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45 日経DI クイズ 14 Sちゃんにペリアクチン(一般名シプロヘプタジン塩酸塩水和物)が 処方された理由として、最も適切なものは次のうちどれか。 ❶ シプロヘプタジンの抗ヒスタミン作用による眠気の誘発により、睡眠時間を十分取らせる ことで頭痛発作の頻度を減少させる。 ❷ シプロヘプタジンの抗ヒスタミン作用によって頭痛発作の原因となるアレルギー反応を 抑え、頭痛発作時の痛みを軽減させる。 ❸ シプロヘプタジンの抗セロトニン作用によって、三叉神経支配下の血管周囲の炎症を抑え、 頭痛発作時の痛みを軽減させる。 ❹ シプロヘプタジンの抗セロトニン作用によって、脳血管の収縮を抑え、頭痛発作の頻度を 減少させる。 Q Q 3 UIZ ※今回から①のペリアクチン(一般名シプロヘプタジン 塩酸塩水和物)が追加された。 ① ペリアクチン散 1% 0.2g 1日1回 就寝前 7日分 ② カロナール錠 200 1錠 頭痛発作時 20 回分 ③ ナウゼリン錠 10 1錠 吐き気がある時 20 回分 7 歳の女の子 Sちゃんが、近隣の病院の小児科を受診した帰りに、 母親と一緒に薬局を訪れました。処方が変更されていたため 病状を確認すると、Sちゃんの母親は次のような質問をしました。 小児片頭痛患者に出された抗アレルギー薬 以前から頭痛のたびに薬を出して もらっていたのですが、遊びをやめて 寝込んでしまうほどの頭痛が週に 2 日も 起こるので病院で検査を受けました。 その結果、片頭痛との診断で、 今回から新しい薬が出ました。 先生からはアレルギーの薬だと 聞いたのですが、どうして アレルギーの薬が出たのでしょうか。

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45日経DIクイズ 14

 

Sちゃんにペリアクチン(一般名シプロヘプタジン塩酸塩水和物)が処方された理由として、最も適切なものは次のうちどれか。

❶ シプロヘプタジンの抗ヒスタミン作用による眠気の誘発により、睡眠時間を十分取らせる ことで頭痛発作の頻度を減少させる。❷ シプロヘプタジンの抗ヒスタミン作用によって頭痛発作の原因となるアレルギー反応を 抑え、頭痛発作時の痛みを軽減させる。❸ シプロヘプタジンの抗セロトニン作用によって、三叉神経支配下の血管周囲の炎症を抑え、 頭痛発作時の痛みを軽減させる。❹ シプロヘプタジンの抗セロトニン作用によって、脳血管の収縮を抑え、頭痛発作の頻度を 減少させる。

Q

Q3UIZ

※今回から①のペリアクチン(一般名シプロヘプタジン塩酸塩水和物)が追加された。

処 方 箋

① ペリアクチン散1% 0.2g   1日1回 就寝前 7日分② カロナール錠200 1錠   頭痛発作時 20回分③ ナウゼリン錠10 1錠   吐き気がある時 20回分

7歳の女の子Sちゃんが、近隣の病院の小児科を受診した帰りに、母親と一緒に薬局を訪れました。処方が変更されていたため病状を確認すると、Sちゃんの母親は次のような質問をしました。

小児片頭痛患者に出された抗アレルギー薬

以前から頭痛のたびに薬を出してもらっていたのですが、遊びをやめて寝込んでしまうほどの頭痛が週に2日も起こるので病院で検査を受けました。その結果、片頭痛との診断で、今回から新しい薬が出ました。先生からはアレルギーの薬だと聞いたのですが、どうしてアレルギーの薬が出たのでしょうか。

46日経DIクイズ 14

Quiz 3 の答 出題と解答 ● 東風平 秀博(田辺薬局株式会社[東京都中央区])

