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コーポレート・シチズンシップ レポート2019 環境編 成功を分かち合う 未来を作る

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コーポレート・シチズンシップレポート2019環境編

成功を分かち合う未来を作る

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本章に関連するSDGs目標のうち特に優先度の高いもの:

関連性の高いアクセンチュアの重要ESG課題:

本章に関連するSDGs目標のうち次に優先度の高いもの:

8.4

世界の消費・生産の資源効率を漸進的に改善させ、経済成長と環境悪化の分断を図る。

9.2 インクルーシブで持続可能な産業化を促進する。

12.2

2030年までに天然資源の持続可能な管理と効率的な利用を実現する。

12.5 2030年までに、予防、削減、再生利用、再利用を通して、廃棄物の発生を大幅に削減する。

• 気候変動と炭素排出量顧客の持続可能性を高めるESG管理責任ある購入廃棄物(e廃棄物を含む)水

• • • • •

低炭素経済に向けた取り組み p.4

フットプリントの削減 p.6

従業員の関与 p.9

目次:

環境へのフォーカス

CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 2

目標8 働きがいも経済成長も

目標9産業と技術革新の基盤をつくろう

目標12つくる責任つかう責任

目標6安全な水とトイレを世界中に

目標7エネルギーをみんなにそしてクリーンに

目標13気候変動に具体的な対策を

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アクセンチュアのボランティア達は、「ノースイーストUSデイ・オブ・サービス(北東アメリカ奉仕の日)」にニューヨーク市中にある屋上農園で作業を行いました。

CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 3CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 |

気候変動が世界中の生活や仕事の環境に与える影響はますます高まりつつあり、今こそ行動を起こすべきときです。アクセンチュアは、環境、お客様、事業、コミュニティ、社員への影響に注目し、実際に行動することで、低炭素経済への移行に向けて主導的な役割を担うべく取り組んでいます。

気候変動対策を有意義なものにするには、企業、個人、政府、非政府組織の間での協力が必要です。アクセンチュアは、ビジネス・リーダー間の国際協力を可能にし、低炭素の未来を実現すべく取り組んでいます。お客様およびパートナーからなる広範なエコシステムと協力して、持続可能なイノベーションと、市場の違いを超えた新基準の導入を推進しています。アクセンチュアの新しい環境・社会・ガバナンス(ESG)重要性マトリックスでは、これを反映して、気候変動と炭素排出を最優先に取り組むべき課題としてあげています。

アクセンチュアでは、21の業界を代表する世界99カ国のCEO 1,000人以上を対象に、国連の持続可能な開発目標(UN SDGs)への企業貢献について調べる大規模なグローバル・アセスメントを実施しました。『The Decade to Deliver:A Call to Business Action』レポートでは、企業の役割についての考え方と、世界における持続可能性と人権をめぐる状況の進展について取り上げています。

アクセンチュアでは、問題の理解を深め、ビジネスを変えることで、気候危機に対処すべく、パートナーシップ、プラクティス、リサーチ、イノベーションを通して、持続可能性ソリューションに対する認識を高める取り組みを行なっています。

アクセンチュアの環境戦略は以下の3分野にフォーカスしたものとなっています。

• お客様およびサプライヤーと共に、低炭素経済への移行を推進する。

• 自社の炭素排出量を削減し、廃棄物の発生や水利用といった他の環境影響を軽減する。

• 環境フットプリントの削減に向けて、従業員、経営陣、パートナー、その他のステークホルダーを関与させる。

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低炭素経済に向けた取り組み

CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 4

気候変動の急速な変化と未来の現実に対処することは、お客様とサプライヤーにとっての優先事項となっています。アクセンチュアは両者と緊密に連携して、持続可能な経営のための正しい情報を提供し、低炭素経済への移行を先導します。

また、サプライヤーやお客様と協力して、サプライチェーン全体で排出量を削減し、循環型経済の一員となり、天然資源の使用を削減し、廃棄物を効率的に管理します。これは、信頼の構築、およびコストと排出量の削減を支援する長期的なプロセスであり、アクセンチュア、サプライヤー、お客様にとっての節減につながります。

