序 文 - jica序 文...

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Page 1: 序 文 - JICA序 文 近年、金属加工分野においても機器のコンピュータ化が進んでおり、これに伴いパキスタン・ イスラム共和国の中小企業の間でも、高度な最新技術に対するニーズが高まっています。これに
Page 2: 序 文 - JICA序 文 近年、金属加工分野においても機器のコンピュータ化が進んでおり、これに伴いパキスタン・ イスラム共和国の中小企業の間でも、高度な最新技術に対するニーズが高まっています。これに

序     文

 近年、金属加工分野においても機器のコンピュータ化が進んでおり、これに伴いパキスタン・

イスラム共和国の中小企業の間でも、高度な最新技術に対するニーズが高まっています。これに

対応するため、パキスタン政府は、1962年に中小企業の技術向上支援を目的に設立されたパキス

タン工業技術指導センター(PITAC)を実施機関とする、各種金属加工、プラスチック射出

成形、並びに熱処理等の多岐の分野にわたるプロジェクト方式技術協力を、1997年2月に我が国

政府に対して要請してきました。

 この要請を受け、我が国は1999年3月30日から4月14日にかけて「南西アジア品質管理及び

標準化基礎調査団」を派遣し、要請の背景及びプロジェクト方式技術協力案件としての妥当性を

確認するため、要請分野に関連するパキスタンの政策及び中小企業のニーズ、並びにPITAC

の組織・活動について調査を行いました。この結果、要請の対象分野である金属加工及びプラス

チック産業は、民間部門、特に中小企業の振興と工業分野開発をめざす同国における重点分野で

あることが確認されました。また、パキスタン側の要請分野に対する優先順位を考慮した結果、

協力分野をプラスチック金型技術向上に絞り込むことにより、新規案件としての妥当性があると

判断されました。そして1999年12月には、本プロジェクトに係る正式要請書がパキスタン政府

から提出されました。

 本事前調査団は、この正式要請書提出を受けて派遣されたものであり、金属加工及びプラス

チック産業界のPITACに対するニーズをより詳細に確認するとともに、プロジェクトの基本

計画を取りまとめ、プロジェクト実施に向けた技術協力計画及び投入計画案を策定することを主

な目的としました。また、パキスタンにおいては 1999 年 10 月に政変が発生していることから、

政変後の政策の有無の確認もあわせて行いました。

 本報告書は同調査団の調査結果を取りまとめたものです。ここに、本調査団の派遣にあたり、

ご協力をいただいた日本・パキスタン両国の関係各位に対し謝意を表するとともに、今後のご支

援をあわせてお願いする次第です。

 2000 年4月

国 際 協 力 事 業 団理 事   大 津   幸 男

Page 3: 序 文 - JICA序 文 近年、金属加工分野においても機器のコンピュータ化が進んでおり、これに伴いパキスタン・ イスラム共和国の中小企業の間でも、高度な最新技術に対するニーズが高まっています。これに
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目     次

序 文

写 真

地 図

第1章 事前調査団の派遣 .................................................................................................................. 1

 1-1 調査団派遣の経緯と目的 .................................................................................................. 1

 1-2 主要調査項目 ...................................................................................................................... 1

 1-3 調査団の構成 ...................................................................................................................... 3

 1-4 調査日程 .............................................................................................................................. 4

 1-5 主要面談者 .......................................................................................................................... 5

 1-6 調査・協議結果 .................................................................................................................. 8

第2章 調査・協議結果の概要 .......................................................................................................... 29

 2-1 日本のODA及びプロジェクト方式技術協力の現状.................................................. 29

 2-2 国家開発計画等における本プロジェクトの位置づけ.................................................. 29

 2-3 協力要請対象セクターに対する国家政策とセクターの現状...................................... 30

 2-4 実施機関の概要 .................................................................................................................. 31

 2-5 プロジェクトの内容 .......................................................................................................... 33

 2-6 短期調査までのフォローアップ事項.............................................................................. 36

第3章 協力要請対象セクターに対する政策とセクターの現状.................................................. 37

 3-1 国家開発計画及び工業政策の概要.................................................................................. 37

 3-2 中小企業振興政策の概要 .................................................................................................. 41

 3-3 協力要請対象セクターの現状 .......................................................................................... 43

第4章 調査団所見 .............................................................................................................................. 45

付属資料

 資料1 協議議事録(ミニッツ).................................................................................................... 51

 資料2 要請書本文及び和文要約 .................................................................................................. 132

 資料3 調査訪問先への事前質問票及び回答.............................................................................. 173

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 資料4 団員所見(技術協力計画)................................................................................................ 227

 資料5 団員報告・所見(金型技術、機材・研修計画)............................................................ 230

 資料6 企業調査用紙 ...................................................................................................................... 247

 資料7 企業調査結果 ...................................................................................................................... 261

 資料8 カウンターパートへの質問事項・チェックリスト、試験問題.................................. 303

 資料9 カウンターパートの技術レベル調査結果...................................................................... 316

 資料10 収集資料リスト.................................................................................................................. 320

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第1章 事前調査団の派遣

1-1 調査団派遣の経緯と目的

 パキスタン・イスラム共和国のラホールに本部を置くパキスタン工業技術指導センター

(Pakistan Industrial Technical Assistance Center:PITAC) は、同国産業界、特に中小企業の

技術レベルの向上を目的として1962年に設立され、以来各種技術研修コースの開催、技術サービ

スの提供、及びプロトタイプ製品の設計・試作等を中心とする活動を行っている。我が国は、

PITACの金属加工分野の機能強化を目的として、1982年9月から1985年10月にかけてプロ

ジェクト方式技術協力を、さらに1994年1月から1995年3月にかけてアフターケア協力を実施

した。

 しかし、その後の金属加工分野における機器のコンピュータ化に伴い、パキスタン国内の中小

企業の間ではより高度な技術に対するニーズが高まっており、これに対応するにはPITACの

技術力の向上及び機材の更新が必要であるとの判断から、1997年2月、パキスタン政府は我が国

に対し、各種金属加工、プラスチック射出成形、並びに熱処理等の多岐の分野にわたるプロジェ

クト方式技術協力を要請してきた。

 この要請を受け、我が国は1999年3月30日から4月14日にかけて「南西アジア品質管理及び

標準化基礎調査団」を派遣し、要請の背景及びプロジェクト方式技術協力案件としての妥当性を

確認するため、要請分野に関連するパキスタンの政策及び中小企業のニーズ、並びにPITAC

の組織・活動について調査を行った。この結果、要請の対象分野である金属加工及びプラスチッ

ク産業は、民間部門、特に中小企業の振興と工業分野開発をめざす同国における重点分野である

こと、及びPITACの運営体制は堅実であることが確認された。また、パキスタン側の要請分

野に対する優先順位を考慮したうえで、協力分野をプラスチック金型技術向上に絞り込むことに

より、新規案件としての妥当性があると判断された。1999年 12月には、本プロジェクトに係る

正式要請書がパキスタン政府から提出された。

 パキスタンにおいては1999年 10月に政変が発生しており、今回の事前調査においては、パキ

スタンの政策変更の有無及び金属加工及びプラスチック産業界のPITACに対するニーズを確

認するとともに、プロジェクトの基本計画を取りまとめ、プロジェクト実施に向けた技術協力計

画及び投入計画案を策定することを主な目的とする。

1-2 主要調査項目

(1)プロジェクトの要請背景

1) 国家開発計画等との整合性の再確認

2) 対象セクター(金属加工及びプラスチック産業)の現状及びニーズの確認

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(2)PITACの実施体制

1) 所管官庁との関係及びPITACの組織、予算、人員の再確認

(3)プロジェクト内容

1) プロジェクト名

2) 協力期間

3) 協力の内容及び範囲

a) プロジェクト協力の概念

b) プロジェクト基本計画(マスタープラン)

c) 技術移転分野

d) 技術移転項目

4) 技術協力計画管理諸表作成

a) プロジェクト・デザイン・マトリックス(PDM)

b) 技術協力計画(TCP)

c) 活動計画(PO)

d) 暫定実施計画(TSI)

(4)投入計画

1) 日本側投入計画

a) 専門家派遣(指導科目及び派遣スケジュール)

b) 研修員受入(受入先、受入期間)

c) 機材供与(基本仕様、調達先)

2) パキスタン側投入計画

a) プロジェクト運営体制

b) カウンターパート(以下C/Pと略)

c) 施設・機材

d) 予算

(5)プロジェクト開始までのスケジュール

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氏 名 分 野

桑島 京子 団長・総括

松浦 義和 技術協力計画

知地 正紘 金型技術

畠山 篤彦 機材・研修計画

岡山 明日香 協力企画

所 属

国際協力事業団 鉱工業開発協力部鉱工業開発協力第一課 課長

通商産業省 機械情報産業局素形材産業室 総括係長

財団法人 素形材センターテクニカルアドバイザー

財団法人 素形材センターテクニカルアドバイザー

国際協力事業団 鉱工業開発協力部鉱工業開発協力第一課 職員

1-3 調査団の構成

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1-5 主要面談者

〈パキスタン側〉

1 工業産業省

Mr. Abu Shamim M. Ariff Secretary

Mr. Muhammad Sharif Ijaz Ghauri Senior Joint Secretary

Mr. Syed Sajjad Haier Senior Joint Secretary

Mr. Muhhtar Haider Shah Deputy Secretary (Admn.)

Mr. S. Ali Nasir Deputy Secretary (Development and Planning)

Mr. Ahmad Farooq Deputy Secretary (Pers.)

Mr. Mushtaq Khan Assistant Chief (Projects)

Mr. Abar Alan Joint Secretary

Mr. Mueen U. Dar Chief (Industries)

Mr. Aslam Khan Deputy Chief (Industries)

Mr. Ashad Hussain Section Officer

2 財政・経済省経済局(EAD)

Mr. Hasan Zaidi Deputy Secretary

Mr. Azhar Saeed Malik Section Officer

3 Engineering Development Board(EDB)

Mr. Abdur Razzaque Deputy General Manager (Tech.)

4 Board of Investment(BOI)

Mr. Talar Rashid Rashad Miyan Director General ( P& P Wing )

Mr. Suleman Shah Mian Director General (A& P Wing )

Mr. Shahbaz Akhta Joseph Director (A& P Wing )

Mr. Alhy Bawany Deputy Director (P& P wing )

Mr. Raana Aksan Deputy Director (A& P wing )

Mr. Tulat Nasim Assistant Director (A& P wing )

片岡幹雄氏 JICA専門家

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5 Small and Medium Enterprises Development Authority(SMEDA)

Mr. Iqbal Mustafa Chief Executive Officer

Mr. Azhar Wali Muhmmad Automobile/Gem & Jewwelley Expert

Mr. Ejaz Majeed Sector Head (Technical Services)

Mr. Asir Manzur Head (Management Service)

6 Pakistan Plastic Manufacturers Association(PPMA)

Mr. Muhammad Ali Mian President

Mr. M. N. Sohail Senior Executive

Mr. Iqbal Beg Senior Executive

Mr. M.G. Ghaznavi Director

7 Pakistan Association of Automotive Parts & Accessories Manufacturers (PAAPAM)

Mr. Mohammad Saleem Chairman

Mr. Syed Nabeel Hashmi Vice Chairman

Mr. Inam-ul Haque Secretary

8 Engineering Components and Machinery Manufacturing Association of Pakistan(ECMA)

Mr. Rehmatullah Javed Chairman

Mr. Iftikhar Ali Malik

9 PITAC

Mr. M.A.Jabbar Khan General Manager, Head of NPO

Mr. Syed Ahsan Ali Khan Sr. Manager, Operation and Works

Mr. Sarfraz Ahmad Manager, Industrial Engineering Div.

Mr. Javaid Iqbal Sheikh Manager, Maintenance

Mr. Arshad Javed Manager, NC shop

Mr. Wajihuaam Numan Manager, Technical Training

Mr. Mahummad Shakeel Choudry Manager, Machine Shop

Mr. Alif Ali Sheikh Manager, Productivity Service Div.

Mr. Khalid Mahmood Manager, Design Dept.

