大学図書館とラーニング・コモンズ university library and learning commons nanzan...
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南山大学図書館情報学概論資料TRANSCRIPT
大学図書館とラーニング・コモンズ
図書館情報学概論 2012.6.14
名古屋大学附属図書館
情報サービス課 岡部幸祐
ラーニング・コモンズって知っていますか?
【Common】共有地、公有地、入会地(ジーニアス英和大辞典)An area of open land in a town or village that anyone may use.(Oxford advanced learner’s dictionary. 7th ed.)
図書館の中でしゃべってもいいんですか?
図書館でしゃべれるって、どういうこと?
本日のポイント
大学図書館がおかれている環境が変化す
ることによって、大学図書館に求められ
る機能がどのように変わってきたかを、
資料をもとに考える。
ラーニング・コモンズとはどういう空間
なのか。その特徴や機能を考える。
本日のメニュー
1.大学図書館に求められる機能の変化
1.1.大学図書館の基本的な機能
1.2.求められる機能の変化
2.大学がおかれている環境の変化
2.1.大学のユニバーサル化
2.2.学士力の育成
本日のメニュー
3.ラーニング・コモンズとは
3.1.名古屋大学中央図書館ラーニング・コモンズ
3.2.ラーニング・コモンズの歴史
3.3.ラーニング・コモンズの機能
4.まとめ:大学図書館における学習支援機能
4.1.大学図書館の学習支援への取組
4.2.ラーニング・コモンズにおける学び
大学図書館に求められている機能の変化
Q1 大学図書館に求められる機能はどう変化してきたのでしょうか?
それは何から分かるのでしょうか?
【キーワード】学術情報流通 学術情報システム電子図書館 学術情報基盤 学習支援
大学図書館の基本的な機能
蔵書構築(リソース)
• 図書・雑誌、デジタル資料、データベース
組織化
• 目録作成(データベース化)
提供
• 利用、検索システム
保存
• 知の伝承
求められる機能の変化
何から分かるのか?
学術情報基盤実態調査
• 文部科学省が昭和41年から毎年実施
• 国公私立大学の学術情報基盤(大学図書
館、コンピュータ及びネットワーク等)
についての現状を明らかにし、その改善
の基礎資料とすることを目的とする。
1. 図書館・室の職員
2. 施設
3. 蔵書数
4. 図書・雑誌受入数
5. 視聴覚資料・機器数
6. サービス状況
7. 経費
8. 外部委託業務について
9. 図書館の公開について
10. 電子図書館的機能について
調査結果の主なポイント平成16年度〜22年度
【平成16年度】
1. 電子的情報の提供状況
– ホームページからの情報発信が着実に進展(H10 71.0%→H15
88.6%)
– 電子ジャーナルの購読が急加速(H10 27種類→H15 1,201種
類)
2. 時間外開館
– 平日、土曜、休日の時間外開館の実施率は全体として増加傾向
– 開館時間は平日、土曜、休日ともに伸びる傾向
3. 図書館の公開状況
– 学外者への公開は、ほぼ定着(98.8%が実施)
– 夜間等の時間外開館時間でも公開は進む傾向
– あわせて学外利用者も増加傾向(5年間で1.9倍)
【平成18年度】
1. 電子図書館的機能の整備状況
– 図書館ホームページを通じた全文閲覧、資料検索及び依頼申込
等の各種サービスの提供は、国立大学100%、公立大学96.1%、
私立大学86.0%と高い実施率を維持
– 電子ジャーナルの総所蔵種類数は、国公私立大学全体で対前年
度25.8%の増で、増加傾向が継続
2. 時間外開館・休日開館の実施状況
– 国公私立大学いずれも時間外開館の実施率が増加しており、国
立大学においては土曜開館について100%の実施率を達成し、休
日についても85.1%の高い実施率
3. 大学図書館の管理運営等に関する大学の課題認識
– 国公私立大学全体では、専門性を有する人材の養成・確保及び
資料所蔵スペース狭隘化の解消を課題と認識
【平成20年度】
1. 大学総経費に占める図書館資料費及び図書館運営費の割合
については、国公私立大学全体でほぼ横ばい
2. 電子ジャーナルの総利用可能種類数は、国公私立大学全体
で対前年度10.5%の増で、増加傾向が継続
3. 機関リポジトリを構築し、公開している大学は国公私立大
学全体で81大学で、前年度に比べ倍増
機関リポジトリに搭載されているコンテンツの52.7%は紀要
論文
4. 時間外開館、土曜開館、休日開館においては、国公私立大
学のいずれにおいても実施率の増加が継続
