音響・超音波・振動諮問委員会（CCAUV） と

振動・衝撃測定器（ISO/TC108SC3）報告

産業技術総合研究所

臼田 孝

第13回振動計測クラブ

平成28年2月19日

丸文株式会社 本社4F大会議室

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標準(計量標準・基準・適合性評価）

計量標準

キログラム原器、水の三重点、単位、ジョセフソン定数、・・・

工業規格・基準

標準温度、ネジ・ナット、試験規格、校正規格、・・・

適合性評価

型式承認、会計監査、ISO9000認証、14000認証、

17025認証、・・・

メートル条約下の組織・活動

メートル条約：単位の確立と国際的な普及を目的として、1875年に締結された多国間条約

組織： 国際度量衡総会(CGPM)：加盟国総会

国際度量衡委員会（CIPM）：理事機関。国籍を異にする18名の委員で構成。我が国は1907年以降委員会の一つの席を占める。

諮問委員会（CC)：標準に関する国際的な研

究課題を、具体的に検討する。各委員は主要加盟国の国家計量標準機関を中心に構成。

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音響超音波振動分科会（CCAUV）の位置づけ

諮問委員会（CC） 委員長 CC設立年 基本単位の有無

CCEM オランダ 1927年 A

CCPR 日本（臼田） 1933年 Cd

CCT 中国 1937年 K

CCL イタリア 1952年 m

CCTF フランス 1956年 s

CCRI 南ア 1958年 -

CCM スイス 1980年 kg

CCQM アメリカ 1993年 mol

CCAUV 日本(臼田） 1999年 -

・最も新しいメートル条約下の分科会活動である

・設立時からMRAの枠組みが存在した中で活動している

・基本単位を所掌しない、工業量主体の活動である

CCAUV設立の背景

• 60年代まで：軍事（ソナー、弾道ミサイル）等特殊用途に限られた時代

• 70年代：アナログ技術の向上によりオーディオ、環境計測等民生機器に展開、しかし依然として各分野で閉じた発展

• 90年代 A/D変換器などの進歩により従来実効値としてしか認識できなかった音・超音波・振動が、媒質を伝わる時系列の波として統一的に取り扱うことが可能に

同時にセンサ技術の進展により、オーディオ等民生機器、医療、自動車、環境評価等、広範な応用分野が出現

一方でそれまで各分野・地域（ISO, IEC, IEEE等）で独自に策定されたパラメータ（周波数列、フィルタ特性、絶対値と相対値=dB標記の基準、等）の不整合が顕在化

NMIレベルでも対象量により電気、力学等部署が分かれ交流が希薄

• 統一的に議論する場の必要性 • 組立量であるが測定量が直接人体に影響する

↓ CCAUV設立（1999年）へ

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各測定対象の懸案 • 音響測定（空中）

医療用聴力計（オージオメータ）、環境用騒音計

労働安全

周波数範囲1 Hz – 100 kHz

• 超音波測定（水中）

超音波診断装置・治療装置の安全、キャビテーション効果等材料移送・反応への応用（ドラッグデリバリ・ラブオンチップ） 周波数範囲 100 kHz – 40 MHz

• 振動

衝撃領域では落下試験・衝突試験の安全性能向上、地震計測では超低周波振動の信頼性向上

周波数範囲0.1 Hz – 10 kHz

MEMSセンサ等民生分野への対応、ジャイロへの対応、等

• いずれの量においても、実際の測定ニーズは周波数・振幅とも広範に及び、それを既存のセンサで計測している

• 国際比較の仲介器はセンサであり、国際比較で担保される測定範囲は実際のニーズの後追いにならざるを得ない

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国際比較の現状

振動160 Hzの例

振動10 kHzの例

過酷環境下の計測では、NMIレベルでも数％レベルの不確かさ・偏差が避けられない

一次標準の優劣より、ユーザレベルへのトレーサビリティ強化や技能の向上、啓発が重要

第10回CCAUV参加者（2015年11月）

8 メンバー17機関、オブザーバ11機関（ISO, IEC含む）

第10回CCAUV会議の主な決議事項

• 低インパクトの衝撃加速度国際比較の実施

• 計測用マイクロホン自由音場感度のピストン式、干渉式校正法結果の比較の実施

• 各国際比較の定期実施の確認（概ね1回/10

年）

• 2018年からの活動ロードマップの改訂

• 次回会議を2017年9月に実施

ISO/TC108(機械の振動，衝撃と状態監視)

国内委員会報告 ISO/TC108はISOのTC（Technical committee：技術分科会）の一つでMechanical vibration, shock and condition monitoring(機械の振動，衝撃と状態監視)を扱う。1963年にMechanical vibration and shock(機械振動と衝撃)として創設。2006年に委員会名称が上述の名称に変更。原則として18ヶ月に1

