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平成 27 年度 地域での地球温暖化防止活動基盤形成事業(愛知県) 地球温暖化防止活動を行う民間団体の 活動実績調査報告書 平成 28 年2月 一般社団法人 環境創造研究センター

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平成 27 年度 地域での地球温暖化防止活動基盤形成事業(愛知県)

地球温暖化防止活動を行う民間団体の活動実績調査報告書

平成 28 年2月

一般社団法人 環境創造研究センター

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平成 27 年度 地域での地球温暖化防止活動基盤形成事業(愛知県)

地球温暖化防止活動を行う民間団体の活動実績調査報告書

目 次

調査の実施概要 ································································ 1

【ヒアリング対象団体①】NPO 法人とよたエコ人プロジェクト ······················ 3

【ヒアリング対象団体②】NPO 法人田原菜の花エコネットワーク ···················· 9

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調査の実施概要

(1) 調査の目的

本調査は、愛知県の「地域における地球温暖化防止活動促進事業」の一環として、愛知県において、地球温暖

化対策関連の活動に取り組む NPO 等民間団体(企業除く)の活動内容、活動状況について把握することを目

的に実施した。

調査結果については、今回の調査団体の活動が広く認知されるようウェブサイト等での公開・紹介を行い、関係機

関等への情報提供も実施する。

(2) 調査実施概要

調査実施

主 体

愛知県地球温暖化防止活動推進センター

(一般社団法人環境創造研究所)

調査対象 県内で活動する民間団体 2団体

調査方法

調査方法

・各団体のリーダーへの1時間程度のヒアリングによる調査を行った。

・調査後、調査結果のとりまとめ内容を各ヒアリング対象者に確認いただ

いた。

調査時期 ・ヒアリング①:平成 27 年 12 月 8 日(火)

・ヒアリング②:平成 27 年 12 月 9 日(水)

(3) 調査項目

●団体の活動内容、活動状況

●構成員等の人数、構成員の主な所属先や職業等

●活動の頻度や時間帯など

●活動の運営方法

●活動による効果・影響

●活動上の課題

●行政・企業・ほかのNPO等民間団体との連携状況・連携の可能性

(ほかの推進員との連携状況)

●行政・企業等との連携・協力において課題となっていること

●行政・企業等に期待したいこと

●愛知県センターに期待する役割

など

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【ヒアリング対象団体①】NPO法人とよたエコ人プロジェクト

団体の概

要・設立

目的等

市民、市民団体、企業、行政、学校等に対して、環境に配慮した行動のできる人づくりや

環境行動の実践普及促進、環境まちづくりの推進に関する調査研究、政策提言などの事業

を行い、持続可能な地域社会の実現に寄与することを目的とする。

代表 坂本竜児(代表理事)

設立 2008 年 12 月 7 日

会員数 正会員 24 名、賛助会員 30 名・団体

主な

活動場所

●NPO法人事務所:〒471-0025 豊田市西町 1-88 カニックビル5階

TEL:0565-50-5684

●2010 年から運営業務受託:豊田市環境学習施設 eco-T(エコット)

