2 健康・福祉 1章 - cabinet office...268.1 262.8 256.1 249.7 240 260 280 300 320 (点)...

12
2 健康・福祉 (1)健康 ア 65歳以上の者の新体力テストの合計点は 向上傾向 平成 30(2018)年の 70~74 歳の男子・女子、 75~79歳の女子の新体力テスト(握力、上体 起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、10m 障害 物歩行、6分間歩行)の合計点は、それぞれ平 成12(2000)年の65~69歳男子・女子、70~ 74歳の女子の新体力テストの合計点を上回っ ている(図 1 - 2 - 2 - 1)。 イ 60~65歳層の数的思考力と読解力は各 国に比べて高い OECDの国際成人力調査(PIAAC)による と、60~65歳層の数的思考力、読解力は各国 に比べて高い(図1-2-2-2、図1-2-2 -3)。 ウ 健康寿命は延伸し、平均寿命と比較しても 延びが大きい 日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、 平成28(2016)年時点で男性が72.14年、女性 が74.79年となっており、それぞれ平成22年 図1-2-2-1 新体力テストの合計点 24 29 34 39 44 (点) 平成12 (2000) 15 (2003) 18 (2006) 21 (2009) 24 (2012) 27 (2015) (年度24 29 34 39 44 (点) 平成12 (2000) 15 (2003) 18 (2006) 21 (2009) 24 (2012) 27 (2015) (年度65 ~ 69歳男子 70 ~ 74歳男子 75 ~ 79歳男子 65 ~ 69歳女子 70 ~ 74歳女子 75 ~ 79歳女子 男性 女性 30 (2018) 30 (2018) 資料:スポーツ庁「体力・運動能力調査」 (注 1)図は、3点移動平均法を用いて平滑化してある。 (注2)合計点は、新体力テスト実施要項の「項目別得点表」による。得点基準は、男女により異なる。 27 1 2

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  • 2 健康・福祉

    (1)健康ア 65歳以上の者の新体力テストの合計点は

    向上傾向平成30(2018)年の70~74歳の男子・女子、75~79歳の女子の新体力テスト(握力、上体起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行)の合計点は、それぞれ平成12(2000)年の65~69歳男子・女子、70~74歳の女子の新体力テストの合計点を上回っている(図1-2-2-1)。

    イ 60~65歳層の数的思考力と読解力は各国に比べて高いOECDの国際成人力調査(PIAAC)によると、60~65歳層の数的思考力、読解力は各国に比べて高い(図1-2-2-2、図1-2-2-3)。

    ウ 健康寿命は延伸し、平均寿命と比較しても延びが大きい日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、平成28(2016)年時点で男性が72.14年、女性が74.79年となっており、それぞれ平成22年

    図1-2-2-1  新体力テストの合計点

    24

    29

    34

    39

    44(点)

    平成12(2000)

    15(2003)

    18(2006)

    21(2009)

    24(2012)

    27(2015)

    (年度)

    24

    29

    34

    39

    44(点)

    平成12(2000)

    15(2003)

    18(2006)

    21(2009)

    24(2012)

    27(2015)

    (年度)

    65~ 69歳男子70~ 74歳男子75~ 79歳男子

    65~ 69歳女子70~ 74歳女子75~ 79歳女子

    男性

    女性

    30(2018)

    30(2018)

    資料:スポーツ庁「体力・運動能力調査」(注1)図は、3点移動平均法を用いて平滑化してある。(注2)合計点は、新体力テスト実施要項の「項目別得点表」による。得点基準は、男女により異なる。

    27

    第1章

    高齢化の状況

    第2節 高齢期の暮らしの動向

  • (2010)年と比べて延びている(平成22年→平成28年:男性1.72年、女性1.17年)。さらに、同期間における健康寿命の延びは、平均寿命の延び(平成22年→平成28年:男性1.43年、女性0.84年)を上回っている(図1-2-2-4)。平均寿命と健康寿命の差を都道府県別に見ると、男性では青森県(平均寿命と健康寿命の差:7.03年)が最も差が短く、奈良県(平均寿命と健康寿命の差:9.97年)が最も長い。また、女性では栃木県(平均寿命と健康寿命の差:

    10.51年)が最も差が短く、広島県(平均寿命と健康寿命の差:13.71年)が最も長い。平均寿命と健康寿命の関係を都道府県別に見ると、男女とも平均寿命が全国平均より長い都道府県では、平均寿命と健康寿命の差も全国平均より大きいところがやや多い。また、平均寿命については女性より男性の方がばらつきが大きいが、平均寿命と健康寿命の差については女性の方がばらつきが大きい(図1-2-2-5)。

