糖尿病と内服薬 薬薬 長期間、高用量のsu薬を 使用していると……...

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糖尿病と内服薬 佐賀大学医学部 肝臓・糖尿病・内分泌内科 井上瑛 112糖尿病療養指導公開講座 201828日 佐賀大学医学部附属病院

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糖尿病と内服薬

佐賀大学医学部 肝臓・糖尿病・内分泌内科

井上瑛

第112回 糖尿病療養指導公開講座

2018年2月8日佐賀大学医学部附属病院

目次

• Introduction

•糖尿病薬のアルゴリズム

•糖尿病薬の種類

•糖尿病薬の各論

•検査や治療時の糖尿病薬の扱い

•服薬アドヒアランス

糖尿病にならないために糖尿病を悪化させないために

糖尿病

治療

薬物療法

運動療法食事療法

本日の話題はココ!

関連

関連

関連

糖尿病薬の歴史

SU薬

チアゾリジン

インスリン

ビグアナイド

1923 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2017

α-グルコシダーゼ阻害薬

グリニド薬

DPP4阻害薬

SGLT2阻害薬

GLP-1製剤

1990年頃までは糖尿病薬は3種類!

糖尿病薬一覧分類 一般名 商品名

ビグアナイド薬 メトホルミンブホルミン

メトグルコ/グリコランジベトス/ジベトンS

チアゾリジン薬 ピオグリタゾン アクトス

スルホニル尿素薬(SU薬)

グリメピリドグリクラジドグリベンクラミド

アマリールグリミクロンオイグルコン/ダオニール

グリニド薬 レパグリニドナテグリニドミチグリニド

シュアポストスターシス/ファスティックグルファスト

DPP-4阻害薬 アナグリプチンビルダグリプチンシタグリプチンアログリプチンリナグリプチンネテリグリプチンサキサグリプチントレラグリプチンオマリグリプチン

スイニーエクアジャヌビア/グラクティブネシーナトラゼンタテネリアオングリザザファテックマリゼブ

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

ミグリトールボグリボースアカルボース

セイブルベイスングルコバイ

SGLT2阻害薬 イプラグリフロジントホグリフロジンダパグリフロジンルセオグリフロジンカナグリフロジンエンパグリフロジン

スーグラアプルウェイ/デベルザフォシーガルセフィカナグルジャディアンス

糖尿病薬一覧分類 一般名 商品名

ビグアナイド薬 メトホルミンブホルミン

メトグルコ/グリコランジベトス/ジベトンS

チアゾリジン薬 ピオグリタゾン アクトス

スルホニル尿素薬(SU薬)

グリメピリドグリクラジドグリベンクラミド

アマリールグリミクロンオイグルコン/ダオニール

グリニド薬 レパグリニドナテグリニドミチグリニド

シュアポストスターシス/ファスティックグルファスト

DPP-4阻害薬 アナグリプチンビルダグリプチンシタグリプチンアログリプチンリナグリプチンネテリグリプチンサキサグリプチントレラグリプチンオマリグリプチン

スイニーエクアジャヌビア/グラクティブネシーナトラゼンタテネリアオングリザザファテックマリゼブ

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

ミグリトールボグリボースアカルボース

セイブルベイスングルコバイ

SGLT2阻害薬 イプラグリフロジントホグリフロジンダパグリフロジンルセオグリフロジンカナグリフロジンエンパグリフロジン

スーグラアプルウェイ/デベルザフォシーガルセフィカナグルジャディアンス

7系統の中から

1剤選ぶなら7通り2剤選ぶなら21通り3剤選ぶなら35通り4剤選ぶなら21通り

合計 84通り

用量の調整や注射薬との組み合わせを考えると選択肢は多様

27種類7系統

単純計算ですが……

病態にあわせた分類

きれいに並べられているけどどうやって料理したら

いいんだろう?

病態にあわせた分類きれいに並べられているけどどう処方したらいいんだろう?

血糖降下作用

高い

低い

HbA1c 9%以上

HbA1c 8%以上

HbA1c 7%以上

実際はそんな単純じゃない……

Diabetes Care 2015;38(Suppl. 1):S1-S2

Standards of Medical Care in Diabetes—2018Abridged for Primary Care ProvidersAmerican Diabetes Association

効果 低血糖 体重 薬価 副作用

メトホルミン 高い 低い 不変若干低下?

