新潟市 様 「日本一の窓口」を創る! 中央区・東区の自立的 …新潟市 様...

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新潟市 様 「日本一の窓口」を創る! 中央区・東区の自立的な業務改革活動 新潟市では、2007年の政令指定都市移行以来、 様々な市民サービス向上への取り組みを行なってい ます。そして、市長の「日本一の窓口を創る」という決 意を受け、中央区・東区の両区役所では、窓口業務改 革 を 目 指してフィー ルド・イノベ ー ション を 導 入 。 フィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)と 共に課題の洗い出しや業務の見直しに取り組み、 サービス品質の大幅向上を実現。現在も継続的な 改善に取り組んでいます。 「人」・「プロセス」・「ICT」が一体となった業務改善 「人」の意識をいかに高めるかが鍵 組織や業務の中に潜む問題を見つけ出し、それを一つずつクリア していく改善活動は、さらなる成長を目指すうえで欠かせない取り 組みと言えます。 継続的な改善・改革は、「人」・「プロセス」・「ICT」の3つの要素が 揃ってはじめて実現します。その土台となるのは「人」。活動の主役 である「人」の意識が変わって初めて、「プロセス」や「ICT」が十分に 機能します。 新潟市では、もともと市民サービス向上を目指す「さわやか運動」 を展開するなど、高い改善意識がありました。そして今回フィール ド・イノベーションを導入することにより、さらなるサービス向上に取 り組みました。 なぜ「日本一の窓口」か 更なる市民サービス向上のため 窓口サービスのレベルアップを目指す 2005年に近隣13市町村との大規模合併を、2007年には政令指定 都市移行を行うなど、伸びゆく街として発展を続ける新潟市。市民 サービス向上施策にも積極的に取り組んでおり、品質マネジメント の国際規格であるISO9001認証も取得しています。その同市が 2011年より新たに着手したのが、市民とのコンタクトポイントである 区役所の窓口業務の改善でした。 市長の篠田 昭氏は、その経緯を 「新潟市ではこれまでも様々なサービ ス向上施策を展開し、一定の成果を 上げてきました。しかし、まだまだ充 分とは言えない部分も残っており、そ の一つが窓口サービスの改善でし た。私も『市長への手紙』などを通じ て様々なご意見・ご要望を頂きます が、窓口に関わる内容がしばしば見 受けられます。窓口はいわば『市の 顔』ですから、その対応にご不満を抱 かれるようなことがあってはなりませ ん。窓口の分かりやすさ、きめ細かさ、さわやかさを、今まで以上に 追求していく必要があると感じました」と振り返ります。 今回のプロジェクトの対象となったのは、8つの行政区のうち中央 区役所と東区役所の区民生活課です。中央区は新潟市の中心部 にあり、中央区役所は新潟市役所の中にあります。また、東区役所 は新庁舎への移転を間近に控えていたため、今後に向けたモデル 区役所としての役割が期待されました。 「区役所の窓口は市民の皆様が頻繁に訪れますので、市民サービ ス向上に貢献する場所と言えます。区長や職員に対しては、改善活 動に取り組むからには『日本一の窓口』を目指して欲しいと伝えまし た」と篠田市長は語ります。 窓口業務の改善には、業務に携わる全ての人々の参画が重要で す。たった一人でも対応が不十分であれば、市民にとってはその印 象が全てになってしまうからです。こうした事態に陥らないために は、外からの押しつけではなく、職員自身が自発的に改善・改革に 取り組む体質を身に付ける必要があります。そこで同市が目を付け たのが、富士通のフィールド・イノベーションでした。 新潟市長 篠田 昭 氏 「人」「プロセス」「ICT 」が一体となった継続的改革を実現するのがフィールド・イノベー ション。その土台となるのは「人」である。 ■フィールド・イノベーションの目指すもの ICT プロセス ICT :活用の仕方を変える 人:人の意識と行動を変える プロセス:業務の流れを変える 中央区 東区

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Page 1: 新潟市 様 「日本一の窓口」を創る! 中央区・東区の自立的 …新潟市 様 「日本一の窓口」を創る!中央区・東区の自立的な業務改革活動

