10 nec vision nec vision 201710年先を見つめて for social value creation nec vision 2017...

24
10 年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017

Upload: others

Post on 31-May-2020

3 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

10年先を見つめて

for Social Value CreationNEC Vision 2017

日本電気株式会社

NEC Visionサイト社会価値創造に向けたビジョンや最新の取り組みなどをご紹介しています

〒108-8001 東京都港区芝五丁目7番1号TEL:(03)3454-1111(大代表)http://jpn.nec.com/profile/vision/

©NEC Corporation 2016Printed in Japan

Cat.No.16110041J

本資料に表記されている会社名、製品名は一般に各社の登録商標または商標です。

本資料には日本電気株式会社および連結子会社の戦略、財務目標、技術、製品、サービス、業績などの将来予想に関する記述が含まれています。詳細については下記URLをご覧ください。http://jpn.nec.com/profile/vision/notice.html

商標について

将来予想に関する注意

Page 2: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

▶ 15

▶ 16

▶ 18

▶ 20

▶ 21

▶ 22

▶ 23

▶ 04

▶ 06

▶ 08

▶ 10

▶ 14

02

NEC Vision 2017 for Social Value Creation

03

Top Message

第1章 グローバル・メガトレンド

第2章 NECが目指す社会価値創造

第3章 テクノロジービジョン

第4章 お客さまと共に創る未来

Sustainable Earth 地球との共生

Safer Cities & Public Services 安全・安心な都市・行政基盤

Lifeline Infrastructure 安全・高効率なライフライン

Communication 豊かな社会を支える情報通信

Industry Eco-System 産業とICTの新結合

Work Style 枠を超えた多様な働き方

Quality of Life 個々人が躍動する豊かで公平な社会

Contents

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

NECは、「Orchestrating a brighter world」というブランドステートメントを掲げ、

人が豊かに生きる「安全」「安心」「効率」「公平」な社会を実現するために、

ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力しています。

NECが事業を通じて社会価値を創造するビジョンをまとめた、

本誌「NEC Vision 2017 for Social Value Creation」でお伝えしたいことは、次の2点です。

第一に、世界は今、巨大な変革の中にあります。増え続ける人口が都市部に集中することで、

エネルギーや食糧需要の高まり、人やモノの移動が加速していきます。

そうしたなかで持続可能な社会を築いていくために、ICTを原動力とした

新たな社会インフラの構築が求められています。

第二に、NECは3つのプロセス、

①お客さまや社会の本質的な課題への「気づき」、

②オープンイノベーションなどの価値創造への「仲間づくり」、

③AI(人工知能)やIoT※などの先進のICTを活用した「価値づくり」によって、

お客さまへの価値提供と、豊かで明るい未来の創造に取り組んでいきます。

社会価値創造に取り組む代表的な「社会ソリューション事業」と、

お客さま事例・共創事例をまとめた「NEC Vision 2017 Case Studies and Highlights」も

あわせてご覧ください。

※ IoT:Internet of Things

人 と デジタル を 融 合 さ せ た社 会 価 値 の 共 創 を

ブルーブック P.02-03 目次+サマリー NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 3: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

▶ 15

▶ 16

▶ 18

▶ 20

▶ 21

▶ 22

▶ 23

▶ 04

▶ 06

▶ 08

▶ 10

▶ 14

02

NEC Vision 2017 for Social Value Creation

03

Top Message

第1章 グローバル・メガトレンド

第2章 NECが目指す社会価値創造

第3章 テクノロジービジョン

第4章 お客さまと共に創る未来

Sustainable Earth 地球との共生

Safer Cities & Public Services 安全・安心な都市・行政基盤

Lifeline Infrastructure 安全・高効率なライフライン

Communication 豊かな社会を支える情報通信

Industry Eco-System 産業とICTの新結合

Work Style 枠を超えた多様な働き方

Quality of Life 個々人が躍動する豊かで公平な社会

Contents

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

NECは、「Orchestrating a brighter world」というブランドステートメントを掲げ、

人が豊かに生きる「安全」「安心」「効率」「公平」な社会を実現するために、

ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力しています。

NECが事業を通じて社会価値を創造するビジョンをまとめた、

本誌「NEC Vision 2017 for Social Value Creation」でお伝えしたいことは、次の2点です。

第一に、世界は今、巨大な変革の中にあります。増え続ける人口が都市部に集中することで、

エネルギーや食糧需要の高まり、人やモノの移動が加速していきます。

そうしたなかで持続可能な社会を築いていくために、ICTを原動力とした

新たな社会インフラの構築が求められています。

第二に、NECは3つのプロセス、

①お客さまや社会の本質的な課題への「気づき」、

②オープンイノベーションなどの価値創造への「仲間づくり」、

③AI(人工知能)やIoT※などの先進のICTを活用した「価値づくり」によって、

お客さまへの価値提供と、豊かで明るい未来の創造に取り組んでいきます。

社会価値創造に取り組む代表的な「社会ソリューション事業」と、

お客さま事例・共創事例をまとめた「NEC Vision 2017 Case Studies and Highlights」も

あわせてご覧ください。

※ IoT:Internet of Things

人 と デジタル を 融 合 さ せ た社 会 価 値 の 共 創 を

ブルーブック P.02-03 目次+サマリー NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 4: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

 ICTの飛躍的な進化に伴い、AIやIoTの先端技術の活用も進展しています。ありとあらゆる事象を

デジタルデータとして収集し、AIを用いて分析・活用することにより、社会構造の劇的な変革や新しい

ビジネスモデルを創出する「デジタル産業革命」の時代が到来しています。社会全体の最適化の追求に

向け、これまでにない業種間の連携がますます進展します。

 NECは、2014年に、「Orchestrating a brighter world」というブランドステートメントを策定しました。

これはNECが社会価値創造型企業としてリーダーシップを発揮し、卓越した技術と知見やアイデアを

融合することで、世界のさまざまなお客さまやパートナーと共創しながら、明るく希望に満ちた暮らしと

社会を実現し、未来につなげていくという強い決意を表現したものです。

 このステートメントを着実に実行すべく、NECは世界のさまざまなお客さまやパートナーと共創し

ながら、ICTの力を最大限に活用し、社会全体のバリューチェーンを見据えたデジタル産業革命を強力に

推進しています。バリューチェーン全体の品質・セキュリティを担保し、人が生きる、豊かに生きるために

不可欠な「安全」「安心」「効率」そして「公平」という価値をグローバルに提供していきます。

 本誌では、NECの将来ビジョン、その具現化に向けた取り組み、2027年の社会を見据えたテクノロ

ジービジョン、お客さまと共に創る未来像などを「NEC Vision 2017」としてまとめました。2027年は、

1977年当時のNEC会長 小林宏治が「コンピュータ技術とコミュニケーション技術が融合し、いつ

でも、どこでも、誰とでもお互いに顔を見ながら話ができる世界が21世紀の初めには到来する」という

「C&C宣言」を発信してから50年の節目にあたります。ぜひご一読いただければ幸いです。

代表取締役 執行役員社長 兼 CEO

04 05NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Top Message

2016年10月

ブルーブック P.04-05 新野社長メッセージ NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 5: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

 ICTの飛躍的な進化に伴い、AIやIoTの先端技術の活用も進展しています。ありとあらゆる事象を

デジタルデータとして収集し、AIを用いて分析・活用することにより、社会構造の劇的な変革や新しい

ビジネスモデルを創出する「デジタル産業革命」の時代が到来しています。社会全体の最適化の追求に

向け、これまでにない業種間の連携がますます進展します。

 NECは、2014年に、「Orchestrating a brighter world」というブランドステートメントを策定しました。

これはNECが社会価値創造型企業としてリーダーシップを発揮し、卓越した技術と知見やアイデアを

融合することで、世界のさまざまなお客さまやパートナーと共創しながら、明るく希望に満ちた暮らしと

社会を実現し、未来につなげていくという強い決意を表現したものです。

 このステートメントを着実に実行すべく、NECは世界のさまざまなお客さまやパートナーと共創し

ながら、ICTの力を最大限に活用し、社会全体のバリューチェーンを見据えたデジタル産業革命を強力に

推進しています。バリューチェーン全体の品質・セキュリティを担保し、人が生きる、豊かに生きるために

不可欠な「安全」「安心」「効率」そして「公平」という価値をグローバルに提供していきます。

 本誌では、NECの将来ビジョン、その具現化に向けた取り組み、2027年の社会を見据えたテクノロ

ジービジョン、お客さまと共に創る未来像などを「NEC Vision 2017」としてまとめました。2027年は、

1977年当時のNEC会長 小林宏治が「コンピュータ技術とコミュニケーション技術が融合し、いつ

でも、どこでも、誰とでもお互いに顔を見ながら話ができる世界が21世紀の初めには到来する」という

「C&C宣言」を発信してから50年の節目にあたります。ぜひご一読いただければ幸いです。

代表取締役 執行役員社長 兼 CEO

04 05NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Top Message

2016年10月

ブルーブック P.04-05 新野社長メッセージ NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 6: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

出典:OECD・FAO・PwC・国連のデータをもとに作成

連鎖する6つのメガトレンド

1.8倍都市人口

06 07

よりよい社会を創るために。未来を見据えたグローバル・メガトレンド 世界的な人口増加に伴う地球資源問題や温暖化による自然災害、複雑化する政治や経済、さらに急速に進むテクノロジーの進歩など、さまざまな課題や変化が複雑に絡み合っています。 NECは今後10年の世界や社会のうねりを6つのメガトレンド(大きな潮流)として整理しました。これらのメガトレンドはそれぞれがつながり、その影響は連鎖し合います。そして潮流の速さはさらに増しており、正確に「未来を予測」することがますます難しくなっています。しかし変化が激しいからこそ、地球規模の大きな潮流を長期的な視点で正しく捉え、その本質を理解することが重要です。また、未来に起こりうるさまざまな局面をあらかじめ想定し、複数のシナリオをつくって未来に備えることが大切です。 NECはグローバル・メガトレンドを見据えながら、お客さまと共に社会課題や多様化する脅威に対応する「デジタル新時代の共生社会」の実現に向け、新しい社会インフラの構想と実現に取り組んでいきます。

2050年には、「地球2つ分」の資源が必要 国連の予測によると、世界の人口は現在の73億人から2050年には96億人に増加します。人口の都市部への集中やボーダレス化に伴い、人やモノの移動も拡大していきます。その結果、エネルギーや水、食糧などの資源消費が拡大し、現在のような都市型ライフスタイルを続けた場合、2050年には「地球2つ分」の資源が必要になると言われています。また、地球温暖化による異常気象や自然災害、国や地域で異なる人口問題、テロなど、世界が抱える社会的・政治的課題も、数多くあります。 こうしたなか、地球と共生しながら持続可能な社会を築くためには、社会の仕組みや生活を柔軟に変化させて、地球資源を効率的に使う必要があります。そのため、社会課題の解決に、ICTが貢献できる範囲は大きく広がっています。

社会変革や世界が抱える課題解決にICTが貢献 AIやIoTなどのICTをはじめ、ロボット、ドローン、医療・バイオなど、さまざまなテクノロジーの進化は、未来に向けた社会の新しい枠組みや今までにない新たな価値を創造する中心的な役割を果たしていきます。 日本でも国の取り組みとして、サイバー世界と実世界(フィジカルな世界)を融合させることで、新たな価値が創造され、豊かな暮らしがもたらされる「超スマート社会」の実現に向けた「Society5.0」の推進が、2016年1月に閣議決定されました。 社会変革や世界が抱える課題解決など、デジタル化を通じて実現するイノベーションによって、経済や社会のあり方、産業構造が急速に変化するデジタル産業革命が起きようとしています。

これからの地球と世界の潮流

2050年の地球

世界では今、巨大な変革が急速に進んでいます。持続可能な社会を築いていくために、広い視野と高い柔軟性、そしてICTを原動力とした新たな社会インフラが求められています。

第1章 グローバル・メガトレンド1Chapter

 課題解決に向けた動きは、国連をはじめとして世界に広がっています。2015年9月の国連サミットでは、2030年に向けて貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会などの17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が策定されました。 環境・社会・経済的な課題とともに、格差や不平等に対する課題も盛り込まれたSDGsの実現には、多様化する国際社会において新興国や先進国を含めたすべての国々で、国や行政・企業・市民が世界共通の目標としてSDGsを捉え、地球市民の一員として共に取り組み、共に解決することが求められます。

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

個の力の向上と影響力拡大

連鎖する資源・環境問題 パワーの

集中から拡散へ

多様化する脅威と安全安心ニーズ

新興国の成長と新たな課題

成熟社会モデルの模索

社会課題の解決に向けた世界の動き

水の偏在 資源・エネルギー問題食糧需要の偏り

気候変動自然災害甚大化

新興国の台頭急激な成長の影響

基本インフラ整備

基本公共サービス浸透

社会保障改革・国家財政改善

高度経済成長

医療・介護・ヘルスケアの充実

社会インフラ・サービスのリビルド

個客サービスの充実

ボーダレスな仮想世界 個の力の向上

グローバル分業ワークスタイルの変化

巨大グローバル企業の影響力拡大

サイバーリスク拡大

少子高齢化 先進国の減退

「国」概念の実質的崩壊ネット環境性能の向上 国家に匹敵する個の影響力

人口減少

人口増加

政治、制度、格差、環境などの問題

代替エネルギーによる

地政学の変化

化石燃料消費による温暖化バーチャルウォーター

相互支援イノベーション促進(人道支援、技術提携、リバース・イノベーション、不正摘発)

