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138 分科会K2 震災時のデ 1.はじめに 本校の生徒は約7割が自分の携帯電 ォンを所持し、所持している生徒の FaceBook などのSNSを活用してい ートから「SNSに関わるトラブルを な思いをした」が生徒もいることが明 デジタルネイティブ世代の生徒にとっ 育は必須であり、多くの情報から必要 択する力、情報をクリティカルに読み うことは急務である。 そこで、本実践はデマについて扱 におけるデマの拡散を題材とし、震災 から検討し、情報活用能力を育成する 2.実践の特長・ねらい 本実践では、次の3つのポイント(1)地域に密着した課題 本県では南海トラフ地震におけるハ 示されている。これによると本校は津 予想される地域である。地震が起これ 報は限られてしまう。その情報を生徒 に捉え、どのように扱うかによって命 もなる。生徒が、生き抜くための情報 にも、今回の授業は大切だと考える。 (2)協働学習に適した課題 本実践で扱った課題は一人で解決す 生徒のこれまでの経験や知識など大き だからこそ、協動的な学びを取り入 理解し、最適解を追求する課題は協働 すると考えたからである。 (3)協働学習を支援するアプリの活 生徒同士が教え合い、学び合う学習 CT機器を活用した。また、学習活動 プリ、XingBoard(以下、XB)も活 XBは、4台のタブレットを利用して 見やアイデアを付せんの形で他のタブ つ自由に送り合うことができる。 デマから考える情報伝達に関する議論活動 松阪市立三雲 キーワード 中学校, タブレッ 電話、スマートフ 8割はLINEや る。また、アンケ を経験した」、「嫌 明らかになった。 って情報モラル教 要な情報を取捨選 み解く力などを養 う。東日本大震災 災時の心理と判断 る。 を重視したハザードマップが 津波による浸水が れば、受け取る徒自身がどのよう 命に関わることに 報を手にするため することは難しい。 きく左右する。 入れた。多様性を 働的な学びを促進 活用 、協働学習にI 動が支援できる活用した(図1)。 て、複数の人の意 ブレットに簡単か 写真1 アプリを活用し考 3.実践概要 本実践は全4時間で行った。 第1時 SNSとデマを知ろう SNSの仕組み、情報伝達の 伝達には良い点、悪い点がある なデマを取り上げ、デマが拡散 いて考えた。 第2時 情報の受信者としてデ うにすればいいか考えよう 1人1台のタブレット とXB スマートフォンにはデマ情報情報を見抜くためにはどのよう いかを考えた。生徒はデマを見 ィカルに読み解く事が必要で、 「根拠を見つける」「語尾を見る 考えた。 第3時 震災時多くの人がデマ まった原因について考えよう 第2時と同様に1人1台のした。第2時で、デマの見抜き方 震災時にはデマの数が増え、拡 災時、多くの人がデマを見抜け いて考えた。 第4時 専門家に話を聞こう 情報を扱う専門家として報道 を招き、パネルディスカッショ らそれぞれの立場でのお話をを行った。 生徒は情報を扱うこと これまでの情報の扱い方を見直 に情報と、つきあっていくか、 何を考え、どのような行動をと ることができた。 中学校 教諭 楠本 ,協働学習,言語活動 考えを共有する様子 以下に概要を記す。 の仕組みを知った。情報 ることも知った。具体的 散した場合の問題点につ デマを見抜くにはどのよ Bを活用した。 携帯電話、 が届く場合がある。この な事に気をつければよ 見抜くには情報をクリテ 「発信者を見る」 る」等の行為が必要だと マを見抜けず拡散してし タブレットとXBを活用 方について理解したが、 拡散された。そこで「震 けず拡散した原因」につ 道番組制作者、新聞記者 を行った。お二人か 伺い、生徒との質疑応答 との重大さを再確認し、 直し、これからどのよう 地震が起こったときに とるか、一人一人が考え

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Page 1: (&É >I>0 - JAPETートから「SNSに関わるトラブルを な思いをした」が生徒もいることが明 デジタルネイティブ世代の生徒にとっ 育は必須であり、多くの情報から必要