新潟市 様「日本一の窓口」を創る!中央区・東区の自立的な業務改革活動新潟市では、2007年の政令指定都市移行以来、様々な市民サービス向上への取り組みを行なっています。そして、市長の「日本一の窓口を創る」という決意を受け、中央区・東区の両区役所では、窓口業務改革を目指してフィールド・イノベーションを導入。フィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)と共に課題の洗い出しや業務の見直しに取り組み、サービス品質の大幅向上を実現。現在も継続的な改善に取り組んでいます。

「人」・「プロセス」・「ICT」が一体となった業務改善

「人」の意識をいかに高めるかが鍵 組織や業務の中に潜む問題を見つけ出し、それを一つずつクリア

していく改善活動は、さらなる成長を目指すうえで欠かせない取り

組みと言えます。

 継続的な改善・改革は、「人」・「プロセス」・「ICT」の3つの要素が

揃ってはじめて実現します。その土台となるのは「人」。活動の主役

である「人」の意識が変わって初めて、「プロセス」や「ICT」が十分に

機能します。

 新潟市では、もともと市民サービス向上を目指す「さわやか運動」

を展開するなど、高い改善意識がありました。そして今回フィール

ド・イノベーションを導入することにより、さらなるサービス向上に取

り組みました。

なぜ「日本一の窓口」か

更なる市民サービス向上のため窓口サービスのレベルアップを目指す 2005年に近隣13市町村との大規模合併を、2007年には政令指定

都市移行を行うなど、伸びゆく街として発展を続ける新潟市。市民

サービス向上施策にも積極的に取り組んでおり、品質マネジメント

の国際規格であるISO9001認証も取得しています。その同市が

2011年より新たに着手したのが、市民とのコンタクトポイントである

区役所の窓口業務の改善でした。

 市長の篠田 昭氏は、その経緯を

「新潟市ではこれまでも様々なサービ

ス向上施策を展開し、一定の成果を

上げてきました。しかし、まだまだ充

分とは言えない部分も残っており、そ

の一つが窓口サービスの改善でし

た。私も『市長への手紙』などを通じ

て様々なご意見・ご要望を頂きます

が、窓口に関わる内容がしばしば見

受けられます。窓口はいわば『市の

顔』ですから、その対応にご不満を抱

かれるようなことがあってはなりませ

ん。窓口の分かりやすさ、きめ細かさ、さわやかさを、今まで以上に

追求していく必要があると感じました」と振り返ります。

 今回のプロジェクトの対象となったのは、8つの行政区のうち中央

区役所と東区役所の区民生活課です。中央区は新潟市の中心部

にあり、中央区役所は新潟市役所の中にあります。また、東区役所

は新庁舎への移転を間近に控えていたため、今後に向けたモデル

区役所としての役割が期待されました。

 「区役所の窓口は市民の皆様が頻繁に訪れますので、市民サービ

ス向上に貢献する場所と言えます。区長や職員に対しては、改善活

動に取り組むからには『日本一の窓口』を目指して欲しいと伝えまし

た」と篠田市長は語ります。

 窓口業務の改善には、業務に携わる全ての人々の参画が重要で

す。たった一人でも対応が不十分であれば、市民にとってはその印

象が全てになってしまうからです。こうした事態に陥らないために

は、外からの押しつけではなく、職員自身が自発的に改善・改革に

取り組む体質を身に付ける必要があります。そこで同市が目を付け

たのが、富士通のフィールド・イノベーションでした。

新潟市長篠田 昭 氏

「人」「プロセス」「ICT」が一体となった継続的改革を実現するのがフィールド・イノベーション。その土台となるのは「人」である。

■フィールド・イノベーションの目指すもの

ICT プロセスICT:活用の仕方を変える

人:人の意識と行動を変える

プロセス:業務の流れを変える

中央区 東区

Page 2: 新潟市 様 「日本一の窓口」を創る! 中央区・東区の自立的 …新潟市 様 「日本一の窓口」を創る!中央区・東区の自立的な業務改革活動