リスクの拡大(紛争、犯罪、過度な監視、データ漏えい、サイバーアタック)

バイオ燃料

生産地被害

需給量の影響

メガシティー、巨大経済圏

教育、医療

都市化

水源被害

温室効果ガス

1.5倍エネルギー需要

1.8倍

人の動き

2.0倍モノの動き

2.4倍

水需要

1.6倍食糧需要

1.7倍

ブルーブック P.06-07 第1章 グローバルメガトレンド NEC Vision 2017 for Social Value Creation

01

02

03

04

05

06

Page 7: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

出典:OECD・FAO・PwC・国連のデータをもとに作成

連鎖する6つのメガトレンド

1.8倍都市人口

06 07

よりよい社会を創るために。未来を見据えたグローバル・メガトレンド 世界的な人口増加に伴う地球資源問題や温暖化による自然災害、複雑化する政治や経済、さらに急速に進むテクノロジーの進歩など、さまざまな課題や変化が複雑に絡み合っています。 NECは今後10年の世界や社会のうねりを6つのメガトレンド(大きな潮流)として整理しました。これらのメガトレンドはそれぞれがつながり、その影響は連鎖し合います。そして潮流の速さはさらに増しており、正確に「未来を予測」することがますます難しくなっています。しかし変化が激しいからこそ、地球規模の大きな潮流を長期的な視点で正しく捉え、その本質を理解することが重要です。また、未来に起こりうるさまざまな局面をあらかじめ想定し、複数のシナリオをつくって未来に備えることが大切です。 NECはグローバル・メガトレンドを見据えながら、お客さまと共に社会課題や多様化する脅威に対応する「デジタル新時代の共生社会」の実現に向け、新しい社会インフラの構想と実現に取り組んでいきます。

2050年には、「地球2つ分」の資源が必要 国連の予測によると、世界の人口は現在の73億人から2050年には96億人に増加します。人口の都市部への集中やボーダレス化に伴い、人やモノの移動も拡大していきます。その結果、エネルギーや水、食糧などの資源消費が拡大し、現在のような都市型ライフスタイルを続けた場合、2050年には「地球2つ分」の資源が必要になると言われています。また、地球温暖化による異常気象や自然災害、国や地域で異なる人口問題、テロなど、世界が抱える社会的・政治的課題も、数多くあります。 こうしたなか、地球と共生しながら持続可能な社会を築くためには、社会の仕組みや生活を柔軟に変化させて、地球資源を効率的に使う必要があります。そのため、社会課題の解決に、ICTが貢献できる範囲は大きく広がっています。

社会変革や世界が抱える課題解決にICTが貢献 AIやIoTなどのICTをはじめ、ロボット、ドローン、医療・バイオなど、さまざまなテクノロジーの進化は、未来に向けた社会の新しい枠組みや今までにない新たな価値を創造する中心的な役割を果たしていきます。 日本でも国の取り組みとして、サイバー世界と実世界(フィジカルな世界)を融合させることで、新たな価値が創造され、豊かな暮らしがもたらされる「超スマート社会」の実現に向けた「Society5.0」の推進が、2016年1月に閣議決定されました。 社会変革や世界が抱える課題解決など、デジタル化を通じて実現するイノベーションによって、経済や社会のあり方、産業構造が急速に変化するデジタル産業革命が起きようとしています。

これからの地球と世界の潮流

2050年の地球

世界では今、巨大な変革が急速に進んでいます。持続可能な社会を築いていくために、広い視野と高い柔軟性、そしてICTを原動力とした新たな社会インフラが求められています。

第1章 グローバル・メガトレンド1Chapter

 課題解決に向けた動きは、国連をはじめとして世界に広がっています。2015年9月の国連サミットでは、2030年に向けて貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会などの17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が策定されました。 環境・社会・経済的な課題とともに、格差や不平等に対する課題も盛り込まれたSDGsの実現には、多様化する国際社会において新興国や先進国を含めたすべての国々で、国や行政・企業・市民が世界共通の目標としてSDGsを捉え、地球市民の一員として共に取り組み、共に解決することが求められます。

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

個の力の向上と影響力拡大

連鎖する資源・環境問題 パワーの

集中から拡散へ

多様化する脅威と安全安心ニーズ

新興国の成長と新たな課題

成熟社会モデルの模索

社会課題の解決に向けた世界の動き

水の偏在 資源・エネルギー問題食糧需要の偏り

気候変動自然災害甚大化

新興国の台頭急激な成長の影響

基本インフラ整備

基本公共サービス浸透

社会保障改革・国家財政改善

高度経済成長

医療・介護・ヘルスケアの充実

社会インフラ・サービスのリビルド

個客サービスの充実

ボーダレスな仮想世界 個の力の向上

グローバル分業ワークスタイルの変化

巨大グローバル企業の影響力拡大

サイバーリスク拡大

少子高齢化 先進国の減退

「国」概念の実質的崩壊ネット環境性能の向上 国家に匹敵する個の影響力

人口減少

人口増加

政治、制度、格差、環境などの問題

代替エネルギーによる

地政学の変化

化石燃料消費による温暖化バーチャルウォーター

相互支援イノベーション促進(人道支援、技術提携、リバース・イノベーション、不正摘発)

リスクの拡大(紛争、犯罪、過度な監視、データ漏えい、サイバーアタック)

バイオ燃料

生産地被害

需給量の影響

メガシティー、巨大経済圏

教育、医療

都市化

水源被害

温室効果ガス

1.5倍エネルギー需要

1.8倍

人の動き

2.0倍モノの動き

2.4倍

水需要

1.6倍食糧需要

1.7倍

ブルーブック P.06-07 第1章 グローバルメガトレンド NEC Vision 2017 for Social Value Creation

01

02

03

04

05

06

Page 8: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

2Chapter 第2章 NECが目指す社会価値創造

08 09

NECが経営の根幹にする「Orchestrating a brighter world」。NECが有する卓越した技術と知見やアイデアを融合し、世界の国や地域の人々と「協奏」しながら、明るく希望に満ちた暮らしと社会を「共創」していきます。

 1977年、当時のNEC会長 小林宏冶が「21世紀のはじめには、いつでも、どこでも、誰とでも顔を見ながら話ができるようになる」という理想を示すとともに、「コンピュータ技術とコミュニケーション技術の融合」を意味する理念として「C&C」を提唱しました。

 NECは、いち早く提唱したこの理念に基づき、「コンピューティング」「ネットワーク」「ソフトウェア」のすべての領域で有する先進技術と確かな実行力によって多彩な分野で多くの実績を築いてきました。そして、「技術でより良い社会を創る」という姿勢は今後も変わりません。 2027年へ、お客さまと共に新たな歩みを――。

お客さまやパートナーとの共創で実現する明るい社会と未来

連鎖する資源・環境問題

新興国の成長と新たな課題

成熟社会モデルの模索

個の力の向上と影響力拡大

パワーの集中から拡散へ

多様化する脅威と安全安心ニーズ

01

02

03

04

05

06

6つのメガトレンド

C&C宣言から50年。2027年の社会に向けて

地球と共生するため、限りある資源の有効活用や環境課題の解決をすることで、持続可能な活動基盤を構築。

新興国の安全・安心な都市づくりや、先進国の成熟社会化を支援。産官学民連携によるグローカルな行政サービス基盤を構築。

高度で柔軟なICTシステムで地域・時間格差を解消し、24時間365日途切れることのないインフラを実現。

社会の高度化に伴って重要度が増す情報や知識の流通を支える情報通信基盤を構築。

産業機械のネット接続、3Dプリンターやクラウドソーシング、リバース・イノベーションなど、産業エコシステムを新たに構築。

性別や世代、地域を超え、AI・ロボットとも恊働する新しい働き方や社会との関わり方を構築。

教育・健康・医療などを通じて躍動する個々人の生活を支え、多様性ある豊かで公平な社会を構築。

Sustainable Earth地球との共生

Safer Cities & Public Services安全・安心な都市・行政基盤

Lifeline Infrastructure安全・高効率なライフライン

Communication豊かな社会を支える情報通信

Industry Eco-System産業とICTの新結合

Work Style枠を超えた多様な働き方

Quality of Life個々人が躍動する豊かで公平な社会

 NECは、6つのメガトレンドを踏まえながら、環境、社会、産業、人々の暮らしなど、広い視野から7つの社会価値創造テーマを策定しました。これらは、ICTを最大限に活用して取り組むNECの「社会ソリューション事業」を具現化するものでもあります。 メガトレンドにおいて、2050年には地球2個分の資源が必要になるという予測がありますが、それは現在のライフスタイルを続けた場合の試算です。現在の社会や産業の仕組みを改めて眺めてみると、多くの「もったいない」があることに気づきます。 例えば、世界で生産される食糧39億トンのうち約3分の1は廃棄されているといわれています。また、人が飲める安全な水は、地球上に

存在する水の0.01%しかないにもかかわらず、世界の一部の大都市の漏水率は10~40%に上ります。 このような問題に対してNECは、生産量を増やすことなく、分配や消費までを含めた全体の仕組みを、ICTを活用してデザインし直すことで無駄を抜本的に減らし、持続可能な社会を実現することができると考えています。 NECは7つのテーマにより、ICTを最大限に活用して個々の社会インフラを有機的に統合しながら、お客さまと共に新たな価値を創造し、安全・安心・効率・公平なサービスが行きわたる明るい社会と未来の実現に貢献していきます。

人・社会・未来へ。7つのテーマで新たな社会価値を「共創」

7つの社会価値創造テーマ

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

ソフトウェア

コンピューティング ネットワーク

ブルーブック P.08-09 第2章 NECが目指す社会価値創造 NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 9: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

2Chapter 第2章 NECが目指す社会価値創造

08 09

NECが経営の根幹にする「Orchestrating a brighter world」。NECが有する卓越した技術と知見やアイデアを融合し、世界の国や地域の人々と「協奏」しながら、明るく希望に満ちた暮らしと社会を「共創」していきます。

 1977年、当時のNEC会長 小林宏冶が「21世紀のはじめには、いつでも、どこでも、誰とでも顔を見ながら話ができるようになる」という理想を示すとともに、「コンピュータ技術とコミュニケーション技術の融合」を意味する理念として「C&C」を提唱しました。

 NECは、いち早く提唱したこの理念に基づき、「コンピューティング」「ネットワーク」「ソフトウェア」のすべての領域で有する先進技術と確かな実行力によって多彩な分野で多くの実績を築いてきました。そして、「技術でより良い社会を創る」という姿勢は今後も変わりません。 2027年へ、お客さまと共に新たな歩みを――。

お客さまやパートナーとの共創で実現する明るい社会と未来

連鎖する資源・環境問題

新興国の成長と新たな課題

成熟社会モデルの模索

個の力の向上と影響力拡大

パワーの集中から拡散へ

多様化する脅威と安全安心ニーズ

01

02

03

04

05

06

6つのメガトレンド

C&C宣言から50年。2027年の社会に向けて

地球と共生するため、限りある資源の有効活用や環境課題の解決をすることで、持続可能な活動基盤を構築。

新興国の安全・安心な都市づくりや、先進国の成熟社会化を支援。産官学民連携によるグローカルな行政サービス基盤を構築。

高度で柔軟なICTシステムで地域・時間格差を解消し、24時間365日途切れることのないインフラを実現。

社会の高度化に伴って重要度が増す情報や知識の流通を支える情報通信基盤を構築。

産業機械のネット接続、3Dプリンターやクラウドソーシング、リバース・イノベーションなど、産業エコシステムを新たに構築。

性別や世代、地域を超え、AI・ロボットとも恊働する新しい働き方や社会との関わり方を構築。

教育・健康・医療などを通じて躍動する個々人の生活を支え、多様性ある豊かで公平な社会を構築。

Sustainable Earth地球との共生

Safer Cities & Public Services安全・安心な都市・行政基盤

Lifeline Infrastructure安全・高効率なライフライン

Communication豊かな社会を支える情報通信

Industry Eco-System産業とICTの新結合

Work Style枠を超えた多様な働き方

Quality of Life個々人が躍動する豊かで公平な社会

 NECは、6つのメガトレンドを踏まえながら、環境、社会、産業、人々の暮らしなど、広い視野から7つの社会価値創造テーマを策定しました。これらは、ICTを最大限に活用して取り組むNECの「社会ソリューション事業」を具現化するものでもあります。 メガトレンドにおいて、2050年には地球2個分の資源が必要になるという予測がありますが、それは現在のライフスタイルを続けた場合の試算です。現在の社会や産業の仕組みを改めて眺めてみると、多くの「もったいない」があることに気づきます。 例えば、世界で生産される食糧39億トンのうち約3分の1は廃棄されているといわれています。また、人が飲める安全な水は、地球上に