5. 組織・人事面の課題として、「専門性を有する人材の養
成・確保」を、国公私立大学全体で81.1%の大学が課題と認
識
【平成22年度】
1. 図書館資料費及び図書館運営費の総額はほぼ横ばいとなっ
ている。
2. 電子ジャーナルの総利用可能種類数は増加傾向だが、一方
で、洋雑誌の総購入種類数は減少傾向が継続している。
3. 機関リポジトリの構築(公開)大学数は着実に増加し、そ
れに伴い、コンテンツ数及び利用状況(アクセス数、ダウ
ンロード数)も増加している。また、1大学あたりの利用
状況も増加している。
4. 組織・人事面の課題として、「専門性を有する人材の養
成・確保」を、設備面において、「資料所蔵スペース狭隘
化の解消」を、多くの大学図書館が課題として認識してい
る。
平成19年度
平成21年度
学術審議会等の報告・答申など
「学術情報流通体制の改善について(報告)」(学術審議会学術情報分科会) 1973.7.25
「今後における学術情報システムの在り方について(答申)」(学術審議会) 1980.1.29
「学術情報流通の拡大方策について(報告)」(学術審議会学術情報資料分科会学術情報
部会) 1990.1.30
「大学図書館機能の強化・高度化の推進について(報告)」(学術審議会学術情報資料
分科会学術情報部会)1993.12.16
「大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化について」(学術審議会建議)
1996.7.29
「学術情報の流通基盤の充実について(審議のまとめ)」(科学技術・学術審議会研究計
画・評価分科会情報科学技術委員会
) 2002.3.12
「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)」(科学技術・学術審議会学術分科
会研究環境基盤部会・学術情報基盤作業部会)2006.3.23
「大学図書館の整備及び学術情報流通の在り方について(審議のまとめ)」(科学技
術・学術審議会 学術分科会 研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会)2009.7
「大学図書館の整備について(審議のまとめ)」(科学技術・学術審議会 学術分科
会 研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会)2010.12
学術情報
システム
電子図書館
電子ジャーナ
ル
今後の「大学像」の在り方に関する調査研究(図書館)報告書
平成19年3月(2007.3) 筑波大学
文部科学省『先導的大学改革推進委託事業』
• 利用者支援の実践
• 学習環境の構築
• 学習を支える情報リテラシー教育の支援
• 場としての図書館と情報のコモンズ
大学図書館の整備について(審議のまとめ)
-変革する大学にあって求められる大学図書館像-
平成22年12月科学技術・学術審議会 学術分科会研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会
1. 大学の教育機能に対する社会的要請
– 教育機能の支援に対して、大学図書館はこれまで以上の関心
– 学生が自ら行う調査、学習のための基礎資料の整備を含む学習
環境の充実
2. 研究機能に対する、これまで以上に直接的な還元への社会
的要請
– 機関リポジトリ、学術成果物の電子的管理と教員業績データ
ベース等との連携
3. 学術情報流通におけるインターネットの役割
– 電子情報資源の導入、管理、提供
「はじめに」から
環境の変化と大学図書館の課題
• 電子化の進展と学術情報流通の変化
– インターネット世代
– 電子ジャーナル化
– 検索エンジン、データベース
• 大学を巡る環境変化
– 18歳人口の減少
– 自発的な学習や実践の必要性
最近の大学においては、学生が自ら学ぶ学習の重要性が再認識され、その支援を行うことが大学図書館にも求められている。近年、整備が進められているラーニング・コモンズ、図書館職員等によるレファレンスサービスや学習支援は、このような要請に応える方策といえる。
ラーニング・コモンズは、複数の学生が集まって、電子情報資源も印刷物も含めた様々な情報資源から得られる情報を用いて議論を進めていく学習スタイルを可能にする「場」を提供するものである。その際、コンピュータ設備や印刷物を提供するだけでなく、図書館職員等が、それらを使った学生の自学自習を支援することも重要である。
また、学生の自学自習を支援するためには、教員や図書館職員だけではなく、大学院生や学部3、4年
生などが自身の経験などに基づき下級生を指導する体制を組織化することも効果があると考えられる。
