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ロボティック・プロセス・オート メーション( RPA )がもたらす 金融オペレーション大革命 AI認知技術を活用した新たな業務プロセスの自動化は、 金融機関オペレーションに大きな変革をもたらすと考えら れる。今こそ、取り組むべき最重要テーマだ。

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ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命AI認知技術を活用した新たな業務プロセスの自動化は、金融機関オペレーションに大きな変革をもたらすと考えられる。今こそ、取り組むべき最重要テーマだ。

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2ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

RPAはAIの認知技術を活用したソフトウェアロボットであり、様々な業界においてオペレーションの大改革をもたらししつつある。金融業界に対しても、顧客フロント(例:メール・音声応対)、ミドル(例:融資審査)、バック(業務プロセス自動化)に至るまで、今後積極的にRPAの活用が進むと考えられる。本稿では、何故RPAが注目を浴びているのか、企業活動におけるデジタル化の潮流を述べた上で、RPAとは何か、RPA導入事例とその効果を含め解説し、金融機関が来たるRPA大改革の波に乗り遅れないようにするためのRPA導入ポイントについて述べたい。

国内金融機関にとっての次世代オペレーション改革の切り札 ― RPA国内金融業界はマイナス金利や異業種の金融界への進出の影響も含め、今大きな分岐点にある。既存の金融機関にとっては、収益確保に向けて、今は平時ではなく、まさに「有事」といった状況だ。特に、より一段踏み込んだコスト構造改革と顧客への対応強化は喫緊の課題であり、コストについては従来の店舗形態や商品・サービス、さらには業務プロセスの見直しも含め、抜本的にオペレーションモデルを見直すことにまで踏み込むケースが増えてきている。

A.T. カーニーでは、金融機関のコスト構造改革に向けて、大きく8つのレバーを定義している(図1)。

図1 金融機関のコスト削減のための「8つのレバー」

出所: A.T. カーニー作成

8. 調達の最適化

1. 戦略的なターゲット

2. 商品の簡素化

3. チャネルの最適化

4. オペレーションモデルの再定義

5. 業務プロセスの最適化とデジタル化

6. 人的リソースの投入最適化

7. 投資・費用のコントロール

• 間接材を中心とした調達の最適化を実施– 継続的にコスト最適化を実現するための 体制・プロセスも構築

• 投資案件の優先順位を決め、 効果的な実行を担保することで 狙った結果を達成

• リソース配分、大きさとミックス を最適化し、効率、効果、安定性 を担保

• 商品の合理化、平準化等を 通じて、E2E(End to End)での プロセス改善とコスト削減を達成

• 最適かつ高効率のチャネルを 適切なセグメントや事業別に活用

• 業務プロセスを簡素化、標準化、 自動化、集中化により最適化。 デジタル化も大胆に進める

• 最も採算性の高い地域、事業部門、顧客 セグメントに狙いを絞る�戦略的、財政的 に魅力的でないものについては撤退

• 内製化、外部委託、オンショア、オフショアの使用 を組み合わせた、最適オペレーションモデルを 構築し、競争力向上とコスト効率性の双方を追求

変化のレベル:オペレーション

変化のレベル:オペレーション

変化のレベル:オペレーション

変化のレベル:構造的、オペレーション

変化のレベル:戦略的

変化のレベル:構造的、オペレーション

変化のレベル:戦略的

変化のレベル:戦略的、構造的、オペレーション

CostTransformation

A.T. Kearneyのコスト改革フレームワーク

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3ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

いずれのレバーも金融機関のこれまでの常識やカルチャーの変革にまで踏み込んだ取り組みが必要だが、取り組みの効果と実行スピードの面から今注目されているのが、デジタル技術を大胆に活用した業務プロセスの抜本的見直しである。かつては、アウトソーシング花盛りの時代も、特に海外の金融機関を中心に存在していたが、近年はその海外の金融機関もオペレーションモデルの重心をアウトソーシングから内製での運用に切り替える動きが出てきている。その立役者・牽引役になっているのが、AIの認知技術を活用した自動化ソリューション―RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)である。RPAは対象プロセスに関し、着実で、かつ、非常に大きなインパクトを及ぼしており、国内金融機関でも本格導入が始まったところだ。

これまでのA.T.カーニーの国内外での支援実績に基づけば、RPAは大幅なコスト効率化のみならず、大幅なリードタイムの圧縮による顧客接点の改善、さらには、圧倒的な投資対効果のいずれも達成させる、まさに「目から鱗」的な手法である。