事実の見える化が職員の気づきを促す

「5本の柱」を策定し2つの区が改善に向けた活動に着手 FIerはまず、両区の職員に対してインタビューを行い、課題意識を

把握しました。次に、窓口業務の現場観察を行いました。職員の接

遇態度や来庁者の動線、庁舎内設備の状況などを詳細にチェッ

ク。現場・現物・現実の状況を徹底的に明らかにすることで、事実を

見える化しました。さらに、市民へのアンケートも行い、現状の業務

や応対をどう感じているかを調べました。こうした調査の結果は、両

区の職員に大きな驚きを持って受け止められました。

 東区役所 区民生活課 課長 伊部

直史氏は「FIerから提示された事実

は、我々にとって非常にインパクトの

強いものでした。これまでは当たり前

のように感じていたこと、たとえば業

務処理の進め方や庁舎内設備の配

置などに、様々な問題が潜んでいた

のです。『市民の方々の目線で物事

を考える』という、プラスαの発想が

必要だったと痛感しました」と振り返り

ます。

 中央区役所 区民生活課 課長 上村

洋氏も「第三者の視点で現状分析

を行ってもらったことで、自分たち

だけでは見えなかった問題を知る

ことができました。たとえば、職員

によって応対品質にバラツキがあ

り、時にはお客様がご不満を抱か

れ て い た ケ ー ス も あ り ま し た 。 現

場観察やアンケート調査の結果を

通して、こうした点に気付けたこと

は非常に大きかったですね」と語

ります。

 中央区と東区では、こうして明らかになった問題点を踏まえて、日

本一の窓口を目指すための集中検討会を合同で実施しました。ま

ずは制約にとらわれず、それぞれが考える理想的な区役所の姿に

ついての意見を出し合いました。

 ここでFIerが心がけたのが、自由に発言できる環境作りです。若

手職員でも自分の考えを積極的に述べられるようにすることで、議

論の活性化を図っていったのです。時には突拍子もない案も飛び

出しましたが、それが明るいムード作りにも役立ちました。また、あ

る程度議論が拡がったら、今度は具体的な方針として絞り込むた

めの後押しも行いました。

 このような議論を重ねていくうちに、メンバーの間には次第に共感

や業務改善に対する共通意識が生まれてきました。業務改善に対

する意見を出し合ううちに、それぞれが同じ課題や問題意識を抱え

ていたことが分かったからです。また、より良いサービスを目指すた

めには、区役所に来庁される市民の方々を「お客様」と心得るべき

との認識も拡がっていきました。

 集中検討会では、こうした議論の結果を集約し、活動の大方針と

なる「5本の柱」を策定。これを基に、中央区役所、東区役所のそれ

ぞれで具体的な取り組みを進めていきました。

中央区役所におけるフィールド・イノベーション活動

窓口業務の改善に始まり自発的に区役所全体に拡がる 中央区役所と東区役所ではきっかけや抱えている課題に若干の相

違がありました。中央区では、若手職員を中心に業務改善の必要性は

感じていたものの、それを実行に移せる場が整っていませんでした。

 中央区役所 区民生活課 区民窓口

チーム 主査 牧野 堅太郎氏は「業務を

変えていきたいという思いは、以前から

職員一人ひとりの心の中にありました。

しかし、従来は課全体として改善活動を

支援する体制がなかったので、個人レ

ベルの活動に留まっていたのです」と当

時の状況を振り返ります。

 また、オフィスや商業・文化施設が集

中し、新潟市の商業・経済の中心地で

ある中央区は、同時に市内で最も人口

の多い区でもあります。約80万人の

新潟市東区 区民生活課 課長伊部 直史 氏

住民票や戸籍に関する手続きなど、区民と接する機会が多い区民生活課を中心に、窓口業務の改善に取り組むことになった。

■プロジェクト実行体制

《活動メンバー》

【中央区(104名)】 【東区(38名)】

(プロジェクトの統括)東 区 課長、課長補佐中央区 課長、課長補佐

市長

中央区区民生活課全員 東区区民生活課全員

富士通FIer(4名)

