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新年度の始まりを目前にした 3 月末、セ イコーウオッチ株式会社の本社へ卒業生の 庭崎紀代子さんを訪ねました。女性管理職 として取締役執行役員を務めるだけでな く、広報宣伝部長として海外出張も多く、 「毎日がエキサイティング」と語る庭崎さ んにお話を伺いました。その中で見えてき たことは、いつでも物事を前向きに楽しむ 気持ちと、「人」を通して商品を伝えてい くことの面白さでした。 楽しかったから、ここまで来た この会社を選んだのは社風が良く、女 性が働きやすかったからです。今でもその 印象は変わりません。初めは宝飾事業の商 品企画に携わり、輸入から営業・広告作成 まで手がけたことで、ものが売れていく仕 組みや、お客さまの反応が手に取るように わかりました。 その次に異動した腕時計事業はいわゆ る男社会。それでも工場に足しげく通い、 製造者と信頼関係を築くことでものづくり の思いにもふれ、それまでとまた違った面 白さを感じました。大変なことはたくさん ありましたが、振り返るとどれも楽しかっ た、楽しくてここまで来た、というのが本 音です。 作っているものに自信を持つ 腕時計はファッション用品と工業製品の 二つの側面を持つ、独特なアイテム。そし て身近なものだからこそ、アイデンティ ティの表現にもなります。製造者の思いや こだわりの詰まった商品を宣伝・広報とし て伝えていく上で、自分が商品に自信を 持っていると、それが自然と伝わるように 思います。形のあるものを媒介することが 自分には合っていたのかな、とも思ってい ます。 ポジティブでいることが大事 楽しそうに仕事をしている人には、上司 はいろいろアドバイスしたり新しい挑戦を させたりしたくなります。ですから、楽し そうにしていればいい仕事が回ってくる よ、と若い部下にも話しています。自身も 周りの人々には恵まれ、新たなチャレンジ をする機会や、自分のアイデアを具体化す るような仕事をいただき楽しかったと感じ ています。 元気ではつらつとしてポジティブでいる ことがとても重要で、自分が楽しくないと 扱っている商品の良さも人には伝わりませ ん。最後は人の力だなと思います。 セイコーウオッチ株式会社 取締役執行役員 マーケティング統括本部 副本部長 広報宣伝部長 庭崎 紀代子 さん Niwasaki Kiyoko プロフィール 附属高等学校から本学に学び、1986(昭和 61)年 3 月史学科卒業。同年 4 月、株式会社 服部セイコーに入社、宝飾部門に配属。2001(平成3)年ウオッチ部門へ異動。2015(平成 27)年セイコーウオッチ株式会社マーケティング統括本部 副本部長 広報宣伝部長となり、 国内だけでなく、ブランドの価値を守りながら各国の状況を鑑み、積極的な海外進出と展 開を進める。同年、取締役執行役員となる。現在、株式会社和光の取締役も兼ねる。 Message インタビューを終えて 女性の役員として何か特別な思いがある のではないか、と思っていましたが、庭 崎さんの仕事を支えていたのはもっと純 粋な「楽しい」という気持ちであったこと に驚きました。そのような庭崎さんの温 かさが、周りの人も引き寄せているのだ ろうと感じます。前 向きで好奇心に富み、 バイタリティにあふ れる姿勢を私も学ん でいきたいです。 取材・文・学生記者 文学部日本文学科 4 年 石井 瑠璃 芦屋のジュエリー 工房 ギメルとクレ ドールのコラボレー ションウオッチ。ギ メルのものづくりの こだわりとプライド に、感銘を受けたそ うです 石井記者愛用の腕時 計はセイコーウオッ チ社のブランド。 「そ のベルトのデザイン はよく覚えている わ」と語る庭崎さん OG INTERVIEW vol.34 学生記者が 先輩にインタビュー

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Page 1: どんなときにも - 日本女子大学 : postmaster@atlas.jwu.ac.jp e インタビューを終えて 女性の役員として何か特別な思いがある のではないか、と思っていましたが、庭

本誌の文章や写真の転載・Webでの公開などを一切禁止します。「学園ニュース」では読者の皆さまからの投稿を募集しております。

 新年度の始まりを目前にした3月末、セイコーウオッチ株式会社の本社へ卒業生の庭崎紀代子さんを訪ねました。女性管理職として取締役執行役員を務めるだけでなく、広報宣伝部長として海外出張も多く、「毎日がエキサイティング」と語る庭崎さんにお話を伺いました。その中で見えてきたことは、いつでも物事を前向きに楽しむ気持ちと、「人」を通して商品を伝えていくことの面白さでした。