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〈日本側〉

1 在パキスタン日本大使館

沼田 貞昭 大使

高橋 浩昭 一等書記官

2 JETROカラチ事務所

澤内 正博 所長

3 JICAパキスタン事務所

中原 正孝 所長

神崎 義雄 次長

永友 紀章 次長

木下 康光 所員

4 三井物産(株)ラホール事務所

福原 浩一郎  所長 

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

0 ODA 全般

1 日本における

ODAを取り

巻く最近の情

勢、予算の動

2 プロジェクト

方式技術協力

の現行スキー

ムの説明

Ⅰ 対象セクター

(金属加工業、

プラスチック製

品製造業)の状

1 国家開発計

画、対象セク

ター開発政策

等との整合性

基礎調査時に、日本のODAの現状を説

明し、パキスタン側の理解を得、ミニッツ

に記載した。

基礎調査時に、現行のスキームでは、日本

側の投入は専門家によるC/Pへの技術

移転が主体で、研修員の受入れや機材の

供与はそれを補完するものであることを

説明し、さらにPDM、評価5項目の概要

を説明し、パキスタン側の理解を得、ミ

ニッツに記載した。

・パキスタンの長期ビジョンである「パ

キスタン2010(1999年度~2010年度)」

プログラムにおいて、主要開発5分野

の中の「生産分野(工業及び農業セク

ター)」及び「輸出関連分野」の中で、今

回の要請分野に関連のあるプラスチッ

ク産業振興及び中小企業振興が位置づ

けられていることを基礎調査時に確認

した。

・中短期計画である「第9次5か年計画

(1999 年度~ 2003 年度)」においては、

GDPの18%、雇用の11%を占める製

造分野を外貨獲得の重要分野であると

位置づけ、投資政策で優先されている

エンジニアリング、化学、電気電子と

いった高付加価値、輸出指向かつハイ

テク産業の促進を戦略の1つとして打

ち出していることを確認した。

・1999年10月の政変後の上記開発計画及

び政策に対する変更の有無について、

事前の質問表によりPITACに確認

したところ、変更なしとの回答であっ

た。

左記を再度説明し、要すればミ

ニッツに記載する。

左記を再度説明し、要すればミ

ニッツに記載する。

左記国家開発計画及び対象セク

ター開発計画に変更のないこと

を確認し、ミニッツに記載す

る。

左記を説明し、パキスタン側の理解

を得、ミニッツに署名した。

左記を説明し、パキスタン側の理解

を得、ミニッツに署名した。

・パキスタン政府が1997年に発表し

た長期ビジョンである「パキスタ

ン2010(1999~ 2010年度)」プロ

グラムは、1999年10月に発生した

政変後に、「Prospective Long-term

Plan」と改称したものの、内容的に

は前者を踏襲したものであり、国

家開発政策内容の基本的な変更は

行われていない。

・「パキスタン2010」プログラムのも

とで、パキスタンは中期計画とし

て第9次5か年計画(1999~2003

年度)を策定したが、1999年 10月

の政変後には、ほぼ同じ内容を引

き継いだ「Three-years Rolling Plan

(2000~2003年度)」を再スタート

させている。

・1999年12月15日、新政権は「経済

再生計画」を発表した。同計画は、

政策の一貫性・継続性の保証によ

る国内外の投資家からの信用回復、

民間部門の活性化、国内外での借

入依存体質からの脱却、貧困の緩

和などにより、経済再生に取り組

むパキスタンの姿勢を示している。

1-6 調査・協議結果

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

・「経済再生計画」においては、再生

の重点産業の1つとして中小企業

(工業)が特定されており、現在工

業産業省において同計画を受けた

具体的な新産業政策が検討されて

いる。2000年5月に発表される上

記新産業政策の中で、機械工業が

明確に重点分野として位置づけら

れる予定となっている。

・パキスタン政府は、機械工業分野

の振興のため、1995年にエンジニ

アリング開発委員会(Engineering

Development Board, 以下EDB)を

設立した。EDBは、機械工業分野

の政策及び戦略のコンセンサス形

成、合理的な関税賦課のための政

府支援、輸出振興策の建議、輸入原

材料の確保、国産化政策の決定な

どの役割を担っている。

・EDBは、機械工業製品国産化政

策の具体的な手段として、パキス

タン内に生産法人を持つ外国企業

に対して製品ごとに部品の現地調

達率の目標を設定し、その目標に

対する達成状況を毎年確認すると

いう「Industry Specific Deletion

Programme」を実施している。また、

完成品に対しては高関税が課され

ている。上記国産化プログラム及

び完成品に対する高関税政策によ

り、機械組立の裾野産業である金

属加工業及びプラスチック製品製

造業は現在保護されている。しか

し上記の保護政策はWTOの協定

に反するものであることから、い

ずれ見直しが求められる見込みで

ある。

・プラスチック工業会(Pa k i s t a n

Plastic Manufacturers Association, 以

下PPMA)によれば、プラスチッ

ク製品製造企業は全国に約5,000社

あり、うち約3,200社は公式に企業

登録をしていない「Un-organized

Sector」に属している。企業登録を

している約1,800社のうち、小企業

(従業員7~8名程度まで)が約

1,100社、中企業(従業員30~40名

程度まで)が約330社、大企業(従

業員100名以上)が約370社である

とされている。

金属加工業・プラスチック製品

製造業の現状を表すデータ(企

業数、雇用者数、中小企業の比

率、製品輸出入金額、国内生産

額等)を可能な限り収集し、現

状を把握する。

・1997年2月に政府のもとに設置された

エンジニアリング開発委員会の報告に

よれば、パキスタンのエンジニアリン

グ産業の輸出割合はパキスタンの全輸

出の1%以下であり、国内需要に対す

る国内生産品の割合は25%であること、

その低迷原因は新技術を導入するため

の資本不足等であるとされ、同分野の

成長のためには、活用できる資源の最

大活用とともに付加価値の高い分野の

輸入 代替、競争力のある分野の輸出振

興が必要だとされている。

・資料の形では入手できなかったが、

PITACによればパキスタンにおい

てプラスチック製品製造に従事してい

る企業は約4,500社、このうち組立産業

に部品を提供している下請企業は約450

社であり、またプラスチック金型製造

業者は約30社であることを基礎調査時

に聴取した。

・基礎調査時に確認したところでは、プ

ラスチック協会の加盟企業数は 132 社

(ただしパンジャブ州のみ)、自動車部

品協会の加盟者数は 188 社(全国)で

あった。

1 国家開発計

画、対象セク

ター開発政策

等との整合性

(続き)

2 金属加工業・

プラスチック

製品製造業の

現状

Page 16: 序 文 - JICA序 文 近年、金属加工分野においても機器のコンピュータ化が進んでおり、これに伴いパキスタン・ イスラム共和国の中小企業の間でも、高度な最新技術に対するニーズが高まっています。これに

- 10 -

調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

・連邦統計局のデータによれば、プ

ラスチック製品の生産額は、1995

-1996年度には約39億ルピー(約

80億円)であり、国内での主な製

品は、PPMAによれば家庭・台所

用品並びに自動車部品である。同

じく連邦統計局のデータによれば、

プラスチック製品の輸出額は、

1998-1999年度には約8億ルピー

(約16億円)である。

・自動車部品工業会(Pakistan Asso-

ciation of Automotive Parts & Acces-

sories Manufacturers, 以下PAAP

AM)によれば、現在約700の自動

車部品メーカーが自動車メーカー

とのOEM契約に基づき、直接部

品の納入を行っている。さらに、

1,300社の孫請け部品メーカーがあ

る。自動車部品のうち、エンジン及

びトランスミッションの部品につ

いては、自動車メーカーの品質要

求にパキスタン国内で応えること

ができないため、現在輸入してい

る。

・左記 Board of Investment(以下

BOI)は海外からの直接投資の

認可機関であり、国産化政策の対

象産業分野における投資の認可に

あたっては、EDBで定めた国産

化プログラムに従って、一定以上

の現地調達率を達成することを企

業に対し義務づけている。

・BOIによれば、自動車及び電気

機器分野において達成されている

部品の現地調達率は、乗用車

(800ccまで) が 6 8 %、乗用車

(1,000cc まで)が 50%、乗用車

(1,300cc以上)が42%、トラクター

が80%、オートバイが75%、トラッ

ク・バスが50%、冷蔵庫が84%、エ

アコン(分離型)が80%、洗濯機が

74%などとなっている。

・PPMAによれば、今後需要が伸

びる見込みのあるプラスチック製

品は、自動車部品、電気製品、家庭

用品、手術器具、靴、化粧品容器等

とのことである。

・PPMAによれば、プラスチック製

品製造企業が現在抱える主な問題

点は、技術者不足、研究開発の不

足、金型の質の悪さ、電気料金の高

さ、機器の老朽化などである。

・自動車メーカーや電気・電子

製品メーカーといった最終組

立の企業を訪問し、顧客側か

ら見たパキスタンの金属・プ

ラスチック部品製造業の現状

を調査するとともに、今後パ

キスタンで需要が伸びる見込

みのある製品とは何かを聴取

する。

・製品部品の現地調達率を決定

する権限を持つ、Board of In-

vestment を訪問し、自動車及

び電気・電子製品の各生産品

目ごとに定められた部品の現

地調達率の現状を調査すると

ともに、現地調達率の設定方

針を聴取する。

プラスチック製品メーカーを訪

問し、当該産業の技術レベル及

び技術面の問題点を調査する。

・パキスタンでは、トヨタ、ホンダ、日産、

スズキ、ボルボ、DAYA DAURといっ

た企業を含む約20社が乗用車、バス、ト

ラック、オートバイ、トラクター等の生

産を行っており、乗用車の製造台数は

年間5~6万台である。自動車産業に

部品を供給している下請けメーカー数

は約850社であり、うちプラスチック部

品の下請けメーカー数は227社である。

部品の現地調達率は、トラック・バスが

50%、乗用車が 47%、オートバイが

7 3 %、トラクターが 8 0 %であり、

1,300CC以上の乗用車については2000

年までに48%に引き上げることとなっ

ている。

・パキスタンで生産されている電気・電子

製品としては、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、

エアコン、卓上電話機などがあげられ

る。テレビは年間約50万台が生産され

ていると推計され、カラー及びモノク

ロテレビの国内普及率は約15%である。

電気・電子製品の部品の現地調達率に

ついては、規制されていない。

・パキスタンにおいてプラスチック製品

製造に従事している企業は上述のとお

り約4,500社、このうち組立産業に部品

を提供している下請企業は約 450 社で

ある。

2 金属加工業・

プラスチック

製品製造業の

現状(続き)

(1)組立産業の

現状とニーズ

(2)プラスチッ

ク製品製造業

の現状とニー

Page 17: 序 文 - JICA序 文 近年、金属加工分野においても機器のコンピュータ化が進んでおり、これに伴いパキスタン・ イスラム共和国の中小企業の間でも、高度な最新技術に対するニーズが高まっています。これに

- 11 -

調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

・プラスチック製品製造企業におけ

る金型の入手経路としては、企業

内での内製、国内産購入、輸入品購

入がある。金型の輸入先としては、

タイ、台湾、日本、ドイツなどがあ

げられ金型の輸入には約3割の関

税がかけられている。

・PPMAによれば、プラスチック金

型メーカーはパキスタン国内に約

160社あり、そのほとんどが「Un-

organized Sector」に分類される未

登録の零細企業であるとされてい

る。プラスチック製品製造企業の

うち、金型を内製している企業は

70~ 80社ある。

・企業訪問による調査の結果、パキ

スタンの金型産業が総じて抱えて

いる問題点としては、金型技術(特

に設計技術)の低さ、よい金型材料

の不足、工作機械の不足であると

判断される。

・工業産業省のデータによれば、プ

ラスチック金型の輸入額は1997-

1998年度には1.4億ルピー(約3億

円)であった。

・金型を輸入に頼っている現状での

問題点は、コスト、納期、及びメン

テナンスを含めたアフターサービ

スの不足である。

・なお、カラチのPPMA本部によ

ると、金型材料の輸入税は105%だ

とのことであるが、さらに確認の

必要がある。

・PPMAは現在全国で 718、パン

ジャブ州では 124 の会員を有して

いる。現在は特にPITACとの

定期的な意見交換の場を持ってい

ないものの、プロジェクトの計画

及び実施にあたっては、関連業界

団体としてプロジェクトに関わり

たい旨の発言があった。

 PITACに期待するサービスと

しては、金型設計・開発、レベルの

高い加工・成形機器の提供、金型製

作を委託した場合の納期の短縮、

新製品の研究開発、プラスチック

材料の試験などがあげられた。

プラスチック金型メーカーを訪

問し、技術レベル及び技術面の

問題点を調査する。

プラスチック協会及び自動車部

品協会を訪問し、プラスチック

製品製造業及び自動車部品製造

業が抱える問題点とPITAC

の技術サービスに対するニーズ

を調査するとともに、プロジェ

クトを開始した場合の連携の可

否を確認する。

・パキスタンにおいてプラスチック金型

を製造している企業は約 30 社である。

なお、これら企業の多くは、プラスチッ

ク製品を製造するかたわら、金型を内

製している企業である。

・基礎調査時に訪問した企業においては、

金型の設計は手書きかAUTO-CADで

行われており、オリジナル設計ができ

る企業はなく、総じて設計技術が未熟

であると判断された。

・精密なプラスチック金型は日本及び台

湾から輸入されており、Economic Af-

fairs & Statistics Division の“Foreign

Trade Statistics of Pakistan”のデータに

よれば、1998-1999年度のプラスチッ

ク金型輸入額は約3,962万ルピー(7,924

万円相当)であった。

・基礎調査時に確認したところでは、プ

ラスチック協会の加盟企業数は 132 社

(ただしパンジャブ州のみ)、自動車部

品協会の加盟者数は 188 社(全国)で

あった。

・今次調査に先立ってPITACに送付

した質問状の回答によれば、プラス

チック協会は、プラスチック部品メー

カー間の連携強化と生産技術の向上促

進を目的に1985年に設立され、現在400

以上の会員を有している。

・自動車部品協会は、会員企業に対して

技術面及び経営管理面の協力支援を提

供することを目的に 1988 年に設立さ

れ、現在の会員は200社以上である。

(2)プラスチッ

ク製品製造業

の現状とニー

ズ(続き)

(3)プラスチッ

ク金型産業の

現状とニーズ

(4)対 象セク

ターにおける

業界団体

Page 18: 序 文 - JICA序 文 近年、金属加工分野においても機器のコンピュータ化が進んでおり、これに伴いパキスタン・ イスラム共和国の中小企業の間でも、高度な最新技術に対するニーズが高まっています。これに

- 12 -

調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(4)対 象セク

ターにおける

業界団体(続

き)

