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公益財団法人 日本卓球協会 For the Player 勝利をめざす前に 大切なことがある。 発行:公益財団法人 日本卓球協会 〒150-8050 東京都渋谷区神南 1-1-1 岸記念体育会館内  TEL 03-3481-2371/FAX 03-3481-2373 http://www.jtta.or.jp/ 監修:指導者養成委員会・競技者育成委員会・強化本部 ※写真はすべてイメージです 発行日:2014年3月31日 制作協力:㈱卓球王国 デザイン・イラスト:㈱ウエイド 選手P-2 たっ きゅう はルールを尊 そん ちょう し、相 あいて 手を尊 そん けい (リスペクト)するスポー ツです。アンフェア(不 ふせい 正)な試 しあい 合態 たいど 度で勝 しょうり 利しても、あなた は誰 だれ からも勝 しょう しゃ として尊敬されません。 また、指 どう しゃ や保 護者、自 じぶん 分のまわりのサポーターへの感 かん しゃ の気 ちを持つことが大 たい せつ です。対 たい せん 相手への尊敬と、自分の 試合をジャッジしてくれた審 しん ぱん いん への尊敬と感謝の気持ちも忘 わす れないでください。 卓球から得 られることは勝利の喜 よろこ びだけではありません。卓 球という素 らしいスポーツとの出 いに感謝することで、あ なたは無 むげん 限の楽 たの しみを得ることができ、生 きていくうえで大切 な数 かず おお くのことを学 まな ぶことができるはずです。

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公益財団法人 日本卓球協会

For the Player

勝利をめざす前に大切なことがある。

手編

発行:公益財団法人 日本卓球協会

〒150-8050 東京都渋谷区神南 1-1-1 岸記念体育会館内  TEL 03-3481-2371/FAX 03-3481-2373 http://www.jtta.or.jp/

