0912伊原 co2eor ccs.ppt [互換モード]...両技術が求められる背景①...

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CO 2 による採油増進法とCO 2 地下貯留 2 2 の実践的側面 WF: Water Flood / 水攻法 2009年12月17日 (SPE資料) 調査部 伊原 1 話のポイント 太陽からの吸収熱の増加が地球温暖化につながると 太陽からの吸収熱の増加が地球温暖化につながると いう理屈。温室効果ガスの濃度を地球のエコシステム が破壊しない程度に保つには 温室効果ガスの排出 が破壊しない程度に保つには温室効果ガスの排出 量を今後50年の間に6090%削減することが望まし いと議論 温室効果ガスの内 大気中のCO 濃度 いと議論温室効果ガスの内大気中のCO 2 濃度 は産業革命前の288ppmから現在380 ppm。濃度増 加は 産業や人間の活動起源というのが通説 加は産業や人間の活動起源というのが通説CO 2 濃度の削減策として、石油工学の見地から期待さ れる技術に CO による採油増進法(CO EOR)と れる技術にCO 2 による採油増進法(CO 2 -EOR)と CO 2 地下貯留両技術が求められる背景 両技術が求められる背景 技術メカニズム 実践的側面 2 実践的側面

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Page 1: 0912伊原 CO2EOR CCS.ppt [互換モード]...両技術が求められる背景① ・温室効果:地球に降り注ぐ太陽エネルギーは約70%が地表で吸収後、残

CO2による採油増進法とCO2地下貯留2 2

の実践的側面

WF: Water Flood / 水攻法

2009年12月17日

(SPE資料)

調査部 伊原 賢

1

話のポイント

太陽からの吸収熱の増加が地球温暖化につながると太陽からの吸収熱の増加が地球温暖化につながるという理屈。温室効果ガスの濃度を地球のエコシステムが破壊しない程度に保つには 温室効果ガスの排出が破壊しない程度に保つには、温室効果ガスの排出量を今後50年の間に60~90%削減することが望ましいとの議論 温室効果ガスの内 大気中のCO 濃度いとの議論。温室効果ガスの内、大気中のCO2濃度は産業革命前の288ppmから現在380 ppm。濃度増加は 産業や人間の活動起源というのが通説加は、産業や人間の活動起源というのが通説。CO2濃度の削減策として、石油工学の見地から期待される技術に CO による採油増進法(CO EOR)とれる技術に、CO2による採油増進法(CO2-EOR)とCO2地下貯留。

両技術が求められる背景両技術が求められる背景技術メカニズム実践的側面

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実践的側面

Page 2: 0912伊原 CO2EOR CCS.ppt [互換モード]...両技術が求められる背景① ・温室効果:地球に降り注ぐ太陽エネルギーは約70%が地表で吸収後、残

両技術が求められる背景 ①・温室効果: 地球に降り注ぐ太陽エネルギーは約70%が地表で吸収後、残り30%が宇宙に放射。入射する太陽光は可視・紫外線が主なため大気圏を

大部分通過 地表から出て行く時は赤外線が主で 大気中の気体分子(水大部分通過。地表から出て行く時は赤外線が主で、大気中の気体分子(水蒸気やCO2他)に半分以上吸収。吸収エネルギーの半分が宇宙へ、残り半

分が再び地表にむけて放射されるので、エネルギー収支にアンバランスが生じて地表が約35℃温まる生じて地表が約35℃温まる。・地表温度上昇: 化石燃料の消費により排出されたCO2は半分が地表に

吸収され、残り半分が大気中に残り、温室効果を増加。産業革命後、過去100年で地表温度は0.7℃程上昇。

3温室効果の概念 産業革命後の地表温度異常

(SPE資料)

両技術が求められる背景 ②・「温暖化と資源問題の現実的解法」としては 化石資源からの完全脱却を・「温暖化と資源問題の現実的解法」としては、化石資源からの完全脱却を想定した脱炭素社会へ一挙に移行しようとすべきではなく、いったん化石資源を中心に多様化と効率化を推し進め、節約の浸透を加えた準・低炭素社会を経由した後に 今世紀後半から化石資源依存性の低下とエネルギ 資源を経由した後に、今世紀後半から化石資源依存性の低下とエネルギー・資源利用の効率化・節約を一層進めた低炭素社会に移行。・CO2排出削減対策には、省エネの推進やエネルギーシステムの高効率化、

ガ ギ天然ガスなどの低炭素エネルギー源へのシフト、原子力や風力・太陽光などの再生可能エネルギーの技術的方策と炭素/環境税や排出権取引など市場原理を機能させる経済的かつ政策的方策が検討。

CO2排出削減対策

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技術メカニズム CO2-EOR ①・CO2は地下で圧力や温度が変化すると相変化を起こし、液体である油と同じ程度の密度を持ち、粘度は低いままなので、油を易動できる。石油工学的に言うと 圧入流体であるCO の易動度(モビリティ)を下げるこ・石油工学的に言うと、圧入流体であるCO2の易動度(モビリティ)を下げるこ

とにより、油の置換効率と掃攻率を改善し増油を図る。

圧力をあげると密度が急上昇するCO2 温度を下げると密度が急上昇するCO2

粘度(Viscosity)はそのまま

(SPE資料)

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粘度( y)はそのまま

技術メカニズム CO2-EOR ②

・密度は高いが粘度は低いので原油と混和(ミシブル)状態になりやすく 原油回収に結びつくなりやすく、原油回収に結びつく。・ビスカスフィンガリングも引き起こしにくく、油の置換効率を改善する。

