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SAJP.DUP.20.03.1010 2020年3月作成 日本標準商品分類番号 87449 第3版 デュピクセント®の投与にあたっては、最適使用推進ガイドラインに従い、 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、当該医薬品の 恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作 用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす 医療機関で使用するよう十分ご留意ください。 1. 警告 本剤の投与は、適応疾患の治療に精通している医師の もとで行うこと。 2. 禁忌(次の患者には投与しないこと) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る) デュピクセント®の投与にあたって (気管支喘息 投与開始時のレセプト記載事項 コントロール不良の定義(成人の場合) コントロール不良の定義(小児の場合) 喘息治療ステップ(成人の場合) デュピクセント®の保険適用上の取扱いに係わる 留意事項 (診療報酬明細書[摘要欄]記載事項) 施設について (最適使用推進ガイドラインより抜粋) 投与対象となる患者について (最適使用推進ガイドラインより抜粋) ドラッグインフォメーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 ・・・・・・ 8 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 ・・・・・・・・・・・・・・・ 10 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 CONTENTS

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SAJP.DUP.20.03.10102020年3月作成

日本標準商品分類番号 87449第3版

デュピクセント®の投与にあたっては、最適使用推進ガイドラインに従い、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用するよう十分ご留意ください。

1. 警告本剤の投与は、適応疾患の治療に精通している医師のもとで行うこと。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

※気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)

デュピクセント®の投与にあたって(気管支喘息※)

投与開始時のレセプト記載事項コントロール不良の定義(成人の場合)コントロール不良の定義(小児の場合)喘息治療ステップ(成人の場合)デュピクセント®の保険適用上の取扱いに係わる留意事項 (診療報酬明細書[摘要欄]記載事項)施設について(最適使用推進ガイドラインより抜粋)投与対象となる患者について(最適使用推進ガイドラインより抜粋)ドラッグインフォメーション

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2・・・・・・・・・・・・・・・・ 4・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

・・・・・・ 8

・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

・・・・・・・・・・・・・・・ 10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

CONTENTS

Page 2: サノフィ e-MR | 医療関係者向け情報サイト

※1 医師免許取得後2年の初期研修修了後※2 気管支喘息に関する臨床研修

イの場合:ICSを当該用量以上に増量することが不適切であると判断した理由

デュピクセント®の投与開始にあたっては、以下2項目を診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄へ記載してください。

施設要件(p.3上 ア~ウのいずれか)患者要件(p.3下 ア、イのいずれか)*患者要件イの場合:ICSを当該用量以上に増量することが不適切であると判断した理由

呼吸器科診療※2

アレルギー診療※2

小児科診療かつ

アレルギー診療※2

以下のア~ウのいずれかに該当する医師が本剤に関する治療の責任者として配置されている。 

施設要件施設要件

患者要件患者要件

以下のア、イのいずれかの治療を行ってもコントロール不良で、かつ全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪が年に1回以上ある。

*詳細はp.8でご確認ください。

臨床経験4年以上※1を有し、かつ

投与開始時のレセプト記載事項

摘要欄

の臨床研修3年以上

その他の長期管理薬※

高用量ICS

中用量ICS+

※ LABA、LAMA(成人のみ)、LTRA、テオフィリン徐放製剤

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喘息予防・管理ガイドライン2018では、コントロール不十分の項目が3つ以上当てはまる場合、または予定外受診、救急受診、入院を伴う増悪が月に1回以上の場合にコントロール不良と定義されている。

小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017では、4つの評価項目のうち、いずれかの項目が不良に当てはまる場合にコントロール不良と定義されている。

日本アレルギー学会:喘息予防・管理ガイドライン2018, 協和企画, 2018, p.100

喘息コントロール状態の評価

コントロール良好(すべての項目が該当)

コントロール不十分(いずれかの項目が該当)

