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第2章

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第2章 設 計

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2 設計

2-1 設計に必要なデータ

設計に必要なデータは、概ね、次の通りである。

条 件 デ ー タ 項 目

① 設計条件 ・掘削深 ・基礎底面標高

・掘削幅 ・基礎平面形状

・掘削延長 ・基礎平面配置

・止水対策の必要性 ・必要支持力度

・施工杭の上端部の制約 ・仮設形式

上載荷重 自立形式

施工時荷重 切梁形式

横方向荷重 グランドアンカー形式

・沈下量の制約 ・支持地盤の設定

・施工杭径の制約 ・その他条件

② 地盤条件 地 盤 調 査 ・・ トラフィカビリティー

原位置試験 ・・ 土層の構成 標準貫入試験 透水試験

物 理 試 験 ・・ 土粒子の比重 単位体積重量 飽和度

自然含水比 自然間隙比 液性限界

塑性限界 粒度分布

圧 密 試 験 ・・ 圧縮指数 圧密係数 体積圧縮係数

ヤング率 ポアソン比 圧密降伏応力

せん断試験 ・・ 一軸圧縮強さ 粘着力 鋭敏比

変形係数 セン断抵抗角

③ 現場条件 ・ 地下埋設物の状況 ・上空制限の状況

・施工ヤードの確保 ・重機の地耐力確保

・近接構造部の状況 ・付近の交通状況

・ 進入路の状況 ・地下水への影響対策

・騒音対策 ・施工面の起伏の状況

・その他支障物の状況 ・現場の特殊状況

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2-2 工法の選定

2-2-1 工法選定フロー

YES

NO

工事目的:基礎地盤改良、土留 工事目的:土留、連壁、杭、深礎防護

粘 性 土 礫 質 土砂 質 土

N 値 20 以 下

先 行 削 孔

N 値 40 以 下 礫 径 150mm 以 下

礫 径 75mm 以 下

別 途 検 討

J S T - Ⅱ

杭径 φ1000

JST-Ⅱ軸

2 液

JST-Ⅰ軸

2 液

JST-Ⅱ

JST-Ⅰ軸

単 液

別 途 検 討

ロッド継足方式

J S T - Ⅰ

杭径φ500~1000

改 良 長 28m 以 下 改良長 22m 以下

改 良 長 28m 以 下

芯材長 15m 以下

J S T - Ⅰ

杭径φ500~1000 別 途 検 討

施 工 規 模 小 施 工 規 模 大

ロッド継足方式

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2-2-2 N値と施工方法

土 質 標 準 先 行 削 孔 併 用 時

粘 性 土 N≦20 N≦50

砂 礫 土 N≦40 N≦50

腐 植 土 PH≧4.2

2-3 設計に用いる諸数値

2-3-1 設計に用いる強度

(1) 設計基準強度----------------- 設計上必要な一軸圧縮強度 qu

(2) 圧縮応力度 ------------------- σa = qu (kN/m2)

(3) せん断強度 ------------------- τa = 1/3(qu) (kN/m2)

(4) 引張応力度 ------------------- σta =1/10(qu) (kN/m2)

(5) 曲げ強度 --------------------- σca =1/3(qu) (kN/m2)

(6) 付着力 ----------------------- C′ =1/20(qu) (kN/m2)

(7) 変形係数 --------------------- Ej = 100 qu (kN/m2)

(8) 透水係数 --------------------- K = 10-7 (cm/sec)

(9) 単位重量 --------------------- γj ≒ γ (kN/m3)

(γ:改良前の土の単位重量)

(10) 安全率 ----------------------- 短期:Fs≧ 1.5

長期:Fs≧ 3.0

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2-3-2 基本配置パターン

(1)基本配置例

種 類

L

ℓℓℓ

hh h

t0 D

ℓ 2

t0

ℓ 2

ℓ 1

但し、ℓ 1が任意の時、

主に土留壁、止水壁

に使用。

主に止水を必要とす

る底盤改良に使用。

主に止水を必要とし

ない底盤改良に使用。

ℓ 1

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(2)杭配置例

杭の配置の事例は次の通りである。

なお、下記の杭配置及び、杭径は標準であり、地盤の条件により杭径等が変更にな

る。

① 深礎防護(小判型)

② 深礎防護(円形)