このような「場」を利用して、学生がレポートや論文の書き方を実践的に学んだり、ライティングセンターの講義や演習を実施することも考えられる。また、各種検索ツールや大学図書館の使い方のガイダンス、教員による研究会の実施にも対応することで、学生や教職員の知的交流活動の活性化を図ることが可能であろう。
学生が大学を卒業して以降も生涯にわたって自ら学習し、課題解決するためには、電子情報資源、印刷物を含めて、適切な情報を得るために各種ツールを使いこなし、得られたデータや情報を分析・評価し、その成果を分かりやすく表現し、発信する能力を身に付けることが求められている。
現在、情報環境が豊かになり、多様な情報に容易にアクセスできるようになったが、多くの学生はそれらの分析と選択のスキルが不十分であり、利用可能な関連する情報を常に入手できているわけではないことに留意する必要がある。
情報リテラシー教育は、大学図書館が主体となって取り組むことが求められている。例えば、新入生に対する初年次教育の一環として必修の授業として開講することが考えられる。カリキュラムの開発や実施を教員と協同して行うだけでなく、図書館職員が教員を兹任するなどして、直接授業を担当することも視野に入れるべきである。
大学がおかれている環境の変化
Q2 大学はどう変わってきているのでしょうか?
【キーワード】学士力 大学のユニバーサル化
• 大学のユニバーサル化
• 学士力の育成
「学士課程教育の構築に向けて(答申)」
大学のユニバーサル化
18歳人口の動向
• 1966〜68 第1次ベビーブームの大学進
学
• 1980年代後半 第2次ベビーブーム
• 1992 18歳人口のピーク
• 1992:205万人 → 2009:120万人
2.高等教育の全体像
(1) 歳人口及び高等教育機関への入学者数・進学率等の推移18
(文部科学省「学校基本調査 ,国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口 (平成 年1月推計)より文部科学省作成)」 」 14
16 18 20 21 22 2529 31 33 33 33 36 38 39 41 42 42 43 43 41 41 41 41 42 42 41 44 47 47 48 49 52 54 55 56 57 58 59 59 59 60 60 61 60 60
4 56 6 6
8
1112 13 13 13
14 1415
1617 17 18 18
2122 22 23
2425
25 25 24 23 22 21 19 17 14 13 12 11 1115 18 18 19 20 20 22 22 21
2527 29
3134
3536 36 34 34 34 33 32
31 31 31 33 34 34
18 18 18 18 1718 18
5
118119117117119120118
123119120122121124
130133
137141
146150151151
155
162
168173
177
186
198
205204201
193
188188
168172
164161
158156158162
154159
165
169174
185
195
213
236
243
249
200
190
197 195
177
140
185
156
124128
132133133136
144150
155159
166
176
181180177
170165165
162
148152
145142
140138139140
133133134133132136
140
150
160
99102
9693
156160
116
87
137
85.1%
74.5%
55.7%
49.9%
0
50
100
150
200
250
300
35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32
万
人
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
大学入学者数(万人)
短大入学者数(万人)
専門学校入学者数(万人)
高校等卒業者数(万人)
18歳人口(万人)
S50年代前期計画 S50年代後期計画 S60年代計画 H5年度以降計画 H12年度以降構想
● 18歳人口 = 3年前の中学校卒業者及び中等教育学校前期課程修了者数
● 進学率 1 = 当該年度の大学・短大・専門学校入学者,高専4年次在学者数
18歳人口
● 進学率 2 = 当該年度の大学・短大入学者数
18歳人口
○ 高校等卒業者数 = 高等学校卒業者及び中等教育学校後期課程卒業者数
○ 現 役志願率 = 当該年度の高校等卒業者のうち大学・短大へ願書を提出した者の数
当該年度の高校等卒業者数
○ 合格率 = 当該年度の大学・短大入学者数
当該年度の大学・短大志願者数
