ケニアにおける 原産地規則・表示に関する調査 · · 2015-02-131 copyright ©...
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ケニアにおける
原産地規則・表示に関する調査
2010 年 11月
日本貿易振興機構(JETRO) ナイロビ事務所
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目 次
1.貿易管理制度 .................................................................................................................................... 1
(1)輸入者 ................................................................................................................................... 2
(2)輸出者 ................................................................................................................................... 2
(3)積荷証明書(Consignment Certification) ......................................................................... 2
(4)コンテナ・シーリング(封)要件 .................................................................................... 7
(5)ラベル表記 ........................................................................................................................... 7
(6)偽造品 ................................................................................................................................... 7
(7)適合証明書の取得方法 ....................................................................................................... 7
(8)様式:証明書発行申請書(RFC) ......................................................................................... 9
2.食品法 .............................................................................................................................................. 10
(1)ラベル表記要件 ................................................................................................................. 11
(2)輸入手続 ............................................................................................................................. 12
3.原産地規則 ...................................................................................................................................... 14
(1)輸出者登録 ......................................................................................................................... 14
(2)COMESA原産地証明書 ........................................................................................................ 14
(3)EUR 1証明書 ...................................................................................................................... 15
(4)GSP証明書 .......................................................................................................................... 15
(5)AGOA繊維製品原産地証明書 ............................................................................................. 16
(6)輸入国の税関からの問い合わせ ...................................................................................... 17
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1.貿易管理制度
ケニアでは原産国での船積み前に、船積み前適合検査(PVoC)1を義務付けている。これは
同国に輸入される品目が、同国が定める基準に適合しているかを調べるためである。
政府機関であるケニア基準局(KEBS)2は、ケニア市場に流通する輸入品および国内品の基準
を策定し運用している。KEBSは2005年9月29日、PVoC基準認証プログラム3を導入した。こ
れは、それぞれの輸出国で特定品目に適用される適合評価・検査手順で、その品目がケニ
アの技術基準や義務規格、または同等の認証基準に適合する事を確認するためのものであ
る。
KEBSはPVoCプログラムの運営を以下の会社に委託している。輸入元の地域によって担当の
委託会社が決められている。
委託会社名 ウェブサイト
SGS South Africa(日本担当) http://www.sgs.com
Intertek International(日本担当) http://www.intertek.com/
Global Inspection South Africa http://www.globalinspectionsgroup.com/
China Certification & Inspection Group http://eng.ccic.com/
2009年3月1日からは追加要件として、ケニア国内で販売される特定の輸入品について輸入
標準マーク(ISM)4を取得し添付することが義務付けられている。輸入標準マークのある商
品は市場でより高い信頼が得られる。対象となる品目リスト(食品468品目、電気製品141
品目、玩具・幼児向け用品16品目)は以下のサイトで入手可能。
http://www.kebs.org/quality_assessment_inspection.php?view=ism
KEBSは、標準法5、ケニア国内法、輸入商品の品質に関する命令6に従って、品質基準を満
たす商品のみが輸入されることを保証し、国内消費者の安全、健康、環境を保護している。
PVoCの対象となる積荷は全て、船積み前に各国のPVoC委託会社(運営管理はKEBS公認指定
機関が行う)が発行する適合証明書(CoC)7を取得しなければならない。本証明書はケニア
での通関の際に必須の書類であり、この証明書無しでケニアに入港した積荷は入国が拒否
される。例外的にKEBSの裁量において、輸出者の申請を受けて積荷の揚げ地検査を認める
場合がある。その場合、貨物のCIF価格の15%の違約金および15%の保証金と試験・検査費用
が輸入者に課される。その他仕向け地で要する費用はすべて輸出者の負担となる。
1 PVoC: Pre-shipment Verification of Conformity
2 KEBS: Kenyan Bureau of Standards
3 PVoC to Standards Programme
4 ISM: Import Standards Mark
5 標準法: The Standards Act Cap 496
6 The Quality Imports Order No.78 of July, 2005
7 CoC: Certificate of Conformity
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船積み前適合検査(PVoC)の主な項目は以下の通り。
発送前の目視検査
認定検査機関でのサンプリング、試験、分析
商品製造工程の監査
規則の適合性に関する書類確認
基準適合評価
WTOのTBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)第5条は、PVoCプログラムで海外製品に適
用される技術要件(規格)は国内産品にも適用されなければならないと定めている。PVoC
はケニアへの輸入品がケニアの技術基準、規則、技術要件などに適合していることを船積
み前に証明するプロセスであるため、これを実証することはサプライヤー(輸出者)の責
任であり、証明に要する費用は全てサプライヤーの負担となる。
(1)輸入者
サプライヤーは輸入品質要件を十分に理解し、積荷にPVoC委託会社が発行する適合証明書
(CoC)が添付されていることを確認する。
(2)輸出者
PVoCプログラム対象商品に関して試験を行うと共に(または)、PVoC委託会社から必要な
適合証明書(CoC)を取得し、船積み前に物品がケニアの規則や品質要件を満たしていること
を確認する。
(3)積荷証明書(Consignment Certification)
それぞれの状況に応じて、以下の通りルートA、B、Cの3通りの取得方法が定められて
いる。
ルート A
ルートAでは、船積みする商品の試験と目視検査の両方を行い、該当する基準や必須要件ま
