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  • 1 特別管理産業廃棄物の詳細特別管理産業廃棄物の法的な位置付けは「第 1 章 行政概論 2-3 特別管理廃棄物」で概説しており、以下、この節では個別の特別管理産業廃棄物の種類、性状、基準を述べる。

    1-1 特別管理産業廃棄物の種類と性状特別管理産業廃棄物を大きく分類すると(1)廃油(燃焼性)、(2)廃酸・廃アルカリ

    (腐食性)、(3)感染性産業廃棄物(感染性)、(4)特定有害産業廃棄物の4種類に、輸入された特別管理産業廃棄物を加えたものとなる(詳細は P30表2. 2参照)。

    ●図1. 1 特別管理産業廃棄物の分類

    特別管理産業廃棄物の種類の概要を以下に示す。(1) 廃油(燃焼性)特別管理産業廃棄物である廃油(燃焼性廃油)は、「燃焼しにくい廃油を除く廃油」であり、燃焼しにくい廃油とは①タールピッチ類、②「揮発油類、灯油類及び軽油類を除いた廃油」である。つまり、揮発油類、灯油類、軽油類が廃油となったものが特別管理産業廃棄物の燃焼性廃油に該当することになる。なお、燃焼性を判断するための方法(引火点等)は規定されていないが、旧厚生省通知によれば、①事業活動によって排出される揮発油、灯油、軽油のうち廃油になったもの、②これらの油を使用することによって排出される引火点が70℃未満の廃油とされている。

    特別管理産業廃棄物

    特定有害産業廃棄物感染性産業廃棄物

    輸入された特別管理産業廃棄物

    廃油(燃焼性)廃酸・廃アルカリ(腐食性)

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  • ●図1. 2 特別管理産業廃棄物の廃油

    (2) 廃酸、廃アルカリ(腐食性)特別管理産業廃棄物である廃酸は、水素イオン濃度指数(pH)が2. 0以下の廃酸である。また、pHが12. 5以上の廃アルカリが特別管理産業廃棄物となる。

    (3) 感染性産業廃棄物(感染性)感染性廃棄物とは、医療関係機関等から生じ、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物、又はこれらのおそれのある廃棄物をいう。

    ●図1. 4 感染性産業廃棄物

    特別管理産業廃棄物の燃焼性廃油とは

    揮発油類、灯油類、軽油類が廃油になったもの

    揮発油類、灯油類、軽油類を使用することによって排出される廃油で引火点が70℃未満のもの

    引火点引火点引火点

    強酸 pH2.0 pH7.0 pH12.5 強アルカリ

    特別管理産業廃棄物の廃酸

    産業廃棄物の廃酸 産業廃棄物の廃アルカリ

    特別管理産業廃棄物の廃アルカリ

    ・病院、診療所・衛生検査所・介護老人保健施設・介護医療院・助産所・動物の診療施設・国又は地方公共団体の試験研究機関(医学、歯学、薬学、獣医学に係るものに限定)

    ・大学及びその付属試験研究機関(医学、歯学、薬学、獣医学に係るものに限定)

    ・学術研究又は製品の製造若しくは技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究を行う研究所(医学、歯学、薬学、獣医学に係るものに限定)

    注射針や輸血点滴セットなどの医療器材、ディスポーザル製品などで感染性病原体が含まれ、若しくは付着している又はそのおそれがある廃棄物

    ●図1. 3 特別管理産業廃棄物の廃酸、廃アルカリ

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  • 「感染性廃棄物処理マニュアル」では、感染性廃棄物の具体的な判断は、「形状の観点」、「排出場所の観点」及び「感染症の種類の観点」から行う。院内処理で、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)、乾熱滅菌、肝炎ウイルスに有効な薬剤又は加熱によって消毒する方法により不活化して、非感染性廃棄物としたものは、それぞれの産業廃棄物(又は一般廃棄物)になるので、注意する必要がある。1 ) 形状の観点 ① 血液、血清、血漿及び体液(精液を含む)(以下「血液等」という。) ②  手術等に伴って発生する病理廃棄物(摘出又は切除された臓器、組織、郭

    かく

    清せい

    に伴う皮膚等)

     ③ 血液等が付着した鋭利なもの ④ 病原微生物に関連した試験、検査等に用いられたもの2 ) 排出場所の観点   感染症病床、結核病床、手術室、緊急外来室、集中治療室及び検査室(以下「感染症病床等」という。)において、治療、検査等に使用された後、排出されたもの3 ) 感染症の種類の観点 ①  感染症法の一類、二類、三類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症の治療、検査等に使用された後、排出されたもの

     ②  感染症法の四類及び五類感染症の治療、検査等に使用された後、排出された医療器材、ディスポーザブル製品、衛生材料等(ただし、紙おむつについては、特定の感染症に係るもの等に限る)

    1)の形状に該当する廃棄物は直ちに感染性廃棄物とされ、 1)に該当しない廃棄物でも 2)の場所で排出された場合は感染性廃棄物とされる。また、 2)以外の場所で感染症の治療、検査等が行われた場合は、 3)により、感染症の治療、検査等に使用された廃棄物が感染性廃棄物となる。通常、医療関係機関等から排出される廃棄物は、「形状」、「排出場所」及び「感染症の