❹ シプロヘプタジンの抗セロトニン作用によって、 脳血管の収縮を抑え、頭痛発作の頻度を減少させる。A

 片頭痛は、繰り返し起こる慢性頭痛の一つであり、頭痛発作時は、日常生活に支障が出るほどの強い痛みを生じる。ズキンズキンとした拍動性の痛みや、動作による痛みの増悪が典型的な症状で、1回の発作は数時間から数日間持続する。悪心・嘔吐、光・音過敏などの随伴症状を伴うことが多い。 片頭痛が発症するメカニズムには、脳血管の拡張が大きく関わるとされている。一説には、何らかの原因によってセロトニンが過剰に放出されると、脳血管が一時的に収縮し、反動で拡張する。それにより三叉神経支配下の血管周囲に炎症が起こり、痛みとして伝播するのではないかと考えられている。 このような片頭痛は、成人のみならず小児にも起こり得る。小児の片頭痛は、発作の持続時間が比較的短く、拍動性でないケースが多く、頭痛に加えて吐き気や嘔吐を生じるという特徴がある。ほとんどの場合、患児の親も片頭痛を持っており、家族内発症する。Sちゃんのように小学校低学年までの小児は、症状を具体的に訴えることが難しいが、遊びや睡眠が妨げられるような頭痛発作が頻繁に起こる場合は、正確な診断と治療が不可欠である。 小児に対する治療では、急性期治療薬として、イブプロフェン(商品名ブルフェン他)やアセトアミノフェン(カロナール他)が用いられる。一方、スマトリプタンの点鼻薬(イミグラン点鼻液)は小児での安全性

が確立していないため、他の方法で効果がない場合に使用が考慮される。 さらに、頭痛発作の頻度が高い場合は、発作予防薬も併用される。小児には、今回Sちゃんに処方されたシプロヘプタジン塩酸塩水和物(ペリアクチン他)のほか、アミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール他)、バルプロ酸ナトリウム(セレニカR、デパケン、デパケンR他)などが適応外使用される。 シプロヘプタジンは、抗ヒスタミン作用に加えて抗セロトニン作用を持つ抗アレルギー薬である。片頭痛では、頭痛発作時のセロトニンの過剰な作用をシプロヘプタジンが抑えることで、発作予防効果をもたらすと考えられている。シプロヘプタジンは、年少者によく用いられる薬剤であるため、特に年少者の片頭痛の発作予防に用いられることが多い。

 発作予防効果に関するエビデンスは少ないが、30例の小児頭痛患者に発作予防薬としてシプロヘプタジンを投与した結果を後ろ向きに解析した海外の研究では、83%の患者に症状改善が見られ、頭痛の回数は平均で8.4回/月から3.7回/月まで減少した。実際の使用法としては、シプロヘプタジンを眠前に少量から始め、効果を見ながら4mgまで増量するといった方法が取られる。 Sちゃんの母親には、シプロヘプタジンの薬理作用に関する説明に加えて、発作予防薬の効果が表れるまでには少なくとも1~ 2カ月間の投与が必要であることを説明しておく必要があるだろう。また、発作予防薬を使用しても完全には頭痛発作を抑制できないため、頭痛発作が起こったときはこれまでと同様に急性期治療薬を使うよう説明しておきたい。

参考文献1) 日本頭痛学会「慢性頭痛診療ガイドライン」 (2005)2) Headache. 2004;44(3):230-7.3) 小児内科 2008;40(5):809-13.

こんな服薬指導を  確かに今回出されたペリアクチンはアレルギーに使う

お薬です。ただ、ペリアクチンは、子どもの片頭痛に対して、頭痛が起きる頻度を減らすためにも使われます。実際にペリアクチンを片頭痛のお子さんに出したところ、頭痛を起こす回数が半分程度まで減ったという報告もあります。先生は、このような頭痛の予防効果を期待してペリアクチンを処方されたのでしょう。 ただ、即効性があるわけではなく、効果が出るまでには1~ 2カ月間は飲み続けなくてはなりません。また、ペリアクチンを飲んでいても頭痛や吐き気が起きることはありますので、その場合は、これまでと同じようにカロナールやナウゼリンを飲ませてください。

107日経DIクイズ 14

病院の循環器内科を受診した62歳の男性Kさんが、処方箋を持って薬局を訪れました。Kさんは処方箋の内容について、次のような質問をしました。

持続性心房細動患者に用いる抗血栓薬として、適切なものは次のうちどれか。

❶ プラザキサ(一般名ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩)❷ プラビックス(クロピドグレル硫酸塩)❸ イグザレルト(リバーロキサバン)❹ リクシアナ(エドキサバントシル酸塩水和物)❺ ワーファリン(ワルファリンカリウム)❻ バイアスピリン(アスピリン)