安い 消化器症状乳酸アシドーシス

SU薬 高い 高い 増加 安い 低血糖心血管疾患

チアゾリジン 高い 低い 増加 安い 浮腫心不全骨粗鬆症膀胱癌

DPP-4阻害薬 中等度 低い 不変 高い 急性膵炎?関節痛

SGLT2阻害薬 中等度 低い 低下 高い 性器感染症尿路感染症脱水

GLP-1製剤 高い 低い 低下 高い 消化器症状注射部位反応

インスリン 最も高い 高い 増加 様々 注射部位反応

表にまとめてもわかりにくい……?

糖尿病

HbA1c 血糖値

糖尿病薬の選択

これくらいシンプルならわかりやすいけど

理解度

生活歴

糖尿病

HbA1c 血糖値

糖尿病薬の選択

合併症

インスリン抵抗性

年齢 既往歴 性格

体格

インスリン分泌能

認知症

経済力

家族のサポート

実際はさまざまな患者因子を考慮しなければならないのが難しいところ

医師が糖尿病薬を選択する時に意識していること

•高血糖を是正したい。•空腹時血糖を下げたい

•食後血糖を下げたい。

•低血糖を避けたい。

•体重増加を避けたい。•肥満の患者の体重を減量したい。

•副作用のリスクを避けたい。

•臓器保護作用のある薬剤を選択したい。

•長期継続可能な服薬管理にしたい。

米国糖尿病学会(ADA)

成人2型糖尿病の血糖降下薬治療のアルゴリズム

A1cが9%未満なら単剤療法を考慮

A1cが9%以上なら2剤併用療法を考慮

A1cが10%以上、血糖値が300mg/dL以上、患者が著明な症状を呈しているなら注射薬併用療法を考慮

生活習慣管理+メトホルミン

禁忌がなければ最初にメトホルミン治療を

単剤療法3か月後に目標A1cを達成?

3~6ヵ月毎にA1cをモニタリング

服薬状況を評価2剤併用療法を検討

生活習慣管理+メトホルミン+追加薬剤

動脈硬化性心血管疾患

主要心血管イベントや心血管死の減少効果が証明された薬剤の追加

薬剤特異的な効果や患者因子を考慮した2剤目の追加

2剤療法3か月後に目標A1cを達成?

3~6ヵ月毎にA1cをモニタリング

3~6ヵ月毎にA1cをモニタリング

服薬状況を評価注射薬併用療法を検討

3剤療法3か月後に目標A1cを達成?

生活習慣管理+メトホルミン+2剤追加薬剤

服薬状況を評価注射薬併用療法を検討

薬剤特性と患者因子に基づいて3剤目を追加

糖尿病内服薬の導入

•禁忌がなければ第一選択はメトホルミン

•第2選択、第3選択薬の制約は特になしSU薬、チアゾリジン、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリン

•心血管疾患リスクが高い患者は予防効果のある薬剤を選択する。

治療薬の選択で考慮する因子① 血糖降下作用の程度 ② 低血糖リスク③ 体重増加/減少効果 ④ 副作用⑤ コスト

絶対的な正解はありませんが……

糖尿病では何が起こっている?

インスリンが出にくくなる

(インスリン分泌能の低下)

• 遺伝

• すい臓の疲弊

• 加齢に伴う生理機能低下

インスリンが効きにくい

(インスリン抵抗性の増大)

• 肥満

• 高脂肪食

• 運動不足

• 炎症・ストレス

• 加齢

高血糖

糖尿病では何が起こっている?

インスリンが出にくくなる

(インスリン分泌能の低下)

• 遺伝

• すい臓の疲弊

• 加齢に伴う生理機能低下

インスリンが効きにくい

(インスリン抵抗性の増大)

• 肥満

• 高脂肪食

• 運動不足

• 炎症・ストレス

• 加齢

インスリン分泌能を改善する

インスリン抵抗性を改善する

糖の吸収や排泄を調整する

この薬を飲んでいるということは……

この人は糖尿病なのね

経口血糖降下薬

この薬を飲んでいるということは……

●●に注意しなきゃ!

経口血糖降下薬

• 患者さんの糖尿病の特徴がわかる• 主治医がどういう意図をもって処方しているかわかる

• 薬剤に応じた療養指導のしかたがわかる!

糖尿病薬の処方内容をみれば……

• 患者さんにとって危ない処方「こんな処方を続けてて大丈夫なの?」

糖尿病薬の内容をみれば……

経口糖尿病薬の解説~各論~•ビグアナイド薬

•スルホニルウレア薬(SU薬)

•チアゾリジン薬

• α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

•グリニド薬

• DPP-4阻害薬

• SGLT2阻害薬

丸暗記せず、薬の作用機序がわかればおのずと指導の仕方が見えてきます!

