高速回転への対応 - mst corporationj)1111/pdf/t_p213-p215.pdf · 214 参考資料 剛性...

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213 参考資料 バランス ホルダのバランス値 (1.9g・mm) の総合 G グレード ホルダのバランス値 (3.8g・mm) の総合 G グレード 近年、高速加工において、マシニングセンタの主軸が従来に比して数倍以上の速さ(2万・3万・5万以上)で回転しています。 高速加工に対応したホルダの条件は… MST では  に対し、独自の「プリバランス設計」という考え方で対応しています。 プリバランス設計とは、ホルダが回転軸に対して可能な限り軸対称となるように設計し、精密に造るという考え方です。 ホルダ製作後、何かの調整をする事なく、一定のバランス値が確保できます。 ■つり合い良さ(Gグレード値)の等級に対する 許容残留比不つり合い ■各種回転体の推奨されるGグレード値 Gグレード G 回転体 G40 ~17 自動車用車輪 G16 ~16 農業機械の部品 自動車トラック用機関の部品 G 6.3 6.3 工作機械及び一般機械の部品 組立後の航空機用ガスタービンロータ G 2.5 2.5 工作機械用主軸 ガスタービン 蒸気タービン G 1 1 研削盤の砥石軸 G 0.4 0.4 精密研削盤の砥石軸 ジャイロスコープ ■ホルダのGグレード値の求め方 〈  例  〉 ■回転体 (スピンドル・ホルダ・工具) 総合のGグレード値の求め方 高速加工対応ホルダは、寸法表に「バランス値」「重量」を掲載しています。 G グレード値 ( スピンドル ホルダ 工具 ) バランス値(g・㎜) × 使用回転数 ( スピンドル ホルダ 工具 ) 重量     (kg) 9,550 G グレード値 = バランス値(g・㎜) × 使用回転数 重量     (kg) 9,550 1 高速回転時における工具の把持精度が高く、強い把持力を持っている。 2 ホルダが限りなくコンパクト ( 小さい・短い ) であること。 3 ホルダのバランス特性に優れている。  以上の 3 点が重要と考えます。 20000 10000 2000 5000 1000 500 200 100 20 50 10 5 2 1 0.2 0.5 0. 1 100,000 30 50 100 200 500 1,000 2,000 5,000 50,000 10,000 20,000 バランス値/ 重量(g・mm/kg) 回転速度(min -1 ) G100 G40 G16 G6.3 G2.5 G1 G0.4 3 ■ マシニングセンタの高速加工における G グレード マシニングセンタで主軸を高速回転させる場合、ホルダ単体のバランス値だけに注目しても十分な効果は得られません。 それは、他の要素 ( スピンドル・引張り機構・工具)を合算した重量がホルダと比較してかなりのボリューム (10 倍以上 ) があるからです。 十分な効果を得るためには回転体(スピンドル・ホルダ・工具)を構成する要素を総合して考慮することが大切です。 バランス値が1.9g・mmのホルダと3.8g・mmのホルダを比較した場合、バランス値は2倍差ありますが、 総合Gグレードは1.25倍の差になります。 G ( 6 1.9 0.2 ) × 20,000 1.5 (10 0.8 0.02) 9,550 G ( 6 3.8 0.2 ) × 20,000 1.9 (10 0.8 0.02) 9,550 工具 -1 バランス値 重量 10 kg スピンドル ホルダ 6 重量 バランス値 重量 0.02 kg 0.2 20,000min g・mm g・mm 0.8kg 高速回転への対応

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Page 1: 高速回転への対応 - MST CorporationJ)1111/PDF/T_P213-P215.pdf · 214 参考資料 剛性 図1 bt50-slsa3-110-m42 φ26 φ10.4 20° 30 110 42 3° φ6 h 縮尺図 165 3.6

213

参考資料

バランス

ホルダのバランス値(1.9g・mm)の総合Gグレード

ホルダのバランス値(3.8g・mm)の総合Gグレード

近年、高速加工において、マシニングセンタの主軸が従来に比して数倍以上の速さ(2万・3万・5万以上)で回転しています。高速加工に対応したホルダの条件は…

MST では  に対し、独自の「プリバランス設計」という考え方で対応しています。プリバランス設計とは、ホルダが回転軸に対して可能な限り軸対称となるように設計し、精密に造るという考え方です。ホルダ製作後、何かの調整をする事なく、一定のバランス値が確保できます。