    図1-2-2-2  数的思考力と年齢の関係

    日本 OECD平均

    275.3275.3

    289.3289.3

    298.8298.8 296.0296.0 298.0298.0 295.1295.1292.0292.0 290.9290.9

    282.0282.0

    267.8267.8265.7265.7

    275.8275.8280.0280.0 278.7278.7 277.3277.3 273.6273.6

    268.1268.1262.8262.8

    256.1256.1

    249.7249.7

    240

    260

    280

    300

    320(点)

    16-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-65(歳)

    資料:OECD「国際成人力調査」(第1回調査)(注)参加国は24か国・地域。16歳から65歳の成人を対象。調査期

    間は、平成23年8月~平成24年2月。

    図1-2-2-3  読解力と年齢の関係

    日本 OECD平均

    240

    260

    280

    300

    320(点)

    16-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-65(歳)

    295.3295.3302.6302.6

    309.3309.3 309.2309.2 308.1308.1 305.9305.9299.7299.7

    294.1294.1

    283.6283.6

    266.9266.9

    275.0275.0283.4283.4 285.4285.4 282.9282.9 281.4281.4

    276.5276.5270.9270.9

    264.7264.7258.3258.3

    252.6252.6

    資料:OECD「国際成人力調査」(第1回調査)(注)参加国は24か国・地域。16歳から65歳の成人を対象。調査期

    間は、平成23年8月~平成24年2月。

    図1-2-2-4  健康寿命と平均寿命の推移

    74.7974.2173.6273.3672.6972.65

    87.1486.6186.3085.9985.5984.93

    (年) (年)

    女性

    28(2016)

    25(2013)

    22(2010)

    19(2007)

    16(2004)

    平成13(2001)

    28(2016)

    25(2013)

    22(2010)

    19(2007)

    16(2004)

    平成13(2001)

    72.1471.19

    70.4270.3369.4769.40

    80.9880.2179.5579.1978.6478.07

    65

    70

    75

    80

    85

    90

    65

    70

    75

    80

    85

    90(年) (年)男性

    平均寿命健康寿命

    資料:平均寿命:平成13・16・19・25・28年は、厚生労働省「簡易生命表」、平成22年は「完全生命表」健康寿命:�平成13・16・19・22年は、厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研

    究」、平成25・28年は「第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」

    28

  • 図1-2-2-5  都道府県別 平均寿命と健康寿命の関係

    北海道北海道

    青森青森

    岩手岩手

    宮城宮城

    秋田秋田

    山形山形

    福島福島

    茨城茨城

    栃木栃木

    群馬群馬

    埼玉埼玉

    千葉千葉

    東京東京

    神奈川神奈川

    新潟新潟富山富山

    石川石川

    福井福井

    山梨山梨

    長野長野

    岐阜岐阜

    静岡静岡

    愛知愛知三重三重

    滋賀滋賀京都京都

    大阪大阪

    兵庫兵庫

    奈良奈良

    和歌山和歌山

    鳥取鳥取

    島根島根

    岡山岡山

    広島広島

    山口山口

    徳島徳島

    香川香川愛媛愛媛

    高知高知

    福岡福岡

    佐賀佐賀

    長崎長崎

    大分大分

    宮崎宮崎

    鹿児島鹿児島

    沖縄沖縄

    平均平均

    10.00

    10.50

    11.00

    11.50

    12.00

    12.50

    13.00

    13.50

    14.00

    85.00 85.50 86.00 86.50 87.00 87.50 88.00 88.50

    女性(年)

    平均寿命

    北海道北海道

    青森青森

    岩手岩手

    宮城宮城

    秋田秋田

    山形山形

    福島福島

    茨城茨城

    栃木栃木

    群馬群馬

    埼玉埼玉

    千葉千葉

    東京東京神奈川神奈川

    新潟新潟

    富山富山

    石川石川

    福井福井

    山梨山梨

    長野長野

    岐阜岐阜

    静岡静岡

    愛知愛知

    三重三重

    滋賀滋賀

    京都京都

    大阪大阪 兵庫兵庫

    奈良奈良

    和歌山和歌山鳥取鳥取

    島根島根

    岡山岡山

    広島広島

    山口山口

    徳島徳島

    香川香川

    愛媛愛媛

    高知高知

    福岡福岡佐賀佐賀

    長崎長崎

    大分大分

    宮崎宮崎

    鹿児島鹿児島

    沖縄沖縄

    平均平均

    6.50

    7.00

    7.50

    8.00

    8.50

    9.00

    9.50

    10.00

    10.50

    78.50 79.00 79.50 80.00 80.50 81.00 81.50 82.00

    男性

    平均寿命と健康寿命の差

    平均寿命と健康寿命の差

    (年)