ビグアナイド薬(メトホルミン)

乳酸・アミノ酸・脂肪

糖糖 糖糖 糖

糖新生

血糖降下

ビグアナイド薬(メトホルミン)

糖糖 糖

糖 糖糖糖血管

脂肪 筋肉

インスリン

インスリン抵抗性を改善させる

ビグアナイド薬(メトホルミン)

<特徴>

•糖新生を抑制する。

•筋肉や脂肪組織のブドウ糖の取り込みを高める。

•低血糖を起こしにくい。

•安価

•体重増加を来さない。

•非肥満者でも肥満者と同様の血糖降下作用あり。

米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病連合(EASD)の共同声明ではメトホルミンを第一選択薬と位置付けている。

ビグアナイド薬(メトホルミン)

<注意点>•複数回内服が必要(朝夕、あるいは毎食)

•消化器症状•用量依存性に頻度や症状の程度は増加する。導入時は500 ㎎ (→ 750㎎) → 1000㎎ → 1500 ㎎と漸増すると症状緩和できる

•乳酸アシドーシス

ビグアナイド薬(メトホルミン)<注意点>

•乳酸アシドーシス• きわめて稀(10万患者・年あたり約3件)だが死に至る事例もあるため、適応に注意が必要。

ビグアナイド薬の適正使用に関するRecommendation

【乳酸アシドーシスが多く認められた特徴】①透析を含む腎機能障害(eGFR <30 mL/min/1.73m2では禁忌)

②脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取など、患者への注意・指導が必要な状態

③心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害④高齢者

メトホルミン

• 飲み始めや増量後の消化器症状は大丈夫?• メトホルミンを内服してよい全身状態?

腎機能障害、肝機能障害、心不全高齢者、脱水、アルコール多飲

スルホニルウレア薬(SU薬)

すい臓

インスリン

分泌

SU薬

分泌

血糖降下

SU薬

膵臓

※ イメージ図

分泌

スルホニルウレア薬(SU薬)

すい臓

インスリン

SU薬SU薬 長期間、高用量のSU薬を使用していると……

二次無効

スルホニルウレア薬(SU薬)

すい臓

インスリン

分泌

SU薬

分泌

低血糖

スルホニルウレア薬(SU薬)

SU薬

低血糖空腹感による食べすぎ

血糖コントロール増悪

SU薬増量

負のスパイラル

SU薬で治療中の糖尿病患者には注意!

厳格な血糖コントロールで大血管イベントを抑制できるか?

•ある程度進行した2型糖尿病を対象とした従来療法群 VS強化療法群の大規模臨床試験(ACCORD試験、ADVANCE試験、VADT試験)

•強化療法群において (ACCORD試験とVADT試験)

心血管イベントは減少したが有意差なし

むしろ重症低血糖や体重増加が著明死亡率も増加

BMJ 2013;347:f4533

重症低血糖と心血管イベントリスクは関連している

SU薬で治療中の糖尿病患者に注意

• SU薬を用いて血糖コントロール不良→ 他の内服薬やインスリン療法導入の検討を

• SU薬を用いて血糖コントロール良好(すぎる)→ SU薬の減量 や 他の薬剤への変更の検討を

•壮年期には問題がなかった症例も高齢化により低血糖が顕在化する可能性も!

• 体重増加を来しやすい• 低血糖リスクが高い• 低血糖による心血管病リスクを増大させる可能性

SU薬

• 低血糖に注意!低血糖症状を聴取する!(無自覚低血糖も多い)

• 体重が増えていないか注意!(低血糖→空腹感→過食→体重増加)「お腹が空いて困っていませんか?」

• 高齢者や腎機能障害のある患者にはリスキー

チアゾリジン薬(ピオグリタゾン)

• 脂肪細胞が産生するさまざまな生理活性物質はアディポカイン(アディポサイトカイン)と呼ばれる。

• 小型脂肪細胞は善玉のアディポカインを産生する→インスリン感受性に働く

• 大型脂肪細胞はシュシュの悪玉のアディポカイン(遊離脂肪酸、レジスチン、TNFα等)を産生する→インスリン抵抗性を誘導する

他にも慢性炎症の改善や脂肪の再分布などの効果でインスリン抵抗性を改善する

チアゾリジン薬

チアゾリジン薬(ピオグリタゾン)

大型脂肪細胞 小型脂肪細胞

※イメージ図

チアゾリジン薬(ピオグリタゾン)

<特徴>

• 大型脂肪細胞を細分化してインスリン抵抗性を改善させる。→大型脂肪細胞が多い肥満患者に良い適応

• 低血糖のリスクは少ない。

<血糖を下げる以外の効果として>

• 脂質改善効果(PRACTICAL試験)

• 動脈硬化の進行を抑える(CHICAGO試験、PERISCOPE試験)

• 心血管イベントや脳卒中の二次予防(PROactive試験)

食事・運動療法が守れていないと……

チアゾリジン薬

チアゾリジン薬(ピオグリタゾン)

<注意点>

•体重増加(皮下脂肪へのエネルギー貯蓄)

•浮腫(腎作用によるナトリウム貯留)

→心不全を悪化させる可能性あり

•骨粗鬆症→骨折のリスク増大(特に女性)

•膀胱癌のリスクの可能性??