1. 80%以上の工数・時間削減2. 50%以上のリードタイムの短縮3. ミス率ゼロ4. 導入の投資対効果(ROI)は600~ 1,000%

企業活動におけるデジタル化の潮流企業活動のデジタル化において、昨今、最も注目を浴びているのは2016年の流行語大賞にもノミネートされたAI(人工知能)であろう。AI自体は40年以上も前から研究が進められており、それ自体新しいものではない。では何故ここにきて注目を浴びるようになったのだろうか。理由は大きく3つあげられる。

一つ目はICTコスト(デジタルデータを通信したりデータを蓄積したりするコスト)の低減に伴いデータのデジタル化が低コストに実現できるようになったことだ。二つ目は、一つ目とも関連するが通信ネットワークの高速化、大容量化、並びにデータ処理のためのアルゴリズム技術の急速な発展に伴い、これらデジタル化されたデータをリアルタイムに処理できるようになったことだ。そして三つ目は、機械学習、自然言語処理、音声認識、データマイニングといった技術をAIが取り入れることによって、AIが人間の「頭脳」に置き換わる存在になる可能性が見え始めたことだ。

つまり、AIはこれまでの研究段階からいよいよ実用段階に入り始めたということである。実際にGoogleが作り出した新しい機械学習プログラムを搭載したAIは、過去のデータや昨今の流行をデータ分析し、自分のピアノ曲を作り音楽業界に大きな話題を呼んだ。また、AIを活用してるのはGoogleのようないわゆる新興企業だけではない。例えば、米国の老舗のプレス通信社であるAP社(1846年創設)は、AIを活用した「人工知能ジャーナリズム」を開発し、企業決算ニュースを中心に記事生成の自動化を進め、これまで3500本を超える記事を世界に配信している。人工知能をはじめとするデジタル化の波は、すでに企業のあらゆる活動に大きな影響を及ぼし始めている。

こうした流れの中で、AIも含めたデジタル関連技術の活用目的は大きく3つの階層/レイヤーに分けることができる。すなわち、現在の業務プロセスを効率化することを前提とした「スマート化」レイヤー、現業の付加価値や顧客への提供価値を飛躍的に高めることを前提とした「高度化」レイヤー、顧客への新たな提供価値を創造することを前提とした「革新」レイヤーである(図2)。

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4ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

図2 デジタル関連技術の活用範囲は、「スマート化」から「革新」へと、より高度な領域へと広がってきている

出所: A.T. カーニー作成

コーポレート R&D 調達・製造・物流 マーケティング セールス

“革新”レイヤー新しい種類の

顧客への提供価値を創造する

“高度化”レイヤー現業の付加価値や顧客への提供価値を飛躍的に高める

“スマート化”レイヤー現在の業務プロセスを効率化(例:自動化)する

“手段”としてのデジタル関連技術Internet of Things ロボット 3D

プリンティング゙ ビッグデータ アドデクノロジー 人工知能

例)IoT×マスカスタマイゼーションによるパーソナル(one to one)マーケティングの実現

例)ビッグデータ×人工知能による必要供給量の予測精度の向上

例)ウェアラブル端末で作業員の行動情報を収集、業務改善活用

例)デバイスのGPS機能による営業員の日報作成の自動化

例)DMPやシングルソースデータ分析による出稿ROI向上モデル構築

例)人工知能による報告書・議事録作成、情報収集の自動化

例)家庭からメーカーへの直発注の実現(cf. IoT冷蔵庫)

例)ロボアドバイザー等顧客への投資提案

金融業界においては、業務オペレーションのより一層の集中化が進む中で、デジタル技術の活用によるオペレーションの自動化が進んできており、スマート化と高度化レイヤーにおいて大きな影響を及ぼしつつある。金融オペレーションの自動化において、最近欧米を中心に導入が進んでいるのが、AIの認知技術を搭載し業務プロセスの自動化を可能とするRPAだ。以降にて、RPAとは何かを述べた上で、RPAを導入していく上でのポイントについて解説したい。

RPAとは何か?RPAはAIの認知技術を活用したソフトウェアロボットであり、元々は10年以上も前から、欧米のベンチャーが技術開発を行い、実用化を進めてきたが、国内でも2013年頃から本格的に金融機関での活用が進んできた。自動化技術は高度なAIも含めて世の中に数多くあるものの、RPAは最もスケーラビリティ(効果のポテンシャル)が大きい領域に適切なスペック(過度に重装備・高コストでない)で導入される技術領域を指す(図3)。

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5ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