    平均寿命

    (年)

    (年)

    北海道北海道

    青森青森

    岩手岩手

    宮城宮城

    秋田秋田

    山形山形

    福島福島

    茨城茨城

    栃木栃木

    群馬群馬

    埼玉埼玉

    千葉千葉

    東京東京

    神奈川神奈川

    新潟新潟富山富山

    石川石川

    福井福井

    山梨山梨

    長野長野

    岐阜岐阜

    静岡静岡

    愛知愛知三重三重

    滋賀滋賀京都京都

    大阪大阪

    兵庫兵庫

    奈良奈良

    和歌山和歌山

    鳥取鳥取

    島根島根

    岡山岡山

    広島広島

    山口山口

    徳島徳島

    香川香川愛媛愛媛

    高知高知

    福岡福岡

    佐賀佐賀

    長崎長崎

    大分大分

    宮崎宮崎

    鹿児島鹿児島

    沖縄沖縄

    平均平均

    10.00

    10.50

    11.00

    11.50

    12.00

    12.50

    13.00

    13.50

    14.00

    85.00 85.50 86.00 86.50 87.00 87.50 88.00 88.50

    女性(年)

    平均寿命

    北海道北海道

    青森青森

    岩手岩手

    宮城宮城

    秋田秋田

    山形山形

    福島福島

    茨城茨城

    栃木栃木

    群馬群馬

    埼玉埼玉

    千葉千葉

    東京東京神奈川神奈川

    新潟新潟

    富山富山

    石川石川

    福井福井

    山梨山梨

    長野長野

    岐阜岐阜

    静岡静岡

    愛知愛知

    三重三重

    滋賀滋賀

    京都京都

    大阪大阪 兵庫兵庫

    奈良奈良

    和歌山和歌山鳥取鳥取

    島根島根

    岡山岡山

    広島広島

    山口山口

    徳島徳島

    香川香川

    愛媛愛媛

    高知高知

    福岡福岡佐賀佐賀

    長崎長崎

    大分大分

    宮崎宮崎

    鹿児島鹿児島

    沖縄沖縄

    平均平均

    6.50

    7.00

    7.50

    8.00

    8.50

    9.00

    9.50

    10.00

    10.50

    78.50 79.00 79.50 80.00 80.50 81.00 81.50 82.00

    男性

    平均寿命と健康寿命の差

    平均寿命と健康寿命の差

    (年)

    平均寿命

    (年)

    (年)

    平均寿命:厚生労働省「平成27年都道府県別生命表」健康寿命(平成28年推定値):「第11回健康日本21(第二次)推進専門委員会資料」(注):熊本県を除く値

    29

    第1章

    高齢化の状況

    第2節 高齢期の暮らしの動向

  • エ 75歳以上の運動習慣のある者の割合は4割前後で、男性の割合が高い運動習慣のある者の割合(平成30年)を見ると、65~74歳で男性41.8%、女性36.0%、75歳以上で男性44.4%、女性37.1%と男性の割合が女性よりも高くなっている。また、男性、女性いずれも、それぞれの20~64歳の21.6%、16.6%と比べ高い水準となっている(図1-2-2-6)。

    オ 65歳以上の者の死因は「悪性新生物(がん)」が最も多い65歳以上の者の死因別の死亡率(65歳以上人口10万人当たりの死亡数)を見ると、平成30(2018)年においては、「悪性新生物(がん)」が916.6と最も高く、次いで「心疾患(高血圧性を除く)」546.1、「老衰」309.3の順になっている(図1-2-2-7)。

    30

    図1-2-2-6  65歳以上の運動習慣者の割合

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    男性

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    女性

    平成22 23 24 25 26 27 28 3029

    20~64歳 65~74歳 75歳以上 20~64歳 65~74歳 75歳以上

    (%)

    (年) (年)平成22 23 24 25 26 27 28 3029

    (%)

