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2015616電源開発株式会社 技術開発部長 大塚 哲夫 EAGLEプロジェクトから大崎クールジェンプロジェクトへ 更なる低炭素化への取り組みとその将来展望 酸素吹石炭ガス化技術の開発 次世代火力発電協議会 (第1回会合)資料2-3

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Page 1: 酸素吹石炭ガス化技術の開発 - meti.go.jp · 微粉炭火力とigccは各々特徴を有しており、特に適用炭種は相互補完できるところも多い。 現在の石炭火力は殆どが微粉炭火力であるが、igccが実用化されれば多くの未利用炭が利用可能。

2015年6月16日 電源開発株式会社

技術開発部長 大塚 哲夫

~ EAGLEプロジェクトから大崎クールジェンプロジェクトへ

更なる低炭素化への取り組みとその将来展望 ~

酸素吹石炭ガス化技術の開発

次世代火力発電協議会

(第1回会合)資料2-3

Page 2: 酸素吹石炭ガス化技術の開発 - meti.go.jp · 微粉炭火力とigccは各々特徴を有しており、特に適用炭種は相互補完できるところも多い。 現在の石炭火力は殆どが微粉炭火力であるが、igccが実用化されれば多くの未利用炭が利用可能。

*1:A-USC,IGCCは技術開発中であり、現在、実用化はされていない。 *2: ・高効率化を目指した場合に適した炭種を示す。 ・石炭埋蔵量は概ね(無煙炭、瀝青炭):(亜瀝青炭、褐炭)=1:1。微粉炭火力では褐炭、亜瀝青炭向けの設計は可能。 *3:IGCCの石炭灰は溶融(ガラス)状態で、容量は微粉炭火力の石炭灰に比べて約1/2に減容できる。

微粉炭火力とIGCCは各々特徴を有しており、特に適用炭種は相互補完できるところも多い。 現在の石炭火力は殆どが微粉炭火力であるが、IGCCが実用化されれば多くの未利用炭が利用可能。 技術開発の進展、将来の炭素制約の大きさ、電源運用の位置づけなどを考慮し、微粉炭と石炭ガス化

の2方式で技術開発を図っていくことが重要。

微粉炭火力

(現状)

微粉炭火力 *1

(A-USC相当) IGCC

発電効率 ベース ○ ○ →(技術進展) ◎

最適炭種*2

瀝青炭 亜瀝青炭

プラント規模 大規模まで可能 現状は中規模まで

CCS適合性

/CO2回収法 ○

/燃焼後回収,酸素燃焼 ◎

/燃焼前回収

対応負荷 ミドル~ベース ベース

石炭灰処理*3

○ ◎

相互補完

相互補完

*1

① 微粉炭火力と石炭ガス化火力の特徴

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②石炭火力発電の高効率化 - 究極の高効率発電技術IGFC開発

我が国の石炭火力は、微粉炭火力(PCF)の超々臨界圧(USC)が主流だが、更なる高効率化に向け、石炭をガス化した複合発電方式の技術開発を進めている。

究極の複合化技術であるIGFCの実用化により14%以上の発電効率向上が可能となる。 その結果、USC比で約30%のCO2排出量を低減。

・数値は発電効率(送電端) ・( )内は、CO2削減率

超々臨界圧 (USC)

39 ~ 41% (ベース)

超臨界圧 (SC) 38%

先進的超々臨界圧 (A-USC) 46 ~ 48%

46 ~ 48% (約▲15%)

1300℃ IGCC 1500℃ IGCC 1700℃ IGCC

溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC) 固体酸化物形燃料電池(SOFC)

燃料電池(FC) 石炭ガス化燃料電池複合発電 (IGFC)

石炭ガス化複合発電(IGCC)

微粉炭火力発電(PCF)

55%~ (約▲30%)