コントロール不良

喘息症状(日中および夜間) 週1回以上

週1回以上

あり

予測値あるいは自己最良値の80%以上

予測値あるいは自己最良値の80%未満

コントロール不十分の項目が3つ以上当てはまる

20%以上

発作治療薬の使用

運動を含む活動制限

呼吸機能(FEV1およびPEF)

PEFの日(週)内変動

増悪(予定外受診、救急受診、入院)

なし

なし

なし

20%未満*1

なし 年に1回以上 月に1回以上*2

喘息コントロール状態の評価 【症状のコントロール状態】

コントロール状態(最近1か月程度)

評価項目

軽微な症状*1

良好(すべての項目が該当)

比較的良好

(≧1回/月)<1回/週 ≧1回/週

≧1回/週

≧1回/月

≧1回/月

なし

なし

なし

なし

なし(あっても軽微)

明らかな急性増悪(発作)*2

日常生活の制限

β₂刺激薬の使用 なし (≧1回/月)<1回/週

不良(いずれかの項目が該当)

*1:軽微な症状とは、運動や大笑い、啼泣の後や起床時などに一過性に認められるがすぐに消失する咳や喘鳴、短時間で覚醒することのない夜間の咳き込みなど、見落とされがちな軽い症状を指す。

*2:明らかな急性増悪(発作)とは、咳き込みや喘鳴が昼夜にわたって持続あるいは反復し、呼吸困難を伴う定型的な喘息症状を指す。

日本小児アレルギー学会:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017《2019年改定版》,協和企画,2019, p.125

コントロール不良の定義(小児の場合)コントロール不良の定義(成人の場合)

*1:1日2回測定による日内変動の正常上限は8%である。*2:増悪が月に1回以上あれば他の項目が該当しなくてもコントロール不良と

評価する。

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喘息治療ステップ(成人の場合)

*1:抗アレルギー薬とは次を指す。メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミンH1受容体拮抗薬、トロンボキサンA2阻害薬、Th2サイトカイン阻害薬

*2:通年性吸入アレルゲンに対して陽性かつ血清総IgE値が30~1,500IU/mLの場合に適用となる。

*3:経口ステロイド薬は短期間の間欠的投与を原則とする。短期間の間欠投与でもコントロールが得られない場合は必要最小量を維持量とする。

*4:軽度発作までの対応を示し、それ以上の発作についてはアレルギー総合ガイドライン2019 「急性増悪(発作)への対応(成人)」の項を参照。

*5:ブデソニド/ホルモテロール配合剤で長期管理を行っている場合は同剤を発作治療にも用いることができる。長期管理と発作治療を合わせて1日8吸入までとするが、一時的に1日合計12吸入まで増量可能である。ただし、1日8吸入を超える場合は速やかに医療機関を受診するよう患者に説明する。

*6:チオトロピウム臭化物水和物のソフトミスト製剤。*7:LABA、LTRAなどをICSに加えてもコントロール不良の場合に用いる。*8:成人および12歳以上の小児に適応がある。*9:対象は18歳以上の重症喘息患者であり、適応患者の選定は日本呼吸器学会専

門医あるいは日本アレルギー学会専門医が行い、手技は日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医の指導の下で入院治療において行う。

*10:中用量ICSに併用するのは、医師によりICSを高用量に増量することが副作用などにより困難であると判断された場合に限る。

喘息治療ステップ

上記が使用できない場合、以下のいずれかを用いる

LTRAテオフィリン徐放製剤※症状が稀なら必要なし

上記で不十分な場合に以下のいずれか1剤を 併用

LABA(配合剤使用可*5)LAMA*6LTRAテオフィリン徐放製剤

上記に下記のいずれか1剤、あるいは複数を併用

LABA(配合剤使用可*5)LAMA*6LTRAテオフィリン徐放製剤抗IL-4Rα抗体*7,8,10

LTRA以 外の抗アレルギー薬*1

SABA

追加治療

発作治療*4 SABA*5 SABA*5 SABA

ICS(低用量)