監修:指導者養成委員会・競技者育成委員会・強化本部 ※写真はすべてイメージです

発行日:2014年3月31日制作協力:㈱卓球王国デザイン・イラスト:㈱ウエイド

選手へ

P-2

 卓たっ

球きゅう

はルールを尊そん

重ちょう

し、相あ い て

手を尊そん

敬けい

(リスペクト)するスポーツです。アンフェア(不

ふ せ い

正)な試し あ い

合態た い ど

度で勝しょうり

利しても、あなたは誰

だれ

からも勝しょう

者しゃ

として尊敬されません。 また、指

導どう

者しゃ

や保ほ ご し ゃ

護者、自じ ぶ ん

分のまわりのサポーターへの感かん

謝しゃ

の気き

持も

ちを持つことが大たい

切せつ

です。対たい

戦せん

相手への尊敬と、自分の試合をジャッジしてくれた審

しん

判ぱん

員いん

への尊敬と感謝の気持ちも忘わす

れないでください。 卓球から得

られることは勝利の喜よろこ

びだけではありません。卓球という素

晴ば

らしいスポーツとの出で

合あ

いに感謝することで、あなたは無

む げ ん

限の楽たの

しみを得ることができ、生い

きていくうえで大切な数

かず

多おお

くのことを学まな

ぶことができるはずです。

卓球が好きな選手たちへ。

For the Player

P-3

 「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」。こちらから元

げ ん き

気にあいさつをすれば、笑

え が お

顔のあいさつが返かえ

ってきます。 競

きょうぎじょう

技場、練れんしゅうじょう

習場を使し よ う

用した後あと

はゴミは残のこ

さず、忘れ物もの

はしない。スポーツマンとして当

たり前まえ

のことを実じっ

践せん

しましょう。 スポーツにはルールがあります。卓球にもルールがあります。ルールがあるからゲーム(試合)が展

てん

開かい

できるのです。ゲームは、ルールに従

したが

って相手選せん

手しゅ

と戦たたか

い、審判員がルールに基もと

づいて勝か

ち負ま

けを判はん

定てい

します。ルール・相手・判定を尊重しながら試合を進

すす

めていくことが、スポーツの原げん

点てん

です。

あいさつとルール

選手へ

P-4

 「スポーツマンシップ」とは、スポーツマンとしての品ひん

性せい

とマナーを身み

につけている態度のことです。選手として、試合では勝つために全

ぜん

力りょく

を尽つ

くすのは当とう

然ぜん

ですが、それは勝つためには何

なに

をやっても良よ

いということではありません。スポーツマン同

どうし

士が競きそ

い合あ

い、高たか

め合うから、スポーツをすること自

じたい

体を楽しむことができます。 格かく

下した

の相手に対たい

して手て

を抜ぬ

くようなプレーをしたり、試合が終

わってから相手や審判員と握あく

手しゅ

をしないでベンチに戻もど

る……このような態度はスポーツマンの態度とはいえません。どんなにうれしくても、悔しくても、相手と審判員に敬

けいい

意を払はら

うのがスポーツマンです。スポーツマンとしての態度を身につけて、卓球を大

おお

いに楽しみましょう。

スポーツマンシップを知っていますか

For the Player

P-5

 スポーツマンシップにのっとり、 ルールを正ただ

しく理り か い

解し、ルールを守

まも

り、相手と審判員に敬意を払い、公こう

正せい

な態度を持つことがフェアプレーです。 勝つためには何をしても良いのが卓球ではなく、選手として自分自

じ し ん

身が、また相手選手が、そして試合を観み

ている人ひと

が、戦い終わって清

すが

々すが

しくなるような試合態度でプレーをしましょう。 フェアプレーで試合をするからこそ、卓球をやる意

味み

があり、卓球というスポーツの価

値ち

を高たか

められるのです。

フェアプレーがあるから卓球がある

ネットインやエッジボールが入った時には、軽くフリーハンドを挙げて、「すみません」というしぐさをしよう

選手へ

 負けて悔しすぎて、あるいは勝ってうれしすぎて、試合後に相手選手や審判員と握手しないのはスポーツマンシップに欠

ける行為です。また、最さい

近きん

では、相手の顔かお

も見み

ずに、手のタッチだけという場

ば め ん

面も見み

受う

けられますがこれも好ましくありません。相手に敬意を払いながらしっかりと握手をすることがスポーツの礼

れ い ぎ

儀の基き ほ ん

本です。 負けても、悔しい気持ちを抑

おさ

え、相手を尊重し、「正

せい

々せい

堂どう

々どう

と試合をしてくれてありがとう。今

こ ん ど

度は勝ちますよ」という意味も込

めて、相手としっかり握手をすることが選手としての礼儀です。

P-6

相手のサービスミスやネットイン、エッジボールへの、ガッツポーズはNG(ノーグッド)!

試合の後に握手を求め、求められたら無視しない

 相手のサービスミスや、マイボールがエッジやネットインで得

とくてん

点になった時とき

のガッツポーズは、バッドマナーです。卓球選手としては好

この

ましくない行こ う い

為です。

For the Player

P-7

握手はスポーツの礼儀の基本です!

対戦相手と

指導者と

審判員と

選手へ

 ゲーム間かん

の休きゅう

憩けい

や、タイムアウトの 1分ぷん

間かん

を超こ

えても、アドバイスが終わらずに台

だい

につかない場合は、イエローカードの対たい

象しょう

となります。1分となった時

じ て ん

点で審判員は 「タイム」とか「時

じ か ん

間です」とコールしますが、それは 1分を過

ぎても出てこない時の警告です。 ゲームをスムーズに進めるためにも、1分間以

い な い

内でコートに戻りましょう。また、ラリーとラリーの合

あ い ま

間にわざと相手をじらすような行

こう

動どう

もバッドマナーといえるでしょう。

 自分のモチベーションを高めようとする言

こ と ば

葉であったり、ガッツポーズはバッドマナーとはなりません。しかし、大

おお

声ごえ

で相手をののしったり、汚きたな

い言葉を使つか

ったり、観

かん

客きゃく

に不ふ

快かい

感かん

を与あた

えた場ば あ い

合、バッドマナーとなり、イエローカード(警

けい

告こく

・2 回かい

目め

には失しっ

点てん

となる)が出で

る可か

能のう

性せい

があります。 相手のボールがエッジボールやネットインの時に、「きたねえ」などの暴

ぼう

言げん

はつつしみましょう。

P-8

エッジ、ネットイン時の暴言は違反行為!

時間が過ぎているのに、コートにわざと戻らないのは違反行為!