    26.3 25.9 26.522.3 20.9

    24.6 23.9 26.3 21.6

    52.3 52.0 52.8 49.142.7

    52.8

    43.6

    48.6

    41.840.3 42.044.9 45.4 42.0

    51.9

    50.6

    43.3

    44.4

    22.9 24.8 21.5 19.4 17.5 19.8 19.0 20.0 16.6

    43.640.3 43.2 42.0 38.6 41.3 40.7 39.8

    36.028.831.2

    33.6 31.4 31.6 33.334.5

    38.0

    37.1

    資料:厚生労働省「国民健康・栄養調査」(注1)調査対象は、全国の20歳以上の男女。(注2)身体状況調査の問診において「医師等からの運動禁止の有無」に「無」と回答し、「運動習慣」のすべての質問に回答した者を集計対象

    とした。(注3)「運動習慣者」とは、1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続していると回答した者。

    図1-2-2-7  主な死因別死亡率の推移(65歳以上の者)

    27(2015)

    28(2016)

    29(2017)

    30(2018)

    (65歳以上人口10万対)1,200

    800

    0

    400

    平成7(1995)

    12(2000)

    13(2001)

    14(2002)

    15(2003)

    16(2004)

    17(2005)

    18(2006)

    19(2007)

    20(2008)

    21(2009)

    22(2010)

    23(2011)

    24(2012)

    26(2014)

    25(2013)

    (年)

    悪性新生物(がん) 心疾患(高血圧性を除く) 肺炎 脳血管疾患 老衰

    916.6

    546.1

    309.3

    279.4

    261.3

    資料:厚生労働省「人口動態統計」

  • (2)65歳以上の者の介護ア 65歳以上の者の要介護者等数は増加して

    おり、特に75歳以上で割合が高い介護保険制度における要介護又は要支援の認定を受けた人(以下「要介護者等」という。)は、平成29(2017)年度末で628.2万人となっており、平成20(2008)年度末(452.4万人)から175.9万人増加している(図1-2-2-8)。また、要介護者等は、第1号被保険者の18.0%を占めている。また、65~74歳と75歳以上の被保険者について、それぞれ要支援、要介護の認定を受けた人の割合を見ると、65~74歳で要支援の認定を受けた人は1.3%、要介護の認定を受けた人が2.9%であるのに対して、75歳以上では要支援の認定を受けた人は8.6%、要介護の認定を受けた人は23.3%となっており、75歳以上になると要介護の認定を受ける人の割合が大きく上

    昇する(表1-2-2-9)。要介護者等について、介護が必要になった主な原因について見ると、「認知症」が18.7%と最も多く、次いで、「脳血管疾患(脳卒中)」15.1%、「高齢による衰弱」13.8%、「骨折・転倒」12.5%となっている。また、男女別に見ると、男性は「脳血管疾患(脳卒中)」が23.0%、女性は「認知症」が20.5%と特に多くなっている(図1-2-2-10)。

    31

    第1章

    高齢化の状況

    第2節 高齢期の暮らしの動向

    表1-2-2-9  要介護認定の状況

    � 単位:千人、( )内は%

    65〜74歳 75歳以上要支援 要介護 要支援 要介護233 504 1,493 4,052(1.3) (2.9) (8.6) (23.3)

    資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」(平成29年度)より算出

    (注1)経過的要介護の者を除く。(注2)( )内は、65~74歳、75歳以上それぞれの被保険者に

    占める割合

    図1-2-2-8  第1号被保険者(65歳以上)の要介護度別認定者数の推移

    (千人)7,000

    0

    1,000

    2,000

    3,000

    4,000

    5,000

    6,000

    要介護1 要介護2要支援1要介護3

    要支援2要介護4 要介護5

    28(2016)

    29(2017)

    (年度)

    584

    749

    814

    1,075

    1,237

    849

    879

    6,187

    27(2015)

    877

    839

    1,198

    1,051

    791

    728

    584

    6,068

    26(2014)

    859

    818

    1,147

    1,029

    771

    710

    584

    5,918

    25(2013)

    807

    782

    1,085

    994

    745

    692

    586

    5,691

    24(2012)

    751

    744

    1,020

    956

    722

    674

    590

    5,457

    23(2011)

    678

    688

    940

    914

    698

    646

    585

    5,150

    22(2010)

    652

    647

    882

    862

    675

    619

    569

    4,907

    21(2009)

    591

    631

    825

    816

    688

    607

    538

    4,696

    平成20(2008)