    種類」の観点から感染性廃棄物に該当するか否かを判断できるが、判断できない場合は、付着した廃棄物の形状、性状、付着の程度の違いにより、専門知識を有する者(医師、歯科医師及び獣医師)によって感染のおそれがあると判断される場合は感染性廃棄物とする。医療関係機関等からは、血液(廃アルカリ又は汚泥)、注射針(金属くず)、ビニールチューブ(廃プラスチック類)やその他の産業廃棄物が発生するが、これらのうち感染性のあるものを感染性産業廃棄物という(資料編 P284「資料27廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル(抜粋)」参照)。なお、感染性廃棄物はその性格上、一般廃棄物と産業廃棄物を分別して排出することが困難であることから、感染性産業廃棄物を処理できる許可業者は感染性一般廃棄物もあわせて処理できる(法第14条の 4第17項)。(4) 特定有害産業廃棄物特定有害産業廃棄物とは(図1. 5参照)、 PCB(ポリ塩化ビフェニル)に関連した産業

    廃棄物や廃水銀等、廃石綿等があり、さらに特定排出源(特定の事業場又は施設:施行令別表第3に掲げる施設等)から排出される燃え殻や汚泥等の産業廃棄物で、水銀等の有害物質の含有量や溶出濃度が環境省令で定める基準に適合しないものをいう(施行令第 2条

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  • の 4第 5号)。なお、指定下水汚泥(下水道法施行令第13条の 4の規定により指定された汚泥)は、現在まで指定されていないため存在せず、以下、記述を省略する。1 ) 廃 PCB等、PCB汚染物、PCB処理物(以下、「PCB廃棄物」という) ① 廃PCB等    廃 PCB 及び PCB を含む廃油で、例えば熱媒体や電気絶縁油として使用されたPCB及び PCBを含む廃油が該当する。

     ② PCB汚染物    PCB が塗布され、染み込み、付着し、又は封入された紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類、金属くず、陶磁器くず等で、例えばトランス、コンデンサ等の電気機器、蛍光灯の安定器、感圧複写紙、ウエス等が該当する(図1. 6参照)。

     ③ PCB処理物    廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したもので、環境省令で定める基準に適合しないものである。その判定基準(卒業基準:表1. 1)は PCB廃棄物を無害化処理し、 PCB廃棄物でなくなったか否かを判定する基準である(施行規則第 1条の 2 第 4 項)。PCB汚染油の処理済油、汚泥や廃酸・廃アルカリ等の残さ分について、 PCB卒業基準による検証を行い、適合していることを確認できれば適正に処理したことになる。しかし、不適合の場合は PCB処理物として再処理する必要がある。

    廃石綿等廃水銀等廃PCB等、PCB汚染物、PCB処理物

    有害金属等を含む産業廃棄物(廃油、鉱さい、ばいじん、燃え殻、汚泥、廃酸、廃アルカリ、基準不適合物)

    特定有害産業廃棄物

    ●図1. 5 特別管理産業廃棄物の特定有害産業廃棄物

    ●図1. 6 PCBの構造式及びPCB汚染物の例(コンデンサとその構造)

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  • ●表1. 1 廃 PCB等又は PCB汚染物を処分するために処理したものの判定基準(卒業基準※)種     類 基   準

    廃油 0.5㎎/㎏以下(含有量)廃酸・廃アルカリ 0.03㎎/L以下(含有量)廃プラスチック類・金属くず・陶磁器くず(次のいずれかの方法を採用)・洗浄液試験法・拭き取り試験法・部材採取試験法

    付着又は封入されていないこと。

    洗浄液:0.5㎎/㎏以下(含有量)面 積:0.1㎍/100㎠以下(付着量)部 材:0.01㎎/㎏以下(付着量)

    上記以外のもの(汚泥・燃え殻・ばいじん) 検液が0.003㎎/L以下(溶出量)※  卒業基準の検定方法は、「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法(旧厚生省告示第192号、平成 4年 7月)」で定められている。

       「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)」(平成13年法律第65号)は、 PCB廃棄物が長期にわたって処分されないままであることから、 PCB廃棄物の保管、処分等に必要な規制等を行うとともに、処理に必要な体制を速やかに整備することを目的に平成13年 7 月から施行されている。   PCB 特別措置法では、環境大臣が PCB 廃棄物処理基本計画を、都道府県知事等はPCB廃棄物処理計画を定め、 PCB廃棄物の適正な処理を総合的かつ計画的に、確実かつ適正に行えるようにしなければならないとしている。事業者は、平成39年(2027年) 3 月31日までに処分しなければならないとされているが、高濃度の PCB 廃棄物の処理を行っている中間貯蔵・環境安全事業㈱(JESCO)の全国 5 箇所の処理施設の計画的処理完了期限は、早いものでは平成30年度末でとなっている。(表1. 2)   そのため、平成28年に PCB特別措置法が改正され、現在使用中の PCB部品も含めて、早急な処分を行うよう規定された。   PCB 廃棄物の保管事業者が、原則政令で定める期間(処分期間)内に処分(または処分の委託)を行わない場合は、措置命令や罰則の対象になることも規定した。   高濃度の PCB廃棄物の保管事業者や PCB部品の使用者は、都道府県知事等が定めた処理計画に従い、速やかに処分を完了させる必要がある。   また、無害化処理の対象として、平成18年の環境省告示(最終改正平成29年)により、「低濃度 PCB廃棄物」が規定されている。これは、 PCB濃度が0. 5㎎/㎏を超過~5, 000㎎/㎏以下の PCB廃棄物と、非意図的に PCB汚染された微量 PCB汚染廃家電機器等は、低濃度 PCB廃棄物と定められている。なお、低濃度 PCB廃棄物については、収集・運搬に関するガイドラインが作成されている。   (資料編 P318 「資料29 低濃度 PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン「平成25年 6月(抜粋)」参照」。   低濃度 PCB 廃棄物を含め、保管事業者は、 PCB廃棄物の保管等を適正に行い、その状況を都道府県知事等に報告するとしている。

