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mono BESS ●[べス] SINCE 1986~ VOL.71 西103 102 北欧に限らず、アルプスに隣接するフランス、 スイス、オーストリアなどの国々の山岳部でも ログハウスはよく作られていた。 有名な「アルプスの少女ハイジ」の住まいも ログハウスの山小屋である。工法や屋根の形、 装飾なども含めて、そのデザインは 14~16世紀くらいには完成していたそうだ。 Photo / Bess Text / Teruhiko Doi (WPP)

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mono

BESS●[べス]SINCE 1986~

VOL.71

ヨーロッパの民間伝承として

古くから語り継がれてきた

「三匹の子豚」の物語り。

一番目の子豚は藁で家を作り、

二番目の子豚は木の枝で

家を作ったが、共に狼に

吹き飛ばされてしまう。

しかし三番目の子豚が作った

レンガの家は

飛ばされなかった、という話。

石造りの家が

いかに頑丈かということを

子供心に感じた経験を持つ人も

少なくないだろう。

ただこの話、発祥が

ヨーロッパだったという点に

注目しなければならない。

そう、建築資源の問題だ。

ヨーロッパは南部を中心として

石造りの建造物が発達してきた。

逆に北部は

針葉樹林が多く、古くから

丸太造りの家が発達してきた。

その代表的な建築法がログハウス。

ログハウスはヨーロッパから

北アメリカにも広まり、

西洋建築のひとつの頂点

ともいえる存在となった。

このログハウスが日本で

注目されるようになったのは

1980年代に入ってから。

日本の気候風土に合った

新しいログハウスの概念を

構築したのが『BESS』なのである。103 102

北欧に限らず、アルプスに隣接するフランス、スイス、オーストリアなどの国々の山岳部でもログハウスはよく作られていた。有名な「アルプスの少女ハイジ」の住まいもログハウスの山小屋である。工法や屋根の形、装飾なども含めて、そのデザインは14~16世紀くらいには完成していたそうだ。

Photo / BessText / Teruhiko Doi(WPP)

monoログハウスといえばカナダのイメージだが、建築技術を持ったアメリカ移民たちの多くが230年ほど前のアメリカ独立戦争で大量の難民としてカナダに移動したのがその始まりと言われている。世界最大のログハウス、シャトーモンテベーロもカナダのケベック州にある。

ワンダーデバイス

「家は道具」というBESSの考え方をつきつめ、

「暮らしを楽しむための装置」

として開発された「ワンダーデバイス」。

家の構造を隠さず、

ひと目ですべてが見渡せる

ダイナミックさ、ラフさでありながら、

ディテールのスマートさが

スタイリッシュだと

大きな話題になっている。

住む人がどれだけ楽しめるのかを

基本に考えると、この家の形が

出来上がったというわけだ。

ガルバリウム鋼板を使った外装と

無垢の木で満たされた室内。

この相反する素材の融合もまた

新しい木の家の概念を作り上げた。

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monoログハウスは丸太を組み合わせて作るので、当然内側も丸太、と思われるかもしれないが、BESSでも使われる角ログやD型ログ、あるいは柱や梁だけ丸太を使用して壁には漆喰などを使うのもログハウスの範疇に入る。高床式の校倉造りで有名な国宝の正倉院などもログハウスの一種とされる。

日本の都市部にログハウスを建てる

その道筋はBESSから始まった

日本には日本の気候風土に合った

ログハウスを作るべきだ

 

BESSの前身である「ビ

ッグフット」が創業されたの

は1986年のこと。同年12

月から始まるバブル景気スタ

ートの年であり、世の中は好

景気に沸き始めていた。創業

メンバーが友人のログハウス

つくりを手伝ったことがきっ

かけとなって、木の家の魅力

に取りつかれ、その思いでビ

ジネスがスタートしたという。

 

そもそも日本という国は木

造建築の文化だ。周囲を海に

囲まれ、国土の70%近くは森

林(2010年調べでは森林

面積66%)である。つまり建

築資材として木材が最適だっ

たというよりも、木材しかな

かった状況が昔から続いてい

た。木造建築技術そのものも、

古くは飛騨の匠と呼ばれた

人々や、宮大工、船大工など

のプロフェッショナルたちに

よって連綿と受け継がれてき

た。8世紀に建立され、18世

紀に再建されたとはいえ、い

まなおその威容を残す世界遺

産、奈良の東大寺を始め多く

の木造建築がいまなお残る国

でもある。つまり、木造のさ

まざまな建築が歴史的にも試

行錯誤された国であり、この

場所が限られていたログハウ

スを都市部でも建てられるよ

うに、独自の燃焼試験などを

行って「準耐火性能認定」を

取得して、その道を切り開い

ていった。そして同社はログ

ハウスで得たノウハウを活か

した無垢の木をふんだんに使

い、それまでの木の家の概念

を変える新しい家のかたち、

楽しい暮らしを生み出し、ほ

どなくして大ヒットシリーズ

「ワンダーデバイス」を開発す

ることとなる。その後、和テ

イストの「程々の家」を開発

し、2008年にブランド名

をビッグフットからBESS

(Bigfoot Essential Slowlife

Sprit

)に変更。2009年には

累計1万棟を達成して、日本を

代表するログハウス&木造住

宅メーカーとなっていった。

年変化と共に家は味わい深い

姿に変化していく。それはま

るで、使い込んだ革製品のよ

うな風合いを見せてくれるよ

うになる。道具である、とい

うのはまさにそういう理由か

ら。住み続けて老朽化を待つ

家ではなく、外壁の塗装の塗

り替えや耐久性を維持するた

めのお手入れなど、手をかけ

ながら住み続けることで風格

の増す家という考え方だ。抜

群の断熱性や、結露を防ぐ天

然の調湿機能など、木という

素材が与えてくれる恵みを知

り尽くしたメーカーだからこ

そ、安心できる。

ローガンである『「住む」より

「楽しむ」BESSの家』とい

う考え方が固まっていった。

 