ビスカスフィンガリングが起きるとうまく原油を回収できない原油を回 な

原油と混和(ミシブル)状態になったCO2による原油回収メカニズム (SPE資料)(石油技術協会資料)

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技術メカニズム CO2地下貯留 ①

・構造的・層序的トラップ、毛細

(SPE資料)

構 層 ラ 、 細管圧力による孔隙への残留、液体への溶解、鉱物化の計4形態。

・最初の圧入時には、構造的・層序的トラップがCO2貯蔵メカニ

ズムのメインであるが 時間経ズムのメインであるが、時間経過とともに、孔隙への残留や液体への溶解メカニズムが主体となる 構造的 層序的トラ プはなる。構造的・層序的トラップは、他の貯蔵メカニズムに比べ、圧力を地層が破壊しない程度に高めることで可能となり技術的難易度が低い。

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CO2の貯留メカニズム

技術メカニズム CO2地下貯留 ②・閉山した炭鉱や未採掘の炭田、枯渇した油ガス田、深いところにある帯水層が貯留の対象となる地層。

・帯水層は隙間が多く、ガス、水などの流体を透しやすい地層(例えば砂岩)帯水層 隙間 多く、 、水な 流体を透 やす 地層(例 砂岩)のことで、通常、隙は水(あるいは塩水)で満たされている。帯水層は広範囲に分布し貯留能力も高いため、CO2の貯蔵対象として特に注目。

8CO2の貯留対象となる地層イメージ

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CO2-EORとCO2地下貯留の実績別添カラー資料3あり

2 と 2地下貯留の実績

9( CO2CRCホームページ資料)

CO2-EORとCO2地下貯留の計画別添カラー資料4あり

2 と 2地下貯留の計画

10( CO2CRCホームページ資料)

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実践的側面 CO2-EOR ①・スクリーニングプロセス・経済性推定技術仕様の計算・技術仕様の計算

・EORの計画策定

EORの計画策定フロー

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(SPE資料)

実践的側面 CO2-EOR ②・超巨大油田に対するCO2-EOR。超巨大油田に対するCO2 EOR。・アブダビの発電所で排出されるCO2を回収し、CO2-EORも兼ねて地下隔離。原油の一・二次回収率が40%、CO2-EORによる追加の回収率が15%と試算と試算。・回収率の最大化、環境保全および天然ガスの有効利用を促進する一石三鳥のプロジェクト(アブダビ国営石油会社ADNOCの評価)。

12中東のADMA鉱区図 (石油技術協会資料)

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実践的側面 CO2地下貯留 ①・HCPV(Hydro Carbon Pore Volume)の40~80%に相当するCO2を圧入してCO2-EORは実施。圧入したCO2の半分はリサイクルして再圧入。・CO2地下貯留とはHCPVの100%に相当するCO2を圧入して地層内にダ2 貯 2

メージを与えずに長期間(1,000年程度)留め置くもの。・Permian BasinのCO2-EORプロジェクトから得られた「CO2の地下での動き」に係る情報や知見は、CO2地下貯留の実践的側面(計画・最適化)を検き」に係る情報や知見は、CO2地下貯留の実践的側面(計画 最適化)を検

討する際に重要と評価。(SPE資料)

13米国Permian BasinのCO2-EORからCO2地下貯留への展開

実践的側面 CO2地下貯留 ② (SPE資料)

問題点の改善

・法規制の整備・社会的受容性の形成法規制や貯留 スト低減に・法規制や貯留コスト低減に

則した技術進歩・現実的なリスク評価(掘削現実的なリスク評価(掘削、貯留層のシール性、岩石力学的安定性、シールからのCO22

拡散、CO2の鉱物化、貯留層内の流体の動き)モニタリング項目の充実(圧・モニタリング項目の充実(圧

入量、貯留層の圧力、坑井近傍における流体の飽和率、リ

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傍における流体の飽和率、リモートセンシング)

CO2地下貯留のワークフロー

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まとめ

世界の温室効果ガスの排出削減については、数値目標をいたずらに競うのではなく、現実を正しく理解したうえで持続社会実現に向けた合理的解決策を冷静に模索し 準・低炭化水素社会を経て低炭素社会へソフトランディングする道静に模索し、準・低炭化水素社会を経て低炭素社会へソフトランディングする道筋を示すことが大事。現状のマスメディアの報道は、ややもすれば情緒的、近視眼的になりやすい。

温室効果ガスの排出削減という問題解決に有用なツールに、石油工学の観点からは、「 CO2-EOR 」と「CO2地下貯留」が挙げられる。両方とも、地質評価、

模 ド地層コアを用いた室内実験、現場での小規模(パイロット)試験、フィールド試験という確実なステップを踏んで、CO2の物理的特性と地層特性との関係を明らかにし、行うことで初めて実施できるもの。技術のみならず、経済性検討やCO2圧入終了後のモニタリング技術の進歩も望まれるところ。

石油工学者としては、CO2-EORにて得た知見や経験をもとに、地中に貯留させ石油工学者としては、CO2 EORにて得た知見や経験をもとに、地中に貯留させたCO2をリークさせない環境保全への慎重な対処を実現するために、技術の進歩に貢献する責務。

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より詳細は、JOGMECホームページ「石油・天然ガスり詳細 、 ジ 油 天然資源情報」にアクセスいただければ幸いですhttp://oilgas-info.jogmec.go.jp/

来年も「海外石油天然ガス動向ブリーフィング」を宜しくお願いします

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