リスクの高い患者(心不全、冠動脈疾患、浮腫の病歴、高血圧、左室肥大、弁膜症、高齢、女性等)では控える、あるいは低用量から(7.5mg~15mg)

チアゾリジン薬

• 飲み始めてからの体重増加に注意!• 身体がむくんでいないか?• 心不全の既往はないか?• 女性なら骨粗鬆症は大丈夫?• 膀胱癌の既往はない?

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

糖糖糖

糖糖

糖糖

糖糖

糖糖

糖糖

糖糖

多糖類 二糖類 単糖類

唾液腺膵アミラーゼ

小腸上皮細胞のα-グルコシダーゼ 吸収

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

糖糖糖

糖糖

糖糖

糖糖

糖糖

糖糖

糖糖

唾液腺膵アミラーゼ

吸収

多糖類 二糖類 単糖類食後の血糖の上昇が穏やかとなる

小腸上皮細胞のα-グルコシダーゼ

阻害

※ イメージ図α-グルコシダーゼ阻害薬

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)

<特徴>

•食後の血糖上昇をなだらかにする。

•低血糖リスクは少ない。

<注意点>

•食事の直前に内服する。

•比較的多い副作用は消化器症状(腹部膨満感、放屁増加、下痢など)

•腸管ガス増加で腸閉塞を発症するリスクあり

•稀に重篤な肝障害

•低血糖時には果糖やショ糖(砂糖)ではなくブドウ糖を服用する必要がある。

α-GI

• 飲み始めて消化器症状が出てきていないか?• 腹部手術歴がないか?(腸閉塞のリスク)• 食事の直前に飲めているか?• 低血糖時にはブドウ糖を服用することを知っているか?持ち歩いているか?

すい臓

インスリン

分泌

グリニド薬

グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬)

•作用機序はSU薬と似ており、インスリン分泌を促進する。

•作用時間が短いため低血糖リスクはSU薬より少ない。

グリニド薬(速効型インスリン分泌促進薬)

<特徴>

•短い時間でインスリン分泌を促して食後高血糖を改善させる

<注意点>

• SU薬ほどではないが低血糖に注意

•食事の直前に服用する。

•ベースのインスリン分泌能が低下している患者では効果が減弱する。

• SU薬とは併用できない(作用機序が被るため)

グリニド薬

• 低血糖、低血糖症状に注意!• 食事に合わせて直前に内服しているか?(飲み忘れたから食事の後に飲んでいたなど)

DPP-4阻害薬

インクレチン(GLP-1, GIP)

すい臓 • 血糖が高いときだけインスリン分泌を促進

• β細胞生殖• グルカゴン抑制

胃 • 排泄遅延

脳• 食欲抑制

etc…

DPP-4不活化

DPP-4阻害薬

インクレチン

すい臓 • 血糖が高いときだけインスリン分泌を促進

• β細胞生殖• グルカゴン抑制

胃 • 排泄遅延

脳• 食欲抑制

etc…

DPP-4不活化

DPP-4阻害薬<特徴>

•食後高血糖に有効。

•低血糖リスクが少ない(血糖依存的に作用)。

•重篤な副作用が少ない。• 高齢者や肝・腎機能低下がある患者にも比較的安全

•週1回の内服薬がある(ザファテック®、マリゼブ®)

<注意点>

•薬価が高め

•腎機能や肝機能によって減量あるいは中止が必要な場合がある。

• GLP-1製剤と併用しない(作用機序が被るから)

•膵炎のリスク?

DPP-4阻害薬と腎機能・肝機能

腎機能障害や肝機能障害によって用量調整が必要なものや禁忌があるため注意!