存在する水の0.01%しかないにもかかわらず、世界の一部の大都市の漏水率は10~40%に上ります。 このような問題に対してNECは、生産量を増やすことなく、分配や消費までを含めた全体の仕組みを、ICTを活用してデザインし直すことで無駄を抜本的に減らし、持続可能な社会を実現することができると考えています。 NECは7つのテーマにより、ICTを最大限に活用して個々の社会インフラを有機的に統合しながら、お客さまと共に新たな価値を創造し、安全・安心・効率・公平なサービスが行きわたる明るい社会と未来の実現に貢献していきます。

人・社会・未来へ。7つのテーマで新たな社会価値を「共創」

7つの社会価値創造テーマ

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

ソフトウェア

コンピューティング ネットワーク

ブルーブック P.08-09 第2章 NECが目指す社会価値創造 NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 10: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

3Chapter 第3章 テクノロジービジョン

10年先を見据えた社会価値創造のためのテクノロジーとは

データサイエンス

AI(人間の知的活動をコンピュータ化)

サイバー世界サイバー世界

分析 対処見える化 分析 対処見える化人

モノ環境

社会価値実世界

価値増幅の源泉

ICTが生み出す社会価値と価値増幅の源泉

安 全 安 心

効 率 公 平

コンピューティング ネットワーキング

セキュリティ

ICTプラットフォームICTプラットフォーム

つながりの広がりつながりの広がり

10 11NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

ICTの世界では、最新のテクノロジーであっても瞬く間に私たちの社会に普及し、そしてなくてはならない存在となっていきます。NECは、10年先の世界を見据え、課題解決のためのテクノロジーを追求しています。

AIやIoTで、「コト」の理解を進化させてデータからさらなる価値を創造 グローバル・メガトレンドで世界経済や社会の将来像を捉えるとともに、テクノロジーの進化による将来の社会への影響にも目を向ける必要があります。今、AIやIoTなどのICTの活用によって、社会構造の劇的な変革や新しいビジネスモデルを創出する「デジタル産業革命」の時代が到来しています。NECは、さらに10年先の世界を見据えたICTの進化をテクノロジービジョンとして捉え、新たな価値を創造するアクションを考えています。 将来IoTが社会に浸透することで、さまざまなモノやヒトがネットワークにつながり、そこから集められるデータが分析されることによって、実世界(フィジカルな世界)やサイバー世界で起こる「コト」の理解が深まっていきます。このようなICTで実現される「コト」の理解が社会課題の解決に生かされていきます。例えば、街中に設置されたカメラの画像と、サイバー世界の情報を統合して分析することで、ヒトの不審な行動や動きを察知して、犯罪の未然防止に貢献することができます。NECは、このような「コト」の理解を起点として社会価値を創造していくプロセスを、実世界の本質的な課題をサイバー世界

自動運転イメージ

で「見える化」、解決するための手段と意思決定を支援する「分析」、実世界へサービスやソリューションとして提供する「対処」、と捉えています。そして、この社会価値創造プロセスを実現するデータサイエンスと、それを効率的かつセキュアに実行するICTプラットフォームのテクノロジーに注力していきます。

社会起点で考える、テクノロジーの方向性 データサイエンスの中核を担う「分析」では、NECが強みとするAIを活用していきます。NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」は社会課題の解決に求められる多様なAI技術で構成され、社会ソリューションごとに最適な機能の組み合わせを提供します。 世の中のAIはビッグデータから学習するものが主流ですが、我々が取り組むべき社会課題においては、そもそもビッグデータが存在しない未知の事象や、過去に事例がほとんど存在しないような問題が多くあります。また、実世界の問題を解決するためにはリアルタイムな判断や制御が必要ですが、現在のAIでは処理量や消費電力の面で課題があります。 例えば、サイバーセキュリティにおいては、日々生み出される新たなサイバー攻撃への対策が課題となっていますが、既知の攻撃手法に基づいて作成された対策や対処ルールでは、未知の攻撃パターンに対処することができません。現在、そのような未知の攻撃への対処は、高度な専門知識を備えたセキュリティ分析官の判断に頼らざるを得ません。NECはこのような未知の問題に対しても、論理的な思考によって解決手段を導き出し、人と連携して問題解決に貢献するAIの

開発に取り組んでいきます。 また、AIの学習には膨大な計算量を必要とするため、コンピュータの消費電力が、実世界へのリアルタイムな制御を実現する上での課題となっていきます。プロ棋士を相手に勝利を収めたGoogle DeepMind社のAlphaGo(アルファ碁)ではその学習処理に数百kWの電力を消費したと考えられていますが、人間の脳の活動は電力消費に換算するとわずか20Wと言われています。消費電力の壁を越えるためには、人間の脳の処理に倣い、高度な知的処理を高い電力効率で実現するコンピュータの開発が必要となります。さらに、例えば自動車の運転制御など、リアルタイムな制御が求められる場合には、そのような知的処理を行うコンピュータを実世界に近いエッジデバイスに置くことも必要となります。クラウドとエッジの間で機能や処理を最適に分散し、実世界で起こる問題にリアルタイムに対処できることが求められます。 次ページでは、このようなNECの捉える技術の進化の方向性を7つのテクノロジーの世界観として紹介します。

Page 11: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

3Chapter 第3章 テクノロジービジョン

10年先を見据えた社会価値創造のためのテクノロジーとは

データサイエンス

AI(人間の知的活動をコンピュータ化)

サイバー世界サイバー世界

分析 対処見える化 分析 対処見える化人

モノ環境

社会価値実世界

価値増幅の源泉

ICTが生み出す社会価値と価値増幅の源泉

安 全 安 心

効 率 公 平

コンピューティング ネットワーキング

セキュリティ

ICTプラットフォームICTプラットフォーム

つながりの広がりつながりの広がり

10 11NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

ICTの世界では、最新のテクノロジーであっても瞬く間に私たちの社会に普及し、そしてなくてはならない存在となっていきます。NECは、10年先の世界を見据え、課題解決のためのテクノロジーを追求しています。

AIやIoTで、「コト」の理解を進化させてデータからさらなる価値を創造 グローバル・メガトレンドで世界経済や社会の将来像を捉えるとともに、テクノロジーの進化による将来の社会への影響にも目を向ける必要があります。今、AIやIoTなどのICTの活用によって、社会構造の劇的な変革や新しいビジネスモデルを創出する「デジタル産業革命」の時代が到来しています。NECは、さらに10年先の世界を見据えたICTの進化をテクノロジービジョンとして捉え、新たな価値を創造するアクションを考えています。 将来IoTが社会に浸透することで、さまざまなモノやヒトがネットワークにつながり、そこから集められるデータが分析されることによって、実世界(フィジカルな世界)やサイバー世界で起こる「コト」の理解が深まっていきます。このようなICTで実現される「コト」の理解が社会課題の解決に生かされていきます。例えば、街中に設置されたカメラの画像と、サイバー世界の情報を統合して分析することで、ヒトの不審な行動や動きを察知して、犯罪の未然防止に貢献することができます。NECは、このような「コト」の理解を起点として社会価値を創造していくプロセスを、実世界の本質的な課題をサイバー世界

自動運転イメージ

で「見える化」、解決するための手段と意思決定を支援する「分析」、実世界へサービスやソリューションとして提供する「対処」、と捉えています。そして、この社会価値創造プロセスを実現するデータサイエンスと、それを効率的かつセキュアに実行するICTプラットフォームのテクノロジーに注力していきます。

社会起点で考える、テクノロジーの方向性 データサイエンスの中核を担う「分析」では、NECが強みとするAIを活用していきます。NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」は社会課題の解決に求められる多様なAI技術で構成され、社会ソリューションごとに最適な機能の組み合わせを提供します。 世の中のAIはビッグデータから学習するものが主流ですが、我々が取り組むべき社会課題においては、そもそもビッグデータが存在しない未知の事象や、過去に事例がほとんど存在しないような問題が多くあります。また、実世界の問題を解決するためにはリアルタイムな判断や制御が必要ですが、現在のAIでは処理量や消費電力の面で課題があります。 例えば、サイバーセキュリティにおいては、日々生み出される新たなサイバー攻撃への対策が課題となっていますが、既知の攻撃手法に基づいて作成された対策や対処ルールでは、未知の攻撃パターンに対処することができません。現在、そのような未知の攻撃への対処は、高度な専門知識を備えたセキュリティ分析官の判断に頼らざるを得ません。NECはこのような未知の問題に対しても、論理的な思考によって解決手段を導き出し、人と連携して問題解決に貢献するAIの

開発に取り組んでいきます。 また、AIの学習には膨大な計算量を必要とするため、コンピュータの消費電力が、実世界へのリアルタイムな制御を実現する上での課題となっていきます。プロ棋士を相手に勝利を収めたGoogle DeepMind社のAlphaGo(アルファ碁)ではその学習処理に数百kWの電力を消費したと考えられていますが、人間の脳の活動は電力消費に換算するとわずか20Wと言われています。消費電力の壁を越えるためには、人間の脳の処理に倣い、高度な知的処理を高い電力効率で実現するコンピュータの開発が必要となります。さらに、例えば自動車の運転制御など、リアルタイムな制御が求められる場合には、そのような知的処理を行うコンピュータを実世界に近いエッジデバイスに置くことも必要となります。クラウドとエッジの間で機能や処理を最適に分散し、実世界で起こる問題にリアルタイムに対処できることが求められます。 次ページでは、このようなNECの捉える技術の進化の方向性を7つのテクノロジーの世界観として紹介します。

Page 12: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

第3章 テクノロジービジョン

NECは、AIやIoTの活用によって、新たな価値を創造していきます。これからテクノロジーをどう進化させるのか。社会にどんなイノベーションを起こすのか。より明るく豊かな未来の実現に取り組むNECの、10年先を見据えたテクノロジーの世界観をご紹介します。

NECは、AIやIoTの活用によって、新たな価値を創造していきます。これからテクノロジーをどう進化させるのか。社会にどんなイノベーションを起こすのか。より明るく豊かな未来の実現に取り組むNECの、10年先を見据えたテクノロジーの世界観をご紹介します。

What’s Technology Vision?

12 13NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Pervasive Connectivity 浸透するコネクティビティ通信技術の発展に加え、屋内・屋外を問わずインターネットにつながる環境が整い、IoTによってさまざまなモノもネットワークに接続されつつあります。ヒトやモノがインターネットにつながり、そのデータを加工したり分析したりすることにより実世界で起きているコトが解釈され、コト同士がつながることで新たな価値が生まれていきます。財産やモノの所有権の取引情報をつなぐブロックチェーンは、コトのつながりの安全かつ効率的な管理を可能にし、新たなビジネス基盤として活用が広がっていきます。

Augmented Wisdom 人の知性をアシストする人工知能人工知能は大量のデータから規則や傾向を学習することで、人が行う仕事の一部を自動化する技術として注目されています。一方、私たちが直面する社会課題は、ビッグデータのない未知の事象や、正解が一つには定まらない複雑な問題を扱う必要があります。そのような問題の解決には依然、私たち人間の意思決定が必要になるでしょう。人工知能は人と協調して複雑な問題を解決するパートナーとして進化していくことが期待されます。未知の状況での意思決定支援にはシミュレーション技術の活用も重要になるでしょう。

Brain-Inspired Computing 脳に倣うコンピューティング人工知能のような高度な知的処理には膨大な処理が必要ですが、従来のノイマン型コンピュータのアーキテクチャでは、消費電力もスケールに比例して増大していきます。一方、人間の脳が行う処理は極めて高度で、消費電力も20ワット程度と極めて小さく、その機構を模した新たなアーキテクチャの研究が進んでいます。今後は従来のような厳密計算を得意とするノイマン型コンピュータと、脳のような知的処理を得意とする非ノイマン型コンピュータの混合型のアーキテクチャの技術が重要になります。

Cloud to Edge エッジに広がるクラウドこの先IoTが進展していくことで、センサーやアクチュエータ、各種ネットワーク機器など、ネットワークのエッジ部分にも計算処理機能が備えられるようになるでしょう。そうした未来のIoTシステムは、クラウドとエッジの双方を組み込んだ構成となり、データ量やリアルタイム性などの要件に応じて役割を分け、柔軟な処理、動的な制御が可能となっていくでしょう。実世界の情報は、より近い場所で処理されていくため、激しい変化にも、素早く対応できる価値が生まれます。

Holistic Security IT・ヒト・モノの全体セキュリティIoTの普及は、セキュリティの対象領域を物理システムへと拡大していきます。実世界と結びついたIoTシステムでは、サイバー攻撃と同時に、人間による設備への侵入や破壊などのリスクも考慮しなければなりません。サイバーセキュリティの強化とともに、映像監視による侵入発見など、実世界のセキュリティ対策と連携させた全体セキュリティの強化が必要になります。実世界とサイバー世界の情報を結びつけることにより、犯罪の予兆を捉え、犯罪の未然防止に役立てることも可能になります。

