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熊本大学学術リポジトリ
Kumamoto University Repository System
Title TALENによる遺伝子破壊マウスの作製と変異個体スクリー
ニング法の確立
Author(s) 中川, 佳子
Citation
Issue date 2014-07-15
Type Thesis or Dissertation
URL http://hdl.handle.net/2298/31342
Right
熊本大学学位論文
Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製と
変異個体スクリーニング法の確立
2014
中川 佳子
本論文は学術雑誌に掲載された次の論文を基礎とするものである。
Screening methods to identify TALEN-mediated knockout mice
Yoshiko Nakagawa, Takashi Yamamoto, Ken-Ichi Suzuki, Kimi Araki, Naoki Takeda,
Masaki Ohmuraya, Tetsushi Sakuma.
Exp. Anim., 63, 79-84 (2014).
Application of Oocyte Cryopreservation Technology in TALEN-Mediated Mouse
Genome Editing
Yoshiko Nakagawa, Tetsushi Sakuma, Naomi Nakagata, Sho Yamasaki, Naoki Takeda,
Masaki Ohmuraya, Takashi Yamamoto.
Exp. Anim., 63, 349-355 (2014).
Birth of mice from vitrified/warmed 2-cell embryos transported at a cold temperature
Toru Takeo, Takehito Kaneko, Yukie Haruguchi, Kiyoko Fukumoto, Hiromi Machida, Mik
a Koga, Yoshiko Nakagawa, Yumi Takeshita, Toyokazu Matsuguma, Shuuji Tsuchiyama, Norihiko
Shimizu, Takanori Hasegawa, Motohito Goto, Hitoshi Miyachi, Masayuki Anzai, Ena Nakatsukasa,
Koji Nomaru, Naomi Nakagata.
Cryobiology, 58, 196-202 (2009).
Short-term storage and transport at cold temperatures of 2-cell mouse embryos
produced by cryopreserved sperm
Toru Takeo, Tomoko Kondo, Yukie Haruguchi, Kiyoko Fukumoto, Yoshiko Nakagawa, Yumi
Takeshita, Yuko Nakamuta, Shuuji Tsuchiyama, Norihiko Shimizu, Takanori Hasegawa, Motohito
Goto, Hitoshi Miyachi, Masayuki Anzai, Rie Fujikawa, Koji Nomaru, Takehito Kaneko, Yoshiaki
Itagaki, Naomi Nakagata.
J. Am. Assoc. Lab. Anim. Sci., 49, 415-419 (2010).
その他の論文
Fertilization of C57BL/6 mouse sperm collected from cauda epididymides after
preservation or transportation at 4 degrees C using laser-microdissected oocytes
Takehito Kaneko, Kiyoko Fukumoto, Yukie Haruguchi, Tomoko Kondo, Hiromi Machida, Mika
Koga, Yoshiko Nakagawa, Shuuji Tsuchiyama, Kiyora Saiki, Shiho Noshiba, Naomi Nakagata.
Cryobiology, 59, 59-62 (2009).
目次
要旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
第1章 序論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
第2章 実験材料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
2-1) Platinum TALEN プラスミド作製
2-2) SSA アッセイ
2-3) TALEN mRNA 合成
2-4) 受精卵の準備および TALEN mRNA のマイクロインジェクション
2-5) GFP 蛍光観察
2-6) HMA
2-7) RFLP 解析
2-8) DNA シーケンシング
2-9) 精子の凍結融解および体外受精
2-10) 受精卵の凍結融解
第3章 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
3-1) 新鮮受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製と
変異個体スクリーニング法の検討
3-1-1) Platinum TALEN プラスミド作製
3-1-2) TALEN 活性測定のための SSA アッセイ
3-1-3) TALEN mRNA 合成
3-1-4) pCAG-eGFP マウス受精卵の準備
3-1-5) TALEN mRNA のマイクロインジェクション
3-1-6) 胎仔あるいは産仔の蛍光観察
3-1-7) HMA のためのゲノミック PCR
3-1-8) RFLP 解析
3-1-9) PCR 産物の塩基配列決定
3-2) 凍結融解受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製
3-2-1) Platinum TALEN プラスミド作製と SSA アッセイ
3-2-2) Ayu8104 マウス受精卵の準備
A)交配による受精卵の作製
B)体外受精による受精卵の作製
3-2-3) C57BL/6N マウス受精卵の準備
3-2-4) 変異個体スクリーニングのための解析
第4章 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
4-1) 新鮮受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製と
変異個体スクリーニング法の検討
4-1-1) TALEN mRNA 使用濃度の検討(前核内インジェクション)
4-1-2) 細胞質へのインジェクション
4-1-3) 変異個体スクリーニングのための解析
4-2) 凍結融解受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製
4-2-1) Ayu8104 マウスにおける外来遺伝子の破壊
4-2-2) C57BL/6N マウスにおける内在遺伝子の破壊
第5章 結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
5-1) 新鮮受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製
5-2) 変異個体スクリーニング法の確立
5-3) 凍結融解受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製
第6章 図表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
第7章 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 72
1
論文要旨
Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製と
変異個体スクリーニング法の確立
中川 佳子
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(zinc-finger nuclease; ZFN) や TALE ヌクレ
アーゼ(transcription activator-like effector nuclease; TALEN) などの部位特異的
ヌクレアーゼや CRISPR/Cas (clustered regularly interspaced short palindromic
repeats; CRISPR) システムを利用したゲノム編集は、様々な生物において、遺
伝子改変法の新たなスタンダードとなりつつある。これらの技術をノックア
ウトマウスの作製に適用するためには、人工ヌクレアーゼのインジェクショ
ンによって得られた産仔の単純かつ容易なジェノタイピングの手法が広く求
められている。しかしながら、人工ヌクレアーゼを導入した個体群から目的
のミュータントマウスをスクリーニングする手法について、詳細に比較検討
した報告はこれまでなされていない。そこで、本研究において、enhanced green
fluorescent protein (eGFP) 遺伝子を Platinum TALEN によって破壊したノック
アウトマウスの解析法を包括的に検討した。加えて、広島大学にて開発され
た Platinum TALEN は、培養細胞での SSA アッセイやアフリカツメガエルあ
るいはラットの受精卵へのインジェクションにおいて、従来の TALEN に比べ、
高効率な遺伝子破壊が可能であることが報告されていたが、マウスでの使用
実績がなかったため、Platinum TALEN を用いて、ノックアウトマウスを作製
するための詳細な条件検討を行った。その結果、F0 世代にて、eGFP の蛍光
が完全に消失した個体を作製することが可能となった。さらに、得られた産
仔において、蛍光観察、ヘテロ二重鎖移動度アッセイ、制限酵素断片長多型
2
解析、および DNA シーケンシングを行った結果、それぞれのアッセイ法で変
異の検出感度に違いがあり、正確に変異個体を選抜するためには、これらの
手法を組み合わせることが重要であることを見いだした。
また、体外受精や胚凍結、精子凍結などの生殖工学技術は、遺伝子改変マ
ウスの保存、個体化、輸送に不可欠な技術であるが、これらの技術が TALEN
などの部位特異的ヌクレアーゼを用いたゲノム編集による遺伝子改変マウス
作製にも応用可能か否かは、これまで明らかにされていない。そこで、本研
究では、Platinum TALEN の mRNA を受精卵へインジェクションしてゲノム改
変マウスを作製する際、凍結融解受精卵を用いて外来遺伝子あるいは内在遺
伝子のターゲティングが可能か検討した。外来遺伝子の破壊においては、交
配後に採卵した凍結受精卵だけでなく、新鮮精子あるいは凍結精子を用いた
体外受精後の凍結受精卵も作製し、それぞれを融解後、インジェクションを
行った。内在遺伝子の破壊においては、5 週齢の幼若雌マウスと性成熟後の 8
~12 週齢雌マウスを交配に使用し、これらの凍結受精卵を融解してインジェ
クションを行った。全ての実験区から得られた産仔について、TALEN による
変異導入の有無を詳細に解析した結果、これらの凍結受精卵から、TALEN を
用いて高効率に遺伝子改変マウスを作製できることが明らかとなった。
本研究において使用した変異個体スクリーニング法は、特別な設備や特に
高価な試薬類、あるいは洗練されたプロトコールを必要とする実験ではなく、
様々な生物においてゲノム編集技術の導入を試みる幅広い研究者に対して、
本研究は大いに役立つものと考える。さらに、体外受精や受精卵の凍結融解
などの生殖工学技術を活かすことにより、マウスの飼育費や作業者の負担が
軽減され、次世代型の遺伝子改変技術であるゲノム編集法を用いたノックア
ウト/ノックインマウス作製の利便性が大いに高まると期待される。
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第 1 章 序論
これまでのノックアウトマウス作製では、ターゲティングベクターとゲノ
ム DNA との相同組換えを利用し、ES 細胞を介してキメラマウスが作製され
てきた(Capecchi 2005)。この方法では、ターゲティングベクターの構築や
ES 細胞へのベクター導入、相同組換えクローンの単離・同定、キメラマウ
スの作製、近交系マウスへのもどし交配など、かなりの時間と手間のかかる
作業が必要であった。しかし、近年、ジンクフィンガーヌクレアーゼ
(zinc-finger nuclease; ZFN) や TALE ヌクレアーゼ(transcription activator-like
effector nuclease; TALEN)などの部位特異的ヌクレアーゼや CRISPR/Cas
(clustered regularly interspaced short palindromic repeats; CRISPR)システムを
利用したゲノム編集が可能となり、ZFN、TALEN ではこれらの mRNA を、
CRISPR/Cas システムでは Cas9 のような RNA 誘導型 DNA ヌクレアーゼ
(RNA-guided nuclease; RGN)の mRNA とガイド鎖 RNA(guide RNA)を目
的とする系統の受精卵へインジェクションする試みが様々な施設で行われ
てきた。この方法を利用することにより、ES 細胞を介さず、もどし交配の
必要もない短時間かつ低費用、簡便なノックアウトマウスの作製が可能とな
り、現在では、多数の報告がよせられている(Davies et al. 2013; Ma et al. 2013;
Panda et al. 2013; Qiu et al. 2013; Sung et al. 2013; Wefers et al. 2013; Wu et al.
2013; Aida et al. 2014)。今後も、これらの技術を利用したノックアウトマウ
スの作製は増加すると考えられ、得られた産仔の簡便で迅速なジェノタイピ
ング法の確立が急がれている。しかしながら、これらの技術を用いて作製し
た個体群から目的の変異マウスをスクリーニングする手法は、現在までに
様々な方法が報告されているものの、それらについて、詳細に比較検討した
4
報告はこれまでなされていない。そこで、本研究では enhanced green
fluorescent protein; eGFP 遺伝子を全身で発現するトランスジェニックマウ
スを用い、eGFP 遺伝子を TALEN によって破壊したマウスの解析法を包括
的に検討した。また、本研究で使用した Platinum TALEN(広島大学山本研
究室にて開発)は、培養細胞での single-strand annealing assay(SSA アッセイ)
やカエル、ラット受精卵へのインジェクションにおいて、従来の TALEN に
比べ、高効率に変異導入可能なことが確認されていたが、マウスでの使用実
績がなかった(Sakuma et al. 2013 b)。そこで、本研究では、はじめに、受精
卵へのインジェクションに用いる TALEN mRNA の濃度検討、前核内と卵細
胞質へのインジェクションの比較検討を行い、マウスにおける Platinum
TALEN の使用条件を決定した。次に、産仔への発生率や産仔の蛍光消失率
が最良であった実験区の産仔を用いて、eGFP 遺伝子が破壊されたマウスの
解析法を包括的に検討した。以下、TALEN と Platinum TALEN について簡単
に説明する。
TALEN は制限酵素 FokI の DNA 切断ドメインと、植物病原細菌キサント
モナス属から分泌されるTALE タンパク質のDNA結合ドメインを融合させ
た人工ヌクレアーゼである。DNA 結合ドメインは自然界の TALE で高度に
保存されたモジュールの繰り返し構造をとっている。1 モジュールは約 34
アミノ酸で構成され、各モジュールの 12,13 番目のアミノ酸残基(repeat
variable di-residue; RVD)が標的 DNA の 1 塩基を認識し、安定的な結合を行
うために重要である。標的 DNA の塩基配列に対応するモジュールをつなぎ
合わせ、FokI の DNA 切断ドメイン配列をもつベクターに組み込むことによ
り、目的とする遺伝子の配列に作用する TALEN の作製が可能となる。
二組の TALEN が標的配列に結合すると、FokI の DNA 切断ドメインが二
5
量体を形成し、スペーサー配列に DNA 二本鎖切断(double-strand break; DSB)
を引き起こす。DSB は相同組み換え修復(homology-directed repair; HDR)よ
りもむしろ非相同末端結合(non-homologous end-joining; NHEJ)によって修
復されることが多く、その過程でランダムな塩基の欠失や挿入が起こり、フ
レームシフトによって遺伝子機能が破壊される。
広島大学山本研究室では ZFN や TALEN の有用性に早くから着目し、ゲノ
ム編集コンソーシアムの運営をはじめ、ゲノム編集研究会や人工ヌクレアー
ゼ作製講習会を通してゲノム編集に関する情報交換やゲノム編集基盤技術
の開発・発展に尽力されている。特に TALEN については、Daniel Voytas ら
が開発した 10 モジュールのアセンブリ法を用いる Golden Gate 法での
TALEN プラスミド構築法(Cermak et al. 2011)に改良を加え(Sakuma et al.