− 138 −

分科会K2

分科会K2

震災時のデ

1.はじめに

本校の生徒は約7割が自分の携帯電

ォンを所持し、所持している生徒の

FaceBook などのSNSを活用してい

ートから「SNSに関わるトラブルを

な思いをした」が生徒もいることが明

デジタルネイティブ世代の生徒にとっ

育は必須であり、多くの情報から必要

択する力、情報をクリティカルに読み

うことは急務である。

そこで、本実践はデマについて扱

におけるデマの拡散を題材とし、震災

から検討し、情報活用能力を育成する

2.実践の特長・ねらい

本実践では、次の3つのポイントを

(1)地域に密着した課題

本県では南海トラフ地震におけるハ

示されている。これによると本校は津

予想される地域である。地震が起これ

報は限られてしまう。その情報を生徒

に捉え、どのように扱うかによって命

もなる。生徒が、生き抜くための情報

にも、今回の授業は大切だと考える。

(2)協働学習に適した課題

本実践で扱った課題は一人で解決す

生徒のこれまでの経験や知識など大き

だからこそ、協動的な学びを取り入

理解し、最適解を追求する課題は協働

すると考えたからである。

(3)協働学習を支援するアプリの活

生徒同士が教え合い、学び合う学習

CT機器を活用した。また、学習活動

プリ、XingBoard(以下、XB)も活

XBは、4台のタブレットを利用して

見やアイデアを付せんの形で他のタブ

つ自由に送り合うことができる。

デマから考える情報伝達に関する議論活動

松阪市立三雲

キーワード 中学校,タブレッ

電話、スマートフ

8割はLINEや

る。また、アンケ

を経験した」、「嫌

明らかになった。

って情報モラル教

要な情報を取捨選

み解く力などを養

う。東日本大震災

災時の心理と判断

る。

を重視した。

ハザードマップが

津波による浸水が

れば、受け取る情

徒自身がどのよう

命に関わることに

報を手にするため

することは難しい。

きく左右する。

入れた。多様性を

働的な学びを促進

活用

習、協働学習にI

動が支援できるア

活用した(図1)。

て、複数の人の意

ブレットに簡単か

写真1 アプリを活用し考

3.実践概要

本実践は全4時間で行った。

第1時 SNSとデマを知ろう

SNSの仕組み、情報伝達の

伝達には良い点、悪い点がある

なデマを取り上げ、デマが拡散

いて考えた。

第2時 情報の受信者としてデ

うにすればいいか考えよう

1人1台のタブレットとXB

スマートフォンにはデマ情報が

情報を見抜くためにはどのよう

いかを考えた。生徒はデマを見

ィカルに読み解く事が必要で、

「根拠を見つける」「語尾を見る

考えた。

第3時 震災時多くの人がデマ

まった原因について考えよう

第2時と同様に1人1台のタ

した。第2時で、デマの見抜き方

震災時にはデマの数が増え、拡

災時、多くの人がデマを見抜け

いて考えた。

第4時 専門家に話を聞こう

情報を扱う専門家として報道

を招き、パネルディスカッショ

らそれぞれの立場でのお話を伺

を行った。生徒は情報を扱うこと

これまでの情報の扱い方を見直

に情報と、つきあっていくか、

何を考え、どのような行動をと

ることができた。

中学校 教諭 楠本 誠

ト,協働学習,言語活動

考えを共有する様子

以下に概要を記す。

の仕組みを知った。情報

ることも知った。具体的

散した場合の問題点につ

デマを見抜くにはどのよ

Bを活用した。携帯電話、

が届く場合がある。この

な事に気をつければよ

見抜くには情報をクリテ

「発信者を見る」

る」等の行為が必要だと

マを見抜けず拡散してし

タブレットとXBを活用

方について理解したが、

拡散された。そこで「震

けず拡散した原因」につ

道番組制作者、新聞記者

ンを行った。お二人か

伺い、生徒との質疑応答

との重大さを再確認し、

直し、これからどのよう

地震が起こったときに

とるか、一人一人が考え

Page 2: (&É >I>0 - JAPETートから「SNSに関わるトラブルを な思いをした」が生徒もいることが明 デジタルネイティブ世代の生徒にとっ 育は必須であり、多くの情報から必要