    562

    639

    764

    787

    709

    569

    494

    4,524

    866

    861

    1,272

    1,097

    834

    770

    583

    6,282

    資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」(注)平成22(2010)年度は東日本大震災の影響により、報告が困難であった福島県の5町1村(広野町、楢葉町、富岡町、川内村、双葉町、

    新地町)を除いて集計した値

  • イ 介護を頼みたい人は、男性の場合配偶者、女性の場合ヘルパーなど介護サービスの人が最も多い内閣府の調査で、55歳以上の人に介護を頼みたい人について聞いたところ、男性の場合は「配偶者」が56.9%、女性の場合は「ヘルパーなど介護サービスの人」が39.5%と最も多くなっている(図1-2-2-11)。

    ウ 介護費用について、「年金等の収入でまかなう」と考えている人が63.7%と最も多い介護が必要になった場合の介護費用について、内閣府の調査で55歳以上の人にたずねたところ、「年金等の収入でまかなう」が63.7%、「貯蓄でまかなう」が20.5%、「収入や貯蓄ではまかなえないが、資産を売却するなどして自分でまかなう」が4.0%、「子などの家族・親戚からの経済的な援助を受けることになると思う」が3.2%、「特に考えていない」が8.1%となっている。また、男女別に比較をしてみると、「年金等の収入でまかなう」との回答はどの年齢層でも女性より男性の方が高い(図1-2-2-12)。

    図1-2-2-10  65歳以上の要介護者等の性別にみた介護が必要となった主な原因

    0 40 60 80

    女性

    男性

    総数

    100(%)

    20

    脳血管疾患(脳卒中) 心疾患(心臓病) 関節疾患 認知症骨折・転倒 高齢による衰弱 その他・不明・不詳

    15.1 4.7 10.2 18.7 12.5 13.8 24.9

    20.715.415.220.512.64.3

    33.210.67.115.25.45.423.0

    11.2

    資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年)(注)熊本県を除いたものである。

    図1-2-2-11  �必要になった場合の介護を依頼したい人

    女性男性

    0 10 20 30 40 6050

    配偶者

    子の配偶者

    兄弟姉妹

    その他の家族・親族

    友人・知人

    ヘルパーなど介護サービスの人

    その他

    特にない

    不明

    (%)

    0.10.2

    2.44.3

    1.20.4

    39.522.2

    0.10.3

    1.20.9

    1.52.0

    3.00.5

    31.712.2

    19.356.9

    資料:内閣府「高齢者の健康に関する調査」(平成29年)(注)調査対象は、全国の55歳以上の男女。

    32

  • 図1-2-2-12  必要になった場合の介護費用に関する意識

    女性

    男性

    年金等の収入でまかなう貯蓄でまかなう収入や貯蓄ではまかなえないが、資産を売却するなどして自分でまかなう子などの家族・親戚からの経済的な援助を受けることになると思う特に考えていない不明

    68.2

    63.5

    63.7

    61.6

    52.8

    54.2

    69.2

    72.4

    65.2

    67.1

    67.3

    59.5

    12.8

    18.2

    22.6

    25.6

    31.5

    25.4

    12.8

    16.5

    18.7

    17.6

    19.0

    23.3

    3.4

    4.1

    4.2

    2.7

    4.5

    5.1

    3.4

    2.4

    3.2

    5.7

    3.9

    5.2

    10.6

    4.7

    0.9

    4.2

    3.4

    2.5

    0.93.1

    3.2

    1.9

    0.70.9

    3.9

    9.4

    5.3

    8.7

    7.9

    11.9

    12.8

    4.7

    9.1

    7.6

    8.5

    11.2

    1.1

    0.0

    0.0

    0.5

    0.0

    0.8

    0.9

    0.8

    0.5

    0.0

    0.7

    0.0

    0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

    男女計

    全体

    68.6

    67.3

    64.5

    64.3

    59.5

    56.8

    12.8

    17.5

    20.7

    21.7

    25.7

    24.4

    3.4

    3.4

    3.7

    4.2

    4.2

    5.1

    6.8

    4.0

    3.7

    1.42.1

    1.7

    7.4

    7.4

    7.2

    8.2

    8.2

    11.5

    1.0

    0.3

    0.3

    0.2

    0.3

    0.4

    63.7 20.5 4.0 3.2 8.1 0.4

    55 ~ 59歳

    60~ 64歳

    65~ 69歳

    70~ 74歳

    75~ 79歳

    80歳以上

    55~ 59歳

    60~ 64歳

    65~ 69歳

    70~ 74歳

    75~ 79歳

    80歳以上

    55~ 59歳

    60~ 64歳

    65~ 69歳

    70~ 74歳

    75~ 79歳

    80歳以上

    資料:内閣府「高齢者の健康に関する調査」(平成29年)(注1)調査対象は、全国の55歳以上の男女。(注2)質問内容は「あなたは、将来あなたの身体が虚弱になって、日常生活を送る上で、排せつ等の介護が必要な状態になった時、介護に係る

