2011-06-21 ソシオセマンティクス

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2011-06-21 ソシオセマンティクス. 第 2 部の構成. 第 2 部:言語・コミュニケーションの新しい理論パラダイム 人間社会の諸現象は意味の社会的編成と深く関わっている。ここでは、意味の社会的ダイナミズムを取り扱うため、特に 1 部で提示された問題に対し、「意味づけ論」の紹介を中心に意味論・言語コミュニケーション理論的な観点からの説明、解説を加える。 II-1. 意味の不確定性と会話モデル II-2. 意味の共有感覚:事態構成の同型性と言語の秩序性 II-3. 意味の共有感覚:意味知識の類似と概念形成過程 II-4. 意味の共有感覚:スクリプトと言説の体制化. - PowerPoint PPT Presentation

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2011-06-21ソシオセマンティクス

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第 2 部:言語・コミュニケーションの新しい理論パラダイム 人間社会の諸現象は意味の社会的編成と深く関わっている。こ

こでは、意味の社会的ダイナミズムを取り扱うため、特に 1部で提示された問題に対し、「意味づけ論」の紹介を中心に意味論・言語コミュニケーション理論的な観点からの説明、解説を加える。

II-1. 意味の不確定性と会話モデル II-2. 意味の共有感覚:事態構成の同型性と言語の秩序性 II-3. 意味の共有感覚:意味知識の類似と概念形成過程 II-4. 意味の共有感覚:スクリプトと言説の体制化

第 2 部の構成

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言語(我々の多くの場合であれば日本語)が持つ機能的な秩序性が、言葉によって指し示される関係、事態をどのように意味づけるかという営み(事態構成)にある程度の同型性を与えることになる。さらに言葉そのものの意味についても、原理的には不確定性を持つと言いながら、「イヌ」といえば四本足のあの動物、「イス」といえば人が座るあの器具というようにいわゆる「辞書的な意味」「常識的な意味」を我々は知っている。同様の文化圏、生活圏にある人間に共通するこのような意味知識の協和的類似もまた意味の共有感覚を支えるものである。この点について人間の認知過程、概念形成過程の在り方の概説から説明する。

II-3. 意味の共有感覚:意味知識の類似と概念形成過程

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意味づけを支える共通の基盤①

会話の成立に不可欠な「意味の共有感覚」 あくまで「感覚」であることに注意 確かに意味づけは不確定ではあるけれど、デタラメではない そのデタラメでないという部分(意味づけの同型性・類似性)

を保証するものが、意味づけにおける共有の秩序性

意味の共有感覚を支える共有の秩序性 こちらはほぼ「共有」と言って差し支えない 意味づけの仕方に関する秩序性 意味知識の形成に関する秩序性

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意味づけを支える共通の基盤②

意味づけの仕方に関する秩序性 コトバの持つ機能性(文法的知識)

名詞:意識の対象としてモノ (thing) 化する 動詞:コト (event) の図式に適応するような意味づけを要請す

る 助詞:先行する名詞の取り扱い方を指示する

意味知識の形成に関する秩序性 概念形成過程の共通

差異化:「 A と非 A 」の関係 一般化:「 A : a, b, c 」の関係 典型化:差異化と一般化を通じての「 A らしさ」の獲得

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コトバ からの意味づけ

コトバ(の配列)

意味知識(意味づけに関連する記憶の連鎖)の想起[ コトバは記憶連鎖の引き込みあいのトリガー ]