ガスタービン ガス化炉

排熱回収 ボイラ

蒸気タービン

ボイラ

蒸気タービン

ガス化炉 ガスタービン 燃料電池

排熱回収 ボイラ

蒸気タービン

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③ EAGLEガス化炉のコンセプト

上下段の酸素比をコントロールすることで 高効率ガス化・スラグ安定流下排出を可能とする

炉内温度 高 低

酸素

石炭

H2OCO2

CO2COH2

酸素

石炭

H2OCO2

CO2COH2

上段バーナ

下段バーナ

上段:酸素供給量「少」 石炭 →チャー チャー + CO2 + H2O → CO + H2

下段:酸素供給量「多」 石炭 + O2 → CO2 + H2O

高いガス化効率⇒ ガス燃料への高い転換⇒ 高い発電効率 石炭輸入国⇒ 広い炭種適合性⇒ 炭種制約が相対的に小さい

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④ EAGLE 設備の全容

電源開発㈱若松研究所(北九州市) 5

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⑤ EAGLE プロジェクト 実績

’95 ’96 ’97 ’98 ’99 ’00 ’01 ’02 ’03 ’04 ’05 ’06 ’07 ’08 ’09 ’10 ’11 ’12 ’13 年度

設計 建設 試験

事前検討

[Step-1] [Step-2] [Step-3]

スィートシフト触媒/ 化学吸収 CO2 分離回収設備設置

Step 1 (1995 – 2006年度) - 酸素吹き噴流床ガス化炉の開発 - 燃料電池用ガス精製技術の確立

Step 2 (2007 – 2009年度) - CO2 分離回収(化学吸収法)試験 - 高灰溶融点炭ガス化適用可能性試験

Step 3 (2010 – 2013年度) - CO2 分離回収(物理吸収法、化学吸収法)試験

’14

サワーシフト触媒/ 物理吸収 CO2 分離回収設備設置

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⑥ EAGLE における CO2 分離回収システムフロー

圧縮機 シフト反応器

フラッシュ ドラム

H2S 吸収塔

CO2 吸収塔

再生塔

steam

CO2

H2S

H2, N2 物理吸収法

脱硫前の生成ガスをシフト反応させる

再生塔 シフト反応器

steam

CO2 H2, N2

CO2 吸収塔

脱硫後の生成ガスをシフト反応させる

化学吸収法

石炭ガス化炉

水洗塔

CO, H2, N2

S 吸収塔

G GT AC

シフト反応 : CO + H2O ⇔ CO2 + H2

Sweetシフト

Sourシフト

EAGLEでは、 Sweetシフト、Sourシフト 化学吸収法、物理吸収法 と種々のプロセスを検証

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⑦ EAGLE炉のスケールアップ実証(大崎クールジェン)

プロセス開発ユニット (0.5t/d / 1981~1985 / 勝田)

HYCOL パイロットプラント (50t/d / 1991~1993 / 袖ヶ浦)

EAGLE パイロットプラント (150t/d / 2002~2013 / 若松)

OCG 実証試験プラント (1,180t/d / 2016~ / 大崎)

Rendering

EAGLEから約8倍のスケールアップ 商用機の約1/3(166MW)規模での実証

大崎クールジェン株式会社 国のクリーンコール政策である『Cool

Gen計画』を 実現していくという思いを込めて命名

設立:平成21年7月29日 出資:中国電力㈱50% 電源開発㈱50%

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⑧ 大崎クールジェンプロジェクト全体工程

年度 平成24年度 (2012年度)

平成25年度 (2013年度)

平成26年度 (2014年度)

平成27年度 (2015年度)

平成28年度 (2016年度)

平成29年度 (2017年度)

平成30年度 (2018年度)

平成31年度 (2019年度)

平成32年度 (2020年度)

平成33年度 (2021年度)