主査(4名)

主事(2名)

係長(5名)

(業務改善支援)

新潟市中央区 区民生活課 課長上村 洋 氏

■FIerが両区の窓口業務の現状を調査

活動 活動内容 調査により把握できたこと

①職員インタビュー 両区の活動メンバーに対し市民サービスの「目指す方向」「課題意識」をインタビュー。

両区ともに、市民サービス向上への高い意識はあるものの、個々人が抱える多様な問題意識や理想像のバラツキが明らかになった。

②現場観察 FIerが職員の対応について「フロア観察」「窓口観察」を実施。

窓口に行くまでの動線や案内表示をはじめ、お客様に対する言葉使いや対応といった接遇面など、多くの点で配慮が足りない部分があった。

③市民アンケート 新潟市民に対してアンケート調査を実施。

これまで埋もれていた市民の不満が明らかになった。

① 心に響くワンランク上の接遇を実践します

② 迅速・丁寧で安心できるサービスを提供します

③ 職員のスキルアップをさらに図ります

④ 効率的で明るくやりがいのある職場づくりを進めます

⑤ 時代に即した新サービスの提供に挑戦します

─ 窓口サービス新時代への挑戦 ─笑顔も交付できる窓口を目指して

■新潟市のフィールド・イノベーション活動スローガンと大方針

集中検討会において策定された活動スローガンと大方針。「5本の柱」にまとめられた大方針に基づき、両区役所での具体的な取り組みが進められていった。

●活動スローガン

●大方針(5本の柱)

新潟市中央区 区民生活課区民窓口チーム 主査牧野 堅太郎 氏

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新潟市民のうち、実に全体の1/4近い約18万人が中央区で暮らしてい

