作製中。

    毎年9月に開かれるヒソプ工房カナン祭。写真は地元大新太鼓グループによるさんさ踊り。

    1992年4月ヒソプ工房入所式(写真中央、猪苗代正憲初代施設長)。

    “ヒソプ”は、ヨーロッパ地中海沿岸に生えているハーブで、揉まれる

    と良い香りを放ちます。命名者の猪苗代正憲初代施設長の「障がいの

    ある人が困難に耐えながらも、まわりの人たちに良い香りを放ちなが

    ら、いろんな仕事に挑戦して自信を持って生きていって欲しい」という

    願いが込められています。これまでヒソプ工房25年の歩みを支えてき

    た方々の想い、ヒソプ工房の想いを感じて頂けたらと思います。

    やったことのないものばかりで、子どもた

    ちの個性もまだ分からない中、果たして

    仕事になるのか、職員の方々も手探りだ

    ったと思います。そこで、保護者を中心

    に作業ボランティアを作り、一緒になって

    野菜の袋詰めをしたり、クッキーをこね

    たり、私たちも無我夢中でした。

     

    多くの楽しい出来事もありました。施

    設旅行では、つなぎ温泉や宮古の浄土ヶ

    浜、一戸町の西岳にも登りました。特に

    登山では、山野草に詳しい猪苗代先生が

    途中色々な話をしてくださり、登山の後

    は、芋煮を楽しんだのを覚えています。

     

    これからも助け合いながら、親子一緒

    にヒソプ工房と年を重ねていければと思

    っています。

        (ヒソプ工房保護者 

    長岡徳康)

    ■大館町の一員として

     

    25年前、通所の場はほとんど整備され

    ていない時代でした。私は、県庁で施設

    整備を担当しており、カナンの園から養

    護学校教育を修了した若者の働く場、日

    中活動の場を是非整備したいとのお話を

    伺い、何とか実現したいと種々相談にの

    りました。建設地が課題の一つでしたが、

    盛岡市から現在地を借り受けることで解

    決しました。具体的な整備計画を伺い、

    県として地域の皆様に説明して同意を得

    ることなどを条件に補助金の予算化作業

    を進めました。幸い、町内会役員のみな

    ■地域に育まれて25年

     

    1992(平成4)年4月ヒソプ工房

    は知的障害者通所授産施設として盛岡

    市大館町に産声をあげました。当時は、

    障がいのある子の中・高等部卒業後の行

    き場がなく、親の会が手弁当で「作業所」

    をつくり受け皿を確保している状況でし

    た。 

     

    福祉施設づくりは簡単ではありません。

    NIMBY

    (ニンビー)という言葉がありま

    す。〝N

    ot In My Back Y

    ard

    〞(我が家の

    裏には御免)の略語で、「施設の必要性

    は認めるが、自らの居住地域には建てな

    いでくれ」と主張する住民たちに阻まれ

    る事案は各地にあります。神奈川県津久

    井やまゆり園の事件では、元職員の容疑

    者が「世の中のためにやった」と言い19

    人の尊い命が失われました。怖いのはこ

    の容疑者の思想を讃える動きがネットで

    あったことです。マイナスの本音を礼賛す

    る社会は怖いです。何故なら排除するラ

    れるということです。そして、しっかりと

    受け入れて頂いている大館町の住民の皆

    様に感謝申し上げます。誰でも分け隔て

    なく住みやすい地域社会を、これからも

    皆様と共に目指していきたいと願います。

      (盛岡支援部部長兼ヒソプ工房事業

      

    所長 

    阿部孝司)

    ■25周年を祝して

     

    25周年、おめでとうございます。

     