第1段階 酸素吹IGCC実証

実施内容

・設計製作 ・土木工事

・設計製作 ・土木工事

・設計製作 ・土木工事 ・機電工事

・設計製作 ・土木工事 ・機電工事 ・水圧試験 ・受電

・機電工事 ・ガス化運転 ・設備竣工

・基本性能確認 プラント性能 環境性能

・多炭種適用性確認 ・設備信頼性確認 長時間耐久試験

・制御性、運用性確認 負荷変化率 起動停止時間

・経済性評価

第2段階 CO2分離・回収型

IGCC実証

実施内容

・EAGLEのCO2分離・回収試験結果から実証試験地点に適したCO2分離・回収方式(物理、化学)を評価選定

・既存設備改造 ・CO2分離・回収IGCC実証試験設備の設計・製作・建設

・CO2分離・回収IGCCシステム実証

第3段階 CO2分離・回収型

IGFC実証

実施内容

・石炭ガス化ガスの燃料電池への利用可能性調査、燃料電池設備の試設計による予備検討

・既設設備改造 ・IGFC基盤技術検証試験設備の設計・製作・建設

・IGFCシステム実証

実証試験 酸素吹IGCC詳細設計・建設

実証試験 CO2分離・回収詳細設計・建設 適用技術評価概念設計

実証試験 CO2回収一体型IGCC/IGFC 詳細設計・建設 技術調査概念設計

※第1、2段階の技術評価・概念設計調査はNEDO事業として実施 ※第1段階は経済産業省補助事業として実施

高効率かつCO2分離・回収が容易な酸素吹石炭ガス化技術(酸素吹IGCC)を確立する。また、酸素吹ガス化により得られる水素による燃料電池と組み合わせたトリプルコンバインドの発電技術(IGFC)を見越した実証を行う。

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年度

H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

大工程

2月

▼本社

大崎上島町に移転

3月

▼土木建築工事着工

6月

▼機械・電気工事着工

11月

▽受電

6月

▽ガス化炉火入れ

3月

▽実証試験開始

実証試験 設計・製作・据付

5月

▼ガス化設備工場製作開始

⑨ 大崎クールジェン第1段階の主要工程

5月

▼排熱回収ボイラ搬入

9月

▼ガスタービン・発電機搬入

12月

▼ガス化炉搬入

10月

▼蒸気タービン(

車室)

搬入

12月

▼蒸気タービン(車軸他)

搬入

11月

▼熱回収ボイラ搬入

12月

▼ガス精製設備主機搬入

1月

▼ASU設備主機搬入

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⑪ 実証プラント完成予想図

平成29年3月から大崎クールジェン第1段階/酸素吹IGCC実証試験を開始する予定

(第2段階で実施予定) 12

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⑫ 第1段階:実証試験目標

実証試験項目 第1段階(酸素吹IGCC実証)目標

基本性能 (プラント性能・ 環境性能)

IGCC実証プラント送電端効率40.5% 同出力規模(17万kW級)で世界最高水準 商用規模で1500℃級ガスタービンを適用した場合、約46%に相当する。 環境目標値(O2:16%換算) SOx:8ppm、 NOx:5ppm、 ばいじん:3mg/m3N

多炭種適用性 炭種性状適合範囲の把握 (将来的には微粉炭火力に適合しにくい低灰融点炭から微粉炭に適合する石炭まで拡大)

設備信頼性 1,000時間、5,000時間の長時間耐久試験により商用機レベルの年利用率70%以上

プラント制御性 運用性

事業用火力プラントとして必要な運転特性、制御性 負荷変化率:1~3%/分他

経済性 商用機レベルで発電原価が微粉炭火力と同等以下になる 見通しを得ること

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⑬ 第2段階: 高効率CO2分離・回収技術の開発

CO2 H2

1段Selexol吸収設備

CO2フラッシュドラム

H2リッチガス CO2ガス

CO2吸収塔 蒸気

加熱器 冷却器

HTS 反応器

H2S 吸着器

精製ガス 冷却器 冷却器 HTS 反応器

LTS 反応器

バイパス弁

Sweetシフト反応設備 Sweetシフト・ 1段物理吸収

既設追設となること等から、 主の試験フローはSweetシフト+1段物理吸収法で計画している。

石炭火力発電所として具備すべき運用性、信頼性を有する「IGCC+CO2回収」システムを構築し、商用化の目処を得ること。

世界最高水準の効率を誇る石炭ガスからのCO2回収システムを構築すること。 CO2を回収しても送電端発電効率40%超と最新の微粉炭火力並みの効率を目指す。

研究開発の最終(商用機)目標

大崎第2段階での試験フロー

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フィールドテスト装置 テスト触媒特性

初期性能

H2O/CO:1.2 mol/mol

CO

conve

rsio

n r

ate

[%]