    費用は、どのようにしてまかなうことになると思いますか。」

    33

    第1章

    高齢化の状況

    第2節 高齢期の暮らしの動向

  • エ 主に家族(とりわけ女性)が介護者となっており、「老老介護」も相当数存在要介護者等からみた主な介護者の続柄を見ると、6割弱が同居している人が主な介護者となっている。その主な内訳を見ると、配偶者が25.2%、子が21.8%、子の配偶者が9.7%となっている。また、性別については、男性が34.0%、女性が66.0%と女性が多くなっている。要介護者等と同居している主な介護者の年齢について見ると、男性では70.1%、女性では69.9%が60歳以上であり、いわゆる「老老介護」のケースも相当数存在していることがわかる(図1-2-2-13)。

    オ 要介護4では45.3%、要介護5では54.6%がほとんど終日介護を行っている平成28(2016)年の同居している主な介護者が1日のうち介護に要している時間を見ると、「必要な時に手をかす程度」が44.5%と最も多

    い一方で、「ほとんど終日」も22.1%となっている。要介護度別に見ると、要支援1から要介護2までは「必要な時に手をかす程度」が最も多くなっているが、要介護3以上では「ほとんど終日」が最も多くなり、要介護4では45.3%、要介護5では54.6%が「ほとんど終日」介護している(図1-2-2-14)。平成25(2013)年と比較すると、平成28(2016)年には「ほとんど終日」が3.1ポイント低下し、時間の上では負担の改善がみられる。

    カ 介護や看護の理由により離職する人は女性が多い家族の介護や看護を理由とした離職者数は平成28(2016)年10月から平成29(2017)年9月までの1年間で99.1千人であった。とりわけ、女性の離職者数は75.1千人で、全体の75.8%を占めている(図1-2-2-15)。

    図1-2-2-13  要介護者等からみた主な介護者の続柄

    0 20 40 60 80

    100(%)

    0 20 40 60 80 100(%)

    その他1.0%

    父母0.6%

    その他の親族1.3%

    40歳未満 40~49歳 60~69歳50~59歳70~79歳 80歳以上 年齢不詳

    同居58.7%同居58.7%

    配偶者25.2%配偶者25.2%

    子21.8%子

    21.8%子の配偶者9.7%

    子の配偶者9.7%

    別居の家族等12.2%

    別居の家族等12.2%

    事業者13.0%事業者13.0%

    不詳15.2%不詳15.2%

    男34.0男34.0

    女66.0女66.0

    7.07.0

    1.71.7

    6.96.9

    21.121.1

    21.321.3

    33.133.1

    28.528.5

    25.125.1

    16.916.9

    11.711.7 0.10.1

    24.724.7

    1.81.8

    資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年)(注)熊本県を除いたものである。

    34

  • 図1-2-2-15  介護・看護により離職した人数

    71.5 65.777.7

    65.981.2

    65.7 72.176.4

    63.875.1

    17.116.1

    20.9

    18.4

    19.9

    25.226.9 23.7

    17.4

    24.0

    80.8 80.278.8 78.3

    80.3

    72.3 72.8

    76.478.6

    75.8

    40

    45

    50

    55

    60

    65

    70

    75

    80

    85

    90

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    160

    180

    200

    平成19年10月~20年9月

    28年10月~29年9月

    27年10月~28年9月

    26年10月~27年9月

    25年10月~26年9月

    24年10月~25年9月

    23年10月~24年9月

    22年10月~23年9月

    21年10月~22年9月

    20年10月~21年9月

    (千人) (%)

    女性 男性 総数における女性の比率(右目盛り)

    88.581.9

    98.6

    84.2

    101.190.9

    99.0 100.0

    81.2

    99.1

    資料:総務省「就業構造基本調査」

    図1-2-2-14  同居している主な介護者の介護時間(要介護者の要介護度別)

    総数(平成16(2004)年)

    要介護5

    総数(平成19(2007)年)