(5)対 象セク

ターにおける

関連機関

・プラスチック協会及び自動車部品協会

の会員は、商工会議所を通じて後述の

PITACの「Governing Body」及び

「Executive Committee」のメンバーに

なっており、PITACの行う技術

サービスの受益者であるとされている。

・カラチの「パク・スイス訓練センター」は

1965年スイスの協力で設立された職業

訓練センターで、1981年金型設計と加

工部門が完成した。ここでは中学卒業

及び同程度の者に対して実技を含む4

年間の訓練プログラムコースを開講し

ている。

・ラホールにあるMIRDC(Metal In-

dustrial Research Development Center)は

1982年に PITACから分離した金属

分野の試験・ 検査機関であるが、

UNIDOの協力で鋳造関連の設備等

を整備している。

・「パク・スイス訓練センター」

を訪問し、ここで行われてい

る訓練コースの内容、卒業生

人数、就職先等を確認し、

PITACが行っている訓練

コースとの相違点を調査する

とともに、連携の可能性を調

査する。

・左記に関する追加情報があれ

ば聴取する。

・PAAPAMは現在約200の会員企

業を有している。自動車部品メー

カーが現在抱える問題点としては、

経営面及び技術面の管理上の問題、

製品のための特別な仕様の高品質

な金属材料が国内では手に入らず、

輸入すると高価すぎること、工具

やゲージが国内で生産されておら

ず、輸入に頼っていること、部品の

熱処理に係る品質管理の問題、

CNCなど機械工業の最新技術に

係る研究開発の不足などがあげら

れている。PITACの技術サー

ビスについては、かつては有益で

あったものの、現在はサービスの

質が低下し、料金が高く、対応が迅

速でないとの不満を表明しており、

本プロジェクトの実施により状況

が改善されることを期待している。

またPPMAと同様、プロジェク

トの計画及び実施に際しては、そ

の受益のためにPITACに対し

て積極的に意見を述べていきたい

との姿勢が示された。

・対象セクターにおける関連業界団

体としては、上記PPMA及び

PAAPAM以外に、Engineering

Components & Machinery Manufac-

turing Association of Pakistan 及び

Pakistan Electrical Manufacturers As-

sociationがあり、これらの団体も今

後本プロジェクトの計画、実施に

巻き込んでいく方針であることを

PITACに確認した。

・「パク・スイス訓練センター」は、

CAD、CNCフライス盤、放電加

工機などを備え、簡単な射出成形

品の製作実習を含む金型研修コー

スを開設している。研修コースは

基礎的な技術を重視したものであ

り、予算はすべて政府によって賄

われ、生徒の授業料は無料となっ

ている。

・他の関連機関については左記のと

おり。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

・ラホール工科大学では一般向けの研修

コースは開催していない。PITAC

との関係では、卒業生 200名のうち、約

1割の優秀な学生が6~7回/年、各

1~2週間、卒業製作で金型を試作す

るための技術指導をPITACで受け

ている。

・PCSIR(Pakistan Council of Scientific

and Industrial Research)は科学技術評議

会傘下の工業分野における試験・研究機

関であるが、PITACがPCSIR

に品質管理と材料加工に関するアドバ

イスを求めたり、PCSIRが金型製

作や熱処理を依頼するなど相互に協力

している。

・「第9次5か年計画」では、特定の産業

に関して地域を特定し、クラスターと

して重点的に開発するという戦略が述

べられており、中でも中小企業振興に

重点が置かれている。中小企業振興政

策としては、インフラの整備、技術サー

ビス、訓練センターの設立、中小企業へ

の投資活性化等がうたわれている。

・また、パキスタンの中小企業育成のた

めの中心となる組織としてSMEDA

(Small and Medium Enterprise Develop-

ment Authority)がある。

 SMEDAは中小企業振興政策の最高

決定機関であり、中小企業支援サービ

スの提供・促進機関である。SMEDA

では振興政策における優先セクターの

特定と個々のセクターの包括的な戦略

策定を行っており、PITACはその

実施機関として中小企業向けの研修

コース等を開催している。

(5)対 象セク

ターにおける

関連機関(続

き)

Ⅱ パキスタンにお

ける中小企業の

現状

1 中小企業に対

する国家開発

計画、対象セ

クター開発政

策等

左記の政策に対する変更の有無

を再確認し、要すれば結果をミ

ニッツに記載する。

SMEDAを訪問し、左記の中

小企業振興策の実施状況につい

て調査する。

・1999年12月に発表された経済再生

計画において、中小企業振興は産

業再生策の重点課題として位置づ

けられている。同計画では、中小企

業対策として、中小企業向けの信

用供与の充実、経営面でのコンサ

ルティング機能の充実、貸し出し

金利引き下げや銀行改革といった

資金調達面の改善などが盛り込ま

れている。

・SMEDAは中小企業の支援を目

的として1999年に設立された政府

機関であり、産業別の発展のため

の戦略策定を行っている。また、今

後企業に対する経営、マーケティ

ング、技術的事項、資金調達等での

コンサルティングを実施していく

べく、現在、能力の拡大を図ってい

る。

・SMEDAが戦略策定に取り組む

産業を特定するクライテリアは、

産業の成長率、その産業における

中小企業のプレゼンス、労働集約

性、持続的な競争力、高付加価値、

輸出可能性であり、上記のクライ

テリアに照らして戦略策定が有効

と判断される産業が選定される。

プラスチック産業は将来的に振興

戦略を策定すべき分野としてとら

えられている。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

2 中小企業の現

Ⅲ 実 施 機 関

(PITAC)

の現状

1 関係する省庁

との関係

2 PITACの

現状

(1)組織及び職

員数

・中小企業の分類基準は以下のとおり。

・基礎調査時に入手したSMEDAの資

料によると、中小企業は雇用者数の8

割を占めるとされ、年8.4%で成長して

いる。

パキスタン工業技術指導センター

(PITAC:Pakistan Industrial Technical

Assistance Center)は工業産業省傘下の機

関である。PITACは国家生産性機構

(NPO:N a t i o n a l P r o d u c t i v i t y

Organization)として、パキスタン政府、産

業界、教育機関との間に強い連携関係を

持っている。

・PITACの本部はラホールにあり、カ

ラチ、ぺシャワールに地域事務所があ

る。

・基礎調査時には、職員数が276名である

ことを確認し、各部門の配置人数を含

む組織表を入手した。今次調査の事前

質問表の回答によれば、現在の職員数

は275名。

左記を再度確認する。また、可

能であれば各工業分野ごとの中

小企業数及び従業員数に関する

データを収集する。

工業産業省の現在の組織体制、

及びPITACと工業産業省の

関係を再確認し、要すればミ

ニッツに結果を記載する。

左記を再確認するとともに、

PITACの最新組織図を入手

し、職員の階層別、部門別配置

状況を確認し、結果をミニッツ

に記載する。

・SMEDAによれば、パキスタン

においては統一的な中小企業の定

義は定まっていない。パキスタン

国立銀行(State Bank of Pakistan)

は、現在のところ、土地建物を除く

総資産が2,000 万ルピー(約4,000

万円)以下で、かつ従業員35名以

下の企業を中小企業としている。

・2000年6月までには、中小企業向

け金融機関であるSBFC(Small

Business Finance Corporation)と

SMEDAとの間で共通の中小企

業の定義を発表する予定であり、

その原案は以下のとおりである。

・工業産業省の最新の組織図を入手

し、ミニッツに添付した。また、省

内の各部局の業務分掌に関する資

料を入手した。

・工業産業省とPITACの関係に

は、基礎調査時と変更がないこと

を確認した。

・PITACのカラチ事務所には8

名の職員が勤務しており、セミ

ナー及びPITAC本部への業務

の橋渡しを行っている。

・PITACの定員は 406 名である

が、現在の職員数は275名である。

各部門の配置人数を含む最新の組

織表を入手し、ミニッツに添付し

た。

企業形態 従業員数 固定資産小企業 25人以下 200万ルピー以下中企業 100人以下 7,000万ルピー以下

区分 資産額 従業員数零細企業(Micro) 100万ルピー(約200万円)以下 10名以下小企業(Small) 2,000万ルピー(約4,000万円)以下 35名以下中企業(Medium) 1億ルピー(約2億円)以下 100名以下大企業(Large) 1億ルピー(約2億円)以上 100名以上

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(1)組織及び職

員数(続き)

(2)予算

・PITACは退職後の年金制度が民間

企業に比較して充実しており、転職率

は低い。逆に民間企業からの転職組が

多いことを聴取した。

・PITACの運営管理は「Governing

Body」及び「Executive Body」から構成

されている。

・「Governing Body」は工業産業省の副次

官を議長とし、連邦及び州政府、連邦商

工会議所代表(Federation of Pakistan

Chambers of Commerce and Industries:

FPCCI)等12名からなる委員会で

PITACの活動方針、予算を決定し

ている。

・「Executive Committee」は「Governing

Body」の下に位置し、PITAC所長を

議長とし、工業産業省の管理部門の次

官補、財政アドバイザー、FPCCI、

ラホール商工会議所代表者を含む5名

からなる委員会で「Governing Body」の決

定に基づき、日常の活動方針を決定し

ている。

・パキスタンの会計年度は7月~翌6月

であり、PITACの予算は工業産業

省を通じて連邦政府に要求される。

・PITACの予算には2種類あり、通

常予算とプロジェクト(開発)予算に分

類される。通常予算はPITACにお

ける人件費、ユーティリティ等の恒常

的支出を含み、自己収入金額もこれに

組み入れられる。プロジェクト予算は

ある特定のプロジェクトが開始される

時に申請され、毎年1回大蔵大臣によ

り開催される会議で各省ごとに分配さ

れる。プロジェクトが多年度にわたる

場合には申請時に協力期間の予算を申

請し、期間分の経費が認められる。

・1998-1999年度の配分予算額は3,645万

5,570ルピー(約7,300万円)であり、一

方研修コース・セミナー、技術サービ

ス、生産工程請負サービスの実施など

によるPITACの自己収入は 460 万

ルピー(約920万円)であった。

左記を再確認するとともに、

PITACに対するパキスタン

政府の継続的な財政支援の見通

しを確認し、結果をミニッツに

記載する。

・PITACによると、PITAC

は民間に比べて安定した勤務先で

あり、退職後の年金制度も充実し

ていることから、かつては左記の

とおり職員の転職率が低かった。

しかし、近年民間企業の給与体系

の多様化を受け、他の公的部門の

給与体系も多様化してきており、

今後職員の転職を防止していくた

めには、給与面で何らかのインセ

ンティブを与えることが必要であ

るとPITACの管理者層は考え

ている。

・PITACの運営管理体制は左記

のとおりであることを確認し、ミ

ニッツに記載した。

・PITACの2000-2001年度通常

予算は、工業産業省を通じて連邦

政府(大蔵省)に対し要求を行って

いるところであることを確認した。

・本プロジェクトのための予算も同

じく申請中であり、Executive Com-

mittee of National Economic Council

(ECNEC)での最終承認待ちの

状態である。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(3)人事

(4)活動内容

・職員のリクルートは等級号俸の違いに

より手続が異なる。号俸の高い者につ

いては 「Governing Body」 が増員を承

認、所長が人選を行う。それ以外の者は

すべて所長に決定権がある。

・プロジェクトの実施にあたって必要と

なる、CAD(Computer Aided Design)

及びCIM(Compu t e r I n t e g r a t e d

Manufacturing)システム担当のエンジ

ニアについては、新規に募集する方針

であり、現在承認を待っている状態で

ある。

・PITACの活動は主に下記の3種類

に分類される。

1 技術分野の研修コース、及びHRD

(Human Resourse Development)す

なわち生産性向上分野に関連する

研修コース

2 技術相談及びアドバイス

PITAC自身による部品、工具

製作や技術指導による技術サービ

スとAPOとタイアップして

PITACが外国人専門家を企業

に派遣するサービスの2種類があ

る。

3 セミナー及びシンポジウム

左記を確認し、新規職員募集の

見通し等について調査し、結果

をミニッツに記載する。

基礎調査後の左記の活動状況の

詳細(訓練コース数、参加者数、

技術相談内容及び実施件数、製

作サービス内容及び実施件数

等)を確認のうえ、アップデー

トした実績表をミニッツに記載

する。

・職員のリクルート方法は左記のと

おりであることを確認した。

・PITACの職員の定年は60歳で

あるが、Governing Bodyで承認され

れば、契約ベースで65歳まで在職

可能であることを確認し、ミニッ

ツに記載した。

・申請中の新年度予算及びプロジェ

クト予算が承認され次第、本プロ

ジェクトのための要員として、

2000-2001年度に6名、また翌年

度以降に8名の計14名を新規に採

用する計画であることを聴取し、

ミニッツに記載した。

・新規採用予定の人員を選考する際

の要件及びプロジェクトでの配置

計画についてPITACと協議し、

結果をC/P暫定配置計画表とし

てミニッツに添付した。

・PITACの活動は左記のとおり

であることを確認し、アップデー

トした実績表をミニッツに添付し

た。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(4)活動内容

(続き)

・質問表に対するPITACからの回答

によれば、上記活動1及び2に対して

PITACが設定している料金は以下

のとおり。(単位:ルピー、1ルピー:約

2円)

1 研修コース

・一般企業・個人対象10週間コース:

5,000

・一般企業・個人対象6週間コース:

3,000

・公的機関対象10週間コース:7,500

・公的機関対象6週間コース:4,500

・NCマシニングコース:2,000(1週

間)

・特別コース:1,000(1週間)

2 技術相談・アドバイス・製作サービ

・診断、調査:1,000(1名×1日)

・機械据付け、工程改善、品質・生産

性向上に関する技術相談:750(1

名×1日)

・製作サービス

設計:50(1時間)

機械加工:20(1時間)

精密機械加工:50(1時間)

放電加工機(Spark Errosion):80(1

時間)

ワイヤカット放電加工機

板厚1.5インチまで:7(1mm)

板厚2.5インチまで:10(1mm)

板厚3.5インチまで:20(1mm)

CNC旋盤加工:350(1時間)

・上記活動1及び2において、1994年から

1999年までにPITACのサービスを

受けた企業数は延べ6,900社であり、こ

れら企業の規模別の内訳は以下のとお

り。

左記の料金設定が、中小企業に

とっても利用可能なレベルであ

るかどうかを企業調査時に聴取

する。

・企業訪問による調査時に聴取した

ところ、PITACが各種サービ

スに対して設定している料金は中

小企業にとっても利用可能なレベ

ルである。

・一方、料金が安いものの、技術レベ

ル及び納期の面での問題ありとの

声が、企業の規模を問わず多く聞

かれた。

・PITACの技術サービス、中で

も製作サービスの受益者は、左表

にもあるとおり、中小企業が多く

なっている。自力で設備を購入・更

新することのできない中小企業が、

社 内 で 対 応 で き な い 工 程 を

PITACに委託しているものと

見られる。研修コース 1,877 422 47(1)技術訓練コース 1,502 328 41(2)人材育成コース 375 94 6

技術相談・アドバイス 221 50 5製作サービス 3,422 770 86

小企業(従業員50名以下)

中企業(従業員400名以下)