字義的な解釈

情況とのつじつまあわせ他者情況の忖度

コトバの機能に沿っての意味知識の関連付け

(その場での)   意味

意味づけ(記憶連鎖の引き込みあい)のプロセス

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コトバからの意味づけ

「私は犬です」

「私」で指示される対象についての意味知識「犬」で指示される対象についての意味知識

情況とのつじつまあわせ「中野は人間(動物の犬なわけがない)「教室という場」「授業の内容」「中野と深谷の関係」…その他

「は」「です」などのコトバによる「私」と「犬」の関連付け

意味づけ(記憶連鎖の引き込みあい)のプロセス

「犬」という領域への「私」の位置づけ「私」と「犬」の=の関係、類似性・共通性の示唆

「中野が犬なわけはないが、ある意味で犬である」「犬」と「中野」、その他についての記憶連鎖の引き込みあいの再度の試行

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意味づけの仕方に関する秩序性

少なくとも字義的な解釈の部分に関して誰でも(日本語話者であれば)、「私は犬だ」が構成する「私=犬」の字義的な関係を理解できる

コトバがその意味知識(個別に異なる)とは別に品詞として持つ機能 (名詞チャンクの編成機能) 動詞の図式構成機能 助詞の操作子機能

これらの知識が日本語話者としてほぼ共有されているといってもいいほど共通しているからこそ、コトバへの(からの)事態構成にある程度の同型性が保たれる

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名詞の対象指示機能①

意識の対象としてモノ (thing) 化する モノ的な要素は名詞によって取りまとめられることによって、意

味づけの意識の志向の対象となる

ぼく、幼稚園、いく 山に(を)のぼる 太郎が次郎を花子に紹介する

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名詞の対象指示機能②

指示行為と「名づけ」の拡張 動詞や形容詞などの意味内容を意味づけの対象にするにも名詞化が必

要 いき(いくこと)、のぼり(のぼること) 暑さ(暑いこと)、寒さ(寒いこと)、静かさ(静かなこと)

名詞としてとりあげ、モノ化することにより、意識の志向は単に「そこにある」事物対象だけでなく、抽象的な観念対象にまで及ぶ 「あの机」「この PC 」「君」「私」「あれ」「これ」 「こういうことってつまりさ、~だよね」 「(友達が彼女と別れたという話を聞いて)それはお前が悪い」 「正義とは~」「自由とは~」「近年のテロリズムとは~」

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動詞の図式構成機能①

コト (event) の図式に適応するような意味づけを要請する 行為や状態、出来事の枠組み・図式

ぼく、幼稚園、いく 山に(を)のぼる 太郎が次郎を花子に紹介する

「いく(行く)」:視点から遠ざかる移動 「のぼる」:垂直線の上方への移動 「紹介する」: N1 、 N2 、 N3 の紹介関係への関係付け

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動詞の図式構成機能②

(1) 人・動物・乗り物が、移動する。話し手に近づく場合は「来る」という。 ( ア ) 人・動物・乗り物が、話し手のいる場所から遠くへ移動する。

「これから銀行へ~くところだ」「父は今、タバコを買いに~っています」「まっすぐ~けば駅へ出ます」

( イ ) 人・動物・乗り物が、目的の地点に向かって進む。また至りつく。 「京都を見たあと奈良へ~く」「プールに泳ぎに~く」「何度も神戸へ~ったことがある」「大阪から九州へ~く列車」

( ウ ) ある地点を通過する。往来する。 「道く人々の服装もカラフルだ」「野~き山~き我来れど /万葉 4344 」

(2) 動作者が話し手とともに移動する。話し手を中心に考えたときは「来る」で表現することも可能。 「映画を見に行くところなんだが、君も一緒に~かないか」

(3) 人・動物以外のものが、運ばれて移動する。話し手に近づく場合は「来る」という。 ( ア ) 手紙・通知・電話などがある地点に到達する。

「該当者には役所から通知が~くはずだ」

( イ ) 風・匂いなどがある所に到達する。 「風が~かないように戸をしめる」

(4)学校の生徒や軍隊の兵士などになる。《行 》 「うちの次男は幼稚園に~っています」「父は戦時中兵隊に~っていました」

(5) (「嫁に行く」「養子に行く」などの形で)他の家へ移る。《行 》 「大阪へ嫁に~った娘」

(6)去って帰らない。 ( ア ) 年月が経過する。

「~く春を惜しむ」「~く年来る年」

( イ ) 水が流れ去る。

「~く河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず /方丈記」「行く」の辞書的な意味(一部)『大辞林第二版』(三省堂)から

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例:「行く」という動詞(視点から遠ざかる移動)

A(~から)

動詞の図式構成機能③

B(~へ)

C(移動の主体)

移動の経路(距離)

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動詞の図式構成機能④

例:「売る」という動詞

A

「売る」主体(売り手)

