戦争学原論を読んで@ pand f
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「戦争学原論」石津朋之
@_PandF
22015/04/16 自主ゼミ用資料
【石津朋之】日本の歴史学者防衛省 防衛研究所 所属
初版 2013 年 3 月15日
※ ゼミ用に個人的な関心・論点のみをまとめたスライドであり、本は引用・材料です。筆者の意図とは離れている可能性があります。
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*戦争の目的と原因
*平和とは
*これからの戦争と平和
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戦争の目的と原因
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▼ 戦争の目的と原因
政治的な行為
・金が欲しい / 経済もりあげたい・土地が欲しい / 独立したい・資源が欲しい・強い国に対する恐怖 etc.
・宗教を広めたい(宗教戦争)・名誉を得たい(古代は結構多かった)・正義がある(イデオロギーとか)(人道的介入とか)・戦争そのものが楽しい・システムのせい、必然的
これだけではない +
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▼ 戦争の目的と原因
戦争そのものが楽しい…?・文明を発展させる
……新しい法、慣習、儀式、音楽、芸術、文学、記念碑を伴う 技術が進歩する 学問が発展する(ナチスの捕虜に対する人体実験→医学躍進的進歩) 社会のシステムが変わる 一般市民の地位向上→参政権誕生 総力戦で女性も労働力に→男女平等の契機・祭りである ……非日常から人間を解放 本能を解放 自己犠牲欲求が満たされる 「最高の私利である生命の放棄を伴うため、高揚感が増大」 混沌と疲労と騒乱と浪費 → 終了後はまた静かな秩序へ・攻撃本能を満たす …… 人間には、 調和を求める本能 と 破壊本能 がある 「戦争は承認された暴力であり、命じられた暴力であり、尊敬される暴力なのである」 「戦争を無くした社会は、野蛮な集団、魂のない機械、気概を無くした男たち、フェミニズムを生む」
⇒「人類の攻撃性が弱まれば平和になるが、 人類の攻撃性が弱ければ文明は発展しなかった」
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▼ 戦争の目的と原因
システムのせい、必然的
・定住生活 …財産(水や土地、余剰農産品)の争いが生まれる 農業は大規模な共同作業→管理が必要→社会の階層化→指導者の誕生→権力争い 農耕により人口が急進的に増加 ※狩猟民族も戦争を行っているとの反駁がある・国家の存在 …ルソー VSホッブズ 「主権国家など存在するから戦争があるのだ。国家解体しよう。自然に帰ろう。」 「自然状態は万民の闘争。大きな共同体を作ろう」 イデオロギー対立 : 西側諸国による民主主義の強制、自由主義経済 VS保護主義経済 国内政治を安定させるための転嫁理論、スケープゴートに国民の関心を転嫁させる・戦争を無くすと考えられたものが逆に戦争の原因に …自由貿易 → 経済的対立 格差拡大 争いの元に 王権神授説から民主主義へ→自動的に王になれなくなったので、指導者にはカリスマ性が必要 →国民を戦争へ駆り立てるのが上手になった 国民の意思→ナショナリズム高揚 民族自決 植民地解放戦争 「テロとの戦い」
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▼ 戦争の目的と原因
・スポーツは攻撃本能を満たすための代替手段になりうるか? cf.ウィリアム・ジェームズは代替として社会奉仕のための徴兵制度を提唱した →ボーイスカウト誕生・本当に戦時より平時の方が精神病患者は多いのか? “無気力症候群”は攻撃本能を解放すれば、治るもの?・平和的協議を掲げる宗教の対立戦争ー宗教のパラドックスとは・戦争とは、ホモサピエンスという種に取っては必要なもの? ( 戦争への ) 個人的な恐怖<共同体 (種や国家 ) の滅亡の恐怖だから戦争は起こる?
Q.
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平和とは
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▼ 平和とは
辞書の定義
「戦争のないこと」
・平和の再定義 byガルトゥング・戦争が平和を作るという パラドックス・圧力による安定は平和?
本当に?