    開設の前年、大館町に「キリスト教会

    が障がい者の施設を作るそうだ」と会報

    が回った。説明会も開かれた。「なんで、

    山里でなく大館町なのか」「危害を受け

    ないか」「キリスト教を宣伝するのではな

    いか」などの声も聞かれた。私は当時、

    大館町町内会の文化部長であった。初代

    猪苗代正憲施設長は、穏やかで笑顔の絶

    えない人であった。地域の人たちの不安

    の声に優しく応え、懸念を払拭してくれ

    た。そのことに、確信を与えてくれたのは、

    らず住民の皆さんも説明会に参加して頂

    き、地元の了解と歓迎があって、ヒソプ

    工房は完成しスタートしました。

     

    その後の歩みについては、改めて述べる

    必要はありません。ヒソプ工房は大館町

    の一員として着実に進んでいます。障がい

    のある方々の通所の場を身近な地域に作

    っていくという流れを作り出す、素晴ら

    しいモデルとなったことは間違いありませ

    ん。

     

    大館町全体も高齢化している中、四半

    世紀という一つの区切りを越えたヒソプ工

    房が、これから何を積み重ねるのか楽し

    みです。私も、町内に住む一員として、

    陰ながらエールを送り続けます。

       (カナンの園評議員 

    赤羽卓朗)

    イトケアから発展し本人の余暇活動が広

    がり「ほっこ」(その後地域活動支援セン

    ターⅡ型として事業化)が誕生したこと、

    病気のご家族がわが子の将来を案じてグ

    ループホーム事業が立ち上がったことなど、

    利用者、ご家族の想いに応えようと、職

    員だけでなく関係者全員で考え動いたよ

    うに思います。

     

    必要に応じ今できることを増やしてい

    った結果が、現在のヒソプ工房の事業展

    開につながっていますが、利用者、ご家

    族の想いが発端にあるからこそ、単なる

    サービスでなく奥行きのある支援につな

    がっているのだと思います。今後も利用

    されている一人ひとりに寄り添い、地域と

    共に歩むヒソプ工房であって欲しいと願っ

    ています。

        (ののさわ事業所長 

    浅沼俊一)

    インが障がい者だけでなく、社会的弱者

    や高齢者などいかようにも変化するから

    です。宮沢賢治さんは「世界全体が幸福

    にならないうちは、個人の幸福はありえ

    ない」と言いました。住民一人ひとりが「そ

    のままの命を受け止め、自分らしく生き

    ていける社会をつくること」。ヒソプ工房

    が大館町に存在する意義は、障がいのあ

    る彼らがそのことを気づかせ発信してく

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    カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号

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     「職員がこえぇ(怖い)からじゃねえか」

    「これがあたりまえだよ」「何のことかわ

    かんねぇからな」…。全て、小さき群の

    里やののさわ事業所(以下「里」)の利用

    者(以下「彼ら」)の親御さんなどから

    発せられた言葉である。

     

    私がカナンの園と出合ったのは1995

    年5月、福祉という意味すら分からず、

    なんとなく働き始めたというのが正直な

    ところであった。それでも、私が今もこ

    うして働いていられるのは、彼らやその

    ことはなんと傲慢だったことか、と思う。

     

    年末やお盆が近づき私たちが着替えの

    用意をすると自らカバンを用意するDさ

    んや、自分を丸ごと受け止めてくれるご

    家族のもとに喜びを爆発させながら帰宅

    していくEさん。父親の棺を前に、一生懸

    命語り掛けて自分の存在を気付かせよう

    とし、そして、反応がないと目に涙をた

    めて受けとめようとするFさん…。彼ら

    は私たちが思うよりもはるかに物事を理

    解しており、人の気持ちを汲み取る力が

    あることに感動させられる。

     

    親御さんたちから投げ掛けられる言葉

    一つひとつが、全て私たちに「うちの子

    どものことをわかっているのか」との問い

    かけではないか。そして私は彼らのこと

    を理解してはいない。そんなことを悩み、

    教えられた大切な時期でもあった。

     