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  • 2 ) 廃水銀等及びその処理物   廃水銀等及びその処理物とは、次の①~③に該当する廃水銀等及び当該廃水銀等を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)である。 ①  次表の施設において生じた廃水銀等であって、水銀使用製品が産業廃棄物となったものに封入された廃水銀等を除くもの。

    施行規則別表第 1

    1水銀若しくはその化合物が含まれている物又は水銀使用製品廃棄物から水銀を回収する施設

    2 水銀使用製品の製造の用に供する施設3 灯台の回転装置が備え付けられた施設

    4水銀を媒体とする測定機器(水銀使用製品(水銀圧入法測定装置を除く。)を除く。)を有する施設

    5 国又は地方公共団体の試験研究機関6 大学及びその附属試験研究機関

    7学術研究又は製品の製造若しくは技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究を行う研究所

    ●表1. 2 高濃度 PCB廃棄物の処分期間

    事業名(実施場所) トランス・コンデンサ等の対象区域及び処分期間 安定器等・汚染物の対象区域及び処分期間

    北九州(福岡県北九州市若松区響町 1丁目)

    沖縄県・九州・中国・四国(17県)東海( 4県)の車載トランスの一部南関東( 1都 3県)のコンデンサの一部

    沖縄県・九州・中国・四国・近畿・東海( 2府25県)

    処分期間 平成30年(2018年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成31年(2019年)3月31日まで

    処分期間 平成33年(2021年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成34年(2022年)3月31日まで

    大阪(大阪府大阪市此花区北港白津 2丁目)

    近畿( 2府 4県)東海( 4 県)の車載トランスの一部及び特殊コンデンサの一部北海道・東北・甲信越・北関東・北陸( 1道15県)の特殊コンデンサの一部

    近畿( 2府 4県)の小型電気機器の一部

    処分期間 平成33年(2021年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成34年(2022年)3月31日まで

    処分期間 平成33年(2021年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成34年(2022年)3月31日まで

    豊田(愛知県豊田市細谷町 3丁目)

    東海( 4県)近畿( 2 府 4 県)のポリプロピレン等を使用したコンデンサの一部

    東海( 4県)の小型電気機器の一部

    処分期間 平成34年(2022年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成35年(2023年)3月31日まで

    処分期間 平成34年(2022年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成35年(2023年)3月31日まで

    東京(東京都江東区青海3丁目地先)

    南関東( 1都 3県)東海( 4県)の車載トランスの一部北海道・東北・甲信越・北関東・北陸( 1道15県)の大型トランスの一部

    南関東( 1都 3県)の小型電気機器の一部北九州事業所及び大阪事業所から発生する廃粉末活性炭

    処分期間 平成34年(2022年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成35年(2023年)3月31日まで

    処分期間 平成34年(2022年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成35年(2023年)3月31日まで

    北海道(室蘭)(北海道室蘭市仲町)

    北海道・東北・甲信越・北関東・北陸( 1道15県)

    南関東・北海道・東北・甲信越・北関東・北陸( 1都 1道18県)

    処分期間 平成34年(2022年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成35年(2023年)3月31日まで

    処分期間 平成35年(2023年)3月31日まで計画的処理完了期限 平成36年(2024年)3月31日まで

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  • 8農業、水産又は工業に関する学科を含む専門教育を行う高等学校、高等専門学校、専修学校、各種学校、職員訓練施設又は職業訓練施設

    9 保健所10 検疫所11 動物検疫所12 植物防疫所13 家畜保健衛生所14 検査業に属する施設15 商品検査業に属する施設16 臨床検査業に属する施設17 犯罪鑑識施設

     ②  水銀若しくはその化合物が含まれている産業廃棄物又は水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀。

      (なお、水銀使用製品の破損により漏洩した水銀は廃水銀には該当しない。) ③  上記①又は②に該当する廃水銀等を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る。)

        環境省令で定める基準とは、水銀の精製設備を用いて行われる精製に伴って生じた残さであること。

    3 ) 廃石綿等   特別管理産業廃棄物としての廃石綿等とは、飛散するおそれのあるものであり、具体的には以下のものである。 ①  廃石綿及び石綿を含み、又は石綿が付着している産業廃棄物で、石綿建材除去事業に係る吹付け石綿、石綿が飛散するおそれのある保温材、断熱材及び耐火被覆材、廃棄された防じんマスク等で石綿が付着しているおそれのあるもの

     ②  大気汚染防止法の特定粉じん発生施設で生じた石綿で、集じん施設で集められたもの

     ③  特定粉じん発生施設、集じん施設を設置する工場・事業場で用いられて廃棄された、防じんマスク等石綿が付着しているおそれのあるもの

     ④  輸入されたものであって、事業活動によって生じた石綿で、集じん施設で集められたもの及び廃棄された防じんマスク等で、石綿が付着しているおそれのあるもの

    ●図1. 7 石綿(アスベスト)及び保温材の例

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  • 4 ) 有害金属等を含む産業廃棄物   有害金属等を含む産業廃棄物とは、特定の排出源から排出される産業廃棄物で、金属等の有害物質の量が判定基準省令の判定基準を超えるもの及びトリクロロエチレン等の廃溶剤をいう。   特定有害産業廃棄物の廃溶剤とは、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1, 2‒ジクロロエタン、1, 1‒ジクロロエチレン、シス‒1, 2‒ジクロロエチレン、1, 1, 1‒トリクロロエタン、1, 1, 2‒トリクロロエタン、1, 3‒ジクロロプロペン、ベンゼン、1, 4‒ジオキサンを指す。   判定基準省令とは、「金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令(昭和48年総理府令第 5 号)」(表1. 3参照)であり、産業廃棄物に含まれる有害物質の含有量又は溶出量を規定している(資料編 P185「資料 5 特別管理産業廃棄物一覧表」、P188~ P190「資料 6~ 8特別管理産業廃棄物排出源別一覧表」参照)。   また、産業廃棄物に含まれる金属等の量は、環境大臣が定めた方法により検定した金属等の検出値による。