③底盤改良

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④土留壁

⑤ 建築基礎

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(3)標準改良径

マ シ ン 機 種 標 準 杭 径 (φmm) 最 大 施 工 深 度 ( m )

小 型 J S T 工 法 400~ 800 10.0

J S T 専 用 機 Ⅰ 軸 500~1000 28.0

J S T 専 用 機 Ⅱ 軸 1000 22.0

(4)施工深度とラップ長

標準的な施工深度とラップ長の関係は次の表による。

(土留壁、止水壁の場合)

ラ ッ プ 長 h (mm) 径(mm)

深度(m) φ500 φ600 φ700 φ800 φ900 φ1000

ℓ < 6 100 100 100 150 150 150

6≦ℓ <12 150 150 150 200 200 200

12≦ℓ <20 200 200 200 250 250 250

20≦ℓ <25 ― ― ― 300 300 300

25≦ℓ ― ― ― ― ― 350

(注) 空白部、又は 25m 以上のところは別途協議の上とする。

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2-3-3 設計に用いる数値(参考)

(1)砂質土の内部摩擦角とN値の関係

φ=15+ 15N ≦45°

但し、 N>5

(2)粘性土の一軸圧縮強度quとN値の関係

Terzaghi-Peckの式

qu=12~13N≒N/8×98.1 (kN/m2)

(3)粘性土の粘着力Cと一軸圧縮強度quの関係

Mohrの定理より

C=qu

2tan 45 -

φ

2( )ο (kN/m2)

粘性土のコンシステンシー

コ ン シ ス テ ン シ ー 非常に柔かい 柔 ら か い 中 位 堅 い 非常に堅い 固 結

N 2 以下 2~4 4~8 8~15 15~30 30 以上

qu(kN/m2) 25 以下 25~50 50~100 100~200 200~400 400 以上

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(4)計算に用いる定数と係数

土 の 定 数

種 別 N 値 単 位 重 量

γ(kN/m3)

水中の単位重量

γs(kN/m3)

内 部 摩 擦

φ(度)

4~10 15~18 6~9 25~30

10~30 16~19 7~10 30~35

30~50 17~20 8~11 35~40

4~10 14~17 5~8 20~25

10~30 15~18 6~9 25~30

粘 土 混 じ り 砂

(粘土 30%) 30~50 16~19 7~10 30~35

4~10 14~16 5~7 20~25

10~30 15~17 6~8 25~30

シルト混じり砂

(シルト 30%) 30~50 16~18 7~9 30~35

10~30 16~18 7~9 30~35

30~50 17~19 8~10 35~40

砂 礫

(礫 30%) 50 以上 18~20 9~11 40~45

4~10 15~17 6~8 20~25

10~30 16~18 7~9 25~30

普 通 土

30~50 17~19 8~10 30~35

2~ 4 14~17 5~8 0~ 3

4~ 8 15~18 6~9 3~ 5

粘 土

8~15 16~19 7~10 5~10

2~ 4 14~16 5~7 0~ 3

4~ 8 15~17 6~8 3~ 5

シ ル ト

8~15 16~18 7~9 5~10

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横方向地盤係数(K)

地 表 面 の

地 盤 の 種 類

柔 ら か い 粘 土 中 位 の 粘 土

ゆ る い 砂

堅 い 粘 土

中 位 の 砂

固 結 し た 粘 土

締 ま っ た 砂

概 略 N 値 1 以下 1~5 5~20 20~50

概 略 K 値 0.1~0.5 0.5~1.5 1.5~ 3 3~ 5

基礎の形状係数

基礎荷重面

の形状

連 続 正方形 長方形 円形

α 1.0 1.2 1+0.2B

L 1.2

β 0.5 0.3 0.5-0.2B

L0.3

B:長方形の短辺の長さ L:長方形の長辺の長さ

自立矢板の根入係数

土の状態 ごくゆるい ゆるい 締まった ごく締まった

内部摩擦係数(φ) 25° 30° 35° 40°

土圧強度が0となる場合(K) 0.049 0.050 0.026 0.011

極限根入り比(α) 0.880 0.640 0.460 0.320

最大曲げモーメント(mo) 0.708 0.462 0.330 0.108

N値と周面摩擦力(fs)

0

1

2

3

4

5

6

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30

N値

fs(t/m2)

