定量的脳挫傷モデルラットに対する神経幹細胞移植igakukai.marianna-u.ac.jp/idaishi/www/294/19watanabe.pdfboeringer...

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はじめに 神経幹細胞とはそれ自身が増殖し,継代できる自己 複製能と,中枢神経系を構成するニューロン,アスト ロサイト,オリゴデンドロサイトを作り出す多分化能 とを合わせもつ未分化な細胞として定義されている 1その存在は 19 世紀より知られていたが,分離培養と 同定の技術が無かったため臨床応用を見据えた研究に 発展するには至らなかった。しかし 1992 年に Reynolds 2が神経幹細胞について無血清,浮遊培養による 選択的培養法を確立して以来この分野は急速に発展し た。げっ歯類では胎生期だけではなく,成体において もニューロンの新生が起こることは知られていたが 31998 年には Pincus 4がヒト成体脳組織中にも神経 幹細胞があることを示し,同年,Eriksson 5はヒ ト成人の脳においてもニューロンが新生されているこ とを報告した。しかし少なくともヒトの場合,さまざ まな原因で機能不全に陥った脳の機能回復を導くほど の神経再生は起こらないのが事実である 6。その原因 は,神経幹細胞の数が足りないこと,成体内では胎生 期とは別の分化制御が働いていることなど 7がある が明らかでない。そこで近年,神経幹細胞あるいは神 経前駆細胞を利用した中枢神経系の機能再建の研究が 主体となってきた。しかし変性疾患や虚血性疾患に対 しての研究に比べ外傷による脳損傷についての移植の 研究は少ない 8。本研究は pneumatic controlled cortical impact deviceCCI)を用いて脳挫傷を作成したラッ トに対して同種神経幹細胞移植を行うことで,脳挫傷 に対し神経幹細胞移植が有効な治療手段となり得るか を検討するためを目的として行った。 391 171 聖マリアンナ医科大学 脳神経外科学教室 (教授 関野宏明) 原  著 聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 29, pp.391 ~ 396, 2001 定量的脳挫傷モデルラットに対する神経幹細胞移植 渡辺 わたなべ 寛之 ひろゆき せき 宏明 ひろあき (受付:平成 13 8 20 日) 抄  録 神経幹細胞の選択的培養法が確立されて以来,機能回復を目的とした移植治療への期待が高 まっている。本研究ではラット胎仔脳より神経幹細胞を選択的に培養し,外傷を加えた脳に移植 することで神経幹細胞移植が脳挫傷の有効な治療になり得るかを検討した。外傷は Pneumatic Controlled Cortical Impact DeviceCCI)を用いて速度 3.2 m/sec,深さ 2 mm の条件で脳挫傷を作 成した。神経幹細胞は挫傷作成 7 日後に挫傷脳直下に注入した。移植細胞は 7 日目には移植局所 から挫傷脳周囲に分布し,14 日目にはより広い範囲に分布していたが,大部分は未分化の状態で あった。また挫傷脳以外の部分にも移植細胞が分布しており,脳挫傷後という誘因以外に遊走を 惹起する因子の関与も推測された。移植細胞の多くは未分化であったが,14 日目でも排除される ことなく生着しており,脳挫傷の治療手段となる可能性があると結論した。 索引用語 神経幹細胞,細胞移植,外傷性脳損傷,ブロモデオキシウリジン

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Page 1: 定量的脳挫傷モデルラットに対する神経幹細胞移植igakukai.marianna-u.ac.jp/idaishi/www/294/19watanabe.pdfBoeringer Manheim 1376454)20 ng/ml を添加した。培

