100807脈状と病理病証00

86
大上勝行

Upload: katsuyuki-oue

Post on 22-Jul-2015

635 views

Category:

Documents


2 download

TRANSCRIPT

Page 1: 100807脈状と病理病証00

 大上勝行

Page 2: 100807脈状と病理病証00

普通科 六部定位脈診

高等科 祖脈診

研究科 脈状診

Page 3: 100807脈状と病理病証00

はりや灸で病気を治したり、

苦痛を和らげる

Page 4: 100807脈状と病理病証00

鍼を  どこに  どの様に  どの程度       刺すか?

Page 5: 100807脈状と病理病証00

すべての疾病を経絡の虚実状態として把握し、

それを主に鍼灸を用いて補瀉し、

治療に導く伝統医術である。          『日本鍼灸医学・基礎編』 P8 

Page 6: 100807脈状と病理病証00

変動(虚実)のある経絡を見つける

六部定位脈診(脈差診)の採用

Page 7: 100807脈状と病理病証00

六部定位脈診は「どこに (選経・選穴)」「どの様に(補瀉)」の診断法

「どの様に (手技 )」「どの程度 (ドーゼ )」は個人の裁量・感覚・経験に委ねられた

Page 8: 100807脈状と病理病証00

病理を把握する

経絡・陰陽・虚実・表裏・寒熱を知る

脈状を知る

Page 9: 100807脈状と病理病証00
Page 10: 100807脈状と病理病証00

精気の虚

病因

気血津液の虚

寒熱の発生

臓腑経絡に波及 病症

Page 11: 100807脈状と病理病証00

肝 心 脾 肺 腎

魂 神 意智 魄 精志

発生 生命 製造 収斂 堅固

Page 12: 100807脈状と病理病証00

内因怒・喜・思・憂悲・恐驚

外因風・暑・湿・寒・燥

不内外因飲食・労倦

Page 13: 100807脈状と病理病証00

肝 血

脾 気・血・津液

肺 気

腎 津液

Page 14: 100807脈状と病理病証00

陽 温める

動かす

和げる

乾かす 開く 発散 出る 上る

陰 冷やす

鎮める

堅める 潤す 閉じ

る 収斂 入る 下る

Page 15: 100807脈状と病理病証00

1. 経絡

2. 表裏

3. 支配部位

4. 熱は上・外へ、寒は下・内へ

5. 隣接する部位

Page 16: 100807脈状と病理病証00

寒熱が波及した部位の、

虚実により現れる

Page 17: 100807脈状と病理病証00

1.どの臓がどの様に虚したのか?

四診によって得られる情報(虚実寒熱)を分類する

精気の虚

病因

病理の虚寒熱の発生

臓腑経絡に波及

病証

1.寒熱は? 1.患者の訴えはどの経か?

Page 18: 100807脈状と病理病証00

(例)腰痛症

長時間重いものを運んでから腰が痛い。

脈浮・大 肝虚証前屈みがつらい自発痛なし

Page 19: 100807脈状と病理病証00

精気の虚

病因

病理の虚 寒熱の発生

臓腑経絡に波及 病症

前屈みになるとつらい左関尺虚

長時間の労働

腰痛熱脈浮大

太陽膀胱経肝虚

虚労

虚熱陰血の虚

肝虚熱証太陽経熱

得られた情報を分類・考察

Page 20: 100807脈状と病理病証00

選穴選経

手技 選穴

選経

手技

精気の虚

病因

病理の虚 寒熱の発生

臓腑経絡に波及 病症

本治法標治法

Page 21: 100807脈状と病理病証00

普通科 六部定位脈診 経絡・虚実

高等科 祖脈診 陰陽・表裏・寒熱

研究科 脈状診 病理

Page 22: 100807脈状と病理病証00

補瀉手技および刺激量

精気の虚

寒熱の波及

病理の虚 選穴五行穴の運用

選経どの経絡を補うか

Page 23: 100807脈状と病理病証00

木 火 土 金 水酸 苦 甘 辛 鹹収斂 鎮火 製造 発散 堅固

Page 24: 100807脈状と病理病証00

a. 大小b. 迎随c. 深浅d. 呼吸e. 出内

a. 開闔b. 提按c. 弾爪d. 捻転e. 揺動

Page 25: 100807脈状と病理病証00

灸頭鍼

温灸

直接灸

        接触鍼

散鍼

温灸

Page 26: 100807脈状と病理病証00

補瀉深めに刺入し、しっかり補う

精気の虚肝虚

寒熱の波及脈浮大虚

病理の虚血陰虚

選穴曲泉・陰谷

選経肝経・腎経

Page 27: 100807脈状と病理病証00

精気の虚

病因

病理の虚 寒熱の発生

臓腑経絡に波及 病症

前屈みになるとつらい左関尺虚

長時間の労働

腰痛熱脈浮大

太陽膀胱経肝腎虚証

虚労

虚熱陰血の虚

肝虚熱証太陽経熱

得られた情報を分類・考察

肝腎経の補

水穴(陰谷・曲泉)深めに・長く留める

膀胱経の瀉

Page 28: 100807脈状と病理病証00

熱証肝虚

肺虚

腎虚

病気

脾虚

寒証

熱証

寒証

熱証

寒証

熱証

寒証

五臓

六腑

十二経

五華

五官

五臓

六腑

十二経

五華

五官

精気の虚 寒熱の波及気血津液の虚

Page 29: 100807脈状と病理病証00
Page 30: 100807脈状と病理病証00
Page 31: 100807脈状と病理病証00
Page 32: 100807脈状と病理病証00
Page 33: 100807脈状と病理病証00

鍼を  どこに  どの様に  どの程度       刺すか?