たは製造元仕様に適合していることを証明しなければならない。このルートはいずれの貿
易業者、製造業者、積荷、商品にも利用可能なルートであり、証明プロセスは以下の通り。
ステップ1: 輸出者による証明申請書 (Request for Certification:RFC)の提出
輸出者はRFC フォーム(ウェブサイトから入手可能)に必要事項を記入し、以下の書類を
添えてPVoC委託会社に提出する。
① 商品データシート、商品説明書(使用目的を含む)のいずれかまたは両方(必須)。
製造者が発行する商品の技術仕様書のコピー (入手可能な場合のみ)
② マニュアル・取り扱い説明書 (該当する場合)
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③ 製造データ(バッチ・サイズ/番号、製造者名、製造日/有効期限、製造元証明書 – 該
当する場合)
④ プロフォーマインボイスおよび輸入申告書(Import Declaration Form:IDF) (必須)
⑤ QMS証明書、適合マーク、安全マーク、国家認定書 (可能な場合)
⑥ 販売代理店契約書- 可能であれば (メーカー正規代理店/販売業者に適用 ) ( 該当す
る場合)
⑦ 第三者試験報告書 (可能な場合)
(注)上記書類が正確に記入されていない場合、申請に要する時間が長引き、追加費用が
発生する。
ステップ2:PVoC委託会社によるRFC書類の審査
PVoC委託会社は、輸出者が提出したRFC書類に不備がないか確認し(上記ステップ1参照)、
以下の作業を行う。
① 該当するケニア基準、国際基準のいずれかまたは両方を確定する(ケニア基準優先)
② 輸入必須要件を確定する (ケニアにおける健康・安全基準に基づく)
③ 商品のリスクプロファイルを確定する (商品検査の介入度合を決定するため)
④ 検査・試験指示書を作成する (ステップ3、4参照) 。
また、輸出者の要請に応じて48時間以内に以下の事項を連絡する。
a) 不足書類(該当する場合)
b) 必須要件(上記で確定した基準による)と検査干渉レベル(試験が必要な場合は輸出者
に連絡しなければならない)
c) 輸出者の確認のための検査予定日およびスケジュール
(注) RFC審査後、PVoC委託会社は輸出者に連絡した不足書類の受領後3日以内に検査日を
設定しなければならない。ステップ1のRFC添付書類に不足が無い場合は、輸出者が検査日
を遅らせることを望む場合を除いて、RFC受領後5日以内に検査日を設定しなければならな
い。
ステップ3: 指定検査員による積荷検査
ステップ2の④で作成された指示書に従って検査を行う。検査は、マーク、パッキング、
商品の品質保持期間(該当する場合)、商品外観の確認を中心に行われる。試験が実施で
きない場合には商品の機能査定がさらに重要となる(ステップ4参照)。
以下ステップ4で規定されている試験を実施するため、検査員はサンプルを抽出し、サン
プルを抽出した梱包を検査する(ステップ2の④による)。検査終了後、検査員は検査結
果や意見を記載した報告書を作成する。検査報告書のコピーは直ちに輸出者に送付される。
検査の結果書類との相違が見つかった場合、報告書により直ちに輸出者に通達される。
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(注) 適合性評価プロセスは目視検査が終了するまでは完了しない。検査報告書、試験報
告書(該当する場合)、その他品質を証明する書類を査定した後で、PVoC委託会社が検査
商品の適合性について最終判断を行う。
ステップ 4: 積荷試験
試験は必須要件や該当する基準要件に限定して行われる。試験はPVoC委託会社が抽出した
サンプルを用いて、次のいずれかの試験所で行う。
① PVoC委託会社の試験所
② 世界各地にある ISO/IEC 17025認定の独立した試験所
③ PVoC委託会社の立会いの下でISO/IEC 17025に認定されていない試験所や製造元の試
験所(上記①、②の試験所が地域にない場合にのみ利用可能)
立会い試験は商品と試験方法に精通した有資格者が行う。 ISO 9001:2000の要件を満たす
試験所でのみ、PVoC委託会社が試験に立ち会う。
積荷が多品目、廉価品、機械の分解が必要など、試験が経済的に実現可能でない場合、以
下の書類審査で検査を代替することができる。
① 製造元が発行する試験報告書
② 安全マーク、適合マーク、国家認定書(例:CEマーク、型式認証報告書等)
③ 品質管理に関する証明書
ステップ5: PVoC委託会社による最終証明書の発行(認証決定)
検査報告書(ステップ3)と試験報告書または書類評価報告書(ステップ4)を受領した
PVoC委託会社は、報告書と最終インボイス受領後3事業日以内に認証決定を行い、証明書
(適合証明書または非適合報告書)を発行する。
(注1)試験を実施する場合、試験終了まで商品の適合性の最終判断は下されない。
(注2)輸出者は積荷発送前に適合証明書(CoC)の取得や認証決定の確認のため、PVoC委託
会社に連絡することができる。
ルート B
ルートBでは、PVoC委託会社に商品を登録することにより、適合基準を満たす商品の認証プ
ロセスを短縮できる。同質の商品を頻繁に輸出する場合には商品登録をすることが推奨さ
れる。登録の有効期限は1年である。商品登録することにより、当該商品の輸送に際して
は必須試験が免除され、目視検査のみで証明書が発行される。しかしその場合であっても、
登録期間中の商品の適合性を確実に保証するため、商品の無作為試験が義務付けられてい
