講義01:現代制御とは 1.1...
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はじめての現代制御理論 講義01 1
講義01:現代制御とは~状態空間表現の基礎~
方程式を行列・ベクトルで表現することに慣れよう.伝達関数表現とその問題点を理解しよう.連立微分方程式から状態空間表現を求める考え方に慣れよう.
講義01のポイント
1. 制御とは2. 動的システム3.伝達関数表現の特徴4.連立方程式の行列・ベクトル表現5.状態空間表現の基礎
5.1.並列な2タンクシステム5.2.直列な2タンクシステム5.3.システムの表現方法の違い
6.線形システムと非線形システムについて7.現代制御とは
講義01の内容
はじめての現代制御理論 講義01 2
1.1 制御とは自然界の法則に従って変化するもの(現象)に対し,外部から操作(入力: input)を加えることによって変化する値(出力: output)を人為的に変えること
もの(現象)を制御する
制御対象操作量,入力 制御量,出力
システム
ある目的を行うために互いに作用しながら働く現象(機能)の組み合わせの総称
はじめての現代制御理論 講義01 3
1.1 制御とは
制御対象操作量,入力 制御量,出力
望ましい値にしたい...適切な操作量を加える...
制御対象
操作量,入力制御量,出力
制御器適切な操作量を発生するように制御器を設計する
制御系の構築(制御対象と制御器を組み合わせてシステムを構築)制御系設計(control system design)
はじめての現代制御理論 講義01
1.2 動的システム動的システム
4
入力と出力の関係が微分方程式で表される数学モデル
システムの特性を数式で表したもの
制御対象操作量,入力 制御量,出力
数学モデル
モデル化
微分方程式
実際のシステム
はじめての現代制御理論 講義01
マスーばねーダンパシステムの例
5
1.2 動的システム
運動方程式(線形微分方程式)
f(t) = u(t)を入力として選び物体の変位(出力)y(t)を適切な値に変化させる物体に加える力
M, D, Kは定係数 線形時不変微分方程式入力と出力がスカラーなシステム
1入力1出力システムはじめての現代制御理論 講義01
1.3 伝達関数表現の特徴対象を思い通りに制御する
6
対象の特性を知る対象の数学モデルを使って特性を調べる
対象の数学モデルは微分方程式解法が複雑.システムの特性がわかりにくい...
システムのモデルを伝達関数表現微分方程式をラプラス変換した表現
L[x(t)] = X(s),Ldx(t)
dt
�= sX(s), x(0) = 0
Ld2
x(t)dt
2
�= s
2X(s), x(0) = 0, x(0) = 0
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1.3 伝達関数表現の特徴マスーばねーダンパシステムの伝達関数
My(t) + Dy(t) + Ky(t) = f(t)
すべての初期値を0として両辺をラプラス変換
様々な入力をシステムに加えた場合の出力(応答)を簡単に求めることができる
伝達関数
システムが持つ入力と出力の間の特性を知ることが可能
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1.3 伝達関数表現の特徴
出力である物体の変位
伝達関数表現の問題点Y (s)U(s)
= G(s) =1
Ms2 + Ds + K
y(t)がどのような応答になるのかはわかるが,速度 の応答は知ることが出来ない微分方程式をラプラス変換する際に「すべての変数の初期値を0」としている
はじめての現代制御理論 講義01
1.4 連立方程式の行列・ベクトル表現について
9
(y1 = a11x1 + a12x2
y2 = a21x1 + a22x2
連立1次方程式の行列・ベクトル表現
2
64
dx1(t)dt
dx2(t)dt
3
75 =d
dt
x1(t)x2(t)
�
連立微分方程式の行列・ベクトル表現8><
>:
dx1(t)dt
= a11x1(t) + a12x2(t)dx2(t)
dt
= a21x1(t) + a22x2(t)
はじめての現代制御理論 講義01
1.4 連立方程式の行列・ベクトル表現について
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連立微分方程式の行列・ベクトル表現8><
>:
dx1(t)dt
= a11x1(t) + a12x2(t) + b1u(t)dx2(t)
dt
= a21x1(t) + a22x2(t) + b2u(t)
この表現形式は本講義での最重要形式
はじめての現代制御理論 講義01
1.5 状態空間表現の基礎タンクシステムの例
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qi(t)
qo
(t)
h(t) R
CC
qi(t)q
o
(t)h(t):流入流量
:流出流量:水位:タンクの断面積
水位の変化を表す運動方程式C
dh(t)dt
= qi
(t) � qo
(t)
qi
(t) > qo
(t)の場合,水位は増加q
i
(t) < qo
(t)の場合,水位は減少q
i
(t) = qo
(t)の場合,水位の変化なし