砂質土

粘性土

支持力係数

φ Nc Nγ Nq

0° 5.1 0.0 1.0

5° 6.5 0.1 1.6

10° 8.3 0.4 2.5

15° 11.0 1.1 3.9

20° 14.8 2.9 6.4

25° 20.7 6.8 10.7

28° 25.8 11.2 14.7

30° 30.1 15.7 18.4

32° 35.5 22.0 23.2

34° 42.2 31.1 29.4

36° 50.6 44.4 37.8

38° 61.4 64.1 48.9

40° 75.3 93.7 64.2

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2-3-4 地盤改良工法の設計

改良地盤が複合地盤と考えられる場合、改良地盤の許容地耐力は次式であらわすこ

とができる。

Qa=qu

Fs

( )qu=qj・As+α・q 1-As0

Qa :改良地盤の許容地耐力(kN/m2)

Fs:安全率

qu:改良地盤の平均的一軸圧縮強度(kN/m2)

qj:JST杭の一軸圧縮強度(kN/m2)

q0 :未改良部の粘着力(kN/m2)

As:改良率

α :改良土の破壊ひずみに対する原地盤強度の低減率

JST改良体では安定側を考え、未改良部の強度は期待しない。また、長期の安全

率Fsは 3.0 のため、改良地盤の許容地耐力は次の通りになる。

Qa=qu

Fs=

qj・As

3

改良率AsはJST杭の場合、As=40% 以上に設定する。セメント系混合攪拌処

理工法においては軟弱地盤に杭式地盤改良を施工し、この地盤を改良体と軟弱な原地

盤を一体のものと考えられる地盤、(複合地盤)にすることである。

As=

πD

4B×L

2

≧ 40%

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2-4 事前調査

2-4-1 土質試験

JST工法の設計をするにあたり、対象地盤についての事前調査が必要となってく

る。使用目的、地形、地質等を十分に考慮して工事の計画を行わなくてはならないか

らである。以下に事前調査で特に留意する点を記す。

1. 土質柱上図

N値

地下水位

土質

2. 土質試験結果表

土の単位重量

含水比

粒度分布

飽和度

間隙比(e-logP 曲線)

液性限界

3. 土のpH

以上の結果を踏まえて、JST固化材の種類・注入量・水セメント比の検討を行う。

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2-4-2 室内配合試験

JST工法では土質にあった固化材、目標強度を得るのに必要な添加量、水セメン

ト比を決定することが必要である。強度は、土質の成分構成、含水比等により大幅に

変わることから、現場より、試料土を採取し、室内配合試験を行う。詳細な手順を下

に示す。

なお、室内強度 = 2 × 現場強度 を目安とする。

対象地盤より、試料土を採取

ミキサによる攪拌、混合する。

水、JST固化材を計量し、混合する。

供 試 体 作 成

φ50×100

養 生

恒温湿潤養生(20±3℃)

礫径等の調整

材令 7 日、28 日

一 軸 圧 縮 試 験

(通常 10kg 程度必要とする。)

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第3章 施 工

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3 施工

3-1 施工

3-1-1 施工フロー

材料の計量・混練

プ ラ ン ト の 仮 設

プ ラ ン ト の 撤 去

A 液 ・ B 液 注 入

A 液 ・ 注 入

底 盤 部 攪 拌

機 械 移 動 ・ 据 付

削孔てん充攪拌(正転)

芯出しマーキング

JST専用機組立

芯 材 建 込

機 械 搬 出

JST専用機解体

無 改 良 部 削 孔

機 械 搬 入

無 改 良 部 引 抜

引上げてん充攪拌(逆転)

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3-1-2 施工機械・設備

施工機械の基本構成

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機種別施工占用空間

最大施工深度に於ける占用空間 機 種

幅(m) 長さ(m) 高さ(m)

