2020.10.１O c t o b e r

52vol.帰巖会もっといきいき健康に！地域がつながる医療と介護を目指して 〜ご自由にお持ち帰りください〜

秋晴れの風成港から

コンテンツ

巻頭言

風成診療所の今、これから …… 2

嚥下障害について 〜脳外科医の立場から〜 …… 3

臼杵病院での褥瘡（じょくそう：床ずれ）治療について …… 3

うすきの歴史⑲ …… 4

インフォメーション／時事寸感 …… 4

はない受

診人数に

もかかわ

らず自分

たちのた

めにわざ

わざ先生

が診療し

てくれる

ことに感

謝している」という声を頂くことも

あります。また、診療所周辺の環境

整備にご尽力下さっている方もおら

れ、地域としても診療所の役割につ

いて重要視されていることが伺えま

す。ある患者さんは、「今は、まだ

車の運転をするから良いが、今後

もっと高齢化、独居世帯が増え、診

療も自分では出向いていけない状況

が発生したら、風成診療所の役割は

大きくなると思っている」といい、

継続的な診療が期待されていること

を強く感じます。

　

臼杵病院としても出来るだけのこ

とは…ということで、１年前、２０

１９年９月から診療時間帯を午後→

午前へ変更し、お薬についても調剤

　

風成診療所は、臼杵病院の前身で

ある城下町病院時代に陳桂徳先生の

診療を引継ぐ形でスタートし、現在

に至っています。当初の診療は火曜

の午後で、一時は週に２回の診療を

行うこともありましたが、現在は毎

週木曜午前に臼杵病院内科の木野内

林太郎医師が診療を担当しています。

　

以前は、月に60名以上の患者さん

が診療所へ来られ、定期的な検査も

行っていました（診療所では出来な

い検査については臼杵病院で行って

います）が、最近では、一人暮らし

が難しくなり施設に入所された方、

臼杵病院への通院に切り替えた方な

どにより、風成診療所の通院患者さ

んは月に30名ほどに減少しています。

　

そんな中でも、患者さんは主治医

との会話や

待合室での

スタッフや

知人との会

話も楽しみ

にしている

ようです。

「毎週多く

薬局のご協力を頂いて、当日のお届

けができるようにしました。また、

歩行の不安を抱える方に対して手す

りの設置や、靴の履き替えを行わな

くて済むように…といった施設の整

備の他、風成診療所への送迎も行う

ようにしました。現在は深江・破磯

方面や大泊方面の送迎を行っており、

他にもご希望があればお知らせいた

だければと思います。

　

現在は週に１回の診療となってい

ますが、それでも急性の症状で風成

診療所に来られる患者さんもいらっ

しゃいます。診療回数を増やすこと

が単純にニーズに合うかわかりませ

んが、高齢化が進むなかで医療と介

護、生活の側面から患者さんとその

生活を支える

視点を持って、

あらためて地

域の実情や

ニーズをしっ

かり把握し、

風成診療所の

あり方を模索

していきたい

と思います。

ある雑誌の記事なのでご存じの方

も多いと思う。６月のトヨタの株主

総会の時に２０２１年３月期決算の

話になったときに突然「話は長くなり

ますが、ロバを連れている老夫婦の

話をさせていただきたい」と寓話を

話し始められた。「ロバを連れながら、

夫婦二人が一緒に歩いていると、こ

う言われます。『ロバがいるのに乗ら

ないのか？』と。また、ご主人がロ

バに乗って、奥様が歩いていると、

こう言われるそうです。『威張った旦

那だ』。奥様がロバに乗って、ご主人

が歩いていると、こう言われるそう

です。『あの旦那さんは奥さんに頭が

上がらない』。夫婦揃ってロバに乗っ

ていると、こう言われるそうです。『ロ

バがかわいそうだ』。要は『言論の自

由』という名のもとに、何をやって

も批判されるということだと思いま

す。最近のメディアを見ております

と『何がニュースかは自分たちが決め

る』という傲慢さを感じずにはいら

れません」

株主総会前の５月にトヨタが発表

社会医療法人

風成診療所の今、これから臼

杵病院事務長　二ノ宮　友範

2

　『口から飲食する』そんな当たり前の機能の低下が

嚥下障害ですが、その原因や程度、予後は様々です。

現在、日本人の死因の第３位は肺炎ですが、高齢者に

おいてはその原因の多くはこの嚥下障害に起因する誤

嚥性肺炎です。つまり、嚥下障害は時として死に直結

しうる重大な病態と言えます。

　