R:出口抵抗流量が定常的な場合
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1.5 状態空間表現の基礎並列な2タンクシステムの例
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左タンク(添字1)
右タンク(添字2)
R1C1dh1(t)
dt= �h1(t) + R1qi1(t)
R2C2dh2(t)
dt= �h2(t) + R2qi1(t)
行列・ベクトル表現
はじめての現代制御理論 講義01
1.5 状態空間表現の基礎直列な2タンクシステムの例
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上段タンク(添字1)
下段タンク(添字2)
R1C1dh1(t)
dt= �h1(t) + R1qi1(t)
行列・ベクトル表現
R2C2dh2(t)
dt= �h2(t) + R2q
o1(t) = �h2(t) +R2
R1h1(t)
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1.5.3 システムの表現方法の違い直列な2タンクシステム
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上段タンク(添字1)R1C1
dh1(t)dt
= �h1(t) + R1qi1(t)
下段タンク(添字2)
入力を ,出力をとして伝達関数表現する
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直列な2タンクシステム入力を ,出力を
d
dt
h1(t)h2(t)
�=
2
64�
1R1C1
01
R1C2�
1R2C2
3
75h1(t)h2(t)
�+
2
41
C10
3
5 qi1(t)
行列・ベクトル表現では...
出力をつぎとする システムの状態変数
state variable
1.5.3 システムの表現方法の違い
はじめての現代制御理論 講義01
伝達関数表現
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入力を ,出力を
入力 に応じて出力が変化する の変化を知ることはできない
の変化を知るには出力をとして,改めて伝達関数を求める必要がある
1.5.3 システムの表現方法の違い
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行列・ベクトル表現d
dt
h1(t)h2(t)
�=
2
64�
1R1C1
01
R1C2�
1R2C2
3
75h1(t)h2(t)
�+
2
41
C10
3
5 qi1(t)
解くことで 両方の変化の様子を知ることができる
出力は
出力は
1.5.3 システムの表現方法の違い
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:状態変数ベクトル(状態ベクトル):係数行列:入力ベクトル
行列・ベクトル表現
:出力ベクトル:定数行列・定数ベクトル
に関して線形微分方程式かつシステムパラメータが定数
1.5.3 システムの表現方法の違い
はじめての現代制御理論 講義01
システムのモデル表現方法の違い
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1.5.3 システムの表現方法の違い
はじめての現代制御理論 講義01
1.6 線形システムと非線形システムについてタンクシステムの例
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qi(t)
qo
(t)
h(t) R
C
流量変化が定常値より大きくずれない
実際には
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1.6 線形システムと非線形システムについて非線形システムの一般形
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アフィンシステム
非線形システム 線形システム平衡点近傍で線形近似
線形時不変システム線形時変システム
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1.7 現代制御とは 対象となるシステムの表現方法
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伝達関数表現微分方程式をラプラス変換し,伝達関数表現をもとに周波数領域における制御系の設計・解析
状態空間表現微分方程式を行列・ベクトル表現し,時間領域における制御系の現代制御法によるアプローチ
はじめての現代制御理論 講義01
講義01のまとめ方程式の行列・ベクトル表現は行列とベクトルの掛け算がポイントである.伝達関数表現では出力に現れないシステム内部の変数の変化を考慮した制御系設計は難しい.連立微分方程式から状態空間表現を求めるには,注目する変数の関係に注意することが必要である.現代制御はシステムの状態空間表現を用いた時間領域における制御システムの解析・設計法である.
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