温室効果ガスの削減クライアント・カーボン・セービング・プログラム:炭素量を協力して削減するためのソリューションを構築

アクセンチュアのクライアント・カーボン・セービング・プログラムは、炭素量削減の取り組みを見極めることで、お客様の事業目標と持続可能性目標の達成を支援します。また、お客様の持続可能性を可能にするというアクセンチュアの重要課題の進展を促進する役割もあります。2019会計年度に、アクセンチュアは

Energy Management-as-a-Serviceを通して、お客様が約15万7,000メートルトンのCO2の節減が可能なことを特定し、49万1,000メートルトンのCO2の節減を支援する戦略を実行しました。クラウド移行の支援をはじめ、アクセンチュアのサービスの多くは排出量の削減にも役立つものとなっています。アクセンチュアでは、自社の環境影響を評価する最適な方法を見つけるために大手クラウド事業者と協力して取り組んでおり、2020年度も引き続き、このプログラムをさらに発展させるための新たなアプローチを探っていきます。

輸送の変革:環境に配慮した車両への進化

アクセンチュアは、ヨーロッパの大手通信企業と協力して、自社の商用車両を温室効果ガス削減に関する野心的な公表目標を満たすものへと進化させる必要性について探りました。車両の市場価格、政府の認可、燃料/電力価格など、さまざまな外部市場状況を考慮したうえで、電気自動車の導入によって、自社のカーボン・フットプリントと、「平常業務」における車両交換周期に関連する運用コストにどのような影響が及ぶかをシミュレートするシナリオ・モデリング・ツールを構築しました。

このような共同の取り組みの結果、次の10年に大規模な車両変革を行うための詳細な計画を進めることについて、取締役会の承認を得ることができました。

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CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 5

循環型経済への移行循環型経済ハンドブック:企業が革新を起こすにはどうすればいいのか

世界的な気候危機に伴い、「Take Make Waste(とって、作って、捨てる)」システムから脱却して、無駄をなくし、資源を継続的に再利用する循環型経済を取り入れることが企業に求められています。アクセンチュアの持続可能性の専門家達は、持続可能性の実現に向けた道筋を示す『循環型経済ハンドブック』を作成しました。

2020年1月に発表された同ハンドブックでは、1,500件のケーススタディ⸺ハンドブック内ではそのうちの300件を取り上げています⸺の分析から得られた知見をもとに、循環性に向けて企業がとることのできる具体的なステップについて紹介しています。

廃棄物の管理プラスチック・ポリシー・プレイブック:海洋プラスチック汚染問題への取り組み

毎年800万トンものプラスチックが海に廃棄され、世界の環境、経済、海洋生物が深刻な危機にさらされています。何か対策をとらなければ事態はますます悪くなる一方です。2025年までにさらに2億5,000万トンのプラスチックごみが海中に蓄積することになります。これを回避するには、政府、企業、非政府組織(NGO)が、廃棄物収集の経済を改善するための解決策を見つける必要があります。

このような理由から、Ocean Conservancyはアクセンチュア・デベロップメント・パートナーシップに委託して、プラスチックを海から取り除くための機会を探ることにしました。

アクセンチュアの『プラスチック・ポリシー・プレイブック:プラスチック・フリーの海のための戦略』レポートは、危機による影響が最も深刻な世界の地域におけるプラスチック公害対策を支援する、影響力のある公共・民間セクターの介入にフォーカスしており、特に東南アジアの廃棄物収集の資金供給の改善について重点的に取り上げています。

同プレイブックでは、The Coca-Cola Company、Conservation International、Kimberly-Clark、Starbucks、世界自然保護基金といった主要な企業やNGOとの幅広い関与を基盤として、廃棄物収集を改善し、海洋プラスチック汚染の問題に取り組むための優先度の高い方策を紹介しています。