2013 a)、高速かつ簡便に、高活性な TALEN を作製することに成功し、
Platinum TALENとそのプラスミド構築法を開発した(Sakuma et al. 2013 b)。
主な改良・開発点は、作製した TALEN プラスミドの活性評価が哺乳動物培
養細胞で行え、かつそのまま mRNA 合成に利用できるよう CMV と T7 プロ
モーターをもつ destination vector を構築したこと、モジュールのアセンブリ
で失敗することがないよう 6あるいは 4モジュールのアセンブリ法を開発し
たこと、TALEN の切断活性を上昇させることが知られている TALE の N 末
端・C 末端欠失(NC 型)を導入したこと、34 アミノ酸からなる TALE リピ
ートの 4 番目と 32 番目のアミノ酸残基に多様性を持たせ、細胞毒性を出さ
ずに TALEN の切断活性を上昇させたことである。
様々な動物受精卵への TALEN インジェクションでは、TALEN のプラスミ
ド DNA ではなく、これらをもとに合成した mRNA を用いることにより、作
製した変異個体において、ゲノム DNA へのプラスミド DNA の挿入が回避
6
でき(トランスジェニック個体にならずに)、かつ、迅速に TALEN タンパ
ク質の合成が行われ、胚発生の極めて初期に標的遺伝子が破壊されることか
ら、F0 世代での完全なノックアウト個体作製が可能となる利点がある。
目的とする培養細胞や生物個体に TALEN を作用させた後は、変異体の同
定が必要となる。以下に述べるように、変異体同定法は、これまで様々な方
法が報告されている。変異導入により形成されたミスマッチなヘテロ二本鎖
を特異的に切断するSurveyor ヌクレアーゼやT7 エンドヌクレアーゼ Iを利
用する方法(Watanabe et al. 2012; Mussolino et al. 2011; Tesson et al. 2011)、
DNA融解曲線を利用して PCR産物のヘテロ二本鎖を検出する高解像度融解
曲線分析(high resolution melt analysis; HRMA)(Dahlem et al. 2012)、
pBluescript IIプラスミドのマルチクローニングサイトを標的配列が含まれる
PCR 産物に置換し、野生型ゲノムがインフレームで lacZα遺伝子に挿入で
きるよう設計した blue/white selection を利用する lacZα遺伝子破壊測定法
(LacZ assay)(Hisano et al. 2013)、標的配列を含む PCR 産物を電気泳動
し泳動度の遅いバンドを検出するヘテロ二重鎖移動度アッセイ
(heteroduplex mobility assay; HMA)(Ota et al. 2013)、スペーサー配列内の塩
基配列を特異的に認識切断する制限酵素を利用した制限酵素断片長多型解
析(restriction fragment length polymorphism; RFLP analysis)(Ochiai et al. 2010;
Ansai et al. 2013; Suzuki et al. 2013)、標的配列を含む PCR 産物をサブクロー
ニングして配列を読む DNA シーケンシング解析などである。
得られたキメラマウスの毛色により解析が容易な ES 細胞を介したノック
アウトマウス作製と異なり、TALEN を用いたノックアウトマウス作製では、
明らかな表現型が出ない限り、ファウンダーマウス(F0)での野生型個体と
変異型個体の判別が困難である。そこで、本研究では、上記の様々な変異体
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同定法のうち、感度や再現性に問題がなく、特別な機器や高価な試薬、洗練
されたプロトコールを必要としない HMA、RFLP 解析、DNA シーケンシン
グと eGFP の蛍光観察を組み合わせることにより、TALEN を用いた eGFP 遺
伝子の破壊について詳細に解析した。
また、熊本大学生命資源研究・支援センター中潟研究室では、マウス胚・
精子の凍結バンク業務を行うと共に、新たなマウス生殖工学技術の開発、改
良、確立を目的として研究を行っており、中潟研究室にて確立された生殖工
学技術の多くは世界的にも注目されている(Guan et al. 2012)。精子の凍結
保存と融解法の開発、C57BL/6 マウスの凍結融解精子を用いた体外受精や
129、BALB/c、ICR など低受精率系統を用いた体外受精において受精率を飛
躍的に向上させたこと、冷蔵保存あるいは冷蔵輸送されたマウス精巣上体尾
部を用いた効率的な体外受精法の開発、2 細胞胚の冷蔵保存と冷蔵輸送法の
開発などがその例である。私は、主に、体外受精により得られた 2 細胞胚を
凍結保存後、融解し、冷蔵で胚を輸送する方法の開発を行い、複数の輸送先
施設にて、冷蔵輸送された 2 細胞胚の個体化を確認することができた。この
輸送法は、M2 メディウムで満たしたエッペンチューブに 2 細胞胚を浸し、
保冷剤とともに発砲スチロール容器に梱包後、一般的な宅配便で送る簡便な
ものであり、ドライシッパーは必要ない。また、輸送先では 2 細胞胚を回収
する簡単な作業だけで、偽妊娠雌マウスへの移植作業を開始でき、冷蔵輸送
胚の産仔への発生率も良好であったため、現在では、施設間のマウスの授受
に利用されている。そこで、これまでに習得した生殖工学技術を活かしてゲ
ノム編集を行うことにより、さらに高速、低コスト、簡便なノックアウトマ
ウスの作製が可能になるのではないかと考え、以下の研究を行うこととした。
受精卵へのインジェクションによるゲノム編集技術を用いてノックアウ
8
トマウスやノックインマウスを作製している施設では、一般的に、過排卵処
理をした雌マウスを個別飼育した雄マウスと交配させ、膣栓が確認された雌
マウスから受精卵を採卵し、インジェクションに使用している(Davies et al.
2013; Ma et al. 2013; Panda et al. 2013; Qiu et al. 2013; Sung et al. 2013; Wefers
et al. 2013; Wu et al. 2013; Aida et al. 2014)。この方法では、個別飼育した多く
の雄マウスを常に準備しておかなければならず、飼育スペースの占有や飼育
費の負担により、実験者を圧迫することが多い。さらに、実験日にはその都
度、雌マウスを準備し、受精卵の採卵を行わなければならない。しかしなが
ら、凍結融解受精卵をインジェクションに用いることができれば、常時個別
飼育した雄マウスを飼育する必要がなくなるため、飼育費の負担が軽減され
る。また、実験日に採卵する必要がなくなるため、作業の効率化が可能とな
る。さらに、体外受精により作製した受精卵を凍結融解し、インジェクショ
ンに用いることができれば、極めて効率よく作業を進めることが可能となる。
体外受精や精子および受精卵の凍結融解などの生殖工学技術がトランス
ジェニックマウスの作製に応用可能であることは、これまでの研究により明
らかとなっていたが(Nakagata N. 1996)、TALEN などの部位特異的ヌク
レアーゼを用いたゲノム編集による遺伝子改変マウス作製にも応用可能か
否かは、これまで明らかにされていない。そのため、本研究では、交配によ
り得られた受精卵、新鮮精子あるいは凍結融解精子を用いた体外受精により
得られた受精卵を凍結融解し、TALEN を用いた遺伝子破壊マウスの作製に
使用可能か検討した。TALEN による遺伝子破壊が、マウスの個体発生に影
響を与えないよう、マウスでは発現しないβ-ラクタマーゼ(β-lactamase; bL)
をコードする 1コピーの外来遺伝子をもつ Ayu8104 マウスを用い(Imaizumi
et al. 1999)、bL 遺伝子の破壊を試みた。さらに、通常、交配による受精卵
9
の採取には、様々な施設において、幼若雌マウスと性成熟後の雌マウスのど
ちらも使用されている。そのため、5 週齢あるいは 8-12 週齢の雌マウスを交
配および採卵に用いた C57BL/6 系統の受精卵を凍結融解し、C 型レクチンド
メインファミリーb1 遺伝子(C-type lectin domain family 4, member b1; Clec4b1)
の TALEN mRNA をインジェクションすることにより、採卵に使用する雌マ
ウスの週齢に左右されることなく、内在遺伝子の破壊が可能か否かを調べた。
bL 遺伝子、Clec4b1 遺伝子の破壊についても、eGFP 遺伝子の破壊時と同様
に、得られた産仔について、変異個体のスクリーニングを行い、変異導入効
率を調べた。
10
第2章 実験材料
ここでは、実験を進める上で重要な試薬やキット、機器について記載する。
DNA ポリメラーゼ、大腸菌培養試薬など一般的な遺伝子工学試薬は、通常
の実験室で用いているものを使用して問題ない。また、電気泳動装置やゲル
撮影装置、インキュベーター、サーマルサイクラー、遠心機などの一般的な
機器も通常の研究室で使用しているもので問題ない。
2-1)Platinum TALEN プラスミド作製
・Platinum Gate TALEN Kit (Addgene cat.#1000000043)
Kit には以下のプラスミドが含まれる。
P1-4HD, p1-4NG, p1-4NI,p1-4NN 計 16 個の Module plasmids(アンピシリン
耐性)。
pFUS2_a1a, a2a, a2b, a3a, a3b, a4a, a4b, b1, b2, b3, b4 計 11個の第 1段階の 4
モジュールアセンブリに使用する Intermediate array plasmids(スペクチノ
マイシン耐性)。
ptCMV-136/63-VR-HD, NG, NI, NN 、ptCMV-153/47-VR-HD, NG, NI, NN 計
8 個の Destination vectors(アンピシリン耐性)。
・BsaI-HF (NEB cat.#R3535S)
・Esp3I (Thermo Scientific cat.#ER0452)
・10×T4 DNA Ligase Reaction Buffer (NEB cat.#B0202S)
・Quick Ligation Kit (NEB cat.#M2200S)
・Wizard SV Gel and PCR Clean-up System (Promega cat.#A9281)
・ChargeSwitch-Pro Plasmid Mini Kit (Life Technologies cat.#CS30250)
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・PCR プライマー
pCR8 F1: 5′- TTGATGCCTGGCAGTTCCCT-3′
pCR8 R1: 5′- CGAACCGAACAGGCTTATGT-3′
TALE-F: 5′-GAGCACCCCTCAACCTGACCCCAG-3′
TALE-R: 5′- CTCGAAAGCTGGGCCACGATTG-3′
2-2)SSA アッセイ
・pGL4-SSA vector (Addgene cat.#42962)
・ChargeSwitch-Pro Plasmid Mini Kit (Life Technologies cat.#CS30250)
・KpnI (NEB cat.#R0142S)
・HEK293T 細胞
・Lipofectamine LTX (invitrogen cat#15338-100)
・Dual-Glo Luciferase Assay System (Promega cat#E2920)
・TriStar LB 941 plate reader (Berthold Technologies)
2-3)TALEN mRNA 合成
・SmaI (TAKARA cat.#1085A)
・QIAquick PCR purification kit (Qiagen cat.#28104)
・mMESSAGE mMACHINE T7 Ultra kit (Life technologies cat.#AM1345)
・RNeasy Mini kit (Qiagen cat.#74104)
2-4)受精卵の準備および TALEN mRNA のマイクロインジェクション
・pregnant mare serum gonadotropin (PMSG; Serotropin; Aska Pharmaceutical)
・human chorionic gonadotropin (hCG; Veterinary Puberogen; Novartis Animal
12
Health)
・Hyaluronidase (SIGMA cat.#H-3506)
・potassium simplex optimized medium with amino acids (KSOM-AA; 自家作製)
・流動パラフィン(ナカライテスクcat.#26137-85)
・流動パラフィン軽質(ナカライテスクcat.#26144-85)
・10×RNase-free PBS (Life technologies cat.#AM9624)
・pCAG-eGFPホモマウス(B6;D2-Tg (CAGEGFP)49SImeg; CARD ID: 267;
http://cardb.cc.kumamoto-u.ac.jp/transgenic/strainsDetailAction.do?strainId=26
7)
・採卵用雌マウス(pCAG-eGFP マウス用)
C57BL/6NCrlCrlj (Charles river Japan)
・Ayu 8104 ホモマウス(Imaizumi et al. 1999)
・採卵用雌マウス(Ayu 8104 マウス用) Jcl: ICR (CLEA Japan)
・C57BL/6 系統の受精卵採取のために使用する雌雄マウス
C57BL/6NCrlCrlj (Charles river Japan)
・偽妊娠雌マウス Jcl: ICR (CLEA Japan)
・実体顕微鏡
・倒立顕微鏡
・マイクロマニピュレーター一式(ナリシゲ)
2-5)GFP 蛍光観察
・蛍光顕微鏡
・UV-LED ライト
13
2-6)HMA
・DNeasy Blood & Tissue Kit (Qiagen cat.#69504)
・LA Taq DNA polymerase (TAKARA cat.#RR002A)
・PCRプライマー
eGFP-F: 5′- CCTCGTGACCACCCTGACCTAC-3′
eGFP-R: 5′-CTGTTGTAGTTGTACTCCAGCTTGTGC-3′
bL-F: 5′-GTATTCAACATTTCCGTGTCGCC-3′
bL-R: 5′-GATAATACCGCGCCACATAGCAG-3′
Clec4b1-F: 5′-GGCTATCTCTGTGGTATTTAGCTC-3′
Clec4b1-R: 5′-CCACTTGTCTGCATGGTTAC-3′
2-7)RFLP 解析
・Wizard SV Gel and PCR Clean-up System (Promega cat.#A9281)
・AccII (TAKARA cat.#1002A)
・HphI (New England Biolabs cat.#R0158S)
・Hpy188III (New England Biolabs cat.#R0622S)
2-8)DNA シーケンシング
・pGEM -T Easy Vector Systems (Promega cat.#A1360)
・Mini plus Plasmid DNA Extraction system (VIOGENE cat.#GF2002)
・EcoRI (NIPPON GENE cat.#314-00112)
・T7 primer (5′-TAATACGACTCACTATAGGG-3′)
・SP6 primer (5′-CATACGATTTAGGTGACACTATAG-3′)
・BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit v1.1 (Life Technologies
14
cat.#4337450)
・ABI PRISM 3130 Genetic Analyzer (Life Technologies)
2-9)精子の凍結融解および体外受精
・pregnant mare serum gonadotropin (PMSG; Serotropin; Aska Pharmaceutical)
・human chorionic gonadotropin (hCG; Veterinary Puberogen; Novartis Animal
Health)
・CARD MEDIUM 体外受精用培地(九動)
・FERTIUP マウス精子前培養培地(九動)
・FERTIUP マウス精子凍結保存液(九動)
・0.25ml Plastic straw (IMV)
・Human tubal fluid (HTF) 培地(自家作製)
・流動パラフィン(ナカライテスク cat.#26137-85)
2-10)受精卵の凍結融解
・1M DMSO 溶液(1 M dimethyl sulfoxide in PB1; 自家作製)
・DAP213 溶液
(2 M DMSO, 1 M acetamide, 3 M propylene glycol in PB1; 自家作製)
・0.25M sucrose 溶液 (0.25M sucrose in PB1; 自家作製)
・KSOM-AA
・流動パラフィン(ナカライテスク cat.#26137-85)
15
第3章 実験方法
3-1)新鮮受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製と
変異個体スクリーニング法の検討
3-1-1)Platinum TALEN プラスミド作製
