豚丹毒( swine erysipelas ) 人獣共通
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豚丹毒( swine erysipelas ) 人獣共通. 対象 家畜 : 豚 、いのしし 原因菌 : 丹毒 菌 Erysipelothrix rhusiopathiae は、グラム陽性 の短桿 菌で、非運動性、無芽胞性、非抗酸性を示す。 自然界 に広く分布して おり 、 陸棲、水棲 哺乳類および鳥類に感染する。 - PowerPoint PPT PresentationTRANSCRIPT
豚丹毒( swine erysipelas ) 人獣共通対象家畜: 豚、いのしし原因菌: 丹毒菌 Erysipelothrix rhusiopathiae は、グラム
陽性の短桿菌で、非運動性、無芽胞性、非抗酸性を示す。自然界に広く分布しており、陸棲、水棲哺乳類および鳥類に感染する。
疫学: 陸棲、水棲哺乳類、鳥類の感染症で、世界中で発生が見られる。産業的にはブタでの被害が最も多く、外見上健康なブタの扁桃から約 20 ~ 50 %の高率で分離される。経口感染が主であるが、創傷感染もおこり得る。ブタでは扁桃や消化管に存在する菌が、高温、多湿、輸送などのストレスをきっかけとして血管系に入り、発症する。
臨床: 急性型である敗血症型および蕁麻疹型、慢性型である関節炎型および心内膜炎型に分けられる。敗血症型は、 40℃ 以上の高熱が突発し、 1 ~ 2 日の経過で急死する。蕁麻疹型は菱形疹と呼ばれる特徴的な皮膚病変を示し、慢性型の関節炎型は疼痛や跛行が認められ、心内膜炎型は臨床的に異常を認めることはほとんどない。
心内膜炎型 関節炎型
蕁麻疹型
重度のチアノーゼを示した急性敗血症 背部、臀部などに菱形疹(バラ状疹)
心臓弁膜に細菌塊(イボ) 関節の腫大,絨毛の増勢
敗血症型
食肉センターで発見さ
れ、全部廃棄処分され
る
予防・治療: 予防には、生ワクチン( 1a 型弱毒株)、不活化ワクチンが用いられている。生菌ワクチンは優れた免疫効果と安全性を備えており、移行抗体や抗生物質などの影響がなければ約 6 ヵ月間免疫が持続する。一方、不活化ワクチンは、免疫持続期間は短く、移行抗体や抗生物質の影響を受けない。治療には、ペニシリン系抗生物質が極めて有効である。
ヒトにおける豚丹毒菌による感染症は、連鎖球菌による丹毒と区別するため、類丹毒と呼ばれる。
職業上、魚類、甲殻類、家禽または食肉を扱うヒトに発生する。 3 つの型の病型があり、侵入門部位に腫脹と皮膚発赤を認める軽症型、発熱を伴うことのあるびまん型、および心内膜炎を伴うまれな全身感染症がある。
人畜共通感染症であることから、食肉センターで豚丹毒と確認された豚は「全部廃棄」となる。
農場
食肉センター
過去における豚丹毒の発生状況
バラ状疹
関節炎型
近年における豚丹毒の発生状況
70
60
50
40
30
20
10
0
頭数/ 10 万頭
1970 1974 1979
罹患率
0
5
10
15
20
25
88 90 92 94 96 98
2000 2
頭数/ 10 万頭
罹患率
かつては「蕁麻疹型」や「敗血症型」の発生が多く、農場段階で淘汰されていた。ワクチンの普及などにより発生頭数が減ってくると、 それらの病型に代って、「心内膜炎型」や「関節
炎型」が半数以上を占めるようになった。すなわち、農場で見過ごされていたものが食肉センターで摘発されることになり、しかも全部廃棄処分にされることから、農家にとっては不意打ちを食らうことになる。
726 2,775717 2,089878 2,177961 2,260836 1,692822 1,479
201220112010200920082007
戸数 頭数
豚丹毒が豚の疾病全体に占める比重を米国の事例でみると、繁殖用雌では低いものの、子豚や繁殖用雄では処分頭数の 4 ~ 6 %を占めている。一つの疾病が占める割合としては、決して低くない。「農場 ACCP 」先進国においても、豚丹毒の制御は容易ではないことを示している。
国内の豚丹毒はこれ以上減りそうにない。その一方で、分離菌が生ワクチン株に類似しているとの指摘がある。その対策として、母豚群を生ワクチンでしっかり免疫するとともに、仔豚に対していは移行抗体を見計らって不活化ワクチンを接種することが試みられている。
トキソプラズマ病( toxoplasmosis ) 人獣共通 対象家畜: めん羊、山羊、豚、いのしし原因: トキソプラズマ・ゴンディ( Toxoplasma gondii )
と呼ばれる原虫。終宿主(ネコ科)
消化管寄生
中間宿主筋肉内寄生
シスト(嚢子)無性生殖
砂場飲用水
食品汚染
一般健康人は発病しない。
妊婦および免疫低下者のみ
捕食
捕食 感染豚由来の豚肉
有性生殖オーシスト(虫