はじめに

神経幹細胞とはそれ自身が増殖し,継代できる自己

複製能と,中枢神経系を構成するニューロン,アスト

ロサイト,オリゴデンドロサイトを作り出す多分化能

とを合わせもつ未分化な細胞として定義されている 1)。

その存在は 19世紀より知られていたが,分離培養と

同定の技術が無かったため臨床応用を見据えた研究に

発展するには至らなかった。しかし 1992年に Reynolds

ら 2)が神経幹細胞について無血清,浮遊培養による

選択的培養法を確立して以来この分野は急速に発展し

た。げっ歯類では胎生期だけではなく,成体において

もニューロンの新生が起こることは知られていたが 3),

1998年には Pincusら 4)がヒト成体脳組織中にも神経

幹細胞があることを示し,同年,Erikssonら 5)はヒ

ト成人の脳においてもニューロンが新生されているこ

とを報告した。しかし少なくともヒトの場合,さまざ

まな原因で機能不全に陥った脳の機能回復を導くほど

の神経再生は起こらないのが事実である 6)。その原因

は,神経幹細胞の数が足りないこと,成体内では胎生

期とは別の分化制御が働いていることなど 7)がある

が明らかでない。そこで近年,神経幹細胞あるいは神

経前駆細胞を利用した中枢神経系の機能再建の研究が

主体となってきた。しかし変性疾患や虚血性疾患に対

しての研究に比べ外傷による脳損傷についての移植の

研究は少ない 8)。本研究は pneumatic controlled cortical

impact device(CCI)を用いて脳挫傷を作成したラッ

トに対して同種神経幹細胞移植を行うことで,脳挫傷

に対し神経幹細胞移植が有効な治療手段となり得るか

を検討するためを目的として行った。

391

171

聖マリアンナ医科大学 脳神経外科学教室(教授 関野宏明)

原  著 聖マリアンナ医科大学雑誌Vol. 29, pp.391 ~ 396, 2001

定量的脳挫傷モデルラットに対する神経幹細胞移植

渡辺わたなべ

寛之ひろゆき

関せき

野の

宏明ひろあき

(受付:平成 13年 8月 20日)

抄  録神経幹細胞の選択的培養法が確立されて以来,機能回復を目的とした移植治療への期待が高

まっている。本研究ではラット胎仔脳より神経幹細胞を選択的に培養し,外傷を加えた脳に移植することで神経幹細胞移植が脳挫傷の有効な治療になり得るかを検討した。外傷は Pneumatic

Controlled Cortical Impact Device(CCI)を用いて速度 3.2 m/sec,深さ 2 mmの条件で脳挫傷を作成した。神経幹細胞は挫傷作成 7日後に挫傷脳直下に注入した。移植細胞は 7日目には移植局所から挫傷脳周囲に分布し,14日目にはより広い範囲に分布していたが,大部分は未分化の状態であった。また挫傷脳以外の部分にも移植細胞が分布しており,脳挫傷後という誘因以外に遊走を惹起する因子の関与も推測された。移植細胞の多くは未分化であったが,14日目でも排除されることなく生着しており,脳挫傷の治療手段となる可能性があると結論した。

索引用語神経幹細胞,細胞移植,外傷性脳損傷,ブロモデオキシウリジン

Page 2: 定量的脳挫傷モデルラットに対する神経幹細胞移植igakukai.marianna-u.ac.jp/idaishi/www/294/19watanabe.pdfBoeringer Manheim 1376454)20 ng/ml を添加した。培

材料および方法

1. 移植細胞の調整

Wistar系の妊娠ラットをハロセン吸入麻酔による全

身麻酔下に開腹,胎生 16日の胎仔を取り出した。そ

れらから終脳のみを摘出し,ピペッティングを数度

行った後にディスパーゼ I(合同酒精)を 1000 protease

unit/ml,deoxyribonuclease I(Sigma D-4263)を 0.01%,

fetal bovine serumを 10%添加した DMEM/F12(GIBCO)

培地中で 37˚C 1時間処理し,その後ナイロンメッ

シュを用いてろ過,single cellを得た。培地は DMEM/

F12培地を基本とした無血清培地とし,insulin(Sigma

T1147)25 µg/ml,apotransferrin(Sigma T1147)100 µg/

ml,progesterone(Sigma S0130)20 nM,putrescine(Sigma

P5780)100 µM,selenium chrolide(Sigma S5261)30 nM,

basic fibroblast growth factor(b-FGF, R&D Systems 223-

FB) 20 ng/ml, human epidermal growth factor( EGF,

Boeringer Manheim 1376454)20 ng/mlを添加した。培

養容器は低接着性である Costar 6 well( Corning

Incorporated)を使用し浮遊培養とした。インキュベー

ターは 37˚C,CO2濃度を 5%に設定した。初代培養

時の細胞密度は 2 × 105 cells/mlとした。培地は 24時

間ごとに約半分を交換,72時間ごとにすべてを交換

した。培養開始 7日目には再度ピペッティングを行

い,機械的に細胞塊を分散した。培養開始後 14日目

以降にチミジンアナログである 5-bromo-2'-deoxy-

uridine(BrdU)を培地中に 10 µM,連続して 72時間

添加し細胞の核酸に標識を行った。BrdUでの標識と

染色に関しては Roche社の BrdU labeling and detection

kit II(1 299 964)を用いた。BrdU標識の陽性率は

(BrdU陽性の細胞核)/(neurosphereを構成する全細

胞の核)× 100で計算した。

2. 外傷の作成

10週齢のWistar系,雄ラット(約 320 g)を自発呼

吸下にハロセン吸入による全身麻酔を施した。頭部を

固定,右頭頂骨を開窓し,硬膜上から CCIで右頭頂

葉(冠状縫合より 2 mm後方,正中線より 2 mm側方)