Adaptive Robotics 社会に適応するロボティクス自動で走行する自動車や、人間の身体能力を拡張する支援型ロボット、人とコミュニケーションを取るロボットなど、さまざまな形でロボットが社会に浸透し始めています。ロボットをネットワークにつなげることで、知能・感覚・駆動を分散させる「クラウドロボティクス」という新たな概念も提唱されています。これにより、ロボティクスは実世界に働きかける制御の役割を果たすものとして、ICTシステムの重要な構成要素になっていきます。

Insightful Sensing 実世界を理解・予測するセンシング

センシング技術の発展によって、実世界の状況をより精緻にサイバー世界に取り込めるようになってきています。観察領域の広さ、観察の深さ、変化の検出精度をより高め、モデル化による予知・予測もできるように進化していきます。例えば、多数のカメラを使った広範囲の観察と、映像解析による変化の検出により、複数の場所に出没する不審な人物を特定してプロファイリングすることも可能になるでしょう。また、人の表情や歩き方の観察から、その人の健康状態や心理状態を察することもできるようになります。

データサイエンス

ICTプラットフォーム

脳に倣うコンピューティング

エッジに広がるクラウド

IT・ヒト・モノの全体セキュリティ

浸透するコネクティビティPervasive Connectivity

サイバー世界 サイバー世界

データサイエンス データサイエンス

ICTプラットフォームICTプラットフォーム

実世界実世界安 全 安 心 効 率 公 平

社会変革をもたらす技術の世界観

3Chapter

Brain-InspiredComputing

Cloud to Edge Holistic Security

見える化見える化 分析分析 対処対処

Insightful Sensing Augmented Wisdom Adaptive Robotics人の知性をアシストする人工知能実世界を理解・予測するセンシング 社会に適応するロボティクス

Page 13: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

第3章 テクノロジービジョン

NECは、AIやIoTの活用によって、新たな価値を創造していきます。これからテクノロジーをどう進化させるのか。社会にどんなイノベーションを起こすのか。より明るく豊かな未来の実現に取り組むNECの、10年先を見据えたテクノロジーの世界観をご紹介します。

NECは、AIやIoTの活用によって、新たな価値を創造していきます。これからテクノロジーをどう進化させるのか。社会にどんなイノベーションを起こすのか。より明るく豊かな未来の実現に取り組むNECの、10年先を見据えたテクノロジーの世界観をご紹介します。

What’s Technology Vision?

12 13NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Pervasive Connectivity 浸透するコネクティビティ通信技術の発展に加え、屋内・屋外を問わずインターネットにつながる環境が整い、IoTによってさまざまなモノもネットワークに接続されつつあります。ヒトやモノがインターネットにつながり、そのデータを加工したり分析したりすることにより実世界で起きているコトが解釈され、コト同士がつながることで新たな価値が生まれていきます。財産やモノの所有権の取引情報をつなぐブロックチェーンは、コトのつながりの安全かつ効率的な管理を可能にし、新たなビジネス基盤として活用が広がっていきます。

Augmented Wisdom 人の知性をアシストする人工知能人工知能は大量のデータから規則や傾向を学習することで、人が行う仕事の一部を自動化する技術として注目されています。一方、私たちが直面する社会課題は、ビッグデータのない未知の事象や、正解が一つには定まらない複雑な問題を扱う必要があります。そのような問題の解決には依然、私たち人間の意思決定が必要になるでしょう。人工知能は人と協調して複雑な問題を解決するパートナーとして進化していくことが期待されます。未知の状況での意思決定支援にはシミュレーション技術の活用も重要になるでしょう。

Brain-Inspired Computing 脳に倣うコンピューティング人工知能のような高度な知的処理には膨大な処理が必要ですが、従来のノイマン型コンピュータのアーキテクチャでは、消費電力もスケールに比例して増大していきます。一方、人間の脳が行う処理は極めて高度で、消費電力も20ワット程度と極めて小さく、その機構を模した新たなアーキテクチャの研究が進んでいます。今後は従来のような厳密計算を得意とするノイマン型コンピュータと、脳のような知的処理を得意とする非ノイマン型コンピュータの混合型のアーキテクチャの技術が重要になります。

Cloud to Edge エッジに広がるクラウドこの先IoTが進展していくことで、センサーやアクチュエータ、各種ネットワーク機器など、ネットワークのエッジ部分にも計算処理機能が備えられるようになるでしょう。そうした未来のIoTシステムは、クラウドとエッジの双方を組み込んだ構成となり、データ量やリアルタイム性などの要件に応じて役割を分け、柔軟な処理、動的な制御が可能となっていくでしょう。実世界の情報は、より近い場所で処理されていくため、激しい変化にも、素早く対応できる価値が生まれます。

Holistic Security IT・ヒト・モノの全体セキュリティIoTの普及は、セキュリティの対象領域を物理システムへと拡大していきます。実世界と結びついたIoTシステムでは、サイバー攻撃と同時に、人間による設備への侵入や破壊などのリスクも考慮しなければなりません。サイバーセキュリティの強化とともに、映像監視による侵入発見など、実世界のセキュリティ対策と連携させた全体セキュリティの強化が必要になります。実世界とサイバー世界の情報を結びつけることにより、犯罪の予兆を捉え、犯罪の未然防止に役立てることも可能になります。

Adaptive Robotics 社会に適応するロボティクス自動で走行する自動車や、人間の身体能力を拡張する支援型ロボット、人とコミュニケーションを取るロボットなど、さまざまな形でロボットが社会に浸透し始めています。ロボットをネットワークにつなげることで、知能・感覚・駆動を分散させる「クラウドロボティクス」という新たな概念も提唱されています。これにより、ロボティクスは実世界に働きかける制御の役割を果たすものとして、ICTシステムの重要な構成要素になっていきます。

Insightful Sensing 実世界を理解・予測するセンシング

センシング技術の発展によって、実世界の状況をより精緻にサイバー世界に取り込めるようになってきています。観察領域の広さ、観察の深さ、変化の検出精度をより高め、モデル化による予知・予測もできるように進化していきます。例えば、多数のカメラを使った広範囲の観察と、映像解析による変化の検出により、複数の場所に出没する不審な人物を特定してプロファイリングすることも可能になるでしょう。また、人の表情や歩き方の観察から、その人の健康状態や心理状態を察することもできるようになります。

データサイエンス

ICTプラットフォーム

脳に倣うコンピューティング

エッジに広がるクラウド

IT・ヒト・モノの全体セキュリティ

浸透するコネクティビティPervasive Connectivity

サイバー世界 サイバー世界

データサイエンス データサイエンス

ICTプラットフォームICTプラットフォーム

実世界実世界安 全 安 心 効 率 公 平

社会変革をもたらす技術の世界観

3Chapter

Brain-InspiredComputing

Cloud to Edge Holistic Security

見える化見える化 分析分析 対処対処

Insightful Sensing Augmented Wisdom Adaptive Robotics人の知性をアシストする人工知能実世界を理解・予測するセンシング 社会に適応するロボティクス

Page 14: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

4Chapter

地球と共生した持続可能な社会の実現に向けて、NECはさまざまな環境問題の原因解明や対策を支援していきます。NECの未来への取り組み

14

共 創

UserExperience

人の視点

Innovation

2つの視点で解決策を提供

SocialExperience

社会の視点

ソーシャルバリューデザインは、お客さまとの共創を通じて価値創造するためのNECオリジナルの手段です。人の体験価値の向上を考える「ユーザーエクスペリエンス」と、社会のあるべき姿を考える「ソーシャルエクスペリエンス」の2つの視点からお客さまのビジネスや未来の社会に「イノベーション」を創出します。

● ソーシャルバリューデザイン®

● リーンスタートアップ ● オープンイノベーション ● パートナリング など

● コンピューティング ● ネットワーキング● セキュリティ ● AI(データサイエンス) など

SI・サービス ● コンサルティング ● システムインテグレーション● 運用・保守サービス ● ファイナンシング など

ICTアセット

価値創造の手段社会価値創造のプロセス

15

すでに地球1.5個分の資源を消費している社会 2050年には地球2個分の資源が必要と計算されるなか、世界自然保護基金(WWF※1)が発表した「エコロジカル・フットプリント」は、人類はすでに地球の生物生産力の1.5個分もの資源を消費していることを示しています。つまり、使いすぎている地球0.5個分の資源は、未来へとつながる自然資本を取り崩していることになります。 また、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC※2)」の報告書では、地球温暖化による気候変動がさまざまな重大リスクを引き起こすことが指摘されています。 私たちが地球と共生し、持続可能な社会を築くためには、こうした資源や気候変動の課題に対して、どのような手を打つべきなのでしょうか?※1 WWF:World Wide Fund for Nature  ※2 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change

地球規模でのセンシングなど、ICTが貢献できること 資源を最適に利用し、気候変動のリスクに備えるために、ICTが貢献できる範囲は大きく広がっていきます。人工衛星をはじめ、地上や地中、海底など、あらゆる場所に張り巡らされたセンサーによって、多面的な環境データをリアルタイムに収集することで、環境変化を地球規模で把握できるようになります。 さらに、AIやシミュレーション技術の進化、スーパーコンピュータの能力向上は、膨大な環境データを瞬時に解析し、資源の最適利用や自然災害の事前対策、被害の最小化を可能にします。 NECはICTを活用し、地球と共生しながら持続可能な社会の実現に貢献していきます。

Sustainable Earth 地球との共生

地球の姿を把握して、未来を予測する「地球シミュレータ」 NECのベクトル型スーパーコンピュータ「SX-ACE」を利用した「地球シミュレータ」(国立研究開発法人海洋研究開発機構)は、気候変動に関する複雑で大規模なシミュレーションに、広く利用されています。地球温暖化の影響の精細な評価、将来の気候変動の予測、台風や集中豪雨の再現・予測、地震発生メカニズムの解明、広域・高分解能の津波の浸水予測など、さまざまな分野で貢献が期待されています。

貴重な森林を守る 火災警報・即応支援システム NECでは赤外線カメラの温度監視技術により、広範囲にわたる森林の火災対策を支援しています。肉眼では監視できない火災レベルでも、異常な温度の検出時にはアラート通報を行い、森林管理者は火災発生状況を赤外線カメラの画像モニターで即座に確認できます。 また、火災発生現場の位置情報も合わせて警報を発報することで場所を特定し、消防隊へ的確でスピーディな消火活動の指示を行うことで、貴重な森林の被害を最小限に抑えます。

資源消費と環境負荷を抑えて地球と共生する社会へこれからの30年、世界人口の増加と都市化は地球環境に大きな負担と自然災害の増加などの脅威をもたらします。NECは、変化し続ける地球の姿を見える化し、限りある資源の効率・公平な配分や、影響への予兆対策を通じて、地球と共生する社会の実現に貢献します。

第4章 お客さまと共に創る未来

「a brighter world」の実現に向けて

NECは、地球環境から、社会、産業、人々の生活まで広い視野で世界を見つめて本質的な課題を追究し、お客さまやパートナーとの共創を通じて、お客さまの価値と社会の価値を両立した、

豊かで明るい未来「a brighter world」の実現に取り組んでいきます。

本章では、NECが取り組む7つの社会価値創造テーマごとに、10年先を見据えた未来像や、NECの未来への取り組みをご紹介します。NECは、3つのプロセス、①お客さまや社会の本質的な課題への「気づき」、②オープンイノベーションなどの価値創造への「仲間づくり」、③AIやIoTなどの先進のICTを活用した「価値づくり」によって、お客さまへの価値提供と、「安全・安心・効率・公平」という社会価値を共創していきます。

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

(画像提供:海洋研究開発機構)

ブルーブック P.14-15 第4章 お客様と共に創る未来 / Sustainable Earth NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 15: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

4Chapter

地球と共生した持続可能な社会の実現に向けて、NECはさまざまな環境問題の原因解明や対策を支援していきます。NECの未来への取り組み

14

共 創

UserExperience

人の視点

Innovation

2つの視点で解決策を提供

SocialExperience

社会の視点

ソーシャルバリューデザインは、お客さまとの共創を通じて価値創造するためのNECオリジナルの手段です。人の体験価値の向上を考える「ユーザーエクスペリエンス」と、社会のあるべき姿を考える「ソーシャルエクスペリエンス」の2つの視点からお客さまのビジネスや未来の社会に「イノベーション」を創出します。

● ソーシャルバリューデザイン®

● リーンスタートアップ ● オープンイノベーション ● パートナリング など

● コンピューティング ● ネットワーキング● セキュリティ ● AI(データサイエンス) など

SI・サービス ● コンサルティング ● システムインテグレーション● 運用・保守サービス ● ファイナンシング など

ICTアセット

価値創造の手段社会価値創造のプロセス

15

すでに地球1.5個分の資源を消費している社会 2050年には地球2個分の資源が必要と計算されるなか、世界自然保護基金(WWF※1)が発表した「エコロジカル・フットプリント」は、人類はすでに地球の生物生産力の1.5個分もの資源を消費していることを示しています。つまり、使いすぎている地球0.5個分の資源は、未来へとつながる自然資本を取り崩していることになります。 また、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC※2)」の報告書では、地球温暖化による気候変動がさまざまな重大リスクを引き起こすことが指摘されています。 私たちが地球と共生し、持続可能な社会を築くためには、こうした資源や気候変動の課題に対して、どのような手を打つべきなのでしょうか?※1 WWF:World Wide Fund for Nature  ※2 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change