For the Player

 判定に抗こ う ぎ

議した人に対して、ベンチからヤジを飛

ばす。この行為はルール上

じょう

の処しょ ばつ

罰対象にはなっていませんが、バッドマナーであり、関

かんけいしゃ

係者としては見

苦ぐる

しく、目め

をそむけたくなる光

こう

景けい

です。場合によって(内容によって)警告の対象になる可能性があります。

 卓球台だい

やフェンスなどをけったり、思

おも

い切き

りボールを投な

げつけたりする行為は、バッドマナーとしてイエローカードとなります。このような違

い は ん

反が重かさ

なるとレッドカードで相手の得点となります。

P-9

自分のミスに怒って、卓球台をドン !! は違反行為!

抗議中にベンチからヤジを飛ばすのはバッドマナー

選手へ

 試合中ちゅう

にアドバイスしたり、サインを送おく

るのは違反行為で、イエローカードの対象となります。「頑

が ん ば

張れ」「ファイト」のような励

はげ

ましの応おう

援えん

ならアドバイスとはみなされませんが、具

ぐ た い て き

体的に「バックを狙ねら

え」「フォア前だぞ」というようなアドバイスや、作

さく

戦せん

を伝つた

えるためのサインは違反行為です。アドバイスやサインを送った人がイエローカード・退

たい

場じょう

(ペナルティー)の対象です。

P-10

試合中のアドバイスやサインは違反行為!

敗者審判の役目を果たそう

観客席から相手選手への暴言は違反行為!

 大たいかい

会では、負けた選手が「敗はい

者しゃ

審判」として、次つぎ

の試合の審判を務つと

めるのはよくあることです。負けた直

ちょくご

後に、次の審判員をするのは辛つら

いことですが、それが大会のルールならばしっかりと審判員の役

やく

割わり

を果は

たす必ひつ

要よう

があります。

 観客席せき

からアドバイスしたり、相手へのヤジは飛ばさないようにしましょう。さわやかな応援は良いのですが、相手選手へのヤジはマナー違反です。

For the Player

P-11

Ping Pon

g !スマイル

選手へ

P-12

 フェアプレーというのは「公正にプレーする」ことです。 たとえば、こういうケースがあります。相手の打

ったボールが自分のコートのエッジをかすめた。審判員は見

落お

として「アウト」と判はん

断だん

し、自分の得点にした。ところが相手選手は「セーフ」だとアピール。 あなたなら、どうしますか? 自分はエッジボールだとわかっていても、判定がアウトだから、「ラッキー」だと思いますか? 相手選手がアピールしているのに「判定がアウトなので、自分の得点です」と主

しゅちょう

張しますか? 相手のボールが入

はい

っていて、自分の得点ではないのに、ごまかして自分の得点にしたままプレーを続

つづ

けると、嫌いや

な気持ちを持ったままで戦うことになります。かりに試合で勝ったとしてもその嫌な気持ちは残ります。 自分をごまかして審判員の誤

あやま

った判断のまま得点を受け入い

れることは、ルール違反ではありませんが、「公正=フェア」な態度ではないことになります。その時に、「今

いま

の相手のボールは入っています」と審判員に自みずか

らはっきり言い

うことが真しん

のフェアプレーと言えるでしょう。

自分の失点だとわかっていたら……

イラスト後送

For the Player

P-13

 1977年ねん

世せ か い

界選せんしゅけん

手権バーミンガム大会、男だ ん し

子シングルスの 7回かい

戦せん

(ベスト 8決けっ

定てい

戦)でスウェーデンのステラン・ベンクソン(71年世界チャンピオン)選手とドイツのミルフリード・リーク選手が対戦しました。 ゲームオールの 20対19、ベンクソン選手のマッチポイントでした。ラ

リーでベンクソン選手が打ったストレートへのバックハンドが、コートをかすめましたが、セーフともアウトとも言える判断が難しいものでした。ベンクソン選手も「ん?入ったよね……」というジェスチャーを示