    その後、私の業務内容の変化や体制の

    変化などで、一つの敷地内にいても彼ら

    と過ごす時間はほとんどなくなっていき、

    さらに暫くして、私は異動となった。行

    事などで彼らと顔を合わせる時以外、日

    常的に会う機会はますます減っていった

    が、会えばいつでも変わらずに話しかけ

    てくれ、握手を求めてくれる。仕事など

    での悩みや不満があっても、彼らはいつ

    もと変わらず声を掛けてくれる。彼らと

    離れて初めて、彼らを理解しきれていな

    い私を、丸ごと受け止めてくれる彼らが

    いることに気が付いた。

     

    1年前に亡くなった親御さんが亡くな

    る直前に「Gのことは心配していない」

    と話してくださった。それは、Gさん自

    身や関わってきた先輩職員の努力、そし

    て利用する方々の存在そのものを丸ごと

    受け止めてくださる奥中山という地域で

    の様子を肌で感じてきたから出てきた言

    葉だろう。「この子のおかげで自分は成長

    させて貰った」と話される親御さんも多

    い。私自身の里に来てから現在までの20

    数年間も、彼らだけではなく親御さんの

    お陰で少しは成長することができたので

    はないか。

     

    彼らやその親御さんから「心配してい

    ないよ」、私たちは「心配しなくていいで

    すよ」と語り合えるように、彼らやその

    親御さんの声に耳を傾けながら互いに人

    生を歩んでいければと思っている。

    事務局主任

    笹森雅弘

    ぎを担当職員に代わって私がすることに

    なった。Aさんが里で担っている役割や業

    務を、私なりにAさんの努力を伝えるつ

    もりで話したが、親御さんからは「Aは

    職員がこえぇからやっているだけじゃねぇ

    か? 

    家ではそうでねぇから」と。また、

    ある時は、カナン祭の開始前に興奮気味

    のBさんを目の前にして、親御さんから

    「Bは家ではこれが普通だよ、静かにし

    ている方が普通じゃないよ」と言われた。

    そして、年金喪失事件の時には「Cはお

    ご家族からの言葉に何かを感じ続けてき

    たからだと思う。

     

    私は事務職員として里の配属となり、

    一週間に一度ホームへの宿直や、2カ月に一

    度程度の頻度で半日の作業など、支援職

    員の補助として彼らと接していた。担当

    職員の配慮もあり、私自身も彼らを少し

    ではあるが理解したように思える時期の

    出来事だった。

     

    ある時、Aさんが帰宅する際の引き継

    うちの子は⋮心配しないで⋮

    金の使い方も分からないから…、でも人

    の金を使ったのはよくないことじゃないの

    か」との重い言葉。私たち職員は一人ひ

    とりが彼らの前に立つ者として、根本を

    問われたことを今でも鮮明に覚えている。

     

    今思えば、彼らの里での生活、さらに

    その一部分しか見ていない私が、全てをわ

    かっている親御さんに対して、「Aさんの

    生活能力は高いですよ」「Bさんは落ち

    着いて皆と行動できますよ」などと話す

     

    戦後、奥中山の開拓に入られた開拓団

    副団長の野澤さんの遺志により、野澤家

    がカナンの園に土地を寄贈して下さった

    のが1975年。小さき群の里が入所施

    設として建てられ、完成したのが、

    1980年3月です。当時、奥中山学園

    のハウスキーパーでみんなのお母さんと呼

    ばれた野澤タツミさんが、自宅闘病の中

    で完成した小さき群の里の建物をご自分

    の足で歩いて見届けられた後、天に召さ

    れました。野澤家のカナンの園への、そし

    てカナンの園につながる一人ひとりへの思

    いを受けとめる時として持つ野澤タツミ

    姉召天記念礼拝は、その後小さき群の里

    の大切な記念礼拝の一つとして守り続け

    ています。

     

    入所施設として多くの利用者が巣立ち、

    37年間の役割を終えた建物は老朽化し、

    全面的に建て替えることにしました。十

    分な準備を経て、去る8月4日、新施設

    工事の定礎式を行いました。司式を野澤

    家の長男でもあり、日本基督教団要町教

    会の野澤満雄師にお願いし、「礎はキリス

    ト」との題でメッセージをいただきました。

     

