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試験の概要
新しい「日本語能力試験」
試験の概要第 1 部
1. 新しい「日本語能力試験」
2010年より新しい「日本語能力試験」(以下、新試験)を実施します。
1-1 対象と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新試験は、現行の日本語能力試験(以下、現行試験)と同様に、原則として日本語を母語としない人を
対象とします。日本語を学んだり使用したりしている幅広い層の人の日本語能力を測定し、認定する
ことを目的としています。
1-2 改定のポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回の改定のポイントは次の四つです。
① 課題遂行のための言語コミュニケーション能力を測ります
新試験では、日本語に関する知識とともに実際に運用できる日本語能力を重視します。そのため、文
字・語彙・文法といった言語知識と、その言語知識を利用してコミュニケーション上の課題を遂行する
能力を測ります*1。
② レベルを4段階から5段階に増やします
新試験では、レベルを現行試験の4段階(1級、2級、3級、4級)から5段階(N1、N2、N3、N4、N5)
に増やします。新試験と現行試験とのレベルの対応は、下の通りです。大きく変わる点は、現行試験の
2級と3級の間にN3というレベルを新しく設けることです。
N1現行試験の1級よりやや高めのレベルまで測れるようになります。合格ラインは現行試験とほぼ同じです。
N2 現行試験の2級とほぼ同じレベルです。
N3 現行試験の2級と3級の間のレベルです。(新設)
N4 現行試験の3級とほぼ同じレベルです。
N5 現行試験の4級とほぼ同じレベルです。
「N」は「Nihongo(日本語)」、「New(新しい)」を表します。
*1:�詳しくは6ページ『1−3 「課題遂行のための言語コミュニケーション能力」とは』、25ページ「8−1 課題遂行のための言語コミュニケーション能力」を参照してください。
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試験の概要
新しい「日本語能力試験」
新しい「日本語能力試験」ガイドブック
③ 「得点等化」を行います
異なる時期に実施される試験では出題される問題が異なるので、どんなに慎重に作成しても、毎回の
試験の難易度が多少変動してしまいます。そこで新試験では、「等化」という方法によって、異なる時期
に実施された試験の得点を相互に比較可能な共通の尺度上で表します。その結果、同じレベルの試験
であれば、いつの試験を受けても得点を比べることができます。「等化」は、世界の主な言語試験で広く
採用されています。
④ 「日本語能力試験Can-do リスト」(仮称)を提供します
新試験では、各レベルの合格者が日本語を使用して実際にどのようなことができると考えているか
を調査した「日本語能力試験Can-do�リスト」(仮称)*2を提供します。このリストには、合格者が日本
語を使って実際にできそうだと考えていることの例が記述してあります。このような言語行動の例を
手がかりに、合格者本人やまわりの人々が、試験の結果をより具体的に理解できるようになることを目
指します。
*2:�詳しくは17ページ『6.�「日本語能力試験Can-do�リスト」(仮称)』を参照してください。
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試験の概要
新しい「日本語能力試験」
1-3 「課題遂行のための言語コミュニケーション能力」とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
わたしたちは生活の中でさまざまな「課題」に取り組んでいます。たとえば、「地図を見ながら目的の
場所まで行く」とか「説明書を読みながら電気製品を使う」などです。課題には言語を必要とするもの
もあれば、そうでないものもあります。
言語を必要とする課題を遂行するためには、文字や発音、語彙に関する知識、語をつなげて文を作る
文法の知識、文をどの順番でどのように言えばよいかを判断するための知識などの「言語知識」が必要
です。また、目の前の課題に合わせて自分が持っている言語知識を実際に利用する力も必要です。
たとえば、「天気予報を聞いて、東京の明日の天気を知る」という課題について考えてみましょう。「東
京の明日の天気を知る」には、「晴れ、くもり、雨」などの天気を表わす語や、「東京は明日は晴れでしょ
う」という文の構造、また、予報の説明の順番などの知識が必要です。さらに、予報で取り上げられる
たくさんの場所の中から、東京の天気だけを聞き分けることも必要です。
このような「文字・語彙・文法といった言語知識と、その言語知識を利用してコミュニケーション上
の課題を遂行する能力」を、新試験では「課題遂行のための言語コミュニケーション能力」と呼びます。
新試験では、「課題遂行のための言語コミュニケーション能力」を下の「言語知識」「読解」「聴解」の三
つに分けて測ります*3。
言語知識 課題遂行に必要な、日本語の文字・語彙や文法に関する知識
読 解 言語知識を利用しながら、文字テキストを理解して、課題を遂行する能力