JST専用機 JST - 30 20t 級 3.00 4.00 13.00

JST - 40 40t 級 3.10 8.00 17.00

JST - 60 80t 級 4.10 8.50 25.50

JST - 80 80t 級 4.10 8.50 25.50

JST - 80 100t 級 5.80 10.05 29.50

JST -100 120t 級 5.80 10.05 33.00

JST -120 120t 級 5.80 10.05 35.00

JSTプラント 攪拌容量 500 ℓ × 2.30 6.30 3.20

JST固化材サイロ 30 t 2.50 7.00 6.10

瞬結材タンク 7 m3 1.80 1.80 2.30

発動発電機 75 KVA 1.10 3.00 1.45

発動発電機 100 KVA 1.20 3.30 1.75

発動発電機 200 KVA 1.30 4.00 1.95

発動発電機 250 KVA 1.45 4.20 2.10

発動発電機 450 KVA 1.50 4.50 2.30

注) 1.表の寸法は標準機種のものである。

2.JST専用機の高さはロッドを継足さないで最大施工深度を改良した

場合を示す。

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3-1-3 フローシステム

グ ラ ウ ト ポ ン プ

グラウトミキサー

計 量 器

計 量 器

瞬 結 材固 化 材

グラウトミキサー

グ ラ ウ ト ポ ン プ

掘 削 攪 拌 ヘ ッ ド

J S T 専 用 機

流 量 記 録 計 流 量 記 録 計

A液 B液

計 量 器計 量 器

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3-1-4 施工計画

施工計画書は、実作業計画をまとめたものであり、下記の項目について記載する。

(1)工事概要

工事名称、工事施工場所、工期、発注者、設計監理事務所、総合施工業者及びJS

T施工業者

(2)工事仕様

工事目的、土質資料、施工配置図、施工径、施工長、使用材料、使用量

(3)工程表

(4)主要機械器具一覧表

機械器具の名称、型式、形状、寸法、性能、数量

(5)施工要領

施工順序

(6)作業組織図

作業体制、安全衛生管理体制

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3-1-5 施工管理

JST工法の施工に際しては、施工計画に基づき、要求される品質、出来形を満足

するよう、特に造成中において下記項目の管理に留意する。これらは、直接肉眼で観

察出来る事項が少ないため。計器による管理が主体となる。

(1)改良杭の位置

所定の位置にあることを確認するため、打設前に測量を行い、また、リーダーの鉛

直性を傾斜計等で確認し精度を確保する。更に施工基面のレベルも確保する

(2)固化材供給の管理

打設中の施工管理としては、固化材の一定供給と均一な混合攪拌に集約される。

① 固化材スラリーが所定の配合であること。

② 瞬結材・固化材が確実に供給されていること。

③ スラリー液と対象土が確実に攪拌混合されていること。

以上を流量計、計量器等必要な計器で、計測し、計測・記録装置を用いて改良杭一

本毎に自動記録を行う。

プラントにおいては、1 バッチ毎に下記の項目を計量し、記録する。

④ セメント量

⑤ 水の量

⑥ 瞬結材の量

又、配合毎に

⑦ 所定のゲルタイムであるか

⑧ スラリー液の比重は適正か

を測定器具を用いて確認する。

(3)施工速度

削孔・攪拌速度が土質やスラリー液吐出量に適した所定の値で行われるよう、マシ

ンに装備した深度計、速度計等で制御し、地盤か均一に改良されるよう管理する。

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(4)改良柱体の支持層への確実な着底

支持形式が着底方式の場合、柱体の下端が支持地盤に着底していることを管理する

必要があり、機械の荷重の変化、改良速度、アンメーター等で確認する。

(5)供試体の採取

改良柱体から適宜、供試体を採取し、一軸圧縮試験を行い、所要の強度を満たして

いるか確認する。

(6)施工記録

得られたデータは記録保存し、施工日報のまとめ、報告書等に活用する。

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施 工 形 態 概 略 図

深 度 計

速 度 計

モーターのアンメーター

ス ケ ー ル

残 尺 測 定

トランシット

ス ケ ー ル

所定深度への到達

1本毎に深度確認

1 本 毎 に 測 量

マ � ー� キ� ン� グ

着 底

改 良 深 度

コラムの位置

出 来 形計

1バッチ毎の

・ セメント量

・ 珪酸ソーダ量

・水の量

材 料計

置流 量 計

速 度 計

土量1m3毎の

・ セメント量

・ 珪酸ソーダ量

チェックボーリング

垂 直 精 度

削 孔 速 度 削 孔

スラリーの比重

混 練 状 態 混 合

配 合

計 量 器

一軸圧縮強度

傾 斜 計

速 度 計

比 重 計

目 視 品 質

管 理 内 容 管理方法 項 目

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3-1-6 安全管理

JST施工に際しては、関係諸法令を遵守し不安全行動のなきよう務める。また、

騒音、振動、交通障害等、第三者への影響、事故のなきよう対策を施す。

更に、環境保全の観点でも残土の処分については諸法令を守り遺漏のなきよう万全

を期す。