農業・農村分野における gisの取り組みについて 平成17年度gisセミナー...
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H18.3.2 平成17年度GISセミナー
【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)農業・農村分野におけるGIS活用分野
~遊休農地対策・農地利用調整~
高齢化・後継者不足などの理由により、非農家所有の農地や山間農業地域などを中心に耕作放棄が増加。意欲と能力のある担い手への農地集積が急務。
市町村農業委員会等が、GISを用いて農家の営農意向(拡大【赤】、現状維持【緑】、縮小意向【黄】)を色分け表示して、 も作業効率の良い農地利用権設定の組み合わせを、農家の協力の下で調整
(単位:千ha)
昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年
135 217 244 343 385資料:農林水産省「農林業センサス」
注:平成17年は概数値である。 12.2%増加
耕作放棄地面積の推移
H18.3.2 平成17年度GISセミナー
【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)農業・農村分野におけるGIS活用分野
~営農管理~
市町村や農業者団体等が、農地毎の土壌分析データ、食味値データ、堆肥投入量等をGISで管理・分析することで、高品質・良食味米の高位安定生産に応用
•減農薬、減化学肥料栽培と通常型農業の混在する地域では、無人へりによる農薬散布時に、減農薬栽培のほ場と、通常栽培のほ場の間に、農薬の飛散防止のための緩衝帯を設置する等、共同防除作業計画を策定
•GISで農地毎に「有機栽培」、「減農薬、減化学肥料栽培」等の情報を表現することで、農家が周辺農地の状況を十分理解して計画を策定することが可能
近年、消費者の食の安全に対する関心が高まり、無農薬栽培や有機栽培等が普及。農地流動化により耕作者の入れ替わりも多く、農地毎の施肥や農薬散布履歴等の栽培履歴管理が益々重要。
H18.3.2 平成17年度GISセミナー
【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)農業・農村分野におけるGIS活用分野
~生産・転作調整~
米政策改革により、これまで行政が行っていた生産目標数量の設定・配分を農業者と農業者団体が主体的に取り組むシステムに移行。平成19年度からの移行に向け地域の構造改革が急務。
新たな需給調整システム
JA等の生産調整方針作成者(方針作成者)がシステムの中核となり、地域協議会等から提供される情報等を基にJA等の方針作成者自らの生産目標数量を決定するとともに、当該JA等の生産調整方針に参加する農業者に対し、生産目標数量を配分
「経営所得安定対策大綱 平成17年10月 農林水産省」2.米政策改革推進対策 3.新たな需給調整システムの大枠より
農業者団体等が、農家の作付意向や所有農地面積などの情報を基に、生産目標数量に即した、団地化等の 適な作付計画をGISを用いてシミュレーションし、農家の理解を得ながら策定することが可能
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)農業・農村分野におけるGIS活用分野
~施設管理~
農業用用排水路は約40万km、ダム、頭首工は、約7,100ヵ所に及び、25兆円の資産価値。これら土地改良施設の適切な予防保全対策による長寿命化と更新コストの縮減が急務。
土地改良区等の施設管理者が、戦略的な施設の保全・更新の参考とするため、施設の耐用年数や診断結果、補修履歴などの情報の一元管理に応用
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1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025年
施設数
■ 施設数5年の移動平均
増加
建設 更新
施
設
機
能
高
低
施設の長寿命化
耐用年数の延伸
事後保全 : 施設の故障が致命的になってから整備更新を実施予防保全 : 施設の故障が致命的になる前に適切な補修を実施
更新
(事後保全)
A
c
ab
機能診断予防保全
機能診断予防保全
機能診断予防保全
時 間 経 過
※保全に必要な費用の比較
A ≧ a+b+c(事後保全) ( 予防保全 )
頭首工 用水路(管水路)
用水路(開水路) ポンプ
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)農業・農村分野におけるGIS活用分野
~防災・減災対策~
近の集中豪雨や台風により、農地や農業用施設のほか、人家や人命に甚大な被害が発生しており、ハザードマップの作成や防災情報伝達システム等の防災・減災対策(ソフト対策)の充実が急務
←平成15年7月18日からの梅雨前線による大雨に伴う土石流災害(熊本県水俣市宝川内地区)
↑平成16年8月20日の台風15号による大雨に伴うため池決壊災害(愛媛県新居浜市臼切りため池)
↑平成16年10月20日からの台風23号による大雨に伴うため池決壊災害(兵庫県五色町地区)→平成15年7月18日からの梅雨前線による大雨に伴う土石流災害(熊本県水俣市宝川内地区)