■つり合い良さ(Gグレード値)の等級に対する 許容残留比不つり合い

■各種回転体の推奨されるGグレード値

Gグレード G 回転体

G40 ~17 自動車用車輪

G16 ~16農業機械の部品自動車トラック用機関の部品

G 6.3 ~ 6.3工作機械及び一般機械の部品組立後の航空機用ガスタービンロータ

G 2.5 ~ 2.5工作機械用主軸ガスタービン蒸気タービン

G 1 ~ 1 研削盤の砥石軸

G 0.4 ~ 0.4精密研削盤の砥石軸ジャイロスコープ

■ホルダのGグレード値の求め方

〈 例 〉

■回転体(スピンドル・ホルダ・工具)総合のGグレード値の求め方

高速加工対応ホルダは、寸法表に「バランス値」「重量」を掲載しています。

Gグレード値 =( スピンドル +ホルダ+ 工具 ) バランス値(g・㎜)

×使用回転数

( スピンドル +ホルダ+ 工具 )     重量     (kg) 9,550Gグレード値=

 バランス値(g・㎜)×

使用回転数

   重量     (kg) 9,550

1  高速回転時における工具の把持精度が高く、強い把持力を持っている。2  ホルダが限りなくコンパクト(小さい・短い )であること。3  ホルダのバランス特性に優れている。       以上の 3点が重要と考えます。

20000

10000

2000

5000

1000

500

200

100

20

50

10

5

2

1

0.2

0.5

0. 1100,00030 50 100 200 500 1,000 2,000 5,000 50,00010,000 20,000

バランス値/重量(g・mm/kg)

回転速度(min-1)

G100

G40

G16

G6.3

G2.5

G1

G0.4

3

■マシニングセンタの高速加工におけるGグレードマシニングセンタで主軸を高速回転させる場合、ホルダ単体のバランス値だけに注目しても十分な効果は得られません。それは、他の要素 (スピンドル・引張り機構・工具)を合算した重量がホルダと比較してかなりのボリューム (10 倍以上 )があるからです。十分な効果を得るためには回転体(スピンドル・ホルダ・工具)を構成する要素を総合して考慮することが大切です。

バランス値が1.9g・mmのホルダと3.8g・mmのホルダを比較した場合、バランス値は2倍差ありますが、総合Gグレードは1.25倍の差になります。

G =(6 + 1.9 + 0.2)

×20,000

= 1.5(10 + 0.8 + 0.02) 9,550

G =(6 + 3.8 + 0.2)

×20,000

= 1.9(10 + 0.8 + 0.02) 9,550

工具

-1

バランス値重量 10kg

スピンドル ホルダ6

重量

バランス値重量 0.02 kg

0.2

20,000min

g・mm g・mm

0.8kg

高速回転への対応�

Page 2: 高速回転への対応 - MST CorporationJ)1111/PDF/T_P213-P215.pdf · 214 参考資料 剛性 図1 bt50-slsa3-110-m42 φ26 φ10.4 20° 30 110 42 3° φ6 h 縮尺図 165 3.6

214

参考資料

剛性

図1 BT50-SLSA3-110-M42

φ26

φ10.4

°02

30

110

42

φ63°

h 縮尺図

165 3.6 4.4 9.1 1

190 3.7 5.1 14.6 4

195 3.8 4.4 9.7 2

220 5.2 5.6 5

KgN

4.4 9.4

S

9.4

9.4μm/kgf

例〈BT50-SLSA3-110-M42〉の場合

コード表 縮図

18

φ3×6倍=18

スリムラインは、工具の突出しが長くなる深く狭い部分の加工に特に効果を発揮します。 カタログには切削条件やホルダを決める時の選定基準となる 「剛性値」 を表記しています。 以下の資料を参考に、有効にご利用ください。

剛性値(μm/kgf)

S

【たわみ量と突出し長の関係】

スリムラインの剛性値

S(たわみ量) 