●活動地域:豊田市、三河地域、その他要望に応じて

主な

事業内容

① 市民、市民団体、企業、行政、学校等を対象とした環境学習事業

② 環境学習や環境まちづくりを行う市民、市民団体、企業、行政、学校等への支援、連

携事業

③ 環境配慮型商品、環境配慮型サービスの普及促進事業

④ 環境行動促進及び環境まちづくり推進に関する調査研究、政策提言事業

⑤ 市民の参加促進、環境行動促進のための情報受発信事業

⑥ 環境学習施設等の管理運営事業

⑦ その他、法人の目的を達成するために必要な事業

出典:NPO法人とよたエコ人プロジェクト webサイト(http://t-ecobito.jimdo.com/)2015 年 12 月末現在

NPO 法人とよたエコ人プロジェクトは、エコット(eco-T/豊田市環境学習施設)の計画段

階から市民参画により検討していた際に、参画市民が中心となって設立した NPO 法人であ

る。持続可能で豊かな地域社会「42 万人のエコライフとよた」の実現を目指し、2008年に

設立された(2009年 12月に法人登記)。2010年からは、エコットの施設運営業務を受託し

ており、エコット及び豊田市を拠点に参加体験型の環境学習の取組みを多彩に展開している。

会員や職員等とは別に、エコットでの活動の中心を担うインタープリターが 69 人いる。こ

のインタープリターは、学びをサポートする「エコライフへの案内人」であり、エコット来

館者への案内や各種イベントの企画・運営に携わり、エコットの応援団としてボランティア

(交通費は支給)で活動している。

インタープリターは毎年募集を行っており、応募者は全 6回の「展示解説ボランティア育成

講座(H27 度はインタープリター育成講座)」を受講した後にインタープリターとしてエコ

ットに登録される。2015 年度は 10 期生となる 13 人(定員 12 名を上まわる応募者)が育

成講座を受講している。

毎年 6月には、エコットのオープン記念イベントである「エコットフェスタ」を豊田市主催

で、エコット及びエコットが併設されている渡苅クリーンセンターを会場に開催している。

2015年度(5月 31日(日)に開催)は、インタープリターがそれぞれの持ち場となる小ブー

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スで様々な工作やクイズなどを行う「エコ屋台村」はじめ、不要になった子ども服、食器、

本を交換する「リユース広場」、フリーマーケット、エコットマルシェ(地元産品販売)など

を開催した。

毎年 12月には「エコットフォーラム」として、エコットで活動している人、環境に関心があ

る人などが集まり、最先端の考え方にふれ、これからの暮らしや今後の活動に活かすことを

目的にしたフォーラムを開催している。2015年開催のフォーラムでは、「市民による学びの

場の創出~東京おもちゃ美術館の取り組みに学ぶ~」をテーマに、市民による学びの場の創

り方、育て方を考える講演会や意見交換会などを開催した。このフォーラムに併せて特別企

画「木育ひろば」や「木工ワークショップ」を開催し、インタープリターと一緒にお箸やわ

っぱづくりが体験できるイベントを開催した。

エコット主催イベントのみでなく、他の組織・団体とも連携しながら、年間通して地域の多

数のイベント・講座等の活動を展開してきている。豊田市生涯学習センター交流館(地区ご

とに市内 27 箇所ある)が開催する「交流館祭(ふれあいまつり)」へも毎年出展しており、

2015年は 19箇所の交流館のふれあいまつりに出展し、ごみ処理に対する啓発を目的に、牛

乳パック工作や分別ゲーム体験などを行った。

学校関係者から招聘されて実施する出前講座についても、年 100回・クラスほどの出前講座

(出前授業)や校外学習(クリーンセンター見学)等の場で、3R やごみ分別の啓発、地球

温暖化学習などの講座・授業を実施しており、インタープリターが講師として活躍している。

インタープリターは、出前講座などを行った後には「ふりかえりシート」を記入することに

なっており、教師へのアンケートも行っている。それらを用いてインタープリターの会合で

は活動の検証とその共有化を図るようにしている。授業実施後には、児童・生徒がごみの分

別や省エネなどを実践するようになった、子どもたちが日常の中で「エコ」という言葉を口

にするようになったなどの嬉しい声が届いている。

エコットでの取組みのほかに、NPOでは 2018年の豊田市新環境基本計画の市民参加による

策定に向けた勉強会も行っている。

今後、注目していきたい活動分野として森林問題があげられる。豊田市の森林は、その 7割

が人工林であるが、手入れ・活用が十分になされていない。12 月の「エコットフォーラム」

において、「木工ワークショップ」を併催し、オリジナルのキットを使ったお箸づくりなどを

行ったが、これからも、こうした地域の森林について考えるイベント等による機会づくりに

取組み、市民の地域の森林に対する関心を高めていきたい。

生物多様性をテーマにした「いきものめぐみ塾」では、矢作川の上流から下流を巡りながら

地域の森林・川・生き物など自然について学ぶバスツアー講座を 3回開催している(発表含

めて全 4回シリーズで開催)。1講座につき約 30人が参加しているが、地域を訪問し、体験

して、味わうといったプログラムを盛り込んでおり、人気の講座となっている。

企業と連携したイベント開催なども行っており、地元スーパーが開催するフードフェスタへ

の出展をはじめ、トヨタ自動車関係のイベントでもマイバッグづくりや箸づくりを行うなど

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のイベント支援を行い、企業側・参加者側から好評を得ている。