る。なお、ルートBによる登録ができない除外品目は以下の通り(つまり、証明書発行はル
ートAのみになる)。
① 砂糖
② 穀物および米、小麦、豆、トウモロコシ等の豆類
③ 化学肥料
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④ 動物・魚製品 (生鮮および冷凍で加工されていないもの)
⑤ 乳製品
⑥ 生鮮園芸作物
⑦ 中古品
商品登録プロセスは以下のとおり。
ステップ1: 輸出者によるPVoC委託会社への登録申請書提出
PVoCプログラムによる商品登録を希望する輸出者 (貿易業者または製造業者) は、登録申
請書(Registration Application form)に記入作成し(用紙はウェブサイトから入手可
能)、以下の書類を添えてPVoC委託会社に提出する。
① 商品データシート、商品説明書(使用目的を含む)のいずれかまたは両方 (必須)。
製造者が発行する商品の技術仕様書のコピー (可能な場合)
② マニュアル・取り扱い説明書 (該当する場合)
③ 製造元証明書 – (該当する場合)
④ プロフォーマインボイスと輸入申告書(Import Declaration Form:IDF) (必須)
⑤ QMS証明書、 適合マーク、 安全マーク、 国家認定書 (可能な場合)
⑥ 販売代理店契約書(メーカー正規代理店/販売業者のみ) (該当する場合)
⑦ 第三者試験報告書(可能な場合)
(注)ブランド商品を扱う業者はOEMメーカーとの関係を示す証拠書類を提出する義務があ
る。
ステップ2: PVoC 委託会社による登録申請書審査
PVoC委託会社は、提出された書類について以下の作業を行う。
① ケニア基準、国際基準の両方またはいずれかとの商品適合性を確定する
② 品質基準を満たす商品を輸出者が継続的に提供できることを確認する
PVoC 委託会社は、申請書受領後4事業日以内に審査結果を輸出者に報告する。審査に合格
し、輸出者が費用を支払った後に、登録商品、有効期間、その他登録条件が記載された登
録証明書(Statement of Registration)が発行される。
登録商品船積み認証プロセスは以下のとおり。
ステップ1:輸出者による 証明書発行申請書 (RFC)の提出
輸出者はRFCフォームに必要事項を記入し(フォームはウェブサイトで入手可能)、以下の
書類を添えてPVoC委託会社に提出する。
① 出荷商品の登録証明書
② プロフォーマインボイスと輸入申告書 (IDF)
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PVoC委託会社は、書類を審査し、登録証明書の有効性を確定し検査日を設定する(輸出者/
サプライヤーが日程を遅らせることを希望しない限り、RFC受領日から3事業日以内に検査
日を設定する)。
ステップ2: PVoC委託会社の指定検査員による積荷・船積み検査
検査員は、PVoC委託会社が発行したガイドラインと指示書に従って検査を実施する。検査
はマーク、パッケージ、品質保持期間(該当する場合のみ)、パッキングリストやインボ
イスとの適合性、目視による商品適合性の確認を中心に行う。サンプルはPVoC委託会社の
指示に基づいて検査員が抽出し、検査が行われる。
(注1)登録商品の場合でもケニア入国には適合証明書が必要となるが、商品を登録するこ
とにより、認証プロセスが短縮される。
(注2)PVoC委託会社は輸出者に、試験のための商品サンプリングをいつ行うか連絡しなけ
ればならない。サンプリングした積荷の適合認証は、試験報告書の結果により認められな
い場合もある。このような場合試験報告書は以降の荷積の際の適合決定にも有効とされる
ことがある。
検査終了後、検査員は検査結果や意見を記載した報告書を作成し、検査報告書のコピーが
直ちに輸出者に送付される。検査の結果、書類との相違が見つかった場合、報告書により
直ちに輸出者に通達される。
ステップ3: 積荷・出荷試験
試験は必須要件や該当する基準要件に限定して行われる。PVoC委託会社が抽出したサンプ
ルを用いて、以下のいずれかの試験所で試験を行う。
① PVoC委託会社の試験所
② 世界各地にある ISO/IEC 17025認定の独立した試験所
③ PVoC委託会社の立会いの下でのISO/IEC 17025に認定されていない試験所や製造元の
試験所(上記①、②の試験所が地域にない場合にのみ利用可能)
立会い試験は、商品と試験方法に精通した有資格者が行う。ISO 9001:2000の要件を満たす
試験所でのみ、PVoC委託会社が試験に立会う。
ステップ4: PVoC委託会社による証明書発行 (認証決定)
検査報告書(ステップ2)を受領したPVoC委託会社は、報告書と最終インボイス受領後、
3営業日以内に認証の決定を行い、証明書(適合証明書または非適合報告書)を発行する。
(注)輸出者は荷積発送前に適合証明書(CoC)の取得や認証決定の確認のためにPVoC委託会
社に連絡をすることができる。
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ルート C
このルートは自社の製造工程における品質管理を自ら実証できる製造会社のみ利用できる。
ISO Guide 28: 2004 に基づいて商品が製造されていることを PVoC 委託会社が検査し、検
査に合格すると、1年間有効の許可が得られる。許可を受けた商品であっても、PVoC 委託
会社により以後の船積にも無作為の目視試験が行われる。しかし、許可証有効期間中の