    例 1 )廃プラスチック類焼却施設で発生するばいじんに含まれる鉛又はその化合物が、溶出試験により0. 3㎎ /Lを超える場合は特定有害産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)となるが、石炭ボイラーで発生する同様のばいじんは特定有害産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)とはならない。

    例 2 )無機顔料製造業洗浄施設で発生する廃酸・廃アルカリであって、この溶液に鉛又はその化合物が、含有量試験により1㎎ /Lを超える場合は特定有害産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)となる。

       さらに、特定有害産業廃棄物を処分するために処理したものが、判定基準に適合しないものも、特定有害産業廃棄物とされている。したがって、その産業廃棄物及びその処理物が判定基準に適合すれば、特定有害産業廃棄物に該当しないことになる。   検定の方法は、「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法(平成 4年厚生省告示第192号)」に定められている。また、特定有害産業廃棄物等主な特別管理産業廃棄物の検定方法は、「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法(昭和48年環境庁告示第13号)」(検定方法告示)によることになっている。

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  • ●表1. 3 特定有害産業廃棄物の判定基準1)2)

    産 業 廃 棄 物

    有 害 物 質

    燃 え 殻ばいじん鉱 さ い

    汚  泥

    特定有害産業廃棄物を処分するために処理したもの 廃酸、廃アル

    カリ廃酸、廃アルカリ以外の場合

    廃酸、廃アルカリの場合

    試験方法(単位) 溶出試験(㎎/L以下) 3 ) 含有量試験(㎎/L以下) 3 )

    1アルキル水銀化合物 不検出4)9) 不検出4) 不検出4) 不検出4) 不検出4)

    水銀又はその化合物 0.005 0.005 0.005 0.05 0.052 カドミウム又はその化合物 0.095) 0.095) 0.095) 0.3 0.33 鉛又はその化合物 0.35) 0.35) 0.35) 1 1

    4 有機燐りん

    化合物6) ― 1 1 1 15 六価クロム化合物 1.55) 1.55) 1.55) 5 5

    6 砒ひ

    素又はその化合物 0.35) 0.35) 0.35) 1 17 シアン化合物 ― 1 1 1 18 PCB ― 0.003 0.003 0.03 0.039 トリクロロエチレン ― 0.1 0.1 1 110 テトラクロロエチレン ― 0.1 0.1 1 111 ジクロロメタン ― 0.2 0.2 2 212 四塩化炭素 ― 0.02 0.02 0.2 0.213 1,2-ジクロロエタン ― 0.04 0.04 0.4 0.414 1,1-ジクロロエチレン ― 1 1 10 1015 シス-1,2-ジクロロエチレン ― 0.4 0.4 4 416 1,1,1-トリクロロエタン ― 3 3 30 3017 1,1,2-トリクロロエタン ― 0.06 0.06 0.6 0.618 1,3-ジクロロプロペン ― 0.02 0.02 0.2 0.219 チウラム ― 0.06 0.06 0.6 0.620 シマジン ― 0.03 0.03 0.3 0.321 チオベンカルブ ― 0.2 0.2 2 222 ベンゼン ― 0.1 0.1 1 123 セレン又はその化合物 0.35) 0.35) 0.35) 1 124 1,4-ジオキサン 0.57) 0.5 0.5 5 5

    試験方法(単位) 含有量試験(値以下) 3 )

    25 DXN 8 ) 3ng-TEQ/g 3ng-TEQ/g 3ng-TEQ/g 100pg-TEQ/L 100pg-TEQ/L注  1 )判定基準は、総理府令第 5号、廃棄物処理法施行規則別表 2(廃酸・廃アルカリ)による。   2 )指定下水汚泥は省略。   3 )溶出試験の基準値は、溶媒中に溶出した濃度、含有量の基準値は廃酸、廃アルカリに含まれる濃度を示

    す。   4 )アルキル水銀化合物の不検出とは、アルキル水銀化合物の検出限界0. 0005㎎/Lをいう。   5 )金属類の基準値は、 3倍値基準(土壌に吸着されやすいことが考慮され、排水基準の 3倍の値が採用さ

    れている)である。   6 )有機燐

    りん

    化合物とは、パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン、EPN(オルトエチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネート)をいう。

       7 )ばいじん及びその処理物に適用。   8 )ダイオキシン類は、鉱さいを除いた燃え殻、ばいじん、汚泥及びその処理物に含まれる含有量を示す。     単位の ng:ナノグラム(1gの10億分の1、10- 9g)、pg:ピコグラム( 1 g の 1 兆分の 1、10-12g)     毒性等価換算量(TEQ : Toxicity equivalent quantity):ダイオキシン類は、通常は混合物として環境