しめ

していましたが、リーク選手はそのボールを拾ひろ

いに行ってコートに戻ってくるなり、何

なに

事ごと

もなかったかのように、ベンクソン選手に握手を求

もと

め、ゲームが終しゅう

了りょう

しました。 世界選手権という大

おお

舞ぶ た い

台で、ゲームを決けっ

する大だ い じ

事な場面で、リーク選手は正々堂々たる態度を見せました。セーフともアウトとも言える、誰もが躊

ちゅうちょ

躇したくなる場面で、彼

かれ

はフェアプレーを貫つらぬ

いたのです。 リーク選手はこの大会で「フェアプレー賞

しょう

」を受じゅしょう

賞しました。

世界選手権でのフェアプレー賞「エッジ?」「ミス?」リーク選手の正々堂々たる態度

column

リーク選手は世界選手権という大舞台でフェアプレーを貫いた

男子シングルス7回戦でベンクソン選手(手前)と対戦するリーク選手

選手へ

リスペクトする人たち

 「リスペクト」(respect)は「尊敬する」という意味です。 選手は、試合で「相手」と「審判員」をリスペクトします。コートに入ったら試合前に相手選手と握手をして、審判員とも握手をします。そして、ゲーム終了後に同

おな

じように相手選手と審判員と握手します。これらは「リスペクト」の気持ちを表

あらわ

す行動として習

しゅうかん

慣にしましょう。 普

ふ だ ん

段の練習では「コーチ」をリスペクトしましょう。コーチの言葉に謙

けん

虚きょ

に耳みみ

を傾かたむ

けることが、選手の強つよ

くなる条じょうけん

件のひとつです。 そして、あなたの周

まわ

りにはサポーターがいませんか。チームの応援団

だん

、マネージャーのような裏うら

方かた

の人たち、ラケットを買か

ってくれたり、送そう

迎げい

をしてくれる保護者の方かた

々がた

……これらの方があなたのサポーターです。このサポーターの方々への「リスペクト」も決して忘れてはいけません。 最

さ い ご

後に、「卓球仲な か ま

間」へのリスペクト。チームメイト、そして相手チームの選手たちもあなたの「卓球仲間」です。仲間がいるからあなたが卓球をすることができるのです。卓球はひとりでは決してできないスポーツです。仲間へのリスペクトを忘れないことは、あなたにとってかけがえのない大切なことです。 「今

き ょ う

日はありがとう」「また卓球をやろうね」「次は負けないぞ」とお互

たが

いが声を掛か

け合えるような関係になるためには、そういう仲間への思いやりや尊敬の気持ちが大切です。

P-14

For the Player

 卓球はひとりではできない競技です。それゆえ、仲間を大切にすることが大事です。チームのため、卓球仲間のため、そして自分を応援してくれるサポーターのための行動をとりましょう。お互いが助

たす

け合い、尊敬し合い、協きょう

力りょく

しながら卓球を楽しみましょう。

フォア・ザ・チーム、

  フォア・ザ・サポーター

P-15

選手へ

 「グッド・ルーザー」(Good Loser)という言葉があります。「良き敗者」です。 ルールに従い、フェアプレーで戦い、勝つために最

さいだいげん

大限の努どりょく

力を積つ

み、良いゲームをしましょう。ルール違反となる行動を取

ってはいけません。 良いゲームをするためには勝

しょうはい

敗にこだわりすぎないことです。そして、負けた時の態度も大事です。ふてくされた態度を取らず、負けた結

け っ か

果を素す な お

直に受け止と

め、次に何をすべきかを考えましょう。 それが「良き敗者」の姿

すがた

といえるでしょう。 選手が敗

はい

北ぼく

に直ちょくめん

面した時、いかに振ふ

る舞ま

えるか? 応援してくれた人や支

ささ

えてくれた人は、そこも見ているものです。

P-16

「良グッド・ルーザー

き敗者」とは何か

For the Player

 「真の勝利」とは、ルールを守り、審判員と相手選手に敬意を払って正々堂々と戦い、つかみ取るものです。 「真の勝者」とはフェアプレーに徹

てっ

し、審判員や相手選手からも敬意を払われる選手です。ルール違反やアンフェアなプレーで勝利しても、それは「真の勝利」とは言えません。審判員や相手選手を不快にさせて勝利しても、その人を誰が「真の勝者」とリスペクトしてくれるでしょうか。 卓球選手として、最

さいぜん

善を尽くし、「真の勝者」となることをめざしましょう。

P-17

真の勝利とは何か

  真の勝者とは何か