大企業(従業員400超)1994- 1999

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(5)PITAC

に対する外国

政府機関及び

国際機関によ

る協力内容

・JICAによる協力

 1982年9月から1985年10月にわたって

行われたフェーズ1プロジェクトでは

PITACの金属加工技術向上のため

の技術を移転した。この際供与した機

材は、よくメンテナンスがされており、

故障した一部の機材を除き基礎調査時

も使用されていた。

・その他のドナーによる協力

1 CAD/CAMセンター

英連邦の援助によるCAD/CAM

センター設立のための調査が専門家

により行われている。

2 LCA(Low Cost Automation)ラボ

がUNIDOの協力で設立され、ト

レーニング機材がFESTO(独)に

より整備された。ここでは講義やセ

ミナーが行われている。

3 アジア生産性機構(APO:Asian

Productivity Organization)プログラム

APOの窓口機関として様々な

APOプログラム(トレーニング

コース、セミナー、シンポジウム、技

術専門家によるサービス等)に参加

している。

左記フェーズ1プロジェクトで

の供与機材の現状を再確認す

る。

・左記CAD/CAMセンター

のその後の動向につき聴取す

る。

・左記以外の協力が検討ないし

は開始されている場合は内容

を聴取する。

・フェーズ1プロジェクトで供与さ

れた機材のうち、2台の機材(なら

いフライス盤、CNC旋盤)の故障

が基礎調査時に確認されたが、な

らいフライス盤については2000年

2月にフォローアップ事業費に

よって修理され、稼働しているこ

とを確認した。

・フェーズ1プロジェクトの具体的

な成果としては、直接的には、供与

された機材を使用した研修コース

の開催や、製品製作サービス実施

があげられる。また間接的には、プ

ロジェクトによって向上した

PITACの技術に触発された民

間企業が、自社の技術革新を促進

した事例が見られた。今次調査で

はフェーズ1プロジェクトの成果

を取りまとめ、ミニッツに添付し

た。

・左記1については特段の動きは確

認されなかった。

・左記2のLCAについては、日本企

業より機材のドネーションを受け

た旨を聴取した。

・左記3のAPOプログラムの一環

として、1999年11月から12月にか

けて、2週間のプラスチック金型

設計コースが開催された。

・他のドナーによる協力内容を一覧

表としてミニッツに添付した。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

Ⅳ (要請)プロ

ジェクトの内容

1 案件名称

2 要請の背景と

ターゲットグ

ループ

(1)要請の背景

(2)ターゲット

グループ

PITACからは、「Balancing and Mod-

ernization of Workshop Facilities at PITAC

Lahore」との名称で要請が出されている。

・パキスタンでは、自動車産業や電気製品

製造業などを中心にプラスチック製品

の使用が増大しているが、高精度なプ

ラスチック金型はパキスタン国内では

生産できないため、輸入している。

・また金型を輸入しているため製品の納

入に時間がかかっている。

・パキスタンとしては、本プロジェクト

により高精度のプラスチック金型製作

技術をPITACが習得し、国内での

生産を支援することにより、金型の輸

入に費やされる外貨を減少させ、また

プラスチック製品製造にかかる時間を

短縮させたいと考えている。

基礎調査時には、技術移転の直接の対象

はPITACの職員であるが、プロジェ

クトの進展に伴って中小の金型製造企業

をターゲットグループとすることを確認

している。

要請されているプロジェクトの

技術移転分野を反映した名称と

して、「Plastic Mold Technology

Development Project」を提案し、

PITACと協議のうえ、結果

をミニッツに記載する。

・要請書に記載されている左記

の要請背景を確認するととも

に、可能であれば左記を裏付

けるデータ(プラスチック金

型の輸入額と国内生産額の比

率)を収集する。

・企業訪問調査により、現在の

パキスタンにおけるプラス

チック金型製作技術のレベル

を調査し、国内では製作でき

ない金型の具体的なニーズの

現状及び見通しを把握する。

左記を再確認してミニッツに記

載するとともに、ターゲットグ

ループに分類される企業、及び

それら企業が製品を納めている

部品メーカーや組立て企業を訪

問し、これら企業の現状と問題

点、技術向上へのニーズを調査

する。

パキスタン側の案に対し、左記の日

本側の案を提案したところ、PIT

ACとしては要請書にある名称で既

に大蔵省までの予算説明及び了承取

付けを終えており、従って現時点で

の名称変更は難しいとのことであっ

た。このため、正式英文名称はパキス

タン側の案のとおりとし、日本側で

は「Balancing and Modernization of

Workshop Facilities at PITAC, Lahore

(Plastic Mold Technology Development

Project)」と標記のうえ、「金型技術

向上プロジェクト」を呼称として用

いることとし、ミニッツにその旨を

記載した。

・要請分野に関連する業界団体、及

びラホール、カラチの企業を訪問

し調査した結果、高精度のプラス

チック金型が国内で供給されない

ため輸入に頼っており、それによ

るコストの増大や納期の遅れと

いった問題が 生じているという現

状が確認された。

PITACと協議の結果、プロジェ

クトの当初のターゲットグループは

PITACの職員とし、プロジェク

トの進展に伴って、電気・電子、自動

車、産業機械分野の中小のプラス

チック製品メーカー及び潜在的な金

型メーカーをターゲットグループと

することとし、ミニッツにその旨記

載した。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(3)PITAC

に対するニー

3 協力の内容及

び範囲

(1)技術移転分

基礎調査時に、中小企業がPITACに

要望する技術支援の内容は、テレビ、電

話、パソコンの外カバーやペン立て、食器

類、ボールペンの外側本体といった品の

金型設計及び加工であることを確認した。

基礎調査時にPITACと合意し、要請

書にも記載されている技術移転分野は以

下の3分野である。

1 プラスチック金型設計

2 プラスチック金型加工

3 プラスチック金型組立・試打

訪問予定企業に対して事前に送

付した質問状に沿い、対象セク

ターの企業がPITACに対し

て期待する技術支援(研修、技

術相談、製作サービス等)の具

体的な内容を調査する。

技術移転分野を左記のとおりと

することを再確認し、結果をミ

ニッツに記載する。

・訪問した関連業界団体及び企業の

声をまとめると、PITACを実

施機関とする本プロジェクトに対

するニーズは以下のとおり。(優先

順位の高い順)

1 プラスチック金型の設計技術

に関する研修コースの開設

2 客先の高度な要求に応えられ

る金型の迅速かつ低料金での

提供

3 種々の技術コンサルティング

4 製品の測定・検査

左記を確認し、ミニッツに記載した。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(2)技術移転項

質問票に対するPITACからの回答に

よれば、上記3分野でPITACが向上

させたいとしている技術内容は、それぞ

れ以下のとおり。

1 プラスチック金型設計

(1)製品設計・開発

(2)金型標準(Mold Standards)

(3)3次元金型設計

(4)金型設計技術

(5)エンジニア及び設計技師の訓練

2 プラスチック金型加工

(1)金型部品の高速加工技術

(2)生産工程管理

(3)工具管理(M a c h i n e T o o l

Management)

(4) CNC機材及びCAD/CAM機

器の維持管理

(5)金型の試験的ラピッドプロトタ

イピング

(6)エンジニア、マネージャ、監督

者、テクニシャンの訓練

3 プラスチック金型組立・試打

(1)様々なサイズの金型試打のため

の成形機

(2)エンジニア、マネージャ、監督

者、テクニシャンの訓練

左記の要望項目をもとに、産業

界の技術レベル及びニーズと

PITACのC/P候補者の技

術レベルを考慮したうえで協議

を行い、結果をミニッツに記載

する。

PITACのC/P候補者の技術レ

ベル確認結果を踏まえて協議を行い、

技術移転項目(案)を以下のとおりと

し、暫定TCPとして取りまとめた。

0   基礎技術(共通事項)

0.1 金型技術の前提条件

0.2 射出成形金型の基本

0.3 金型設計の基準

0.4 金型加工及び射出成形の

    基礎

0.5 コンピュータの基礎

1   射出成形金型設計

1.1 金型設計基礎技術

1.2 CAD/CAMによる金

    型設計

1.3 試作金型の設計

1.4 成形試作後のトラブルに

    ついて(金型組立の不具

    合及び成形トラブルと対

    策)

2   射出成形金型加工

2.1 機械加工の基礎

2.2 金型加工機械の操作と機

    能

2.3 ターゲット製品の加工

2.4 試作金型の加工

2.5 設備保全、金型加工トラブ

    ル対策等

3   射出成形金型組立、保全

    及び試作成形

3.1 金型のみがきの基礎

3.2 金型組立及び金型修正の

    基礎

3.3 射出成形金型による試作

    成形

3.4 プロジェクトで製作され

    たターゲット製品の組

    立・成形

3.5 試作金型の組立・試作成

    形

3.6 射出成形におけるトラブ

    ル対策

4   モニタリング、フィード

    バック

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(3)移転技術の

タ-ゲットグ

ループへの提

供方法(活動

内容)

質問表に対するPITACからの回答に

よれば、プロジェクトによって移転され

る技術を用いてPITACが産業界向け

に提供しようと計画しているサービスの

内容は以下のとおり。

1 教育訓練プログラム

(1)学位取得者向け金型製作コース

(Post Degree Training Course)(6

か月)

(2)ディプロマ取得者向け金型製作

コース(Post Diploma Training

Course)(1年)

(3)エンジニア及び監督者向けの

CADによる金型設計コース(12

週間)

(4)エンジニア及び監督者向けの

CAMによる金型加工コース(12

週間)

(5)プラスチック金型入門コース

(2週間)

(6)エンジニアリング製品用プラス

チック金型成形コース(6週間)

(7)エンジニアリング分野のプラス

チック製品の品質管理コース(6

週間)

(8)プラスチック成形機の運転・メン

テナンスコース(6週間)

(9)テクニシャン向けプラスチック

金型製作・成形コース(12週間)

(10)プラスチック製品の検査・品質

管理コース(6週間)

2 技術相談・アドバイス

(1)金型加工機及び成形機の運転・メ

ンテナンスに関する技術相談・ア

ドバイス

(2)金型設計・加工に関する技術相

談・アドバイス

(3)プラスチック製品の品質上の問

題に関する技術相談・アドバイス

(4)金型の補修、メンテナンスに関

する技術相談・アドバイス

3 金型設計・製作サービス

左記の計画内容をもとに、産業

界の技術レベル及びニーズと

PITACのC/P候補者の技

術レベルを考慮したうえで協議

を行い、結果をミニッツに記載

する。

ターゲットグループのニーズを勘案

し、PITACと協議を行った結果、

PITACによる産業界向け本プロ

ジェクトではC/PのOJTの一環

として以下の技 術サービスを計画す

ることとし、ミニッツに記載した。詳

細は今後短期調査を通して更に詰め

ることとした。

1 プラスチック金型技術分野の

研修コース及びセミナーの開催

(1)学位取得者向け金型製作

コース(Post Degree Training

Course)(6か月)

(2)ディプロマ取得者向け金型

製作コース(Pos t D ip loma

Training Course)(1年)

(3)エンジニア及び監督者向け

のCADによる金型設計コー

ス(12週間)

(4)エンジニア及び監督者向け

のCAMによる金型加工コー

ス(12週間)

(5)プラスチック金型入門コー

ス(2週間)

(6)プラスチック成形機の運転・

メンテナンスコース(6週間)

(7)テクニシャン向けプラス

チック金型製作・成形コース

(12週間)

(8)その他

研修コースについては、民間

の技術者が参加しやすいよう、

2週間程度の長さのモジュー

ルに分けて実施すること、ま

た対象者に技術系の学生を加

えることを日本側より提案し、

パキスタン側の理解を得、ミ

ニッツに記載した。

2 技術支援サービス

(1)金型設計サービス

(2)金型試作品開発サービス

3 アドバイザリーサービス(工

場訪問及び電話・FAXでの通

信を通した技術情報提供サービ

ス)

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(4)ターゲット

製品

(5)マスタープ

ラン

・1999年11月3日付の要請書では、自動

車産業及び家電・電気製品製造業にお

いてプラスチック製品の需要が伸びて

いるとされている。

・基礎調査時に、中小企業から金型設計

及び加工委託がありながらPITAC

では対応できない具体的品目のリスト

が提出され、ミニッツに添付している。

・上位目標

1999年11月3日付の要請書では、「プラ

スチック金型製造者による国内組立

メーカーへの高品質・高精度の金型供

給を促進する」ことが上位目標とされ

ている。

・プロジェクト目標

・成果

・プロジェクトでの技術移転の

教育用サンプル及び達成度を

確認する手段として、ター

ゲット製品を設定する旨を説

明し、理解を得る。

・左記を考慮し、企業調査及び

PITACのC/P候補者の

技術レベル測定の結果も踏ま

えたうえで、ターゲット製品

の候補品目について協議し、

結果をミニッツに記載する。

・日本側として「パキスタンの

プラスチック金型産業の技術

能力が向上する」を上位目標

として提案し、協議の結果を

ミニッツに記載する。

・「PITACがプラスチック

金型産業に対して実施する技

術サービスの質が向上する」

をプロジェクト目標とするこ

とを提案し、協議の結果をミ

ニッツに記載する。

・成果として以下の案を提示

し、パキスタン側と協議を行

い、結果をミニッツに記載す

る。

「0 運営体制が整備される

1 必要な機材が整備さ

れ、適切に維持管理され

2 C/Pの技術力が向上

する

3 PITACがプラス

チック金型企業に対し技

術サービスを提供する」

・ターゲット製品設定の目的を説明

し、パキスタン側の理解を得た。

・ターゲット製品として、日本側よ

りパソコンのフロントパネル、自

動車の電気部品のハウジング、卓

上電話機のケースの3点を提案し、

それぞれの製品製作により習得が

期待される技術内容のリストをミ

ニッツに添付したが、パキスタン

側からは後述5(3)の射出成形機

のサイズの協議に関連し、より大

型の製品も含めたいとの意向が示

されている。

・協議の結果、「パキスタン国内のプ

ラスチック金型産業が、国内のプ

ラスチック製品製造のための、よ

り高度なレベルの金型を供給する

ことができるようになる」を上位

目標とし、ミニッツに記載した。

・協議の結果、「プラスチック金型技

術分野における、PITACの技

術支援能力が向上する」をプロ

ジェクト目標とし、ミニッツに記

載した。

・協議の結果、成果を以下のとおり

とし、ミニッツに記載した。

「0 運営体制が整備される

1 必要な機材が整備され、適

切に維持管理される

2 C/Pの技術力が向上する

3 技術研修コース及びセミ

ナーが計画的に実施される。

4 技術支援サービスが計画的

に実施される。

5 アドバイザリーサービスが

計画的に実施される。」

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(5)マスタープ

ラン(続き)