進学率 1(大学+短大+高専+専門学校)
合格率 (大学+短大)
現 役志願率 (大学+短大)
大学: 42.4%
短大: 7.5%
高専4年次:0.8%
専門学校:23.8%
大学:47.4%
短大: 8.2%
進学率 2(大学+短大)
高専4年次在学者数(万人)
大学:42.4%
短大: 7.5%
(年度)
-115
-
受験生数の減少大学・短大受験生
1990年代初め 120万人
↓
2005年 80万人
入学者数
80万人 → 70万人
エリート型 マス型 ユニバーサル型
training teaching care
steal learn enjoy
弟子 受講者 観客
M.トロウ『高学歴社会の大学』、島田博司『大学授業の生態誌』より
学士力の育成
学士課程教育の構築に向けて(答申)
中央教育審議会 2008.12.24
基本的な認識
• グローバル化する知識基盤社会において,
ルの資質能力を備える人材養成は重要な ある。
• 他方, 中,
曖昧になったり,学位の国際的
通用性 失われたりしてはならない。
• ,学士課程教育におけ
る3つの方針の明確化 。
3つの方針
1. 学位授与の方針について
2. 教育課程編成・実施の方針について
3. 入学者受入れの方針について
• その他
– (FD)
– 設置認可は弾力化
– 財政支援
学位授与の方針について
【現状・課題】
• 他
きるようになるか」 進展
• 一方, 教育研究の目的等
は 抽象的
• ,教育課程の編成や学修評価の在
り方を律するものとなっていない
• , 最
低限の共通性 重視されていない
【改善方策】
• 大学は,卒業に当たっての学位授与の方針
を具体化・明確化し積極的に公開
• 国は学士力に関し,参考指針を提示
学士力に関する主な内容
1. 知識・理解(文化,社会,自然等)
2. 汎用的技能(コミュニケーションスキル,
数量的スキル,問題解決能力等)
3. 態度・志向性(自己管理力,チームワーク,
倫理観,社会的責任等)
4. 総合的な学習経験と創造的思考力
大学図書館に求められるサービス・機能はどう変わってきたのか?
目録のデータベース化
資料の電子化
電子図書館
電子ジャーナルの整備
教育・学習支援
場としての図書館
ラーニング・コモンズとは
Q3 どうして今ラーニング・コモンズが大学図書館に導入されているのでしょうか?
ラーニング・コモンズとはどういう空間なのでしょうか?
【キーワード】協同学習 ワンストップサービス場としての図書館 ITC
名古屋大学中央図書館ラーニング・コモンズ
名古屋大学ラーニング・コモンズの考え方
• 学生の学習に必要な情報資源や情報技術関連設備とそれらの活用能力を育成するためのサポートを学生
のスキルの程度や情報ニーズに応じて統合的に提供する。
• 図書館職員によるレファレンスサービス、教員による情報リテラシー教育、TA等による情報技術活用支
援、学生のピア・チューターによる学習相談等のサービスを一箇所で受けることができるワンロケー
ション・サービスとする。
• これを実現するために、大学図書館が教養教育院、学部・研究科、情報基盤センターや情報メディア教
育センター等学内の教育・情報施設との連携・協力を強化し、大学の教育課程に深く関与する新たな役
割を創出する。
• グループ・プレゼンテーション、授業、自学自習等さまざまな学習形態に対応したスペースと必要な設
備、ツール、情報資源を統合的に提供する。
• 授業資料ナビ(パスファインダー)、オープンコースウェア「名大の授業」、学術機関リポジトリなど
のデジタル・コンテンツと印刷体の図書館資料をシームレスに活用できる能力を効果的に育成する情報
リテラシー教育の実践の場を提供する。
• 科学技術・学術審議会報告「学術情報基盤の今後の在り方について」(平成18年3月)で示された今後の
大学図書館における教育支援機能強化及び基盤設備整備のあり方のモデルを提示することにより、他機
関での同様の取り組みを支援する。
• 平成20年度~平成21年度に2階フロアに整備
• 面積 2,753㎡
• 275席
• PC66台
• 平成22年5月 エントランスにスターバック
スコーヒー開店
エリア構成
• グループラーニングエリア
• 多目的ラーニングエリア
• ライティングサポートエリア
• セミナールームA・B
• ディスカバリー・スクエア
• AVブース
• 海外衛星放送コーナー
• 総合サポートカウンター
• 学生相談コーナー
人的サポート• 総合サポートカウンター
– スタッフ :平日15時~19時 現在9名
– サポート件数 :平成23年度 573件
– 講習会 :スタッフ企画によるミニ講座開催
• 学生相談コーナー(ピアサポート)
– 学生相談総合センター学生相談部門と連携
– 毎週水曜日の午後に活動
スタッフ