使い捨てプラスチックの削減(SUPR):スポーツと持続可能性の融合

Plastic Pollution Coalitionによると、アメリカの一般的なプロ・フットボールの試合では、36kgほどのゴミが出て、その多くを使い捨てプラスチック製品が占めているといいます。1年のうちで最大の試合であるスーパー・ボウルも例外ではありません。しかし、スポーツ・ファンに対し、行動が呼び掛けられました。2019年より開始して、マイアミでのスーパー・ボウルの開幕に間に合うように、アクセンチュアはNexusとOcean Globalと共同で、プラスチック・フリー化をスポーツ・チームに促す「使い捨てプラスチックの削減(SUPR)」プログラムを開発しました。

スーパー・ボウル54の開催場所となったハードロック・スタジアムのチームは、SUPRプレイブックを利用して、試合で使用される使い捨てプラスチック製品の99%を段階的に減らし、代わりにFootprintの生分解性食器や、Ball Corporationの提供する再利用・再生利用が可能なアルミ・カップといった、持続可能な製品を使うようにしました。これは、スーパー・ボウルのときだけの1回限りの変化ではありません。今後、同スタジアムで開催される全てのイベントで99%プラスチック・フリーを目指します。

アクセンチュアは、非営利エコシステム・パートナーと協力して、全ての人のための持続可能な未来を確実なものにすべく前進していきます。

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フットプリントの削減

CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 6

アクセンチュアでは、自社のグローバル・フットプリントについても、影響を系統的に軽減するために、お客様やサプライヤーに対するものと同じ助言に従って削減を進めています。自社の排出量の削減に取り組んでおり、循環型経済の構築に向けて行動を起こし、水消費を管理しています。

アクセンチュアのコミュニティは、以下のような気候変動対策の前向きな目標を立てることで、これを実践しています。

• 2023年までに再生可能エネルギー100%を目指す:2019年、アクセンチュアは、RE100に加盟し、2023年までに全世界の自社施設で調達するエネルギーを100%再生可能なものにすることを約束しました。RE100とは、企業主導のグローバル・イニシアティブであり、使用電力の100%を再生可能なものにすべく取り組んでいる影響力のある企業が共同で実施しています。

• 科学に基づく目標の達成に向けた取り組み:アクセンチュアは、世界最大規模のプロフェッショナル・サービス企業として、Science Based Targets Initiative(科学的根拠に基づく目標設定を促すイニシアティブ)に準じた目標を設定しています。具体的には、2025年までに温室効果ガスの絶対排出量を2016年の基準値から11%削減することを目指すものであり、その一環として、2025年までにスコープ1と2の排出量を65%削減することと、スコープ1、2、3の排出量を収益単位あたり40%削減することを約束しています。

現在までに、絶対排出量を7%、スコープ1と2の排出量を19%以上、収益単位あたりの排出量を29%以上削減することに成功しています。

環境影響の削減は、アクセンチュアの企業倫理規定(COBE)とコア・バリューに組み込まれており、特にスチュワードシップにおいて重要視されています。当社の環境ステアリング・グループは、これらの情報に基づき、2007年に「環境責任ポリシー」を制定し、毎年見直しを行っています。

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CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 7

アクセンチュアは、ISO® 14001をはじめ、業界全体にわたる外部認証を複数取得しています。このことは、責任ある持続可能な事業運営を行い、強力な環境慣行を経営に統合することに対するアクセンチュアのコミットメントを実証するものです。アクセンチュアの環境マネジメント・システムは全世界でISO® 14001認証を取得しており、これらの拠点では、スマートメーターを施設に設置したり、人にフォーカスしたイニシアティブ(毎年行われる「トラベル・スマート・チャレンジ」など)を主導したりと、エコ・イノベーションのインキュベーターとしての役目を果たしています。アクセンチュアの「環境影響マップ」から、ISO®認証取得済みの拠点、およびスマートメーターを使用している拠点をご覧いただけます。

排出量の削減エネルギーの効率化と再生可能エネルギーの利用を促進

アクセンチュアは、不動産ポートフォリオ全体におけるエネルギーの効率化とクラウド・ネットワークの利用を対前年比で拡大させ、残りの部分をカバーするために再生可能エネルギーへの投資を行っています。

2019年度は、大幅な事業成長を達成したのに加え、オフィス電力に伴うCO2排出量を5,000メートルトン削減しました。これは、1,100台以上の自動車が1年間路上走行を止めた場合に削減される炭素量に相当します。