Platinum TALEN プラスミド作製は、広島大学の Platinum TALEN プラス
ミド構築法に基づいて行われ、TALEN 活性測定のための SSA アッセイも
山本研究室のプロトコールに従って行われた。Platinum TALEN の構築法
や SSA アッセイの手順は addgene のホームページにも公開されている
(Platinum TALENの構築法 https://www.addgene.org/TALEN/PlatinumGate/)
(SSA アッセイ http://www.addgene.org/TALEN/Yamamotolab/)。使用する
プラスミドベクターは全て addgene(https://www.addgene.org/)から購入可
能である。
1. コーネル大学が運営する TALEN Targeter(https://tale-net.cac.cornell.edu/)
を用いて eGFP TALEN の標的配列を決定した。eGFP Platinum TALEN の
模式図を図 1 に示す。
2. 標的配列に対応する RVD を決定した。C に対しては HD、A に対して
は NI、T に対しては NG、G に対しては NN(NG)を使用する。ラス
トリピートは destination vector に付加されているので、ここでは連結
しない。
Left TALEN (20 塩基認識) 5’-CTTCAAGGACGACGGCAACT-3’
pFUS2 a4a a4b a4c a4d b3
HD NG NG HD / NI NI NN NN / NI HD NN NI / HD NN NN HD / NI NI HD
16
Right TALEN (18 塩基認識) 5’-CGCCCTCGAACTTCACCT-3’
pFUS2 a4a a4b a4c a4d b1
HD NN HD HD / HD NG HD NN / NI NI HD NG / NG HD NI HD / HD
3. 第1のアセンブリ
Golden Gate 法は、各モジュールのプラスミドとベクタープラスミドを
混合し、制限酵素による切断とライゲースによる連結反応を繰り返す
ことにより、モジュールを順番通りに連結し、ベクターに組み込むこ
とができる画期的な方法である。この Golden Gate 反応を利用して、
Left TALEN においては pFU2a の 4 モジュールと pFU2b の 3 モジュー
ル、Right TALEN においては pFU2a の 4 モジュールと pFU2b の 1 モジ
ュールのアセンブリ(モジュールの連結)を以下の反応液組成、条件
にて行った。
1 module 3 modules 4 modules
25ng/µl pFU2 vector 0.3µl
50ng/µl module 0.3µl×1 0.3µl×3 0.3µl×4
10×T4 DNA ligase buffer 0.2µl
Quick ligase 0.1µl
BsaI-HF 0.1µl
SDW 1µl 0.4µl (0.1µl)
Total 2µl
37℃ 5分間→16℃ 10 分間 1セットの反応を 3セット行い、最後に 4℃
にて反応を終了した。
さらに、10×NEBuffer 4 0.25µl, 10×BSA 0.25µl, BsaI-HF 0.1µl を
加え 50℃で 30 分間、80℃で 5 分間インキュベートし、4℃にて反応を
終了した。
17
4. ライゲーション反応液 0.5µl と XL1-Blue コンピテントセル 10µl を用
いて形質転換を行った。100ng/µl Spectinomycin を含む LB 寒天培地に
X-gal と IPTG 存在下で播種し、37℃にて一晩培養した。
5. モジュールが正しく連結されたクローンを選別するため、コロニー
PCR を行った。
10×buffer for Hybripol 0.8µl
100mM dNTP mix 0.64µl
10µM primer (pCR8 F1) 0.16µl
10µM primer (pCR8 R1) 0.16µl
50mM MgCl2 0.24µl
Hybripol DNA polymerase (BIOLINE) 0.04µl
SDW 5.96µl
Total 8µl
95℃ 30s
↓
95℃ 15s
55℃ 15s 27cycles
72℃ 15s
↓
72℃ 15s
↓
4℃ ∞
各コロニーのレプリカプレートを作製した。
PCR 反応液を 3%アガロースゲルで電気泳動した。
1 モジュールの挿入時、約 350bp のバンドが 1 本検出され、1 モジュ
ール増えるごとにバンドサイズが約 100bp ずつ大きくなる。連結した
モジュール数に相当する目的のサイズに、強いバンドが 1 本とその下
18
に約100bp間隔のうすいラダーバンドが検出できたクローンを正しく
モジュールの連結ができたクローンと判定し、このクローンの大腸菌
を 100µg/ml Spectinomycin を含む LB 液体培地 2ml で 37℃、一晩培養
した。
ChargeSwitch-Pro Plasmid Mini Kitを用いてプラスミドを抽出・精製し、
濃度を測定後 50ng/µl に調製した。
6. 第 2 のアセンブリ
各々連結されたモジュール(a4a-a4dと b3あるいは b1)をさらにGolden
Gate 反応により連結し、destination vector(ptCMV-136/63-VR-NG)に
組み込んだ。
50ng/µl pFUS2 a 0.6µl×4
50ng/µl pFUS2 b 0.6µl
50ng/µl ptCMV vector 0.3µl
10×T4 DNA ligase buffer 0.4µl
Esp3I 0.2µl
Quick ligase 0.2µl
Total 4µl
37℃ 5分間→16℃ 10 分間 1セットの反応を 6セット行い、最後に 4℃
にて反応を終了した。
さらに、10×Tango buffer 0.5 µl, 10mM DTT 0.5 µl, Esp3I 0.2 µl を加え
37℃で 60 分間、80℃で 5 分間インキュベートし、4℃にて反応を終了
した。
7. ライゲーション反応液 2µl と XL1-Blue コンピテントセル 20µl を用い
て形質転換を行った。100µg/ml Ampicillin を含む LB 寒天培地に X-gal
と IPTG 存在下で播種し、37℃にて一晩培養した。
19
8. モジュールが正しく連結されたクローンを選別するため、コロニー
PCR を行った。
10×buffer for Hybripol 0.8µl
100mM dNTP mix 0.64µl
10µM primer (TALE-F) 0.16µl
10µM primer (TALE-R) 0.16µl
50mM MgCl2 0.24µl
Hybripol DNA polymerase (BIOLINE) 0.04µl
SDW 5.96µl
Total 8µl
95℃ 30s
↓
95℃ 15s
66℃ 15s 27cycles
72℃ 50s
↓
72℃ 50s
↓
4℃ ∞
各コロニーのレプリカプレートを作製した。
反応液を 1%アガロースゲルで電気泳動した。
第 1 のアセンブリと同様、連結したモジュール数に相当する目的のサ
イズに強いバンドが 1本とその下に約 100bp間隔のうすいラダーバン
ドが検出できたクローンを正しくモジュールが連結できたクローン
と判定し、100µg/ml Ampicillin を含む LB 液体培地 2ml で一晩培養し
た。
20
ChargeSwitch-Pro Plasmid Mini Kitを用いてプラスミドを抽出・精製し、
定量後 200ng/µl の濃度に調製した。
3-1-2)TALEN 活性測定のための SSA アッセイ
作製した TALEN の活性を評価するため、SSA アッセイを行った(Ochiai
et al. 2010)。SSA アッセイでは、まず、TALEN の標的配列を含むオリゴ
ヌクレオチドを作製し、アニールさせた 2 本鎖のオリゴヌクレオチドをル
シフェラーゼレポーターベクター内のクローニングサイトに組み込む。そ
の後、このルシフェラーゼレポータープラスミドと上記で作製した
TALEN 発現プラスミドを HEK293T 細胞に共導入し、ルシフェラーゼの
酵素活性をもとに TALEN による切断活性を測定する。
SSA アッセイに用いる pGL4-SSA vector 内の TALEN 標的配列クローニ
ングサイトは以下のような配列となっている。
BsaI BsaI
5’-CTAGGGTCTCT/GTCGTGCCCGGGTACTGATGT/ACCGTGAGACCTAGGA-3’
3’-GATCCCAGAGACAGC/ACGGGCCCATGACTACATGGC/ACTCTGGATCCT-5’
1. pGL4-SSA vector を BsaI 処理し、直鎖状プラスミドにした後、-20℃
にて保存した。(BsaI 処理の後、ベクターの脱リン酸化は行わない。)
BsaI 処理後は、上記、網掛けにした 4 塩基の配列が突出末端となって
いる。
2. 以下のオリゴヌクレオチドをグライナージャパンに発注した。
Sense 鎖 5’-gtcggat cttcaaggacgacggcaactacaagacccgcgccgaggtgaagttcgagggcg aggt-3’
Antisense 鎖 5’-cggtacct cgccctcgaacttcacctcggcgcgggtcttgtagttgccgtcgtccttgaag atc-3’
21
アニール後、網掛けにした 4 塩基の配列により突出末端が出現する。
黒字はそれぞれが相補的な配列となっている。
3. 以下の条件にてオリゴヌクレオチドをアニールさせた。
10×buffer 1µl
50µM Sense oligonucleotides 1µl
50µM Antiense oligonucleotides 1µl
SDW 7µl
Total 10µl
10×buffer の組成は 400mM Tris-HCl (pH 8), 200mM MgCl2, 500mM
NaCl である。
0.2mlチューブに上記の液を混合し、95℃で 5分間インキュベート後、
90 分ほどで 25℃まで徐々に温度を下げる。
4. 1 で作製した pGL4-SSA vector と 3 で作製した 2 本鎖オリゴヌクレオ
チドをライゲーションし、ライゲーション反応液 2µl と XL1-Blue コ
ンピテントセル 20µl を用いて形質転換を行った。100µg/ml Ampicillin
を含む LB 寒天培地に播種し、37℃にて一晩培養した。
5. コロニーをピックアップし、LB-Amp 液体培地で 37℃一晩培養後、
ChargeSwitch-Pro Plasmid Mini Kit にてプラスミドを抽出し、定量後
150ng/µl の濃度に調製した。
6. オリゴヌクレオチドの末端には 1 ヶ所 KpnI の制限酵素サイトが設計
されている。そのため、正しくオリゴヌクレオチドが挿入されると、
このプラスミドを KpnI 処理した際、2 ヶ所で切断されることとなり、
22
3,800bp と 1,800bp の DNA 断片が確認できる。このような原理により、
KpnI 処理によるインサートチェックを行った。
7. Lipofectamine LTX を用いて、以下の手順により HEK293T 細胞へのト
ランスフェクションを行った。
・10cm dish に 70-80% confluent の HEK293T 細胞を準備する。
・以下の混合液を作製し、6µl を DNA 溶液として使用する。
200ng/µl left TALEN expression vector 1.5 µl
200ng/µl right TALEN expression vector 1.5 µl
150ng/µl SSA reporter vector 1 µl
30ng/µl pRL-CMV 1 µl
Nuclease-free water 4 µl
・DNA 希釈用と Lipofectamine LTX 希釈用の無血清 DMEM を 25µl×
サンプル数量準備する。
・96well プレートの 1well に DNA 希釈用無血清 DMEM を 25µl いれ、
DNA 溶液 6µl を加える。よくピペッティングする。
・Lipofectamine LTX 希釈用の無血清 DMEM に 1well あたり 0.7µl とな
るよう LTX を加え、均一になるよう、よくピペッティングする。LTX
を加えてから 5 分以内に 1well あたり 25µl を加え、よくピペッティン
グする。
・HEK293T 細胞を培養している 10cm dish からメディウムを除去し、
15% FBS-DMEM を加え、よくピペッティングして細胞を懸濁する。
細胞数を計測し、6×105 cells/ml となるよう調製する。
・LTX を 96well プレートに加えて 30 分が経過したら、準備した細胞
を 1well あたり 100µl 加え、37℃、5% CO2下でインキュベートする。
23
・トランスフェクションの 24 時間後にルシフェラーゼの活性測定を行
う。
8. Dual-Glo Luciferase Assay System と TriStar LB 941 plate reader を用いて
ルシフェラーゼアッセイを行った。
3-1-3)TALEN mRNA 合成
1. SSA アッセイにて高い切断活性が確認された TALEN プラスミドを
SmaI 処理し、直鎖化した。
2. QIAquick PCR purification kit を用いて制限酵素反応液を精製し、50µl
の RNase-free water で溶出し、DNA の濃度を測定した。
3. 直鎖化したTALENプラスミドはT7 RNA polymerase promoterを含むた
め、mMESSAGE mMACHINE T7 Ultra kit を用いて転写反応を行った。
T7 2×NTP/ARCA 10μl
10×T7 Reaction Buffer 2μl
DNA template (0.1μg) 6μl
T7 Enzyme mix 2μl
Total 20μl
混合液を 37℃で 2 時間インキュベートした。この反応で 5’末端にキャ
ップ構造をもつ mRNA が合成される。
反応後、TURBO DNase を 1μl 加え、37℃で 15 分間インキュベートし、
DNA を分解した。
4. mMESSAGE mMACHINE T7 Ultra kit を用いて Poly (A)の付加を行った。
24
上記反応液 20μl
Nuclease-free water 36μl
5×E-PAP buffer 20 μl
25mM MnCl2 10μl
ATP solution 10μl
Total 96μl
上記の溶液を混合した後、E-PAP を 4μl 加え、やさしくピペッティン
グし、37℃で 45 分間インキュベートした。
5. RNeasy Mini kitを用いて、合成mRNAの精製を行った。精製後のmRNA
は濃度を測定し、0.5ml チューブに 1μg ずつ分注後、-80℃にて保存し
た。
3-1-4)pCAG-eGFP マウス受精卵の準備
TALEN による eGFP 遺伝子破壊マウス作製の概要を図 2 に示す。
1. 発情前期の 10週齢 Jcl: ICR雌マウスを精管結紮雄マウスと交配させ、
翌日、膣栓が確認できた雌マウスを偽妊娠雌マウスとして TALEN
mRNA インジェクション後の受精卵移植に用いた。
2. 6cm dish (IWAKI cat.#1010-060) に 1mg/ml ヒアルロニダーゼを含む
KSOM-AA の 500μl ドロップを 1つとKSOM-AAの 100μl ドロップを
3 つつくり、流動パラフィンでおおい、37℃、5% CO2インキュベータ
ー内に静置した。
3. TALEN mRNAをインジェクションするため、以下の手順により
pCAG-eGFP マウスの受精卵を採卵した。PMSGとhCGを48時間間隔で
25
各5単位ずつ腹腔内投与することにより、過排卵処理した5週齢の
C57BL/6NCrlCrlj 雌マウスと個飼いにしたpCAG-eGFP 雄マウスを交
配し、翌日、膣栓が確認できた雌マウスを選別した。
4. プラグが確認できた雌マウスを頸椎脱臼にて安楽死させ、子宮、卵管、
卵巣をとりだした。3で準備した6cm dishのヒアルロニダーゼを含む
KSOM-AAドロップへ、卵管膨大部から卵子塊を導入した。卵丘細胞
が除去された卵子をKSOM-AAドロップで3回洗浄した。
5. 雌性前核と雄性前核が確認された受精卵を選別し、TALEN mRNAのイ
ンジェクションに使用した。
3-1-5)TALEN mRNA のマイクロインジェクション
1. 9cm ガラスディッシュ(IWAKI)にフェノールレッドを含まない
KSOM-AA ドロップをつくり、軽質流動パラフィンでおおい、37℃、
5% CO2インキュベーター内に静置した。
2. 各々のTALEN mRNA を1×RNase-free PBSで10、100、150ng/µl となる
よう希釈し、等量ずつ混合して、インジェクション針に充填した。ガ
ラスディッシュのKSOM-AAドロップに受精卵をうつし、倒立顕微鏡
下でマニピュレーターを用いて、受精卵の前核内あるいは細胞質へ
TALEN mRNAをインジェクションした(図 3)。
3. インジェクション後の受精卵を 37℃、5% CO2インキュベーター内に
26
て 1 時間静置した。
4. 生存卵を偽妊娠雌マウス1匹あたり、平均23個(16~35個/匹)ずつ、
偽妊娠1日目ICR雌マウスの卵管へ移植した。
3-1-6)胎仔あるいは産仔の蛍光観察
12.5 日胚は蛍光顕微鏡にて観察を行った。産仔は生誕日あるいはその
翌日に UV-LED ライトをあて、蛍光観察を行った。
3-1-7)HMA のためのゲノミック PCR