私は脳外科医として長年脳卒中や頭部外傷など、脳

損傷を受けた方々の救急治療に関わってきましたが、脳

障害による症状として麻痺、しびれ、言語障害などと

同様に、程度に差はあれ嚥下障害はほぼ全ての症例にみ

られます。特に急性期において嚥下障害に対するアプ

ローチは重要で、脳出血患者さんの手術や急性期治療は

順調であったのに、嚥下障害による肺炎に罹患し失って

しまうこともありました。この非常に悔しい経験から、

嚥下障害は脳外科医として避けては通れない病態と考

え、その治療に積極的に取り組むようになりました。

　

幸い当院では摂食嚥下療法に長けた言語聴覚療法士

が常駐しており、嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査の体制

も整っております。嚥下障害に対しチーム一丸で立ち向

かい、障害の原因検索、評価に基づいたリハビリ等々そ

れぞれの症例に応じたアプローチを行なっております。

　

今回は脳外科医の立場で述べましたが、もちろん脳

疾患のみならず多種多様な嚥下障害に対しても幅広く

対応したいと考えております。飲み込みに不安があっ

たり、食事中に頻回にむせる、肺炎を繰り返している

方等々、お気軽にご相談いただければ幸いです。

診療予定

火・水曜ＰＭ　

木曜ＡＭ

　

褥瘡が発生した場合、創部がどのような状況

にあるのか観察することが重要です。創部は①炎

症期　

②増殖期　

③成熟期の経過をたどり治癒

していきますが、褥瘡も同じです。感染している

褥瘡ならば炎症期間が長期化し、深い褥瘡であ

れば増殖期が長期化します。しかし、褥瘡評価

を正しく行うことと、状態に応じた処置と看護ケ

アを提供すれば褥瘡は治癒させることができると

いわれています。

　

当院では、褥瘡治療にＷＯＣ看護師（皮膚・

排泄ケア認定看護師）と専門の医師との協力体

制を構築しており、早期のコンサルテーション

を行いチーム医療（栄養士・リハビリ・看護師）

に取り組んでいます。

　

その中で、退院後訪問看護師へと看護ケアを

継続させ施設に戻り治癒に至った一事例をご紹

介します。

　