アクセンチュアは自社ビルを所有していないため、ビル管理部門と連携して省エネの機会を探っています。2019年度は、前年比5%の改善となりました。2007年に環境計画を開始して以来、アクセンチュアでは194万メガワット時以上の電力と、100万メートルトン以上のCO2を削減し、2億5,800万ドル以上のエネルギー・コストを節減しています。

グローバル・ネットワーク全体における運営、コミュニケーション、仕事のやり方に対し、クラウドファーストのアプローチをとっています。現在までに、アプリケーションの95%を、よりエネルギー効率の高いオフプレミスのロケーションへと移行しています。

ネットワーク全体で省エネ化を進めるために、アクセンチュア・テクノロジー・センターでは、仮想サーバーへのシフトを進めています。効率的なプラットフォームを優先して、カスタム・アプリの数を段階的に減らし、ワークステーションからノートパソコンへと移行していっています。このような取り組みによって、プロセスとストレージの慣行を強化し、効率的な業務方法を通して環境影響の最小化を図ると同時に、従業員がいつでもどこからでもお客様に対応できるようにしています。

2019年度、アクセンチュアは自社で使用するエネルギーの26%を再生可能なエネルギー源から調達しており、エネルギー・フットプリント全体において、調達するエネルギーを2023年までに100%再生可能なものにするという目標に向けた道のりの1/4を超えたところです。目標達成に向けた進展を加速させるために、アクセンチュアでは、電力購買を監視する専門チームを立ち上げ、それに伴い、再生可能エネルギーに対応する持続可能性指針を導入しました。現在、再生可能エネルギーを使用している拠点については、環境影響マップでご確認いただけます。

出張削減の取り組み

仕事の性質上、アクセンチュアにおける炭素排出の多くの部分を出張が占めています。出張に伴う排出の削減に向けたアクセンチュアの取り組みは、個々人の出張の行動パターンに影響を与え、事業構造を変化させることにフォーカスしたものとなっています。

2019年度、アクセンチュアでは自社の出張データに最新の分析を適用することで、出張頻度を減らす取り組みを加速させました。高度なビジュアライゼーションを利用して、全社における出張費データの収集を大きく進化させました。これによって、ビジネス・リーダーが従業員の出張に関する意思決定を評価・通知できるようになり、出張頻度の低減に大いに役立っています。

顧客のニーズと現地スタッフとのマッチングが進んだことと合わせて、コラボレーティブ・テクノロジーの利用が拡大したことが、1人あたりの飛行機利用による影響の低減と、ワークライフ・バランスの向上に効果的に働きました。

2007年に環境計画を開始して以来、

194万メガワット時以上の電力と、100万メートルトン以上のCO2を削減し、

2億5,800万ドル以上のエネルギー・ コストを節減

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No Time to E-Waste(e廃棄物を減らせ)

CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 8

2019年、アクセンチュアは2018会計年度における1人あたりの出張に伴うCO2排出量を1.7%削減するという目標を達成しました。加えて、2018会計年度における収益単位あたりの出張に伴うCO2排出量も3.2%削減しています。

実行可能な分野において、アクセンチュアは低炭素の出張方法への移行を開始しました。たとえば、フランスでは、予約ツールを再設定し、3.5時間未満であれば飛行機ではなく電車での移動を優先するようにしました。現在、ドイツでも同様の選択肢について調査を行っているとことです。

環境関連のリスクの評価と開示

アクセンチュアでは、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」によって気候関連の財務リスクの開示が強化されたことで、財務影響の評価が改善し、低酸素経済への移行が進むことになると考えています。2016年パリ協定を遵守し、地球温暖化を1.5℃未満にとどめるには、時宜を得た実施が不可欠です。

2017年よりアクセンチュアでは、TCFDのガイドラインに従い、気候関連リスクの情報伝達を強化するために財務報告書を更新し、最新のCDP回答に財務的影響を追加しました。これには、従業員、施設、オペレーションが悪影響を被る可能性のある悪天候の頻度・深刻度の増大が含まれます。