1. 離乳後あるいは生後 1 日目の産仔から各個体の尾を採取し、DNeasy
Blood & Tissue Kit を用いてゲノム DNA を抽出した。育児放棄や喰殺
による死亡個体も解析に用いるため、できる限り回収し、ゲノム DNA
を抽出した。
2. eGFP TALEN の標的配列を含む DNA 断片を増幅するゲノミック PCR
を行った。
Genomic DNA (250-500ng) 5µl
10× buffer for La Taq 5µl
dNTP mix (2.5mM each) 7.5µl
10µM primer (eGFP –F) 2.5µl
10µM primer (eGFP –R) 2.5µl
25mM MgCl2 5µl
LA Taq DNA polymerase 0.5µl
SDW 22µl
Total 50µl
27
94℃ 2m
↓
94℃ 30s
64℃ 30s 38cycles
72℃ 20s
↓
72℃ 5m
↓
4℃ ∞
3. PCR 産物 3µl を 3%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマ
イドにより染色した。UV を照射し、ゲルを撮影した。残りの PCR 産
物は RFLP 解析と塩基配列の決定に使用した。
3-1-8)RFLP 解析
1. 上記の PCR 産物を Wizard SV Gel and PCR Clean-up System を用いて精
製した。スペーサー配列内の1ヶ所を切断する AccII を用いて、精製
した PCR 産物を処理することにより、スペーサー内での変異導入の有
無を確認した。
Purified PCR product 3µl
10×M buffer 1µl
AccII 0.15µl
SDW 5.85µl
Total 10µl
上記の反応液を 37℃で一晩インキュベートした。
2. 3%アガロースゲルで全量を電気泳動し、エチジウムブロマイドにより
染色した。UV を照射し、ゲルを撮影した。
28
3-1-9)PCR 産物の塩基配列決定
1. 上記の PCR 産物を pGEM -T Easy vector のクローニングサイトに挿入
するため、ライゲーション反応を行った。
2×Rapid Ligation buffer 2.5µl
pGEM -T Easy vector 0.1µl
PCR product 0.17µl
T4 DNA Ligase 0.5µl
SDW 1.73µl
Total 5µl
上記の反応液を 16℃で 1 時間インキュベートした。
2. ライゲーション反応液 1.25µl と XL-1 Blue コンピテントセル 10µl を
用いて形質転換を行い、LB-Amp 寒天培地に播種後、37℃で一晩培養
した。
3. コロニーをピックアップし、2ml の LB-Amp 液体培地で、37℃にて一
晩培養した。
4. Mini plus Plasmid DNA Extraction system を用いて大腸菌からプラスミ
ドを抽出した。
5. 目的のサイズの DNA 断片が挿入されていることを確認するため、プ
ラスミドを EcoRI 処理した。
Plasmid 5µl
10×H buffer 1µl
EcoRI 0.3µl
SDW 3.7µl
Total 10µl
29
37℃で 30 分間インキュベートした。
6. 2%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドにより染色し
た。UV を照射し、ゲルを撮影した。
7. 目的のサイズの DNA 断片が挿入されていたクローンを用いて、
BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit を用いてシークエンス反応を
行った。
Ready Reaction Premix 2µl
5×BigDye Sequencing buffer 4µl
T7 or SP6 primer (1.6pmol) 1.6µl
Plasmid (80-150ng) 1µl
SDW 11.4µl
Total 20µl
96℃ 1m
↓
96℃ 10s
50℃ 5s 25cycles
60℃ 2m
↓
4℃ ∞
8. 各サンプルに 100%エタノール 50µl と 3M 酢酸ナトリウム (pH5.2) 2µl
を加え、よく混合し、氷上で 5 分静置した。14,500rpm で 15 分間遠心
し、上清を除去後、70%エタノールを 200µl 加えた。5 分間遠心し、上
清を除いて、よく乾燥させた。これを Hi-Di Formamide に溶解し、95℃
で 2 分インキュベートし、氷上に静置した。これらのサンプルを ABI
PRISM 3130 Genetic Analyzer にて解析し、塩基配列を決定した。
30
3-2)凍結融解受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作
製
基本的に、前述の eGFP 遺伝子の破壊と同様の手順により、実験を行っ
た。TALEN mRNA の合成や受精卵へのマイクロインジェクション、DNA
シーケンシングなど重複する部分については、ここでは記載しない。
3-2-1)Platinum TALEN プラスミド作製と SSA アッセイ
eGFP Platinum TALEN プラスミドと同様に bL または Clec4b1 の Platinum
TALEN プラスミドを作製した。今回、使用した destination vector は、
ptCMV-153/47-VR である。bL および Clec4b1 Platinum TALEN の模式図を図
10 に示す。
SSA アッセイでは、bL および Clec4b1 TALEN の標的配列を含むオリゴ
ヌクレオチドを作製し、アニールさせた 2 本鎖のオリゴヌクレオチドをそ
れぞれ pGL4-SSA vector内のTALEN標的配列クローニングサイトに組み込
んだ。HEK293T 細胞へのトランスフェクションおよびルシフェラーゼアッ
セイは、前述と同様の方法で行った。
3-2-2)Ayu8104 マウス受精卵の準備
Ayu8104 マウスは bL 外来遺伝子をもつジーントラップマウスである
(Imaizumi et al. 1999)。このマウスは 1 コピーのトラップベクターがゲノ
ム中に挿入されていることが確認されており、変異アレルをホモで維持し
ても正常に生育し、異常な表現型はみられなかった。そこで、遺伝的背景
を ICR にした Ayu8104 マウスを用いて TALEN による bL 遺伝子の破壊を
行った。
31
A)交配による受精卵の作製
1. 10 週齢の ICR 雌マウスに PMSG と hCG を各 7.5 単位ずつ 48 時間間
隔で腹腔内投与した。
2. 過排卵処理を行った雌マウスと個飼いにした Ayu8104 ホモの雄マウ
スを交配し、翌日、膣栓が確認できた雌マウスから採卵を行った。
3. 採卵した受精卵の半数を PBS にて 150ng/µl に希釈した bL TALEN
mRNA のインジェクションに使用した(コントロール)。
4. 残りの半数は簡易ガラス化法(Nakagata et al. 2013; Nakao et al. 1997)
により凍結保存した。後日、受精卵を融解し、150ng/µl に希釈した bL
TALEN mRNA のインジェクションに使用した。受精卵の凍結融解は
以下の手順により行った。
・受精卵を 1M DMSO 溶液のドロップへ導入後、5µl の 1M DMSO 溶
液とともに受精卵を吸引し、クライオチューブへうつす。
・受精卵を入れたクライオチューブを0℃で5分間静置し、そこへ予め
0℃に保冷したDAP213 溶液を45µl加え、0℃で5分間静置した。
・クライオチューブをケーンに装着し、液体窒素に浸漬して保存した。
・後日、クライオチューブを液体窒素から取り出し、室温で30秒間静置
後、予め37℃に加温した0.25M sucrose 溶液を900µl加え、ピペッティ
ング後、胚を溶液とともにdishへうつし、実体顕微鏡下で胚を回収し
た。
32
・回収した胚を100µlのKSOM-AAドロップで3回洗浄後、インジェク
ションに使用した。
B)体外受精による受精卵の作製
1. 10 週齢の ICR 雌マウスに PMSG と hCG を各 7.5 単位ずつ 48 時間間
隔で腹腔内投与した。
2. 4 か月齢の Ayu8104 ホモ雄マウス 2 匹を用いて新鮮精子および凍結
融解精子による体外受精を行った。雄の個体差により、体外受精率
や産仔への発生率へ影響がでないよう、頸椎脱臼にて安楽死させた
雄マウス 2 匹から 1 つずつ精巣および精巣上体をとりだし、各個体
から採取した 2 つの精巣上体尾部を使用して新鮮精子による体外受
精を行った。残り 2 つの精巣上体尾部を用いて精子の凍結保存を行
った。新鮮精子の前培養や精子の凍結融解およびその後の前培養手
順は中潟研究室のプロトコールに従い行った(Nakagata et al. 2013)。
3. hCG の投与から 16 時間後、雌マウスを頸椎脱臼にて安楽死させ、
子宮、卵管、卵巣をとりだした。予め準備した体外受精用 dish の
CARD MEDIUM ドロップへ、卵管膨大部から卵子塊を導入した。採
卵後の dish は媒精までの間 37℃、5% CO2インキュベーター内に静
置した。
4. 前培養後の精子懸濁液を採卵後の CARD MEDIUM ドロップへ媒精
した。
33
5. 媒精から 5-6 時間後、卵を HTF ドロップで 3 回洗浄した。この時、
雌性前核と雄性前核が確認された受精卵を簡易ガラス化法により凍
結保存した。
6. 後日、融解し、150ng/µl に希釈した bL TALEN mRNA のインジェク
ションに使用した。
3-2-3)C57BL/6N マウス受精卵の準備
1. 8-12 週齢の C57BL/6N 雌マウスに PMSG と hCG を各 7.5 単位ずつ、
5 週齢の C57BL/6N 雌マウスには各々5 単位ずつ、48 時間間隔で腹
腔内投与した。
2. ホルモン投与後の雌マウスを個飼いにした C57BL/6N 雄マウスと交
配し、翌日、膣栓が確認できた雌マウスから採卵を行った。
3. 新鮮受精卵あるいは凍結融解後の受精卵へ、PBS にて 150ng/µl に希
釈した Clec4b1 TALEN mRNA をインジェクションした。
3-2-4)変異個体スクリーニングのための解析
HMA および RFLP 解析、DNA シーケンシングは前述と同様の手順
にて行った。以下にHMAのためのゲノミックPCRについて記載する。
PCR 反応液の組成については基本的に前述の eGFP 遺伝子の PCR 時と
同様である。
34
1. bL TALEN の標的配列を含む DNA 断片を増幅するための PCR を bL
–F と bL-R プライマーを用いて行った。
95℃ 2m
↓
95℃ 30s
66℃ 30s 35cycles
72℃ 20s
↓
72℃ 5m
↓
4℃ ∞
2. PCR 産物 3µl を 3%アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマ
イドにより染色した。UV を照射し、ゲルを撮影した。残りの PCR
産物は RFLP解析と塩基配列の決定に使用した。RFLP解析にはHphI
を使用した。
3. Clec4b1 TALEN の標的配列を含む DNA 断片を増幅するための PCR
を Clec4b1–F と Clec4b1–R プライマーを用いて行った。
94℃ 2m
↓
94℃ 30s
59℃ 30s 35cycles
72℃ 20s
↓
72℃ 5m
↓
4℃ ∞
35
4. PCR 産物を前述と同様に電気泳動した。残りの PCR 産物は RFLP 解
析と塩基配列の決定に使用した。RFLP 解析には Hpy188III を使用し
た。
36
第4章 結果
4-1) 新鮮受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製
と変異個体スクリーニング法の検討
TALENによるノックアウトマウス作製と変異個体のスクリーニング法に
ついて検討するため、全身で eGFP 遺伝子を発現している pCAG-eGFP マウ
スの受精卵を用いて TALEN による eGFP 遺伝子の破壊を試みた。 実験の
概要を図 2、マイクロインジェクション用装置とその方法を図 3 に示す。本
研究では、マウスにおける Platinum TALEN の毒性と活性を評価するため、
はじめに TALEN mRNA の使用濃度の検討、前核内あるいは卵細胞質へのイ
ンジェクションによる産仔への発生率や eGFP の蛍光消失産仔率について
の比較検討を行った。これらの条件検討により、産仔への発生率や産仔の
蛍光消失率が最良であった実験区の産仔を用いて、eGFP 遺伝子が破壊され
たマウスの解析法を包括的に検討した。
前核内へのインジェクションでは、注入後に前核がわずかに膨らむため、
一定量の注入を確実に行える利点がある。そのため、前核内へのインジェ
クションにて、使用する mRNA の濃度を検討した。
4-1-1) TALEN mRNA 使用濃度の検討(前核内インジェクション)
受精卵への TALEN インジェクションにより、ノックアウトラット作製に
成功した Tesson らの論文を参考に、10ng/µl 濃度の TALEN mRNA を受精卵
の前核へ注入し、生存卵を偽妊娠雌マウスへ移植した(Tesson et al. 2011)。
胎生 12.5 日に 28 胚の蛍光観察を行ったところ、TALEN を注入していない
コントロールの 12.5 日胚に比べ、蛍光が弱くなっている胚は観察されたが、
37
完全なノックアウト胚、すなわち、蛍光を発しない胚は観察されなかった
(図 4A)。そのため、10 倍濃度(100ng/µl)の TALEN mRNA を前核内へイ
ンジェクションし、偽妊娠雌マウスへ移植した。胎生 12.5 日に蛍光観察を
行ったところ、57 胚中 2 胚の蛍光消失胚と 2 胚の弱蛍光胚が観察された(図
4B)。これらの胚では、DNA シーケンシングにより、塩基の欠失が確認さ
れた(図 4C)。
そこで、100ng/µl とさらに高濃度にした 150 ng/µl の 2 種類の濃度で
TALEN mRNA を前核内へ注入後、生存卵を偽妊娠雌マウスへ移植し、出産
させた。インジェクション後の卵の生存率は 100ng/µl では 92.2 % (130/141) 、
150 ng/µl では 90.6 % (116/128) であった(表 1)。移植後の産仔への発生率
は 100ng/µlでは 39.2 % (51/130) 、150 ng/µlでは 27.6 % (32/116) であった(表
1)。コントロールとして、インジェクションを行わず、受精卵を偽妊娠雌
マウスへ移植した場合、産仔への発生率は 38.1 % (8/21)であった(表 1)。
出産日あるいはその翌日に産仔の蛍光を観察したところ、蛍光が消失し
ていた個体は、100ng/µl では 5.9 % (3/51) 、150 ng/µl では 12.5 % (4/32) で
あった(図 5A、表 1)。100ng/µl、150 ng/µl どちらの濃度の TALEN mRNA
を使用したインジェクションにおいても、モザイク状に蛍光を発する個体
も観察された(図 5C)。
ヘテロ二重鎖移動度アッセイ(HMA)は各個体のゲノム DNA を鋳型と
して TALEN 標的配列を含む DNA 断片を増幅する PCR を行い、電気泳動す
るだけで変異個体の判定が可能な最も簡便な変異個体スクリーニング法で
ある。そのため、上記 2 種類の濃度でインジェクションを行った産仔につ
いて、HMA により変異個体のスクリーニングを行うこととした。各個体か
ら尾の一部を採取し、ゲノム DNA を抽出した。育児放棄や喰殺による死亡
38
個体も解析に用いるため、できる限り回収し、ゲノム DNA を抽出した。各
個体において、TALEN の標的配列を含む DNA 断片を PCR にて増幅し、3 %
アガロースゲルで電気泳動し、HMA を行った(図 6)。変異導入がなければ、
264bp のバンドが 1 本検出される。変異導入が起こっていると、変異のある
断片と変異のない断片がヘテロ二重鎖を形成する。ヘテロ二重鎖はホモ二
重鎖より泳動速度が遅れるため、PCR 産物を電気泳動することにより、上
方にシフトするバンドが検出される。100ng/µl では 45 個体、150 ng/µl では
31 個体について HMA を行った結果、泳動速度の遅いシフトバンドが検出
された個体は、100ng/µl では 11.1 % (5/45) 、150 ng/µl では 9.7 % (3/31)であ
った(図 6、表 1)。蛍光観察や HMA により、eGFP 遺伝子の破壊が予想さ
れた数個体については PCR 産物の DNA シーケンシングを行い、TALEN に
よる遺伝子破壊であることを確認した(図 5 B、図 6 C)。
150 ng/µl では産仔への発生率が 100ng/µl より若干低下するが、蛍光消失
個体の出現率が高いことから、150 ng/µl 濃度の TALEN mRNA を用いて細
胞質へのインジェクションを行うこととした。
4-1-2) 細胞質へのインジェクション
前核内インジェクションより卵への損傷が少なく、早期のタンパク質合
成が期待できるため、細胞質へのインジェクションを試みた。150 ng/µl の
TALEN mRNA をインジェクションしたところ、卵の生存率は 86.3 %
(69/80) 、産仔への発生率は 47.8 % (33/69)であった(表 1)。 GFP の蛍光消
失個体は 12.1 % (4/33) 観察された(表 1)。蛍光消失個体の得られる割合は、
同濃度の前核内インジェクション時とほぼ同等であったが、産仔への発生
率は前核内インジェクションに比べ、上昇した。そのため、細胞質へのイ