100

80

60

40

20

0 180 190 200 210 220 230

Temperature[℃]

New Catalyst

Conventional Catalyst

触媒耐久性

CO

conve

rsio

n r

ate

[%]

100

80

60

40

20

0 0 200 400 600 800 1000

Continuous reaction time[h]

Inlet temperature:200 ℃

H2O/CO:1.2 mol/mol

New Catalyst

theoretical conversion

テスト触媒

CO + H2O→ CO2 + H2

syngas steam

Shift reactor

Shift reaction

Shift catalyst

H2O

/CO

ratio

(m

ol/m

ol) 30%

0 0.4 0.8 1.2 1.6 2.0

Conventional New

⑭ 第2段階:新型低温Sourシフト触媒テスト

EAGLEで1,000時間の実ガステストを実施、性能は確認。長期信頼性の検証を計画中。

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⑮第2段階:CO2回収型水素リッチ燃料GT燃焼器

■マルチクラスタ燃焼器による分散希薄燃焼で低NOxと耐逆火性を両立

燃料ノズル 空気孔■マルチクラスタ燃焼器

・高水素濃度燃料の課題・浮上火炎を形成して,火炎付着を防止

火炎写真(CCS 0%)燃料ノズル

空気孔

内周燃料

外周燃料

・内外周燃料比率制御で組成変化に対応

火炎

・発火しやすく

燃焼速度が速い

・バーナへの火炎付着

NOx増加

バーナ信頼性低下

火炎

L ・旋回角により旋回流

を調整することで,

浮上火炎を形成

・バーナ構造物と火炎

との距離Lを確保して

希薄燃焼を実現

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目標・指標 基本性能

(発電効率) 新設商用機において、CO2を90%回収しつつ、発電効率40%(送電端、HHV)程度の見通しを得る。

基本性能 (回収効率・純度)

CO2分離・回収装置における CO2回収効率:90%以上 回収CO2純度:98%以上

プラント運用性・信頼性 CO2分離・回収型IGCCシステムの運用手法を確立し、信頼性について検証する。

経済性 商用機におけるCO2分離回収の費用原単位を評価する。

⑯ 大崎第2段階における研究開発の目標

第2段階での目標(案)

石炭火力発電所として具備すべき運用性、信頼性を有する「IGCC+CO2回収」システムを構築すること

世界最高水準の効率を誇る石炭ガスからのCO2回収システムを構築すること を商用機での目的とし、大崎クールジェンでは、以下の開発目標を計画している。

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湿式ガス精製ガス化炉

燃料電池

蒸気タービン

蒸気

煙突

ガスタービン

大型ガスタービンとの連係技術

石炭ガス化ガス対応SOFCモジュール技術

燃料電池用ガスクリーンナップ技術

排熱回収

炭素析出対策、高圧化対策

排燃料

排空気

空気

精製ガス

排ガス

石炭ガス化ガス中の被毒物質対策

⑰ 第3段階:IGFCの主な開発課題 IGFC開発に向けては、 「石炭ガス向けモジュール開発」「モジュール大型化」 「被毒物質の許容濃度の確認」「ガスクリーンアップ技術」 「プラントシステム化(高圧化)」 など幾つかの技術開発課題がある。

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⑱ 第3段階:燃料電池被毒成分の把握 大崎第3段階のための事前調査として、EAGLEプラントで、 燃料電池の被毒成分となる可能性のある,Cl,Si,B,As,P,Se,Cd,Sbなどの濃度レベルを