こうした取組みを通して、エコットが地域の様々なイベント等へのサポート役を果たしてき

ており、今後も、地域の環境分野における活動・教育等における“困った時の駆け込み寺”で

あり続けたいと考えている。

インタープリターの中には温暖化防止活動推進員も多い。また、エコットは愛知県センター

の豊田支所に位置づけられている。今後の目標・期待したいことの一つに、愛知県センター

との間で、指令部と現場としての仕組み、関係を構築し、センターとしての取組みをもっと

増やしていくことができればと考えている。

そのほか、環境教育・活動の取組み(イベント・コンテスト等)、ツール・グッズなどについ

てのほかの地域の事例を集め、それを発信する取組みも展開できればと考えている。例えば、

ある節電コンテストで応募者家族が一週間、冷蔵庫を全く使用しない生活を実践していた。

そんなことができるとは中々思いつかないが、実際に実施した家族の子ども達は「家の中で

キャンプ生活をしているみたいで楽しかった」と感想を述べていた。おそらく、こうした事

例は、我々の出来るはずがないといった固定観念も崩してくれる事例になるであろう。また、

こうした事例・情報を収集し、発信することによって、暮らし方への提案も行っていくこと

につながればと考えている。

エコットフェスタ 2015 でのインタープリターによる小ブース「エコ屋台村」

釣りをしながら、雑紙の分別について学ぶゲーム 発電量をランキングする人力発電機体験

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「いきものめぐみ塾」の 2015 年度開催の様子

エコットフォーラム 2015 のフォーラムと特別企画「木工ワークショップ」

「エコットフェスタ」「いきものめぐみ塾」「エコットフォーラム」の開催案内チラシ

エコットフォーラム 2015「市民による学びの場の創出」でのトークセッ

ションの様子

「木工ワークショップ」でインタープリターと一緒に箸づくり

第2回「矢作川と海のつながり」では東幡豆の潮干狩り場で干潟の

生き物観察

第3回「矢作川と森のつながり」では矢作川の源流の一つ長野県根

羽村の茶臼山の山頂へ

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地元スーパーのイベント「やまのぶフードフェスタ」への出展

交流館(各地区生涯学習センター)の「ふれあいまつり」への出展

インタープリターによる出前講座(出前授業)

写真等:豊田市環境学習施設「エコット」WEBサイト(http://www.eco-toyota.com/)より

新聞紙で輪投げづくり、牛乳パックでポシェットづくりなど小さ

な子どもも楽しめる簡単な工作をインタープリターがお手伝い

子どもたちが自由に遊べると大人気だったトコ積み木

インタープリターが牛乳パック工作や雑紙分別ゲームなどを

実施

ふれあいまつりで参加者が作った牛乳パックポシェット

左上:小学校の地域支援室が主催する土曜講座での箸づく

の様子

右上:公共施設見学(渡刈クリーンセンター)の前後に実施す

る出前授業「くらしの環境学習推進事業」での様子(2015 年

度は 15校から申込があった。)

左下:出前授業の一週間前、インタープリターがエコットで授

業についての打合せと準備を行っている様子

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【ヒアリング対象団体②】NPO法人田原菜の花エコネットワーク

団体の概

要・設立

目的等

NPO 法人田原菜の花エコネットワークは、愛知県田原市の推進する「菜の花エコプロジェ

クト※」に取り組んでいる。市と協働して遊休農地に菜の花を植え、美しい農村景観をつ

くり出すことは、住民の心の豊かさを生み出し、訪れる人の心を和ませ、また、菜種油の

生産販売は、地産地消のみならず、資源循環型社会を目指し、世代を超えて引き継ぐ地域

づくりに貢献している。

※菜の花エコプロジェクトとは、田原市が「たはらエコ・ガーデンシティ構想」のもとに推進しているプロジェ

クトの一つ。菜の花を栽培して菜種から油を絞り、油かすは肥料に利用する一方で、食用に利用した菜種油の

廃油を回収して軽油代替燃料などとして再生利用するもので、菜の花をキーワードにした資源循環型社会の形

成を目指すプロジェクト。

代表 斉藤 敏夫(理事長)

設立 2006 年 3 月 23 日

会員数 正会員 46 名、賛助会員 16 名・団体

主な

活動場所

●NPO 法人事務所:〒441-3502田原市赤羽根町赤土1番地(赤羽根市民センター内)

TEL:0531-45-3744

●活動地域:田原市(渥美半島)

主な

事業内容

遊休農地解消事業:田原市では遊休農地(過去 1 年以上の間、作付けしていない農地)