卵)糞便
ブタにおけるトキソプラズマ症の発生推移
発生率
一戸当り飼養頭数
0
500
1000
1500
2000
2500
82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97
250
500
750発生率(豚飼養1千万頭当り)
0
頭数
養豚業が専業化、大規模化し、衛生管理技術が向上したことにより、豚の感染は激減した。
猫を飼わない。野良猫を近づけない
飼料の汚染(ネズミの死体)
耳翼の暗赤色(うっ血)と目やに
臨床: 2 ~ 4 カ月齢の子豚がかかりやすく、しばしば集団発生する。感染してから数日後に発熱がみられ、7~ 10 日間持続する。この間に下痢や発咳がみられ、呼吸困難、すなわち腹式呼吸が次第に明瞭となり、歩行の不安定、犬座姿勢などの症状がみられるようになる。やがて耳翼、鼻端、下肢、下腹部などに赤紫斑がみられ、ついには起立不能となって死亡する。
予防: 猫の豚舎・豚房への出入りの防止を図ることが最も有効な予防法である。オーシストには一般の消毒薬はほとんど無効なので、豚舎は熱湯やスチームによる加熱消毒を行う必要がある。汚染飼料は 焼却する。
トキソプラズマと CMVの母子感染,「医療者は正しい指導を」
患者 会が日本小児感染症学会で訴え [2013 年 10 月 29 日 ]先天性感染症に悩む患者や 家族でつくる「トーチの会」は,第45回日本小児感染症学会( 10 月 26 ~ 27 日,札幌市)のシンポジウム「母子感染~それぞれの立場から見えてくる問題点」で先天性感染症について「医療関係者は正しく理解した上で患者を 指導してほしい」と呼びかけた。
1985 年に行われた全国調査で先天性トキソプラズマ症が「極めてまれなケース」と指摘されたことから,長らく重要視されてこなかった。歯科医でトーチの会代表の渡邊智美氏は,妊娠中にトキソプラズマ症を来した体験を交えながら母子感染症対策の問題点を説明した。
妊娠 30週ごろに近医で受けた妊婦健診で胎児の両側脳室拡大が認められたが,健診時のスクリーニング項目にトキソプラズマ抗体はなく,原因が特定されないまま周産期医療センターへ転院となった。そこで行われた妊娠 36週目の血液検査で,胎児の先天性トキソプラズマ感染症が判明。胎児の症状悪化を予防するために分娩までスピラマイシン 1.2g/ 日の内服を続け,妊娠 38週5 日に予定帝王切開で出産したという。
ArgentinaBrazil Amazon Paraı´baCanadaCzechGermanyGhanaIndonesiaItalyNetherlandsPeruPolandUSA
2004
200620072006200720082000200120092006200420082008
37.8
37.536.2
0.720.0
4.140.6
6.310.4
3.027.726.4
4.1
ブタの抗体陽性率調査年 陽性率
Toxoplasmosis in pigs—The last 20 years
AustriaBrazilCzech GermanyJapanSpainUSAGeorgiaSouth Carolina
199620092006199720042006
19971996
19.34.5
26.22.54.4
38.4
18.234.2
野生イノシシの抗体陽性率調査年 陽性率
発展途上国で豚の感染は未だ高率であり、先進国でも野生イノシシに残っている。野生猫科の種類と生息数によって影響される。
ヒト嚢虫症・有鈎条虫症 人獣共通・伝染病でない
サナダムシ全長数 m
排便
片節
虫卵
嚢虫有鈎条虫症(ヒトは終宿主)
豚は中間宿主
嚢虫症ヒトが中間宿
主
16141210
86420
89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00
死者数
カリフォルニア州におけるヒト嚢虫症
豚における有鉤嚢虫症の発生状況
地域 感染率( %) 調査(報告)年
中国(青林)韓国(斉州島)
インドインド北部
ブラジルブラジルメキシコメキシコ
12.530.3
5.3520.8
5.86-12.430.270.54
0.019
197919891989
1981-84( 1984
)1998
1967-74( 1984
)
成虫は,軽度の胃腸症状や食料不 足の地方では栄養失調を悪化させるが、それほど重篤ではない。
嚢虫症は幼虫が中枢神経系に侵入しないかぎり通常症状を欠き,侵入するとてんかんおよび他の様々な神経学的症状が現れうる。脳の画像検査で神経嚢虫症が認められることがある。
嚢虫症はラテンアメリカ,アフリカ,東南アジアおよび東ヨーロッパにおけるてんかんの主要原因である。米国における感染はこれらの地域からの移民と接触することにより感染しているものと思われる。