    中に存在するので、摂取したダイオキシン類の毒性の強さは、各異性体の量にそれぞれの毒性等価係数(TEF : Toxicity equivalency factor)を乗じた値を総和した毒性等価換算量として表す。毒性等価係数は、最も毒性が強いとされる2, 3, 7, 8-TCDDの毒性を1とし、各異性体の毒性の強さを表したものである。

       9 )燃え殻を除く。

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  •  ① 廃油(廃溶剤)    ここでいう廃油は、(1)で記述した廃油(燃焼性廃油)とは異なり、有害性の強い廃溶剤である。

        廃溶剤は、水質汚濁防止法施行令別表第 1に規定する特定施設、写真感光材料製造業の溶解施設、表面処理施設から排出された揮発性物質である溶剤を廃棄したものである(資料編 P189「資料 7 特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(廃油)」参照)。

        なお、表面処理施設とは、表面処理剤としてトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1, 2‒ジクロロエタン、1, 1, 1‒トリクロロエタン、ベンゼン、1, 4‒ジオキサン等を用いる施設である。

        以上の施設から排出される廃溶剤は判定基準とは関係なく、特定有害産業廃棄物と規定されている。

     ② 鉱さい    鉱さいとは、高炉、平炉、転炉、電気炉で生じたスラグ、キューポラ溶鉱炉のノロ・ドロス等、さらには鋳物廃砂やサンドブラスト廃砂を指し、これらの産業廃棄物でアルキル水銀化合物及び水銀又はその化合物(Hg)、カドミウム又はその化合物(Cd)、鉛又はその化合物(Pb)、六価クロム化合物(Cr(Ⅵ))、砒素又はその化合物(As)、セレン又はその化合物(Se)が判定基準に適合しないものが対象である。なお、鉱さいについては、排出源の特定はないため、いずれの施設から排出された場合でも対象となる。

     ③ ばいじん  ア  水銀を含むばいじん:大気汚染防止法施行令別表第1に規定されるばい煙発生

    施設で生じたばいじんで、アルキル水銀化合物及び水銀又はその化合物(Hg)が判定基準に適合しないものである。なお、廃棄物の焼却施設で生じたばいじんは、Hgが対象となっていない。

      イ  カドミウム等重金属を含むばいじん:   ・ 大気汚染防止法施行令別表第1に規定されるばい煙発生施設で生じたばいじん

    で、Cd、鉛又はその化合物(Pb)、Cr(Ⅵ)、As、Se が判定基準に適合しないもの

       ・ 廃プラスチック類の焼却施設で生じたばいじんで、Cd、Pb、Cr(Ⅵ)、Se が判定基準に適合しないもの

       ・ 産業廃棄物焼却施設で生じたばいじんで、Cr(Ⅵ)、Asが判定基準に適合しないもの

        なお、個々の排出源については資料編 P188「資料 6 特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(ばいじん、燃え殻)」参照。

     ④ 燃え殻  ア  廃プラスチック類焼却施設で生じた燃え殻で、Cd、Pb、Cr(Ⅵ)、Se が判定基

    準に適合しないもの  イ  産業廃棄物焼却施設で生じた燃え殻で、Cr(Ⅵ)、Asが判定基準に適合しない

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  •     なお、個々の排出源については資料編 P188「資料 6 特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(ばいじん、燃え殻)」参照。

     ⑤ 汚泥    汚泥は、水質汚濁防止法施行令別表第 1に規定される特定施設、写真感光材料製造業の溶解施設、石油精製業の改質施設、貴金属精錬業の青化法精製施設、石油製品製造業の蒸留施設、及び廃溶剤の蒸留施設、アセチレン精製施設、表面処理施設等で生じた汚泥で、総Hg及びアルキルHg、Cd、Pb、有機燐化合物(O‒P)、Cr(Ⅵ)、As、シアン化合物(CN)、 Se、 PCB、揮発性物質(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1, 2‒ジクロロエタン、1, 1‒ジクロロエチレン、シス‒1, 2‒ジクロロエチレン、1, 1, 1‒トリクロロエタン、1, 1, 2‒トリクロロエタン、1, 3‒ジクロロプロペン、ベンゼン、1, 4‒ジオキサン)、農薬類(チウラム、シマジン、チオベンカルブ)がそれぞれ判定基準に適合しないものである(資料編 P190「資料 8 特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(汚泥、廃酸、廃アルカリ)」参照)。

     ⑥ 廃酸、廃アルカリ    「( 2)廃酸、廃アルカリ(腐食性)」に示したように、 pHが2. 0以下の廃酸及びpHが12. 5以上の廃アルカリは、著しい腐食性を有することから特別管理産業廃棄物に指定される。もう一つの基準として、 pHに関係なく、ここでいう廃酸、廃アルカリは、水質汚濁防止法施行令別表第1に規定される特定施設、写真感光材料製造業の溶解施設、石油精製業の改質施設、貴金属精錬業の青化法精製施設、石油製品製造業の蒸留施設、及び廃溶剤の蒸留施設、アセチレン精製施設、表面処理施設等から生じた廃酸、廃アルカリ並びに特定施設から生じた水、汚泥、廃酸、廃アルカリの処理施設で生じた廃酸、廃アルカリで、総Hg及びアルキルHg、Cd、Pb、O‒P、Cr(Ⅵ)、As、CN、Se、PCB、揮発性物質、農薬類がそれぞれ判定基準に適合しないものである(資料編 P190「資料 8特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(汚泥、廃酸、廃アルカリ)」参照)。