※農業工学研究所谷上席研究官資料より
市町村等は、GISの地形データ等の取得による氾濫シミュレーションや解析結果(氾濫想定区域)の表示に利用することが可能
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
GISの特徴を生かした使い方
情報共有・相互利用
農業関係機関での共有市町村、農業委員会、農協、土地改良区、
農業共済・・・
視覚的な表示・分析
農家の理解増進
情報整理の高度化・情報検索の
迅速化
圃場(一枚毎)の情報管理面積、所有者、耕作者、作付意向、賦課
金、営農履歴、土壌分析・・・
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
農業・農村分野におけるGIS活用
分野 使い方 空間データ(例)
計画説明
事業管理
圃場図、施設
〃
圃場図、地籍図
〃
〃
〃
圃場図、地籍図
〃
〃
〃
〃
〃
施設
施設
農地利用調整
遊休農地対策
賦課金管理
農地転用
生産、転作調整
生産履歴の蓄積
土壌分析
生産指導
作業受委託
鳥獣被害対策
施設管理
用水管理
地域分析・資源評価
防災・減災対策
活用主体(例)
国、地方公共団体、土地改良区など
〃
市町村、農業委員会など
農業委員会
土地改良区
国、地方公共団体
集落、農協など
農協など
農協など
農協など
農協など
市町村、農業共済など
土地改良区など
土地改良区など
市町村、集落など
市町村など
施設管理
地域づくり
農業農村整備事業
農地管理
営農管理
特徴②民間団体を含む各農業関係機関が空間データや属性データを共有可能
特徴①圃場図(一枚毎)、地籍図(一筆毎)、施設に関する空間データ比較的大縮尺(1/1000~2500程度)での利用
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
市町村農政課
産地づくり交付金
制度の対象となる水稲作付の面積などの地形形状を把握
市町村農業委員会
農家台帳農地のまとめ調整
農協
トレーサビリティ
営農指導
農薬散布記録等の生産履歴を圃区毎に記録し、販売時に表示畑作転換に伴い、転作計画に従い転作地域の調整
共済組合農業共済・生産管理
現況の生産作物や生産面積から共済掛け金を算定
農業センター
営農指導・分析
売れる米づくりに向けて、土壌分析の結果営農指導に反映
土地改良区
土地台帳受益者を特定して土地所有者に対する賦課金を算定・徴収
関係機関の業務 空間・属性データ
地籍図 +圃場図 + 所有者 + 耕作者 + 作物
圃場図 + 耕作者 + 作物
地籍図 + 圃場図 + 耕作者 + 作物
地籍図 + 圃場図 + 耕作者 + 作物
<効果>•同じ情報を各機関が管理する無駄の排除•情報の不正確さやミスの排除
<効果>•同じ情報を各機関が管理する無駄の排除•情報の不正確さやミスの排除
地籍図 圃場図 所有者 耕作者作物、品質、
収量一元管理
圃場図 + 耕作者 + 作物 +生産履歴
圃場図 + 耕作者 + 作物 +生産履歴
地籍図 + 所有者 + 貸借意向
農業・農村分野におけるGIS活用
各農業関係機関で同種の情報を利用。情報の共有が不可欠
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
GIS活用に向けた取り組み
H13 H14 H15 H16 H17 H18 2001 2002 2003 2004 2005 2006
GISアクションプログラム2002-2005 (H14.2 GIS関係省庁連絡会議)
4.GISの本格的な普及支援(1)地方公共団体との協力、地域への支援○2005年度末までに地方公共団体が実施する農業振興地域における1/2500
レベルの地理情報の概成を目指し、その整備を支援する。(農林水産省)
農村振興地理情報統合システム開発事業(H13~H16)地図情報の共有基盤、情報標準の整備の推進事業主体:(財)日本水土総合研究所
産地づくり支援農地情報整備促進事業(H16)農業関係団体等が共有する農地情報のデータ整備や相互利用のためのシステム導入事業主体:市町村、土地改良区、農協、農業委員会等
元気な地域づくり交付金 農地情報整備支援(H17)農業関係団体等が共有する農地情報のデータ整備や相互利用のためのシステム導入事業主体:市町村、土地改良区、農協、農業委員会等
農村振興地理情報システムデータ整備事業(H13~H16)地図情報(主な農業用施設含む)の整備の推進事業主体:都道府県、市町村
農地情報整備促進事業(H17~H22)農地関連地図情報の一元的管理及び提供等事業主体:(財)日本水土総合研究所
活用支援
共有推進
空間データ整備
※主な事業を紹介しており、ほかに空間データ整備が可能な事業はある
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
日本水土図鑑GIS(農地情報整備促進事業)空間データ(デジタルオルソ)の整備状況
農業振興地域 1,720万ha
整備対象地域880万ha
森林、自然公園等との重複地域840万ha
整備済の地域 714万ha整備率714万ha/880万ha=81%
※H16.2 農林水産省地域整備課とりまとめによる
GIS活用に向けた取り組み
農村振興地理情報システム整備事業における空間データ調達仕様書(H15.3)
•地理情報標準にほぼ準拠