90年代の半ば頃までは、同

社はD型に製材した丸太を使

ったログハウスを販売。外観

はログハウスの魅力を残しな

がら、内装は平面の無垢材の

壁となるカントリーログハウ

スや、角型に製材された角ロ

グと呼ばれる材料を使ってよ

り住宅需要に配慮したファイ

ンカットログハウスなどのラ

インナップを広げていく。1

996年の時点で1000棟

の実績を残したが、それらの

多くは別荘や郊外での建築で

あった。

 

そして90年代後半に入り、

都市部でもログハウスの需要

が高まる時代になっていく。

法的な整備が充分でなく建築

 

家は道具である、と明言す

るBESSのログハウス。D

型に製材した丸太を使ったカ

ントリーログハウスや、角ロ

グを使ったファインカットロ

グハウスなどのラインナップ

がある。基本的な考え方は便

利さよりも豊かさ。つまりロ

グハウスに住むということは、

スイッチ一つですべてが解決

するわけではなく、自然木は

節もあればクラック(ひび割

れ)も起こるし、収縮や膨張

も起きる。したがって定期的

なメンテナンスは絶対必要に

なってくる。それなりに手の

かかる家なのだ。しかし、経

国の気候風土に合った建築は

永く受け継がれてきた遺産と

もいえるものなのである。だ

から日本の家づくりには、他

国とは異なる常識が多い。

 

そんな特殊な日本の市場に

おいて、創業したBESSが

最初に導入したのは丸太をそ

のまま積み上げていく〝ハン

ドヒューンログハウス〞だっ

た。ハンドヒューンというの

は、切り出された丸太の皮を

手で剥き、のこぎりやチェー

ンソーなどを使ってカットし

た手作り感覚のログハウスの

こと。機械でカットされた均

一な丸太や、機械加工で成型

された木材などを使うマシン

カットに対して〝ハンドカッ

ト〞とも呼ばれる。いわゆる

ワイルドでシンプルなログハ

ウスである。しかし、当時の

日本市場では、ログハウスと

いうのはほとんどが別荘需要

として建てられていた。次に

同社が導入したのは〝ドーム

ハウス〞(現にBESS

DO

ME)。この柱のない広い空間

を持つ究極の遊びの家(ドー

ムハウス)を導入し、多方面

から注目を集める一方で、企業

としての揺るがぬブランドス

工法や構造設計などかなりレベルの高い建築となるので、個人で作ると失敗が多い。BESSのドームハウスなら、その点は安心。↓オリジナルの木製フレーム&コネクタードーム

柱が少なく広々とした空間を得られるのがログハウス最大の魅力。同時に、夏涼しく冬暖かいという無垢材ならではの、天然のエアーコンディショナーのおかげで快適な生活が約束される。

消防法の規制が厳しい日本だが、太い無垢の木は燃えにくく、万一の火災にも逆に安心。これは表面に炭の層が出来て酸素の供給が遮断されるから。つまり太い木材は、燃焼が内部に及ぶ前に消えてしまうことが多い。

BESSのログハウスを代表するD型に製材された丸太(右)と、角ログ(上)。ログハウスの外観と、生活に優しい室内側のフラット面の両方を実現した、ログハウス用建築材料。

 

建築デザインを学んだ人や、70年

代に発刊された「ホールアースカタ

ログ/全地球カタログ」、あるいは

「宇宙船地球号」に関する文献を読ん

だ方ならご存知の、リチャード・バ

ックミンスター・フラー博士のジオ

デシック・ドーム。球に近い正多面

体構造のドームハウスは、フラー博

士が1947年に考案した。ジオデ

シックとは測地線という意味で、正

三角形に近い三角形で球体を細分割

し、球面を測地線を近似する線分の

集まりで構成してドームを作り上げ

る。柱や壁といった概念はそこにな

く、実に数学的かつ哲学的な建造物

である。富士山頂のレーダーもこの

ジオデシック形だった。柱や壁がな

いので広い空間が得られるため、当

初は万博などのパビリオン(有名な

のは1967年モントリオール万博

のアメリカ館)用に建てられ、考案

者の名前から、別名フラードームと

も呼ばれる。BESSドームもこの

理論をベースに設計されている。

未来を先取りしていた

ドームハウス

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monoBESSに関するお問い合わせは●総合展示場「BESSスクエア」☎03-3462-7000www.bess.jp

カントリーログハウス/本物ならではの大らかで温かみのある素材感満載。屋根まで伸びるおおきな吹きぬけとログの素材感を満喫できる。COOLとWARMという、暮らしのスタイルに合わせた2つのテイストが選べるのも嬉しい。

ファインカットログハウス/美しい白木に囲まれた明るい空間。自然の恵みはそのままに、北欧スタイルのシンプルなデザインと、日々の暮らしを充実させる居住性を兼ね備えたログハウス。都市部の街並みに映える住宅デザインとカラーリングが印象的である。

ジャパネスクハウス「程々の家」/日本古来の木造建築ではなく、いまの時代の感性に合った日本の家の姿がこれ。造り過ぎず、また飾り過ぎず、日本の感性を程 (々ほどほど)に楽しむための木の家。柱のない空間の広さに新しさを感じる。

あきつログハウス 季感の家/季感(きかん)の家は、季節の移ろいを日々の暮らしの中に呼び込む家。国産杉の風合いが活きる穏やかな和の佇まいでありながら、印象的なログ壁と白壁のコンビ―ネーション、光がたくさん入る開放的なデザインが新しい和のログハウス。

※価格は地域によって異なります。

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