B

「売る」という行為の宛先(買い手)

C

「売る」という行為の対象

(「買う」という行為の宛先) (「買う」主体)

(対価の支払い)

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助詞の操作子機能①

先行する名詞の取り扱い方を指示する 例えば動詞が示す図式においての名詞(句)の取り扱い方を示

ぼく、幼稚園、いく 山に(を)のぼる 太郎が次郎を花子に紹介する

特に助詞は文脈には依存しない固有の機能を持つ (どんな情況や文脈であれ、助詞の意味が変わることはまずない) 意味内容の決定に先行し、意味づけを整序するオペレーター(操作子)

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助詞の操作子機能②

例:「僕は友人にテレビを 1万円で売った」

「売る」主体(売り手)

友人

「売る」という行為の宛先(買い手)

テレビ

「売る」という行為の対象

(「買う」という行為の宛先) (「買う」主体)

( 1万円)

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助詞の操作子機能③

(1) 特に一つの物事をとりあげて提示する。 「お酒~ぼくが買う」「食事~もうすんだ」

(2) 題目を提示して、叙述の範囲をきめる。 「象~鼻が長い」「ぼく~学生だ」「今日~よい天気だ」

(3)二つ以上の判断を対照的に示す。 「行き~よいよい、帰り~こわい」「親に~孝行、友人に~信義」

(4)叙述を強める。 ( ア )〔格助詞・副詞などに付いて〕意味や語勢を強める。

「たいてい~、そのまま帰る」「君と~もう会わない」 ( イ )〔動詞・形容詞の連用形、および助詞「て・で」に付いて〕一続きの叙述の一部分を強調する。

「絶対に行き~しない」「なるほど美しく~ある」「まだ書いて~いない」「真実で~ない」

(5)〔「…(で)は…(だ)が」の形で〕譲歩の気持ちを表す。活用語の連用形に付くこともある。 「雨も、降り~降ったが、ほんのわずかだ」「ごめんどうで~ございますが」

(6) 動作・作用の行われる条件・事態を表す。 「不正があって~ならない」「おこられて~大変だ」「会社として~万全の備えをするつもりで

す」「は」の辞書的な意味(一部)『大辞林第二版』(三省堂)から

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助詞の操作子機能④

「が」と「は」 ガ: N を焦点に据えよ(注視せよ) ハ: N を意味視野の焦点に据え(注視し)、かつその周辺にも

意味視野を開いておく

昔々 あるところに おじいさんとおばあさんがいましたある日 おじいさんは山へ柴刈りに おばあさんは川へ洗濯に行

きましたおばあさんが川で洗濯をしていると 川上から大きな桃が・・・

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助詞の操作子機能⑤

(1) 動作・作用の対象を表す。 「本~読む」「講演~終わる」「太刀が緒もいまだ解かずて襲 ( おすひ ) ~もいまだ解かねば /古事記(上)」

(2)使役表現において動作の主体を表す。 「子供~泣かせないようにして下さい」「今年こそ美しい花~咲かせよう」

(3)移動性の動作の経過する場所を表す。 「いつもの道~通る」「大空~飛ぶ」「新治筑波~過ぎて幾夜か寝つる /古事記(中)」

(4) 動作・作用の行われる時間・期間を表す。 「この一年~無事に生きてきた」「今~盛りに咲く」「朝日照る佐田の岡辺に鳴く鳥の夜泣き反

らふこの年ころ~ /万葉 192 」 (5) 動作の出発点・分離点を表す。

「毎朝九時に家~出ます」「バス~降りてから五分ほど歩く」「故郷~離れる」「たらちねの母~別れてまこと我旅の仮廬 ( かりほ ) に安く寝むかも /万葉 4348 」

(6)希望・好悪などの心情の向けられる対象を表す。現代語では「が」も用いられる。 「水~飲みたい」「君~好きな人はずいぶんいるよ」「身~惜しとも思ひたらず /徒然 9」

「を」の辞書的な意味(一部)『大辞林第二版』(三省堂)から

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助詞の操作子機能⑥

「を」と「に」 ヲ: N をコトが示す動作が直接働きかける対象として取り扱え 二: N をコトが示す図式に差し向けよ(ハ、ガ、ヲなどよりも優先度が低く、特にヲのような動作の作用性を強く要求しない)