地球規模でのセンシングなど、ICTが貢献できること 資源を最適に利用し、気候変動のリスクに備えるために、ICTが貢献できる範囲は大きく広がっていきます。人工衛星をはじめ、地上や地中、海底など、あらゆる場所に張り巡らされたセンサーによって、多面的な環境データをリアルタイムに収集することで、環境変化を地球規模で把握できるようになります。 さらに、AIやシミュレーション技術の進化、スーパーコンピュータの能力向上は、膨大な環境データを瞬時に解析し、資源の最適利用や自然災害の事前対策、被害の最小化を可能にします。 NECはICTを活用し、地球と共生しながら持続可能な社会の実現に貢献していきます。

Sustainable Earth 地球との共生

地球の姿を把握して、未来を予測する「地球シミュレータ」 NECのベクトル型スーパーコンピュータ「SX-ACE」を利用した「地球シミュレータ」(国立研究開発法人海洋研究開発機構)は、気候変動に関する複雑で大規模なシミュレーションに、広く利用されています。地球温暖化の影響の精細な評価、将来の気候変動の予測、台風や集中豪雨の再現・予測、地震発生メカニズムの解明、広域・高分解能の津波の浸水予測など、さまざまな分野で貢献が期待されています。

貴重な森林を守る 火災警報・即応支援システム NECでは赤外線カメラの温度監視技術により、広範囲にわたる森林の火災対策を支援しています。肉眼では監視できない火災レベルでも、異常な温度の検出時にはアラート通報を行い、森林管理者は火災発生状況を赤外線カメラの画像モニターで即座に確認できます。 また、火災発生現場の位置情報も合わせて警報を発報することで場所を特定し、消防隊へ的確でスピーディな消火活動の指示を行うことで、貴重な森林の被害を最小限に抑えます。

資源消費と環境負荷を抑えて地球と共生する社会へこれからの30年、世界人口の増加と都市化は地球環境に大きな負担と自然災害の増加などの脅威をもたらします。NECは、変化し続ける地球の姿を見える化し、限りある資源の効率・公平な配分や、影響への予兆対策を通じて、地球と共生する社会の実現に貢献します。

第4章 お客さまと共に創る未来

「a brighter world」の実現に向けて

NECは、地球環境から、社会、産業、人々の生活まで広い視野で世界を見つめて本質的な課題を追究し、お客さまやパートナーとの共創を通じて、お客さまの価値と社会の価値を両立した、

豊かで明るい未来「a brighter world」の実現に取り組んでいきます。

本章では、NECが取り組む7つの社会価値創造テーマごとに、10年先を見据えた未来像や、NECの未来への取り組みをご紹介します。NECは、3つのプロセス、①お客さまや社会の本質的な課題への「気づき」、②オープンイノベーションなどの価値創造への「仲間づくり」、③AIやIoTなどの先進のICTを活用した「価値づくり」によって、お客さまへの価値提供と、「安全・安心・効率・公平」という社会価値を共創していきます。

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

(画像提供:海洋研究開発機構)

ブルーブック P.14-15 第4章 お客様と共に創る未来 / Sustainable Earth NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 16: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

NECの未来への取り組み NECは、都市や社会を安全・安心に守るために、サイバーとフィジカルの両面から、先進の取り組みを進めています。

IoTAI

フィジカルセキュリティサービス

サイバーセキュリティサービス

共通基盤共通基盤(ビッグデータ活用)

セキュリティサービスセキュリティサービス

国家や自治体を超えるサービス連携

国家や自治体を超えるサービス連携

医療金融行政 福祉経済 教育フィジカルセキュリティ

サイバーセキュリティ

16 17

サイバーとフィジカルが融合した脅威にどう立ち向かうか いま世界では、サイバー攻撃や自然災害、テロ事件など、都市や社会を脅かすさまざまなリスクが課題となっています。IoTの進展に伴い、サイバー世界と実世界(フィジカルな世界)のボーダレス化も、これからますます加速します。サイバー攻撃の高度化は今後もさらに進み、フィジカルなシステムを巻き込んだ組織的犯罪の増大が懸念されます。その脅威は、特定のターゲットから、国や地域を超えて金融システムや産業システム、さらには社会システムへと広がり、攻撃による被害は重大かつ深刻なものになります。 そうした脅威から都市や社会を守るために、サイバーとフィジカルを連携させたセキュリティ対策がますます重要になっていきます。

AI・IoTを活用して安全・安心なセキュリティサービスを実現 高度化するサイバー攻撃には、個々の企業や組織だけではもはや対処できず、専門的なパートナーとの連携が不可欠です。サイバー攻撃から重要な情報やシステムを守るには、AIを活用した未知のサイバー攻撃の検知をはじめ、サイバー攻撃を先読みする対策、情報の確かさの保証、さらにセキュアなハードウェア開発などが欠かせません。 また、フィジカルセキュリティでは、高度な生体認証技術、AIを使った映像解析技術、IoTによるシステムの異常検知技術などが、確実な本人確認や異変の早期発見を実現します。 さまざまな脅威から企業や都市、社会を守るためには先進のAIやIoTを活用し、サイバーとフィジカルの両面からのセキュリティ強化とともに、2つを連携させた安全・安心なセキュリティサービスの実現が求められます。

サイバーとフィジカルを連携させたセキュリティで、社会をより安全・安心に

Safer Cities & Public Services安全・安心な都市・行政基盤

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

住民に対して多彩で利便性の高いサービス提供を実現

サイバーとフィジカルを連携させたセキュリティサービスにより都市の安全・安心は守られる

人口の集中やグローバル化が進む都市では、サイバー攻撃で安全を脅かされる新たなリスクも高まっています。NECは、犯罪や災害を未然に察知するとともに、産・官・学に加えて市民の力も活かして地域の魅力を発揮できるグローカルな行政基盤の実現に貢献します。

多彩なサービスの連携で利便性も向上 AIやIoT、ビッグデータを活用して実現するセキュリティサービスは、セキュリティの強化だけでなく、より付加価値の高いサービスを暮らしや社会へ提供する基盤としても大きな役割を発揮します。行政や教育、経済、金融、福祉、医療などの連携、省庁間の連携、産官学のパートナリングなど、国や自治体を超えてさまざまな分野が連携することで、多彩で利便性の高いサービス提供が可能になります。 NECは、「コンピューティング」「ネットワーキング」「セキュリティ」のすべての領域で先進技術を有するICTベンダーとして、これからの時代にふさわしい都市・行政基盤の実現を通じて、サイバー・フィジカルセキュリティによる安全・安心と、効率的で公平なサービス提供という、2つの側面から新たな社会価値の創造に取り組んでいきます。

 もはやサイバー攻撃が企業の事業活動や組織運営に重大な被害を与えることが現実化した今、経営者に求められるのは、セキュリティは「コスト」ではなく、安全な製品・サービスを創造し、企業価値や国際競争力を維持及び向上させる「投資」だという、意識改革です。 セキュリティや安全は「意思を持って確保するもの」であり、グローバル視点に立ってみると、すでに当たり前の経営課題になっています。 また、企業と、その企業の製品に高いセキュリティが

確保されているということが、国際競争力を高める要素の一つになってきています。経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構から発行された「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」においても、企業の積極的なセキュリティ対策は、これからの国際競争力を高めるためには必要不可欠なものとして位置づけられています。 経営者主導のセキュリティ対策に本気で取り組むかどうかが、企業の将来を左右すると言っても過言ではない時代が、すでに到来しているのです。

経営者主導のセキュリティ対策が、企業価値を左右する時代

国内外からセキュリティをサポート「サイバーセキュリティ・ファクトリー」

 中核拠点の「サイバーセキュリティ・ファクトリー」では、「人材・情報・技術」を結集し、最新の攻撃手法やマルウェアの動向、対策ノウハウなどを共有しながら、高度化するサイバー攻撃へのセキュリティ対策に取り組んでいます。 また、シンガポール、オーストラリア、ブラジルなど、6カ国に展開しているSOC※1のグローバル体制を強化することによって、安全・安心な都市づくりに貢献していきます。※1 Security Operation Center

複数の生体認証を組み合わせて信頼性と利便性を向上「マルチモーダル生体認証」

 NECは、世界No.1※2の精度を誇る指紋認証や顔認証のほか、掌紋、指静脈、虹彩、耳穴の形状、DNAなど、多彩な生体認証技術に取り組んでいます。 また、複数の生体認証を組み合わせたマルチモーダル認証として、指紋と指静脈を組み合わせた「指ハイブリッド認証」製品や顔・虹彩・指紋認証による国民IDサービスなどの実績をもとに、セキュリティの信頼性と利便性のさらなる向上を目指しています。※2 米国国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and   Technology)のベンチマークで1位を獲得

ブルーブック P.16-17 Safer Cities & Public Services NEC Vision 2017 for Social Value Creation

株式会社サイバーディフェンス研究所専務理事 上級分析官

名和 利男氏

Page 17: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

NECの未来への取り組み NECは、都市や社会を安全・安心に守るために、サイバーとフィジカルの両面から、先進の取り組みを進めています。

IoTAI

フィジカルセキュリティサービス

サイバーセキュリティサービス

共通基盤共通基盤(ビッグデータ活用)

セキュリティサービスセキュリティサービス

国家や自治体を超えるサービス連携

国家や自治体を超えるサービス連携

医療金融行政 福祉経済 教育フィジカルセキュリティ

サイバーセキュリティ

16 17

サイバーとフィジカルが融合した脅威にどう立ち向かうか いま世界では、サイバー攻撃や自然災害、テロ事件など、都市や社会を脅かすさまざまなリスクが課題となっています。IoTの進展に伴い、サイバー世界と実世界(フィジカルな世界)のボーダレス化も、これからますます加速します。サイバー攻撃の高度化は今後もさらに進み、フィジカルなシステムを巻き込んだ組織的犯罪の増大が懸念されます。その脅威は、特定のターゲットから、国や地域を超えて金融システムや産業システム、さらには社会システムへと広がり、攻撃による被害は重大かつ深刻なものになります。 そうした脅威から都市や社会を守るために、サイバーとフィジカルを連携させたセキュリティ対策がますます重要になっていきます。

AI・IoTを活用して安全・安心なセキュリティサービスを実現 高度化するサイバー攻撃には、個々の企業や組織だけではもはや対処できず、専門的なパートナーとの連携が不可欠です。サイバー攻撃から重要な情報やシステムを守るには、AIを活用した未知のサイバー攻撃の検知をはじめ、サイバー攻撃を先読みする対策、情報の確かさの保証、さらにセキュアなハードウェア開発などが欠かせません。 また、フィジカルセキュリティでは、高度な生体認証技術、AIを使った映像解析技術、IoTによるシステムの異常検知技術などが、確実な本人確認や異変の早期発見を実現します。 さまざまな脅威から企業や都市、社会を守るためには先進のAIやIoTを活用し、サイバーとフィジカルの両面からのセキュリティ強化とともに、2つを連携させた安全・安心なセキュリティサービスの実現が求められます。

サイバーとフィジカルを連携させたセキュリティで、社会をより安全・安心に

Safer Cities & Public Services安全・安心な都市・行政基盤

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

住民に対して多彩で利便性の高いサービス提供を実現

サイバーとフィジカルを連携させたセキュリティサービスにより都市の安全・安心は守られる

人口の集中やグローバル化が進む都市では、サイバー攻撃で安全を脅かされる新たなリスクも高まっています。NECは、犯罪や災害を未然に察知するとともに、産・官・学に加えて市民の力も活かして地域の魅力を発揮できるグローカルな行政基盤の実現に貢献します。

多彩なサービスの連携で利便性も向上 AIやIoT、ビッグデータを活用して実現するセキュリティサービスは、セキュリティの強化だけでなく、より付加価値の高いサービスを暮らしや社会へ提供する基盤としても大きな役割を発揮します。行政や教育、経済、金融、福祉、医療などの連携、省庁間の連携、産官学のパートナリングなど、国や自治体を超えてさまざまな分野が連携することで、多彩で利便性の高いサービス提供が可能になります。 NECは、「コンピューティング」「ネットワーキング」「セキュリティ」のすべての領域で先進技術を有するICTベンダーとして、これからの時代にふさわしい都市・行政基盤の実現を通じて、サイバー・フィジカルセキュリティによる安全・安心と、効率的で公平なサービス提供という、2つの側面から新たな社会価値の創造に取り組んでいきます。