聴 解 言語知識を利用しながら、音声テキストを理解して、課題を遂行する能力
解答は現行試験と同様に、多枝選択*4によるマークシート方式で行います。なお、話したり書いたり
する能力を直接測る試験科目はありません。
*3:�詳しくは18~24ページ「7.�新試験の構成と大問のねらい」、41~58ページ「9.�問題解答上の留意点」、『新しい「日本語能力試験」問題例集』を参照してください。
*4:�本ガイドブックでは、用語として「選択肢」ではなく、「選択枝」を使います。
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試験の概要
認定の目安
新しい「日本語能力試験」ガイドブック
2. 認定の目安
新試験にはN1、N2、N3、N4、N5の五つのレベルがあります。最もやさしいレベルがN5で、最も
難しいレベルがN1です。
現行試験から大きく変わる点は、レベルが現行試験の4段階から5段階に増えることです。これま
で、3級に合格した人から「なかなか2級に合格できない」という声が多くありました。このような状
況に対応するため、現行試験の2級と3級の間にN3というレベルを新しく設けます。
新試験のレベル認定の目安は、表1のように「読む」「聞く」という言語行動で表します。この表には
記述していませんが、それぞれの言語行動を実現するための言語知識も必要です。
N4とN5では、主に教室内で学ぶ基本的な日本語がどのぐらい理解できるかを測ります。N1とN2
では、現実の生活の幅広い場面での日本語がどのぐらい理解できるかを測ります。そして、新しく設け
るN3は、N1、N2とN4、N5の「橋渡し」のレベルです。それぞれのレベルで、具体的にどのような素
材(テキスト)を「読む」、または「聞く」かについては表1を参照してください。
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試験の概要
認定の目安
■ 表1 新しい「日本語能力試験」認定の目安
レベル
認定の目安
各レベルの認定の目安を【読む】【聞く】という言語行動で表します。それぞれのレベルには、これらの言語行動を実現するための言語知識が必要です。
N1
幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
・ 幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の構成や内容を理解することができる。
・ さまざまな話題の内容に深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な表現意図を理解することができる。
・ 幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる。
N2
日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語を、ある程度理解することができる
・ 幅広い話題について書かれた新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで文章の内容を理解することができる。
・ 一般的な話題に関する読み物を読んで、話の流れや表現意図を理解することができる。
・ 日常的な場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの、まとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解したり、要旨を把握したりすることができる。
N3
日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
・ 日常的な話題について書かれた具体的な内容を表す文章を、読んで理解することができる。
・ 新聞の見出しなどから情報の概要をつかむことができる。
・ 日常的な場面で目に触れる範囲の難易度がやや高い文章は、言い換え表現が与えられれば、要旨を理解することができる。
・ 日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を、登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。
N4
基本的な日本語を理解することができる
・ 基本的な語彙や漢字で書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。
・ 日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。
N5
基本的な日本語をある程度理解することができる
・ ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文、文章を読んで理解することができる。
・ 教室や、身の回りなど、日常生活の中でもよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができる。
むずかしい
やさしい
読む
読む
読む
読む
読む
聞く
聞く
聞く
聞く
聞く
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試験の概要
試験科目