    定礎は及川理事長、設計を担当された

    ㈱アトリエトドの松井建築士、施工業者

    先達の思いを繋いで

    晴天の下行われた定礎式。

    敷地内を流れる沢の石と聖書を定礎の標としました。

    中嶋副所長と一緒に定礎にのぞむ池田一明さん。

    歳時譜

    である㈱高光建設の佐藤社長、そして利

    用者代表の池田一明さんが行い、かつて野

    澤家が開拓した地を流れる大荒目沢の石

    と聖書を定礎の標としました。式には地

    元一戸町の稲葉暉町長はじめ、カナンの

    園の運営をお支えいただいている多くの

    関係者や、利用者・職員など、約100

    名がご列席くださいました。

     

    列席者の中には、タツミお母さんのあ

    と、祈りのお母さんとしてずっとカナンの

    園を見守り続けてくださっている野澤恵

    美さんもおられ、元の施設が解体され寂

    しくなった場所に新しい施設ができるの

    を本当に楽しみだ、と感無量といったお

    顔でお話しされていました。

     「神さまからの約束の地‘カナン’に」

    と土地を寄附していただいてから42年。

    長くカナンの園を利用し、高齢化が進む

    なかで、心も体も安心して過ごすことが

    できる施設として、あるいは地域の方々

    にも使っていただけるような機能を備え

    た施設として、多機能型事業所小さき群

    の里が来年3月の完成を目指して工事が

    進んでいます。

     

    最後にこの場をお借りして、これまで

    のお祈りと、建て替えのためのご寄付な

    どに感謝を申し上げると共に、目標額に

    まだ達していないこともあって、更なるご

    支援をお願いいたします。

     

    これから厳しい冬を乗り越え、工事が

    無事完了し、竣工の時を迎えられるよう

    に、皆さまのお祈りをお願いいたします。

      (小さき群の里事業所長 

    藤村正治)

  • 7 6

    カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号 カナンの園123号 1994年2月28日第三種郵便認可(毎月1回15日発行) 2017年11月15日発行 TSK通巻第1934号

      

       ■研修旅行について

     

    今年度、初めての従業員・職員合

    同の研修旅行で、青森県にある社会

    福祉法人義栄会「月見野作業所」・

    「夢香房すてっぷ」を見学させて頂き

    ました。事前に資料が配布され、見

    たい所や質問を考えて研修に参加し、

    「夢香房すてっぷ」では可愛いパンな

    どを20種類以上作っていて、従業員

    だけで仕込から焼くところまで行っ

    ていることにはビックリしました。自

    治会活動では自分たちに関係するこ

    とは自分たちで決めようとしている

    所は、私たちのエピの会と同じだと

    思いました。今回、B型事業所の見

    み ん な の カ ナ ン

    響もあり、午後の予定から急遽、午

    前へ前倒しして行うことにしました。

     

    初めてカフェを利用する子どもた

    ちにとって、期待に胸を膨らませる

    中での余暇活動です。

     「いらっしゃいませ」と穏やかな笑

    顔で迎えていただいた店内は、柔ら

    かい陽射しが溢れる中、何種類もの

    スイーツや手づくり製品がきれいに

    陳列され、心地良さが伝わってきま

    した。

     

    元気な子どもたちは、メニューの

    中からお好みのジュースやケーキを

    選び、普段とはひと味違う雰囲気の

    中、少し緊張しながらもアッという

    間にお腹に入れてしまいました。お

    財布の中には500円。苦戦しなが

    らも各々でお代を支払い、お土産ま

    で買うことができた大満足のひと時

    でした。幸い、台風も遠のき、素敵

    な夏休みの思い出となりました。

     「Café 

    おーでんせ」の皆様、お

    世話になりました。

      (いるかディ中屋敷児童発達支援

      管理責任者 

    小川雅子)

    ■共に食べることは

    共に生きること

     

    本科では、毎日の調理実習でクラ

    スの昼食を作ります。献立・買い物・

    調理と連続した学習は教育の柱とな

    る授業です。今年度、本校は創立40

    従業員・職員が一緒に説明を聞きました(右から3人目が浅沼さん)。

    ステキなカフェで食べるスイーツは格別!