• 大学院生を雇用
– 日本人3名、留学生6名
– 日、英、中国語での対応
– 学習支援、IT支援、ライティング支援
– 講習会も担当
IT関連51%
利用指導24%
所蔵調査11%
事項調査2%
その他12%
0.0% 5.0%10.0%15.0%20.0%25.0%30.0%35.0%
スキャナー
無線LAN
ソフトウェア
ログイン関係
プリントアウト
0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0%
ライティング
新聞
文献検索
図書館利用
AV
コピー
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0%
視聴覚
新聞
図書等
雑誌(論文)
PC席の利用状況
73.3%67.6%
62.1%
50.5%
66.1%61.8%
56.5%
40.6%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
15:30 16:30 17:30 18:300.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
後期試験前期試験
PC席利用率は個人学習ゾーンで高く、ピークは1-2月、7-8月とな
る。これはレポート提出時期に合致し、ラーニング・コモンズでレポート作成が行われていることがうかがえる。
35.4%31.1%
26.8%20.0%
44.2%38.8%
32.8%
23.2%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
15:30 16:30 17:30 18:30
座席の利用状況
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
後期試験前期試験
年間平均(時間帯別)
PCのない席の利用率はグループ学習ゾーンで高く、ピークの1月、7月で
は特に顕著となる。これは前期・後期の試験期間に合致し、試験期にはどちらかというとグループでの学習が好まれていることがうかがえる。
ラーニング・コモンズの歴史インフォメーション・コモンズからラーニング・コモンズへ
インフォメーションコモンズ
ラーニングコモンズ
コモンズの始まり( 1980年代半ば)
• ジャクソン・コミュニティ・カレッジ
コンピュータ・ラボ、図書館のオンライン・サービス、教室
でのメディア・サービスを統合
→最初の事例?
• 1992 アイオワ大学 Information Arcade
• 1994 南カリフォルニア大学 Information Commons
定義
「学習を支援するために組織された、物理的、デジタル的、人的、社会的な資
源を関係付けた、ネットワーク利用のためのアクセスポイントと、関連する
情報技術(IT)の道具の集合体」
(Beagle, Donald Robert. et. The information commons handbook. , 2006)
83
インフォメーション・コモンズ
• デジタル&プリントリソース、マルチメディア、サー
ビスへのアクセスを統合して提供
• ライティング&テクニカルサポート
• データベース、OPAC
• PC,ソフトウェア(情報処理実習室など)
• グループ学習スペース
84
知識の伝達
知識の創造
• 「知識の伝達」から「知識の創造」へ
• 協同学習・自律的学習の場
• 学習支援に関する全学的ビジョン・
ミッション(学内関係機関の連携をも
とにした)
インフォメーション・コモンズから
ラーニング・コモンズへ
86
ポイント
「図書館やコンピュータ関連部局のような、サポートやサービスの部局が協働することのみではだめで、学習の目標を設定している他の学内組織等の参加があって始めて成功する」
(Bennett, Scott. The information or the learning commons: Which will we have? The Journal of Academic Librarianship, 2008, Vol.34, no.3, p.183-185)
Point!
LCの構成要素1. コンピュータ・ワークステーション・クラスター
2. サービスデスク
3. 協同学習スペース
4. プレゼンテーション支援センター
5. FD(Faculty Development)のためのインストラクショナル・テクノ
ロジー・センター
6. 電子教室
7. ライティングセンターなどアカデミックサポート部門
8. ミーティング、セミナー、パーティ、プログラム、文化活動向け
のスペース
9. カフェおよびラウンジエリア
McMullen.「米国の大学図書館:今日のラーニングコモンズモデル」2008.