が増加しており、菜の花を栽培することによって、農地が耕され、土が生き返ることか

ら、作付けを希望する担い手への農地の橋渡しを行っている。

景観美化推進事業:遊休農地を菜の花畑にすることによって、心和む美しい渥美半島の

農村景観づくりに取り組んでいる。

菜種栽培事業/菜種油製造・販売事業:観賞用菜の花に加え、搾油用菜の花の作付けを

行っており、菜種を採り、油を搾って菜種油「たはらっこ」を生産販売している。

啓発活動事業:小学校の環境学習・総合学習、幼稚園・保育園からの環境学習・総合学

習、イベント(市民緑化まつりや田原市民まつりなど)での菜の花エコプロジェクトの

普及啓発活動

出典:パンフレット「NPO法人田原菜の花エコネットワーク(2015 年 3月作成)」

田原市では、遊休農地の増加が花のまちである田原のイメージダウンにつながることが懸念

され、1988年に農業委員会が増加しつつあった遊休農地の調査に着手した。また、2003年

からは遊休農地で景観保全を目的にした菜の花を栽培するなど、遊休農地の減少に取組むよ

うになった。

菜の花栽培に協力してもらう菜の花エコボランティア育成のための説明会や講習会等の開催

を経て、農業委員やエコボランティアを中心に会員を募り、2005 年に「NPO 法人田原菜の

花エコネットワーク」(以下、NPOの表記はすべて「NPO法人田原菜の花エコネットワーク」

を指す)を設立した(2006年 4月の法人登記)。以降、景観、農地保全を目的に、遊休農地

を活用した鑑賞用の菜の花やひまわりの栽培、搾油用の菜種油の生産販売などに取り組んで

きている。

菜の花栽培を行う土地は、NPOが遊休農地を借用する形で市の営農支援課による調整が行わ

れており、その土地は 3年間をめどに返却するシステムになっている。その3年の間に、NPO

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が土づくりからはじめて、観賞用・搾油用の菜の花やひまわりを栽培することによって、荒