    総数(平成22(2010)年)

    総数(平成25(2013)年)

    総数(平成28(2016)年)

    要支援1

    要支援2

    要介護1

    要介護2

    要介護3

    要介護4

    (%)1009080706050403020100

    ほとんど終日必要なときに手をかす程度

    半日程度その他

    2~ 3時間程度不詳

    21.621.6

    22.322.3

    22.822.8

    25.225.2

    22.122.1

    6.16.1

    8.48.4

    14.614.6

    20.720.7

    32.632.6

    45.345.3

    54.654.6 5.75.7

    4.04.0

    3.13.1

    4.14.1

    0.70.7

    3.33.3

    2.92.9

    3.83.8

    2.72.7

    5.15.1

    8.38.3

    7.97.9

    7.07.0

    8.38.3

    5.15.1

    4.44.4

    7.27.2

    12.712.7

    15.315.3

    8.08.0

    9.19.1

    9.99.9

    11.111.1

    8.08.0

    10.810.8

    10.110.1

    28.528.5

    43.843.8

    60.160.1

    59.559.5

    67.767.7

    44.544.5

    42.042.0

    40.240.2

    37.237.2

    44.744.7

    11.211.2

    12.512.5

    14.414.4

    14.814.8

    8.48.4

    8.68.6

    4.64.6

    10.710.7

    11.411.4

    10.910.9

    11.011.0

    9.99.9

    10.810.8

    19.819.8

    16.416.4

    12.312.3

    8.98.9

    7.57.5

    3.33.3

    10.910.9

    9.69.6

    11.111.1

    10.010.0

    7.97.9

    資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年)(注1)「総数」には要介護度不詳を含む。(注2)平成28年の数値は、熊本県を除いたものである。

    35

    第1章

    高齢化の状況

    第2節 高齢期の暮らしの動向

  • キ 介護施設等の定員数は増加傾向で、特に有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の定員が増加介護施設等の定員数は、増加傾向にある。施設別に見ると、平成29(2017)年では、介護老人福祉施設(特養)(542,498人)、有料老人

    ホーム(518,507人)、介護老人保健施設(老健)(372,679人)等の定員数が多い。また、近年は有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の定員数が特に増えている(図1-2-2-16)。

    36

    図1-2-2-16  介護施設等の定員数(病床数)の推移

    介護老人保健施設(老健)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)軽費老人ホーム有料老人ホーム

    介護療養型医療施設養護老人ホーム介護老人福祉施設(特養)サービス付き高齢者向け住宅

    372,679

    53,35246,387

    199,400

    64,084

    94,474

    297,769

    129,942

    98,500

    66,83782,594

    383,326

    96,412

    518,507

    0

    100,000

    200,000

    300,000

    400,000

    500,000

    平成17(2005)

    18(2006)

    19(2007)

    20(2008)

    21(2009)

    22(2010)

    23(2011)

    24(2012)

    25(2013)

    26(2014)

    27(2015)

    29(2017)

    28(2016)

    (年)

    600,000(人・床)

    介護療養型医療施設

    有料老人ホーム

    サービス付き高齢者向け住宅

    認知症対応型共同生活介護

    (グループホーム)

    介護老人保健施設(老健)

    軽費老人ホーム

    養護老人ホーム

    174,312

    介護老人福祉施設(特養)542,498

    資料:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」、「社会福祉施設等調査」、「介護給付費等実態調査」(各年10月審査分)(注1)「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」については受給者数である。

    なお、平成18年以降は短期利用以外である。(注2)「サービス付き高齢者向け住宅」は、有料老人ホームの届出をしているもののみである。

  • ク 介護に従事する職員数は増加要介護(要支援)認定者数の増加に伴い、介護に従事する職員数は大幅に増加している。平成29(2017)年度は、平成12(2000)年度(54.9万人)の約3.4倍の186.8万人となっている(図1-2-2-17)。

    図1-2-2-17  介護職員数の推移

    26(2014)

    27(2015)

    29(2017)

    28(2016)

    平成12(2000)

    14(2002)

    15(2003)

    13(2001)

    16(2004)

    17(2005)

    18(2006)

    19(2007)

    20(2008)

    21(2009)

    22(2010)

    23(2011)

    24(2012)

    25(2013)

    (年度)

    120

    160

    200

    240

    職員数(万人)