LCの3つの側面
教育の場
生活の場
(インフォーマルコミュニケーション)
学習の場
施設・設備・資料・サービスから見ると
学習の場 教育の場
生活の場
プレゼンスペース
PCクラスタ
IT機器
PC教室
オープンスペース
ラウンジ
自販機・ショップ
カフェ・食堂
共同学習スペース
カウンター
参考図書
図書館資料
軽雑誌
ライティング支援
IT支援
講習会
授業
イベント
生活アドバイス
学習アドバイス
レファレンス
米澤誠.ラーニング・コモンズの本質:ICT時代における情報リテラシー/オープン教育を実現する基盤施設としての図書館.『名古屋大学附属図書館研究年俸』.2008,7,p.42. 図6を基に作成
ラーニング・コモンズの特徴
1. 図書館メディアを活用した自律的な学習
の支援
2. 情報リテラシー教育とアカデミックスキ
ルの育成
3. 協同的な学びの促進
河西由美子.“自律と協同の学びを支える図書館”学びの空間が大学を変える.ボイックス,2010,p.107-108.
日本のラーニング・コモンズの特徴
1. 学内に必ずしもラーニング・コモンズ的
学習空間のニーズがない。
2. インフォメーション・コモンズからラー
ニング・コモンズへと移行したのではな
い。
3. 図書館職員の位置づけ
国内大学のラーニング・コモンズ
• 国際基督教大学
• お茶の水女子大学
• 東京女子大学
• 静岡大学
• 新潟大学
• 金沢大学
• 名古屋大学
• 大阪大学
• 広島大学
国内大学図書館での整備状況
94
• 2000年1月開始
• PC122台 マルチメディアルームPC50台
• レファレンスデスク(専任職員4名)でサポート
• マルチメディアルームでグループ学習
• 少人数クラスでの対話を重視する徹底したリベラル・アーツ教育
• 「大学教育は知識受容型から学習支援型に改革することが強く求
められている。図書館は学習支援型教育において中心的機能を発
揮する知的サービス空間である」
国際基督教大学
ミルドレッド・トップ・オスマー図書館
スタディ・エリア
95
• 2007年4月開始
• PC70台設置(情報基盤センター管理)
• ラーニング・アドバイザー(TA)が常駐
• マニュアル、アカデミックライティング関係等図書
• 学生アシスタント(LiSAプログラム)
– お茶の水女子大学附属図書館LiSA活動日誌
http://ochadailisa.blog32.fc2.com/
• 2006年と比較して2008年、約50%の入館者増
• 「資料のある場所」から「教育の場」へ
お茶の水女子大学附属図書館
ラーニング・コモンズ
96
• 2008年4月開始
• 平成19年度文部科学省「新たな社会的ニーズに対応した学生支
援プログラム(学生支援GP)」
• 学生の社会的成長を支援する滞在型図書館プログラム
• 学生アシスタントのステップアップ
– ボランティアスタッフ
– サポーター
– 学習コンシェルジェ
– システム・サポーター
マイライフ・マイライブラリー
(東京女子大学)
97
海外のラーニング・コモンズ
98
• 2005年公開
• 学部・大学院 約25,000人
• 多目的ワークステーション(Windows PC, Mac) 200台
• ノートパソコンネット接続ポート 400
• 貸出用PC 54台
• プリンター、FAX、スキャナー
• Web教材、ソフトウェア
• 17のガラスで仕切られた部屋
マサチューセッツ大学アマースト校
デュボワ図書館
99
• 図書館員、情報技術者、学生アシスタント、学生チューターに
よる週5日24時間サービス
• 総合案内
• テクニカルサポート
• レファレンス、調査支援
• ライティングセンター
• 学生支援サービス(学生相談、就職相談)
• 障害者支援技術センター
• ラーニングリソースセンター
• カフェ(Procrastination Station)
マサチューセッツ大学アマースト校
デュボワ図書館
100
ミッション・ステートメント
• ラーニング・コモンズは、マサチューセッツ大学アマース
ト校の中心として、自由で、柔軟で、学生にフォーカスし
た環境を提供する。
• ラーニング・コモンズは、豊かなサービスや技術を提供
し、地域社会、イノベーション及び新しい知識創造を育成
する。
• ラーニング・コモンズは、長時間利用、ピアサポート、そ
の上、くつろいだ雰囲気に包まれた環境を備え、学生たち
が教育によって身につけた経験内容を最大限に活用するよ
う支援する。
マサチューセッツ大学アマースト校
デュボワ図書館
101
• キャンパスサービスの提供者は、学生たちがマサ
チューセッツ大学アマースト校において優秀な成
績を残せるように、専門的意見を出し合い、コア
となる学生支援サービスを使いやすくする。
• ラーニング・コモンズは、学生たちが自己学習者
となり、より良い未来を築く大人になるよう援助
に努める。
マサチューセッツ大学アマースト校
デュボワ図書館
102
ラーニング・コモンズは単におしゃべりのできる場所ではない
まとめ:大学図書館のおける学習支援機能
Q4 これからの大学図書館に求められる役割は何でしょうか?