 もはやサイバー攻撃が企業の事業活動や組織運営に重大な被害を与えることが現実化した今、経営者に求められるのは、セキュリティは「コスト」ではなく、安全な製品・サービスを創造し、企業価値や国際競争力を維持及び向上させる「投資」だという、意識改革です。 セキュリティや安全は「意思を持って確保するもの」であり、グローバル視点に立ってみると、すでに当たり前の経営課題になっています。 また、企業と、その企業の製品に高いセキュリティが

確保されているということが、国際競争力を高める要素の一つになってきています。経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構から発行された「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」においても、企業の積極的なセキュリティ対策は、これからの国際競争力を高めるためには必要不可欠なものとして位置づけられています。 経営者主導のセキュリティ対策に本気で取り組むかどうかが、企業の将来を左右すると言っても過言ではない時代が、すでに到来しているのです。

経営者主導のセキュリティ対策が、企業価値を左右する時代

国内外からセキュリティをサポート「サイバーセキュリティ・ファクトリー」

 中核拠点の「サイバーセキュリティ・ファクトリー」では、「人材・情報・技術」を結集し、最新の攻撃手法やマルウェアの動向、対策ノウハウなどを共有しながら、高度化するサイバー攻撃へのセキュリティ対策に取り組んでいます。 また、シンガポール、オーストラリア、ブラジルなど、6カ国に展開しているSOC※1のグローバル体制を強化することによって、安全・安心な都市づくりに貢献していきます。※1 Security Operation Center

複数の生体認証を組み合わせて信頼性と利便性を向上「マルチモーダル生体認証」

 NECは、世界No.1※2の精度を誇る指紋認証や顔認証のほか、掌紋、指静脈、虹彩、耳穴の形状、DNAなど、多彩な生体認証技術に取り組んでいます。 また、複数の生体認証を組み合わせたマルチモーダル認証として、指紋と指静脈を組み合わせた「指ハイブリッド認証」製品や顔・虹彩・指紋認証による国民IDサービスなどの実績をもとに、セキュリティの信頼性と利便性のさらなる向上を目指しています。※2 米国国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and   Technology)のベンチマークで1位を獲得

ブルーブック P.16-17 Safer Cities & Public Services NEC Vision 2017 for Social Value Creation

株式会社サイバーディフェンス研究所専務理事 上級分析官

名和 利男氏

Page 18: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

NECの未来への取り組み NECは、信頼性と利便性の高いサービスの実現や効率的なインフラ整備など、多彩な分野で新たな価値創造に向けて取り組んでいます。

便利に、安全にマイナンバーカードを活用「マイナンバーカードを行政・民間・金融へと利用拡大」

 マイナンバーカードと顔認証などの生体認証技術を組み合わせることで、住所変更に伴う公共料金の支払い手続き、オンラインショッピングの本人確認、さらに金融機関の口座開設など、信頼性と利便性が向上したサービス提供を実現できます。 NECでは、次世代端末(右写真)やウェアラブル端末との連携など、マイナンバーカードの利用を拡大する先進的な取り組みを推進しています。

ICTで新興国のインフラ整備に貢献「物流・交通システムをグローバルに提供」

 NECは、IoTを活用して輸送中の貨物の位置情報をクラウドに収集し、物流システム全体を可視化する統合プラットフォームの構築をインドでサポートしたほか、都市部の渋滞解消に役立つ交通ICカードシステムを複数の国に展開しています。これからも先進のICT活用により、それぞれの地域の課題に応じた安全で効率的なインフラ整備をグローバルに拡大していきます。

電 力

ガ ス

先進の I C T活用先進の I C T活用

IoT

セキュリティ

AI

金 融

水道 路 鉄 道 航 空

行 政 マイナンバー物 流

医 療サービス

金 融サービス

流 通サービス

行 政サービス 福 祉

サービス 飲 食サービス

サービスのマルチ化サービスのマルチ化

18 19

加速する「サービスのマルチ化」とは ライフスタイルや顧客ニーズの多様化に伴い、求められるサービスも多様化しています。例えばコンビニエンスストアでは、商品の販売だけでなく、ATMによる金融サービス、公共料金の支払い、さらに宅配荷物の集荷や預かりなど、さまざまなサービスを提供しています。こうした店舗は提供サービスが広がることで、さらに「人が集まる場」となり、それによってさらに「サービスが集まる場」へと変わっていきます。「サービスのマルチ化」が進むことによって、生活インフラとしての役割は一段と高まります。流通、金融、行政、医療、福祉など、多彩なサービスを柔軟かつシームレスに連携する「サービスのマルチ化」は、今後ますます加速していきます。

「止まらない」インフラが「止まらない」サービスを実現 空港や発電所などの重要インフラ施設では、AIやIoTなどのICTを活用したシステム監視、施設や設備の異常検知による予防保守、そして鉄道などの交通システムでは、RFIDなどのIoTによる点検や修繕履歴のトレーサビリティに基づく安全・安心な運用など、「止まらない」インフラに対する高度な技術や信頼性が求められてきました。そうした重要インフラの運用で培った実績やノウハウをもとに、AIでシステムの異常を自動検知する予防保守を実現したり、IoTを活用して店舗システム全体を見える化することで、生活インフラにおける「止まらない」サービスが可能になります。日本の厳しい要求に応えて実現した多彩な「止まらない」サービスは今後、グローバルへと拡大していくでしょう。 一方、世界に目を向けるとインフラ整備に関するさまざまな課題

があります。物流システムの可視化、都市部への人口集中に伴う交通渋滞や増大するエネルギー消費への対策、貧困層の人たちも利用できる金融システムなどのインフラ整備が、新興国では急務となっています。こうした世界の国々が抱える課題の解決にも、ICTが大きく寄与します。

高度な生体認証技術が、新サービスに貢献 都度決済を必要としない交通機関の利用、第三者機関を必要とせず、売り手と買い手の合意を可能にするブロックチェーンの利活用、マイナンバーカードを利用した民間サービスの拡大など、今後も新たなサービスが次々と生まれます。こうした先進のサービスでは、信頼性と利便性の両立がさらに重要になっていきます。

 NECは、指紋・顔などの世界No.1※の生体認証技術を生かして、サービスの効率化や利便性の向上を図るとともに、生活者には安全・安心な利用環境を実現します。これからもICTを活用して社会を支える「止まらない」インフラと、暮らしを支える「止まらない」サービスの実現に貢献していきます。※ 米国国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)のベンチマークで1位を獲得

「サービスのマルチ化」や「止まらない」サービスを実現するインフラを

Lifeline Infrastructure安全・高効率なライフライン

AIやIoTなどのICTの活用により、多様なサービスを柔軟かつシームレスに連携する「サービスのマルチ化」を実現

世界的な都市化の進展で、生産・生活基盤の多様化・複雑化が加速しています。NECは、高度で柔軟なICTシステムで地域・時間格差を解消し、24時間365日途切れることのないインフラを実現することで、大切な資源を安全かつ効率的に供給し続けます。

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

ブルーブック P.18-19 Lifeline Infrastructure NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 19: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

NECの未来への取り組み NECは、信頼性と利便性の高いサービスの実現や効率的なインフラ整備など、多彩な分野で新たな価値創造に向けて取り組んでいます。

便利に、安全にマイナンバーカードを活用「マイナンバーカードを行政・民間・金融へと利用拡大」

 マイナンバーカードと顔認証などの生体認証技術を組み合わせることで、住所変更に伴う公共料金の支払い手続き、オンラインショッピングの本人確認、さらに金融機関の口座開設など、信頼性と利便性が向上したサービス提供を実現できます。 NECでは、次世代端末(右写真)やウェアラブル端末との連携など、マイナンバーカードの利用を拡大する先進的な取り組みを推進しています。

ICTで新興国のインフラ整備に貢献「物流・交通システムをグローバルに提供」

 NECは、IoTを活用して輸送中の貨物の位置情報をクラウドに収集し、物流システム全体を可視化する統合プラットフォームの構築をインドでサポートしたほか、都市部の渋滞解消に役立つ交通ICカードシステムを複数の国に展開しています。これからも先進のICT活用により、それぞれの地域の課題に応じた安全で効率的なインフラ整備をグローバルに拡大していきます。

電 力

ガ ス

先進の I C T活用先進の I C T活用

IoT

セキュリティ

AI

金 融

水道 路 鉄 道 航 空

行 政 マイナンバー物 流

医 療サービス

金 融サービス

流 通サービス

行 政サービス 福 祉

サービス 飲 食サービス

サービスのマルチ化サービスのマルチ化

18 19

加速する「サービスのマルチ化」とは ライフスタイルや顧客ニーズの多様化に伴い、求められるサービスも多様化しています。例えばコンビニエンスストアでは、商品の販売だけでなく、ATMによる金融サービス、公共料金の支払い、さらに宅配荷物の集荷や預かりなど、さまざまなサービスを提供しています。こうした店舗は提供サービスが広がることで、さらに「人が集まる場」となり、それによってさらに「サービスが集まる場」へと変わっていきます。「サービスのマルチ化」が進むことによって、生活インフラとしての役割は一段と高まります。流通、金融、行政、医療、福祉など、多彩なサービスを柔軟かつシームレスに連携する「サービスのマルチ化」は、今後ますます加速していきます。

「止まらない」インフラが「止まらない」サービスを実現 空港や発電所などの重要インフラ施設では、AIやIoTなどのICTを活用したシステム監視、施設や設備の異常検知による予防保守、そして鉄道などの交通システムでは、RFIDなどのIoTによる点検や修繕履歴のトレーサビリティに基づく安全・安心な運用など、「止まらない」インフラに対する高度な技術や信頼性が求められてきました。そうした重要インフラの運用で培った実績やノウハウをもとに、AIでシステムの異常を自動検知する予防保守を実現したり、IoTを活用して店舗システム全体を見える化することで、生活インフラにおける「止まらない」サービスが可能になります。日本の厳しい要求に応えて実現した多彩な「止まらない」サービスは今後、グローバルへと拡大していくでしょう。 一方、世界に目を向けるとインフラ整備に関するさまざまな課題

があります。物流システムの可視化、都市部への人口集中に伴う交通渋滞や増大するエネルギー消費への対策、貧困層の人たちも利用できる金融システムなどのインフラ整備が、新興国では急務となっています。こうした世界の国々が抱える課題の解決にも、ICTが大きく寄与します。

高度な生体認証技術が、新サービスに貢献 都度決済を必要としない交通機関の利用、第三者機関を必要とせず、売り手と買い手の合意を可能にするブロックチェーンの利活用、マイナンバーカードを利用した民間サービスの拡大など、今後も新たなサービスが次々と生まれます。こうした先進のサービスでは、信頼性と利便性の両立がさらに重要になっていきます。

 NECは、指紋・顔などの世界No.1※の生体認証技術を生かして、サービスの効率化や利便性の向上を図るとともに、生活者には安全・安心な利用環境を実現します。これからもICTを活用して社会を支える「止まらない」インフラと、暮らしを支える「止まらない」サービスの実現に貢献していきます。※ 米国国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)のベンチマークで1位を獲得

「サービスのマルチ化」や「止まらない」サービスを実現するインフラを

Lifeline Infrastructure安全・高効率なライフライン

AIやIoTなどのICTの活用により、多様なサービスを柔軟かつシームレスに連携する「サービスのマルチ化」を実現

世界的な都市化の進展で、生産・生活基盤の多様化・複雑化が加速しています。NECは、高度で柔軟なICTシステムで地域・時間格差を解消し、24時間365日途切れることのないインフラを実現することで、大切な資源を安全かつ効率的に供給し続けます。

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

ブルーブック P.18-19 Lifeline Infrastructure NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 20: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

20

NECの未来への取り組みNECは、人やモノ、プロセスをつなぎ、新たな価値を創造するバリューチェーン・イノベーションを推進しています。

お客さまとの共創

デザイン思考

AI IoT セキュリティ クラウド

NECの取り組みNECの未来への取り組みIoT・5G時代の情報通信基盤に向けて、NECは快適で安全な

ネットワーク環境の実現に取り組んでいます。

BYOD

暗号適用デバイス拡大

情報通信サービス

情報ネットワーク

情報漏えいの防止

改ざん、偽のデータ侵入の防止

IoT機器

クラウド

通信キャリアとの協働で「次世代の情報通信基盤を開発」 NECは、スマート社会の実現や社会インフラサービスの高度化に向けた先進の取り組みを通信キャリアと共に進めています。例えば、マルチレイヤ・マルチドメインの広域ネットワーク上で、さまざまなアプリケーションに応じた最適なリソースを動的に配備・利用可能にするSDN/NFV※2情報通信基盤の開発に共同で取り組んでいます。※2 NFV:Network Functions Virtualization

IoT・5G時代の情報通信を守る「軽量で安全な暗号技術」 IoTや5Gなどによって、社会インフラとしてミッションクリティカル性の高い情報も増大し、社会・企業にとって情報保護が一層重要なものとなります。NECは、軽量で安全な暗号技術「TWINE」、秘匿と改ざん検出を効率的に行う認証暗号方式「OTR※3」を開発。「TWINE」と「OTR」の組み合わせにより、あらゆるデバイスへのセキュリティ技術の実装や、サーバの超高速処理を可能とするなど、IoT時代に向けた情報通信の進化に貢献していきます。※3 OTR(Offset Two-Round):NECが開発した認証暗号方式で、米国国立標準技術研究所(NIST)が出資する国際認証暗号コンペティションCAESARに提案し、2次選考を通過。2017年末最終選考での次世代認証暗号としての採択を目指しています。

