世界銀行 財務局

1225 CONNECTICUT AVE NW

WASHINGTON, DC 20433 USA http://treasury.worldbank.org/capitalmarkets

ドリス ヘレラ ポル

財務局局長 資本市場グループ

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気候変動問題と金融

温暖化ガス削減を一段と進めないと、世界的な人口増と経済成長にしたがって、温暖化ガスも増加を続けることになります。IPCC（気候変動に

関する政府間パネル）によれば、このままでは2100年に地球の平均温度は3.7から4.8度も上昇すると言われています。

実際、2000年から2010年における温暖化ガス排出量は人類史上最大の水準に達しています。

4度も気温が上昇してしまうと、多大な被害が発生し、その被害は貧困層にとってより深刻なものとなります。

2

気候変動問題

出典: 気候変動に関する政府間パネル 2014

抜本的な対策が必要

3

炭素強度

(2010 =

100)

度上昇ｼﾅﾘｵ

出典: 国際エネルギー機関（IEA)、温暖化ガス削減手法毎の効果予測(2014年）

Note: CCS （Carbon Capture and Storage 二酸化炭素回収貯留）

度上昇ｼﾅﾘｵ

対策のための資金は不十分

4 出典: 気候変動政策イニシアチブ 2014年

グリーンボンド誕生の経緯

2007年: スエーデンとノルウェーの公的年金がSEB（北欧の銀行）を通じて世界銀行財務局に提案。

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温暖化ガス削減技術

太陽光発電 風力発電

廃棄物処理

森林再生 森林管理

高効率な公共交通 エネルギー

グリーンプロジェクト 加盟開発途上国

社会保障

教育

食料

保健

農業

インフラ

環境

グリーンな 世銀債投資はできないの？

新たな取り組み

1. 対象プロジェクトの選定、詳細調査、モニタリングは？

2. プロジェクトリスクとカントリーリスクは？

3. 流動性リスクは？ 4. 金利条件は？ 5. 透明性の確保は？

環境配慮型輸送

再生可能

エネルギー

廃棄物管理

水管理と廃水処理

森林管理 農業と土地活用

エネルギー効率化

グリーンプロジェクト 地球温暖化の「緩和」並びに「適応」 に対処する様々なプロジェクト。

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グリーンボンド

これまでの世銀債と同じ信用力とリターン

世界銀行のグリーンプロジェクト実施 までのプロセス

1) 対象プロジェクトの選定基準を設定 （外部によるチェックも含む）

2) 対象プロジェクトの絞込み

3) 対象プロジェクトの資金を特別勘定内で割当て。 （グリーンボンドで調達された資金は特別勘定に集約され、グリーンボンド対象プロジェクトに割当てられるまでの間厳格に管理されます。）

4) プロジェクトのモニタリングと評価

透明性 複数分野にまたがるプロ

ジェクト

7 データ：ブルムバーグ、その他一般に入手可能なデータを集計

* 2014年9月末現在

グリーンボンド市場の拡大

世界銀行グリーンボンド発行実績

70億米ドル相当、76銘柄、17通貨

IFCグリーンボンド発行実績

37億米ドル相当、24銘柄、9通貨 0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 *

(単位：百万米ドル相当）

グリーンボンド発行推移

エネルギー関連企業

世界銀行

IFC

欧州投資銀行

その他開発金融機関

政府

企業/銀行

発行概要

発行総額: 5億5千米万ドル（約550億円）

発行日: 2013年8月22日

満期日: 2015年8月24日

金利: 0.375% (年二回払い)

発行価格: 99.976%

主幹事団: モルガンスタンレー、SEB

http://treasury.worldbank.org/cmd/htm/USD550MillionGreenBonds.html 8

発行事例：

世界銀行 5億5千万ドル グリーンボンド

地域別シェア

投資家別シェア

投資運用会

社44%

年金基金

21%

公的機関18%

事業法人

2%

保険会社15%

米州

61%

日本

1%

欧州

38%

17の投資家が購入： AP2, AP3, ブラックロック, カリフォルニア州, CalSTRs, ドイツ銀 A&WM, Everence, 日興AM, SEB Wealth, SSgA, TIAA-CREF, Trillium AM….

高い信用力を持つ世銀債の安全性と適切なリターンという従来の投資決定基準に加え、地球温暖化問題への対処に資金が活用される点を、全ての投資家が投資の理由に掲げています。このように投資方針に「社会貢献度の高い資金使途」を組み込む投資家層が拡大しています。

発行概要

発行総額: 5億5千万ユーロ

発行日: 2014年3月20日

満期日： 2017年3月20日

金利： 0.25% (年一回払い)

発行価格： 99.678%

主幹事団： クレディーアグリコール、モルガンスタンレー、SEB

http://treasury.worldbank.org/cmd/htm/First_World_Bank_Green_Bond_Benchmark_Euros.html 9

地域別シェア

投資家別シェア

21の投資家が購入： ACTIアセット (旧称 SNSアセット), Aegon アセット, AP2, APG, バークレイズ銀行, ブラックロック, Caisse Centrale de Reassurance, イケアグループ, Mirova, ナティクシ・アセット, ピクテ, SEB アセット, Standish Mellonアセット, チューリッヒ保険グループ、Zwitserleven…...