心房細動に抗不整脈薬が処方されない理由

Q

処 方 箋

アダラートCR錠40mg 1錠アーチスト錠10mg 1錠ワーファリン錠1mg 1錠クレストール錠5mg 1錠 1日1回 朝食後 14日分

Q34UIZ

どうも息苦しくて体の具合が悪いと思っていたら、病院で持続性心房細動だと言われてしまいました。それで出してもらった薬を一つひとつ調べていったら、不整脈の薬が出ていません。私の父も私くらいの年で心房細動になり、不整脈の薬を使っていたのですが、どうして私には出ていないのでしょうか。また、父はアスピリンをずっと飲んでいました。なぜ私にはアスピリンが出ていないのでしょう。

症例に学ぶ医師が処方を決めるまで

18日経DIクイズ 14

 頭痛はありふれた症状であるが、原因となる頭蓋内や頭頸部、全身の疾患がないのに頭痛を慢性的に繰り返すものを慢性一次性頭痛、あるいは頭痛症とする。その代表的なものが片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛である。 頭痛の診断は、国際頭痛分類第2版(ICHD-Ⅱ)の診断基準(表1、20ページ表3、21ページ表4)に沿って行われる。標準的な治療は、日本頭痛学会が中心となって作成した『慢性頭痛の診療ガイドライン』に掲載されている。 本稿では、比較的よく遭遇する頭痛性疾患の処方例を提示しつつ、薬剤選択で考慮するポイントを解説する。

トリプタンに制吐薬を併用 最初に紹介するのは、32歳女性の症例である。17歳

頭痛 講師●竹島 多賀夫 (富永病院[大阪市浪速区]神経内科・頭痛センター)

トリプタンやNSAIDsを主軸に予防薬や随伴症状抑える薬を併用原因となる疾患がないのに慢性的な頭痛を繰り返す頭痛症。富永病院で頭痛外来を開設する竹島氏に、比較的よく遭遇する頭痛性疾患について、症状に応じた処方例と、治療薬の選択で考慮するポイントを解説してもらった。

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ごろより、月経の前後に頭痛があり、時々寝込んでいた。そのたびにOTCの鎮痛薬を使用していたが、最近頭痛の頻度が増えてきて、鎮痛薬が効かなくなったため、受診した。頭痛時には、吐き気がして、食べ物の匂いをかぐと気持ち悪くなるという。

症例1●�OTC薬で改善せず吐き気を伴う頭痛で受診した32歳女性

〈初診時の処方箋〉①レルパックス錠20mg 1錠  片頭痛発作時 6回分②ナウゼリン錠10 1錠  吐き気・頭痛が起こりそうな時 10回分

 片頭痛は「偏頭痛」と記載されることもあるが、医学用語では「片頭痛」が正しい。「片」という字を使うが、必ずしも片側性の頭痛ではなく、4割の患者は両側性の頭痛を経験している。 片頭痛は、その痛みが発生する前に閃輝暗点(ギザギザの光が目の前に見え目の前が真っ暗になる)、視力障害、感覚障害、言語障害などを伴うものと、こうした前兆を伴わないものに大別される。前兆よりも先に、頭痛の予感や食欲の変化、感覚過敏などの予兆を伴うことも少なくない。予兆は前兆のない片頭痛でも高頻度に見られる。 図1は片頭痛発作の症状と経過を示したものである。片頭痛発作は治療の有無にかかわらず、一定時間がたつと自然に回復する。 片頭痛の診断は、国際頭痛分類に沿って行う(表1)。

表1●前兆のない片頭痛の診断基準(国際頭痛分類第2版)

A. B~Dを満たす頭痛発作が5回以上あるB. 頭痛の持続時間は4~72時間(未治療もしくは治療が

無効の場合)C. 頭痛は以下の特徴の少なくとも 2項目を満たす

1.片側性2.拍動性3.中等度~重度の頭痛4.日常的な動作(歩行や階段昇降など)により頭痛が 増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける

D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目を満たす1.悪心 または 嘔吐(あるいはその両方)2.光過敏 および 音過敏