アクセンチュアでは、2007年より毎年、環境リスク、機会、気候変動の緩和・適応策を含む自社の環境パフォーマンスをCDPに報告しています。

2014年には、5回目にして「A」評価を獲得し、気候変動の取り組みで特に透明性とパフォーマンスに優れた企業を選ぶCDPの「気候変動Aリスト」の1社に選定されました。Aリストに選ばれた企業は合計179社と、開示を行った8,400社のわずか2%となっています。

循環型経済の構築に向けた取り組み50万人以上の従業員を雇用する企業として、アクセンチュアは循環型経済の構築を目指し、廃棄物管理を責任を持って行っています。具体的には、埋め立てられる電子廃棄物(e廃棄物)の量を減らし、食品廃棄物の別の用途での利用や、海洋プラスチックの再利用のための新しい方法を取り入れています。

ノートパソコン、デスクトップ、サーバーといったe廃棄物の管理方法を改善するために、アクセンチュアは先ごろ、IT資産処理の事業者とプロセスの評価を行いました。その結果、関係を合理化し、2社のグローバル・サプライヤーに絞り込むことができました。このような絞り込みによって、自社施設を離れてからのe廃棄物の動きの監視の徹底や、リスクの軽減といった多くのメリットがもたらされ、アクセンチュアのグローバル・ポリシーや、廃棄に関する全ての規制要件の順守が可能になります。

食品廃棄物はイノベーションが期待できる分野の1つです。たとえば、アクセンチュアはインドにおいてFeeding India Foundationと提携し、自社の社員食堂の売れ残りの食品をインド全土の保護施設に回しています。わずか半年で、このプログラムは試験導入から地域内の26のアクセンチュア施設にまで広がり、10万食(2万6,000kg)の食事をインド全域の100の保護施設に分配できるまでになりました。

アクセンチュアは、サプライヤーと協力して廃棄物と再生利用を最小化するための革新的な方法を見つけるにはどうすればいいのか、常に模索しています。たとえば、米国内において、コーポレート・カードを原材料に再生海洋プラスチックを用いた新しいものに変えるために、American Expressと共同で取り組んでいます。3万5,000枚を超えるAmerican Expressコーポレート・カードが、新しいコーポレート・グリーン・カードへと変わる予定です。これらのグリーン・カードでは、Parley for the Oceansの提供する、浜辺や海沿いの地域で収集された海洋プラスチック屑を回収・アップサイクルした原料が70%使用されています。

世界中で年間5,000万トンものe廃棄物が生み出されています。金額にすると600憶ドル相当となり、ほとんどの国のGDPを上回る規模です。このままいけば、e廃棄物の量は2050年には今の2倍以上の1億2,000万トンに達する見込みです。エンパイア・ステート・ビル330棟程分に相当する重さの廃棄物が、毎年増えていくことになります。

技術発展によって世界の人々の暮らしが改善されたのは間違いありませんが、同時に重大な問題も生み出されています。e廃棄物の飛躍的な増加という、責任ある閉ループ指針の導入に向けた現在の世界の取り組みを見てみると、そのほとんどが再利用にフォーカスする傾向にあります。しかし、真の問題は、目まぐるしく変化する今日の世界において、製品があまりにも早く寿命を迎えてしまうことです。エンタープライズ・テクノロジーから経済的・社会的価値を最大限に引き出すには、e廃棄物を再生利用するという現在の取り組みから、製品の寿命を延ばす戦略へとシフトしていく必要があります。

アクセンチュアの『No Time to E-Waste』レポートは、エンタープライズ・テクノロジーにおいて循環型経済が果たす重要な役割について分析しています。同レポートでは、e廃棄物を最小化し、新しいビジネスモデルを始動させるために、バリューチェーンの全てのプレーヤーが採用可能なベストプラクティスとソリューションの概要を述べています。

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CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 9

水消費を管理アクセンチュアは決して水を大量に使用する企業ではありませんが、企業規模だけをみても、水使用への取り組みが必要なのは明らかです。水不足の影響を受ける地域に特に重点を置いて、水消費を厳密に管理しています。また、干ばつや水不足の影響を受けていない地域においても、水使用を監視し、効率化の機会を探っています。バリューチェーン全体で、責任ある使用、再利用、管理、放水など、可能な限り、水使用の最小化に取り組んでいます。