対象業務のスケーラビリティ

図3 RPAは対象業務のスケーラビリティが高く、一定の複雑性を有する業務プロセスまで対応可能という点で他の自動化手段と区別できる

プロセス自動化の全体像とRPAの範囲

出所: A.T. カーニー作成

業務プロセスの複雑度合い

実行・遂行のインテリジェンススクリプトの高度化 判断のインテリジェンス

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)

自動化に適した業務プロセスのボリューム

ツール プラットフォーム

• ユーザー(人間)の支援 (一般的には机上)• 単一化したスクリーン毎• 小規模チームに適する• スケーラビリティ、セキュリティ・ 統制に課題• IT部門や事業者による保守が必要

• 一定期間の学習期間と高コスト• 完全自動化・自動的に高度化

• 高度に柔軟性の高い完全自動化。 プロセス全体への対応が可能• 図表、フローチャートによるインターフェース• スケーラビリティが高い• データセンター内のため、 セキュリティ・統制がしやすい• IT部門による統制、事業部門によるコントロール

openspan

fusion

AutomationAnywhere

PARADIGM

UiPath

Kofax Kapow

blueprism xeroxREADSOFT

IPsoft

Celaton

IBM WATSON

その特徴は大きく3点ある。

一つ目は、「手作業」のデータ処理や操作をAIに学習させることによって、業務を自動化し、これにより、大幅な工数の効率化(スマート化レイヤー)と事務品質の向上(高度化レイヤー)の2つを同時に実現するとともに、判断を伴う業務においてもRPAに置き換えていくことが可能となるため、大幅な要員の効率化も実現できるという点だ(図4)。

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6ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

図4 RPAとは、AIの認知技術を搭載し業務プロセスの自動化を可能とするソフトウェア

現状

人間の介在が必要

既存システム

AIの認知技術を搭載したソフトウェアロボットを活用し、業務プロセスの自動化を実現• 判断を伴う業務においても自動化が進むため大幅な要員の効率化が可能• 大幅なスピードアップと正確な事務処理に伴う顧客対応の高度化が可能

出所: A.T. カーニー作成

社内データ調査

確認結果報告

社外Webサイト調査

データ集計 データチェック

データ分析 データ読込

データ入力

RPA導入後

ロボットが自動で実施

既存システム(システム改修、コーディング等必要なし)

社内データ調査

確認結果報告

社外Webサイト調査

データ集計 データチェック

データ分析 データ読込

データ入力

通常、各業務プロセス内には、複数のステップ・システムが存在し、各ステップや自動化されたシステム間の橋渡しには「手作業」が必要となる。そして「手作業」にはミスが付きまとう。しかしRPAは、これまで手作業で行っていた各ステップ・システム間の橋渡し等の作業内容をAIに学習させることによって「手作業」業務の自動化を可能とするため、工数の効率化と事務品質の向上が可能となるのだ。A.T. カーニーの経験では、RPAを適用した業務においては、業務のリードタイムが半減、作業ミスは当然ゼロ、24時間・365日稼働可能となり、作業品質向上や顧客満足度向上を実現し、金融機関の総コストの30%以上の効率化を実現している。

二つ目は、RPA導入は、既存プロセスやシステムの環境下で業務の自動化を実現することができるという点だ。RPAを導入するには、大幅なシステム投資が必要になると思われるかもしれないが、実は新たなシステム構築を必要としない。通常、業務の自動化を図るにはIT投資が必要となるが、RPAの場合は「手作業」の処理手順や「判断ロジック」をAIに学習させるだけであり、新たなシステム構築や既存システムの改修が無い(図5)。

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7ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

図5RPAの操作画面例:画面上で一連の作業を実施することで、自動で業務プロセスを定義するため、複雑なプログラミングは一切不要

出所: PRAテクノロジーズ、 A.T. カーニー作成

Webサイトから株価を自動取得するRPAの操作画面例

1. 画面上で一連の作業を実施

3. 1で実施した作業についての条件定義等をコーディングレスで実施可能

2. 1で実施した一連の作業を自動で定義 変更や作業の繰返し等の定義をマニュアルで実施することも可能

のため低コストかつ早期導入が可能なのである。従って、RPA導入(3年間)に伴う期待効果は状況によって異なるものの、一般的にROIで600~1,000%と圧倒的な数値をたたき出している(図6)。

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8ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