•デジタルオルソ画像をベースとした農地の区画形状等の空間データ作成に用いる•レイヤ数44(索引図・区域、農地基図、農業生産基盤、農村生活環境基盤)•範囲、レイヤ、取得レベル・要件、品質要件、品質検査等
農業振興地域の約8割に相当する面積のデジタルオルソを整備
空間データ調達仕様書をH15.3に作成
農地情報整備促進事業では関係機関への地図情報提供を開始
縮尺1/25,000 の基幹水利施設等に関する地図情報と縮尺1/2,500 の農業生産基盤、農村生活環境基盤等に関する地図情報を関係機関に提供http://www.nngis.jp/
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
GIS活用に向けた取り組み
ため池
環境配慮事例
地すべり防止区域
生きものマップ
農林水産省のデータベースにおいて、位置情報による検索にGISを活用
ため池の位置及び管理者等の諸元
国営事業における環境配慮施工の概要 環境調査で確認された生物種及び確認時期等の諸元
地すべり防止区域の範囲及び面積等の諸元
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
GIS活用の課題
○情報の共有化・相互利用の状況
実施中 未実施
15.9% 84.1%
市町村 5.0% 95.0%土改区 8.2% 91.8%
計 6.8% 93.2%
○未実施の理由(農業分野) ○未実施の理由(自由回答)35.7% ・データ整備の費用が把握できていない
23.0% ・データ更新のための費用がかかる③情報管理に関する不安感等 23.1% ・個人情報の為共有は困難④メリット、必要性がない 9.6% ・他機関が興味を示さない⑤その他 8.6% ・他機関が他のGISを導入済み※全回答数:823(複数回答) ・共有化の体制整備が必要
①他機関との共有化等について未検討
②他機関との共有化等の課題が未整理
出典統合型GISポータル((財)地方自治情報センター)
地域整備課調べ(調査市町村数339)
行政一般(統合型GISの導入率)
農業分野(他の農業関係機関との情報共有率)
地域整備課調べ(調査改良区数399)
農業関係機関間で空間・属性データの共有は進んでいない
情報共有に向けた他機関との共有化を検討していないことや、情報管理の費用的・人員的な課題にも直面していること等が原因
※H17.5 農林水産省地域整備課調べ
H18.3.2 平成17年度GISセミナー
【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
農業用用排水施設
画像、地形図
圃場図・地籍図
所有・耕作者情報
貸借意向情報
作付作物・営農履歴情報 等
農地関連情報(傾斜度、農道整備状況等)
農業用水関連情報(用・排水状況、水利慣行等)
GIS普及に向けて~農業・農村基盤地図~
農業関係機関において汎用性の高い空間データ【「農業・農村基盤地図」(圃場図、地籍図、施設等、1/2500程度)】は農業・農村の発展に不可欠なインフラ
多様な取組に活用する情報の整備に
不可欠な基礎的情報
農業・農村の振興を図るための
多様な取組に活用する属性情報
農業・農村基盤地図(1/2500程度)の整備
農業・農村基盤地図(イメージ)
地籍図
圃場図
用水路
ため池
排水路
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
(例)農業・農村基盤地図や属性情報の格納空間を提供するGISセンター
GIS普及に向けて~GIS利用環境を整備~
GISセンターA市 ・・・ B村 ・・・ C市
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・・・
農地関連情報等 農地関連情報等
C市
A町
農地関連情報等
(C市)地図データだけを背景図として利用
(A町)センターを利用してGIS活用
農業関係機関が、農業・農村基盤地図(圃場図、地籍図、施設等)を利用(共有)しやすい環境づくりが重要
インターネットWebGIS
インターネットWebGIS
農業・農村基盤地図(1/2,500)
•空間データの一元管理による効率化、情報信頼度向上•農業関係機関における独自システム管理が不要
地籍図
圃場図
用水路
ため池
排水路
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【GISのさらなる飛躍に向けて】(第5回)
GIS普及に向けた取り組み
2. 農業・農村分野におけるGIS活用のインフラとなる「農業・農村基盤地図(圃場図、地籍図、施設等)」の整備
3. 地理情報標準に完全準拠した「農業・農村基盤地図」のデータ仕様の確立
4. 「農業・農村基盤地図」の共有体制の整備(管理主体等)
1. 農業・農村分野におけるGIS活用や空間・属性データの共有に関する普及・啓発
問い合わせ先(農業・農村分野におけるGIS活用)農林水産省農村振興局整備部地域整備課 または各地方農政局整備部農村整備課
5. 統合GIS等の既存の空間データやGISシステムとの連携
農地情報活用支援事業(H18新規)(1)普及・啓発(2)指導・助言
水土里情報利活用促進事業(H18新規)(1)情報システムの開発(2)農地や水利施設等に関する情報の収集・整備(3)情報システムの運用
平成18年2月現在の状況であり、今後変更となる可能性がある