     ⑦  DXN(ダイオキシン類)に係るばいじん及び燃え殻とその処理物    DXNに係るばいじん、燃え殻は、 DXN特別措置法で定める特定施設の一つである廃棄物焼却炉で輸入廃棄物以外の産業廃棄物を焼却して生じたばいじん、燃え殻で、DXNが判定基準に適合しないものである(資料編 P188「資料 6特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(ばいじん、燃え殻)」参照)。

     ⑧ DXN汚泥とその処理物    DXNに係る汚泥は、排ガス洗浄施設のある廃棄物焼却炉で輸入廃棄物以外の産業廃棄物を焼却して生じた汚泥で、 DXNが判定基準に適合しないものである(資料編 P190「資料 8特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(汚泥、廃酸、廃アルカリ)」参照)。

     ⑨ 基準不適合処理物    基準不適合処理物(判定基準に適合しない処理物)とは、①~⑧の特定有害産業廃棄物の処理物で、その特定有害産業廃棄物に指定されている物質が判定基準に適合しないものである。

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  •     処理物が廃酸、廃アルカリである場合は、廃酸、廃アルカリに係る判定基準(平成 4 年厚生省告示第192号)を用い、廃酸、廃アルカリ以外の処理物の場合は判定基準省令の燃え殻等の判定基準により判定するとしている。

    (5) 輸入廃棄物由来の特別管理産業廃棄物輸入された産業廃棄物(法第 2条第 4項第 2号)を主に焼却関連施設で処理して生じたばいじん、燃え殻、汚泥、又はその処理物で判定基準等に適合しないものである。

    2 保管基準・処理基準

    2-1 (特別管理)産業廃棄物の保管基準排出事業者は、自己の産業廃棄物が運搬されるまでの間、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない(法第12条第 2 項)。このため、産業廃棄物の保管基準が定められている(施行規則第 8条)。また、特別管理産業廃棄物についても同様に、特別管理産業廃棄物の保管基準が定められている(法第12条の 2第 2項及び施行規則第 8条の13)。以下に、産業廃棄物の保管基準及び特別管理産業廃棄物の保管基準を示す(資料編P209「資料11産業廃棄物の保管基準」、P269「資料22(特別管理)産業廃棄物の保管基準(判定例)」参照)。(1) 産業廃棄物の保管基準①  保管場所の周囲に囲いが設けられていること。囲いは、保管する産業廃棄物の荷重が直接当該囲いにかかる場合には、当該荷重に対して構造耐力上安全であるものとする。②  見やすい箇所に産業廃棄物の保管に関して必要な事項を表示した掲示板が設けられていること。掲示板は縦及び横それぞれ60㎝以上とし、保管場所である旨、保管場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先、保管する産業廃棄物の種類、積み上げることができる高さ等を記載する(図2. 1参照)。

       また、石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等を保管する場合は、掲示板の「保管する産業廃棄物の種類」の欄にその旨を記載することが義務付けられている。

    ※屋外で容器を用いずに保管する場合

    60㎝以上

    産業廃棄物 保管場所

    管理者の名称及び代表者氏名本 社 所 在 地責 任 者 氏 名連 絡 先 電 話 番 号

    株式会社○×工業 代表取締役 日本一郎○○区△△町1―2―3日本次郎℡ 03(123)××××

    産 業 廃 棄 物 の 種 類 金属くず、廃プラスチック類、**、**

    最 大 保 管 高 さ※ 1.8m

    60㎝以上

    ●図2. 1 保管場所における掲示板の作成例

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  • 2-2 産業廃棄物の処理基準排出事業者が行う産業廃棄物の収集・運搬及び処分の基準(処理基準)は、施行令第 6条に定められている。法第14条第12項(特別管理産業廃棄物は法第14条の 4第12項)の規定により産業廃棄物処理業者の行う産業廃棄物の収集・運搬及び処分についても同一の処理基準が適用される。このように排出事業者の処理責任を全うする上でも、産業廃棄物処理業者に委託する場合でも処理基準の内容を理解することは重要である。以下に、産業廃棄物の主な処理基準を示す(資料編 P212「資料12産業廃棄物の収集運

    搬基準」~ P236「資料15産業廃棄物の処分(海洋投入処分)基準」参照)。(1) 産業廃棄物の収集運搬基準産業廃棄物の収集・運搬に当たっては、次によること。① 産業廃棄物が飛散し、及び流出しないようにすること。   収集又は運搬する時には産業廃棄物が飛散・流出しないように容器を使用したり、荷台にシートをかけたりする必要がある。   さらに、飛散し、及び流出しないような積込み方法の検討や産業廃棄物の種類によっては専用の運搬車両が必要になる。②  収集又は運搬に伴う悪臭、騒音又は振動によって生活環境の保全上支障が生じないように必要な措置を講ずること。③  石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等の収集・運搬を行う場合は、石綿含有産業廃棄物等が破砕されることのないような方法により、かつ、その他の物と混合するおそれのないように他の物と区分して、収集・運搬すること。④  運搬車を用いて産業廃棄物の収集・運搬を行う場合の基準   産業廃棄物の収集又は運搬を行う場合には、「氏名又は名称」等の事項を運搬車の車体の両側面に表示し、かつ、その運搬車に所定の書面を備え付けなければならない。   都道府県知事等の許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者のみでなく、自己の産業廃棄物を自ら運搬する排出事業者も対象となる。 運搬車の車体に表示する内容及び備え付ける書面を表2. 1に示す。