図6 RPA導入(3年間)に伴う期待効果はROIで600~1,000%と圧倒的

出所: A.T. カーニー作成

RPA導入効果のインパクト:銀行の場合

600-1,000%ROI

RPA導入(3年間)による効果の水準感

30%~50%の業務プロセスが潜在的な自動化対象。効果はオンショア対比で80%以上、オフショア対比でも70%弱• 25%の事務プロセスは一定のルールのもとで標準化 されたタスク。70%~80%のデータ入力業務が 自動化可能• 30%~40%の工数は、さらに時間短縮により再配置 可能

コスト効率化

50%のリードタイムの削減、20倍以上の処理速度• プロセス全体のリードタイムの50%の削減• アウトソースされた専門業務プロセスでさえ、RPAにより、 処理時間が1/3~1/20以上に短縮

顧客満足度向上

処理エラーの削減とコンプライアンス向上• 100ステップの内、人手によるエラー率はプロセスが 重複していても10程度起こりうる• ロボットは100%の精度で24/365対応

作業品質向上

• 処理キャパシティの拡大• スケーラビリティ(規模増に 伴う相乗効果)の拡大• 直接投入コストの削減

効率化効果

• プロセス透明化・ モニタリング制度の向上• 顧客への提供時間の短縮• 顧客満足度の向上• 統制・リスク管理の強化

高度化効果

+ =

三つ目は業務ロジックを変更する際にはユーザーサイドにて行える点だ。通常、業務ロジックを変更するにはユーザー部門とシステム部門と連携し、システム変更および業務マニュアル変更が必要となるが、RPAの場合はユーザー部門にてAIに学習させる作業内容を変更するだけで業務ロジック変更が可能となる。つまりRPAはIT化では費用対効果が見合わないと諦めていた多くの「手作業」の自動化を可能とするのだ(図7)。

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9ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

図7 RPAはIT化の採算がとれない小規模、多種の業務の大幅な効率化を可能とする

出所: A.T. カーニー作成

IT化領域 vs RPAによる自動化領域

アクティビティ/プロセス

手作業で行った場合の業務量

IT化領域 RPAによる自動化領域

これまで費用対効果が見合わず、IT化による効率化を諦めていた領域において、RPAはまさに、「ルーティンワークからの解放」を通じて「高付加価値業務への人材資源のシフト」を可能にするという観点で、金融ビジネスのオペレーションを抜本的に変える可能性がある。更に、RPAの導入は全て内製化を前提とし、複雑なプログラミングも不要なことから、制度改正やプロセス変更に瞬時に対応できるなど、リスク管理の観点からも実用的であり、一定の複雑性を有する業務プロセスまで幅広く対応できる。

欧米の金融機関が業務のアウトソースを進める中で、国内金融機関は、グループ子会社に業務を委託するなど、実質的には業務の内製化を続けてきため、国内金融機関においてはRPAの適用範囲が広く、相性が高いと言える。A.T. カーニーの経験では、オペレーターによる情報収集・資料作成業務で、オンショア対比で80%以上、オフショア対比でも70%弱のコスト効率化を実現している(図8)。

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10ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

図8 オペレーターによる情報収集・資料作成業務ではオンショア対比で80%以上、オフショア対比でも70%弱のコスト効率化を実現

RPA導入による事務作業プロセスのランニングコスト効率化事例 (A.T. カーニークライアント事例)

出所: A.T. カーニー過去プロジェクト事例

-67%

-82%

-82%

$85k

$45k

$15k

オンショア

オペレーターによる情報収集・資料作成業務

オフショア RPA(上記ランニングコストに加え、初期投資が~$35k発生)

国内金融機関は、グループ子会社含めRPAを幅広く導入することで、グローバルで最前線なオペレーションモデルを一挙に構築することができる可能性を秘めているのだ。

RPAの導入事例と効果ここで国内外のRPA導入事例をいくつか紹介しよう。海外金融機関は既にRPA導入を開始し、30~80%と大幅な効率化と顧客提供価値の高度化を実現している。

Barclays Bankでは、2006年より、 RPA導入を開始し、融資業務、不良顧客口座の閉鎖業務等のプロセスを自動化実現。7時間要していた業務を2.5時間に短縮することで、業務プロセスコスト を30~50%削減するとともに、年間£175mの貸倒引当金の削減を実現した。

Co-operative Banking Groupは、2005年よりRPA導入を開始し、130の業務プロセスの自動化を実現。その結果、銀行間決済業務では、10分要していた業務を20秒へ短縮、また監査業務では、6~7時間要していた業務を1分へ短縮するなどし、業務プロセスコスト の実に80%の削減に成功している。