21

Industry Eco-System産業とICTの新結合

デジタル変革による価値創造で新たな成長力と競争力をIoTによる人・モノ・プロセスの有機的結合、急進する生産や販売のデジタル化、多様化する消費体験や高度化するニーズへの対応による新たなビジネスの登場など、産業構造が変革し続けています。NECは新しいデジタルプラットフォームを通じて、次世代の産業エコシステムを実現していきます。

Communication 豊かな社会を支える情報通信

多様化するサービスを支える次世代の情報通信基盤へ人・モノ・コトがつながるデジタルネットワークの進化、そして社会の高度化に伴って情報や知識の重要度が高まっています。NECは、海底から宇宙まで広がる情報通信技術アセットを通じて世界中の人々や企業が情報・知識を安全・安心・公平に活用できる情報通信基盤を構築します。

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

ゲームチェンジに、どう向き合えばいいのか 市場の成熟化やICTの進化などによって、市場構造が急激に変化しているなか、業種を超えたゲームチェンジがさまざまな分野で広がっていきます。もはやゲームチェンジはベンチャー企業だけによるものではなく、あらゆる企業が対象となります。 これからの時代を勝ち抜くためには、データから新たな価値を生み出す製品のサービス化など、新たなビジネスモデルの創出を図る必要があります。さまざまな変化に柔軟に対応できるエコシステムの実現は、競争優位性を確保する上で重要な課題となっています。

バリューチェーン・イノベーションで新たな価値を創造 企業に新たな競争力を創出するのが、AIやIoTなどの先進のICTを活用したデジタライゼーションです。AI技術を活用した製品・サービスの高度化や、IoTによるバリューチェーンの可視化は、今後も一段と加速していくでしょう。また、新たなビジネスモデルの創出には、従来の枠を超えたビジョンやコンセプトを立案できる人材が求められます。 NECは、社会や未来のあるべき姿を描くデザイン思考の積極的な取り入れ、最先端のAI技術を活用したIoTプラットフォームの実現など、知と技を融合しながら人やモノ、プロセスを効率よくつなぐ「バリューチェーン・イノベーション」の実現によって、さまざまな産業分野で新たな価値を創造し、企業や社会の未来に向けた成長を支援していきます。

新たなイノベーションを生み出す「お客さまとの共創」と「挑戦する人材の育成」 社会や未来のあるべき姿を上流から描くデザイン思考をNECは積極的に取り入れています。また、イノベーションに挑戦する社員の育成強化や、「NEC ものづくり共創プログラム」に代表されるお客さまとの共創の場によって、社会や市場の課題をお客さまと共に探索し、課題を解決するための価値創造に取り組んでいきます。

ものづくりの革新の経験・ノウハウを体系化「NEC ものづくり共創プログラム」 携帯電話から衛星まで、NECの多彩なものづくりに対する生産革新やサプライチェーン改革の経験とノウハウを体系化。サプライチェーンの強化、業務プロセス革新に必要なノウハウやアセットを4つのコンセプトで提供しています。現在、1,149社・約3,500名※のメンバーと、多彩な交流を通して製造業をより元気にする活動に取り組んでいます。                  ※ 2016年7月末現在

人やモノ、プロセスをつなぎ、新しい価値を創造

AIを活用したIoTプラットフォーム

バリューチェーン・イノベーション

人 モノ プロセス

IoTで広がる新たな体験や社会価値モバイルネットワークやIoTの進展で、2025年にはイン

ターネット利用者は世界で約55億人、つながるIoTデバイスは1兆個に達すると予測されています。「人・モノ・コト」が自在につながることで、多言語音声翻訳による交流や交通システムの自動化などのより豊かな社会を実現する新しい価値が創造されます。さらに、こうしたつながりを最先端のAI技術と融合させることで、ロボットとの協働などの、今までにない新たな体験が広がっていくでしょう。 このような新しい社会価値を実現するには、通信の高速化・大容量化とともに、安全・安心につなぐためのセキュリティの確保が重要になってきます。また、情報通信基盤の役割も、従来の「情報やデータを効率よくつなぐ」から、「多様化するサービスを支える」へと、大きく変化していきます。

ネットワークを意識させない情報通信基盤へ さまざまなサービスを、誰もが、いつでもどこでも、自由に利用できる情報ネットワークを実現するためには、SDN※1などの柔軟な通信のアセットとAI技術を融合して、ネットワークの「見える化、分析、対処」を行うなど、安定性と信頼性にすぐれた情報通信基盤の構築が欠かせません。ネットワークを意識させることなく快適に、しかも安全・安心に使いこなせるよう、NECは、IoT・5G時代のコミュニケーションを見据えて、情報通信基盤をさらに進化させていきます。※1 SDN:Software-Defined Networking

ブルーブック P.20-21 第4章 Communication / Industry Eco-System NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 21: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

20

NECの未来への取り組みNECは、人やモノ、プロセスをつなぎ、新たな価値を創造するバリューチェーン・イノベーションを推進しています。

お客さまとの共創

デザイン思考

AI IoT セキュリティ クラウド

NECの取り組みNECの未来への取り組みIoT・5G時代の情報通信基盤に向けて、NECは快適で安全な

ネットワーク環境の実現に取り組んでいます。

BYOD

暗号適用デバイス拡大

情報通信サービス

情報ネットワーク

情報漏えいの防止

改ざん、偽のデータ侵入の防止

IoT機器

クラウド

通信キャリアとの協働で「次世代の情報通信基盤を開発」 NECは、スマート社会の実現や社会インフラサービスの高度化に向けた先進の取り組みを通信キャリアと共に進めています。例えば、マルチレイヤ・マルチドメインの広域ネットワーク上で、さまざまなアプリケーションに応じた最適なリソースを動的に配備・利用可能にするSDN/NFV※2情報通信基盤の開発に共同で取り組んでいます。※2 NFV:Network Functions Virtualization

IoT・5G時代の情報通信を守る「軽量で安全な暗号技術」 IoTや5Gなどによって、社会インフラとしてミッションクリティカル性の高い情報も増大し、社会・企業にとって情報保護が一層重要なものとなります。NECは、軽量で安全な暗号技術「TWINE」、秘匿と改ざん検出を効率的に行う認証暗号方式「OTR※3」を開発。「TWINE」と「OTR」の組み合わせにより、あらゆるデバイスへのセキュリティ技術の実装や、サーバの超高速処理を可能とするなど、IoT時代に向けた情報通信の進化に貢献していきます。※3 OTR(Offset Two-Round):NECが開発した認証暗号方式で、米国国立標準技術研究所(NIST)が出資する国際認証暗号コンペティションCAESARに提案し、2次選考を通過。2017年末最終選考での次世代認証暗号としての採択を目指しています。

21

Industry Eco-System産業とICTの新結合

デジタル変革による価値創造で新たな成長力と競争力をIoTによる人・モノ・プロセスの有機的結合、急進する生産や販売のデジタル化、多様化する消費体験や高度化するニーズへの対応による新たなビジネスの登場など、産業構造が変革し続けています。NECは新しいデジタルプラットフォームを通じて、次世代の産業エコシステムを実現していきます。

Communication 豊かな社会を支える情報通信

多様化するサービスを支える次世代の情報通信基盤へ人・モノ・コトがつながるデジタルネットワークの進化、そして社会の高度化に伴って情報や知識の重要度が高まっています。NECは、海底から宇宙まで広がる情報通信技術アセットを通じて世界中の人々や企業が情報・知識を安全・安心・公平に活用できる情報通信基盤を構築します。

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

ゲームチェンジに、どう向き合えばいいのか 市場の成熟化やICTの進化などによって、市場構造が急激に変化しているなか、業種を超えたゲームチェンジがさまざまな分野で広がっていきます。もはやゲームチェンジはベンチャー企業だけによるものではなく、あらゆる企業が対象となります。 これからの時代を勝ち抜くためには、データから新たな価値を生み出す製品のサービス化など、新たなビジネスモデルの創出を図る必要があります。さまざまな変化に柔軟に対応できるエコシステムの実現は、競争優位性を確保する上で重要な課題となっています。

バリューチェーン・イノベーションで新たな価値を創造 企業に新たな競争力を創出するのが、AIやIoTなどの先進のICTを活用したデジタライゼーションです。AI技術を活用した製品・サービスの高度化や、IoTによるバリューチェーンの可視化は、今後も一段と加速していくでしょう。また、新たなビジネスモデルの創出には、従来の枠を超えたビジョンやコンセプトを立案できる人材が求められます。 NECは、社会や未来のあるべき姿を描くデザイン思考の積極的な取り入れ、最先端のAI技術を活用したIoTプラットフォームの実現など、知と技を融合しながら人やモノ、プロセスを効率よくつなぐ「バリューチェーン・イノベーション」の実現によって、さまざまな産業分野で新たな価値を創造し、企業や社会の未来に向けた成長を支援していきます。

新たなイノベーションを生み出す「お客さまとの共創」と「挑戦する人材の育成」 社会や未来のあるべき姿を上流から描くデザイン思考をNECは積極的に取り入れています。また、イノベーションに挑戦する社員の育成強化や、「NEC ものづくり共創プログラム」に代表されるお客さまとの共創の場によって、社会や市場の課題をお客さまと共に探索し、課題を解決するための価値創造に取り組んでいきます。

ものづくりの革新の経験・ノウハウを体系化「NEC ものづくり共創プログラム」 携帯電話から衛星まで、NECの多彩なものづくりに対する生産革新やサプライチェーン改革の経験とノウハウを体系化。サプライチェーンの強化、業務プロセス革新に必要なノウハウやアセットを4つのコンセプトで提供しています。現在、1,149社・約3,500名※のメンバーと、多彩な交流を通して製造業をより元気にする活動に取り組んでいます。                  ※ 2016年7月末現在

人やモノ、プロセスをつなぎ、新しい価値を創造

AIを活用したIoTプラットフォーム

バリューチェーン・イノベーション

人 モノ プロセス

IoTで広がる新たな体験や社会価値モバイルネットワークやIoTの進展で、2025年にはイン

ターネット利用者は世界で約55億人、つながるIoTデバイスは1兆個に達すると予測されています。「人・モノ・コト」が自在につながることで、多言語音声翻訳による交流や交通システムの自動化などのより豊かな社会を実現する新しい価値が創造されます。さらに、こうしたつながりを最先端のAI技術と融合させることで、ロボットとの協働などの、今までにない新たな体験が広がっていくでしょう。 このような新しい社会価値を実現するには、通信の高速化・大容量化とともに、安全・安心につなぐためのセキュリティの確保が重要になってきます。また、情報通信基盤の役割も、従来の「情報やデータを効率よくつなぐ」から、「多様化するサービスを支える」へと、大きく変化していきます。

ネットワークを意識させない情報通信基盤へ さまざまなサービスを、誰もが、いつでもどこでも、自由に利用できる情報ネットワークを実現するためには、SDN※1などの柔軟な通信のアセットとAI技術を融合して、ネットワークの「見える化、分析、対処」を行うなど、安定性と信頼性にすぐれた情報通信基盤の構築が欠かせません。ネットワークを意識させることなく快適に、しかも安全・安心に使いこなせるよう、NECは、IoT・5G時代のコミュニケーションを見据えて、情報通信基盤をさらに進化させていきます。※1 SDN:Software-Defined Networking

ブルーブック P.20-21 第4章 Communication / Industry Eco-System NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 22: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

22

NECの未来への取り組みNECの未来への取り組み 医療課題の解決やヘルスケアサービスの向上などを目指して、先進の取り組みを進めています。

誰もが個性や能力を発揮して、ひとりひとりが輝く次世代のワークスタイルの実現に取り組んでいます。

人材仲介事業者

求職者学生・シニア転職・海外

求人企業

自分に合った企業

ニーズに合うハイクラス人材

エントリー 紹介求職者データ

求人情報

23

世界の子供たちに公平な学習環境を 社会課題が複雑化し、個々の暮らしが多様化するなか、個性や違いなどを認め合い、お互いを尊重する「正解が1つではない社会」が訪れています。これからの社会を支えていく子供たちの教育として、多様性を尊重しながらグループワークや実習などを通じて自分なりの課題や解決を見つけ出す、アクティブラーニング(主体的・協働的な学習)の重要性が高まっています。 しかし、世界を見渡せば質の高い教育を受けられるインフラはいまだに十分ではありません。NECは、EdTech(Education×Technology)の1つである遠隔授業教室を海外に展開するなど、世界中の子供たちが公平かつ効率よくアクティブラーニングを享受できる環境を実現するために、ICTで支援していきます。