新しい「日本語能力試験」ガイドブック
*5:�聴解は、試験問題の録音の長さによって試験時間が多少変わります。
3. 試験科目
新試験の試験科目と試験時間は表2の通りです。
■ 表2 試験科目と試験時間*5
レベル試験科目
(試験時間)
N1言語知識(文字・語彙・文法)・読解
(110分)聴解
(60分)
N2言語知識(文字・語彙・文法)・読解
(105分)聴解
(50分)
N3言語知識(文字・語彙)
(30分)言語知識(文法)・読解
(70分)聴解
(40分)
N4言語知識(文字・語彙)
(30分)言語知識(文法)・読解
(60分)聴解
(35分)
N5言語知識(文字・語彙)
(25分)言語知識(文法)・読解
(50分)聴解
(30分)
N1とN2の試験科目は「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」と「聴解」の2科目です。N3、N4、N5
の試験科目は、「言語知識(文字・語彙)」「言語知識(文法)・読解」「聴解」の3科目です。
N3、N4、N5では、出題される漢字、語彙、文法項目の数が少ないので、N1、N2と同じように「言語
知識(文字・語彙・文法)・読解」で試験をすると、いくつかの問題がほかの問題のヒントになることが
あります。それを避けるために、「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」を「言語知識(文字・語彙)」と「言
語知識(文法)・読解」に分けて、試験を実施します。
試験科目は「言語知
識(文字・語彙・文
法)・読解」と「聴解」
の2科目。
試験科目は「言語知
識(文字・語彙)」、「言
語知識(文法)・読
解」、「聴解」の3科目。
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4. 試験の結果
4-1 尺度得点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現行試験の得点は、正答数にもとづく「素点」で表示しています。それに対して、新試験の得点は「尺
度得点」で表示します。
「尺度得点」とは、「等化*6」を行って得られる得点です。以下、本ガイドブックでは新試験の「尺度得
点」のことを、「得点」と呼びます。
4-2 試験結果の表示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新試験では、試験結果を表3の得点区分にしたがって表示します。N1、N2、N3の得点区分は「言語
知識(文字・語彙・文法)」「読解」「聴解」の3区分です。N4、N5の得点区分は「言語知識(文字・語彙・
文法)・読解」と「聴解」の2区分です。
N4とN5で「言語知識(文字・語彙・文法)」と「読解」を一つにまとめるのは、日本語学習の基礎段階
にあるN4とN5では「言語知識」と「読解」の能力で重なる部分が多いので、「読解」だけの得点を出す
よりも、「言語知識」と合わせて得点を出すことが学習段階の特徴に合っていると考えるためです。
■ 表3 レベル別得点区分と得点の範囲
レベル 得点区分 得点の範囲
N1
言語知識(文字・語彙・文法)読解聴解
0�~�600�~�600�~�60
総合得点 0�~�180
N2
言語知識(文字・語彙・文法)読解聴解
0�~�600�~�600�~�60
総合得点 0�~�180
N3
言語知識(文字・語彙・文法)読解聴解
0�~�600�~�600�~�60
総合得点 0�~�180
N4言語知識(文字・語彙・文法)・読解聴解
0�~�1200�~�60
総合得点 0�~�180
N5言語知識(文字・語彙・文法)・読解聴解
0�~�1200�~�60
総合得点 0�~�180
試験の概要
試験の結果
*6:�詳しくは16ページ「5.�得点等化」を参照してください。
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各レベルの得点の範囲は、表3に示した通りです。N1、N2、N3では「言語知識(文字・語彙・文法)」「読
解」「聴解」の得点範囲はそれぞれ0~60点で、三つを合計した総合得点の範囲は0~180点です。「言
語知識(文字・語彙・文法)」「読解」「聴解」の総合得点に占める割合は、1:1:1です。
N4、N5では「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」の得点範囲は0~120点、「聴解」の得点範囲は0
~60点で、二つを合計した総合得点の範囲は0~180点です。「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」と
「聴解」の総合得点に占める割合は2:1となっています。なお、「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」
の得点は、「言語知識(文字・語彙・文法)」と「読解」とに分けることはできません。
また新試験では、全てのレベルにおいて、総合得点に占める「聴解」の割合が3分の1となり、現行試
験の4分の1に比べて高くなります。
4-3 合否の判定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現行試験では総合得点で合否判定を行っています。それに対して、新試験では総合得点と、各得点区