SGLT2阻害薬腎臓

糸球体近位曲尿細管

糖糖

糖糖

Na

Na

Na

Na

血管

SGLT2

SGLT2

SGLT2

GLUT2

GLUT2

GLUT2

糖は再吸収されて通常は尿糖は排泄されない。

糖糖

糖糖

SGLT2阻害薬腎臓

糸球体近位曲尿細管

糖糖

糖糖

Na

Na

Na

Na

血管

SGLT2

SGLT2

SGLT2

GLUT2

GLUT2

GLUT2

尿排泄

SGLT2阻害薬

SGLT2を阻害すると尿糖排泄が促進する

血糖降下

SGLT2阻害薬の多面的効果尿糖排泄↑

エネルギー喪失

高インスリン血症↓糖毒性 尿量↑

尿細管糸球体フィードバック

RAS↓

内臓脂肪↓脂肪肝↓

インスリン感受性↑β細胞機能↑

血圧↓

HDL-Cho↓TG↓ UA↓

血糖↓

SGLT2阻害薬の多面的効果

EMPA-REG OUTCOME試験(エンパグリフロジン、ジャディアンス®)

CANVAS試験(カナグリフロジン、カナグル®)

•心血管イベントリスクが低下した。(心血管既往のある患者の二次予防にも効く)

•腎イベントリスクが低下した。(腎疾患の進行を抑制する)

• (CANVAS試験では)足病変ハイリスク患者では下肢切断リスク上昇?

ざっくり説明すると

SGLT2阻害薬は血糖降下作用だけでなく、動脈硬化や糖尿病性腎症の発症・進行を予防する効果がある!

SGLT2阻害薬

<特徴>

•食前血糖も食後血糖も下げる。

•低血糖になりにくい。

•体重が減少する(肥満患者によい適応)。

•血糖を下げるだけでなく、多面的な効果が期待されている。心保護作用・腎保護作用

SGLT2阻害薬<注意点>

•開始から数日間は尿量が増える。(十分な飲水ができないような全身状態が悪い患者にはむいていない)

→その後は尿量は落ち着くため飲水励行は最初のみ

•尿ケトン体が陽性になる(正常反応)。(全身状態からケトアシドーシスと鑑別しましょう)

•腎機能が低下していると血糖降下作用が減弱する。(eGFR >50 mL/min/1.73m2と腎機能が保たれているうちに薬剤を導入したい)

•尿路感染症や性器感染症のリスクが高い。(尿路感染の既往や泌尿器系リスクがある患者には注意)

•やせ型の患者、インスリン分泌能の低下、極端な食事制限をしている患者には向いていない。(サルコペニアやケトアシドーシスのリスク)

SGLT2阻害薬

• 飲み始めに脱水に陥っていないか注意(数日間は尿量が増えることを事前に説明)

• 尿路感染症/性器感染症になっていないか。(陰部は清潔にしているか)

• 体重の減り具合はどうか?(体重が減ると治療のモチベーションになる)

低血糖になりやすい組み合わせ

SU薬

SU薬

DPP-4阻害薬

SGLT2阻害薬

単剤なら低血糖リスクが少ない薬剤もSU薬との組み合わせで低血糖を起こしやすくなる!

検査や治療のときは糖尿病の内服薬はどうしたらいいの?

検査や治療で絶食になるとき

選択肢は大きく2つ

①スキップする(内服しない)

②朝の分を昼に内服する(昼から食事を再開するなら)

検査や治療で絶食になるとき

①スキップする(内服しない)メトホルミン、チアゾリジン薬、SU薬、グリニド薬、α-GI、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬

②朝の分を昼に内服するメトホルミン、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、(SU薬)

迷ったらスキップ

手術をひかえているときは

•手術当日は糖尿病薬は飲まない!

•手術の前後48時間はメトホルミン内服禁止(乳酸アシドーシスのリスクがあるから)※局所麻酔で絶食不要な低侵襲の手術なら継続可

•術後の食事摂取状況みながら糖尿病薬の再開を忘れないように。

ヨード造影剤とビグアナイド薬

•造影CT検査や尿路造影検査に使用するヨード造影剤とビグアナイド薬(メトホルミン等)の併用は、特に腎機能低下例で乳酸アシドーシスのリスクがあるため併用注意。

•前後検査の休薬については添付文書、各ガイドライン、施設等によって異なる(前後48時間の休薬)。

• 4日間の休薬は患者の負担になる可能性も……

•当院(佐賀大学医学部附属病院)での取り決め:☑ eGFR 45以上の場合、ビグアナイド薬の休薬は不要☑ 30 < eGFR < 45の場合、ヨード造影剤使用後48時間の休薬

と適宜腎機能のフォロー☑ eGFRが30以下の場合、原則としてヨード造影剤使用不可

検査や治療のときの糖尿病薬に注意!あやしいと思ったら主治医に確認を!

経口血糖降下薬の併用数の変遷

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2011年

2008年

2005年

2002年

JDDM32

1剤 2剤 3剤 4剤

52.8%

35.9%

35.4%

33.3%

11.4%

24.8%

0.4%

5.9%

単剤療法の割合は減ってきており、3剤併用の割合が増えてきている。

J Diabetes Invest 2014; 5: 581-587

4剤併用していいの?