PVoC委託会社による試験は限定されたものになる。
(4)コンテナ・シーリング(封)要件
目視検査では可能な限りFCLコンテナ(FCL貨物)にシール(封)を付すことが要求される。
検査日をコンテナ積み込み日に合わせるため、輸出者は事前にPVoC事務所にコンテナ積み
込み予定を通知する必要がある。
(5)ラベル表記
輸入品のパッケージのラベル表記は全て、英語、スワヒリ語のいずれかまたは両方とする。
パッケージ商品(食料品、化学物質、化粧品、その他同様品)にはバッチ番号、消費期限、
製造日のいずれかまたは両方が表示されていなければならない。また、限られた品質保持
期間がある輸入品は、ケニア到着予定日から数えて品質保持期間が 75%以上残っていなけ
ればならない。
コンデンスミルク、塗料、ワニス、野菜、バター等の特定の製品には特別なラベル表示が
義務づけられている。また、パック入り塗料や関連・類似商品の販売には、メートル法に
よる重量や容量表示が必要である。重量・寸法表記はメートルもしくはメートルおよびイ
ンチの併記とする。製造者は消耗品に製造日と消費期限の両方を記載しなければならない。
医薬品は、有効成分、非活性成分、名称、殺菌剤または静菌剤の含有率、消費期限、バッ
チ番号、使用上の注意、製造元の名前と所在地、商品登録番号の記載が義務付けられてい
る。
(6)偽造品
偽造品の輸入は禁止されている。商品が偽造だと判明した場合、たとえそれ自体が輸入基
準を満たしていたとしても適合証明書(CoC)は発行されない。偽造が疑われる可能性があ
る商品を輸出する場合、輸出者は CoC 発行前に真正品である旨証明する書類の提出が望ま
れる。
(7)適合証明書の取得方法
輸出入者に対して最大限柔軟な対応を図るため、PVoC適合証明書取得の手続きには3通り
の方法が用意されている。どの方法を利用するかは、ケニアへの輸出頻度と、適合証明申
請の際にどの程度適合性を実証できるか次第となる。
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証明書発行申請書
KEBSから電子媒体により輸入申告書(IDF)8が送信される。PVoC事務所は輸出者に連絡し証
明書発行申請書(RFC)9を送付する。輸出者は申請書に必要事項を記入しプロフォーマイン
ボイスと共に送付し、検査日と場所を通知しなければならない。また、RFCには、試験報告
書、登録証明書、ライセンスがある場合はそれぞれのコピーを添付する。
ルート決定方法
PVoC事務所はRFCと添付書類を確認し、証明書発行ルートと該当する基準を決定する。
商品試験
各国のPVoC事務所は可能な限り、発送予定日の前に認定試験所またはISO/IEC 17025認定試
験所での商品のサンプリング試験を行わなければならない。輸出者は試験結果を待って積
荷の発送を行う。
輸出者が試験証明書の提出を希望する場合、証明書はISO/IEC認定試験所またはその他認定
試験所が交付するものでなければならない。輸出者はPVoC委託会社スタッフの立会いによ
る試験を手配することもできる。試験報告書は試験所の認定書コピーを添えてPVoC事務所
に送付する。試験報告書はケニアへの確実な積荷管理を実証できる詳細なものでなければ
ならない。
検査
PVoC事務所は荷積検査場に連絡し、目視検査の予約を確認する。目視検査は通常外観で検
査できる要件検証(商品ラベル等)に関し、既に提出された試験報告書と積荷を照合する
ために行われる。可能であれば、商品サンプル試験も目視検査期間中に行うことができる。
輸出者は試験報告書が発行されるまで積荷発送を待たなければならない。
証明書
航空輸送を除いて、輸出者は目視検査後、可能な限り速やかに PVoC事務所に最終インボイ
スを提出しなければならない。PVoC 事務所はすべての試験、検査報告書の最終審査を行い、
適合証明書(CoC)もしくは非適合報告書(NCR)を発行する。PVoC 事務所は必要に応じ、適
合証明書発行前に是正措置をとり、提出書類と検査結果の不一致が是正された場合には
CoCが発行される。
8 IDF: Import Declaration Form
9 RFC: Request for Certification
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(8)様式:証明書発行申請書(RFC)
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2.食品法
政府はほぼ全ての食品について、輸出前に輸出証明を取得する事を推奨している。輸出者
はPVoC基準認証プログラムを通して適合証明書(COC)を取得することができる。COC無し
でケニアにPVoCの対象商品を輸出することもできるが、荷揚げ港での揚げ地検査とともに
CIF価格の15%の違約金および15%保証金、検査・試験費用が輸入者に課される。
果物、野菜、種子、ナッツなど特定の商品はPVoCの除外対象となる。除外品目リストは次
のサイトで参照可能。http://www.kenyaPVoC.com/Product_Inquiry/
PVoC除外品は入国地検査で全ての関連ケニア基準との適合性を満たさなければならない。
しかし、COCが不要な食品であっても、輸出者と混載業者は、荷揚げ地での通関手続きを最
小限にするための手段として、PVoC委託会社にCOCを申請することもできる。
ケニア植物検疫所(KEPHIS)10、ケニア基準局、獣医畜産局(DVS)11、害虫管理・商品委員会