回全体会議が開催。

現在関与する具体的な分野には，以下の標準化が含まれる．

・機械振動，機械衝撃，状態監視の分野における用語と命名法

・信号処理法，構造力学解析法，変換器・振動発生器校正法などの，振動及び衝撃の測定，分析，評価

・回転機械のつりあわせ，振動絶縁，防振などの，振動及び衝撃の能動的・受動的制御方式

・人，機械，乗り物（陸路，海路，空路），静止構造物，精密機器に及ぼす振動と衝撃の影響の評価

・変換器，振動発生器，信号調節器，信号分析計測器，信号収集システムなどの，振動・衝撃測定計測器

・機械の状態監視に要求されるすべての測定変数を駆使した，測定方式，計測器，データの収集・処理・表示，分析，診断，予測

・関連分野における人員の訓練と認証

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組織構成 国際委員会

議長（Chairman）：David J. Evans (米国)

事務局(Secretariat)：ANSI

担当(Secretary)：Ms. Susan Blaeser(米国)

議長国：United States of America

国内委員会

審議団体：日本機械学会 http://www.jsme.or.jp/std/standards.html#a02

国内委員長 山本 浩(埼玉大学)

ISO/TC108/SC2 西郷 宗玄(東洋大学) 振動・衝撃の測定と評価

ISO/TC108/SC3 臼田 孝(産総研) 振動・衝撃測定器

ISO/TC108/SC4 前田 節雄(労働安全衛生総合研究所)機械振動・衝撃の人体への影響

ISO/TC108/SC5 井上 剛志(名古屋大学) 機械の状態監視と診断

ISO/TC108/SC6 日本試験器工業会 振動発生システム

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TC108/SC3の審議文書

ISO 16063-1

Calibration –Basic

concepts- 総則

16063-21

16063-22

16063-23

その他の校正法

16063-41

Calibration of

laser vibrometers

16063- 42

Calibration of

seismometers

1次校正法

16063-11

16063-12

16063-13

16063-15

2次校正法

Vibration

interferometry

Vibration reciprocity

Shock

interferometry

Angular

vibration

interferometry

Vibration

comparison

Shock

comparison

Angular

vibration

comparison

16063-31 Transverse

sensitivity

16063-32 Resonance

testing

過酷環境の校正

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審議文書の適用

NMI 産総研等

民間校正機関

メーカ校正、インハウス校正

産業界での利用

ISO 16063-11: Vibration, rectilinear

ISO 16063-13: Shock acceleration

ISO 16063-15: Vibration, angular

二次校正

参照振動加速度計との比較校正

一次校正法

レーザ干渉計

ISO 16063-21: Vibration, rectilinear

ISO 16063-22: Shock acceleration

ISO 16063-23: Vibration, angular 規格の性格

製品規格等と異なり、方法・手順の定め

解釈の余地は大きい

枝番2○以降が産業界に影響する

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最近の国内委員会活動(1)

• 遠心式校正法改定案（プロジェクトリーダ：臼田）ISO

5347-7 Methods for the calibration of vibration and

shock pick-ups

Part 7:Primary calibration by centrifuge

ISO 16063-17としてFDIS承認。

日本で多く使われているひずみゲージ式振動加速度計の校正法である遠心式校正法の改定（不確かさ要因他）

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最近の国内委員会活動(2)

• 手持ち式振動加速度計校正器校正法（プロジェクトリーダ：臼田）ISO 16063-44 Methods for the calibration of

vibration and shock pick-ups Part 44: Calibration of

field vibration calibrators

– 3rd WGに対するコメント対応中

現場で多く用いられる手持ち（可搬）型振動加速度計校正器の校正法

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最近の懸案 TC108/SC03/WG1

Human response to vibration – Measuring instrumentation

欧州指令2002/44/EC（on the minimum health and safety requirements

regarding the exposure of workers to the risks arising from physical agents）は、振動障害予防指針が制定され、手腕工具から振動全身暴露に順次展開されている。

これは典型的「ニューアプローチ規制」であり、整合規格が確立したものから各国規制対象となっている。

今後欧州では震動源の規制から、「個人振動暴露計」として雇用者責任として労務管理に適用することが見込まれる。

（指令の本質は、振動レベル×暴露時間を一定値以下に規制する、というもので、厳密に適用するためには作業者の常時監視が必要である） 「振動暴露計」標準化は現在ISO/TC108/SC3/WG1で検討が進められている。

・欧州主導でISO/FDIS 8041を改定（日本は反対）。人体振動計測用計測機器のすべ

て（仕様，型式試験，抜き取り検証，定期検査，日常校正，不確かさ，振動校正器，周波数補正，帯域制限，位相特性）を規定している（本文は約100ページ） ・欧州での規制導入が近い？

国際委員会実績及び予定

• November 2008 St. Louis USA

• October 2010 London, UK

• 25-28 June 2012 Buffalo, USA

• 14-18 October 2013 Seoul, Korea

• 9-13 March 2015 Paris, France

• 11-14 April 2016 Denmark

国内委員会運営方針

• 委員は機械学会からの委嘱による、製造者、使用者、中立機関から1/3

• 扱う範囲が広く、委員の知見だけに頼ることは限界がある

• 計測クラブ等を通じて広く利害、知見を集約