基本治療

長期管理薬

ICS(低~中用量) ICS(中~高用量) ICS(高用量)

治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4

上記に下記の複数を併用

LABA(配合剤使用可)LAMA*6LTRAテオフィリン徐放製剤抗IL-4Rα抗体*7,8抗IgE抗体*2,7抗IL-5抗体*7,8抗IL-5Rα抗体*7経口ステロイド薬*3,7気管支熱形成術*7,9

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日本アレルギー学会 :アレルギー総合ガイドライン2019, 協和企画, 2019, p.72

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(1)デュピクセント皮下注300㎎シリンジについては、最適使用推進ガイドラインに従い、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに、副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用するよう十分留意すること。

(3)気管支喘息  本製剤の投与開始に当たっては、次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。1) 次に掲げる医師の要件のうち、本製剤に関する治療の責任者として配置されている者が該当する施設(「施設要件ア」から「施設要件ウ」までのうち該当するものを記載) ア 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、3年以上の気

管支喘息に関する呼吸器科診療の臨床研修を含む4年以上の臨床経験を有していること。

イ 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、3年以上の気管支喘息に関するアレルギー診療の臨床研修を含む4年以上の臨床経験を有していること。

ウ 医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、3年以上の小児科診療の臨床研修かつ3年以上の気管支喘息に関するアレルギー診療の臨床研修を含む4年以上の臨床経験を有していること。

2) 本製剤投与前の長期管理薬による治療の状況及び投与理由(「患者要件ア」又は「患者要件イ」と記載)ア 高用量吸入ステロイド薬(ICS)とその他の長期管理薬(長時間

作用性β₂刺激薬、長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(成人のみ)、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放製剤)を併用してもコントロール不良で、かつ全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪を年に1回以上きたしている。

イ 中用量ICSとその他の長期管理薬(長時間作用性β₂刺激薬、長時間作用性ムスカリン受容体拮抗薬(成人のみ)、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放製剤)を併用してもコントロール不良で、かつ全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪を年に1回以上きたしている。

3) 2)で「患者要件イ」に該当する場合は、ICSを当該用量以上に増量することが不適切であると判断した理由

薬生薬審発0326第7号 (平成31年3月26日) 最適使用推進ガイドラインデュピルマブ(遺伝子組換え)製剤(デュピクセント®) 平成31年3月 厚生労働省

保医発0326第3号 (平成31年3月26日)

施設について(最適使用推進ガイドラインより抜粋)

デュピクセント®の保険適用上の取扱いに係わる留意事項(診療報酬明細書[摘要欄]記載事項)

*保険適用上の取扱いに係る留意事項より該当項目を抜粋

4.施設について本剤が適応となる患者の選択及び投与継続の判断は、適切に行われることが求められる。 また、本剤の投与により重篤な副作用を発現した際に対応することが必要なため、以下の ①~③のすべてを満たす施設において使用するべきである。①施設について・ 気管支喘息の病態、経過と予後、診断、治療(参考:喘息予防・管理ガイドライン又は小児気管支喘息治療・管理ガイドライン)を熟知し、本剤についての十分な知識を有し、気管支喘息の診断及び治療に精通する医師(以下のいずれかに該当する医師)が当該診療科の本剤に関する治療の責任者として配置されていること。

【成人気管支喘息患者に投与する場合】医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、以下の研修を含む4年以上の臨床経験を有していること。・ 3年以上の気管支喘息に関する呼吸器科診療の臨床研修 又は・ 3年以上の気管支喘息に関するアレルギー診療の臨床研修【小児気管支喘息患者に投与する場合】医師免許取得後2年の初期研修を修了した後に、以下の研修を含む4年以上の臨床経験を有していること。・ 3年以上の小児科診療の臨床研修 又は・ 3年以上の気管支喘息に関するアレルギー診療の臨床研修・ 本剤の製造販売後の安全性と有効性を評価するための製造販売後調査等が課せられていることから、当該調査を適切に実施できる施設であること。