に打撃を加えた。CCIの条件は速度 3.2 m/sec,先端が

脳を変形させる深さを 2 mmとした。打撃後速やかに

閉創し,麻酔から覚醒させた。頭部固定から覚醒まで

の間 heat padを使用して保温し,体温の過剰な変動を

避け,直腸温モニターで 36˚Cから 37˚Cに保った。

3. 神経幹細胞移植

移植は挫傷による組織の炎症反応が収束する挫傷後

7日目 9)に行った。まず BrdUでの標識を行った培養

液中の細胞塊(neurosphere2)Fig. 1A)を緩衝液で洗

浄した後にピペッティングにより機械的分散を行い,

1300 rpmで 3分間遠心分離器にかけ,上清を除去し

高密度の細胞懸濁液を作成した。この時点では細胞の

渡辺寛之 関野宏明392

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Fig. 1 Photomicrograph of whole rat neurosphere growthin b-FGF and EGF after 14 days (A ×200) and stained fornestin (B ×200). After 72 hour treatment of BrdU, 70% ofcells in the neurosphere proved BrdU-positive (C ×100).

A

B

C

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大部分は神経幹細胞のマーカーである nestin10)(ARP-

20067)陽性であった(Fig. 1B)。しかしニューロン

系への分化を示す microtuble-associated-protein 211)

(MAP-2, Neomarkers MS-249-R7),グリア系への分化

を示す glial-fibrillary-acidic-protein12)(GFAP, Immunotech

1061)にもごくわずかに染色される細胞も存在した。

BrdU陽性率は 70%であった(Fig. 1C)。それをマイ

クロシリンジに 5 µl採取し,3 × 105個の生細胞を移

植に使用した。挫傷作成後 7日目のラットを再度開創

し,マニピュレーターに固定したマイクロシリンジの

針を,挫傷脳直下に脳表から 2 mmの深さまで刺入,

細胞懸濁液を注入後,閉創した。術中は挫傷作成時と

外傷性脳損傷と神経幹細胞移植 393

173

Fig. 2 Seven days post transplantation donor cells were migrated from the injection site. It was markedly more distributedin the corpus callosum and contusional tissue (A ×100, B ×100, BrdU).

A

A B

DC

B

Fig. 3 Fourteen days after transplantation, both MAP-2 and BrdU positive cells (indicted by arrows) lie scattered in thesubcortical region around the contusional tissue (A, BrdU B, MAP-2 ×400). Majority of donor cells were nestin-positive(C, BrdU D, nestin ×100).