・活動 ・活動として以下の案を提示

し、パキスタン側と協議を行

い、結果をミニッツに記載す

る。

「(0-1) 計画に沿って人

      員を配置する

(0-2) 活動計画を策定

する

(0-3) 予算を立案し、

適正に執行する

(0-4) 運営管理システ

ムを確立する

(1-1) 施設・設備を整

備する

(1-2) 必要な機材を供

与のうえ設置す

(1-3) 機材を適切に運

転し管理する

(2-1) 技術協力計画を

策定する

(2-2)C/Pへの技術

移転を実施する

(2-3)C/Pへの技術

移転の結果をモ

ニタリング・評

価する

(3-1) 技術サービスの

計画を策定する

(3-2) 技術サービスを

実施する

(3-3) 技術サービスを

モニタリング・

評価する」

・活動については、上記Ⅳ.3

(3)の議論の結果を踏まえて

協議し、結果をミニッツに記

載する。

・協議の結果、活動を以下のとおり

とし、ミニッツに記載した。

「0-1 計画に沿って人員を配

     置する

0-2 活動計画を策定する

0-3 予算を立案し、適正に

執行する

0-4 運営管理システムを確

立する

1-1 施設・設備を改造する

1-2 必要な機材を供与のう

え設置する

1-3 機材を適切に運転し管

理する

2-1 技術協力計画を策定す

2-2 C/Pへの技術移転を

実施する

2-3 C/Pへの技術移転の

結果をモニタリング・

評価する

3-1 企業訪問によりニーズ

を特定する

3-2 技術研修コース及びセ

ミナーの計画を策定す

3-3 研修カリキュラム及び

教材を作成する

3-4 技術研修コース及びセ

ミナーを実施する

3-5 技術研修コース及びセ

ミナーの結果をモニタ

リング・評価する

4-1 企業訪問によりニーズ

を特定する

4-2 技術支援サービスの計

画を策定する

4-3 技術支援サービスを実

施する

4-4 技術支援サービスの結

果をモニタリング・評

価する

5-1 企業訪問によりニーズ

を特定する

5-2 アドバイザリ-サービ

スの計画を策定する

5-3 アドバイザリ-サービ

スを実施する

5-4 アドバイザリ-サービ

スの結果をモニタリン

グ・評価する」

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

4 プロジェクト

期間

5 日本側投入

(1)専門家派遣

(2)研修員受入

(3)機材供与

1999 年 11 月3日付の要請書では、プロ

ジェクト期間は2000年1月から3年間と

されている。

基礎調査時に、チーフアドバイザー、業務

調整員、並びに金型設計、加工、組立・試

打の分野の、長期及び短期専門家の派遣

を要望する旨PITACより聴取し、ミ

ニッツに記載した。

・基礎調査時に、現行のプロジェクト方

式技術協力スキームでは、研修員受入

れは専門家による技術移転の補完とし

て位置づけられている旨を説明すると

ともに、すべてのC/Pを本邦での研

修に受け入れることはできない旨を伝

え、理解を得た。

・PITACより、フェーズ1プロジェ

クトの際には、日本での研修に参加し

た職員に、帰国後最低5年間は継続的

にPITACに勤務するよう誓約させ、

転職を防止した旨聴取した。

1999年11月3日付の要請書では、プラス

チック金型の設計、加工、組立・試打に必

要な機材に加え、熱処理関係の機材等、要

請分野とは直接関係があるとは認められ

ない機材の要請がなされている。一方で、

要請されていないものの、技術的に必要

と判断される機材が数点ある。

C/Pの現在の技術レベル及び

プロジェクト終了時の達成目標

レベルを考慮し、適切な期間

(3~5年)につき協議し、結果

をミニッツに記載する。

業界のニーズ調査及びC/Pの

技術レベル評価の結果によって

は、短期専門家を中心とした

フォーメーションを採用する可

能性もあることを説明したうえ

で、パキスタン側と暫定的な専

門家派遣計画(指導科目、人数

及び派遣時期)について協 議

し、可能な範囲で結果をミニッ

ツに記載する。

・左記につき改めて説明し、結

果をミニッツに記載する。

・左記の転職防止対策の具体的

内容を確認するとともに、プ

ロジェクト開始後の研修実施

に際しては、フェーズ1と同

様に対策を再 度講じるよう

申し入れる。

・日本側が供与する機材は、プ

ロジェクトの技術移転に際し

必要最小限の品目にとどめる

べきことを説明する。

プロジェクト期間は4年とし、うち

技術移転は当初の3年間で終了させ、

最後の1年は移転した技術を定着さ

せるための期間とすることを日本側

より提案し、パキスタン側の理解を

得た。

上記、Ⅳ.3(1)の移転分野につい

て、専門家のリクルート状況も踏ま

え、実施協議までに長期専門家及び

短期専門家の派遣計画の詳細を検討

していくこととした。

・左記につき説明し、パキスタン側

の理解を得、ミニッツに記載した。

・研修員の受入れは年間0~3名と

し、ミニッツに記載した。

・R/D署名後、プロジェクト開始

までの間にプロジェクト運営管理

分野の研修員受入れを検討する旨

をパキスタン側に伝えた。

・機材供与に対する左記の日本側の

考え方をパキスタン側に説明した

ところ、パキスタン側は理解を示

す一方で、業界団体のニーズに応

えることも必要であると主張し、

PPMAやPAAPAM等より要

望が高いとして、型締め力500tの

射出成形機の必要性を訴えてきた。

これに対し日本側からは、金型精

度の向上に主眼を置くのであれば、

当初要請されていた150t及び350t

の成形機で十分であると説明した

ものの、パキスタン側は主張を取

り下げなかった。このため、日本側

からパキスタン側に対し、今後5

月末までに、500tの成形機でなけ

れば対応できない具体的な製品の

ニーズを示す根拠ある情報を提供

するよう求め、その結果に基づき、

500tの成形機の必要性を再検討す

ることとした。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(3)機材供与

(続き)

6 パキスタン側

投入

(1)人員配置

・PITACが現在保有している機材の

調達ルート、及びメンテナンスサービ

スをどのように受けているかという点

につき、確認中である。

・プロジェクト運営管理のための人員

基礎調査時に、統括責任者 「Project

Director」はPITAC所長とし、実施

責任者 「Project Manager」は副所長とする

ことを確認した。

・技術移転のための人員

基礎調査時に、パキスタン側からは12

名のC/P候補者があげられ、そのリ

ストをミニッツに添付した。今次調査

に先駆けて送付した質問状で、C/P

候補者に変更がないかどうか確認した

ところ、変更はないとの回答である。

・上記Ⅳ.3(2)の技術移転項

目及び(3)の移転技術のター

ゲットグループへの提供方法

に関する議論の内容を踏ま

え、必要となる機材の台数、

基本仕様につき、PITAC

と協議のうえ、供与機材リス

ト(案)を作成し、ミニッツ

に添付する。

・可能な範囲で必要機材の現地

メンテナンス体制及び現地調

達の可能性について調査・確

認する。

・本プロジェクトにて候補機材

になると思われる金型設計・

加工機材は、精密機器である

ため、その輸出にあたっては

国内法令に基づいて、供与先

機関が機材を軍事目的に転用

しない旨の確認を取り付ける

とともに、所要の輸出手続き

を踏む必要がある旨をパキス

タン側に説明し、理解を得

る。

左記を再度確認し、結果をミ

ニッツに記載する。

・C/P候補者に対し、筆記試

験及び面接を実施し、技術レ

ベルを確認する。

・上記の試験及び面接の結果、

及び各C/P候補者の経験を

考慮し、各技術移転分野(設

計、加工、組立・試打)への

人員配置についてPITAC

と協議する。

・CAD/CAMシステムのメ

ンテナンスのためのエンジニ

アの採用・配置計画について

聴取する。

・ターゲット製品を上記Ⅳ.3(4)の

3製品 とする場合の技術移転に必

要な機材を、日本側並びにパキス

タン側負担の区分を明確にしたう

えでリストにまとめ、暫定案とし

てミニッツに添付した。

・上記機材リストに記載した機材の

うち、3次元測定器については、本

邦からの輸出が難しいため、日本

側にて短期調査までに他の測定器

での代替が可能かどうか検討する

とともに、第三国からの購送方法

を調査することとした。

・機材の購入にあたっては、後々の

メンテナンスやアップグレードを

考慮し、現地の代理店を通した購

入の可否、及びアフターサービス

契約の有無なども追って調査する

必要がある旨をパキスタン側に伝

え、ミニッツに記載した。

・左記につき説明し、パキスタン側

の理解を得た。

・プロジェクトの総括責任者「Project

D i r e c t o r」はPITAC所長の

M.A.Jabbar Khan 氏、実施責任者

「Project Manager」は Industrial En-

gineering部長のSarfraz Ahmad氏と

することを確認した。

・12名のC/P候補者に対し、技術

レベル及びプロジェクトでの適性

を確認することを目的に、筆記試

験及び面接を実施した。結果は団

員報告のとおり。

・上記の試験及び面接の結果を受け、

プロジェクトでの人員配置につい

てPITACと協議し、暫定人員

配置計画表をミニッツに添付した。

・プロジェクト開始に伴い新規に採

用する14名の人員に対する要件及

び暫定配置計画についてもあわせ

て協議し、上記の暫定人員配置計

画表に記載した。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

(2)予算措置

(3)施設・設備

(4)機材

機材通関及び国内輸送費用、機材据付け

費用、車輌購入費、プロジェクトの人員の

給与・手当、部品購入費用等で、合計835

万ルピー(約1,670万円)のローカルコス

ト予算が準備されているとのことである。

・当初要請書では、本フェーズ2プロ

ジェクトのための建屋を新規に建設す

るとされていたが、その後既存の機材

を整理したことにより約 360 平方メー

トルのスペースが生じたため、新規建

屋の建設計画を保留するとしている。

・安定した電力及び水質の確保について

は、発電機及びスタビライザー、並びに

浄水設備を設置することで対応する予

定であるとされている。

・基礎調査時に、フェーズ1プロジェク

トで供与した機材を含めPITACが

保有する機材のリストを入手した。

・保有機材のうち、老朽化の激しいもの

についてはその後廃棄したとのことで

ある。

・プロジェクトのためにPITACが新

規に購入するものとして要請書に記載

されているのは車輌1台のみ。

・左記のローカルコストの年度

別の詳細内訳を確認し、また

準備されているという予算の

具体的な認可状況を確認し、

結果をミニッツに記載する。

・機械部品、工具、消耗品等の

購入、及び機材のメンテナン

ス費用は基本的にパキスタン

側で対応するよう求め、協議

の結果をミニッツに記載す

る。

・左記のスペースを視察し、精

密機器を設置するのに十分な

空調等の設備を備えており、

かつ十分な広さであるかどう

かを確認し、追加工事が必要

となる場合はその旨、あるい

は新たなスペースが必要 と

なる場合はそれを用意するよ

う申し入れ、結果をミニッツ

に記載する。

・左記の具体的な設置計画、予

算措置について聴取し、要す

れば結果をミニッツに記載す

る。

・フェーズ1で供与した機材を

含め、現在PITACが保有

している機材の現状を確認

し、結果をミニッツに記載す

る。

・左記の他に、パキスタン側が

対応する予定の機材があれば

聴取する。また、パキスタン

側が購入するべき部品、工

具、金型材料や樹脂材料など

の内容につき協議し、結果を

ミニッツに記載する。

・左記のスペースに加え、現在加工

機械が設置されている作業場の一

部をあわせた約 488 平方メートル

のスペースを改造し、本フェーズ

2プロジェクト用サイトとする方

針であることを確認し、その見取

り図をミニッツに添付した。

・供与機材の仕様決定後、上記のス

ペースの改造に先立って、日本側

より機材のレイアウト案をパキス

タン側に送付し、それに基づきパ

キスタン側にて改造工事に取りか

かることを確認した。

・左記の機器(発電機、スタビライ

ザー、浄水設備)はパキスタン側の

負担にて設置することを確認し、

暫定機材リストに含めて記載した。

・基礎調査時に入手したPITAC

の保有機材リストをアップデート

し、ミニッツに添付したものの、上

記リストと実際の機材の現状とが

必ずしも整合していないため、今

後PITACにて機材の現状に合

わせてリストを更新するよう依頼

した。

・協議のうえ、左記以外でパキスタ

ン側にて対応するべき機材につい

ても、ミニッツに添付した暫定機

材リストに記載した。また、機材の

スペアパーツ、工具、金型材料及び

樹脂材料などについては、原則と

してパキスタン側にて負担すべき

である旨を伝え、ミニッツに記載

した。

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調査項目 基礎調査等の結果、現状及び問題点 対処方針 協議結果

Ⅴ その他

1 計画管理諸表

2 合同調整委員

3 合同評価・モ

ニタリング

4 今後のスケ

ジュール

5 専門家の生活

環境

基礎調査時に、現行のプロジェクト方式

技術協力ではプロジェクトサイクルマ

ネージメント(PCM)手法を導入してい

ること、PCMのためにプロジェクト・

デザイン・マトリックス(PDM)を作成

していることを説明した。

基礎調査時に、合同調整委員会の機能に

ついて説明し、暫定的な委員会構成をミ

ニッツに添付した。

基礎調査時に、プロジェクト終了時の合

同評価及び評価5項目について説明し、

パキスタン側の理解を得、ミニッツに記

載した。

PITACのあるラホールに対しては、

外務省の注意喚起が出されている。

PDM、TCP、PO、TSI

といった計画管理諸表について

説明し、本フェーズ2プロジェ

クトのための暫定的な諸表を可

能な範囲でPITACとともに

作成し、ミニッツに添付する。

左記委員会の構成を再度協議

し、メンバー構成をミニッツに

記載する。特にプラスチック協

会、自動車部品協会等の関連団

体との恒常的な意思疎通及び連

携の方法についてパキスタン側

と協議する。

左記について再度説明を行う。

また評価の指標となるデータの

内容及び入手方法につき協議

し、結果をPDMとしてミニッ

ツに添付する。

今次事前調査以降、プロジェク

ト開始までのスケジュールは、

暫定的に以下のとおりとする。

2000年度第2四半期:短期調

査員派遣

2000年度第3四半期:実施協

2001 年度第2四半期:プロ

ジェクト開始(ただし、機材

の輸出手続き及び専門家のリ

クルートが順調に進むことが

前提)