国内では、日本生命が申込み書類チェック業務、公的照会業務、年金支払対象者の住所変更業務、反社会勢力チェック業務などの複数の業務プロセスにRPAを導入することで、事務工数の大幅な削減に加え、作業品質の向上、事務事故防止を実現した。日本生命ではRPAを「ロボ美」という愛称で呼ばれており、ヒトの仕事を奪う、というよりも、ルーティンワークからの解放という観点で社員から好意的に受け止められている。

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11ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

金融機関においては、昨今のマイナス金利の影響も含め、収益確保に向け今は平時ではなく、「有事」という環境下にあり、コスト効率化のみならず、顧客への対応強化は喫緊の課題となっている。既存業務を大幅に変えず、一定水準以下の投資で、コスト効率化、顧客満足度向上、作業品質向上についての大きな効果が期待できるRPAの導入事例は今後も増加していくものと想定される(図9)。

図9 RPAは他の業務効率化ソリューションに対し、多くの面で優れている

出所: A.T. カーニー作成

各種ソリューションとRPAの比較

業務内外製 • 内製 - 人員整理の必要無し

• 外製 - 人員整理の問題が発生

• 内製 - 人員整理の必要無し

システム変更要否 • 必要 • 場合による • 不要

導入後の周辺業務への影響

• システムに合わせた変更が 必要な場合あり • 通常は発生無し • 既存プロセス継続のため

影響なし

セキュリティ品質

コスト

• 内製のため、セキュリティ 確保は容易

• 外製のため、セキュリティ 確保は相対的に困難

• 内製のため、セキュリティ 確保は容易

作業品質 • 自動のため、作業ミスの 発生無し

• 手作業のため、作業ミスが 発生

• 自動のため、作業ミスの 発生無し

初期投資 • 大規模な投資が必要 • 場合により発生 • 場合により発生、ただし 小規模

ランニング • 保守費用等、額はシステム により異なる

• 通常、内製に対し10~20% のコスト削減可能

• BPO(オフショア)の1/3、 BPO(オンショア)の1/5程度

業務スピード(顧客満足度)

• 手作業の数倍~数十倍の 処理速度 • 手作業 • 手作業の数倍~数十倍の

処理速度

• システム変更が必要となる 場合あり • 通常はBPOサイドで対応 • ユーザーサイドで変更可能

システム変更 BPO(業務アウトソーシング) RPA

業務プロセス変更への対応

優れている 場合による 劣る

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12ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

RPAを試行・実装化するには、以下の5つのポイントが重要である。

1. RPAに適したプロセスを特定する

まずは現状の業務プロセスを、複数システムにアクセスするか、ミスややり直しが多いか、規則の分解が容易か、人間の介入が限定的か、例外的取扱いが限定的か、などいくつかの視点で評価し、RPA導入による効果が大きそうな業務プロセスを見極め、優先的に施行するプロセスを特定する(図10)。

図10 RPA導入に当ってのポイント1:各業務プロセスの現状を分解、RPA適用可能性・効率化余地の両面で評価する

出所: A.T. カーニー作成

部分的該当• 企画・開発

消費者ローン

End to Endプロセス サブプロセス

口座開設・資産運用

法人融資・資金調達

住宅ローン他

ミス・やり直しが多い

現状業務時間が大

(量・時間)

複数システムに

アクセス

該当しない

判断のルール化が可能

例外的取扱いが限定的

人間の介入が限定的

規則の分解が容易

該当しない

Outputが

デジタル

部分的該当

部分的該当• 顧客コミュニケーション 部分的

該当部分的該当

該当しない

該当しない

• 審査・与信 ほぼ無し

• フォロー・回収 該当しない

該当しない

• 事務処理 部分的該当

部分的該当

部分的該当

部分的該当• 管理(IT・リスク管理等) 部分的

該当部分的該当

部分的該当

部分的該当

部分的該当• 企画・開発 該当

しない該当しない

部分的該当

部分的該当• 顧客コミュニケーション 部分的

該当部分的該当

該当しない

該当しない

• フォロー 該当しない

該当しない

• 事務処理 部分的該当

部分的該当

部分的該当

部分的該当• 管理(IT・リスク管理等) 該当

しない部分的該当

小該当有該当

大該当有

該当大該当該当該当該当該当

該当大該当該当有該当

該当大該当該当該当

小該当該当

小該当有該当

大該当有

該当大該当該当有該当

該当大該当該当該当

小該当該当部分的該当

部分的該当

• 企画開発

• ・・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・• 企画開発

• ・・・

Inputが

デジタル

効率化余地RPA適用可能性

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13ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