39
ンジェクションにより得られた産仔をさらに詳しくスクリーニングし、
TALEN による変異導入個体を同定することとした。
4-1-3) 変異個体スクリーニングのための解析
細胞質へのインジェクションにより得られた産仔を蛍光観察した後、尾
の一部を採取し、ゲノム DNA を抽出した。抽出したゲノム DNA を用いて、
TALENの標的配列を含む DNA断片を PCR にて増幅し、電気泳動にて HMA
を行った(図 7)。 HMA にてシフトバンドが検出された個体は、12 個体(個
体番号 1, 5, 6, 11, 12, 17, 20, 23, 24, 26, 29, 31; 36.4%)であった(図 7、表 1、
表 2)。個体番号 21 と 29 の 2 個体では、264bp のバンドと共に約 200bp の
バンドも検出された。
PCR 産物を精製後、スペーサー配列に制限酵素サイトをもつ AccII で処
理し、制限酵素断片長多型解析(RFLP 解析)を行った。スペーサー配列内
に変異導入がなければ、PCR 産物は AccII により切断され、150bp と 114bp
の 2 本のバンドが検出される(図 8 A)。しかし、スペーサー配列に変異が
あれば、AccII により切断されないバンドが検出される。このような個体は
33 個体中 11 個体(個体番号 1, 5, 11, 12, 14, 17, 21, 23, 24, 29, 31; 33.3%)で
あった(図 8 B、表 1、表 2)。
さらに、蛍光観察、HMA、RFLP 解析にて変異個体と考えられた個体に
ついて、DNA シーケンシングを行い、PCR 産物の塩基配列を確認した(図
9)。その結果、33 個体中 17 個体 (51.5%) が TALEN による変異導入個体で
あった(表 1、表 2)。変異個体スクリーニングのための解析結果を一覧表
にまとめた(表 2)。
40
4-2) 凍結融解受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの
作製
4-2-1) Ayu8104 マウスにおける外来遺伝子の破壊
体外受精や受精卵の凍結融解などの生殖工学技術が、TALEN を用いた
マウス受精卵におけるゲノム編集に利用可能かを調べるため、Ayu8104 マ
ウスを用いて TALEN による外来遺伝子の破壊を試みた。Ayu8104 マウス
は bL外来遺伝子をもつジーントラップマウスである(Imaizumi et al. 1999)。
このマウスは1コピーのトラップベクターがゲノム中に挿入されているこ
とが確認されており、変異アレルをホモで維持しても正常に生育し、異常
な表現型はみられなかった。そこで、TALEN による遺伝子の破壊がマウ
スの個体発生に影響を与えないよう、マウスでは発現しない bL 遺伝子を
破壊することとした。実験の概要を図 11 A に示す。本研究では Ayu8104
ホモ雄マウスと ICR 雌マウスを用いた交配あるいは体外受精により受精
卵を得た。そのため、使用した受精卵には 1 コピーの bL 遺伝子が含まれ
ることとなる。
まず、コントロールとして、交配により得られた新鮮受精卵に bL
TALEN mRNA をインジェクションした(mated unfrozen oocytes: MU)。
この時採卵した受精卵の半数を凍結保存し、後日、融解して bL TALEN
mRNA をインジェクションした(mated frozen oocytes: MF)。受精卵の融
解成績を表 3 に示す。MU、MF どちらのグループからも十分な数の産仔
が得られ(表 4)、変異個体のスクリーニングを行うことができた(表 5)。
HMA あるいは RFLP 解析により、変異個体である可能性が示された個体
について、PCR 産物のシーケンシングを行ったところ、シーケンシングを
行った全ての PCR 産物において 1 塩基から数十塩基の欠失が検出された
41
(図 12)。得られた変異個体は、MU グループでは 80.0%(8/10)、MF
グループでは 33.3%(7/21)であった(表 4)。
次に、Ayu8104 ホモ雄マウスの新鮮精子あるいは凍結融解精子を用いて
体外受精を行い、受精卵を凍結保存した。後日、融解し、bL TALEN mRNA
のインジェクションに使用した(IVF with unfrozen sperm, followed by
freeze-thawing: IUF; IVF with frozen sperm, followed by freeze-thawing: IFF)。
受精卵の融解成績を表 3 に示す。凍結融解後、得られた形態的正常卵の割
合は IUF グループでは 60.8%(135/222)、IFF グループでは 70.6%(84/119)
であり、MF グループの 87.2%(68/78)に比べ、若干低い割合となった。
インジェクション後の生存卵数は、IFF グループでは比較的低い値となっ
たが、全ての実験区から産仔が得られ、変異個体のスクリーニングを行う
ことができた(表 5)。
HMA の結果、IUF グループでは 8 個体、IFF グループでは 2 個体が変異
個体と考えられた(表 5)。RFLP の結果、IUF グループの 3 個体が変異個
体と考えられた(表 5)。これらの個体の PCR 産物について塩基配列を決
定したところ、得られた変異個体は、IUF グループでは 50.0%(10/20)、
IFF グループでは 33.3%(2/6)であった(図 12、表 4)。
4-2-2) C57BL/6N マウスにおける内在遺伝子の破壊
C57BL/6N マウスの凍結受精卵を用いて、TALEN による内在遺伝子の破
壊が可能か検討した(図 11 B)。以前、中潟研究室にて体外受精に用いる
雌マウスの週齢について検討したところ、若齢と性成熟後の C57BL/6 マウ
スでは排卵数や受精率、産仔への発生率に若干違いが見られた。この時の
結果では、1 匹あたりの平均排卵数、受精率、産仔への発生率全てにおい
42
て性成熟後の雌マウスが優れた結果であったため、C57BL/6N マウスを用
いた内在遺伝子の破壊においては、8-12 週齢と 5 週齢、2 通りの週齢の雌
マウスから採卵を行い、それぞれ新鮮受精卵あるいは凍結融解受精卵へ
Clec4b1 TALEN mRNA のインジェクションを行った(mated unfrozen mature
oocytes: MUM; mated unfrozen immature oocytes: MUI; mated frozen mature
oocytes: MFM; mated frozen immature oocytes: MFI)。
受精卵の凍結融解成績および TALEN mRNA インジェクション後の卵
生存率は全てのグループにおいて良好であったが、産仔への発生率は
MFM と MFI グループにおいて、わずかに低下した(表 6、表 7)。得られ
た産仔の HMA によるスクリーニングにより、全てのグループにおいて約
半数の個体が変異個体と判定された(表 8)。残りの個体について RFLP
解析を行ったところ、MUM と MUI グループではそれぞれ 1 個体を除い
た全ての個体、MFM と MFI グループでは全ての個体が変異個体であると
判定された(表 8)。変異個体と判定された個体について、PCR 産物の塩
基配列を調べたところ、全ての PCR 産物について塩基の欠失や挿入が確
認された(図 13)。それぞれのグループにおける変異個体の割合は、MUM
グループ 95.0% (19/20) 、MUI グループ 95.0% (19/20) 、MFM グループ
100% (6/6) 、MFI グループ 100% (12/12) であった(表 7)。これらの結果
により、どちらの週齢の雌マウスから受精卵を採卵した場合においても、
凍結融解の有無にかかわらず、高効率な TALEN による変異導入が可能で
あることが明らかとなった。
43
第5章 結論
5-1) 新鮮受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの作製
eGFP-pCAG マウスの受精卵へ eGFP TALEN の mRNA をインジェクショ
ンした結果、Platinum TALEN はマウスにおいても高効率に変異導入が可能
であり、インジェクション後の卵生存率や産仔への発生率に毒性は見られな
かった。pCAG-eGFP マウス受精卵へのインジェクションを 150 ng/µl の
mRNA 濃度で卵細胞質へ行うことにより、産仔への発生率や蛍光消失個体の
得られる効率が高くなることが明らかとなった。先に述べた条件検討結果か
ら、10 ng/µl の TALEN mRNA を使用した場合にも、TALEN による変異導
入個体を得ることは可能と考えられるが、使用する mRNA の濃度を高くす
ることにより、全身の細胞で標的遺伝子が破壊されたと考えられる個体を
F0 世代で得ることが可能となった。また、150 ng/µl の mRNA 濃度で卵細胞
質インジェクションを行ったところ、得られた変異導入個体は 33 個体中 17
個体 (51.5%)であり、Platinum TALEN を用いたノックアウトマウス作製は十
分に実用可能であることが示された。本研究では、TALEN によるノックア
ウトマウス作製のモデルとして、外来遺伝子である eGFP 遺伝子の破壊を試
みたが、今後、内在遺伝子でのノックアウトマウスやノックインマウス作製
など、TALEN を用いたマウス受精卵でのゲノム編集に活用できる有益な結
果を得ることができた。
5-2) 変異個体スクリーニング法の確立
eGFP TALEN による変異導入個体をスクリーニングするため、4 種の解析
法を用いた。蛍光観察、HMA、RFLP 解析、DNA シーケンシングである。
44
HMA は、ゲノミック PCR を行った後、アガロースゲルで電気泳動するだ
けの最も簡便な解析法である(Ota et al. 2013)。標的配列を含む DNA 断片
を PCR により増幅した際、変異導入のない断片と変異導入のある断片のア
ニーリングにより形成されたヘテロ二重鎖がホモ二重鎖より泳動時の移動
速度が遅れることを利用している。ゲノミック PCR 後の電気泳動により、
上方にシフトするバンドが検出されれば、変異導入個体と判定できる。
RFLP 解析は、変異導入の有無を調べるのにしばしば利用される解析法で
ある(Ochiai et al. 2010; Ansai et al. 2013; Suzuki et al. 2013)。スペーサー配列
内の塩基配列を認識し、切断する制限酵素で PCR 産物を処理し、切断され
ない PCR 産物が検出できれば、スペーサー配列に塩基の欠失や挿入、置換
などの変異が導入されたと判断する解析法である。
本研究において、HMA と RFLP 解析の結果が必ずしも一致しない個体が
検出されたのは、これらの解析法の原理が異なるためと考えられる。制限
酵素の認識配列に変異がおこっていなければ、RFLP 解析で変異個体と同定
することはできない。一方、1 塩基の置換や極めて小さな塩基の欠失や挿入
では、電気泳動時のヘテロ二重鎖の遅れを検出できないため、HMA によっ
てこのような変異個体を同定するのは難しいと考えられる。また、HMA と
RFLP 解析の両方、あるいはどちらか一方で変異個体と同定された個体の中
には、蛍光観察では変異個体と同定できない個体も存在した。その理由と
して、以下のようなことが考えられる。一つ目は導入された変異がインフ
レームな変異や塩基置換であったため、タンパク質の機能が破壊されず、
蛍光が観察されたこと。二つ目は変異導入のタイミングである。変異導入
が胚発生の遅い時期に起これば、蛍光の消失を検出することは難しいと考
えられる。
45
本研究では、eGFP 遺伝子の破壊を同定するため、4 種の解析法を評価し
た。一般に DNA シーケンシングは、変異を正確に確かめられる最良の方法
であるが、全ての個体の PCR 産物をサブクローニングし、複数のクローン
について DNA シーケンシングを行うのは、非常に手間のかかる作業である。
PCR 産物のダイレクトシーケンシングであれば、上記の手間を省くことが
できるが、これが可能なのは、発生の極めて初期に変異が導入された時の
みである。これらのことから、個体番号 25 のように、変異個体の見落とし
があったとしても、DNA シーケンシングを行う前に HMA あるいは RFLP
解析を行い、変異個体の候補をしぼる必要があると考える。
本研究において使用した解析法は、DNA 融解曲線を利用して PCR 産物の
ヘテロ二本鎖を検出する高解像度融解曲線分析(high resolution melt analysis;
HRMA)(Dahlem et al. 2012)や変異導入により形成されたミスマッチなヘ
テロ二本を特異的に切断する Surveyor nuclease assay (Tesson et al. 2011)な
どの特別な機器や高価な試薬を必要とする解析法に比べ、一般的な試薬と
設備さえあれば TALEN による変異導入を同定できる。そのため、本研究が、
マウスだけでなく他の生物においても、TALEN により作製されたノックア
ウト個体をスクリーニングするための良いモデルとなることを期待したい。
5-3) 凍結融解受精卵を用いた Platinum TALEN による遺伝子破壊マウスの
作製
1972 年、Whittingham らがマウス胚の凍結保存に成功してからというも
の、胚凍結技術は遺伝子改変マウスの保存や輸送に広く利用されてきた。
本研究では、体外受精や受精卵の凍結融解などの生殖工学技術が、マウス
受精卵への TALEN mRNA インジェクションにおけるゲノム編集にも利用
46
可能か調べるため、Ayu8104 マウスの凍結受精卵を用いて TALEN による外
来遺伝子(bL)の破壊を、C57BL/6N マウスの凍結受精卵を用いて内在遺
伝子(Clec4b1)の破壊を試みた。
bL 遺伝子の破壊においては、交配により得られた受精卵だけでなく、新
鮮精子あるいは凍結精子を用いた体外受精により得られた受精卵も凍結融
解して TALEN mRNA のインジェクションに使用可能であること、全ての
実験区から変異個体が得られることが明らかとなった。凍結融解受精卵を
インジェクションに用いた場合、塩基の挿入による変異が確認されたが、
それ以外は、新鮮受精卵の使用時と比べ、欠失する塩基数など導入される
変異に違いは見られなかった。また、Clec4b1 遺伝子の破壊においては、
幼若あるいは性成熟後の C57BL/6N 雌マウスから採卵した新鮮受精卵、凍
結融解受精卵のどちらも内在遺伝子の破壊に利用可能であることが明らか
となった。
一般に、正常な妊孕性をもつ雄マウスが 1 匹いれば、体外受精に必要な
精子は十分採取可能である。さらに、体外受精に凍結精子を用いると、生
きた雄マウスを準備する必要がない。また、現在、遺伝子改変マウスの遺
伝的背景は C57BL/6 であることが多く、一般に C57BL/6 マウスの卵は凍結
融解成績が良好で安定している(Nakagata 1995; Nakao et al. 1997)。
これらのことから、TALEN や CRISPR/Cas システムを用いたゲノム編集
における体外受精や凍結受精卵の利用は、C57BL/6 系統を用いたルーチン
ワークでのノックアウトマウス作製だけでなく、既存の遺伝子改変マウス
に新たなゲノム改変を加えたい場合や採卵時の交配に使用する雄マウスを
多数準備することが難しい場合、新たにゲノム編集を加えたい系統が凍結
精子でのみ保存されている場合においての作業効率改善に非常に有用であ
47
ると考える。このように、体外受精や受精卵の凍結融解などの生殖工学技
術を活かすことにより、次世代型の遺伝子改変技術であるゲノム編集法を
用いたノックアウト/ノックインマウス作製の利便性が大いに高まると期
待される。
48
第6章 図表
図 1 eGFP TALEN の模式図。グレー枠は DNA 結合リピート、白枠は TALE の N
末端と C 末端のドメイン、黒枠は FokI のヌクレアーゼドメインを示す。下線部は
TALEN の標的配列。
図 2 TALEN による eGFP 遺伝子破壊マウス作製の概要。個飼いにした雄の eGFP ホ
モマウスに、過排卵処理した C57BL/6N 雌マウスを交配し、翌日プラグを確認した雌マ
ウスから採卵した。全ての受精卵には 1 コピーの eGFP 遺伝子が含まれる。TALEN mRNA
を合成し、受精卵へインジェクションした後、生存卵を偽妊娠雌マウスの卵管へ移植し
た。胎生 12.5 日に胚の蛍光観察を行い、蛍光消失個体が確認されたインジェクション条
件にて、再度インジェクションと移植を行った。得られた産仔において、TALEN による
変異導入個体のスクリーニングを行った。
49
図 3 eGFP マウス受精卵への TALEN mRNA インジェクション操作
(A)マイクロインジェクション装置 (B)マイクロインジェクション法
50
図 4 eGFP マウス受精卵への TALEN mRNA インジェクションにより得られた胚の蛍
光観察。左は可視光下画像、右は励起光下画像。胎生 12.5 日に観察した。(A) 10ng/µl
の TALEN mRNA インジェクション後の移植胚。矢印は弱蛍光を発する胚を示す。(B)
100ng/µl の TALEN mRNA インジェクション後の移植胚。蛍光消失胚(矢頭)と非常
に蛍光が弱い胚(矢印)。(C) 胚の蛍光観察により、変異個体と推定された 4 胚の塩基
配列。2,4 は蛍光消失胚、1, 3 は弱蛍光胚。下線部は TALEN の標的配列、ダッシュは
塩基の欠失を示す。変異導入のないオリジナルの eGFP遺伝子の配列を最下段に示す。
51
図 5 前核内への TALEN mRNA インジェクションにより得られた産仔の蛍光観察。