分の基準点の二つで合否判定を行います。基準点とは、各得点区分で少なくともこれ以上が必要とい
う得点です。得点区分の得点が一つでも基準点に達していない場合は、総合得点がどんなに高くても
不合格になります。新試験で各得点区分に基準点を設ける目的は、学習者の日本語能力を総合的に評
価するためです。
総合得点と各得点区分の基準点による合否判定の詳細は2010年に決定します。
試験の概要
試験の結果
新しい「日本語能力試験」ガイドブック
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試験の概要
試験の結果
4-4 試験結果の通知・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
図1は新試験のN1、N2、N3受験者向けと、N4、N5受験者向けの「合否結果通知書」の一部を示した
ものです。①は得点区分別の得点(尺度得点)です。②は①を合計した総合得点です。③は今後の日本
語学習のための参考情報です。正答率をもとにA、B、Cの三段階で表示します。Aは正答率が67%以上、
Bは34%以上67%未満、Cは34%未満です。なお、この参考情報は、合否判定の対象ではありません。
■ 図1 成績の例(「合否結果通知書」より一部抜粋。実際の書式は変更される場合があります。)
N1、N2、N3
得点区分別得点
総合得点言語知識(文字・語彙・文法)
読 解 聴 解
参考情報
文字・語彙 文 法
N4、N5
得点区分別得点
総合得点言語知識(文字・語彙・文法)・読解
聴 解
参考情報
文字・語彙 文 法 読 解
12
①
①
②
②
③
③
得点区分別の得点(合否判定対象)
参考情報
総合得点(合否判定対象)
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試験の概要
試験の結果
新しい「日本語能力試験」ガイドブック
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N1、N2、N3の参考情報は、「言語知識(文字・語彙・文法)」の「文字・語彙」と「文法」について表示
します。この参考情報によって「言語知識(文字・語彙・文法)」の「文字・語彙」と「文法」が、それぞれ
どのぐらいできたかがわかります。
N4とN5の参考情報は、「言語知識(文字・語彙)・読解」の「文字・語彙」、「文法」、「読解」について表
示します。この参考情報によって「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」の「文字・語彙」「文法」「読解」が、
それぞれどのぐらいできたかがわかります。
なお、N1、N2、N3の「読解」と、全てのレベルの「聴解」では、単独で尺度得点が表示されますので、
参考情報はありません。
たとえば、N3を受験したYさんの例では、「言語知識(文字・語彙・文法)」について、参考
情報を見ると「文字・語彙」はA(正答率67%以上)で「よくできた」こと、「文法」はC(正答率
34%未満)で「あまりできなかった」ことがわかります。
■ 例 N3を受験したYさんの成績情報
得点区分別得点
総合得点言語知識(文字・語彙・文法)
読 解 聴 解
参考情報
文字・語彙 文 法
A よくできた(正答率67%以上)
B できた(正答率34%以上67%未満)
C あまりできなかった(正答率34%未満)
5060
3060
4060
120180
A C
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試験の概要
試験の結果
4-5 試験科目と得点区分の対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新試験では、試験を受けるときの「試験科目」と、試験の結果を受け取るときの「得点区分」は、表4の
ように対応しています。
N1とN2では、試験科目「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」の得点は、「言語知識(文字・語彙・文法)」
と「読解」の二つの区分で表示されます。「聴解」は試験科目と得点区分が一致しています。
N3では、試験科目「言語知識(文字・語彙)」と「言語知識(文法)・読解」の得点は、「言語知識(文字・
語彙・文法)」と「読解」の二つの区分で表示されます。「聴解」は試験科目と得点区分が一致しています。
N4とN5では、試験科目「言語知識(文字・語彙)」と「言語知識(文法)・読解」の得点は、「言語知識(文
字・語彙・文法)・読解」の一つの区分で表示されます。「聴解」は試験科目と得点区分が一致しています。
このような対応になっているのは、各レベルの学習段階の特徴に合わせた試験を実施することで、
より正確な日本語能力を測定することを重視するためです。
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試験の概要
試験の結果
新しい「日本語能力試験」ガイドブック
■ 表4 試験科目と得点区分の対応
レベル 試験科目
N1
N2
言語知識(文字・語彙・文法)・読解
聴 解
N3
言語知識(文字・語彙)
言語知識(文法)・読解
聴 解
N4
N5
言語知識(文字・語彙)