2. RPAの導入に伴うメリットを明確化する

メリットはなるべく具体的に、定量化することで組織内の認識を高めていくことが重要である。例えば、RPAにおいては、各プロセスの評価軸(リードタイム、作業時間、正確性)をもとに、導入前と導入後の数値を比較して改善幅の大きさを具体的に示すことが重要である(図11)。

図11 RPA導入に当ってのポイント2:RPA導入によるメリットを明確化し、組織内の認識を高めることで、導入推進を図る

RPA導入前

RPA導入によるメリットの明確化例

顧客からの手数料データを確認

請求表作成

リードタイム作業時間正確性

顧客

2時間1時間85%

1日15分95%

1時間1分

99%

4時間40分95%

1時間4時間95%

1日5分 95%

2時間5分 95%

59時間336分

68.54%

請求表を次工程へ送付

社内の請求データを追加

請求データ検証

システムに入力、審査

業者へ確認メール送付

合計

RPA導入前

顧客からの手数料データを確認

請求表作成

リードタイム作業時間正確性

2時間1時間85%

1日15分95%

1時間1分

99%

0分1分

100%

1分1分

100%

1分1分

100%

1分1分

100%

27時間27分

79.94%

請求表を次工程へ送付

RPAを導入することによるメリットを、リードタイム、作業時間、正確性などの定量指標で明確化する

社内の請求データを追加

請求データ検証

システムに入力、審査

業者へ確認メール送付

合計

顧客

出所: ESSPA、A.T. カーニー

手作業 RPA

3. 導入に必要なインフラ、ガバナンス、サポート体制を構築する

RPAの導入もIT等と同様に、一定の管理や統制が必要である。例えば、RPAはユーザー部門ですぐに自動化ロボットが作成したり廃棄したりできることから、組織全体の中で誰が作成・廃棄の権限を持つのか、モニタリングは誰が行うのか、スキル強化やルールの標準化はどうするのか、などを明確にしておく必要がある(図12)。

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14ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

図12 RPA導入に当ってのポイント3:RPAの無秩序な導入・乱立を防ぐためには、全社としてRPA活用をどのように統制するのか方針を策定しておくことが重要

RPAガバナンスモデル

特徴

課題

出所: A.T. カーニー作成

分散型

マネジメント

シェアードサービス(IT, HR, Finance)

機能1

RPA

機能2 機能3

RPA

集権型

マネジメント

シェアードサービス(IT, HR, Finance)

機能1

RPAケイパビリティ

機能2 機能3

連邦型

マネジメント

シェアードサービス(IT, HR, Finance)

機能1 機能2 RPAケイパビリティ

• ローコストで導入可能• 他の機能への影響を小さく保ちなが ら特定部門にRPAケイパビリティを 持たせることが可能

• スケーラブルではない• 社内にいくつもの様式が乱立し 収集がつかなくなる恐れあり• コンプライアンスリスクあり (社内でコピーされうる)

• 集約・標準化したプラットフォームで、 スケーラブルなRPAを比較的ロー コストで複数機能部門へ導入可能• 各機能部門が共同でRPAケイパ ビリティを管轄することが可能

• 現インフラが同様のガバナンスモデル を採用していない場合、ガバナンス モデルの構築・移行が必要

• 現インフラが同様のガバナンスモデル を採用していない場合、ガバナンス モデルの構築・移行が必要• RPAのケイパビリティ不足が各機能 に対して制約となりうる

• 集約・標準化したプラットフォームで、 スケーラブルなRPAを比較的ロー コストで複数機能部門へ導入可能• RPA専門チームが確立されている 場合に至適

4. 最適なアプローチを見極める

例えば、RPAの場合、関係部門や意思決定者を巻き込みながら進めることで、試行から実装までを6週間程度で実施し、その後、定着に向けて6週間程度のモニタリングや成果の共有を行っていく(図13)。導入する技術に関連する環境や業務内容によって、最適なプロセスを吟味して進めることが成功確率を高める上で重要である。

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15ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

図13 RPA導入に当ってのポイント4:広範な業務プロセスを自動化可能かつ、開発期間が短い、最適なアプローチを見極める。通常、診断から6週間で実装可能

典型的な実装・定着アプローチの例

出所: A.T. カーニー作成

対象プロセスの特定 定着実装

A. 診断 5. 地ならし1. スコープ 2. デザイン 3. 設計 4. テスト

1週間

関係者の合意形成

6週間1週間 1週間 2週間 2週間

• 対象となりうるペーパーレス 化されている業務プロセスと 関係部門・チームの特定• 6週間程度でRPAの実装と 効果の測定が可能な業務 プロセスを2-3程度選定• 対象候補の業務プロセスの 概要把握:ヒアリングと資料 分析による詳細プロセスと 短期間での効果の刈取り 可否の確認