専門家の生活環境、治安状況に

ついて確認する。

左記の計画管理諸表につき説明し、

PDM、TCP、TSIについては

暫定案を作成し、ミニッツに添付し

た。POについては、短期調査まで

に日本側にて案を作成することとし

た。

左 記 委 員 会 に 、 P P M A 、

PAAPAM、他2つの関連工業団

体の代表者を加えることとし、委員

会構成案を改訂してミニッツに添付

した。

左記につき再度説明のうえ、評価の

指標も含めたPDM案を作成し、ミ

ニッツに添付した。

・今次調査以降のスケジュールにつ

いては以下のとおりとし、ミニッ

ツに記載した。

2000年度第2四半期:短期調査

員派遣

2000年度第3四半期:実施協議

2001年度第2四半期:プロジェ

クト開始(ただし、機材の輸出手

続き及び専門家のリクルートが

順調に進むことが前提)

・ただし短期調査員の派遣について

は、団員のアベイラビリティに

よっては2000年10月ごろとなる可

能性もある。

・ラホール在住者からの情報によれ

ば、爆弾事件などが散発している

旧市街を除けば、治安について特

段の問題はないとのことである。

・フェーズ1プロジェクトの際に専

門家が居住していた住宅を視察し、

場所 を選べば良好な環境の住宅

があることを確認した。

Page 35: 序 文 - JICA序 文 近年、金属加工分野においても機器のコンピュータ化が進んでおり、これに伴いパキスタン・ イスラム共和国の中小企業の間でも、高度な最新技術に対するニーズが高まっています。これに

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第2章 調査・協議結果の概要

 本件調査団は、2000年4月2日より4月11日まで(うち技術団員2名は4月13日まで)パキ

スタンに滞在し、パキスタン政府より要請されたプラスチック金型技術向上プロジェクトの同国

国家開発計画・政策における位置づけを調査するため、工業産業省、BOI(Bo a r d o f

Investment)、SMEDA(Small and Medium Enterprise Development Authority) 等の政府関連

機関を訪問し、関連情報の収集及び分析を行った。

 また、プロジェクトの対象セクターとなるプラスチック製品製造業及び金属加工業の現状及び

技術協力に対するニーズの把握を目的として、ラホール及びカラチにおいて、当該産業に属する

企業及び関連業界団体の視察及び訪問を、プロジェクトのC/PとなるPITACの職員を同行

して実施した。一方で、PITACのC/P候補者に対して、その技術レベル及びプロジェクト

での技術移転における各人の適性を確認するため、筆記試験及び面接を実施した。

 プロジェクト実施機関となるPITACとの間では、上述の調査結果を勘案しつつ、プロジェ

クトの基本計画、技術移転内容、投入等、実施に向けた諸事項についての協議を行い、結果をミ

ニッツとして取りまとめ、工業産業省次官補、PITAC所長、及び本調査団長による署名・交

換を行った。署名、交換されたミニッツ及び調査の概要は以下のとおり。

2-1 日本のODA及びプロジェクト方式技術協力の現状

 日本のODA予算が1998年以降減額されていること、したがって、日本政府(JICA)は、

より効率的・効果的で実行可能性の高い、自立発展性のあるプロジェクトを形成し、実施してい

く必要があることを説明した。

 また、プロジェクトの円滑な実施及び成果のモニタリング・評価のため、プロジェクト・サイ

クル・マネジメント(PCM)を導入していること、及びPCM手法の下でのPDM及び評価5

項目の概念を説明し、パキスタン側の理解を得た。

2-2 国家開発計画等における本プロジェクトの位置づけ

 基礎調査時には、パキスタン政府が 1997年に発表した長期的国家ビジョン「パキスタン2010

プログラム(1998- 2010)」の中の開発重点分野の1つとして、製造分野(工業及び農業)が位

置づけられていることを確認した。「パキスタン2010 プログラム」は、1999 年 10月に発足した

新政権によって「Prospective Long-term Plan」と改称されたが、内容的には大きな変更はなされ

ておらず、前者を踏襲したものとなっている。

 また、「パキスタン2010プログラム」に基づいて策定された中短期政策である、第9次5か年

計画(1998 - 2003)の中では、製造部門が外貨獲得の重要分野として位置づけられていた。第

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9次5か年計画も、新政権により、「Three-years Rolling Plan」(2000 - 2003)として衣替えが

なされたものの、内容的には大きな変更はなされていない。

 したがって、パキスタンの国家開発計画における本プロジェクトの位置づけは、基礎調査時の

調査結果からほぼ変更がないものと判断される。

 一方、上記の国家計画とは別に、新政権は1999年 12月に「経済再生計画」を発表した。同計

画においては、優先度の高い産業分野の1つとして、中小企業(工業)が特定されている。中小

企業振興については、SMEDA(Small and Medium Enterprise Development Authority)を中

心として、具体的な振興策の策定及び実施が行われている。

2-3 協力要請対象セクターに対する国家政策とセクターの現状

(1) 対象セクターに対するパキスタンの政策

 パキスタンは機械工業分野の振興のため、1995 年に Engineering Development Board

(EDB)を設立し、EDBを通して機械工業の保護・育成のための諸政策を実行している。

その政策としては、パキスタン国内に生産法人を持つ外国企業に対する、製品ごとの部品の現

地調達率達成要求(Industry Specific Deletion Programme)や完成品の輸入に高関税を課す制度

があげられる。

 自動車、電気・電子製品などの機械組立の裾野産業である金属加工業及びプラスチック製品

製造業は、上記のような部品の現地調達率規制や輸入品に対する高関税賦課制度から成る国産

化政策によって、現在のところ保護されている。しかし、これら保護政策はWTOの協定に反

するものであることから、いずれ見直しを迫られることになると考えられる。

(2)プラスチック製品製造及び金型産業の現状

 プラスチック製品製造企業はパキスタン国内に約5,000社あり、うち登録企業数は約1,800社

である。これらの企業の一部は、Pakistan Plastic Manufacturers Association(PPMA)という

業界団体を組織しており、PPMAの会員数はパキスタン全土で現在718、パンジャブ州で124

となっている。PPMAによれば、パキスタンのプラスチック製品製造額は年間約10~ 15億

米ドルであり、年20%の成長率で急速に伸びている。現在の国内での主な製品としては、家庭

用品、自動車部品、電気・電子製品、プラスチック容器などがあげられ、中でも今後精度の向

上が求められると思われる製品としては、自動車部品、電気製品、家庭用品、手術用器具、靴、

化粧品の容器などがあげられる。

 プラスチック金型については、パキスタンには専業の登録メーカーはなく、約160の未登録

企業が金型製作を行っている一方で、70~ 80のプラスチック製品製造企業が金型を内製して

いる。総じて金型の設計技術が未熟であり、PITACにおける本プロジェクトに対しても、

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金型設計コースの開設を望む声が多く聞かれた。精度の高い金型は国内では製造できないた

め、海外からの輸入に依存しており、輸入額は年間1億ルピー(約2億円)を超える規模となっ

ている。

(3)自動車部品製造業の現状

 パキスタンには 15 社ほどの自動車メーカーが進出しており、乗用車については年間約5~

6万台が製造されている。

 これらの自動車メーカーに部品を納入している企業は約700社あり、その90%ほどは中小企

業である。自動車部品メーカーの業界団体としてはPakistan Association of Automotive Parts &

Accessories Manufacturers (PAAPAM)があり、現在約 200 の会員企業を有している。

 自動車部品の金型は精度の高いものである必要があるが、国内では高精度の金型が手に入ら

ないため、現在ほとんど輸入に頼っている。

2-4 実施機関の概要

(1)設立の経緯と目的

 PITACは 1961 年に、産業界の技術の向上と生産性向上に関する知識の普及を目的に、

工業産業省管轄下に設立された。その前身は、1955 年に設立された Industrial Research and

Development Center と 1957 年に設立された Industrial Productivity Center であり、1997 年には

Pakistan Institute of Entrepreneurship Training が統合され、現在に至っている。また、PITAC

は1961年にNPO(National Productivity Organization)として政府から認められ、ISO9000

やTQM等の研修を行っている。設立当初より、「国家生産性センター(National Productivity

Organization:NPO)」として、生産性概念の普及の役割を担っている。

(2)組織

 PITACの活動、予算、人事等を決定するのは以下の2委員会である。

(Governing Body)

 工業産業省の副次官を議長とし、連邦及び州政府、連邦商工会議所代表等12名からな

る委員会でPITACの活動方針や予算が決定される。

(Executive Committee)

 Governing Bodyの下に位置し、PITAC所長を議長とし、工業産業省の管理部門の

副次官、財政アドバイザー、連邦商工会議所、ラホール商工会議所代表者を含む5名で

構成されており、Governing Body の決定に基づき、日常の活動方針を決定している。

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(3)予算

 予算には2種類があり、それぞれ通常予算とプロジェクト予算に分類される。通常予算は

PITACにおける人件費、恒常的なメンテナンス費等を含む政府からの交付金のことであ

り、自己収入金額もこの中に盛り込まれる。一方、開発予算はある特定のプロジェクトが計画

されたときに特別に申請されるもので、これは、財務省の大臣を議長とする「Priority Meeting」

(毎年4月に開催)で審議され、各省ごとに予算が分配される。申請したプロジェクトが1年

以上の場合は、Priority Meetingにその全体計画を提出し、プロジェクト終了までの予算が各省

に確保される。

 1999 - 2000 年度のPITACの通常予算は 4,300 万ルピー(約 8,600 万円)であり、うち

3,800 万ルピー(7,600 万円)は政府からの配分予算で、500 万ルピー(約 1,000 万円)は自己

収入で賄うこととしている。2000-2001年度の通常予算は現在大蔵省に申請中である。本プ

ロジェクトのための予算としては、835 万ルピー(約 1,670 万円)を別途申請中である。

(4)職員

 現在の職員数は275名であり、その給与基準は財務省が決定するNational Pay Scale(NPS)

に依る。それに基づきPITAC内部でBoard Pay Salaryと呼ばれる号俸表によりポジション

ごとの給料が決定されている。職員のリクルートについては上記号俸の高い者と低い者では決

定手続きが異なり、前者はGoverning Bodyが増員の可否を承認し、人選は所長が決定し、後者

については決定権限はすべて所長にある。職員の退職年齢は60歳であるが、Governing Bodyの

承認が得られれば、契約ベースで 65 歳まで在職することが可能である。退職時には、退職金

とともに退職時の給与の 80%相当の年金が支給される。

 PITACの職員の転職率は従来低く、フェーズ1プロジェクトのC/Pも定年退職した2

名を除き全員が在職している。その理由は、経済低迷の中での民間企業の不安定な雇用条件に

比して、PITACは公的機関として安定した雇用条件及び福利厚生制度を備えていたことで

あったと考えられる。しかし、近年民間企業の給与体系の多様化を受け、公的機関の給与体系

も多様化してきており、今後職員の転職を防止するためには、給与面で何等かのインセンティ

ブを与えることも必要なのではないかとPITACの管理者層は考えている。

 なお、申請中の新年度予算及びプロジェクト予算が承認された後、プロジェクトのために14

名の職員を新規に採用する予定である。

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(5)活動内容

 現在、主として中小企業を対象に、以下の3種類の活動を行っている。

1) 技術分野及びHRD(Human Resource Development)分野の研修事業

 HRDの内容は品質管理や生産性向上に関連するもので、技術分野及びHRDとも平

均1週間~ 10 週間の期間で開催されている。

2) 技術相談及びアドバイス

 これに関しては2種類に分類され、技術と知識を求める企業に対し、APOとタイ

アップして外国人専門家を派遣するサービスと、PITAC自身による技術サービスが

ある。後者はPITACが実際に企業からの求めに応じて部品・工具や金型等の制作を

行う場合と情報及びアドバイス提供の2種類がある。

3) セミナー及びシンポジウム

 セミナー及びシンポジウム形式での知識と情報の提供

(6)PITACに対する他の協力内容

1) フェーズ1プロジェクトの成果

 フェーズ1で供与された機材は、全般に良くメンテナンスされて現在も活用されている。

当時移転された技術の組織内部での継承もよくなされている。なお、基礎調査時に故障して

いた2台の機材のうち、ならいフライス盤についてはその後修理され、再び稼働していた。

 フェーズ1プロジェクトの成果としては、直接的には、供与された機材を使用した研修

コースの開催や、製品製作サービスの実施があげられる。また間接的には、供与された最新

の機材・設備に触発された民間企業が、自社の設備の更新を行ったという事例もあった。

2) 他の機関の協力

 ILO/UNDPとの協力で 1991 年より、NSTC(National Supervisory Training

Course)の開設のためプロジェクトが実施されたほか、APOや英連邦との協力も行われて

いる。

2-5 プロジェクトの内容

(1)プロジェクト名

 パキスタン側の要請書では、「Balancing and Modernization of Workshop Facilities at PITAC,

Lahore」との名称となっており、これに対し今次調査では、日本側からはプロジェクトの内容

をより明示する名称として、「Plastic Mould Technology Development Project」への変更を提案

した。しかしながら、PITACとしては前述の名称をもって、既に大蔵省までの予算説明及

び了承取り付けを了しており、現時点での名称変更は難しいとの事情を聴取した。このため、

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正式英文名称は前述のとおりとするが、日本側においては、“Balancing and Modernization of

Workshop Facilities at PITAC, Lahore(Plastic Mold Technology Development Project)”と表記の

うえ、「金型技術向上プロジェクト」を呼称として用いることを確認した。

(2)技術移転対象分野及びターゲットグループ

1) 技術移転分野

 基礎調査の結果及びパキスタン側からの要請内容に基づき、本プロジェクトでは、プラス

チック金型の設計・加工・組立及び試打とする。

2) ターゲットグループ

 ターゲットグループは、第一義的にはPITACのC/Pであるが、C/PのOJT活動

を通じ、最終的には電気・電子、自動車、産業機械分野のプラスチック成形メーカー、並び

に潜在的な金型メーカーに対し、技術が移転されることをめざす。

3) ターゲット製品

 技術移転の教育用サンプル及び達成度を確認する手段として、目標とすべき技術レベルと

民間ニーズを勘案のうえ、3つの「ターゲット製品」を設定することを日本側から提案した

ところ、PITAC側からは、民間のニーズに対応するためには、より大型の製品の金型技

術も含めてほしい旨要望があった(下記2-5 (4)3) 機材の項を参照)。

(3)プロジェクトの基本計画

1) 上位目標

 「パキスタン国内のプラスチック金型企業が、国内のプラスチック製造のための、より高度

なレベルの金型を供給することができるようになる。」

2) プロジェクト目標

 「プラスチック金型技術分野における、PITACの技術支援能力が向上する。」

3) プロジェクトにおいて強化されるべきPITACの企業向け支援サービス

 PITACのC/Pに対するOJTを通じ、次の企業向け支援サービスを強化する。

a) 技術研修コース及びセミナー

b) 技術支援サービス(金型設計及び金型の試作品開発)

c) アドバイザリーサービス

(4)プロジェクトに対する日本側投入計画

1) 専門家

 上記2-5(2)1)の分野について、専門家のリクルート状況も念頭に置き、実施協議ま

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でに長期専門家及び短期専門家の派遣計画の詳細を検討していくこととした。