(PCPB)12、公衆衛生省(MOH)13が中心となって、食品の安全に関する以下18の議員立法を
制定している。
1. 公衆衛生法:Public Health Act Cap.242
2. 放射線防護法:Radiation Protection Act Cap.243 (照射食品の場合)
3. 食品医薬品化学物質法:Food, Drugs and Chemical Substances Act Cap. 254
4. 農業法:Agricultural Act Cap 3182
5. 農業製品(輸出)法:Agriculture Produce (Export) Act Cap.319
6. 植物保護法:Plant Protection Act Cap.324 (果物、野菜の場合)
7. 種苗規則:Seed and Plant Variety (NPT) Regulations, 2009
8. 有害な雑草制御法:Suppression of Noxious Weeds Act 325
9. 種苗法:Seeds & Plant Varieties Act Cap. 326 (植えつけ後成長する可能性がある輸
入種または作物種子)
10. 乳業法:Dairy Industry Act Cap. 336
11. 食肉管理法:(Meat Control Act Cap. 356
12. 動物疾病法:Animal diseases Act Cap. 364
13. 税関・内国消費税法:Customs & excise Act Cap. 472
14. 基準法:Standards Act Cap 496
15. 重量及び寸法に関する法律:Weights and measures Acts Cap.513
16. 産業財産権法:Industrial Property Act Cap. 509
17. 商標法:Trademarks Act Cap. 506
18. 有害生物駆除・商品法:Pest Control and Products Act Cap. 346
10
KEPHIS: Kenya Plant Health Inspectorate Service 11
DVS: Department of Veterinary Services 12
PCPB: Pest Control and Product Board 13
MOH: Ministry of Public Health
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(1)ラベル表記要件
政府は全ての加工食品に英語表記を義務付けている。記載事項は以下の通り。
・偶数のメートル法重量・寸法表示
・商標
・一般名
・原料一覧
・製造日
・消費/賞味期限
・保存方法(Store in a Cool Dry Placeなど)
・製造者の名前と所在地
・原産地と等級指定(該当する場合)
ただし、他の言語や複数言語の表示も認められており、ケニアでは英語とアラビア語また
は中国語が併記されているラベルの輸入食品が一般的に見られる。ラベル表記に加えて、
COCを取得した商品に無料でKEBSが交付する輸入標準化マーク(ISM)を表記する事を義務づ
けている。
その他関連情報は以下の通り。
貼り付けタイプのラベルが認められており、販売前のどの時点で貼り付けてもよい。
輸入された食品はケニア到着時点でラベルに記載されている品質保持期間が75%以
上残っていなければならない。
栄養表示は100グラム単位で表示する。
調理済み食品に関して主観的または变述的表示をする場合、それぞれの特性ごとに
栄養内容を記載した裏づけがなければならない。例えば、「本商品は脂肪100グラ
ム中の飽和脂肪酸含有量がわずか3%の低飽和脂肪酸商品である」など。
照射食品は容器にその旨表示しなければならない。
調理済み食品の場合、ケニアの輸入者は容器やパッケージのサイズに関わらず、元
のパッケージや容器のままケニア国内で販売することができる。
KEBSは、食品医薬品化学物質法(http://www.kenyalaw.org/kenyalaw/ klr_home/)
とKS 660(食品添加物の安全使用に関するガイドライン)に従って食品添加物を規
制している。特定の政府ガイドラインが無い場合、KEBSは食品添加物規制の指針と
してCODEX委員会の食品添加物規格に従う。
ケニア政府は食品添加物のポジティブリスト(使用可能リスト)とネガティブリス
ト(使用禁止リスト)を用意している。リストは現在オンラインで入手できないが、
地域または各国のKEBS事務所で購入可能である。
政府が定めるどのリストにも記入がない添加物については、PVoC委託会社がCODEX
リストに基づき判断する。
政府は調理済み食品の農薬と汚染物に関する規則を公布し、KEBS、KEPHISのいずれ
かまたは両者にケニアの食品安全の監視を委任している。
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入国通関地で政府が要求する検査レベルは食品の種類とCOCが発行されているかど
うかで異なる。COCが添付されて到着した食品は検査が義務付けられていないが、
PVoC委託会社の分析内容を証明するために無作為検査が行われる場合がある。
政府は、生産方法が同種の食品に関して、一年間の追加出荷の検査がPVoC委託会社
による無作為検査のみになるよう、毎年のPVoC委託会社への登録制度を実施してい
るが、登録が義務付けられている訳ではない。