EAGLEの精密脱硫プロセスおよびCO2回収プロセスで把握している。 今後、実内試験あるいはフィールド試験で、 被毒成分の除去技術 燃料電池の被毒成分の許容濃度、被毒影響の状況など、調査研究を行っていく計画。

①▼

⑤▼

④▼

③▼

②▼

ガス

化炉

フィルタ

第一水洗塔

COS

転化器 第

二水洗塔

シフト

反応器 C

O

2吸収塔

脱硫塔

シフト

反応器 C

O

2吸収塔

精密脱硫器

燃焼炉

煙  

CO2分離回収設備(化学吸収)

ガス精製設備

CO2分離回収設備(物理吸収)

脱硫塔 ガ

スタービン

GGH

S 数100ppm

Cl 数100ppb

Si 数100ppb

B 数ppb

As < 1ppb

P < 1ppb

Se < 1ppb

Cd < 1ppb

Sb < 1ppb

S 数10ppm

Cl 数100ppb

Si 数10ppb

B < 1ppb

As < 1ppb

S 数100ppb

Cl 数100ppb

Si 数10ppb

B 数ppb

S 数10ppb

Cl 数100ppb

Si 数10ppb

B 数ppb

生成ガス(CO/H2/N2)

精製ガス(CO/H2/N2) 精製ガス(CO/H2/N2) 精製ガス(H2/N2)

精製ガス(H2/N2)

S 数10ppb

Cl 数100ppb

Si 数10ppb

EAGLEガスの被毒成分分析 EAGLE配管のSEM-EDX分析(S:硫黄の付着状況事例)

精密脱硫入口

精密脱硫出口

CO2回収装置出口

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酸素吹石炭ガス化の多用途展開

~ 石炭ガス化技術の将来展望~

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⑲ 酸素吹石炭ガス化技術の多様性 酸素吹石炭ガス化技術は、IGFCに至る「高効率発電技術」、石油代替燃料となる

「水素」「合成燃料」、効率的な「CO2分離回収」など多様な用途に展開できる。

合成燃料 GTL SNG等

シフト反応器

CO2分離

CO2貯留

高効率発電 IGCC IGFC

HRSG

GT ST

FC

AC

帯水層 炭 層

CO2

水素製造(H2)

Gas Clean Up

空気分離装置

石炭

石炭ガス化炉

酸素

合成燃料製造

シフト反応 CO + H2O ⇒ CO2 + H2 触媒

H2

EOR,EGR 21

Page 22: 酸素吹石炭ガス化技術の開発 - meti.go.jp · 微粉炭火力とigccは各々特徴を有しており、特に適用炭種は相互補完できるところも多い。 現在の石炭火力は殆どが微粉炭火力であるが、igccが実用化されれば多くの未利用炭が利用可能。

水素利用

液化水素輸送船

液化水素 ローリー

液化水素 貯蔵タンク

液化・積荷

水素製造 水素輸送・貯蔵

プロセス利用 半導体製造・太陽電池製造

石油精製・脱硫 、等

エネルギー機器

未利用資源(褐炭)から 低コストな水素製造

水素ガスエンジン・水素ガスタービン・燃料電池、等

発電所 コンバインドサイクル 発電所、等

CCS 輸送用機器 水素ステーション・ 燃料電池自動車、等

ガス化・ 水素精製

利用国(日本)

C JAXA

H2

資源国(オーストラリア)

褐炭

CO2

⑳ 水素エネルギーチェーン構想

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石炭ガス化技術の実用化見通し

~ 技術革新と関連技術の進展を~

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燃料電池

天然ガス複合発電 1300℃ GT 1500℃ GT

高温燃料電池 石炭ガス化燃料電池複合発電 (IGFC)

55%~

数値は送電端効率(HHVベース)

1300℃ IGCC 43 ~ 44%

1500℃ IGCC 46%~

石炭ガス化複合発電

石炭火力の低炭素化には、石炭ガス化とともに天然ガス火力での高温ガスタービン開発、発電事業用の大型燃料電池開発、CO2分離技術の高度化などの基盤技術の開発が必要となる。