E. その他の疾患によらない

21日経DIクイズ 14

医師が処方を決めるまで ■ 頭痛

投与した。

緊張型頭痛にはデパスを併用 次に紹介するのは、典型的な緊張型頭痛の症例である。 この患者は、右後頭部を中心とした頭部全体の痛みが5日間続いたため、不安になって当院を受診した。これまでにも同様の痛みが月2~ 3回の頻度であったが、すぐに治っていたという。

症例4● 後頭部を中心とした頭痛が5日間続く56歳男性

〈当院初診時の処方箋〉ロキソニン錠60mg 1錠デパス錠0.5mg 1錠 頭痛時(1日3回まで) 10回分

 緊張型頭痛の痛みは軽度~中等度で、日常生活に支障がない場合が多い。診断基準では、片頭痛の特徴である動作による悪化や悪心・嘔吐、音過敏、光過敏がないことを確認して診断する。 緊張型頭痛は発作頻度により、稀発反復性緊張型頭痛(平均1日/月以下)、頻発反復性緊張型頭痛(平均1~ 15日/月)、慢性緊張型頭痛(平均15日/月以上)に分類される。この患者は月2~ 3回の頭痛のエピソードから、頻発反復性緊張型頭痛と考えられた。 頭痛患者の多くは、脳疾患に対する不安から精査を希望することが多い。適切な神経学的診察や脳画像検査により、患者は安心し、それだけで頭痛は軽減する場合もある。この患者も精査を希望したため、神経診察と脳画像検査を実施したが、異常は見られず、頻発反復性緊張型頭痛と確定診断した(表3)。 緊張型頭痛の治療で、頭痛の頻度が1カ月に10日程度までであれば、鎮痛薬を頓用で処方する。 デパス(エチゾラム)を併用すると、頭痛改善効果が高まるが、こうしたベンゾジアゼピン系薬剤は長期連用すると依存性が問題となるので、頓用か、連用でも2週間程度にとどめる。 なお、月10日以上の反復性緊張型頭痛および慢性緊張型頭痛では予防療法が必要である。三環系抗うつ薬がエビデンスもあり広く用いられている。

 しかし、眠気や口渇が起こりやすく忍容性が乏しいため、少量(アミトリプチリン塩酸塩の場合は5mgまたは10mg程度)から開始し、有害事象を確認しながらゆっくり漸増し効果が得られた量を維持量とする。通常20~ 50mg程度が維持量として用いられる。わが国では筋弛緩薬が広く使用されているが、エビデンスが乏しく欧米ではほとんど用いられていない。

群発頭痛は予防をしっかり行う 最後に紹介するのは、群発頭痛の症例である。片頭痛や緊張型頭痛に比べると患者数は少ないが、一定期間続く激痛が定期的に見られるため、患者の悩みは深い。 この患者は、1週間前から明け方に左眼周囲とこめかみの激痛で目が覚めるようになった。激痛は約1時間続く。頭痛時には涙が流れ(写真1)、痛過ぎてじっとしていられないという。 3日前からは、昼間にも同様の痛みが起こるようになり、OTCの鎮痛薬を飲んでもあまり効かないため受診

写真1●群発頭痛時の眼充血と流涙(左眼)

左眼周囲からこめかみに激しい頭痛があり、眼が充血し、涙が出ている。右眼もわずかに充血しているが、左眼の充血が顕著である。写真からは判別しにくいが、左の眼瞼がわずかに下垂し、軽度縮瞳していた。

表4●群発頭痛の診断基準(国際頭痛分類第2版)

A. B~Dを満たす発作が5回以上あるB. 未治療で一側性の重度~極めて重度の頭痛が、眼窩部、眼窩上部または側頭部のいずれか1つ以上の部位に、15~180分間持続する

C. 頭痛と同側に少なくとも以下の 1項目を伴う1. 結膜充血または流涙 (あるいはその両方)2. 鼻閉または鼻漏 (あるいはその両方)3. 眼瞼浮腫 4. 前頭部および顔面の発汗  5. 縮瞳または眼瞼下垂 (あるいはその両方) 6. 落ち着きがない、あるいは興奮した様子

D. 発作頻度は1回/2日~8回/日であるE. その他の疾患によらない