人とICTが融合した新しいヘルスケアへ 先進国を中心に高齢化や生活習慣病の増加に伴う医療費の増大、医療スタッフの不足などの課題が深刻化しています。その解決策の1つとして、セルフメディケーションなどによる「治療から予防」への意識や動きも高まっています。そうした医療の課題解決やヘルスケアに、AIやIoTなどのICTの活用が期待されています。例えばAIを活用した対話型診断によって、日常生活の微妙な体調変化やストレス状態を見える化することで、病気の超早期発見や適切な健康アドバイスの提供を目指します。さらに、ウェアラブル端末を使って収集した生活行動情報やバイタルデータを組み合わせることで、より個別に最適化されたヘルスケアが実現できます。 NECは、人とICTが融合したヘルスケアサービスにより、個々人が生き生きと輝く社会の実現に向けて貢献します。

Quality of Life個々人が躍動する豊かで公平な社会

次世代のヘルスケアを見据えた「ヘルスケア戦略室」 AIの能力を活用して、医療スタッフの負担軽減と患者のQOLの向上を実現するとともに、医療費の適正化と健康寿命の延伸などの社会価値創造を目指しています。その1つとして国のプロジェクトに参画し、全国の医療機関と連携して患者の医療情報を収集・活用するプラットフォームを構築することで、薬の副作用検出に貢献しています。また、医療機関と共に日本式医療の海外展開にも取り組んでいます。 医療機関、国・自治体をはじめ、さまざまな分野の企業・団体と連携を図り、公平で質の高いヘルスケアサービスの実現に向け、NECはICTで新たな価値を生み出していきます。

世界を見渡すと、質の高い教育や医療を受けられるインフラはいまだに十分ではありません。NECは、ICTを通じて予防医療や健康増進、場所や時間の制約がない教育環境を構築し、個々人が躍動する、多様性ある豊かで公平な社会を実現します。

AIやIoTで、ワークスタイルはどう変わるのか AIやIoT、ロボットなどの進化によって生産性が大きく向上し、人が行ってきた仕事の一部が、ロボットやAIに置き換わっていきます。オックスフォード大学のオズボーン博士は論文「雇用の未来」のなかで、今後10年から20年で米国の総雇用者の約47%の仕事における自動化の可能性を指摘しています。また、経済産業省でも、2030年には人が直接対応することが価値向上につながるサービスや、新たなビジネスを担う中核業務へ約400万人がシフトすると試算※しています。そうした将来、働く人々は得意分野や個性を生かした仕事に従事したり、新しい事業を生み出していくことが期待されます。一方、ICTの進展は、空間や時間、移動などの制約をなくすことで、地方や海外に住む人、育児や介護で働く時間が制限される人、体に障がいがある人など、誰もが自分の能力を最大限に発揮して働くダイバーシティの実現に大きく役立ちます。

ICTで、働く人と企業の双方に新たな価値を創造 ICTは、個人へのエンパワーメントにも力を発揮します。例えば、「AIと新たな事業を起こす」「自分のプロジェクトに世界中から専門家を募る」「3Dプリンタで試作品をすばやくつくる」など、個人の価値観を生かした働き方が可能になります。企業や組織の枠を超えて仕事の流動性が高まり、オープンな働き方が拡大していきます。 こうした社会では、個人のワークスタイルの支援とともに、働く人と成長したい企業を結びつける新たなプラットフォームが必要になります。NECは、資格やスキル、実績などの従来の基準だけでなく、AIを活用した柔軟な視点から人と企業を結ぶ「マッチングプラットフォーム」の実現に取り組むなど、ひとりひとりが生き生きと働く社会をICTで実現していきます。

Work Style枠を超えた多様な働き方

求人企業も、求職者も喜ぶ「マッチングプラットフォーム」 数値データやテキスト、画像情報など、膨大で多様な人事データのなかから、求人情報と求職者のパターンを学習して、それぞれに適した人材をリアルタイムでマッチングします。従来、専門家が行っていた高度な分析や判断を、NECが開発した高度なディープラーニング技術によって実現。求人企業と求職者の双方が満足する最適な組み合わせを見つけ出し、業務の効率化や離職率の低下などに貢献します。

グループ全体で最適な業務改革を図る「10万人の働き方改革」 人事や経理、調達部門などを対象とした業務改革プロジェクトを2016年度から国内関係会社に拡大しています。改革の成果を定量化して評価する手法に加え、AIも活用して問題点の抽出やナレッジを共有。さらに、現場の知恵を生かしながら、業務工数の削減や帳票ゼロなどに向けた取り組みによって、本社・グループで総勢10万人の働き方改革を加速していきます。

個々の能力や多様性を生かしてひとりひとりが輝く働き方を

多様なバックグラウンドを持つ人々との共創が、国や地域、組織の競争力につながる時代になり、世代・性別・国家・組織の枠を超えて、さらにはAI・ロボットとも協働する時代が訪れます。NECは、多様な働き方をICTを通じてデザインし、質の高い仕事と雇用を創出していきます。

子供の未来を育む教育と豊かな人生を支えるヘルスケアを

医療・健康ビッグデータ医療・健康ビッグデータ

国・自治体 病 院 保 険 製 薬 企 業 小 売 介 護 新興国

自動診断 病気の予兆検知

効く薬選定 重症化予防

ICT利用者

新たに創造する事業価値

分析・認識・予測

新たなヘルスケアICTモデルによる価値創造

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

価値提供

※ 経済産業省「新産業構造ビジョン」より

ブルーブック P.22-23 第4章 Work Style / Quality of Life NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 23: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

22

NECの未来への取り組みNECの未来への取り組み 医療課題の解決やヘルスケアサービスの向上などを目指して、先進の取り組みを進めています。

誰もが個性や能力を発揮して、ひとりひとりが輝く次世代のワークスタイルの実現に取り組んでいます。

人材仲介事業者

求職者学生・シニア転職・海外

求人企業

自分に合った企業

ニーズに合うハイクラス人材

エントリー 紹介求職者データ

求人情報

23

世界の子供たちに公平な学習環境を 社会課題が複雑化し、個々の暮らしが多様化するなか、個性や違いなどを認め合い、お互いを尊重する「正解が1つではない社会」が訪れています。これからの社会を支えていく子供たちの教育として、多様性を尊重しながらグループワークや実習などを通じて自分なりの課題や解決を見つけ出す、アクティブラーニング(主体的・協働的な学習)の重要性が高まっています。 しかし、世界を見渡せば質の高い教育を受けられるインフラはいまだに十分ではありません。NECは、EdTech(Education×Technology)の1つである遠隔授業教室を海外に展開するなど、世界中の子供たちが公平かつ効率よくアクティブラーニングを享受できる環境を実現するために、ICTで支援していきます。

人とICTが融合した新しいヘルスケアへ 先進国を中心に高齢化や生活習慣病の増加に伴う医療費の増大、医療スタッフの不足などの課題が深刻化しています。その解決策の1つとして、セルフメディケーションなどによる「治療から予防」への意識や動きも高まっています。そうした医療の課題解決やヘルスケアに、AIやIoTなどのICTの活用が期待されています。例えばAIを活用した対話型診断によって、日常生活の微妙な体調変化やストレス状態を見える化することで、病気の超早期発見や適切な健康アドバイスの提供を目指します。さらに、ウェアラブル端末を使って収集した生活行動情報やバイタルデータを組み合わせることで、より個別に最適化されたヘルスケアが実現できます。 NECは、人とICTが融合したヘルスケアサービスにより、個々人が生き生きと輝く社会の実現に向けて貢献します。

Quality of Life個々人が躍動する豊かで公平な社会

次世代のヘルスケアを見据えた「ヘルスケア戦略室」 AIの能力を活用して、医療スタッフの負担軽減と患者のQOLの向上を実現するとともに、医療費の適正化と健康寿命の延伸などの社会価値創造を目指しています。その1つとして国のプロジェクトに参画し、全国の医療機関と連携して患者の医療情報を収集・活用するプラットフォームを構築することで、薬の副作用検出に貢献しています。また、医療機関と共に日本式医療の海外展開にも取り組んでいます。 医療機関、国・自治体をはじめ、さまざまな分野の企業・団体と連携を図り、公平で質の高いヘルスケアサービスの実現に向け、NECはICTで新たな価値を生み出していきます。

世界を見渡すと、質の高い教育や医療を受けられるインフラはいまだに十分ではありません。NECは、ICTを通じて予防医療や健康増進、場所や時間の制約がない教育環境を構築し、個々人が躍動する、多様性ある豊かで公平な社会を実現します。

AIやIoTで、ワークスタイルはどう変わるのか AIやIoT、ロボットなどの進化によって生産性が大きく向上し、人が行ってきた仕事の一部が、ロボットやAIに置き換わっていきます。オックスフォード大学のオズボーン博士は論文「雇用の未来」のなかで、今後10年から20年で米国の総雇用者の約47%の仕事における自動化の可能性を指摘しています。また、経済産業省でも、2030年には人が直接対応することが価値向上につながるサービスや、新たなビジネスを担う中核業務へ約400万人がシフトすると試算※しています。そうした将来、働く人々は得意分野や個性を生かした仕事に従事したり、新しい事業を生み出していくことが期待されます。一方、ICTの進展は、空間や時間、移動などの制約をなくすことで、地方や海外に住む人、育児や介護で働く時間が制限される人、体に障がいがある人など、誰もが自分の能力を最大限に発揮して働くダイバーシティの実現に大きく役立ちます。

ICTで、働く人と企業の双方に新たな価値を創造 ICTは、個人へのエンパワーメントにも力を発揮します。例えば、「AIと新たな事業を起こす」「自分のプロジェクトに世界中から専門家を募る」「3Dプリンタで試作品をすばやくつくる」など、個人の価値観を生かした働き方が可能になります。企業や組織の枠を超えて仕事の流動性が高まり、オープンな働き方が拡大していきます。 こうした社会では、個人のワークスタイルの支援とともに、働く人と成長したい企業を結びつける新たなプラットフォームが必要になります。NECは、資格やスキル、実績などの従来の基準だけでなく、AIを活用した柔軟な視点から人と企業を結ぶ「マッチングプラットフォーム」の実現に取り組むなど、ひとりひとりが生き生きと働く社会をICTで実現していきます。

Work Style枠を超えた多様な働き方

求人企業も、求職者も喜ぶ「マッチングプラットフォーム」 数値データやテキスト、画像情報など、膨大で多様な人事データのなかから、求人情報と求職者のパターンを学習して、それぞれに適した人材をリアルタイムでマッチングします。従来、専門家が行っていた高度な分析や判断を、NECが開発した高度なディープラーニング技術によって実現。求人企業と求職者の双方が満足する最適な組み合わせを見つけ出し、業務の効率化や離職率の低下などに貢献します。

グループ全体で最適な業務改革を図る「10万人の働き方改革」 人事や経理、調達部門などを対象とした業務改革プロジェクトを2016年度から国内関係会社に拡大しています。改革の成果を定量化して評価する手法に加え、AIも活用して問題点の抽出やナレッジを共有。さらに、現場の知恵を生かしながら、業務工数の削減や帳票ゼロなどに向けた取り組みによって、本社・グループで総勢10万人の働き方改革を加速していきます。

個々の能力や多様性を生かしてひとりひとりが輝く働き方を

多様なバックグラウンドを持つ人々との共創が、国や地域、組織の競争力につながる時代になり、世代・性別・国家・組織の枠を超えて、さらにはAI・ロボットとも協働する時代が訪れます。NECは、多様な働き方をICTを通じてデザインし、質の高い仕事と雇用を創出していきます。

子供の未来を育む教育と豊かな人生を支えるヘルスケアを

医療・健康ビッグデータ医療・健康ビッグデータ

国・自治体 病 院 保 険 製 薬 企 業 小 売 介 護 新興国

自動診断 病気の予兆検知

効く薬選定 重症化予防

ICT利用者

新たに創造する事業価値

分析・認識・予測

新たなヘルスケアICTモデルによる価値創造

NEC Vision 2017 for Social Value Creation NEC Vision 2017 for Social Value Creation

価値提供

※ 経済産業省「新産業構造ビジョン」より

ブルーブック P.22-23 第4章 Work Style / Quality of Life NEC Vision 2017 for Social Value Creation

Page 24: 10 NEC Vision NEC Vision 201710年先を見つめて for Social Value Creation NEC Vision 2017 日本電気株式会社 NEC Visionサイト 社会価値創造に向けたビジョンや

10年先を見つめて

for Social Value CreationNEC Vision 2017

日本電気株式会社

NEC Visionサイト社会価値創造に向けたビジョンや最新の取り組みなどをご紹介しています

〒108-8001 東京都港区芝五丁目7番1号TEL:(03)3454-1111(大代表)http://jpn.nec.com/profile/vision/

©NEC Corporation 2016Printed in Japan

Cat.No.16110041J

本資料に表記されている会社名、製品名は一般に各社の登録商標または商標です。

本資料には日本電気株式会社および連結子会社の戦略、財務目標、技術、製品、サービス、業績などの将来予想に関する記述が含まれています。詳細については下記URLをご覧ください。http://jpn.nec.com/profile/vision/notice.html

商標について

将来予想に関する注意