Q5 ラーニング・コモンズではどういう学びが行われるのでしょうか?
【キーワード】協同学習 教育への関与
大学図書館の学習支援への取組
学習用資料の充実
学習空間の提供
人的
学習支援学習支援
学習支援で何をするのか
人的サポート
情報リテラシー教育
協同学習支援
ラーニング・コモンズでの学習支援
人的サポート
• 図書館利用
• PC利用などITサポート
• 情報収集方略及び情報評価
• レポート・ライティング
何を?
• 図書館員によるサポート
• 学生スタッフによるサポート
• 教員・学内他機関によるサポート
誰が?
情報リテラシー教育
情報リテラシー能力
① 必要な情報の性質と範囲を見定めることができる。
② 必要な情報に効果的かつ効率的にアクセスすること
ができる。
③ 情報と情報源をクリティカルに評価し、選択した情
報を自らの知識基盤と価値観に取り込むことができ
る。
④ 当初の目的を達成するために、情報を効果的に利用
し成果物をまとめることができる。
①必要な情報の性質と範囲を見定めることができる。
• 必要な情報を明確にすることができる
• 利用可能な情報源の特性を理解し、探索
する情報源を特定することができる
• 費用と便益を考慮し、収集する情報の範
囲を決めることができる
②必要な情報に効果的かつ効率的にアクセスすることができる。
• 最適な調査方法及び情報検索システムを
選択することができる
• 効果的に検索することができる
③情報と情報源をクリティカルに評価し、選択した情報を自らの知識基盤と価値観に取り込むことができる。
• 収集した情報を的確に要約することがで
きる
• 情報の信頼性、妥当性等を評価すること
ができる
• 収集した情報を利用して自分の考えをま
とめることができる
④当初の目的を達成するために、情報を効果的に利用し成果物をまとめることができる。
• 成果物や発表の目的や形式に適した方法で内
容を組織化することができる
• 成果物を作成することができる
• 効果的な伝達の方法を計画することができる
• 著作権等ルールに従った適切な方法を守るこ
とができる
協同学習支援
協同学習とは?
• グループによる学習
• 理解やそのプロセスを人と比較、吟味、
修正しながら学ぶ
• 問題解決、学習成果の公開、相互評価
ラーニング・コモンズにおける学び
1. 学生が自ら行う調査、学習のた
めの学習環境
2. 協同学習が行われる学習環境
3. 学習方略(学び方)が身に付く
学習環境
情報リテラシー教育学習環境デザイン
図書館職員に求められる能力
• 情報リテラシー教育を効果的に企画・実施できるためのInstructional
Designに関する知識
• 協同学習に関する知識
• レポート・ライティングに関する知識
• 情報収集及び情報評価に関する知識
• 教員・IT関連部局との連携力
※図書館利用及びIT関係は前提として
分析(Analysis) 設計(Design)開発
(Development)実施
(Implementation)評価(Evaluation)
ADDIEモデル
リテラシー教育の実践(協同学習)
教員との連携
Instructional
Design
指導計画立案
情報関係部署との連携
学習支援担当者の能力モデル
大学図書館に求められるサービス・機能はどう変わってきたのか?
目録のデータベース化
資料の電子化
電子図書館
電子ジャーナルの整備
教育・学習支援
場としての図書館
• ラーニング・コモンズは単なる大学図書
館の新しい施設ではない。
• 大学図書館の新しい機能
• 図書館員にも新しい知識・スキルが求め
られる。
大学図書館のパラダイム転換
ちょっと大げさですが…
ご清聴ありがとうございました。
• 本日のパワーポイント資料は、slideshare
にupしてあります。
http://www.slideshare.net/