2) 研修員

 年間0~3名を受け入れる。R/D署名後プロジェクト開始までに、プロジェクト管理分

野の受入れを検討する旨を口頭でPITACに伝えている。

3) 機材供与

 上記2-5(2)3)のターゲット製品を設定した場合の技術移転に必要な機材の暫定リス

トを、今回ミニッツに添付した。なお、射出成形機の能力をめぐり、PITAC側からは、

民間ニーズに対応するためには、日本側提案の型締め力 150 t及び 350 tに加え、500 tの

供与が必要であるとの要望があった。これに対し調査団からは、めざすべき技術のレベルと

しては350tで十分カバーできること、むしろ規模が大きくなることにより、対応すべき精

度は落ちるため、技術的なエクサレンシーを追求するのであれば、500 tは不要である旨説

明したものの、PITACとしては、民間からの強い要望があるとしている。

 このため、次回の短期調査までに、350 tでは対応できないとする具体的なプラスチック

製品のニーズにつき、PITACより根拠ある追加情報の提供を求めることとし、この情報

をもとに必要性を再検討することとした。

(5)パキスタン側投入計画

1) 施設・設備

 プロジェクトサイトとしては、既存の建屋を利用し、約 488 m2のスペースを提供すると

しており、必要な改修工事はプロジェクト開始までに行う旨を確認した。機材レイアウト及

びサイトの規模の適切さの検討については、上記2-5(4)3)の議論を踏まえ、機材の内

容及び基本仕様を決定後、短期調査までに行うこととした。

2) 人員配置

 C/Pの配置案について、今次調査でのC/P候補者に対する技術レベルの確認の結果を

受けてPITACに提案するとともに、2000年度予算において、少なくとも6人程度の人員

を新規採用する必要があることを確認した。現在のスタッフ及び新規スタッフを含め、金型

技術の基本となる製図については、十分な知識と理解を形成しておく必要があることを確認

した。

3) 機材

 日本側からの供与機材以外のもので、プロジェクト開始の際にパキスタン側で用意する必

要のある機材を含め、プロジェクトに必要な機材リストをミニッツに添付した。なお、既存

機材の稼動状況及び維持管理の現状について、今次調査においては、時間の制約から、技術

団員による調査確認が十分に行えなかったため、現存機材の達成精度等については、さらに

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追加情報をとりつけることとした。

4) ローカルコスト

 先方より、大蔵省承認済みの3年計画案の提示があった。コンピュータのハード、ソフト

のアップグレードを含め、機材のメンテナンスにかかる費用の負担は原則パキスタン側の責

任であるため、機材計画に基づく必要メンテナンスコスト等につき、今後日本側で試算のう

え、先方に提示し、予算措置をさらに確認していくこととした。

(6)今後の調査スケジュール及びプロジェクト開始時期・期間

1) 2000 年度 10 月を目途に短期調査を実施したのち、2000 年度中に実施協議調査団の派遣

を検討することとした。

2) プロジェクト開始時期は機材の納期、専門家のリクルートの状況を踏まえて、早ければ、

日本の予算年度の 2001 年度第2四半期より4年間の期間の協力を検討することとした。

2-6 短期調査までのフォローアップ事項

 ミニッツAnnex 20 のとおり取りまとめた。

 なお、上記に加え、ミニッツAnnex 7については、短期調査に向けて、既存の加工機器の精度

を詳細に確認する必要があることから、PITACにおいて更なる見直しを行うことにつき、確

認した。

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第3章 協力要請対象セクターに対する政策とセクターの現状

3-1 国家開発計画及び工業政策の概要

(1)国家開発計画

 パキスタン政府は、1997 年に「Pakistan 2010 Program」を発表し、同国の長期的な国家政策

ビジョンを示した。このプログラムにおいては、(a)製造分野(農業・製造業)、(b)輸出、

(c)科学技術、(d)福祉の充実及び(e)健全な統治が重点分野として特定されている。この中

で、特に、製造分野に対しては、民間主体型の運営スタンスをとり、政府に対し、より良好な

投資環境を創り出すよう求めている。具体的には、(a)インフラ整備、(b)健全な金融システ

ムの構築、(c)透明性の確保された法制の整備、(d)税制及び関税制度の改革、(e)民間企業

の発展に必要な基盤の整備、(f)公的な権利保護の確立を求めている。また、中小規模の産業

の発展のための施策の整備も求めている。

 なお、この「Pakistan 2010 Program」は、昨年10月に起きた政変後に名称を「Prospective Long-

term Plan」と改称したが、内容的には、前者を踏襲したものであり、国家開発政策内容の基本

的な変更は行われていない。

 また、パキスタン政府は、「Pakistan 2010 Program」のもとで中期計画として第9次5か年計

画(1998 - 2003)を策定したが、昨年 10 月に起きた政変後に、内容はほぼそのまま引き継い

だ 2000 年から 2003 年までの「Three-years Rolling Plan」を再スタートさせ、継続的な政策を

実施している。

 なお、これらの国家開発計画とは別に、昨年 10 月の政変によって、行政長官に就任したム

シャラフ行政長官(前陸軍参謀長兼統合参謀本部議長)は、経済再生を重要課題の1つとして

掲げ、経済関係閣僚に国際金融機関経験者を充てるなど経済再生に本格的に取り組む姿勢を国

内外に示した。それと同時に、著名なエコノミストや産業界のリーダー 13 名で構成する

Economic Advisory Board を設置し、そこでの審議をもとに、昨年 12 月 15 日に経済再生計画

を発表している。なお、同経済再生計画の発表は、会計年度(同国の会計年度は7月から6月)

の途中であったこともあり、大幅な改革案は盛り込まれず、将来的な方向性を示すにとどまっ

ているが、歴代政権の経済構造改革の先送りによる財政・貿易赤字の慢性化、政策の一貫性・

透明性の欠如による国内外の信用低下により経済的苦境に追い込まれたとの認識の下で、(a)

政策の一貫性・継続性を保証することにより国内外の投資家の信用を回復し、民間部門を活性

化して経済再生を図ること、(b)国内外借入依存体質から脱却し、自主国家の建設をめざすこ

と、(c)経済政策が一般市民に悪影響を及ぼさないよう配慮することを政策目標としている。

具体的な政策としては、債務負担軽減策、産業再生策〔重点産業:農業、中小企業(工業)、

石油・ガス、情報産業〕、税収増加策、貧困緩和策、国民救済策を打ち出している。

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 この経済再生計画においては、産業再生策が具体的な政策として位置づけられているが、そ

の重点産業の1つとして中小企業(工業)が特定されていることは注目に値する。パキスタン

がグローバル経済の進展下において経済発展を遂げていくためには機械工業分野の発展、産業

競争力の強化が不可欠であるが、現状においては、農業及び繊維産業を産業基盤とし、機械工

業分野は相当貧弱で、かつ、大多数は中小企業であることから、これら機械工業分野の中小企

業の発展、産業競争力の強化がパキスタンの経済発展にとって極めて重要であるとの認識のも

とで中小企業(工業)を重点産業として位置づけている。

 なお、現在、Ministry of Industry and Production(工業産業省)において経済再生計画の策定

を受けた具体的な新産業政策が検討されており、2000 年5月に発表される予定となっている

が、その中にも明確に機械工業が重点分野として位置づけられる予定である。

(2)Engineering Development Board(EDB)

 パキスタン政府は、機械工業分野の振興のために 1995 年にEDBを設立している。EDB

の設立目的は以下のとおりである。

・機械工業分野の発展のための長期ビジョンの策定

・機械工業分野における政府の政策の調整

・機械工業分野の戦略の策定

・輸出促進

・技術研修(訓練)の充実

・技術革新と機械工業基金の利用指針の適性化

・苦情の申し立て

・国産化政策の運営

 なお、EDBの具体的な役割としては、国家利益に立脚した機械工業分野の政策及び戦略の

コンセンサス形成、合理的な関税賦課のための政府支援、輸出振興策の建議、基礎的な輸入原

材料の確保、国産化政策の決定等があり、8つのSub-Committeesが以下に掲げる産業分野別に

構成されている。

・自動車及びその他の輸送機械

・プラント機械

・建設機械、農業機械、搬送機械

・繊維機械

・原動機

・金属加工機械

・家庭用電気機器

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・重電機器

(3)国産化政策(Deletion Policy)

 パキスタンにおける近年の国産化政策の基本は、透明性を持たせること、Industry Specific

Deletion Programme(ISDP:輸入部品の削減による産業分野の国産化特別プログラム)を

実施すること、削減レベルの後退を認めないこと、製造プロセスのすべてのレベルにおいて関

税による国内保護を与えること及び国産化のための委員会を設置することである。

 EDBは、国産化政策の具体的な手段としてISDPを実施しているが、これは、国内の関

係業界の積極的な関与の下で、パキスタンに生産法人を設立する外国企業ごとに現地調達率の

目標を設定し、それについて毎年現地調達の実施状況のチェックを行うというものである。こ

の現地調達率の内容の検討や実施状況のチェックはEDBが組織した次に掲げる各分野のSub-

Committees が各々の分野を担当して行われている。

・自動車(自動車、オートバイ、トラクター)

・プラント機械(砂糖プラント、LPGタンク等)

・建設機械、農業機械、搬送機械(ブルドーザー、油圧ショベル、フォークリフト、コンバ

イン(農業用)、刈り取り機、ミニダンパー)

・家庭用電気機器(分離型/ウィンドウ型エアコン、電気バルブ/管、食品加工機械、電気

アイロン、冷蔵庫、食品冷凍庫、洗濯機等)

・電気機器(変圧器、ブレーカー、スイッチギア、回路遮断器等)

・原動機

・金属加工機械

 このISDPは、パキスタン国内の関係業界の積極的な関与の下で行うことにより、部品調

達における輸入代替を進めることを実行ならしめようとするものである。これらの産業分野別

Sub-Committeesの行う国産化政策その他に関わる提案は、政府の行う機械工業分野に対する政

策の基本となるものであり、その役割は重要である。

 また、この国産化政策は、Board Of Investment(BOI:外国からの対内直接投資の認可機

関)が行っている外国からのパキスタン国内への直接投資の認可制度と密接な関係を持ってい

る。一般的には、外国企業がパキスタン国内に直接投資を行う場合は、特定例外産業(武器・

弾薬、高性能爆薬、放射性物資、造幣)を除き、原則として特段の制限は課されないことになっ

ているが、国産化政策の対象として特定されている産業分野においては、EDBで定めた国産

化プログラムに従って現地調達を一定水準以上達成することが直接投資の認可の際に義務づけ

られている。これは、いわゆるローカルコンテンツ要求である。この国産化政策は、パキスタ

ンにおける完成品輸入に対する高関税率政策とともにパキスタン政府の国内産業の保護、育成

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の中心的な政策となっている。

 ちなみに、自動車及び電気機器分野において達成されている現地調達率は次のとおりであ

る。(データ提供:Board Of Investment)

○自動車分野

-乗用車(800cc) 68%

- 〃 (1,000cc) 50%

- 〃 (1,300cc 以上) 42%

-トラクター 80%

-オートバイ 75%

-トラック/バス 50%

○電気機器

-電力量計 85%

-冷蔵庫 84%

-食品冷凍庫 86%

-エアコン(分離型) 80%

-エアコン(パッケージ型) 61%

-エアコン(ウインドウ型) 76%

-半自動/自動洗濯機 74%

-電気アイロン 74%

-電球(200 W以下) 48%

-蛍光灯(40 W以下) 78%

-電気モーター 100%

-電気式ポンプ 95%

-変圧器 100%

 今回の技術協力分野であるプラスチック産業及びプラスチック成型用金型産業は、ISDP

の対象分野である自動車、電気機器等の組立産業にプラスチック部品を供給し、又は、そのマ

ザーツールである金型を提供するサポーティングインダストリーであり、国産化政策及び部

品・完成品輸入に対する高関税率政策の結果、直接的に保護されている。

 なお、パキスタンはWTO加盟国であり、WTO協定の1つである「貿易に関連する投資措

置に関する協定」(TRIM協定)においてローカルコンテンツ要求は禁止されている貿易関

連投資措置であることから、パキスタンとしては早晩国産化政策の見直し、特にローカルコン

テンツ要求の廃止を迫られることになる。現状においては、開発途上国に対するTRIM協定

遵守の経過措置期間が 1999 年末をもって終了しているものの、パキスタンを含めたいくつか

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の国が猶予期間延長を唱えており、これをWTOでいかに扱うか結論が出ていないことから、