− 139 −

分科会K2

JAPET&CEC成果発表会

震災時のデ

1.はじめに

本校の生徒は約7割が自分の携帯電

ォンを所持し、所持している生徒の

FaceBook などのSNSを活用してい

ートから「SNSに関わるトラブルを

な思いをした」が生徒もいることが明

デジタルネイティブ世代の生徒にとっ

育は必須であり、多くの情報から必要

択する力、情報をクリティカルに読み

うことは急務である。

そこで、本実践はデマについて扱

におけるデマの拡散を題材とし、震災

から検討し、情報活用能力を育成する

2.実践の特長・ねらい

本実践では、次の3つのポイントを

(1)地域に密着した課題

本県では南海トラフ地震におけるハ

示されている。これによると本校は津

予想される地域である。地震が起これ

報は限られてしまう。その情報を生徒

に捉え、どのように扱うかによって命

もなる。生徒が、生き抜くための情報

にも、今回の授業は大切だと考える。

(2)協働学習に適した課題

本実践で扱った課題は一人で解決す

生徒のこれまでの経験や知識など大き

だからこそ、協動的な学びを取り入

理解し、最適解を追求する課題は協働

すると考えたからである。

(3)協働学習を支援するアプリの活

生徒同士が教え合い、学び合う学習

CT機器を活用した。また、学習活動

プリ、XingBoard(以下、XB)も活

XBは、4台のタブレットを利用して

見やアイデアを付せんの形で他のタブ

つ自由に送り合うことができる。

デマから考える情報伝達に関する議論活動

松阪市立三雲

キーワード 中学校,タブレッ

電話、スマートフ

8割はLINEや

る。また、アンケ

を経験した」、「嫌

明らかになった。

って情報モラル教

要な情報を取捨選

み解く力などを養

う。東日本大震災

災時の心理と判断

る。

を重視した。

ハザードマップが

津波による浸水が

れば、受け取る情

徒自身がどのよう

命に関わることに

報を手にするため

することは難しい。

きく左右する。

入れた。多様性を

働的な学びを促進

活用

習、協働学習にI

動が支援できるア

活用した(図1)。

て、複数の人の意

ブレットに簡単か

写真1 アプリを活用し考

3.実践概要

本実践は全4時間で行った。

第1時 SNSとデマを知ろう

SNSの仕組み、情報伝達の

伝達には良い点、悪い点がある

なデマを取り上げ、デマが拡散

いて考えた。

第2時 情報の受信者としてデ

うにすればいいか考えよう

1人1台のタブレットとXB

スマートフォンにはデマ情報が

情報を見抜くためにはどのよう

いかを考えた。生徒はデマを見

ィカルに読み解く事が必要で、

「根拠を見つける」「語尾を見る

考えた。

第3時 震災時多くの人がデマ

まった原因について考えよう

第2時と同様に1人1台のタ

した。第2時で、デマの見抜き方

震災時にはデマの数が増え、拡

災時、多くの人がデマを見抜け

いて考えた。

第4時 専門家に話を聞こう

情報を扱う専門家として報道

を招き、パネルディスカッショ

らそれぞれの立場でのお話を伺

を行った。生徒は情報を扱うこと

これまでの情報の扱い方を見直

に情報と、つきあっていくか、

何を考え、どのような行動をと

ることができた。

中学校 教諭 楠本 誠

ト,協働学習,言語活動

考えを共有する様子

以下に概要を記す。

の仕組みを知った。情報

ることも知った。具体的

散した場合の問題点につ

デマを見抜くにはどのよ

Bを活用した。携帯電話、

が届く場合がある。この

な事に気をつければよ

見抜くには情報をクリテ

「発信者を見る」

る」等の行為が必要だと

マを見抜けず拡散してし

タブレットとXBを活用

方について理解したが、

拡散された。そこで「震

けず拡散した原因」につ

道番組制作者、新聞記者

ンを行った。お二人か

伺い、生徒との質疑応答

との重大さを再確認し、

直し、これからどのよう

地震が起こったときに

とるか、一人一人が考え

4.成果と課題

各授業後、生徒にアンケートを行った(図2)。3つ

の点で成果が見られた。

(1)他者の意見を参考に新たに考えを導き出す

他の生徒の意見を参考にして新たに自分の考えを生

み出せたと答えた生徒が増えた。これはICT機器が

他者の考えをリアルタイムに共有できたことが要因だ

と考える。

(2)グループ思考の効果を実感している

グループで学ぶことに効果を実感している生徒が増

えた。これはICT機器が個から班になど学習形態を

瞬時に変えることができたことも要因だと考える。

(3)他者評価に好感を持った生徒

自己有要感につながるコメントが増えた。逆に言え

ば、個々が他者を認めることにつながっていると考え

る。これもICT機器が他者の考えを共有しやすくし

たことが要因だと考える。

以上より、ICT機器を授業デザインに取り入れる

ことで生徒の言語活動は活性化し、議論を深めること

ができた。今後もよりより授業を目指したい。

写真2 実践後の生徒のアンケート