銀行、事業

法人42%

投資運用会

社

22% 保険会社

19%

公的機関

9%

年金基金8%

米州

10%

欧州

90%

発行事例

世界銀行 5億5千万ユーロ グリーンボンド

発行概要

発行総額 3億豪州ドル

発行日 2014年4月29日

満期日 2019年4月29日

金利 3.5% (年二回払い)

発行価格 98.960%

主幹事団 RBC、ウエストパック

http://treasury.worldbank.org/cmd/htm/AUD300Million_First_Kangaroo_Green_Bond.html 10

発行事例

世界銀行 3億豪州ドル グリーンボンド

地域別シェア

投資家別シェア

15の投資家が購入： Aberdeenアセット, AMPキャピタル, Australian Ethical Investment Ltd, Colonial First State Global アセット, Local Government Super, QBE 保険グループ, UniSuper…….

全ての投資家が、「地球温暖化問題の対処に寄与する投資」を投資方針に組み入れています。

UniSuper（豪州年金基金） が最大シェアの投資家でした。

豪州

77%

日本

10%

アジア

（除日本） 2%

米国

11%

投資運用

会社

42%

年金基金35% 保険会社

20%

銀行

3%

日本の機関投資家もグリーンボンドに投資

11 Nikkei News, Saitama News, Ohita Godo News, Iwate Daily, Yomiuri, Fukui

グリーンボンドに ご投資頂いた投資家

伊予銀行

山陰合同銀行

岩手銀行

紀陽銀行

香川銀行

愛知銀行

福井銀行

第四銀行

北洋銀行

南都銀行

大分銀行

武蔵野銀行

大垣共立銀行

早稲田大学

千葉興行銀行

中国銀行

機関投資家との共同プレスリリース

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15行の地方銀行の皆様にご投資頂いています。

13

日本の個人投資家向けグリーンボンド

メキシコ

エネルギー効率の高い家電製品の普及

問題点 メキシコで消費されるエネルギーの80%は化石燃料から供給され、多くのガソリンも輸入されています。また、家庭で消費される電力は、国全体の電力の25％に達しています。家庭用空調機器や各種電家電製品の全体の電気消費量は非常に大きなものとなっています。

目標

メキシコ政府と世界銀行が共同で進めるプロジェクトでは、45万8千個の白熱灯を小型の蛍光灯への交換と、190万個の旧型の冷蔵庫と

空調機器を新型の省エネタイプのものへの交換を行っています。投入資金は、節約された光熱費から回収されます。

詳しくは以下をご覧下さい: http://www.worldbank.org/projects/P106424/efficient-lighting-appliances?lang=en

グリーン選定基準：

温暖化ガスの「削減」 最新技術を使った省エネ家電の普及

成果目標:

累積エネルギー消費削減量、5,736 GWh（ギガワット時）、累積ガス削減量 3,320,000トン（二酸化炭素換算）

貸出分野: エネルギー

Photo: World Bank

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コロムビア

エネルギー効率の高い都市交通システム

問題点： 都市交通機関：深刻な交通渋滞、事故や犯 罪の高い発生率、身体に有害な空気、コロンビアの炭素排出量の62％を占める汚染物質の排出。 本プロジェクトの目標： コロムビア政府と世界銀行は、「トランスミレニオ」と高速バスシステムの拡大に共同で取り組んでいます。拡大と同時に性能改善も段階的に進めており、老朽化したバスを引退させ、燃費のよい新しいバスを導入することで、都市部に居住する75%の人々が移動効率が高く、安全で利用しやすい公共交通システムが実現しました。この結果、人口一人当たりのキロ毎移動に要する平均燃費が大幅に削減されました。

Photo: © World Bank

グリーン選定基準

温暖化「緩和」 エネルギー効率の高い都市交通

(温暖化ガス排出量の削減).

成果目標

二酸化炭素排出量を年間246,560トン削減

貸出分野: 交通

詳しくは以下をご覧下さい: http://www.worldbank.org/projects/P114325/integrated-mass-transit-systems-second-additional-financing?lang=en Video: http://www.youtube.com/watch?v=z1Obm7vmXqg&feature=player_embedded 15

16 Images: © The Clearing/World Bank

• 世界銀行グリーンボンドの資本市場への 継続的な供給を保証

• 認知度の拡大：気候変動問題への対処には公的資金では足りず、民間資本市場の巨額の資金が不可欠であること。

• 他の発行体、投資家、金融機関と協力： その他、全ての市場参加者とも協力して、様々なタイプのグリーンボンドを開発し、 グリーンプロジェクトへの資金供給を拡大。同時に資金使途の一層の透明性も進める。（CERES、グリーンボンド原則、インパクトレポートなどの団体との協力）

• 新たなグリーンボンド発行に必要な 市場環境の整備：市場拡大を促すグリーン指標等の導入＜ソラクティブ・インデックス（独）、グリーン・ファンド（日英）、グリーンプロジェクトの証券化（米）等＞

CERES:Coalition for Environmentally Responsible Economies （環境に責任を持つ連携）

グリーンボンド

今後の課題…

世界銀行財務局（世界銀行東京事務所内）

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