左図は可視光下画像、右図は UV-LED ライト照射時の励起光下画像。(A)矢頭は蛍光
消失個体を示す。(B)蛍光消失個体の塩基配列。下線部は TALEN の標的配列、ダッ
シュは塩基の欠失を示す。変異導入のないオリジナルの eGFP 遺伝子の配列を最下段
に示す。(C)矢頭はモザイク個体を示す。
52
図 6 前核内への TALEN mRNA インジェクションによって得られた産仔の HMA。
ポジティブコントロール(PC)ではシフトバンドが検出される個体のゲノム DNA を
使用した。ネガティブコントロール(NC)では TALEN をインジェクションしていな
い eGFP マウスのゲノム DNA を使用した。(A)100ng/µl の TALEN mRNA 使用時の個
53
体。赤丸で示した 5 個体において、シフトバンドが検出された。個体番号 37 の塩基配
列を C に示す。(B)150ng/µl の TALEN mRNA 使用時の個体。赤丸で示した 3 個体に
おいて、シフトバンドが検出された。個体番号 28 の塩基配列を C に示す。個体番号
17 では、数十塩基の欠失が予想されるサイズの小さなバンドも検出された(アスタリ
スク)。(C)HMA にてシフトバンドが検出された個体の塩基配列。100ng #37、150ng #28
はそれぞれAの個体 37、Bの個体 28と同一個体である。下線部は TALENの標的配列、
ダッシュは塩基の欠失を示す。変異導入のないオリジナルの eGFP 遺伝子の配列を最
下段に示す。
54
図7 細胞質へのTALEN mRNAインジェクションによって得られた産仔のHMA。個
体番号は図8、9と表2、各々の個体番号と同一個体である。矢頭はシフトバンドを示
す。赤丸で示した12個体において、シフトバンドが検出された。個体No.21と29では、
数十塩基の欠失が予想される約200bpのバンドも検出された(アスタリスク)。M は
DNA分子量100bpラダーマーカー。C はTALENをインジェクションしていないeGFP
マウスのゲノムDNAを鋳型としたコントロール。
55
図8 細胞質へのTALEN mRNAインジェクションによって得られた産仔のRFLP 解
析。(A)ゲノミックPCRにより増幅されたeGFP遺伝子のPCR産物略図。AccIIの制限
酵素サイトはスペーサー配列に存在する。変異導入がないPCR産物はAccIIにより、
150bpと114bpのDNA断片に切断される。(B)RFLP解析のアガロースゲル画像。個体
番号は図7、9と表2、各々の個体番号と同一個体である。赤丸で示した11個体において、
変異が導入されたと考えられるバンドが検出された(矢頭)。個体番号29では、AccII
により切断されない約200bpのバンドが検出された。M は DNA分子量100bpラダーマ
ーカー。C はTALENをインジェクションしていないeGFPマウスのゲノムDNAを鋳型と
したPCR産物のRFLP解析(コントロール)。
56
図9 細胞質への
eGF
P T
AL
EN
mR
NAインジェクションによって得られた産仔の
DN
Aシーケンシング解析。標的配
列付近の塩基配列(
A)と予想されるアミノ酸配列(
B)。個体番号は図
7、
8と表
2の個体と同一である。変異導入の
ないオリジナルの
eGF
P遺伝子の配列は最下段に示す(
cont)
。下線部は
TA
LE
Nの標的配列、ダッシュは塩基の欠失、
四角囲いは塩基の挿入を示す。アスタリスクは終止コドンを示す。個体番号
14では
3種類の欠失が確認された。個体
番号
6の変異は
4塩基欠失と
1塩基置換であった。個体番号
22の変異は四角で囲った
1塩基の挿入であった。全てのスク
リーニング法でネガティブであった個体番号
27の
PC
R産物は、参考のために
DN
Aシーケンシングを行った。
57
Right bL TALEN
Left bL
TALEN
5’-TTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGTGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCA-3’
3’-AAAAACGAGTGGGTCTTTGCGACCACTTTCATTTTCTACGACTTCTAGT-5’
Right Clec4b1 TALEN
Left Clec4b1 TALEN
5’-TGCACATAGACCTCAATAATGGTTCAGGAAAGACAGCTACAAGGTA-3’
3’-ACGTGTATCTGGAGTTATTACCAAGTCCTTTCTGTCGATGTTCCAT-5’
図 10 bL TALEN と Clec4b1 TALEN の設計。下線部は TALEN の標的配列を示
す。赤字は開始コドンである。
58
図 11 凍結融解受精卵を用いた TALEN による遺伝子破壊マウス作製の概要。
59
(A)Ayu8104 マウスにおける外来遺伝子の破壊。交配による新鮮受精卵の使用をコント
ロールとし、交配による受精卵、新鮮精子あるいは凍結融解精子を用いた体外受精によ
る受精卵を凍結融解後、TALEN mRNA のインジェクションに使用した。(B)C57BL/6N
マウスにおける内在遺伝子の破壊。性成熟後の雌マウスあるいは幼若雌マウスを交配お
よび採卵に使用した。受精卵は新鮮卵のまま、あるいは凍結融解後、TALEN mRNA のイ
ンジェクションに使用した。
60
bL
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGTGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
120
MU1
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG-------TAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
113
MU2-1
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG-------------------AAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
101
MU2-2
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAA----------------AGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
104
MU3
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG-------------ATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
107
MU4
1CCT-----------------------------------------------------------------GAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
55
MU6
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGC--------GTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
112
MU7
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGC--------GTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
112
MU8
1CCTTTTTTGCAGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGG--------------------------------------------------------ACTCTCAACAGCG
64
MU9
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG-------------------AAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
101
MF2
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAA---------------AAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
105
MF6
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG-------------------AAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
101
MF8
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG-------------------AAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
101
MF9
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAG----------------------------------TTTTTGCTCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
86
MF12
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG-TGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
119
MF16
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGT--AAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
118
MF17
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCT-----------------------------------------------ACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
73
MF18
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGTGGAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
120
IUF2
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCT----AAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
116
IUF3
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGG--AAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
118
IUF4
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGTTGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGC
120
IUF6-1
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCT-------GTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
113
IUF6-2
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCT------AGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
114
IUF8
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG-------------------AAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
101
IUF9-1
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG---AAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
117
IUF9-2
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGTAAAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGC
120
IUF11
1CC-----------------------------------------------------------------TGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
55
IUF16
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTG-------TAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
113
IUF19
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACG---------TTTGCTGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
111
IUF20
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACG----------TAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
110
IFF4-1
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGG--AAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
118
IFF4-2
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGC---------TAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCG
111
IFF6
1CCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGTTTCATGACATTAACCTATAAAAATAGGCGTATCACGAGGCCCTTTCAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTT
120
図12
bL
TA
LE
N m
RN
Aをインジェクションしたファウンダーの
DN
Aシーケンシング解析。個体番号は表
5に示す個体と同一である。変異
導入のないオリジナルの
bL遺伝子の配列を最上段に示す(
bL)。
下線部は
TA
LE
Nの標的配列、ダッシュは塩基の欠失、四角囲いは塩基の挿入
を示す。
MU
2、
IUF
6、
IUF
9、
IFF
4では
2種類の変異導入が確認された。
61
WT
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGGTTCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
130
MUM1-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-----------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
119
MUM1-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAG----------------------------------------------------------------------ACAGCTACAAGGTAGGGTGA
60
MUM2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG---------GACAGCTACAAGGTAGGGTGA
121
MUM3-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAGGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG------AAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
124
MUM3-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAAT------------AAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
118
MUM4-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCA-----------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
119