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  •  なお、表示する内容のうち、名称については、原則として登記簿上の名称と同じものを表示することとし、登記簿上の名称が容易に想像できないような略号や屋号単独による表示等は認められない(図2. 3参照)。⑤ 船舶を用いて産業廃棄物の収集・運搬を行う場合の基準   「④運搬車を用いて産業廃棄物の収集・運搬を行う場合の基準」とほぼ同内容の基準が適用される(資料編 P212「資料12産業廃棄物の収集運搬基準」参照)。⑥  産業廃棄物の収集又は運搬のための施設を設置する場合には、生活環境の保全上支障を生ずるおそれのないように必要な措置を講ずること。   積替作業及び保管に伴う騒音や振動の発生、悪臭の発散又は粉じんの飛散や産業廃棄物が野積みされ、放置されること等により生活環境の保全上支障が生ずることのないように必要な措置を講じる必要がある。⑦  運搬車、運搬容器及び運搬用パイプラインは、産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのないものであること。   この規定により、産業廃棄物が飛散し、及び流出し並びに悪臭が漏れるおそれのある変形した蓋の閉まらない容器を使用して、収集又は運搬をすることができないことになる。⑧  産業廃棄物の収集・運搬の途中で保管を行う場合は、通常、当該保管する産業廃棄物の数量が、当該保管の場所における1日当たりの平均的な搬出量に7を乗じて得ら

    ●表2. 1 車体に表示する内容及び備え付ける書面(施行規則第7条の2の2)

    排出事業者 産業廃棄物収集運搬業者

    表示方法 ・運搬車の車体の両側面に鮮明に表示・識別しやすい色の文字で表示

    車体への表示内容

    ①  産業廃棄物の収集運搬車であること② 氏名又は名称

    ① 産業廃棄物の収集運搬車であること② 氏名又は名称③ 許可番号(下 6桁)

    文字の大きさ

    上記①  →140ポイント(おおむね縦横50㎜)以上の大きさの文字及び数字上記②、③→90ポイント(おおむね縦横30㎜)以上の大きさの文字及び数字

    備え付ける書面

    以下の内容を記載した書面 ① 許可証の写し② 以下の書類のいずれか ア  紙マニフェストの場合   →交付されたマニフェスト イ  電子マニフェストの場合   →・ 電子マニフェストの使用を証する書

    面(加入証)の写し     (施行規則第 8条の31)    ・ 以下の内容を記載した書面あるいは

    電子データ(内容を容易に表示できること。通信による方法も可)

    ・氏名又は名称及び住所・ 運搬する産業廃棄物の種類及び数量・積載日・ 積載した事業場の名称、所在地、連絡先・ 運搬先の事業場の名称、所在地、連絡先

     ・ 運搬する産業廃棄物の種類及び数量

     ・委託者の氏名又は名称 ・積載日 ・積載した事業場の名称、連絡先 ・運搬先の事業場の名称、連絡先

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  • れる数量(保管上限)を超えないようにするとともに、次に示す環境省令で定める基準に適合する場合に限り認められている。   ただし、船舶を用いて産業廃棄物を運搬する場合であって、当該産業廃棄物に係る当該船舶の積載量が当該産業廃棄物に係る積替えのための保管上限を上回るとき、あるいは使用済自動車等を保管する場合は、この保管上限を適用しない。 ア あらかじめ、積替えを行った後の運搬先が定められていること。 イ  搬入された産業廃棄物の量が、積替えの場所において適切に保管できる量を超えるものでないこと。

     ウ 搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること。  なお、保管基準の具体的な内容は「2-1(1) 産業廃棄物の保管基準」P97の例による。

    【自己運搬車両の良い表示例】

    産業廃棄物収集運搬車株式会社 ○×産業

    産業廃棄物の収集運搬車両である旨が明確、正式な名称が表示されている。

    【自己運搬車両の悪い表示例】

     収集運搬車○▲商事

    産業廃棄物の収集運搬車両である旨が不明確、正式な名称と異なる屋号のみの表示となっている。

    排出事業者

    【良い表示例】

    産業廃棄物収集運搬車株式会社 ○×産業第123456号

    産業廃棄物の収集運搬車両である旨が明確、正式な氏名又は名称、許可番号下 6桁(許可業者のみ)が表示されている。

    【悪い表示例】

     収集運搬車○△商事第123号

    産業廃棄物の収集運搬車両である旨が不明確であり、氏名又は名称が屋号のみの表示で、許可番号が下 3桁で不適切な表示である。

    産業廃棄物収集運搬業者

    ●図2. 3 運搬車両の表示例

     事業者自身が排出する産業廃棄物を事業者自ら処分施設まで運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要である。ただし、その場合であっても、産業廃棄物の収集運搬基準が適用されるので注意が必要である。

    産業廃棄物の自己運搬

     建設工事に伴い生ずる(特別管理)産業廃棄物を、排出事業者がその事業場の外で自ら保管する場合(300㎡以上の保管場所で行う保管に限る)は、あらかじめ都道府県知事等に届け出なければならない。なお、非常災害の場合に必要な応急措置として事業場外で保管した場合は14日以内に届け出なければならない。

    建設業者による事業場外保管の届出義務

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    メニュー画面テキスト作成委員会委員特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会テキスト執筆者一覧 序文本書で用いる法令等の省略形 目次序章1 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の位置付け2 廃棄物処理法の概要2-1 廃棄物処理法の概要2-2 法体系等2-3 処理と処分