大崎クールジェンは、これらの基盤技術を検証する重要なフィールドとなる。

㉑ 石炭火力の低炭素化に向けて~大崎クールジェンの役割~

1700℃ GT

1700℃ IGCC

CO2分離回収

水素発電 水素発電 低品位炭ガス化水素

CO2回収型IGCC

CO2回収型IGFC

天然ガス燃料トリプル コンバインド発電

:大崎クールジェン

48%~

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2020年代 2030年代 2030年代後半 以降

IGCC

酸素吹IGCC初期導入期 400MW~500MW級 1500℃級ガスタービン 送電端効率目標(HHV): 約46% 発電コスト(Kwh)目標: 微粉炭並み

酸素吹IGCC普及期 500MW超 1600℃超級ガスタービン 送電端効率目標(HHV)約48% ※GT高温化の成果を反映して更なる高効率を目指す 発電コスト目標:微粉炭同等以下

IGCC+ CO2回収

CO2回収技術の進展 大崎第2段階の成果、新技術の開発による回収コストの大幅低減

CO2回収型IGCC初期導入期 普及には、CO2規制、炭素価格、他電源との競合、CO2回収コスト、CCUSの可能性・コストなど複数の要因が影響

IGFC

CO2回収型IGFC大型実証 ・大崎第3段階の成果 ・天然ガス燃料によるトリプルコンバインド発電の成果 等を反映した大規模実証 IGFCシステム検証

CO2回収型IGFC 商用実証 IGFCシステム 大型実証

多用途利用 低品炭ガス化技術の確立 豪州褐炭プロジェクトなどを基に、ガス化プラントのコスト低減を図る

低品位炭ガス化水素製造商用実証 普及には、CO2規制、炭素価格、他電源との競合、水素製造コスト、水素インフラ整備など複数の要因が影響

㉒ 石炭ガス化技術の実用化見通し 2020年代にIGCC,2030年代にCO2回収型IGCCを実用化する見通し,2030年代後半以降に

CO2回収型IGFC更にはIGFCの開発導入を目指す。

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Page 26: 酸素吹石炭ガス化技術の開発 - meti.go.jp · 微粉炭火力とigccは各々特徴を有しており、特に適用炭種は相互補完できるところも多い。 現在の石炭火力は殆どが微粉炭火力であるが、igccが実用化されれば多くの未利用炭が利用可能。

1.石炭ガス化技術開発について

まとめ ~酸素吹石炭ガス化技術開発の意義~

石炭ガス化ガスの多目的利用 酸素吹ガス化技術は、発電用途以外に合成燃料や化学原料製造な

ど産業分野にも幅広く利用可能

・経済発展

・資源確保

・環境保全

に貢献

石炭火力発電の高効率化・クリーン化による環境保全と化石資源の有効活用 発電効率の飛躍的な向上とCO2排出量の大幅な低減が可能 → 究極の複合化技術であるIGFCの実用化により、 USC※から14pt以上効率向上、 約30%のCO2削減が可能。 燃焼前の高圧な石炭ガスからの効率的なCO2分離・回収が可能 石炭可採埋蔵量の半数を占めるも、十分に活用されていない低品位炭(亜瀝青炭等)の

利用が可能 発電による副製品(石炭灰)をガラス状の固化物として排出するため灰の減容化が可能

システムのインフラ輸出 諸外国へ輸出・普及させ、世界の石炭消費量抑制およびCO2 排出

量削減と地球温暖化防止に貢献

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Page 27: 酸素吹石炭ガス化技術の開発 - meti.go.jp · 微粉炭火力とigccは各々特徴を有しており、特に適用炭種は相互補完できるところも多い。 現在の石炭火力は殆どが微粉炭火力であるが、igccが実用化されれば多くの未利用炭が利用可能。

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ご清聴ありがとうございました

EAGLEプロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)との共同研究、資源エネルギー庁補助事業として実施したものです。 大崎クールジェンプロジェクトは資源エネルギー庁補助事業として実施しております。