当分の間は、現状のままの国産化政策を取り続けることとなる。

(4)まとめ

 今回の技術協力分野であるプラスチック産業及びプラスチック成型用金型産業は、国産化政

策及び部品・完成品輸入に対する高関税率による国内産業保護政策下にある組立産業のサポー

ティングインダストリーであり、JICAによる当該分野での技術協力は当該保護政策を直

接、間接に下支えする効果を有するものといえる。さらに、客観的情勢として、今後、WTO

の場で国産化政策におけるローカルコンテンツ要求の撤廃を迫られることもあり、早急なサ

ポーティングインダストリーの育成が課題となることから、一層、当該技術協力に対する期待

が高まるものと考えられる。

 また、国家開発計画を受けた産業政策においても機械工業分野が重点分野の1つとして位置

づけられており、機械工業を支える基盤技術的産業であるプラスチック産業及びプラスチック

成型用金型産業に対する技術協力はこれらの政策とまさに整合するものである。先に述べたよ

うに、1999年 12月 15日に発表された経済再生計画においても、産業再生策の重点産業として

中小企業(工業)が位置づけられており、パキスタン政府が同国の経済発展のために機械工業

を始めとする工業分野の発展をめざしていることが理解できる。なお、プラスチック産業及び

プラスチック成形金型産業は、ほとんどが中小零細であり、金型産業に至っては個人事業者が

多く、経済再生計画における産業再生策の重点産業である中小企業(工業)として支援が期待

される産業分野である。

 さらに、プラスチック産業及びプラスチック成形金型産業は、自動車、電子機器、産業機械

等の組立産業のサポーティングインダストリーであり、JICAによる技術供与は機械工業分

野の産業基盤技術の確立のために極めて効果的なものと考えられる。

3-2 中小企業振興政策の概要

 1999年 12月に発表された経済再生計画において、中小企業は産業再生策の重点産業に位置づ

けられている。この経済再生計画における中小企業対策は、中小企業の経営環境整備に重点が置

かれており、中小企業向けの信用供与の充実、経営面でのコンサルティング機能の充実、貸出金

利引き下げや銀行改革等資金調達面の改善等が盛り込まれている。

 現在、パキスタンにおいて中小企業支援の中心機関となっているのは、SMEDA(Small &

Medium Enterprise Development Authority)である。SMEDAは、中小企業の支援を目的とし

て 1999 年に設立された政府機関であるが、独立的な運営が認められているユニークな組織であ

る。運営予算は、国家からの助成金、自己資金及び海外のドナーの助成金で賄っている。

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SMEDAの幹部及び管理職職員は、パキスタン国内の日、欧、米系の一流企業でのビジネス経

験者で構成され、彼らの経験に基づいた中小企業コンサルティングを行い、より質の高い中小企

業を育て、産業発展に結びつけることをめざしている。

 現在、このSMEDAが、経済再生計画における中小企業対策の担い手として業務の拡大、充

実を図っている。

 SMEDAにおける業務は、第一に、産業別の発展のための戦略を策定することである。

SMEDAが戦略策定に取り組む特定産業は、産業の成長率、中小企業性、労働力、持続的な競

争力、高付加価値、輸出可能性の角度から検討し、戦略策定が有効と思われる産業が選定される。

既に以下のセクターを選択し、その産業の分析と発展のための戦略を策定している。

 ・大理石・宝石(NWFP地域)

 ・皮革製品

 ・宝石

 ・外科用品

 ・軽機械工業(自転車、ファン)

 ・マンゴ・シトラスの輸出

 ・都市交通セクター

 また、現在、漁業、国内全体の交通システムのあり方、民間における農業信用支援サービス会

社構想、ラホール地域の牛乳市場についても分析と発展のための戦略づくりが行われている。さ

らに、今後、漁業、運輸、農業、大理石・宝石、繊維、軽機械工業、皮革製品、プラスチック製

品の分野を特定分野としてとらえ、中小企業育成のための戦略が検討される予定である。なお、

今後新たに取り組む予定のプラスチックの戦略には、プラスチック製造企業、プラスチック成形

金型製造企業、プラスチック検査センター、プラスチックリサイクルビジネス、プラスチック原

材料供給、プラスチック原材料の関税をカバーしたものとすることを考えており、プラスチック

成形金型製造企業も視野に入れた戦略策定が行われる予定である。

 さらに、近々、スタッフを揃え、企業の経営面のアドバイス、マーケティングのサポート、技

術的サポート、資金調達サポート等の中小企業コンサルティングを本格的に実施する予定となっ

ている。

 いずれにしろ、中小企業政策がパキスタンの産業発展の重点政策であり、今後、SMEDAを

中心に中小企業を重点分野とする中小企業支援が行われることとなる。

 なお、パキスタンにおいては、現状では統一的な中小企業の定義は定まっていない。パキスタ

ン国立銀行(State Bank of Pakistan)においては、資産(土地建物を除く総資産)が 2,000 万ル

ピー(約4,000万円)以下で、かつ、従業員35人以下の企業を中小企業としている。SMEDA

は、自らが本格的に業務を開始したことや中小企業向け金融機関であるSBFC(Small Business

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Finance Corporation)との連携を深めていくことから2000年6月までにはSMEDAとSBFC

との間で共通の中小企業の定義を明らかにする予定である。現状におけるSMEDAから見た中

小企業の規模は、資産が1億ルピー(約2億円)で従業員 100 人以下とのことである。なお、

SMEDAによれば、従業員100人以下の企業は国内に42,500社あり、同国内の企業の約80%に

あたるとのことである。

3-3 協力要請対象セクターの現状

(1)プラスチック産業の現状

 パキスタンにおけるプラスチック産業は、家庭雑貨、台所用品、農業用製品、外科用品、家

具、包装用品、スポーツ用品、玩具等の最終製品と自動車、電気電子機器等のプラスチック製

部品を主な製造品目としており、主な製造企業はパキスタンプラスチック工業会(Pakistan

Plastic Manufacturers Association:PPMA)という業界団体に加盟している。現在、同工業会

の会員数は 718 社である。

 連邦統計局のデータによれば、プラスチック製品の生産額は1995年度(1995年7月~1996

年6月)で 39 億ルピー(約 80 億円)となっており、また、輸出額は 1998 年度で8億ルピー

(約 16 億円)となっている。

 同国内におけるプラスチック製造企業の企業数は、正確な数字はないが、PPMAからの聞

き取り調査によれば、およそ全国に 1,800 社あり、その中で、従業員7~8名規模の零細企業

が約 1,100 社、従業員 30 ~ 40 人規模の零細企業が約 330 社、従業員 100 人以上規模の企業が

約 370 社あるとのことである。

(2)プラスチック成形金型産業の現状

 一方、プラスチック成形金型の製造企業は、ほとんど零細企業又は個人事業者である。ま

た、一部のプラスチックメーカーの工場内でも金型の製造を行っているところがある。なお、

PPMAによれば、プラスチック成形金型メーカーは、パキスタン国内におよそ160事業者お

り、ほとんどが零細事業者であるとのことである。また、プラスチック製造事業者等のうち70

~ 80 社が金型を内製しているとのことであった。

 これらの金型製造企業等において生産されている金型は小物の金型が中心となっており、大

物の金型や複雑形状の高度な設計・加工技術の必要なプラスチック成形金型の多くはタイ、台

湾、日本、ドイツから輸入されている。ちなみに、パキスタン国内におけるプラスチック成形

用金型の生産高は不明であるが、産業工業省のデータによれば、輸入額は1997年度で1.4億ル

ピー(約3億円)となっている。

 パキスタンでは、自動車、電子機器等の機械工業分野の基幹産業が育っていないため、金型

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の設計・加工レベルが日本等の先進国に比べて著しく低レベルとなっている。その一方で、現

在、トヨタ、本田、日産、スズキ、ダイハツ、VOLVO等10社以上の日本を含む外国自動車メー

カーが進出し、自動車、オートバイ等の現地生産を行っている。自動車の市場規模は生産台数

で年間5万台~6万台程度で、金額的に見ても約480億ルピー程度であり市場としては小さい

が、人口1億 3,000 万人を擁する潜在市場であること及び中東、中央アジア等への生産拠点と

して今後期待されること等から多数の自動車メーカーが進出しているものと思われる。また、

ソニー、東芝、松下等の日系電子機器メーカーもカラチを中心に進出している。これら自動車

メーカーや電子機器メーカーの進出に伴い、ローカルコンテンツ要求等を背景とする現地部品

調達ニーズは拡大基調にあり、現地部品メーカーの対応の必要性は高まっており、部品の製造

に不可欠な高度な金型設計・加工技術の飛躍的な高度化が求められている。

 プラスチック成形金型のユーザ業界団体としては、プラスチック協会の他にパキスタン自動

車部品工業会(Pakistan Association of Automotive Parts & Accessories Manufacturers:PAAPAM)

や機械及び機械部品工業会(Engineering components & Machinery Manufacturing Association of

Pakistan)等がある。

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第4章 調査団所見

(1)今次調査においては、1999 年 10 月の政変後の国家政策の確認を行ったが、1997 年に発表さ

れた長期国家ビジョン「パキスタン2010」はProspective Long-term Planと名称を変えたものの、

内容は踏襲しており、また、第9次5か年計画(1998 ~ 2003)も 2000 年から 2003 年までの3

か年ローリングプランになっているが、実質的に前政権からの政策が継続していることが明らか

となった。1999年 12月に発表された経済再生政策においては、政策の一貫性と継続性の保証に

より、民間セクターの活性化を図ることが目標の1つとして明記され、また、工業部門の中小企

業を重点産業の1つとする産業再生策が具体的な政策として位置づけられた。これに呼応して、

工業産業省が策定しようとしている新産業政策においても、官民のパートナーシップや機械産業

の振興が盛り込まれる予定である。

  一方で、機械産業振興のために、工業産業省によって 1995 年に設立された Engineer ing

Development Board(EDB)は、業種別の官民メンバーによる委員会活動を活発化させており、

関係業界の積極的な関与のもとで産業振興並びに国産化等の政策及び戦略策定のための合意形

成、関税賦課の合理化検討が進められている。

  このように、ムシャラフ政権後も政策に変更はなく、むしろ、民間のイニシアティブを尊重す

る路線が軌道に乗ることで、民間業界の産業支援への期待及び政策への発言力はより高まってき

ていることが感じられた。

(2)今次調査では、30 社にわたるプラスチック部品・金型の製造メーカーを中心とする企業視察

調査とともに、プラスチック部品、自動車部品等の業界団体からの意見聴取を行った。ほとんど

のプラスチック企業が輸入金型に依存しているほか、企業自体の設備、技術力不足の問題が観察

されたが、一方で、企業側からは、PITACに対し、「良質の金型の製作を依頼したくても、

納期がかかりすぎる」とのクレームが往々にして表明された。納期の問題は、多くが、

PITACの設備の老朽化に関わっており、故障や稼働不良のために、納品までに1~2年もか

かった例も指摘された。このため、中規模企業を中心に「日本からPITACが新たな協力を得

るのであれば、品質がよく、価格が(輸入品より)安く、3か月未満で納品できる金型が作れる

ようにならなければ意味がない」というような発言も多々耳にした。これらの発言は、良質の金

型開発に向けて、PITACへの期待の裏返しともいえ、PITACが金型試作品開発において

すべての企業ニーズに応えることが趣旨ではないにせよ、今回のプロジェクトにおいては、これ

らの企業側の期待を損なうことなく、産業界への裨益をアピールする方策を検討していくことが

重要と思われる。

  このことは、PITACがこれまで、個々の企業との関係はあっても、業界団体そのものとの

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関係づくりは行っておらず、産業界のニーズに対応するとの意識は必ずしも持っていなかったた

め、上記(1)にあげたような、業界団体の政策、施策への積極的関与が高まっている現状を踏

まえると、なおさら重要と思われる。

(3)今次調査団は、PITACのC/P予定者への個別ヒアリング、既存設備の稼働・整備状況

の再確認も行った。15年前のフェーズ1以来のC/Pが、供与された機材を丁寧に維持し、事業

を継続してきたことは事実であるが、12名のC/P候補者の年代は37~ 50歳であり、若手の補

充がなされておらず、また、機材については、1994 ~ 1995 年に行われたアフターケア協力を除

くとほとんど機材更新が行われていない。このため、ミニッツに記載のとおり、2000 年度中に

6名の新しいスタッフの補充と、機材導入後のメンテナンス経費を措置することが、本プロジェ

クトを開始するための、前提条件である。また、技術移転の中でも、金型設計技術の移転が最も

重要であり、このために、ミニッツに記載のとおり、製図の知識はスタッフの間で、15年ぶりの

技術協力を得ることに対し、PITAC側の期待には非常に大きいものがあり、既に、14名の増

員を含め、プロジェクト予算について、既に大蔵省までの承認を得たところである。しかしなが

ら、(暫定3年間にわたる)全体プロジェクト予算 835万ルピー(約1,670 万円)は十分とは思わ

れず、新規人員予算も大蔵省承認の金額ベースでは7名分しか確保できていない。新規人員の採

用動向を今後もフォローしていくとともに、機材の維持管理、光熱水料に要する経費について

は、機材の詳細案の作成と併せて、想定される維持管理コストを提示し、必要な予算措置を促進

していく必要があろう。特に、財政赤字の増加から、今後も財政引き締めが予想されることもあ

り、機材規模の選定等にあたっても、予算措置を十分考慮したものとしていく必要がある。

(4)機材の暫定リストの協議にあたっては、射出成形機の規模を巡り、PITACより、業界の

ニーズだとして、現行の対フィリピン、タイ協力プロジェクトの規模である 350 tを越える、

500 tの要望がなされた。これについては、結論としては、「具体的根拠が提示されれた場合に

は、検討を加えること」としたが、500 t成形機を追加した場合、加工機器の台サイズにも関わ

るため、今次ミニッツに記載の機材の概算総額が1億 2,000 万円であるのに加え、少なくとも

1億円程度の上乗せが必要となると見込まれる。また、使用頻度と上記(3)の維持管理コスト

との兼ね合い、さらには、めざすべき技術的なレベルは、350 tの規模で十分対応できることを

調査団から縷々説明ずみであり、500 tの必要性につき、PITACより、根拠ある、かつ説得

力のある具体的説明が行われない限り、500 tを加えることは考えにくい。

  なお、この場合も、上記(2)の観点から、次回短期調査にあたっては、協力コンセプトに関す

る業界団体との合意形成、産業界へのアピールに十分留意していく必要があろう。

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(5)今回の調査団滞在中、道路工事を原因として、PITACにおいて、数次にわたり、5時間程

度の停電があり、その多くは計画外の突然のものであった。このこともあり、PITACは、

UPSや浄水装置に加え、発電機が必要だとし、パキスタン側で措置する機材として、ミニッツ

に記載している。今次調査においては、さらに協議を行う余裕がなかったが、プロジェクト機材

すべてのカバーし得る発電機の設置の現実性について、十分検討する必要があろう。すなわち、

マシニングセンター等が稼働中に停電が生じた場合に、発電機が存在すれば、何らかの対処が可

能かという点を含めて日本側の見解を伝達しておく必要があろう。

(6)なお、短期調査までのフォロー事項をミニッツの Annex20 として取りまとめているが、これ

以外に、日本側としては、長期専門家の確保を含め、専門家体制の検討が鍵となる。場合によっ

ては、公募も含めて、核となる設計、加工、組立・試打の各専門家のリクルートについて、協力

開始時期をにらんで、検討を開始する必要があると思われる。

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