PVoC対象商品は、政府との契約に基づいてPVoC委託会社が査定を行う。政府はCOC
取得前に商品が全てのケニア基準に適合していることを義務付けており、商品試験
は実施されるべきものとしている。
速達または小包で送付された商品サンプル(生鮮植物や種は除く)は輸入規制の対
象にならないが、商品価値を基にして税関手数料が課される。
(2)輸入手続
輸入手続の流れは以下の通り。
輸入者は通関業者(clearing agent:CA)に貨物の到着日を連絡する 。
CAはオンライン通関システム(Simba)を通じてケニア歳入庁(KRA)14に連絡する。
輸入者はKRAが指定するCAを利用しなければならない。
CAは貨物の到着日と船荷目録(manifest)番号を取得しSimbaに入力する。
CAはKRAに船荷目録番号を送付し、KRAが指定するケニアの銀行に番号を通知する。
CAはHSコードとVATレートを使って税金を支払う(必要な場合)。
KRA担当官は通関を行い貨物の入国をCAに通知する。
CAはKRAの確認書を持ってケニア港湾公社(KPA)15に港湾諸費用を支払う。
CAはKPA書類と関連輸入許可証をもってKEPHIS、KEBS、港湾保健部、地域警察に通
関申請を行う。
KPAは商品の国内市場流通の前に貨物の最終目視検査を行う。
通関は全体で最低3日を要する。輸出入者に不満がある場合、KRAでは異議申し立
て制度を設けている。 http://www.kra.go.ke/vat/vatassessments.html
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KRA: Kenya Revenue Authority 15
KPA: Kenya Ports Authority
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<輸入標準化シンボルマーク(ISM)>
<ラベル表示のサンプル>
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3.原産地規則
ここではケニアが締結している地域、二カ国間、多国間貿易協定に従って原産地証明を発
行する際のガイドラインを説明する。特に、アフリカ成長機会法(AGOA)16と様々な一般特
恵関税制度(GSP)17による東南部アフリカ市場共同体(COMESA)18、EU、米国向けの原産地証
明書について紹介する。
原産地証明の発行税関: ナイロビ、モンバサ、キスム、ナクル、エルドレット各税関
(1)輸出者登録
COMESA、EU 向け輸出証明書(EUR1)19、GSP、AGOA 貿易特恵待遇による輸出を希望する企業
は、税関の原産地規制事務所への登録が義務付けられている。登録申請は、税関局長宛て
に書面で行い、申請は輸出の前に行わなければならない。申請には以下の書類の認証コピ
ーを添付する:
法人設立証明書(Certificate of incorporation)
PIN 証明書(PIN certificate)
VAT 登録証明書(VAT registration certificate)または非該当証明(letter of
exemption )
HCDA発行の輸出許可証(園芸品の場合)
輸出品の原産地検査
申請書を受領した原産地規則事務所は、輸出品が当該貿易協定で定められている原産地基
準に適合しているかを確認するため、輸出者の製造工場の検査を実施する(工業製品にの
み適用)。その後登録輸出者は規定の証明書発行費用を支払う。
原産地基準
原産地規則とは、商品の原産地を決定するために用いる基準である。COMESA、AGOA、EUR 1、
GSP 証明書の準拠となる原産地規則は、原産地特恵規則とも呼ばれ、特恵受益国を原産地
とする商品に特恵関税措置を付与するために用いられる。原産地の検証は、輸出者が必要
な証明書に適用される原産地規則に基づいて以下の通り行われる。
(2)COMESA 原産地証明書
この証明書は COMESA地域内で取引される商品に適用される。
商品が原産地規則の COMESA 議定書・ルール2で規定されている5つの基準のうちいずれか
を満たせば、企業は COMESA 証明書での輸出登録ができる。
① 商品が加盟国内で製造された「完全国産」であること
16
AGOA: African Growth and Opportunity Act 17
GSP: Generalized System of Preferences 18
COMESA: Common Market for Eastern and Southern Africa 19
EUR 1: Export Certificate for the European Union
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② 加盟国内で製造された物品で、海外の原材料の CIF 価格が製造全体に使用される原
材料の総費用の 60%を超えないこと
③ 加盟国内で製造された商品で、工場渡し価格の尐なくとも 35%の付加価値があるこ
と
④ 加盟国で製造された商品で、商品の関税分類が、製造に用いられた非原産の原材料
の関税分類と異なるもの
⑤ 閣僚会議で「加盟国の経済発展に特別な重要性を持つ商品」として指定され、上記
③の規定に関わらず、付加価値が 25%を下回らないもの
(3)EUR 1 証明書
この証明書は ACP 諸国を原産国とし、EU 市場向けに輸出される商品に対して交付される。
2000年 ACP/EUコトヌー貿易協定20に基づいて適用される。