入院時より臀部に褥瘡ステージ分類Ⅳ、踵部

に分類Ⅲの褥瘡があり、褥瘡処置と看護ケア

（除圧と体位交換、栄養管理）を開始。感染兆候

は徐々に落ち着き入院後3週間で施設へ退院。

その後も褥瘡管理は施設職員と訪問看護師によ

る連携で行いました。訪問時に毎回褥瘡部を記

録に残し確認、治癒過程のどこにあるか共有し

ていき退院後４週間で治癒することができまし

た。今後も、より良いチーム医療で縟瘡ケアに

取組んでいきたいと思います。

した見通しを元に、マスコミ各社は、

「トヨタの今期営業利益、８割減の５

０００億円」（日本経済新聞）、「トヨタ

衝撃『８割減益』危機再び」（朝日新聞）

と報じていた。私は、この見通しを

みたとき、「軒並み赤字予想がされる

中さすがトヨタだ。しかもそこまで

正確に予想してみせるとは」と思っ

た。そして危機感あおる新聞に嫌気

がさした。豊田氏の不満は、こうし

た報道に対して向けられたものだっ

た。「マスコミの報道当日は、『よく予

想を出しましたね』『感動しましたよ』

と言われたのに、次の日になると『ト

ヨタさん大丈夫』と言われてしまい、

一晩明けたときの報道の力に、正直

悲しくなりました」と言われている。

マスメディアは選挙のための玉石混

淆連合は批判せずに、派閥政治を悪

だと言わんばかりである。トップに

なりたくて派閥を作った人もいる。

派閥が悪いなら、派閥が連合して政

党を作っているのだから各政党その

ものも悪いと言うことにはならない

か。与党のトップは全国的な選挙が

必要で、野党のトップは議員だけで

選んで良いという理屈もわからない。

「ここのところ、大手各社が豊田社

長にインタビューを依頼しても、す

べて断られる状況が続いています。」

と同記事に書いてある。

マスメディアは今のままならもう

要らないのではないか。

臼杵病院一般病棟師長代行　佐藤 

栄子

臼杵病院　脳神経外科医師　田島　篤

嚥下障害について

�

〜脳外科医の立場から〜

臼杵病院での褥瘡（じょくそう：床ずれ）

治療について

3

帰巖会 社会医療法人帰巖会

９月九州に襲来した台風10号には肝を

冷やした。観測史上最強クラス、１０００

ミリ近い豪雨、瞬間風速70ｍの暴風、台風で

は初の「特別警報」発出か　

とか「前評判」

の強烈さもあってか、数日間緊張を強いら

れた。10号はほぼ予報通りのコースを、

30℃もあるという日本近海で順調に発達、

５日にもなると、TVも「避難準備はでき

たか？水の確保は？準備は今日が最後の

チャンスですよ」と警告してくる。追い立

てられるように、ホームセンターに養生

テープというものを買いに行くが、どこの

店員も、あきれたような顔で「昨日売り切

れました」と素気ない。スーパーには２ℓ

の水もないという。みんなもう準備済み

か　

と焦燥感が強まる。６日になると、奄

美手前で９２０Hpa、これは伊勢湾台風、

第二室戸台風級で上陸も…とニュースキャ

スターが叫ぶ。関東に去年大被害をもた

らした19号を気象庁は「狩野川台風並み」

と警鐘を鳴らしたがピンとこなかった。が、

伊勢湾台風並みというから、これは小学生

の時に実体験しているので正味怖くなっ

た。京都の田舎の家はガラスが割れて吹

き飛びそうになり、裏手の小川が瞬く間に

黄土色の濁流に変貌、家が浸水し、近くに

ある田原川（淀川・桂川の上流）の水面も

家より高く見えるような、そんな恐怖感を

どこかで憶えている所為だろう。日付が７

日に変わる頃、さらに接近、暴風雨の音が

不気味に響いている。こわごわ窓から外を

覗くと、ワンボックスカーが横倒しになり

そうに…。それでも、怖い夜が過ぎ、翌朝10

号は九州を離れた。被害は如何ばかりか

と心配したが、「幸いにも」想定よりは小さ

く、再氾濫必至かと思われた球磨川も、人

吉も無事だったようだ。

東日本大震災と東北大津波被害、福島原

発メルトダウンと広域放射能汚染、それに

今年の７月豪雨による球磨川大氾濫もそ

うだったが、大災害は大抵「想定外」の出

来事の範疇に区分けされる。「予想通りの

大被害」というのはあまり聞いたことが

ない。

遅まきながら、数日前に念願の養生テー