ます。このため、中央区では、区民生活課にも100名を超える職員が

在籍しており、大所帯であるが故の悩みも少なくなかったといいます。

 「同じ区民生活課の中でも、それぞれの係によって専門の業務知

識が要求されます。しかも、様々な係の職員が業務に関わっている

ため、全体の流れを把握するのも大変です。このため、他の係が多

忙で手が足りない時でも、手伝ってあげることがなかなか難しい面

があったのです」と上村氏は説明します。

 フィールド・イノベーション活動による窓口改善は、コミュニケーション

を図る良いきっかけともなりました。中央区役所ではFIerを交えてワー

クショップを開催。課員それぞれが感じている問題点を綿密に検討し、

これらを92項目の課題に分類・集約していきました。さらに注目されるの

は、プロジェクトへの「全員参加」を掲げると同時に、課題解決に取り組

むチームのリーダーやメンバーを立候補で決めるようにしたことです。

 「もちろん最初は戸惑いもあるわけですが、一度自らのこととして

改善に取り組み、そこで成果が見えてくると活動に弾みが付くんで

すね。すると本人もイキイキとしてきますし、雰囲気も盛り上がって

きます。その結果、活動に参加する人が増えるなど、良い方向に回

り出すのです。継続的な改善活動を続けていくためには、このよう

に自主的な活動であることが重要と考えています」と上村氏はその

理由を説明します。

 プロジェクト初期には、小さな活動ですぐに効果が挙げられる「ク

イックウィン」に重点的に取り組み、早期に成功体験を得られるよう

工夫しました。例えば誰かが自分を手伝ってくれた時には、感謝の

意を示す「ハッピーカード」をボードに掲示し、やりがいやモチベー

ションを感じられるようにしました。

 こうした取り組みの結果、区民生活課の雰囲気も大きく変わってい

きました。全員参加による活動は一体感を生み、自分の業務と関連

のある他の係の業務を自発的に学んでお互いに手伝い合うように

なりました。また、お客様にとって最適なサービスとは何かを考えた

うえで、接遇態度や庁舎内の案内設備なども見直すようにしました。

 「自分が作った案内看板がお客様の役に立っているのを見た時な

どは非常に嬉しかったですね。時には、熱意が行き過ぎて無理な目

標を掲げてしまうケースもありましたが、そうした際にはFIerが軌道

修正してくれたので助かりました」と牧野氏はにこやかに語ります。

 さらに注目されるのは、こうした活動が区民生活課の枠を越えて、中

央区役所全体に拡がろうとしている点です。お客様視点でサービス改

善を図ろうとすると、どうしても活動が他部門の管轄にまたがってしま

うケースが出てきます。そこで牧野氏をはじめとする各課の若手職員

が集まり、組織横断で新たなサービスに挑戦しようとしているのです。

 「お客様サービスの向上はもちろんですが、若手職員が活躍でき

る場を創り出せたという意味でも、今回の活動の意義は大きい」と

上村氏は手応えを語ります。

東区役所におけるフィールド・イノベーション活動

市民アンケートで高評価を獲得し改善活動を「区の文化」へ 今回もう1つの活動の舞台となった東区は、新潟空港と新潟西港

を有し新潟市の空と海の玄関口としての機能を担っています。区の

面積は新潟市内で2番目に小さい一方で、人口数は3番目に多いと

いう特徴があります。いわば市内有数の人口密集地なわけです

が、それにも関わらず地区事務所の施設だったものを区役所として

使っていたため、旧区役所庁舎は非常に手狭であり、日々の業務

に様々な支障を来していました。

 「旧庁舎は建物が本館と分館に分かれており、各課の場所を把握

するだけでも大変でした。また、お客様や職員の動線が考慮されて

いなかったり、待合い場所が狭くて繁忙期には大混雑するなど、か

なり厳しい業務環境でした」と伊部氏は振り返ります。

 新庁舎への移転を機にこうした問題の解決を図った東区役所です

が、フィールド・イノベーションの導入については、最初は二の足を踏

む面もあったそうです。

 東区役所 区民生活課 課長補佐 杵鞭

義夫氏は「区役所の移転だけでも相当

な作業量であるうえに、その間も窓口業

務は休まず動かしていかなくてはいけま

せん。こうした状況でさらにフィールド・イ

ノベーション活動もと言われても、果たし

て本当にその余裕があるのか正直不安

でした」と打ち明けます。

 こうした点を克服するきっかけとなっ

たのが、先に触れた集中検討会やワー

クショップです。これまでの業務や庁舎

内設備は、必ずしもお客様への心配りが十分ではないことがわかり、

その事実を知ったことで、職員の意識も大きく変わっていったのです。

 「お客様に対して最適なサービスをご提供することが区役所の役

目ですから、新庁舎ではこれまでのご不満をすべて解消したいと考

えました」と伊部氏は語ります。

 手始めとして、伊部氏自ら毎朝窓口の前に立ち、お客様や職員への挨

拶を行いました。また、接遇態度も全面的に見直し、「笑顔も交付できる

窓口」の実現を目指しました。こうした行動は現場の職員に大きな影響を

与え、様々な分野で自発的な改善活動が展開されるようになりました。

 「たとえば新庁舎への移転後には、当課の課員からお隣の健康

福祉課の業務を勉強したいとの申し出がありました。お子様がいる

新潟市東区 区民生活課 課長補佐杵鞭 義夫 氏