れた遊休農地が農地として蘇ることになる。

菜の花・ひまわり栽培には市内の企業や小学校、保育園等も協力している。毎年、アイシン・

エィ・ダブリュは工場が立地する光崎交差点付近で菜の花栽培を行っており、同社の社員と

その家族が種蒔きなどの作業を行う際には、NPOが協力して作業の手伝い、支援・指導を行

っている。また、1月に行われる収穫イベントでも NPOが協力している。

光崎交差点は、3 年前から田原市で開催されている「中部・北陸実業団駅伝大会」のルート

上にあり、満開の菜の花の横を選手が走り抜けていく様子が絵になるとして、ニュースなど

で取り上げられる際には、この交差点付近でのレース画像がよく撮影・放映されるようにな

っている。

小学校、保育園も、種蒔きから収穫に至る折々において、その作業を子ども達が手伝ってく

れている。作業を手伝ってくれた菜の花畑で、卒園記念写真の撮影を行っている保育園もあ

る。小学生は搾油体験や、搾油した菜種油を使った調理実習なども行っている。昨年は、市

内の泉小学校の 5年生が総合的な学習の時間に大葉の塩焼きそば「田原・塩YAKISOB

A(OBA=大葉)」を考案し、話題になった。これは菜種油をはじめ、大葉、麺、豚肉など

地元産にこだわって児童が開発したメニューである。地域のイベントで、児童と保護者が調

理したものを販売したところ、二時間半で 200食を完売し、大変好評だった。その後、地元

の製菓店、飲食店ではやきそばパン、やきそば定食として商品化もされた。

また、田原東部小学校では「菜の花プロジェクト」関連した授業を実施しており、毎年 12月

に「菜の花感謝の会」として、菜種油に合う料理メニューの研究結果など、授業の成果を発

表する行事を行っている。この感謝の会へは授業への支援・協力を行った関係者が招待され

ており、NPOも招待されている。

毎年 1~3月にかけて開催する「渥美半島菜の花まつり」(渥美半島観光ビューロー主催)で

は、多くの観光客が田原を訪れる。その際、観光客は NPOの菜の花畑にも立ち寄って「きれ

い」と言って喜んでくれており、NPOのやりがいになっている。また、こうした菜の花畑の

存在がドライバーのごみ捨て防止の意識にもつながればと考えている。NPO の活動が市民、

観光客等の環境意識の向上につながり、景観が守られ、観光客が増加し・・・・・・と良い循環が

生まれていくことを期待している。

また、食用ナバナの栽培にも取り組んでいる。ナバナの葉を海苔がわりにした料理や、酢の

代わりに菜種油を使ったドレッシングなどの研究・試食等を行っている。このように新しい

ものを創りあげていくことにも会員はやりがいを感じている。菜の花を活用したメニューを

新しく開発し、地域のお店で販売等されるような新メニューを NPO が提供できるようにな

ればと期待をしている。料理で油は脇役となるが、地域の他の食材と合わせるなどの工夫を

して、六次産業としての活用・展開を図っていきたい。

国産の菜種油は希少であり、ある成分調査ではオリーブオイルよりも栄養価が高いとの結果

が出ている。一方で希少であるがために単価が高く、採算ベースにのせることが課題にもな

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っている。しかし、最近エゴマ油が脚光を浴びたように、菜種油も健康に良いことが周知さ

れ、注目を浴びるよう、PRにも力を入れていく必要があると考えている。

NPOの課題の一つに、人材育成がある。会員の固定化、会員集めに苦労しており、特に次世

代の活動者をどのように確保していくかが課題になっている。若い人たちは仕事があるため、

活動への参加がなかなか難しいという実情もある。しかし、市内の農業高校(県立渥美農業

高校)の学生などは顔なじみのようになっており、出展したイベント等で顔を合わせると、

いつもこちらに協力、手助けなどしてくれるようになっている。そうした彼らとのつながり

は大切にしていきたい。また、このつながりからお互いの活動の輪を拡げていけるようにし

ていきたい。

菜の花等を栽培する借用農地については、耕作放棄地だった土地を改良し、3 年をめどに返

却することになっているため、NPOが農地として改良し、菜の花栽培に適した土地に育てた

としても、数年で返却する必要がある。NPOの活動開始から年数を経た現在、活動の成果と

して遊休農地は減少したが、それと裏腹に NPO が借用可能な農地が土壌条件等の悪い遊休

農地ばかりになってきている状況にもなりつつある。そのため「NPOの活動の場」をどのよ

うに確保・維持していくかも、今後の課題の一つであると考えている。

NPO の名称に「ネットワーク」とあるが、当 NPO を核にして、事業者、学校・保育など、

様々な活動団体が連携する形の組織・体制づくりが本来の役割、目標であり、課題でもある。

将来的には、NPOと一緒に様々な活動団体、そして市民みんなが一緒になって、菜の花やひ

まわりなど花を咲かせていく活動になっていくことを期待したい。

NPO 法人田原菜の花エコネットワークによる菜の花の栽培箇所:黄色の網掛け箇所

図:田原菜の花エコ推進協議会パンフレット「田原菜の花 MAP」より

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田原菜の花エコプロジェクトによる遊休農地の解消

図:田原菜の花エコ推進協議会パンフレット「田原菜の花 MAP」より

NPOの活動により満開となっている「加治の菜の花畑」

NPOが搾取から生産・販売までを行っている菜種油「たはらっこ」

NPOが栽培した吉胡(ハッピーバレー前)のヒマワリ

2014 年の「田原菜の花エコプロジェクト感謝祭」の様子(「たはらっ

こ」の販売や活動紹介などを行った)

遊休農地での作業の様子 市内保育園の園児が NPOの指導のもと種蒔き体験

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「渥美半島菜の花まつり 2016」(主催:渥美半島観光ビューロー)のチラシ

イベント期間中の 1~2月の毎週土曜日に、NPOは加治の菜の花畑で、廃油を再生したBDF(バイオディーゼル燃料)を活用する発電機を用

いてライトアップを実施。また、加治の菜の花畑では、食用ナバナの試食・販売、菜種油「たはらっこ」の限定販売なども行われている。

写真画像:NPO法人田原菜の花エコネットワーク facebook(https://www.facebook.com/taharananohana)、

同 Twitter(https://twitter.com/taharananohana)、渥美半島菜の花浪漫街道ブログ

(http://nanohanaromankaido.dosugoi.net)、田原市広報サポーターブログ(http://kohotahara.dosugoi.net/)より

NPO も招待された田原東部小学校の「菜の花感謝の会」 NPO とアイシン・エィ・ダブリュ㈱、豊橋鉄道、渥美半島観光ビ

ューロー、田原市が協力して三河田原駅内に 200 本のひまわ

りを装飾(ひまわりはアイシン・エィ・ダブリュが光崎交差点の

緑地帯で栽培したもの)