現在と未来のリスクについての理解を深めるために、アクセンチュアでは世界資源研究所のAqueductツールを利用することで、地域社会への影響を含め、全世界の自社オフィスやお客様の身近にある潜在的な水問題について把握するようにしています。

従業員の関与人々は今、これまで以上に、価値を共有してくれる企業で働きたいと考えるようになっています。アクセンチュアの社員は、互いに日々切磋琢磨して持続可能性のリーダーを目指し、職場、自宅、コミュニティにおいてクライメート・スマートな選択をしています。世界70カ国近くのエコ・チャンピオン(環境保護推進者)からなるアクセンチュアの内部ネットワークは、仮想/対面型イベント、コンテスト、ボランティアの機会を通して、排出削減、気候変動の緩和、循環型経済、生物多様性を促進しています。

世界中の50万人以上の社員と、業界の枠を超えた膨大な数のお客様およびサプライヤーとの共同の取り組みによって、気候変動の緩和・適応のための拡張可能なソリューションに対する相乗効果がもたらされると期待されます。

環境のためのイノベーションアクセンチュアでは、社員がそれぞれの生活と仕事の場であるコミュニティにおいて大きな影響力を発揮するよう働きかけ、支援しています。たとえば、以下のような取り組みを行っています。

「誰よりも、どこよりもグリーン(Greener Than)」を目指す

アクセンチュアでは8年前から、世界アースデーに、社内で最も環境に配慮している個人、アイデア、チームを決めるグローバル環境コンテストを開催しています。2019年には、3万4,000人近くの参加者が、ゲームの要素を取り入れた社内プラットフォーム上で環境についての知識や革新的なアイデアを同僚と共有してポイントを獲得しながら、アクセンチュアの環境プログラムと持続可能な出張のための方法について学びました。また、アクセンチュアは2012年度から毎年「トラベル・スマート・チャレンジ」を実施し、7万2,000回を超えるフライトと約970万km分の陸上の移動を回避してきました。

グリーン・アイデア賞で1位になったのは、ダラス在住のビジネス・オペレーション・アソシエート・マネージャーのエルケ・ベーコン(Elke Bacon)です。彼は、「新しいお客様と仕事をする際には、環境影響と環境パフォーマンスを話題のチェックリストに入れておくべきですね。環境に責任を持つ企業で働くことは、私にとって重要なことです。なぜなら、アクセンチュアが自分達の行う仕事だけでなく、後に残すカーボン・フットプリントの面でも、地球に及ぼす影響を気にかけていることが分かるからです」とコメントしています。

社員がGreener Thanゲームに参加すると、オフィスにも入賞のチャンスがあります。次の2つのオフィスが、省エネ・ソリューションの導入に関する大胆な挑戦に乗り出すための資金提供を受けることになりました。ルーマニアのパラス・ヤシのオフィスは、賞金を使ってスマート・エネルギー・メーターとモーション・センサー照明を設置し、エネルギー消費の削減に役立てることにしています。また、米国オクラホマ・シティのオフィスでは、賞金をLED照明の設置に使うことを決めました。

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CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 10

気候変動が世界中の生活や仕事の環境に与える影響はますます高まりつつあり、今こそ行動を起こすべきときです。アクセンチュアは、環境、お客様、事業、コミュニティ、社員への影響に注目し、実際に行動することで、低炭素経済への移行に向けて主導的な役割を担うべく取り組んでいます。

生態系に対する認識を高める

インドは生物多様性のホットスポットであり、1,300種を超える鳥類が生息しています。これらの鳥類は花粉を運び、生態系のバランスを維持するという重要な役割を担っていますが、その生息環境は危機に瀕しています。2019年、約1万7,000羽の渡り鳥がインド周辺の湖で死亡しているのが発見されました。