超硬工具の L/D 換算

■剛性値S(たわみ量)の求め方

○カタログの「コード表」あるいは「縮図」より剛性値S(たわみ量)  を確認する。

○[たわみ量と突出し長の関係](右グラフ)に剛性値(9.4μm)を代入し、L/D値を求めます。

φ3

このスリムラインは、剛性の高い一般的なホルダを使用し、超硬工具を18ミリ(L/D=6倍)突出した時と同じ剛性です。加工条件はたわみ量よりもL/D比で検討するのがわかりやすい方法です。一般にL/D=3倍以下だと充分、L/D=6倍位までが普通の剛性で、それ以上であれば加工条件を考慮しなければなりません。

9.4

110

9

9.4μm/kgf

○剛性値Sとは、工具をホルダに取付けた先端(工具径の3倍の位置)に、1kgfの横方向荷重を

 かけた時にホルダと工具全体がたわむ量です。この場合9.4ミクロンたわむということです。

■超硬工具がホルダから突き出た量(L/D)へ置き換える方法

■剛性値と切削加工例

φ3

たわみ量

L/D1kgf 1kgf

S

剛性

4 6 8 10

30

25

20

15

10

5

0

3

4

6

8

10

12

16

20

25

(μm/kgf)

工具寿命� 仕上面

9.4ミクロンたわむ

スリムラインの剛性

工具シャンク径ヤング率=59000kg/mm2

R3超硬ボールエンドミル□25深さ15-15°勾配ポケット切削

●S10500(V200m/min)●F2100(0.1mm/刃)●SKD11(60°HRC)

●S12739(V240m/min)●F2548(0.1mm/tooth)●NAK80(40°HRC)

エアブロー

0.12

0.3

ダウンカット

S

30

25

20

10

15

5

096

3

小 小

短 悪

L/D値 L/D値

たわみ量 たわみ量大 大

長 良

●切削距離 130m/1穴●切削体積 627mm3/1穴

穴5個(650m)

穴4個(520m)

穴3個(390m)

穴2個(260m)

穴1個(130m)

4 6 8 10

R3ボールエンドミル10°勾配仕上切削 エアブ

ロー

ダウンカット

0.22

0.1

Page 3: 高速回転への対応 - MST CorporationJ)1111/PDF/T_P213-P215.pdf · 214 参考資料 剛性 図1 bt50-slsa3-110-m42 φ26 φ10.4 20° 30 110 42 3° φ6 h 縮尺図 165 3.6

215

参考資料

剛性値計算ソフト

「スリムライン剛性値計算ソフト」は、スリムラインに工具を

取り付けた状態の剛性値と、ワークとの干渉を簡単に確認

することができます。 加工干渉のないより剛性の高い、

最適な状態のホルダを選定していただけます。

③ワーク形状に対し最も剛性の

 高い最適なスリムラインを

 自動選択

②干渉が無く剛性の高い順

 にホルダをリストアップ

①ワーク形状(勾配角度・深さ)、設定する

 クリアランス(ワークと工具・ホルダ)、

 工具の突出し制限値(最短)などを入力④主要な寸法を表示

⑤「選択したスリムライン」+

 「工具」+「突出し」の形状

 データをDXF、CSV形式で出力

簡単な条件設定でズバリ解決!!

スリムライン剛性値計算ソフト

注意:形状データについては取扱い方法が異なります。各社へお問合わせください。

●下記CAMシミュレータには、スリムライン形状データが標準搭載、又は搭載可能です。

WORKNC

注意:形状データについては取扱い方法が異なります。各社へお問合わせください。

VERICUT

HYPERMILL GENETECEDGECAMCAM-TOOL JBM

TEBISFF/cam

注意:形状データについては取扱い方法が異なります。各社へお問合わせください。

CADmeister

注意:形状データについては取扱い方法が異なります。各社へお問合わせください。注意:形状データについては取扱い方法が異なります。各社へお問合わせください。

PowerMill

注意:形状データについては取扱い方法が異なります。各社へお問合わせください。注意:形状データについては取扱い方法が異なります。各社へお問合わせください。注意:形状データについては取扱い方法が異なります。各社へお問合わせください。

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