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▼ 平和とは
平和の再定義 byガルトゥング
平和 暴力の不存在
直接的暴力
構造的暴力(政治的抑圧、経済的搾取、差
別)
消極的平和
積極的平和
克服
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▼ 平和とは
戦争が平和を作るというパラドックス
・戦争には対立解決機能がある …戦争が終わると新しい秩序が構築される 30 年戦争の後のウェストファリア体制(勢力均衡体制)→しばらくヨーロッパでは平和 WW1→ 国際連盟 WW2→ 国際連合 …戦争は停戦 /休戦してはいけない 休戦中に体制の立て直しが双方できてしまう →再開後、より苛烈に 本来「敗戦国」になるはずだった側が、和平の場で譲歩しない
「持てる国」の圧力による安定は平和か?
・真の平和とは何か …農耕開始前は人間同士の戦争が無かったとして(※反駁あり)、狩猟生活の、その日その日を 生き延びられるか分からない状態は平和と呼べるか? 核兵器という全人類への脅威による相互恐怖の牽制は平和か? 「持てる国」は現状維持に利益があるため反戦、持たない国は現状破壊に利益があるため好戦 現状維持国の利益のための、安定は平和と呼べるのか?
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▼ 平和とは
・直接的暴力と構造的暴力に優劣はあるのか? cf.南北問題 / 経済格差 /植民地支配に苦しむ側が、 武力によって解決しようとすると非難を浴びやすい。構造的暴力を軽視?・休戦・停戦している事例は今後どうなるか? 韓国と北朝鮮は今後再戦するのか? また今までの休戦・停戦事例はどういう終結を迎えたか?・構造的暴力は武力以外で解決可能か?
・“絶対平和主義”は個人の次元を超えられないのか? トルストイ、内村鑑三は絶対平和主義だったが、社会に受け入れられず 晩年は孤立・隠遁した?
Q.
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これからの戦争と平和
152015/04/16 自主ゼミ用資料
▼ これからの戦争と平和
国家間戦争は今やコスパ悪い
・社会の変化 …科学技術が高度に発展→破壊度が大きい→相互疲弊 / 経済的相互依存関係が断絶 →経済的獲得も減る 出生率の低下+医療・食糧事情の改善→若者や子供が先進国では死ににくい →若者の死に対して、社会が許容しにくくなった ⇒失うもの<得るもの、の地域では「戦争への踏み切りやすさ」が先進国に勝っている
非国家主体(と)の戦争が増える
・ゲリラ戦争、テロの戦いが増える …クレフェルト(なぜこのような推察ができたのだろう?) 「将来は、狂信的かつイデオロギーに基づいた非国家主体が原始的な武力行使をする」 「正統性を備えた政府の代表ではなく、山岳に隠れた老人がその指導者となるだろう」 「これからの社会の防衛は、国家ではなく安全保障ビジネスが取って代わるだろう」・ 21c の時代精神は「予防原則」「リスク社会」 …先制攻撃をしがち 大量破壊兵器、テロリスト、人道的介入、「保護する責任」 “破綻国家”やテロリストへの戦争は増える? Ex イラク戦争
162015/04/16 自主ゼミ用資料
▼ これからの戦争と平和
・戦争を無くすと考えられたものが逆に戦争の原因に グローバル化、異文化理解、経済的相互依存など、現在、平和へのアプローチと 考えられているものも戦争の原因になりうるのか?・宇宙戦争が起これば地球上は平和になる? 「戦争はより大きな単位の社会を生み出し、強大かつ中央集権的な権力を創出」 共通の敵がいなければ人類は提携できないのか? その“敵”は「目的」では役不足?急迫・危険な目的( 敵)でなければなら≒ない?・非国家主体との戦いは何によって克服 されるのか。 国家は構造的暴力によって、「現状維持国」から威圧されているから 非国家主体の戦闘が増加したのか? →つまり構造的暴力を解決すれば非国家主体の戦いが無くなる? それとも非国家主体の戦いは昔からあったが、 より破壊的な国家間戦争が減少してきたために目立っているのだろうか?
Q.
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これからの社会から、戦争を無くすことは可能なのか。“平和”とは何か。
その条件・主体者は誰か。 そして、学問や思想はどれほど貢献できるのだろうか。
2015/04/16 自主ゼミ用資料