これらの鳥類、および人間の活動や気候変動がその生態系に与える影響についての認識を高めるために、アクセンチュア・ラボのマネージング・ディレクターであるサンジェイ・ポッダー(Sanjay Podder)は、ボンベイ自然史学会と共同で、「Internet of Birds」Webポータルを設計・開発しました。このポータルは、インド亜大陸で見られる鳥類の情報をまとめた、充実した内容の動的なリポジトリを提供することで保護活動を支援しつつ、クラウドソーシングのアプローチを利用して、野鳥観察者が鳥の写真をプラットフォームにアップロードできるようにしています。ポッダーは、都会では自然と触れ合う機会が少ないと感じていました。こういった思いと、野鳥観察に対する情熱が彼を駆り立て、自然を尊重し、自然について学ぶために必要なツールを未来の世代に残そうと、このようなプログラムを開発するに至ったのです。

世界環境デーのイベント

2020年、アクセンチュアは世界環境デーを記念して、一連のグローバル仮想イベントを開催します。お客様、スタートアップ、NGOなどのエコシステム・パートナーと共に、気候関連の重大な問題の解決策を探るエコ・イノベーション・チャレンジを開催する予定です。さらには、生物多様性や雲のパターン・マッピングを支援するバーチャル・ボランティア、およびGreener Thanゲームへの参加を社員に呼び掛けることにしています。

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Metro de Madrid:エネルギー・コストと炭素排出量の削減

ケーススタディ

CORPORATE CITIZENSHIP REPORT 2019 | 11

さらに詳しく

アクセンチュアは、エネルギー・コストを最小化し、通勤時の涼しさを維持する、Metro de Madridの人工知能ベースの自己学習型通気システムの開発・導入を支援しました。

気候変動が世界中の生活や仕事の環境に与える影響はますます高まりつつあり、今こそ行動を起こすべきときです。アクセンチュアは、環境、お客様、事業、コミュニティ、社員への影響に注目し、実際に行動することで、低炭素経済への移行に向けて主導的な役割を担うべく取り組んでいます。

お客様の課題

294kmの線路と301の駅からなるMetro de Madridの地下鉄網は世界で7番目の長さを誇り、1日平均230万人の通勤客が利用しています。夏の暑い時期を中心に、駅構内を涼しく保つために、同社は891台の換気ファンを回しており、電力消費量は年間80ギガワット時に達していました。省エネとコスト削減の必要性を認識していたMetro de Madridでは、可能な限り効率的な方法で、駅を快適な温度に保ちたいと考えていました。

ソリューション

Madrid Metroの換気担当者は、アクセンチュアの協力のもと、ハチの組織的な採食行動という意外なものからヒントを得てシステムを開発しました。同システムでは、大量のデータを利用することで、1日を通して、気温、駅の構造、電車の本数、乗客数、電気料金の可能なすべての組み合わせを見つけ出す最適化アルゴリズムを採用しています。その際、履歴データと模擬データの両方を使って、72時間後までの外気温と地下の気温を考慮した計算が行われます。機械学習が採用されていることから、時間と共に変化する各駅の最適なバランスを正確に予測することが可能です。

結果

Metro de Madridでは、エネルギー消費の監視と管理、システムの不具合の特定と対応、予防的な設備保全を容易に行うことができています。このAIベースのシステムにより、Metro de Madridでは換気にかかるエネルギーのコストを年間25%、CO2排出量を1,800メートルトン削減することに成功しています。また、この自己学習型通気システムによって、都市の持続可能性も大きく向上することとなりました。

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アクセンチュアについて

Copyright © 2020 Accenture All rights reserved.

Accenture and its logo are trademarks of Accenture.

アクセンチュアは、ストラテジーおよびコンサルティング、インタラクティブ、テクノロジー、オペレーションズの領域で、すべてにデジタルの力を組み込んだ幅広いサービスを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業です。世界最大の規模を誇る先端技術とインテリジェント・オペレーションセンターのネットワークに裏打ちされた40を超す業界に向けて、豊富な経験と専門スキルを生かしたサービスを提供しています。アクセンチュアでは、世界120カ国以上のお客様に対して、50万9,000人の社員による継続的なイノベーションによって、お客様のパフォーマンス向上と、永続的な価値創出を支援しています。

アクセンチュアの詳細はwww.accenture.comを、アクセンチュア株式会社の詳細はwww.accenture.com/jpをご覧ください。