MUM4-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATA-----------AAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
119
MUM5
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA------------GACAGCTACAAGGTAGGGTGA
118
MUM6
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG------AAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
124
MUM7
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-----------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
119
MUM9
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGAC-----------------------AGCTACAAGGTAGGGTGA
107
MUM10
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG---CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
127
MUM11-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT-----AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
125
MUM11-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
123
MUM12-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG--TCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
128
MUM12-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG------AAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
124
MUM13-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG---AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
127
MUM13-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-----------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
119
MUM13-3
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTTCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG---CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGG
127
MUM14-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT--TTCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
128
MUM14-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCT------------AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
118
MUM15
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGAC-----------------------AGCTACAAGGTAGGGTGA
107
MUM16-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG--TCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
128
MUM16-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT----------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
120
MUM16-3
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACAT------------AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
118
MUM17-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-----------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
119
MUM17-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGAC-----------------------AGCTACAAGGTAGGGTGA
107
MUM18-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT---TTAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
127
MUM18-2
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG-------AAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
123
MUM19-1
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATA--------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
122
MUM19-2
1GACTG------------------------------------------------------------------------------------------------------TAGCTGTCTACAAGGTAGGGTGA
28
MUM20
1GACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG------AAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
124
A 図
13
Cle
c4b1 T
AL
EN
mR
NAをインジェクションしたファウンダーの
DN
Aシーケンシング解析。個
体番号は表
8に示す個体と同一である。
変異導入のないオリジナルの
Cle
c4b
1遺伝子の配列を最上段に示す(
WT)。
下線部は
TA
LE
Nの標的配列、ダッシュは塩基の欠失、四角囲い
は塩基の挿入を示す。赤い四角囲いは開始コドンを示す。(
A)
MU
Mグループのファウンダー。(
B)
MU
Iグループのファウンダー。(
C)
MF
M
グループのファウンダー。(
D)
MF
Iグループのファウンダー。
62
WT
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGGTTCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAG
140
MUI2-1
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-----------AGACAGCTACAAGGTAG
129
MUI2-2
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA----------------GCTACAAGGTAG
124
MUI3
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG---CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAG
137
MUI4-1
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGGGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCA--------------TAGACAGCTACAAGGTAG
126
MUI4-2
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA------------GACAGCTACAAGGTAG
128
MUI5-1
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATTGACAGAGGAAAGACAGCTACAAGGTA
140
MUI5-2
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG---CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAG
137
MUI6
1GAGC------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------TACAAGGTAG
14
MUI7-1
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT------GGAAAGACAGCTACAAGGTAG
134
MUI7-2
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT--------AAAGACAGCTACAAGGTAG
132
MUI8-1
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCT-------------------------ACAAGGTAG
115
MUI8-2
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT--------TGAGACAGCTACAAGGTAG
132
MUI8-3
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAG----------------CTGAAAGACAGCTACAAGGTAG
124
MUI9-1
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGGT----------------------AG
118
MUI9-2
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG---TAGGAAAGACAGCTACAAGGTAG
137
MUI10-1
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT------GGAAAGACAGCTACAAGGTAG
134
MUI10-2
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG------AAAGACAGCTACAAGGTAG
134
MUI10-3
1GAGCATGAGGAGGTTGACTGAGTTCTGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGAC-----------------------------AAGGTAG
111
WT
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGGTTCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
93
MUI11
1ATTGACCTGCACATAGACCTCA-----------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
82
MUI12-1
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA------AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
87
MUI12-2
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
87
MUI13-1
1ATTGACCTGCACATAGAC-----------------------AGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
70
MUI13-2
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGGTT-----------------------------------------------------------GGA
34
MUI13-3
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT-----AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
88
MUI13-4
1ATTGACCTGCACAT-----------------------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
70
MUI14-1
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA------AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
87
MUI14-2
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG--CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
91
MUI15-1
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATA-------------GACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
80
MUI15-2
1ATTGACCTGCACATAGACCTCA-----------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
82
MUI16
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATA-----------TGTGCAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
82
MUI17
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG------AAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
87
MUI18-1
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG----AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
89
MUI18-2
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG-------AAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
86
MUI18-3
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
86
MUI19-1
1ATTGACCTGCACATAGACCTCA-------------------AGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
74
MUI19-2
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG-----GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
88
MUI19-3
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT----CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
89
MUI20
1ATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG---CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGA
90
B
63
WT
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGGTTCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
130
MFM1
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACATAG------------------GAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
112
MFM2-1
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG------AAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
124
MFM2-2
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA---------------AGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
115
MFM2-3
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACAT-----------------------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
107
MFM2-4
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGAC-----------------------AGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
107
MFM3
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG------AAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
124
MFM4-1
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-----------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
119
MFM4-2
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-------------------------------------------------------------AATAAAATAAATAAAAATAAATTGAGGTCCTT
69
MFM5
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACA-----------------------AAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
107
MFM6
1TACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGG---AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGAGCATTCCTGTCTTAGTCCATAGGACACGGTTGGAGTGAGTGATGCAATGAGGAGGTCCTT
127
C
D
WT
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATGGTTCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
120
MFI1
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG---CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
117
MFI2
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAG-------------------------------------------------------------GTACAAGGTAGGGTGA
59
MFI3-1
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG--TCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
118
MFI3-2
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAAT------TATTGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
114
MFI3-3
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAAACCTCAATTAT------TGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
114
MFI4
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-----------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
109
MFI5-1
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAAT------TCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
114
MFI5-2
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAA-------TCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
113
MFI5-3
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAAT-------CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
113
MFI6
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
113
MFI7
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-----------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
109
MFI8
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-----------AGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
109
MFI9-1
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG--TCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
118
MFI9-2
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT-----AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
115
MFI10-1
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT---TCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
117
MFI10-2
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT----CAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
116
MFI10-3
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATA----------TTAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
110
MFI10-4
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAAT--------------------AAGGTAGGGTGA
100
MFI10-5
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGAC-----------------------AGCTACAAGGTAGGGTGA
97
MFI11-1
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCA-----------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
109
MFI11-2
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA-------------ACAGCTACAAGGTAGGGTGA
107
MFI12-1
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAATG----AGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
116
MFI12-2
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCAATAA----TCAGGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
116
MFI12-3
1TGGCCTGTTTGAAAGAAGCAAGTCCCTGAGTCATATCTTCAAGAGTCAGATACAAGAAACCATTGACCTGCACATAGACCTCA-----------GGAAAGACAGCTACAAGGTAGGGTGA
109
64
表1 pCAG-eGFPマウス受精卵へのTALEN mRNAインジェクションによる
eGFP遺伝子破壊
表2 eGFP遺伝子変異個体スクリーニングの解析結果
RouteDose
(ng/μl)Injected Transferred Newborns
eGFP
disappeared
pups*
Analyzed
pupsHMA RFLP Mutants
pronucleus 100 141 130 51 (39.2%) 3 (5.9%) 45 5 (11.1%) NT NT
pronucleus 150 128 116 32 (27.6 %) 4 (12.5 %) 31 3 (9.7%) NT NT
cytoplasm 150 80 69 33 (47.8 %) 4 (12.1 %) 33 12 (36.4 %)11 (33.3 %) 17 (51.5 %)
no injection - - 21 8 (38.1 %) 0 (0 %) NT NT NT NT
*Not including mosaic pups
HMA, heteroduplex mobility assay. RFLP, restriction fragment length polymorphism. NT, not tested.
Founders 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
eGFP disruption mosaic ND ND ND ND ND mosaic ND ND ND ND
HMA + ND ND ND + + ND ND ND ND +
RFLP + ND ND ND + ND ND ND ND ND +
Sequence mutation NT NT NT NT NT + + NT NT NT NT
Genotype MT MT MT MT MT
Founders 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
eGFP disruption mosaic ND ND ND ND ND ND ND + + mosaic
HMA + ND ND ND ND + ND ND + ND ND
RFLP + ND + ND ND + ND ND ND + ND
Sequence mutation NT NT + NT NT NT NT NT NT + +
Genotype MT MT MT MT MT MT
Founders 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33
eGFP disruption ND ND + + ND ND ND ND ND ND ND
HMA + + ND + ND ND + ND + ND ND
RFLP + + ND ND ND ND + ND + ND ND
Sequence mutation NT NT + NT ND NT NT NT NT NT NT
Genotype MT MT MT MT MT MT
HMA, heteroduplex mobility assay. RFLP, restriction fragment length polymorphism.
ND, not detected. NT, not tested. MT, mutant.
65
表 3 Ayu8104 マウス受精卵の採取と凍結融解成績
Group Females Fertility Frozen Recovered Normal
MU
(control) 15 152/397 (38.3%) - - -
MF - - 80 78 (97.5%) 68 (87.2%)
IUF 9 242/305 (79.3%) 242 222 (91.7%) 135 (60.8%)
IFF 8 135/190 (71.1%) 135 119 (88.1%) 84 (70.6%)
表 4 Ayu8104 マウスにおける bL 遺伝子の破壊
Group Fertilization SpermFertilized
oocytesInjected Transferred
Analyzed
pupsMutants
MU
(control)Mating - Unfrozen 56 40 10 8 (80.0%)
MF Mating - Frozen 52 48 21 7 (33.3%)
IUF IVF Unfrozen Frozen 89 72 20 10 (50.0%)
IFF IVF Frozen Frozen 53 31 6 2 (33.3%)6 (19.4%)
Newborns
10 (25.0%)
21 (43.8%)
22 (30.6%)
66
表 5 bL 遺伝子変異個体スクリーニングの解析結果
67
表 6 C57BL/6N マウス受精卵の採卵と凍結融解成績
Group Females Fertility Frozen Recovered Normal
MUM 20 204/494 (41.3%) - - -
MUI 19 274/577 (47.5%) - - -
MFM - - 81 81 (100.0%) 81 (100.0%)
MFI - - 150 139 (92.7%) 113 (81.3%)
表 7 C57BL/6N マウスにおける Clec4b1 遺伝子の破壊
Group FertilizationFertilized
oocytesAges in weeks Injected Transferred Newborns Mutants
MUM Mating Unfrozen 8-12 (Mature) 103 90 21 (23.3%) 19 (95.0%)
MUI Mating Unfrozen 5 (Immature) 80 66 20 (30.3%) 19 (95.0%)
MFM Mating Frozen 8-12 (Mature) 64 59 7 (11.9%) 6 (100.0%)
MFI Mating Frozen 5 (Immature) 66 63 12 (19.0%) 12 (100.0%)
20
20
6
12
Analyzed
pups
68
表 8 Clec4b1 遺伝子変異個体スクリーニングの解析結果
69
第7章 参考文献
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indispensable role of Mlkl in necroptosis. Cell Res. 23: 994-1006.
72
謝辞
TALEN のプラスミド作製につきましては広島大学山本研究室主催の人工
ヌクレアーゼ作製講習会にてご指導いただき、Platinum TALEN は山本研究室
との共同研究により供与いただきました。お礼申し上げます。また、本研究
を遂行するにあたり、数多くのご指導、ご助言を賜りました広島大学の山本
卓先生、佐久間哲史先生に深く感謝の意を表します。
pCAG-eGFP マウス、Ayu8104 マウスは本学、荒木喜美先生より供与いただ
き、迅速に実験開始できました。お礼申し上げます。最後に、本研究を遂行
するにあたり、様々な相談に快く応じてくださり、多くのご指導を賜りまし
た中潟直己先生、大村谷昌樹先生に深く感謝の意を表しますとともに、本研
究遂行に際し、ご助力を頂きました黒田和子さん、吉松麗加さんに心より感
謝いたします。