いちおうOK

ただし、病院や地域、処方内容によっては4剤併用は査定で切られる可能性も……?

糖尿病患者の服薬アドヒアランス

•糖尿病治療の目的には動脈硬化進展抑制もある。

糖尿病といっしょに動脈硬化の進展リスクである高血圧や脂質異常症も同時に治療することが多い

服薬錠数が多くなる!<糖尿病薬・降圧薬・脂質異常症改善薬>

•呼吸器疾患、糖尿病、睡眠薬はアドヒアランスが最も低い(メタアナライシス) Med Care. 2004 Mar;42(3):200-9

糖尿病患者の服薬アドヒアランス

•糖尿病患者は自覚症状が乏しい。

•多剤併用の治療が多い。

•合併症治療薬を処方される。

•食前の薬がある。

服薬アドヒアランスは低下しがち!ちなみに、日本の飲み残し薬剤費は年間約500億円とも……

経口薬のみで治療中の、働く2型糖尿病患者さんに対する意識調査

【調査概要】

調査目的:働きながら2型糖尿病治療を続ける患者の現状と治療の課題を明らかにする

調査対象:複数の経口薬のみで糖尿病治療をしている40~59歳のフルタイム勤務の2型糖尿病患者

患者背景:

男性 女性 合計

374名 16名 390名

40代 50代 合計

141名 249名 390名

1日1回 1日2回 1日3回以上 合計

49名 150名 191名 390名

性別 年齢

1日の服薬回数

※服薬回数=糖尿病治療において処方されたすべての薬を1日に飲む回数※朝食前と朝食後に服薬の場合2回とカウント、朝食後にまとめて服薬の場合は1回とカウント

※イーライリリー株式会社プレスリリース 2015年08月25日より引用

• 二人に一人はきちんと内服できていない。• 1日の服薬回数が多い患者ほどきちんと内服できていない。

※イーライリリー株式会社プレスリリース 2015年08月25日より引用

•指示通り服薬できないタイミングで最も多いのは「平日の夕食後」

※イーライリリー株式会社プレスリリース 2015年08月25日より引用

Q.飲めない理由は?

外出先に持っていき忘れる人は生活スタイルによって様々なタイミングで服薬できていない。

※イーライリリー株式会社プレスリリース 2015年08月25日より引用

生活状況にあった糖尿病治療を相談したことがある患者の割合

• 生活スタイルにあった治療を医者に相談したことがある患者は4割弱

• 1日の服薬回数が多いほど相談していない。※イーライリリー株式会社プレスリリース 2015年08月25日より引用

医師に相談しない理由は?

• 「服薬量や回数が多いのは仕方がない」とあきらめている患者が最も多い

※イーライリリー株式会社プレスリリース 2015年08月25日より引用

働きながら糖尿病治療を続けるポイントは何だと思いますか?

① 効果が実感できる薬② 外出中の服薬が不要③ 少ない服薬回数

※イーライリリー株式会社プレスリリース 2015年08月25日より引用

2型糖尿病患者の残薬に対する調査

※糖尿病リソースガイド 2017年11月27日より引用

•医師に残薬があることを申告していない患者の割合は「34.7 %」

•残薬が生じる患者の傾向として①楽観的志向:「自分は軽症で服薬管理は難しくない」

②治療あきらめ志向:「多忙だから服薬管理は難しい」

服薬回数が増えるのはデメリットだけ……??

糖尿病患者の食事療法と服薬回数に関する意識調査レポート

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

<調査概要>• 2型糖尿病と診断され、現在薬物療法を実施している患者さん(インスリン治療およびGLP-1治療実施中の患者は除外)を対象とした(n = 1,495)。

• インターネット調査(2012年7月20日~24日)• 1日の服薬回数は「糖尿病薬の服薬回数」のみを考慮して「糖尿病治療薬」の一日当たりの服薬回数の最大値によって、対象者を3つにグルーピングした。※ただし、1日1回の薬剤を3回服用しているサンプルについては除外し、1日2回や3回の薬剤を1回しか服薬していないサンプルは「1日1回」グループに分類した。

患者背景

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

1日3回に服薬回数が変更になって気にならない患者は26.1%

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

1日3回になっても気にならない理由は?

