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「Agile Japan 2016 長崎サテライト with NaITE」開催レポート
2016年 8月 6日
報告者:Agile Japan 2016 長崎サテライト 実行委員会
1 開催概要
2016年 7月 30日 Agile Japan 2016 長崎サテライト with NaITE を以下のように開催しました。
当日の長崎は酷暑に見舞われましたが、15人の参加者申込み者が全員遅刻無く定刻に始めることができ
るなど外に負けずに熱気あふれる雰囲気で開催することができました。
開催日時 2016年7月30日
開催場所 メルカつきまち 5F会議室
プログラム ■Agile Japan 2016 基調講演1
「スクラムがイノベーションを加速する 〜ソフトウェア以外にも適用されはじめたアジャイル〜」
Joe Justice 氏(President Scrum in Hardware、 Scrum Inc. )
■長崎独自セッション
「Are you ready?」 ツノダ シュン 氏(NaITE)、池田 暁 氏(NaITE)
■特別招待講演
「Gate of Agile Web Development」 伊藤 浩一 氏(永和システムマネジメント)
■Agile Japan 2016 基調講演2
「アジャイルな IoT プラットフォーム開発」 玉川 憲 氏(株式会社ソラコム)
■長崎独自トークセッション
「アジャトーーク!」 モデレータ:大月 美佳 氏(佐賀大学) トーカー:伊藤 氏、池田 氏
詳細ページ http://nagasaki-it-engineers.connpass.com/event/32873/
2 セッションの様子
長崎サテライトのセッションは、AgileJapan2016基調講演の録画再生2セッションの他、永和システムマ
ネジメント伊藤様による特別招待講演を実施、加
えて長崎独自セッションを2件実施しました。
本レポートでは、伊藤様による特別招待講演お
よび長崎サテライト独自セッションについてレポートい
たします。(Agile Japan 2016 基調講演につい
てのレポートは、Agile Japan 2016 関連のレポー
トをご参照ください)
※当日、会場にはマナスリンク社提供のアジャイルに関
するフリーペーパー「EM-ZERO」やエッセイ集である「ア
ジャイルの魂」も展示させていただきました。参加者は
興味深そうに手に取り、熱心に目を通していました。
2.1 長崎サテライト独自セッション「Are you Ready? 〜アジャイルプラクティス
の実践と実感〜」
長崎独自セッションでは、「Are you
Ready? 〜アジャイルプラクティスの実践
と実感〜」と題して、NaITE のツノダ シュ
ン 氏、池田 暁 氏が発表しました。アジ
ャイル開発に取り組むにあたり、多数ある
アジャイルプラクティスからどう選択し、どう
取り組んでいけばよいのか、実際に実践
してみての実感をもとに解説されました。
■導入するアジャイルプラクティスの選定(池田 暁 氏)
はじめに、多数あるアジャイル開発のプラクティスからどのように導入するものを選んでいけばよいのか、池田
暁 氏より説明されました。プラクティスを選定するにはまず全体としてどのようなプラクティスが存在し、自分達の
やり方に合うものはどれか検討する必要があります。アジャイル開発のプラクティスについて概要を調査するため
に、情報処理推進機構が国内のアジャイル開発実践者とまとめた「アジャイル型開発におけるプラクティス活用
事例調査」の報告書とリファレンスガイド」が参考になるとのことです。
■アジャイルプラクティスの実践と実感(ツノダ シュン 氏)
ツノダ シュン 氏より、プロジェクトでアジャイルプラクティスを実践した経験から、実践の中で出てきた問題点と
その対策、および実践してみての実感について発表しました。発表ではプランニングポーカー、タスクかんばん、バ
ーンダウンチャートなど多くのアジャイルプラクティスが取り上げられ、それぞれについて実践してみて困ったこととそ
の解決の仕方など、実感をからのアドバイスが提供されました。
■アジャイルスタートアップにおけるコツ、注意点(池田 暁 氏)
最後にアジャイルスタートアップにおけるコツや注意点に7つが紹介されました。例えば「開発ツールの利用が
必須となるプラクティスをプロジェクトで導入したい場合は、ツールの導入について問題はないか、ツールを動作さ
せるためのサーバスペックに問題はないかなど実現可能性を注視すべき」といった注意点のほか、契約形態に関
して考慮すべき事柄など、プラクティス導入を支援した立場から様々なアドバイスをいただきました。また、一度
は行ってみるべきアジャイル関連の勉強会イベントとして「Agile Japan」「XP 祭り」が紹介されました。勉強会
でアジャイルの勉強をしている人とも知り合えるので、よりアジャイルに関する情報を得やすくなるとのことです。
これら情報はこれからスタートアップしようとしている聴講者にとって参考になったようで、熱心に聴講しメモを取
っている姿が目立ちました。
(記:藤沢)
2.2 特別招待講演「Gate of Agile Web Development」
特別招待講演は「Gate of Agile Web Development」というタイトルで永和マネジメントシステムの伊
藤浩一氏に講演頂きました。
■アジャイル開発の歴史
ソフトウェア開発の歴史と、何故今アジャイル開発が必要とされているのかの説明がされました。ソフトウェアは
目に見えないため動作するソフトウェアがない状態では、要件検討が難しく、細かくプロセスを回して最小の機