楽しかったから、ここまで来た この会社を選んだのは社風が良く、女性が働きやすかったからです。今でもその印象は変わりません。初めは宝飾事業の商品企画に携わり、輸入から営業・広告作成まで手がけたことで、ものが売れていく仕組みや、お客さまの反応が手に取るようにわかりました。 その次に異動した腕時計事業はいわゆる男社会。それでも工場に足しげく通い、製造者と信頼関係を築くことでものづくりの思いにもふれ、それまでとまた違った面白さを感じました。大変なことはたくさんありましたが、振り返るとどれも楽しかった、楽しくてここまで来た、というのが本音です。

作っているものに自信を持つ 腕時計はファッション用品と工業製品の二つの側面を持つ、独特なアイテム。そして身近なものだからこそ、アイデンティティの表現にもなります。製造者の思いやこだわりの詰まった商品を宣伝・広報として伝えていく上で、自分が商品に自信を持っていると、それが自然と伝わるように思います。形のあるものを媒介することが自分には合っていたのかな、とも思っています。

ポジティブでいることが大事 楽しそうに仕事をしている人には、上司はいろいろアドバイスしたり新しい挑戦を

させたりしたくなります。ですから、楽しそうにしていればいい仕事が回ってくるよ、と若い部下にも話しています。自身も周りの人々には恵まれ、新たなチャレンジをする機会や、自分のアイデアを具体化するような仕事をいただき楽しかったと感じ

ています。 元気ではつらつとしてポジティブでいることがとても重要で、自分が楽しくないと扱っている商品の良さも人には伝わりません。最後は人の力だなと思います。

20 ● May, 2016本書は、学内の使用済み文書を回収・再生した「日本女子大学循環再生紙」を使用しています。

日本女子大学循環再生紙

平成28年5月16日発行

発行/学校法人日本女子大学

編集/総務部広報課

どんなときにも

    最後は「人」

セイコーウオッチ株式会社取締役執行役員

マーケティング統括本部 副本部長 広報宣伝部長

庭崎 紀代子 さんNiwasaki Kiyoko

プロフィール附属高等学校から本学に学び、1986(昭和 61)年 3 月史学科卒業。同年 4 月、株式会社服部セイコーに入社、宝飾部門に配属。2001(平成 3)年ウオッチ部門へ異動。2015(平成27)年セイコーウオッチ株式会社マーケティング統括本部 副本部長 広報宣伝部長となり、国内だけでなく、ブランドの価値を守りながら各国の状況を鑑み、積極的な海外進出と展開を進める。同年、取締役執行役員となる。現在、株式会社和光の取締役も兼ねる。

編集後記 3 月、晴れやかな笑顔の卒業生を見送り、4 月に初々しい新入生を迎え入れる。毎年の風景であっても、それぞれに流れる豊かな年月を思うと胸がいっぱいになります。卒業生には 4 年間で培った「自力」を生かした活躍を、新入生には日本女子大学でしか味わえない、たくさんの経験が重なるようにと心から願います。 学園ニュースは誌面リニューアルから 3 年目。今号からさらに新しくデザインを変更しお届けします。読者の皆さまのご意見をお待ちしております。

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総務部広報課〒 112-8681 東京都文京区目白台 2-8-1 Tel. 03-5981-3176 Fax. 03-5981-3164E-mail : [email protected]

    最後は「人」

    最後は「人」

    最後は「人」

Message

インタビューを終えて

女性の役員として何か特別な思いがあるのではないか、と思っていましたが、庭崎さんの仕事を支えていたのはもっと純粋な「楽しい」という気持ちであったことに驚きました。そのような庭崎さんの温かさが、周りの人も引き寄せているのだろうと感じます。前向きで好奇心に富み、バイタリティにあふれる姿勢を私も学んでいきたいです。

取材・文・学生記者文学部日本文学科 4 年

石井 瑠璃

今月の表紙 今、花開くとき ~入学式・卒業式の風景

芦屋のジュエリー工房 ギメルとクレドールのコラボレーションウオッチ。ギメルのものづくりのこだわりとプライドに、感銘を受けたそうです

石井記者愛用の腕時計はセイコーウオッチ社のブランド。「そのベルトのデザインはよく覚えているわ」と語る庭崎さん

OGINTERVIEW

vol.34

学生記者が先輩にインタビュー

Vol.251May2016