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同様に全身麻酔と体温管理を行った。同種移植のため

免疫抑制薬投与は行わなかった。

4. 標本の作製

培養細胞については neurosphereの状態で 70%エタ

ノールで固定し,パラフィン包埋後 4 µmの連続切片

を作製しヘマトキシリン・エオジン染色と免疫染色を

行った。移植後 7日目および 14日目に全身麻酔下に

70%エタノールを還流した後に断頭し,脳を摘出,

パラフィン包埋後,4 µmの連続切片を作成しヘマト

キシリン・エオジン染色と免疫染色を行った。

結  果

移植しえたラットの総数は 44匹であった。そのう

ち挫傷作成や移植の手技が安定し,脳挫傷の範囲,移

植細胞注入の深さに再現性のあったものは全部で 30

匹であった。そのうち移植後 7日目のものは 14匹の

うち 5匹,移植後 14日目のものは 6匹のうち 3匹で

あり,これらについて以下に結果を示す。

移植後 7日目の標本では,細胞懸濁液を注入した位

置に空洞が形成され(Fig. 2A),それを中心として挫

傷脳周辺の皮質,および白質に BrdU陽性細胞が確認

できた。また,移植細胞は挫傷脳周辺だけでなく,他

の部位に比べて脳梁にも多数の分布が見られた

(Fig. 2B)。14日目には挫傷脳中心部組織は脱落し,

BrdU陽性細胞は 7日目に比し挫傷脳周辺にさらに広

く分布していた。BrdU陽性細胞の中にはMAP-2陽性

の細胞が散在していた(Fig. 3A, B)。また nestin陽性

細胞も多く見られた(Fig. 3C, D)。7日目,14日目の

標本とも挫傷部を含め好中球浸潤は認めなかった。

考  察

本望らは,ヒト胎児脳から得た神経幹細胞を外傷モ

デルとして除皮質を行ったラットに移植し,免疫抑制

剤存在下ではあるが,瘢痕形成などを起こさず良好に

生着したと報告している 8)。本研究では実際の脳外

傷,特に脳挫傷により近いモデルである CCIを用い

ること,免疫抑制剤の非存在下に同種間移植を行うこ

とで臨床応用の可能性と問題点につき考察を行った。

移植された BrdU陽性細胞は好中球浸潤を中心とし

た炎症細胞浸潤や瘢痕形成は無く,脳内に生着してい

た。元来脳内は免疫租界であるといわれ,同種間であ

るが異なる個体由来の細胞が生着可能なことは,神経

幹細胞移植が治療として有望視される理由の 1つであ

る 13)。

本研究では移植された BrdU陽性細胞が挫傷脳周囲

に多く見られたが,その多くは移植 14日後でも nestin

陽性であり未分化な状態のままであった。移植細胞中

には MAP-2や GFAP陽性細胞も少数みられたが,十

分な分化は得られなかった。神経幹細胞の分化制御に

関してはレチノイン酸や,brain derived neurotrophic

factor(BDNF),neurotrophin-3(NT-3)14)などの神経

栄養因子の関与が in vitroで確認されている。また移

植した際には移植局所の環境によって分化が制御され

るとする報告 15)もある。本研究では,移植前に培養

細胞を分化誘導する処理は行っていない。また移植し

た場所は挫傷脳直下白質組織であり,この環境が神経

幹細胞の分化には適していない可能性が考えられた。

また移植細胞は挫傷脳周辺だけでなく,脳梁にも移

植 7日目で他の部位に比べて多数の分布が見られ,14

日後には脳梁を含めより広範囲に分布していた。成熟

個体でもげっ歯類の場合は,脳室周囲から供給された

自家神経幹細胞が他の部位に遊走し生着することが知

られている 16)。同定されていない何らかの因子がそ

の誘導に関与しているとされるが,不明な点も多い。

本実験では損傷脳周辺部以外に細胞を誘導する因子が

関連して,損傷を受けていない部位に細胞が遊走した

可能性が考えられた。

神経幹細胞を用いた治療では移植細胞の分化,生着

の効率,生理的機能の獲得,腫瘍化の危険性などが長

期的には問題点となる。脳挫傷においても移植された

神経幹細胞が生着することが確認できたので,今後は

これら長期的な問題点をふまえて検討することが脳損

傷の有効な治療手段となる上で必要と考えられた。

謝  辞本研究について多大なるご指導をいただいた林龍男教授,卯津羅雅彦講師,標本作成にあたりご協力いただいた第 2病理学の神野藤和代女史,実験を手伝ってくださった小川由加女史に深く感謝いたします。

文  献1) Potten CS and Loeffler M. Stem cells: attributes,

cycles, spirals, pitfalls and uncertainties. Lessons for

and from the crypt. Development 1990; 11: 1001-

1020.

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Abstract

Neural Stem Cell Transplantation to Contusional Brain in Rats

Hiroyuki Watanabe and Hiroaki Sekino

Neural stem cells may be the ideal source for new therapies to treat brain injury. The present research was

aimed at investigating the potential of cell transplantation therapy on brain contusion. Donor cells were isolated

from fetal rat (E14) brain and labeled by 5-bromo-2'-deoxy-uridine (BrdU). Brain contusion was introduced by a

controlled cortical impact device (2 mm deformation, 3.2 m/sec). Seven days after injury, cell transplantations

were performed. Seven days after the transplantation, BrdU-positive cells were well attached and had migrated

from the injection site. Migration was markedly more concentrated in the corpus callosum and around the contusion

tissue. Fourteen days after transplantation, the transplanted cells had distributed to a wider area, including non-

injured tissue. The majority of these were nestin-positive, immature cells. These results suggest that neural stem

cell transplantation will be a strong candidate for future therapeutic application in brain contusions.

(St. Marianna Med. J., 29: 391-396, 2001)

Department of Neurosurgery (Director: Prof. Hiroaki Sekino)

St. Marianna University School of Medicine, 2-16-1 Sugao, Miyamae-ku, Kawasaki 216-8511, Japan