• 対象プロセス のレビュー・ 摺合せ• プロセスの 管理指標・ 品質水準の 確認• RPAの技術的 なフィージ ビリティの 確認• 作業量の 見積もりと 概算効果の 見通しの把握

• 個々の プロセスの 詳細分析• 早期効果の 刈取りが可能 なプロセスの 抽出• 当該プロセス に関するRPA 実行可能性の 再確認

• 自動化した プロセスの モニタリング• 操作担当者の トレーニング• 学びの整理と さらなる プロセス改善

• ロボット構築• テスト、改善

• RPAを前提とした運用モデル (インフラ、ガバナンス、• サポート体制)を定義 RPAの導入効果の定量化• 移行に向けたステップ、 アプローチの詳細化

効果の極大化

5. 役割に応じて研修などを実施し、運営に必要なスキルを開発する

RPAの技術そのものは外部パートナーから提供されるが、日々の運用は内製化できるように、専門の担当者を育成していくことが重要である。例えば、ユーザー部門でロボット作成・廃棄ができるスキルを持つ人材を一定数確保しておくことが必要である(図14)。

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16ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

図14 RPA導入に当ってのポイント5:役割に応じた研修の実施、マニュアル作成等により、運営に必要なスキルを開発し、専門チームを中心として自走できる状態を構築

スキル開発のアプローチ

出所: A.T. カーニー作成

立ち上げ

アプローチ

• 専門チームを立ち上げて 社内ケイパビリティを構築

活動内容

• 専門チームの人材リソース を確保• 要件は–問題解決力–BPRの理解–テクノロジー親和性

観る

• 実際の操作方法を観察し、 知見を習得

実行

• 導入・操作を通じて理解を 深め、RPAの得意・不得意と 実現難易度を習得

• 専門チームによる導入の 検討と実行

ノウハウ確立

• ノウハウ確立• 実現対象範囲を拡大 できる体制の獲得

• 専門チームが社内にノウ ハウを共有・指導できる 状態を構築

• 研修を実施• RPA関係者の役割設定–研修担当–アナリスト–開発者等

RPAのポテンシャルをフルに活用するための制度構築RPAの導入はそれ自体が確実に事業の成功をもたらすわけではなく、トライ・アンド・エラーを繰り返しながらイノベーションを生み出すというR&D活動の一環と言える。しかしながら、金融機関にとってR&Dという言葉はなじみが深いとは言えず、失敗をするかもしれない前提で物事を進めることに対する制度面でのサポートは一般的に十分とは言えない。例えば、人事評価1つをとってみても、失敗は大きな減点とみられることが多い。したがって、RPAのポテンシャルをフルに活用する上で、特に推進担当者・部門のミッション、権限、評価基準を明確にすることで、ある程度の時間をかけてR&D活動が行える制度を設計することが重要である。

また、コスト削減効果を確実に刈り取るための出口戦略の策定も重要である。人件費は国内金融機関にとってもはや「聖域」ではなく、短中期の時間軸は個別の金融機関毎に、状況は異なるだろうが、RPA導入によって、より高度な業務に従事させるのか、あるいは、自然減も含めた将来の絵姿を想定した上で進めるのか、その点も併せて考え、実行していくことが重要だ。

RPAの活用は金融オペレーションに大変革をもたらす一方で、その実現に向けては、従来の企業風土や組織運営にまで踏み込んで変えていくことも必要である。また、効率化や売上向上ばかりに目が行き、従業員のスキル強化や、より高度な業務へのシフトを怠れば、短期的には結果が出たとしても、組織自体の競争力は相対的にどんどん低下していくことになってしまいかねない。次世代の金融オペレーションへの進化とは組織そのものの進化と密接にかかわっていると言えるだろう。

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17ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

A.T. カーニーのRPA導入支援A.T. カーニーでは、過去のプロジェクト経験を通じて培ってきた豊富な銀行業務の知識と大規模な業務プロセス改善の知見をもとに、RPAの診断、実装、定着をご支援している(図15)。