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

①②

① 1日3回服薬が習慣になれば問題ない②なるべく医師の指示に従いたい③食事ごとに血糖が高くなるのを抑えたい

調査対象の糖尿病患者に「食後高血糖改善薬」の特性を紹介した後の1日3回服薬・食事に対する調査結果

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

「食後高血糖改善薬」の特性が伝わると、1日3回服薬することに対する“負担に感じない”は52.2%

75.1%

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

「食後高血糖改善薬」の特性が伝わると、1日3回服薬することで食事療法に対する意識が“向上する”は54.4%

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

1年以内に1日1~2回から1日3回服薬に変更した患者62名の食事に対する意識調査(食直前薬の服薬有無別に解析)

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

1年以内に1日1~2回から1日3回服薬に変更した患者62名の食事に対する意識調査(食直前薬の服薬有無別に解析)

• 朝食は抜かずに、なるべく毎日とるようになった• 規則正しく、なるべく同じ時間帯に食べるようになった• 食事以外の間食はしないようになった• 炭水化物の摂取量を少なめにするようになった• 清涼飲料水やジュース類はなるべくとらないようになった• 精白米や食パン、うどんよりも、玄米や雑穀パンを選ぶようになった• よく噛んで食べるように心がけるようになった• ご飯などの炭水化物を最後にとるようになった。

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

1年以内に1日1~2回から1日3回服薬に変更した患者62名の食事に対する意識調査

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

1日3回食事ごとに服薬することの意義

•治療への意識は向上し、食習慣・食行動に対して好影響を及ぼしていることが示唆された。

•食直前薬の服用者では、食後の血糖上昇を抑えるための食習慣・食行動への意識が高い傾向がみられた。

•糖尿病治療の基本である食事療法の改善にもつながるという好循環が期待できる。

弘世貴久:新薬と臨床61(11), 2364-2390, 2012

糖尿病・高血圧症薬の服薬アドヒアランスに対する患者さんと医師の理解のギャップ

Curr Med Res Opin. 2016 Sep; 32(9):1539-45.

糖尿病・高血圧症薬の服薬アドヒアランスに対する患者さんと医師の理解のギャップ

Curr Med Res Opin. 2016 Sep; 32(9):1539-45.

•患者は医師が思っているほど医師から服薬遵守や残薬削減にむけた指導を受けているとは感じていない。

服薬アドヒアランス向上の工夫

•残薬の確認

ちゃんと飲めていますか?

飲めてるよ

服薬アドヒアランス向上の工夫

•残薬の確認

どのくらい残っていますか?

夕方だけ余ってるよ

5日分余ってるよ

服薬アドヒアランス向上の工夫

•残薬の確認

どうして余ったんでしょう?

お腹が張る感じがして飲みたくなくなった。

外出先にもっていくのを忘れて……

おかしいな、なんで余っているんだろう?

服薬アドヒアランス向上の工夫

•残薬の確認

どうして余ったんでしょう?

外出先にもっていくのを忘れて……

おかしいな、なんで余っているんだろう?

残薬確認から飲み忘れ状況だけでなく、患者とのコミュニケーションにもなり、患者背景や問題点が見えてくることも。

お腹が張る感じがして飲みたくなくなった。

服薬アドヒアランス向上の工夫•内服薬剤数を減らす

•服薬回数を減らす

•一包化する

•配薬カレンダーを利用する

•社会資源を利用する(家族のサポート、訪問看護など)

糖尿病薬の配合錠配合錠 一般名 商品名

メタクト配合錠LDメタクト配合錠HD

ピオグリタゾン/メトホルミン

アクトスメトグルコ

ソニアス配合錠LDソニアス配合錠HD

ピオグリタゾン/グリメピリド

アクトスアマリール

リオベル配合錠LDリオベル配合錠HD

アログリプチン/ピオグリタゾン

ネシーナアクトス

グルベス配合錠 ミチグリニド/ボグリボース

グルファストベイスン

エクメット配合錠LDエクメット配合錠HD

ビルダグリプチン/メトホルミン

エクアメトグルコ

イニシンク配合錠 アログリプチン/メトホルミン

ネシーナメトグルコ

カナリア配合錠 テネリグリプチン/カナグリフロジン

テネリアカナグル

配合錠のメリット・デメリット<メリット>

•錠数を減らすことができる。

•飲み忘れを防ぐことができる。2錠(あるいは3錠)の薬が配合錠1錠で済む

•多剤より配合錠の方が薬価が安くなる。

<デメリット>

•副作用が発生したときに原因成分がわかりにくい。

•細かい用量調整が難しい。

•慣れていないと糖尿病薬と気づきにくい。例)配合錠にメトホルミンが含まれていたのに

ヨード造影剤使用前に中止しそこねた

糖尿病患者において配合錠の導入で服薬アドヒアランスは向上するClin Ther. 2002 Mar;24(3):460-7

服薬回数を減らす

【内服薬】

• ニフェジピンCR 20㎎ 2錠2×朝夕食後(降圧薬)