山をのぼる  山にのぼる

肩をさわる   肩にさわる  肩をなでる   肩になでる?  肩にふれる  肩をふれる?黒板に手をふれる

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コトバの共有:コトバの機能がもたらす意味づけの同型性

コトバの機能 動詞(述語 ) の機能と名詞、助詞などの機能との協働で意味

は事態としてまとめられ構成される

コトバの共有 話し手と聞き手はコトバを共有することによって同じよう

にコトバからの記憶連鎖の引き込みあいを整徐させ、意味づけに同型性を確保する

個々のコトバが担う意味のゆらぎも、引き込み合いが互いに制約され、大幅に縮減される(単なる連想ゲームにはならない)

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意味知識の形成に関する秩序性

「私は犬です」というコトバの配列が、皮肉や冗談として一般に理解されるためには、「犬」というコトバが想起させる内容について多くの人の間にある程度の共通性がなくてはいけない コトバの機能によって事態構成の同型性(「私」と「犬」との関係づ

け)自体は保たれるが、そこに意味づけされる内容が類似するためには「犬」についての意味知識になんらかの類似性がなくてはならない

意味知識(概念)の形成原理 差異化、一般化、典型化の相互作用

意味知識自体が完全に共有されることはありえないが、意味知識を形成する際の原理には共通性が存在し、これに環境や文化などの共有による経験の類似が備わることで特定の集団における「社会的概念」や「常識」といった類似の意味知識が形成される

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補足:名詞が示す意味知識の内容が助詞・動詞の選択に反映する

例「僕は友人にテレビを 1万円で売った」

「売る」主体(売り手)

友人

「売る」という行為の宛先(買い手)

テレビ

「売る」という行為の対象

(「買う」という行為の宛先) (「買う」主体)

( 1万円)

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補足:名詞が示す意味知識の内容が助詞・動詞の選択に反映する

名詞が動詞・助詞と共に適切な事態を構成することができるか例「僕は友人でテレビに 1万円を売った?」

「売る」主体(売り手)

テレビ

「売る」という行為の宛先(買い手)

1万円

「売る」という行為の対象

(「買う」という行為の宛先) (「買う」主体)

(友人)

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補足:名詞が示す意味知識の内容が助詞・動詞の選択に反映する

○ 山にのぼる ○ 山をのぼる○ 空にのぼる ? 空をのぼる

「のぼる」という動詞が示す動作図式(垂直線の上方への移動)に経験上当てはめにくい「空」

○ 龍が空をのぼる 「龍」についての知識や経験(動き、形など)が「空をのぼる」という図式にある齟齬を埋め

オリオン座が空をのぼるオリオン座が空にのぼる

「オリオン座」と「龍」の違いは?それによって「を」と「に」の受容度はどう変わる?

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意味知識の共同主観性

意味づけの共通基盤としての意味知識の構造的類似 一般的に「常識」や「文化」と呼ばれるようなもの 「犬とはこれこれこのような動物のことを言う」 「椅子とはこのような用途に使う」 「レストランとはこういった施設である」 「授業とはこのような形態で行われる」 「日本人は~、それに対して欧米人は~」

共同主観性(間主観性)の獲得の過程 「常識」や「文化」が共有されているから「社会」や「共同体」が成立す

るという議論は一般的 ここではさらに、本来主観的なものである意味知識がどのようにして共同

体のメンバー間におけるある程度の構造的類似を持ち、共同主観性を獲得するかを議論する

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意味知識の形成過程の原理

差異化:対象( A )を指示し(モノ化し)、 A と非 A の意味の境界線を引く 一般化:対象( A )を指示し(モノ化し)、 A の持つ意味の境界を拡張する 典型化:対象( A )についての典型的な特徴( A らしさ)を抽出する