図15 A.T. Kearneyは、豊富な銀行業務の知識と大規模な業務プロセス改善の経験をもとに、RPAの診断、実装、定着を支援

RPAテクノロジーズ

A.T. Kearney

各RPAベンダー

出所: A.T. カーニー作成

A.T. KearneyRPA

Transformation©

• RPAソフトウェアの導入支援• ソフトウェア保守・アップデート

会社概要設立: 2013年6月代表: 大角暢之 (日本RPA協会代表)住所: 港区赤坂1-12-32 アーク森ビル13階実績: RPAソフトウェアの日本での導入 実績No.1 (日本生命、MUFG、 三井住友海上プライマリー生命、 SBIトレードウィンテック、 チューリッヒ保険、Barclays、 JPモルガン・チェース、他)

• 業務プロセスの診断・分析• 最適ベンダー選定支援• RPA導入効果の算定• 必要なインフラ、ガバナンス、サポート体制 の現状評価と対応策検討• 導入・展開に当っての経営陣・関係部門の 調整、意思決定支援• 社内RPA関係者に向けたトレーニング 実施(内製化支援)

• RPAソフトウェア提供– Kofax Kapow– blueprism– Ui Path– PARADIGM– Automation Anywhere– Fusion– Openspan– EnableSoft– NICE– Leo KRYON SYSTEMS

RPAのソリューションを提供しているベンダーは複数存在しているが、各社のソリューションには業界・業務の適合性など特徴がある。A.T. カーニーはこれまで15以上のRPAベンダーと協業した経験より、各社の特徴を熟知しており、導入企業にとってのベストの提案を行うことができる。

【A.T. カーニーのRPA Transformationの特徴】

1. これまで数多くの国内外金融機関のオペレーション改革支援に携わってきており、実行段階での「成功の肝」をおさえたプロジェクト運営ができる

2. RPAベンダーとの資本関係、フィーインセンティブはなく、中立的な立場で導入企業の経営戦略や業務オペレーションの現状課題を把握した上で、最適なRPA事業者の選定と目に見える形での成果を確実に出すことが可能

3. 導入支援パートナーとして、金融業界も含め、国内No1の導入実績を誇るRPAテクノロジーズ社との戦略的パートナーシップを締結。導入に当っての戦略策定から実行、アフターサービスまでの一貫したサポートが可能

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18ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)がもたらす金融オペレーション大革命

Author Profiles

Daisuke Yabuki矢吹 大介 (A.T. カーニー パートナー)[email protected]

慶應義塾大学法学部(法律学科)卒、シカゴ大学経営大学院卒(MBA)住友銀行(現三井住友銀行)を経て、A.T. カーニー入社。金融業界を中心に、マーケティング戦略、全社成長戦略、オペレーション・組織・機能設計における豊富な経験を有する。

主なコンサルティング経験(抜粋)• RPAを活用した業務オペレーション改革のプラン策定と実行支援• フィンテック・デジタル技術を活用した新たなリテールビジネスモデルの構築• 金融機関の全社成長戦略、海外市場への展開/M&Aの戦略策定と実行支援• 金融機関のリスクマネジメント、事業ポートフォリオ再構築、全社組織・プロセスの改革• 金融機関のリスク計量化と戦略的活用施策の立案• 金融機関の営業改革、業務改革• 金融機関のマーケティング戦略、営業スキル向上策立案、組織・機能設計、経営管理指標整備• 金融機関における間接コスト削減(計画立案・実行支援、経費管理プロセス見直し)• 金融機関のITアウトソーシング監査(適正価格の把握、交渉戦略立案、実行支援)• 大手総合商社の金融事業再構築• 大手流通系企業の金融事業戦略

その他「最強のシナリオプランニング」共著、金融財政事情、金融ジャーナルなど主要金融ビジネス誌にも執筆。金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキンググループ」、「官民ラウンドテーブル:高齢化社会と金融サービス」、金融庁「フィンテック・ベンチャー有識者会合」における講演、等

Takashi Ooshio大塩 崇 (A.T. カーニー マネージャー)[email protected]

ICT企業、保険、銀行、エレクトロニクス、商社等を中心に、IoT新規事業、デジタルソリューション事業構築、中期経営計画、Go-to-market戦略、グローバル戦略、M&A戦略、シナリオプラニングなどを支援。

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A.T.カーニーは、40ヶ国以上に拠点を有する世界有数のグローバルな経営コンサルティングファームです。1926年の創業以来、世界の有力企業・組織の信頼されるアドバイザーであり続けています。A.T.カーニーはパートナーシップ制度を採っており、顧客の最重要課題に対して短期的な成果をもたらすと共に持続的な成長を支援することをお約束します。詳しくはWebサイトをご覧下さい。www.atkearney.com

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A.T. Kearney Korea LLC は大韓民国において A.T. Kearney の名のもと業務を行っている別法人です。

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