    80

    0

    40

    注1

    小規模多機能型居宅介護など入所系通所系訪問系

    1.0 1.8 2.7 3.2 4.0 4.5 5.0 5.6 6.2

    32.1 33.9 37.541.9 49.2

    54.8 60.364.0 67.8

    72.4 75.378.2 83.6

    86.9 89.5 92.0

    4.8 5.97.2

    8.810.4

    12.514.1

    15.516.6

    19.021.0

    23.026.4

    28.630.6 32.1

    18.023.7

    27.734.2

    36.8

    41.339.7

    39.137.1

    42.343.2

    45.8

    48.550.2

    50.752.8

    54.963.5

    72.4

    84.9

    96.4

    108.6114.1

    119.6 123.3

    136.3142.7

    150.9

    163.0170.8

    176.5183.1

    6.5

    93.1

    32.3

    51.4

    7.0

    95.7

    33.2

    50.8

    183.3 186.8

    資料:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(介護職員数)(注1)平成21年度以降は、調査方法の変更による回収率変動等の影響を受けていることから、厚生労働省(社会・援護局)にて推計したもの。

    (平成20年まではほぼ100%の回収率→(例)平成29年の回収率:訪問介護91.7%、通所介護86.6%、介護老人福祉施設92.5%)・補正の考え方:入所系(短期入所生活介護を除く)・通所介護は①施設数に着目した割り戻し、それ以外は②利用者数に着目した割り戻しにより行った。

    (注2)各年の「介護サービス施設・事業所調査」の数値の合計から算出しているため、年ごとに、調査対象サービスの範囲に相違があり、以下のサービスの介護職員については、含まれていない。(特定施設入居者生活介護:平成12~15年、地域密着型介護老人福祉施設:平成18年、通所リハビリテーションの介護職員数は全ての年に含めていない)

    (注3)介護職員数は、常勤、非常勤を含めた実人員数である。(各年度の10月1日現在)(注4)平成27年度以降の介護職員数には、介護予防・日常生活支援総合事業に従事する介護職員数は含まれていない。

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    第1章

    高齢化の状況

    第2節 高齢期の暮らしの動向

  • ケ 依然として介護職員の不足感は高まっており、有効求人倍率は全職業に比べ高い水準にある介護関係の職種の有効求人倍率を見ると、全職業の有効求人倍率に比べ、高い水準を維持し続けている。平成18(2006)年から平成20(2008)年までは全職業の有効求人倍率が低下した一方で、介護関係の職種の有効求人倍率は1.68倍から2.31倍まで上昇した。リーマン

    ショック後は、介護関係の職種の有効求人倍率も低下したが、平成23(2011)年から再び上昇し、特に平成26(2014)年からは介護関係の職種の有効求人倍率の伸びは全職業の有効求人倍率に比べ、高くなっている。令和元(2019)年の介護関係職種の有効求人倍率は4.20倍となり、全職業の有効求人倍率(1.45倍)の約3倍となった(図1-2-2-18)。

    図1-2-2-18  有効求人倍率(介護関係職種)の推移

    0.0

    0.5

    1.0

    1.5

    2.0

    2.5

    3.0

    4.5

    4.0

    3.5

    (倍)

    有効求人倍率(全職業) 有効求人倍率(介護関係職種)

    27(2015)

    28(2016)

    30(2018)

    29(2017)

    令和元(2019)

    平成17(2005)

    18(2006)

    19(2007)

    20(2008)

    21(2009)

    22(2010)

    23(2011)

    24(2012)

    26(2014)

    25(2013)

    (年)

    1.381.68

    2.00

    2.31

    1.481.31

    1.581.74

    1.82

    2.22

    2.59 3.02

    3.50 3.90

    0.92 1.02 1.000.84

    0.44

    0.480.59

    0.720.83

    0.971.08

    1.221.35 1.45 1.45

    4.20

    資料:厚生労働省「職業安定業務統計」(注1)有効求人倍率は年平均である。(注2)パートタイムを含み、新規学卒者及び新規学卒者求人を除く常用に係る数字。(注3)介護関係職種は、平成24年2月以前は、平成11年改定「労働省編職業分類」における「福祉施設指導専門員」「福祉施設寮母・寮父」「そ

    の他の社会福祉専門の職業」「家政婦(夫)」「ホームヘルパー」の合計、平成24年3月以降は、平成23年改定「厚生労働省編職業分類」における「福祉施設指導専門員」「その他の社会福祉の専門的職業」「家政婦(夫)、家事手伝」「介護サービスの職業」の合計による。

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