    3 廃棄物処理法と排出事業者4 特別管理産業廃棄物管理責任者5 特別管理産業廃棄物管理責任者の資格6 特別管理産業廃棄物管理責任者の役割7 都道府県知事等への報告

    第1章 行政概論1 廃棄物処理法の制定と改正の経緯1-1 廃棄物処理法の制定1-2 平成27年改正1-3 平成28年改正1-4 平成29年改正

    2 廃棄物2-1 廃棄物とは2-2 産業廃棄物と一般廃棄物2-3 特別管理廃棄物

    3 産業廃棄物処理の現状と問題点及び健全化3-1 産業廃棄物の処理の現状3-2 産業廃棄物処理業の市場原理の特質3-3 産業廃棄物処理の課題と対応3-4 産業廃棄物処理市場の健全化

    4 産業廃棄物の処理責任等4-1 事業者の責務4-2 国の責務4-3 地方公共団体の責務

    5 廃棄物処理計画6 保管基準・処理基準(概要)6-1 (特別管理)産業廃棄物の保管基準6-2 産業廃棄物の処理基準6-3 特別管理産業廃棄物の処理基準

    7 処理の委託7-1 委託基準7-2 再委託の禁止7-3 委託者への処理困難通知制度7-4 受託の禁止7-5 マニフェスト制度

    8 産業廃棄物処理施設の設置8-1 産業廃棄物処理施設8-2 技術管理者8-3 産業廃棄物処理責任者等8-4 許可の取消し等8-5 定期検査、維持管理等

    9 産業廃棄物の処理に係る特例9-1 再生利用認定制度9-2 広域認定制度9-3 無害化処理認定制度9-4 親子会社認定制度

    10 (特別管理)産業廃棄物の輸出入10-1 (特別管理)産業廃棄物の輸出の確認10-2 廃棄物の輸入の許可10-3 輸入された廃棄物の処理

    11 熱回収施設設置者認定制度12 廃棄物再生事業者13 投棄禁止(法第16条)14 焼却禁止(法第16条の2)15 指定有害廃棄物の処理の禁止(法第16条の3)16 有害使用済機器の保管等に関する届出制度(法第17条の2)17 報告の徴収、立入検査、改善命令、措置命令等17-1 報告の徴収(法第18条)17-2 立入検査(法第19条)17-3 改善命令(法第19条の3)17-4 措置命令等

    18 許可の取消し等と意見陳述、罰則等18-1 許可の取消し及び事業の停止18-2 意見陳述18-3 罰 則18-4 行政処分等の状況

    19 廃棄物処理センター20 情報処理センター21 産業廃棄物適正処理推進センター22 関係法令

    第2章 産業廃棄物の処理と管理1 特別管理産業廃棄物の詳細1-1 特別管理産業廃棄物の種類と性状

    2 保管基準・処理基準2-1 (特別管理)産業廃棄物の保管基準2-2 産業廃棄物の処理基準2-3 特別管理産業廃棄物の処理基準2-4 個別の処理

    3 (特別管理)産業廃棄物の処理の委託3-1 処理の委託とは3-2 委託契約3-3 委託契約のあり方3-4 委託契約書のあり方

    4 マニフェスト制度の仕組み4-1 マニフェスト制度の経緯4-2 紙マニフェスト4-3 電子マニフェスト4-4 紙マニフェストと電子マニフェストの関係4-5 マニフェスト制度違反に係る勧告制度及び罰則

    5 処理計画・帳簿5-1 処理計画の種類5-2 処理計画の実際5-3 帳 簿

    資料編資料1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(抜粋)資料2 廃棄物処理法改正の主な経緯資料3 特別管理産業廃棄物管理責任者の資格資料4 産業廃棄物の種類(例示)資料5 特別管理産業廃棄物一覧表資料6 特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(ばいじん、燃え殻)資料7 特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(廃油)資料8 特別管理産業廃棄物排出源別一覧表(汚泥、廃酸、廃アルカリ)資料9 特別管理産業廃棄物(廃石綿等)資料10 有害物質の特性等資料11 産業廃棄物の保管基準資料12 産業廃棄物の収集運搬基準資料13 産業廃棄物の処分(中間処理)基準資料14 産業廃棄物の処分(埋立処分)基準資料15 産業廃棄物の処分(海洋投入処分)基準資料16 産業廃棄物の委託基準資料17 特別管理産業廃棄物の保管基準資料18 特別管理産業廃棄物の収集運搬基準資料19 特別管理産業廃棄物の処分(中間処理)基準資料20 特別管理産業廃棄物の処分(埋立処分)基準資料21 特別管理産業廃棄物の委託基準資料22 (特別管理)産業廃棄物の保管基準(判定例)資料23 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外資料24 事業者の帳簿の備え付け資料25 指定有害廃棄物の処理資料26 罰則資料27 廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル(抜粋)資料28 PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン(平成23年8月改訂)(抜粋)資料29 低濃度PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン(平成25年6月)(抜粋)資料30 石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第2版)(抜粋)資料31 管理組織(参考事例)資料32 産業廃棄物管理規程(参考事例)資料33 産業廃棄物の個別管理方法〔チェックリスト〕(参考事例)資料34 感染性廃棄物処理計画書(記載例)資料35 廃石綿等処理計画書(記載例)資料36 産業廃棄物処理委託契約書資料37 紙マニフェストの記載例資料38 各種申請書等様式集資料39 都道府県・政令市の所管部署一覧表資料40 各都道府県協会一覧表資料41 国際単位系(SI単位)資料42 接頭語一覧表資料43 廃棄物関連情報(リンク)

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