プが入手できた。１巻25ｍもある。２ℓ

入の天然水も複数「備蓄」したので、しば

らくは少し安心できそうだ。蛇足だが、一

寸気になって伊勢湾台風をネットで調べ

てみたが、その通過経路からみて、つい最

近まで、それと思い込んでいたのは、実は

２年後の１９６１年９月に京阪神地域を

直撃した第二室戸台風のようだ。

（

帰巖会副理事長　

榎本　

祥文

）

戦国大名は、歌が必須の教養

　前回までに、宗麟の蹴鞠や狩猟な

どの趣味のことを紹介しました。大

友家は、宗麟の祖父義長の時から、

「条々」と呼ばれる家訓を残してい

ます。その中で、「歌道・蹴け

鞠まり

を軽ん

じて狩猟を専らとすることを禁ず」

とあり、大友家では武芸のみでなく

学芸をも重視する家訓に、あえて

「歌道」が記されています。その歌に

ついてですが、やはり、家臣団の心

を繋ぎ留めるには、品格もないとダ

メということで、文学や歌に励むこ

とは、戦国武将にとって必須の素養

でした。「歌」には、「うたう歌」と「よ

む歌」があり、うたう歌は「歌謡」（現

代の歌と呼んでいるもの）と言われ

るもの。特に、戦国時代の歌謡は、

「能」の中にもありました。一方のよ

む歌は、「和歌・短歌」、広義には俳諧

（現在の俳句）がありました。

宗麟は、「歌道、書画、禅、工芸、薬

師」等の名人を、都から豊後に招く

　当時、「豊後の宗麟は、一芸に名あ

る者は雇いざるなしなり。」と伝聞

されていました。実際に一五七一

年、大友宗麟の招きで、久我晴通、

狩野永徳、怡雲宗悦、後藤徳乗、吉

田牧庵、等が土佐国等を経由し、豊

後国に下向したと記録されていま

す。五人は、いずれも各分野で、日

本を代表する人達でした。

久�

我晴通…歌道の久我通光（新三十

六歌仙の一人）の子孫・太政大臣。

大友と毛利家の紛争を調停した。

子が宗麟の娘と結婚。

　（次号は、宗麟の歌のことを記したい。）

狩�

野永徳…室町時代から江戸時代ま

で日本画壇の中心にあった、最も

著名な画人の1人。代表作に『唐

獅子図屏風』、『洛中洛外図屏風』。

臼杵に来て、「丹生島城障壁画」を

描いた。信長や秀吉等の権力者に

重く用いられた。

（唐獅子屏風画 

狩野永徳展覧会ポスターより）

後�藤徳乗…信長・秀吉に重用され、

分銅・判金の製作にあたり名品が

多く現存。

吉�

田牧庵…将軍家の侍医につながる

薬師。宗麟も、彼の医療技術に期

待した。

怡�

雲宗悦…豊後の文殊寺、臼杵の樹

林寺を開基。大友宗麟の肖像画を

書かせ、画賛を書いた。宗麟は、

彼に学んで、自分と息子のため

に、禅宗を極めようとした。

左

下：「樹林寺」は、今の諏訪の、臼杵大橋の

たもとにあった。古書に「諏訪神社を今の

地に移し、その跡に寺を建てた」とある。

今、標柱が建っている。現在の諏訪神社付

近にあったとの考証もある。寺は天正十五

年の薩摩兵乱入の時に消失した。江戸期に

は臼杵藩主別邸が置かれ、明治に河村豊州

の屋敷があった。

左

上：宗麟の肖像と宗

悦の自筆

うすきの歴史⑲文化総合誌「木漏れ陽」主宰・元高校教諭

桑原

英治

◦入館時に体温測定を行っています。　病院玄関に設置しているサーマルカメラ（スマホのような端末です）に顔をかざしていただくと一瞬で体表温度が測定できるようになっています。併せて、手指の消毒とマスクの着用をお願いしています。◦�タブレット端末を利用したビデオ面会を行っています。　新型コロナウイルス感染防止のため、面会は全面禁止とさせていただいています。ご不便をおかけしますが、ご理解の程よろしくお願いいたします。なお、その間の対応としまして、タブレット端末を利用したビデオ通話により、それぞれお顔を見ながらお話しができる面会を行っております。　ご希望の方は病棟までお知らせください。◦月～金（祝日除く）　10時～11時の間　１回10分程度◦�予約制（２週間に１回程度でお願いします）◦対象はご家族の方といたします

インフォメーションインフォメーションinformation

臼杵病院でのコロナ対策

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