Page 34: 100807脈状と病理病証00

選穴選経

手技 選穴

選経

手技

精気の虚

病因

病理の虚 寒熱の発生

臓腑経絡に波及 病症

本治法標治法

Page 35: 100807脈状と病理病証00

「これを集めれば、則ち浮沈・遅数の四つの他なし」

「病、表裏・陰陽を心にかけて、虚実寒熱を分明にせば、治療の誤りあるべからず。その虚実・寒熱・表裏・陰陽をば浮沈遅数の四を分別するなり」

            『増補脈論口訣』

Page 36: 100807脈状と病理病証00

浮 浮・芤・大・軟

沈 沈・伏・細

遅 遅・緩

数 数・動

虚 虚・芤・微・細・軟・弱

実 実・洪・滑・弦・緊

Page 37: 100807脈状と病理病証00

Page 38: 100807脈状と病理病証00

穀道

Page 39: 100807脈状と病理病証00
Page 40: 100807脈状と病理病証00

脈 = 陽気 実 = 陽気が詰まっている

 虚 = 陽気が空ろ

 大 = 陽気が多い

 小 = 陽気が少ない

Page 41: 100807脈状と病理病証00
Page 42: 100807脈状と病理病証00

遅 = 寒

数 = 熱

Page 43: 100807脈状と病理病証00

遅 = 寒

数 = 熱

Page 44: 100807脈状と病理病証00

浮虚浮大

沈実

Page 45: 100807脈状と病理病証00

浮実 沈実 細虚

Page 46: 100807脈状と病理病証00

内 「之を按げて有ることなく、 之を按ずれば弦の状のごとし」

Page 47: 100807脈状と病理病証00

脈 刺法浮 浅く沈 深く実 瀉虚 補数 短遅 長

Page 48: 100807脈状と病理病証00

①浮実の脈と刺鍼法②浮虚の脈と刺鍼法③沈実の脈と刺鍼法④沈虚の脈と刺鍼法

Page 49: 100807脈状と病理病証00

速刺速抜

熱をぬく

Page 50: 100807脈状と病理病証00

徐刺速抜

虚 留めて陰を補う

残った熱は浅い瀉法

Page 51: 100807脈状と病理病証00

速刺徐抜

熱を拡散

Page 52: 100807脈状と病理病証00

徐刺速抜

長く留め

陰を補う

Page 53: 100807脈状と病理病証00
Page 54: 100807脈状と病理病証00

•肝虚証熱証・寒証

•脾虚証熱証 (陽明経実熱証・胃実熱証・胃虚熱証)・寒証

•肺虚証熱証(陽経実熱証)・寒証

•腎虚証熱証・寒証

•肝実証脾虚肝実熱証・脾虚肝実証・肺虚肝実証

Page 55: 100807脈状と病理病証00

熱証(陰虚・陽実)血・津液の虚(陰虚)肝虚熱証・脾虚熱証・腎虚熱証

気の虚 (停滞 )(陽実)脾虚陽明経実熱証・肺虚陽経実熱証

寒証(陽虚)血・津液+陽気の虚肝虚寒証・腎虚寒証

気の虚 (不足 )脾虚寒証・肺虚寒証

Page 56: 100807脈状と病理病証00
Page 57: 100807脈状と病理病証00

陽 栄気

津液=

×

温める

血を巡らせる

冷やす

原材料・精力

Page 58: 100807脈状と病理病証00

正常 陰虚

Page 59: 100807脈状と病理病証00

• 経絡 厥陰肝経・少陰腎経

• 表裏 胆・少陽胆経・少陽三焦経

• 支配部位 目・爪・筋

• 熱は上・外へ上焦 (心・肺 )、肩・頭・胸、皮毛・肌肉

• 隣接する部位脾・胃・小腸・大腸・腎・膀胱

Page 60: 100807脈状と病理病証00

熱の波及 往来寒熱 頭痛・肩こり・めまい・動悸

血虚 不眠・多夢・イライラ・眼の疾患 筋肉痛・神経痛・腰痛 婦人科疾患

経絡 睾丸痛・肝経の引きつり 耳の疾患・偏頭痛・胆経の引きつり

Page 61: 100807脈状と病理病証00

弦で有力

大・虚

大・虚

大・虚

弦で有力

弦か渋

全体の脈状

•浮弦数

•浮滑数

 熱の程度で変わる

Page 62: 100807脈状と病理病証00

肝の精気を補う肝腎の補

陰血を増やす陰谷 (腎水 )・曲泉 (肝水 )・復溜 (腎金)・中封 (肝金 )