• カンデサルタン 8㎎ 1錠1×朝食後(降圧薬)

• ピタバスタチン 2㎎ 1錠1×朝食後(脂質異常症改善薬)

• ランソプラゾール 15㎎ 1錠1×朝食後(抗潰瘍薬)

• リナグリプチン 5㎎ 1錠1×朝食後(DPP-4阻害薬)

• レパグリニド 0.5㎎ 3錠3×毎食直前(グリニド薬)

• ミグリトール 50㎎ 3錠3×毎食直前(α-GI)

12錠を5回に分けて内服

服薬回数を減らす

【内服薬】

• ニフェジピンCR 20㎎ 2錠2×朝夕食直前(降圧薬)

• カンデサルタン 8㎎ 1錠1×朝食直前(降圧薬)

• ピタバスタチン 2㎎ 1錠1×朝食直前(脂質異常症改善薬)

• ランソプラゾール 15㎎ 1錠1×朝食直前(抗潰瘍薬)

• リナグリプチン 5㎎ 1錠1×朝食直前(DPP-4阻害薬)

• レパグリニド 0.5㎎ 3錠3×毎食直前(グリニド薬)

• ミグリトール 50㎎ 3錠3×毎食直前(α-GI)

12錠を3回に分けて内服さらに一包化

一包化のメリット・デメリット

<メリット>

•飲み間違いや紛失を防げる。

•薬をシートから取り出す手間を省ける。

<デメリット>

•薬の判別が難しくなる。

•薬の変更や追加があると調整が必要。

•長期保管はできない。

•一部の吸湿性のある薬剤は一包化できない。

症例:62歳、男性

ノボラピッド®(6-6-6)、ランタス®眠前12単位シタグリプチン(DPP-4阻害薬)50㎎ 1錠1×朝食後

ビクトーザ®朝食前0.9㎎、ランタス®眠前12単位ミグリトール(α-GI)0.3㎎3錠3×毎食直前、アムロジピン2.5㎎ 1錠1×朝食後、アトルバスタチン10㎎ 1T1×朝食後

服薬アドヒアランス不良治療を自己中断

1年半前に血糖コントロール悪化のため教育入院

ビクトーザ®朝食前0.9㎎、ランタス®朝食前12単位ミグリトール(α-GI)0.3㎎3錠3×毎食直前、アムロジピン2.5㎎ 1錠1×朝食直前、アトルバスタチン10㎎ 1T1×朝食直前

服薬アドヒアランス不良、血糖コントロール悪化、糖尿病性腎症悪化のため教育入院

3年前

服薬アドヒアランス考慮し薬剤調整

症例:62歳、男性

ノボラピッド®(6-6-6)、ランタス®眠前12単位シタグリプチン(DPP-4阻害薬)50㎎ 1錠1×朝食後

ビクトーザ®朝食前0.9㎎、ランタス®眠前12単位ミグリトール(α-GI)0.3㎎3錠3×毎食直前、アムロジピン2.5㎎ 1錠1×朝食後、アトルバスタチン10㎎ 1T1×朝食後

服薬アドヒアランス不良治療を自己中断

1年半前に血糖コントロール悪化のため教育入院

ビクトーザ®朝食前0.9㎎、ランタス®朝食前12単位ミグリトール(α-GI)0.3㎎3錠3×毎食直前、アムロジピン2.5㎎ 1錠1×朝食直前、アトルバスタチン10㎎ 1T1×朝食直前

服薬アドヒアランス不良、血糖コントロール悪化、糖尿病性腎症悪化のため教育入院

ビクトーザ®朝食前0.9㎎、ランタス®朝食前8単位、カナグリフロジン(SGLT2阻害薬)100㎎ 1錠1×朝食直前アムロジピン2.5㎎ 1錠1×朝食直前、カンデサルタン4㎎ 1錠1×朝食直前、アトルバスタチン10㎎ 1T1×朝食直前

3年前

服薬アドヒアランス考慮し薬剤調整

下記を期待してSGLT2阻害薬を追加:① 血糖降下作用② 腎保護作用③ 服薬アドヒアランス向上

まとめ

•経口血糖降下薬には7系統あり。

•それぞれの作用機序を知って特徴を学ぶ。

•内服薬によって療養指導のポイントが変わる。

•服薬アドヒアランスの向上のため• 必要性を説明する

• 残薬を確認する

• 薬剤数を減らす

• 服薬回数を減らす

• 一包化する

• 配薬カレンダーを利用する

• 社会資源を利用する