②院内の医薬品情報管理の体制について・ 製薬企業等からの有効性・安全性等の薬学的情報の管理や、有害事象が発生した場合に適切な対応と報告業務等を速やかに行うこと等の医薬品情報管理、活用の体制が整っていること。

③合併症及び副作用への対応について・ 合併する他のアレルギー性疾患を有する患者に本剤を投与する場合に、当該アレルギー性疾患を担当する医師と連携し、その疾患管理に関して指導及び支援を受ける体制が整っていること(最適使用推進ガイドライン 6.投与に際して留意すべき事項の項5)参照)。

・ アナフィラキシー等の使用上の注意に記載された副作用に対して、当該施設又は近隣医療機関の専門性を有する医師と連携し、副作用の診断や対応に関して指導及び支援を受け、直ちに適切な処置ができる体制が整っていること。

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薬生薬審発0326第7号 (平成31年3月26日) 最適使用推進ガイドラインデュピルマブ(遺伝子組換え)製剤(デュピクセント®) 平成31年3月 厚生労働省

5.投与対象となる患者【患者選択について(成人)】投与の要否の判断にあたっては、以下に該当する患者であることを確認する。1. 喘息予防・管理ガイドラインを参考に、気管支喘息の確定診断がなされている。2. 中用量又は高用量のICSとその他の長期管理薬(LABA〔配合剤を含む〕、LAMA、LTRA、テオフィリン徐放製剤)を併用してもコントロール不良(注1)で、かつ全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪を年に1回以上きたす場合。ただし、併用するICSが中用量の場合には、医師によりICSを当該用量以上に増量することが副作用等により困難であると判断された場合に限る。(注1)喘息予防・管理ガイドラインでは、以下の項目のうち3つ以上該当する場合、

又は予定外受診、救急受診、入院を伴う増悪が月に1回以上の場合、コントロール不良と定義されている。

・ 喘息症状(日中及び夜間)が週1回以上・ 発作治療薬の使用が週1回以上・ 運動を含む活動制限がある・ 呼吸機能(気管支拡張薬投与前のFEV₁及びPEF)が予測値又は自己最良値の80%未満

・ PEFの日(週)内変動が20%以上【患者選択について(小児)】投与の要否の判断にあたっては、以下に該当する患児であることを確認する。1. 小児気管支喘息治療・管理ガイドラインを参考に、気管支喘息の確定診断がなされている。

2. 中用量又は高用量のICSとその他の長期管理薬(LABA、LTRA、テオフィリン徐放製剤)を併用してもコントロール不良(注2)で、かつ全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪を年に1回以上きたす場合。(注2)小児気管支喘息治療・管理ガイドラインでは、以下のいずれかの項目が該

当する場合、コントロール不良と定義されている。・ 軽微な症状が週に1回以上・ 明らかな急性増悪(発作)が月に1回以上・ 日常生活の制限が月に1回以上・ β₂刺激薬の使用が週に1回以上

【患者選択について(成人・小児共通)】本剤投与前の2型炎症に関連するバイオマーカー(血中好酸球数、FeNO、血清中総IgE等)の値が高い場合は本剤の有効性が大きい傾向にある一方で、低い場合には本剤の有効性が十分に得られない可能性が示唆されている。現時点では、本剤が適応となる患者を選択するためのバイオマーカーの基準値は存在しないが、本剤による治療開始に当たって、当該バイオマーカーを1つ以上測定し、その値と臨床成績を考慮した上で、適応するにふさわしいと考える患者にのみ投与すること(最適使用推進ガイドライン 3.臨床成績の項参照)。【投与の継続にあたって(成人・小児共通)】本剤の臨床試験における有効性評価期間(投与開始後52週間)を踏まえ、投与開始後1年程度を目安に効果の確認を行い、効果が認められない場合には漫然と投与を続けないようにすること。

投与対象となる患者について(最適使用推進ガイドラインより抜粋)

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