波及した熱を瀉す胆経(臨泣・懸鐘・光明)胃経(足三里)

Page 63: 100807脈状と病理病証00

血血

陽陽 栄気栄気

津液津液==

==

血血

陽陽 栄気栄気

津液津液==

==● 肝虚熱証 ● 肝虚寒証

×

×

×

Page 64: 100807脈状と病理病証00

正常正常 寒証寒証 (( 陽虚陽虚 ))

熱証(陰虚)熱証(陰虚)

Page 65: 100807脈状と病理病証00

寒の波及

陽気が巡らない

陽気が回ってこない 陽気が停滞する

寒 熱

Page 66: 100807脈状と病理病証00

健康

Page 67: 100807脈状と病理病証00

• 経絡 厥陰肝経・少陰腎経

• 表裏 胆・胆経・三焦経

• 支配部位 目・爪・筋

• 寒は下へ下焦 (腎・膀胱・大腸・女子胞 )、足・腰

• 隣接する部位脾・胃・小腸・大腸・腎・膀胱

• 陽気の停滞 上焦

Page 68: 100807脈状と病理病証00

•月経中の下痢

•無気力

•決断力がなく、恐れやすく、ため息ばかり

•慢性下痢・潰瘍性大腸炎

•上焦 (心・肺 )の症状

•しもやけ

Page 69: 100807脈状と病理病証00

他より有力

弱か軟

他より有力

渋・細

全体の脈状

•弱 (沈・細・虚 )

•芤・軟・散

Page 70: 100807脈状と病理病証00

肝の精気を補う肝腎の補

血を増やす太谿 (腎土 )・太衝 (肝土 )・三陰交 (脾)

寒の波及した経を補う胆経(臨泣・丘墟)胃経(足三里)

Page 71: 100807脈状と病理病証00
Page 72: 100807脈状と病理病証00

Page 73: 100807脈状と病理病証00

「衛気は、その悍気の慓疾に出で、まず四末、分肉、皮膚の間を行りて休まざるものなり」

『霊枢』邪客 (71)

Page 74: 100807脈状と病理病証00

肺気が虚す

→陽気の発散循環がうまくいかない

→陽気 (熱 )が停滞

→停滞した部位に病証が現れる

Page 75: 100807脈状と病理病証00

太陽

陽明

•太陽経 発熱・悪寒・咳・関節痛・頭痛

•陽明経 鼻乾・目痛・頭項強痛・咽喉痛

Page 76: 100807脈状と病理病証00

浮・緊

浮・緊

浮・緊

浮・緊

軽按で浮実

全体の脈状

•浮・数・実・緊

•重按しても虚がわかりにくい

軽按で浮実

Page 77: 100807脈状と病理病証00

肺気を補い陽気を循らせる肺脾を補う 経渠 (肺金 )・商丘(脾金)

熱の停滞した経を瀉す小腸 少沢・養老膀胱 通谷・金門大腸 二間・温溜胃  内庭・厲兌

Page 78: 100807脈状と病理病証00

肺気が虚す

→陽気の発散循環がうまくいかない

→陽気 (熱 )が循らない

→循らない部位が冷え病証が現れる

Page 79: 100807脈状と病理病証00

太陽

陽明

•太陽経 発熱・悪寒・咳・関節痛・頭痛

Page 80: 100807脈状と病理病証00

浮・虚

浮・虚

浮・虚

全体の脈状

•浮数虚

•熱が少なくなると沈細

Page 81: 100807脈状と病理病証00

肺気を補い陽気を増やし循らせる肺脾を補う 太淵 (肺土 )・太白(脾土)・列缺(肺絡 )・公孫 (脾絡 )

熱の行き届かない経を補う小腸 腕骨膀胱 京骨・飛陽・跗陽大腸 曲池胃  衝陽

Page 82: 100807脈状と病理病証00
Page 83: 100807脈状と病理病証00

精気の虚

病因

気血津液の虚

寒熱の発生

臓腑経絡に波及 病症

1. 精気の虚から気血津液の虚がおこり、寒熱の波及により病証が現れる

2. 病証を病理に結びつける、脈状を病理に結びつける それぞれの臓の生理病理を理解

Page 84: 100807脈状と病理病証00

穀道

1. 精気の虚から病証までの図をイメージして診察に当たる2. 人体を立体的にとらえ、虚実寒熱をイメージする3. イメージした虚実寒熱を調えるように補瀉する

Page 85: 100807脈状と病理病証00

六部定位脈診 (普通科 )精気の虚虚実の場所

祖脈診 (高等科 )病位寒熱

脈状診 (研究科 )病理

Page 86: 100807脈状と病理病証00