    今日のメニューは回鍋肉。

    夏休み前に子どもたちとバーベキューをしました(左が久保真里子さん)。

    せんべいは個包装となっており、お土産にピッタリ。

    学でしたが、次回はA型事業所を自

    分たちで決めて見学したいなぁと思

    いました。また、1日目に見た浅虫

    水族館での迫力あるイルカのショー

    は楽しかったです。宿泊は、浅虫温

    泉のホテルに泊まり、職員と部屋で

    将来のことなど話すことができて、

    楽しい夜を過ごすことができました。

        (カナン牧場エピの会役員

        

    浅沼良子)

    ■「Café

     おーでんせ」

    でのひと時…

     

    8月9日(水曜日)、「Café 

    おー

    でんせ」への訪問を、台風5号の影

    周年を迎えますが、この授業は創立

    時から変わらずに継承されています。

     

    調理を通して知識や技術を身に付

    けることも大切ですが、クラスメイ

    トが「美味しかったよ!」「また食べ

    たいな!」と自然に声を掛け合って

    いる姿を見ると、とても嬉しくなり

    ます。また、学校で作ったレシピを

    持ち帰り、自宅でも作り家族に喜ば

    れることもあります。喜ばれること、

    感謝されることは意欲につながると

    実感します。

     

    今日も生徒、職員が奮闘しながら

    愛情を込めて調理をし、クラスのみ

    んなで感謝をして食事をする日常の

    営みがあります。

        (三愛学舎副校長 

    岩崎崇)

    ■厨房から40年。

    学園の子どもたちの「食」の

    楽しみを支え続けた思い

     

    奥中山学園で40年間、子どもた

    ちの「食」を支えて下さっている久

    保真里子さんにお話を伺いました。

    ▼40年間、厨房に立ち続けている思

    いとは?

    久保││以前、栄養士として働かれ

    ていた北村さんの想いを受け継いで

    いるかは分かりませんが、厨房に立

    ち続けたいと思ってきました。

    ▼思い出に残っていることは?

    久保││子どもたちとたわいもない

    話をしたことです。

    ▼学園を建て替えてから変化したこ

    とは?

    久保││月2回、寮に食事作りに入

    るようになったことで、子どもたち

    と触れ合える大切な時間を持てるよ

    うになったことです。

    ▼食事作りで大切にされてきたこと

    は?

    久保││家庭的な食事を、と思い

    日々作っています。

    ▼「食」を通して子どもたちに伝え

    たいことや願いについて教えてくださ

    い。

    久保││毎日、美味しく食事が食

    べられることは健康な証です。

    ■「11ぴきのねこ」

    せんべい登場‼

     

    皆さんは、絵本「11ぴきのねこ」

    シリーズ(こぐま社)の作者、馬場

    のぼるさんが青森県三戸町出身であ

    ることをご存知でしたでしょうか。

     

    この度、ご縁があってシャロームで

    「11ぴきのねこせんべい」を製造・販

    売することになりました。9月30日

    より「道の駅さんのへ」で、新しい

    お土産品として販売を開始していま

    す。ねこの焼き印2種類を押したク

    ッキータイプのおせんべいが「11ぴ

    きのねこ」にちなんで11枚、手提げ

    バック風の紙箱に、入っています。か

    わいらしいお土産品の製造に日々奮

    闘しているシャロームです。ぜひ「道

    の駅さんのへ」へお立ち寄りください。

           (シャローム支援職員

           穴久保英里子)