能セットで市場に出す必要があり、それらを実現するアジャイルプロセスが登場してきたとのことです。ウォーターフ
ォールモデルの誤解や、ユーザに使われていない機能が 64%あるなど、幅広い分野から解説しておりとても勉
強になる内容でした。
■継続的デリバリーを支える技術
プログラマーとしての基礎技術かつ継続的デリバリーの基礎技術として下記の 3 つの説明がありました。
バージョン管理
テスティング
自動化
Pull Request を活用することで複数人のレ
ビューが入り、より良いコーディング、要件とのズレ
を修正した物のみがリリースされるとのことでした。
また、テスト駆動開発を活用することにより、更に
要件とのズレなどを早く気がつくことが出来るとい
う説明がありました。
更に、CI を自動化することでテストは
Jenkins に任せる事ができ、開発者は自分の
使用したいツールを使えることでモチベーションが上がり、生産性も向上するとのことでした。
■入門の先にある世界の話
基礎技術の先の話として、次 3 つが紹介されました。
相対見積もり
ブランチ戦略
緊急リリースに備える技術
相対見積もりや、緊急なリリースに備えるための gitの技術など、どれも実践的な内容になっていました。既
にアジャイル開発を導入している参加者にとっても有益な内容だったのではないでしょうか。
最後に社内広報のメールが紹介され、アジャイル開発を行い、個人がプロとして自覚を持って開発すること
で、高品質なソフトウェアを作成できるというお話がありました。「こんなにも不具合が発生しないシステムは初め
てです。」という声をお客様から頂いたという内容は、参加者にとってとてもインパクトがあったのでないかと思いま
す。
伊藤氏の講演では、アジャイル開発に関する幅広い内容を「現場での実践」と絡めて話すことが強く意識さ
れているように感じました。伊藤氏の講演資料をもとに、アジャイル開発に改めて勉強し、「実践」してみてはい
かがでしょうか。
(記:角田)
2.3 長崎サテライト独自トークセッション 「アジャトーーク!」
本トークセッションは「アジャトーーク!」」と題し、アジャイル開発についてフリーにトークするセッションです。
モデレータを大月美佳氏(佐賀代諾)、トーカーを本日講演いただいた伊藤浩一氏、池田暁氏によるトー
クセッションが行われました。トーカーそれぞれのアジャイルスタートアップをはじめ、それまでのセッションに関する Q
&A など、会場を巻き込んだトークが行われました。
■それぞれのアジャイルスタートアップ
はじめに、アジャイルのスタートアップはどうであったか?というテーマで、テスターという立場から池田氏、開発
者の立場から伊藤氏という切り口から、トークが開始されました。
池田氏は、品質保証部門の立ち上げと、アジャイルのブームが重なり、影響をうけたと話していました。テスト
でもアジャイプルプラクティスの実践や応用は有効であり、同じプラクティスを開発とテストがそれぞれ使っているこ
とからプラクティスレベルでの歩調あわせができ、結果として共同作業の円滑化に効果があったそうです。聴講者
から「まず最初に何から使い始めたのか」という質問には、テストと開発が同じチームとして情報を共有する「場」
を作るためにデイリーミーティングのプラクティスが有益だったという回答がありました。小さいことでも、きちんと意識
して実践すると効果が出るし大切なことだということです。
伊藤氏は、「エクストリームプログラミング」を読んだ時、「書かれている内容が間違っているのでは?」と思うほ
ど、衝撃だったそうです。またテストコードの書き方がわからず悩んだことや、「プラクティスを実践すればアジャイル
である」と思っていたこともあったそうです。しかし、アジャイルとして完成したフレームワークがあったプロジェクトに参
画することで、アジャイルについて理解できたということを話していました。
■アジャイル開発を軽快に維持する
ための開発環境や先進技術
他には、ツールに関するお話では「ア
ジャイル開発において、ツールの影響
は大きい。特に Git の進歩が大きく、
Heroku と連携してデプロイまで実施
できてしまう。」ということで、ツールを理
解して使いこなすことの重要性のお話
がありました。また、技術の最新動向
をみるには、コミュニティに参加して議論に参加したり、いわゆる「エッジの効いた人」がどういった技術に着目して
いるかをウォッチしたりするとよいとお話されました。
最後に、モデレータの大月氏が「この 20年で、ソフトウェア開発は大きく進歩してきた。そのなかでアジャイル
は大きな役割を果たしてきた。そうしたアジャイルの流れをキャッチアップしてほしい」ということでトークセッションを
締めくくりました。
アジャイルに現在取り組んでいる方、またこれからアジャイルに取り組もうとしている方々にとって、参考になる
セッションであったと思います。トーカーのお二方に強く影響を与えていたのが、書籍「エクストリームプログラミン
グ」であったようですので、まだ読んでいない方は、これを機会に読んでみてはいかがでしょうか。
(記:鈴木)
3 全体雑感・謝辞
本イベントは満席をもちまして最後まで熱を帯びて開催することができました。少し気が早いですが、来年もサ
テライト開催を検討していきたいと思いますので、このイベントをきっかけに長崎でもアジャイルをスタートアップして
いる方が増えていくと幸いです。
本イベントの開催にあたっては Agile Japan実行委員会様や事務局様は勿論、招待講演していただいた
永和システムマネジメント社の伊藤様やフリーペーパーをご提供いただいたマナスリンク社など沢山のお力添えを
いただきました。この場を借りて深く御礼を申し上げます。今後ともご支援いただければと存じます。
以上