東区中央区

■両区で行われたワークショップ

活動中に両区で実施されたワークショップの様子。現状の問題点を洗い出して壁に貼り出したり、意見を出し合ったりすることで、課題解決の糸口を探っていった。

お客様の立場になり接遇態度を日々改善分かりやすい案内の設置

■中央区の改善施策例

庁舎内の案内看板を分かりやすい表示方式に改めると同時に、来庁者がどの窓口に向かえば良いのかすぐに判断できるようにした。

きねむち

きねむち

Page 4: 新潟市 様 「日本一の窓口」を創る! 中央区・東区の自立的 …新潟市 様 「日本一の窓口」を創る!中央区・東区の自立的な業務改革活動

家庭が転入された際には、転入手続と同時に福祉関係の手続きも

行いますので、その業務を知っておいた方がよりスムーズに対応で

きるとの考えからです。お客様の利便性のため、課を越えた活動も

行うようになったことは、フィールド・イノベーション活動に取り組ん

だ大きな成果と言えますね」と杵鞭氏は語ります。

 また、業務の勉強会だけでなく、小さなお子様向けのキッズコーナー

の設置にあたっては、健康福祉課と協力して両課のカウンター前に広

いスペースを確保しました。新庁舎への移転にあたってはFIerと共に新

しい庁舎でスムーズに窓口業務を行うための準備をしました。その一

環として行われたオープンリハーサルには中央区と西区の職員も参

加。課を越えた連携だけでなく、区を越えた連携も拡がりつつあります。

 こうした東区役所の取り組みは、市民からも好感を持って迎え入

れられました。新潟市では区役所の窓口業務を評価する市民アン

ケートを定期的に実施していますが、フィールド・イノベーション活動

後のアンケートで、初めて東区が1位となったのです。

 「この結果は非常に嬉しかったですね。現場の提案をすぐに取り上げ

る体質を築いたことが、職員のモチベーション向上につながり多くの改

善が実現できました。この体質改善を実現したメンバーの協力には感

謝しています。区役所では定期的な異動がありますから、今後区民生

活課でフィールド・イノベーションを経験した人材が他部門へ移れば、

区全体にその効果を拡げられるのでは。区民生活課としても、改善活

動を『区の文化』ひいては、市役所全体の文化として定着させられるよ

う、今後も全力で取り組んでいきたい」と伊部氏は力強く語ります。

さらなる市民サービス向上に向けて

行政機関や民間企業の枠を越えすべての窓口の中で「日本一」を目指す 中央区役所、東区役所における一連のフィールド・イノベーション

活動は、篠田市長からも高く評価されています。

 「自発的な活動によって窓口業務を改善できたことは、現場の職

員にとっても大きな自信につながったのではないでしょうか。実は、

これには私も驚いたのですが、若手職員からは『日本一の窓口を

行政機関の枠内だけで考えるのでは不十分。今後は銀行などの民

間企業と比較してもトップクラスの窓口を目指すべき』との声も挙

がっています。この盛り上がりをバネにして、今後も積極的に改善

活動を進めていきたいですね」と篠田市長は語ります。

 人の意識を変えることで、継続的に改革に取り組む体質が着実に

根付き始めた新潟市。しかし、解決すべき課題はまだまだ少なくあ

りません。市民への新サービス提供や課を越えた連携をさらに進め

ていくためには、プロセスや業務を支えるICTの見直しも必要になっ

てきます。今後はこうした分野でもフィールド・イノベーション活動で

得られた成果を役立てていく予定です。

お客様概要

新潟市 様人口 約81万人(2012年7月現在)

沿革 2005年に近隣13市町村と合併。

2007年に政令指定都市となり8つの行政区を設置。

URL http://www.city.niigata.lg.jp/

FIer

新潟市様を担当しての感想フィールド・イノベーション活動におい

ては、実際に活動に取り組む人の意

識と行動が重要な要素となります。そ

こで今回のプロジェクトでは、議論の

活性化を図るために誰でも自由に発

言できる雰囲気作りを心がけました。

また、様々なアイデアを具体的な施策

に落とし込むためのフレームワークも

ご提供し、両区役所における課題解決

に役立てて頂きました。改善の成果を

見て、市民サービスの向上に取り組む

職員の皆様をお手伝いすることができて良かったと思っています。

また、その成果がアンケート結果で実感できたのも嬉しかったです

ね。改善・改革の取り組みは今後も続いていきますので、これから

もいろいろなお手伝いができればと思います。

[2012年10月 公開]

写真左から、渡部 信雄、樽見 寧、保元 直、齋藤 秀範

■東区のキッズコーナー

キッズコーナーは区民生活課と健康福祉課が協力し、広いスペースの確保やクリーンな環境を維持している。

富士通株式会社

●掲載されている内容については、予告なしに変更することがありますのでご了承ください。

お問い合わせ先 富士通コンタクトライン

0120-933-200 受付時間9:00~17:30(土・日・祝日・年末年始を除く)〒105-7123 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター

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