ACP特恵受益国の原産品だとみなされるための条件は以下の通り。
完全に国内製造された商品
国内で「充分に」加工された商品
以下のいずれかを満たす場合、商品は「充分に」に加工されたとみなされる。
関税分類基準の変更:完成品が HS コード21の4ケタに分類されていて、製造過程
で使用された非原産の原材料と異なる分類に属する場合、その製品は充分に加工さ
れたとみなされる。
付加価値基準:この基準は、非原産の原材料の価格が製品の工場渡し価格の一定割
合を超えないものに適用される。EU 向けに輸出される商品の種類によって適用さ
れる付加価値割合が異なる。
特定加工基準:この基準は、製造工程のある作業または段階を非原産の原材料を使
って行わなければならない場合に適用される。例えば、繊維部門の場合、HS コー
ド第 62類の織物衣類の原産地要件は「糸から製造される」ことである。
(4)GSP証明書
GSP 証明書は二カ国間貿易協定の下で適用される。開発途上国を原産地とする商品に、一
般よりも低い関税率を適用する。
一般特恵関税の付与国:豪州、カナダ、日本、ニュージーランド、ノルウェー、スイス、
米国、ベラルーシ、ブルガリア、ロシア、EU。
20
Cotonou Trade Agreement of the year 2000 21
Harmonized System Code:商品の名称及び分類についての統一システム・コード
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GSP 証明書発行に適用される原産地規則はそれぞれの付与国が規定する。ただし、主要点
は以下の通り共通である。
一般条項
特恵措置の供与を受けるために、商品は以下の要件を満たす必要がある。
仕向国の特恵対象品のカテゴリーにあること。検査担当の税関職員が、商品が対象
となることを確認できるよう、証明書には商品説明が詳細に記載されていなければ
ならない。
仕向国の原産地規則に適合していること。積荷の各品物がそれぞれ対象に合致して
いなければならない。
仕向国が定める積荷条件に適合していること。一般に、商品は輸出国から仕向国に
直接発送されなければならないが、ほとんどの特恵付与国は一定の条件の下で中継
国を経由する積荷も対象に認めている。
原産地基準
輸出国内で完全に国内製造された商品。
輸出国内で「充分に」加工されたもの。要求される国内比率はそれぞれの輸入国が
決定する。
(5)AGOA繊維製品原産地証明書
2000 年 5 月に成立した米国貿易開発法22第一条項「アフリカ成長機会法(AGOA)」は、 AGOA
カテゴリーで指定される商品の関税免除と割当制撤廃をサブサハラ・アフリカ諸国に与え
ることを定めている。
AGOA繊維製品原産地証明書の対象となるのは、AGOA プログラムで米国向けの輸出が認めら
れている商品である。本証明書に適用される規則は、いくつかの例外を除いて、米国が適
用する GSP原産地規則と同様である。
証明書発行費用:
証明書発行費は一律 200シリング。輸出者がケニア国立銀行の KRA口座に直接振り込む。
証明書フォームの交付:
輸出者は支払い受領書とフォーム F147を ROO担当者に提出し証明書フォームの交付を受け
る。
証明書フォーム記入方法:
輸出者はフォームを 3 部作成し、輸出インボイスを添付して返送する。書類に不備がなけ
れば承認の押印と署名を受け、認定される。輸出者は原本と2通目を保管し、証明書発行
事務所が3通目とインボイスを保管する。
22
The Trade Development Act
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(ただし、AGOA 証明書はケニア製造者協会23にも提出しなければならない。協会は証明書の
内容を検証した後 KRA に送付し、証明書と輸入査証が発行される。)
原産地証明書の提出先:
原産地証明書の原本は輸出地に発送する商品に添付し、コピーは輸出者が保管する。
(6)輸入国の税関からの問い合わせ
原産地証明書の適合性について税関から確認があった場合、以下の手順が適用される。
税関局長を通じて原産地規則事務所が問い合わせを受ける。
証明書の適合性についての問合せの場合、原産地規則事務所が承認印と署名が本物
かどうかを確認する。その後、輸入国の当該機関に回答する。
商品の原産地に関する問い合わせの場合、輸出者は当該の輸出に関連する書類のコ
ピーを全て用意する必要がある。原産地証明書の記載情報に関連して輸出の詳細を
確認するために、用意された書類の検証後監査を行う。
工業製品の問い合わせは製造工程の検証が必要となる。
輸出者が原産地証明書に誤解を招く記載や同証明書を不正に取得したとして有罪に
なった場合、2004 年 EAC 税関管理法第 203 (b)項24に基づき告訴され罰則が科され
る。
本報告書の利用についての注意・免責事項
本調査報告書は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の各海外事務所を通じ委託調査を行い、貿易投資相談センターで取
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わらず、一切の責任を負いません。これは、たとえ、ジェトロがかかる損害の可能性を知らされていても同様とします。
23
The Kenya Association of Manufacturers 24
EAC Customs Management Act, 2004