言語知識(文法)・読解
聴 解
得点区分 得点の範囲
言語知識(文字・語彙・文法) 0�~�60
読 解 0�~�60
聴 解 0�~�60
言語知識(文字・語彙・文法) 0�~�60
読 解 0�~�60
聴 解 0�~�60
言語知識(文字・語彙・文法)・読解
0�~�120
聴 解 0�~�60
N1とN2では、「言語知識(文字・
語彙・文法)」と「読解」を一つの試験
科目として試験を実施しますが、N3、
N4、N5では、「言語知識(文字・語彙)」
と「言語知識(文法)・読解」の二つの
試験科目で実施します。
これは、N3、N4、N5では、出題さ
れる語彙、漢字、文法項目の数が少な
いので、「言語知識(文字・語彙・文法)・
読解」の一つの試験科目にするといく
つかの問題がほかの問題のヒントに
なることがあるためです。
N1、N2、N3では、「言語知識(文字・語
彙・文法)」と「読解」をそれぞれ独立した
能力として測定し、得点区分を分けます
が、N4とN5では、「言語知識(文字・語彙・
文法)」と「読解」を一つの得点区分にまと
めます。
N4とN5で「言語知識(文字・語彙・文
法)」と「読解」を一つにまとめるのは、日
本語学習の基礎段階にあるN4とN5では
「言語知識」と「読解」の能力で重なる部分
が多いので、「読解」だけの得点を出すより
も、「言語知識」と合わせて得点を出すこと
が学習段階の特徴に合っていると考える
ためです。
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試験の概要
得点等化
5. 得点等化
異なる時期に実施される試験では出題される問題が異なるので、どんなに慎重に作成しても、毎回の
試験の難易度は多少変動してしまいます。
そこで新試験では、「等化」という方法によって、異なる時期に実施された試験の結果を共通の尺度上
の得点で表わして相互に比較できるようにします。
等化には次のようなメリットがあります。
① 試験の得点が試験の難易度の影響を受けないので、合否判定の基準が一定し、公平さが保たれる。
② 異なる時期に実施された試験の得点が比較できるため、受験者が自分の日本語能力の伸びを確認し
たり、次の学習目標を設定したりすることができる。
たとえば、Zさんがある年の7月と12月にN2を受験したとして、得点区分の「聴解」の結果
を表5に示します。この2回の試験は、7月より12月のほうが難しかったとします。Zさん
がどちらの回でも全20問中10問に正答した場合、正答数だけを比べればZさんの能力には
変化がないように見えます。一方、等化によって得られた尺度得点は、7月は30点、12月は
35点で、難しかった12月の試験の得点が高く示されています。
このように、試験の結果を尺度得点で表示することによって、試験の難易度の影響を受けず
に、受験者が自分の能力の伸びを確認できるようになります。
■ 表5 ZさんのN2「聴解」試験の結果
7月 12月
「聴解」の正答数 20問中10問 20問中10問
等化された「聴解」の尺度得点
30点 35点
*表中の問題数および得点の数字は説明のために出した例で、実際の尺度得点表示によるものではありません。
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試験の概要
「日本語能力試験C
an-do�
リスト」(仮称)
新しい「日本語能力試験」ガイドブック
6. 「日本語能力試験Can-do リスト」(仮称)
試験の得点や合否判定だけでは、実際の生活で日本語を使って具体的に何ができるのかがわかりま
せん。そこで、新試験では、試験の結果を解釈するための参考情報として「日本語能力試験Can-do�リ
スト」(仮称)を提供します。
「日本語能力試験Can-do�リスト」(仮称)は、各レベルの合格者が日本語でどのような言語行動がで
きると「考えているか」を調査して、その結果をレベルに対応する形にまとめたものです。現在作成中
のリストから、言語行動の記述例の一部を紹介します。
■ 「日本語能力試験Can-do リスト」(仮称)の記述例
聞 く 学校や職場、公共の場所でのアナウンスを聞いて、大まかな内容が理解できる。
話 す アルバイトや仕事の面接などで、希望や経験を詳しく述べることができる。
読 む 関心のある話題に関する新聞や雑誌の記事を読んで、内容が理解できる。
書 く 感謝や謝罪、感情を伝える手紙やメールが書ける。
*上の記述例に対応するレベルは現在調査中のため示していません。
実際の「日本語能力試験Can-do�リスト」(仮称)では、上のような「聞く・話す・読む・書く」の技能
別に記述された言語行動が、新試験の各レベルとどう対応しているかを示します。合格者本人やまわ
りの人々がこのリストを参照することで、「このレベルの合格者は、学習・生活・仕事の場面で日本語を
使って何ができそうか」を推測することができます。このように、試験結果の解釈のための参考情報と
して利用されることを意図しています。
ただし、「日本語能力試験Can-do�リスト」(仮称)は合格者の自己評価を基にしたリストであるため、
あるレベルの合格者全員が「○○できる」ことを保証するものではなく、そのレベルの合格者ができる
と考えていることを表すものです。
「日本語能力試験Can-doリスト」(仮称)は、2010年度中に提供します。