差異化しつつ一般化をはかり、一般化とともに典型化を図り、典型化が差異化を支えるというような絶えざる相互作用の関係

差異化 一般化

典型化

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差異化の働き①

意味の境界線を引くという認知の働き

端的に言えば「これは A だ」という認知が基本形( A と非 A との区別) 「これはリンゴだ」

リンゴと非リンゴの区別、この丸くて赤くてヘタが茶色くて少し硬そうなのが「リンゴ」であり、他のものはリンゴではない)

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差異化の働き②

差異の体系が意味のネットワークを構築する

「これはリンゴだ」「これはオレンジだ」「これはレモンだ」「これはブドウだ」

A/ 非 A の関係(リンゴ - 非リンゴ)から、 A/B/C の関係(リンゴ・・・ /オレンジ /レモン /ブドウ)の関係へ

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一般化の働き①

意味の境界を拡張するという認知の働き

端的に言えば「あれも A 、それも A 、これも A だ」という認知が基本形 「オレンジ」を個別の複数の対象に適用することでひとまとめに括るという認

あれも、これも、それもオレンジ

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一般化の働き②

意味のネットワークを参照しながらの一般化

果物:リンゴ /オレンジ /レモン /ブドウ・・・ 「果物」という上位概念を利用して、個別の複数の対象を「果物」として括る

という認知

リンゴも、オレンジも、レモンも、ブドウも果物

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典型化の働き①

対象についての典型的な特徴(~らしさ)を抽出するという認知の働き

意味知識の共有感覚の核となる原理

知覚的な特徴の抽出 色、形、サイズ、触り心地、味、におい、音など

機能的な特徴の抽出 どう使うものなのか、どのように働くものなのか

行動的な特徴の抽出 どのように動くか、振舞うか

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典型化の働き②

例えば犬の犬らしさ

知覚的特長 四足、毛がフサフサ、尻尾・・・

機能的特長? 放牧犬、狩猟犬、介助犬・・・

行動的特徴 走る、尻尾を振る、ベロをたらす・・・

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差異化一般化典型化の相互作用

例えば、赤ちゃんにとっての「犬」の概念の形成過程 ある日犬を見て、母親から「あれはワンワンよ」と教えられる(差異化) 「ワンワン」とはこういうものであるという特徴(四足、フサフサ、尻尾 )の抽出・・・

(典型化) 「ワンワン」の概念を適用しながらいろんな犬に対して「ワンワンがいる」(一般化) ネコに対してまで「ワンワン」(過剰な一般化) 「あれはワンワンじゃなくてニャンニャンよ」と教えられる(差異化) (「ニャンニャン」とは違う)「ワンワン」の典型性(鳴き声、大きさ・・・)の再度

の抽出(典型化)

「 A と非 A を区別できるという能力:差異化」「 A を様々な対象に適用することができるという能力:一般化」「複数の事例から典型的な特徴を抽出することができるという能力:典型化」

さらに子供が大きくなるにしたがって、犬(ワンワン)の種類としての様々な犬種や、犬やネコや人間も含む「動物」という上位概念などを理解していくが、その中でも常に差異化と一般化と典型化が作用しあいながら意味のネットワークが構成されていく

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概念形成過程の秩序性と、経験の類似性

認知過程における差異化一般化典型化を基本原理とした概念形成の秩序性が存在するといえるならば、同様のサンプルが与えられれば類似の概念が形成されると考えられる(理論的には)

生物(人)としての知覚の類似性 身体感覚、五感

置かれた環境や文化からの経験の類似性 例えば動植物や街並み 日本人なら誰でも見たことのあるものといえば? 「男とはこうあるべき」「大人とはこうあるべき」「恥の文化」

「菊と刀」

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意味の共有感覚の源泉

意味づけの仕方に関する秩序性 コトバの持つ機能性(文法的知識)

意味知識の形成に関する秩序性 概念形成過程の共通

コトバは共有されても意味は主体間で必然的にズレることになる しかしコトバの記憶連鎖の引き込み合いを整序する働き、つまり、意

味づける文法の共有によって、コトバへの事態構成(話し手)とコトバからの事態構成(聞き手)は同型性を確保する

また、記憶連鎖の類似性、つまり、意味知識の類似性が事態構成の内容に類似性をもたらす

事態構成の同型性と内容の類似性によってズレが差し支えない程度におさまっているとき会話はそこそこに成立する