A Happy New YearJANUARY 20122012 年 1 月発行号

Special feature on auction highlightsエスト・ウェスト ニュース

2008 年 11 月に開始したエスト・ウェストオークションズ香港セールも今季で第 7 回目を迎えた。進出当初よりも確実に香港のアートシーンは活性化され、洗練された今、競合他社との競争を生き抜くためには独自のスタイルの確立と時代を読む力が求められる。アジアを代表する国際都市としての香港の役割は、今や決して経済だけを指すものではなく、文化の発信地としても、またそれを輸出・輸入する交易地としても確実な機能を備えており、その地位が揺らぐことはない。

今やニューヨークやロンドンを凌ぐ、巨大なアートマーケットになった香港。11 月には様々なジャンルのオークションが数多く開催され、世界各国から美術愛好家が揃う。27 日から行われたエスト・ウェストオークションズ「オータムセール香港」プレビューには馴染みの香港・台湾の愛好家、日本からの来場者に加え、中国からの新規の愛好家も数多くみられ、平日とは思えぬほどの熱気で会場を大いに賑わせた。

2 日間に渡り開催されたオークションは 28 日にデコラティヴアート、ジュエリー & ウォッチに続き、29 日には石鍋コレクション第一弾のワインコレクション、そしてコンテンポラリー & ファインアートの順で 4 タイトル、総数 512 ロットを競り、落札総額は約 3 億 3 千円にのぼった。

主要な作品として、石鍋裕氏が長年に渡り蒐集した約 1,000本ものワインコレクションを始め、印象派の巨匠ルノワールが描いた大輪の薔薇図、エスト・ウェストではお馴染みの草間彌生、白髪一雄、田中敦子らの日本戦後美術、ティファニースタジオ初期の貴重モデルである「蜻蛉と水生植物文テーブルランプ」、凛とした美しさを備えた R. ロマネッリの名作「大理石クレオパトラ像」、Tiffany & Co. の 5.38ctダイヤモンドリング、そして目にも鮮やかな 26 点もの純金コレクションなど多岐にわたり、他社とは一線を画したエスト・ウェストオークションズならではの品揃えで、世界中から集まった愛好家の目を楽しませた。

エスト・ウェスト オークションオータムセール香港速報

「石鍋コレクション」第一弾盛況のワインセールと

堅調なデコラティヴアート落札総額約 3 億 3 千万円に

Spring Sale TOKYO ISHINABE COLLECTION

スプリングセール東京「石鍋コレクション」開催日時 : 3 月 31 日（土）、4 月 1 日（日） 会場 : 東京・西麻布 クイーン・アリス迎賓館

本コレクションは、フレンチシェフ界の巨匠・石鍋裕氏がフランス修行時代から、日本で多大な成功を収めるまで蒐集したおよそ1000 点にものぼる美術品から構成される。藤田嗣治のコレクションをはじめ、モダニズムの先駆けであるカミーユ・コロー、イギリスロマン主義の国民的画家 JW ターナー、フォーヴィズムの巨匠アンドレ・ドラン、ラウル・デュフィ、エコール・ド・パリのジュール・パスキン、ドイツ表現主義のキース・ファン・ドンゲン、明治から昭和にかけて日本美術界の重鎮である藤島武二、安井曾太郎、梅原龍三郎など、ヨーロッパに造詣が深い同氏ならではの洗練された作品が出品される。

迎

春

2012

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まったものの、中盤に差し掛かると不落作品が続き、少々苦戦を強いられる場面もあったが、程無くして会場の香港・中国人コレクターと日本人コレクター、電話や書面ビッドとが競り合い、堅調な売れ行きを見せる。

下見会中も絶えずコレクターからの問い合わせが多かったLot.101 R. ラリックの「シュザンヌ像」。実際の競りでも日本からの電話ビッド、書面ビッドに会場の香港人コレクターが応戦するかたちで競り上がり、予想落札価格の 2 倍を超える 24 万香港ドル（約 240 万円）で落札され、場内を湧かせた。地元・香港における R. ラリックの知名度は回を重ねるごとに目に見えて高

時代の潮流に合わせた新たな試みとして、今季、エスト・ウェストはフランス・ドーム社と共にシンガポール、香港に於ける下見会を開催した。世界屈指の国際的な金融都市であるシンガポール。現代ドーム作品を扱う店舗はあるものの、アール・ヌーヴォーやアール・デコ時代の作品は文字通りの初上陸であった。

オークション出品作品の中から 40 点余りの選りすぐりのドーム作品を展示し、現代のドーム作品と調和する形で展示を行った下見会は大盛況。訪れる人々の目を奪う鮮やかなアンティーク作品は、新規愛好家の目に文字通り魅力的に映ったようである。オークション出品以外に展示目的で持参をしたドームのアーティステック作品２点が即売されるなど、この市場における確かな手ごたえを感じた次第である。

「オータムセール香港 2011」第一日目は色鮮やかなドームのミニアチュール作品によってその幕を開けた。堅調な滑り出しで始

これまでのセールと比較して特徴的であったのでは、長引く不況にあえぐ北米、ヨーロッパからのビッドが少なくなったこと、また世界経済の牽引役であるアジアでも世界的な経済不安の影響もあり、投資目的で購入されてきた若い現代美術など、かつては大きく値上がりをしていた作品の落札状況が落ちてきたことが窺える。しかし草間や白髪など市場において知名度や市場価値が確立している作家に関しては、着実な結果を出しており、今後の成長をも期待させる。

このような経済状況の中でも着実にマーケットが進化していると感じられるのが、西洋美術の分野である。とりわけ中華圏における西洋嗜好の高まりが確かな需要へと変化し、絵画だけでなく骨董品などの装飾美術の分野における西洋美術作品の「買い」は近年と比較しても、質・量ともに格段に進んでいる。これはエスト・ウェストが香港で独自に西洋装飾美術のオークションを開催しているということが次第に認知・評価されていることもあり、それらの作品を目当てに足を運ぶ愛好家の数は回を重ねるごとに確実に増え続けていることもまた事実である。エスト・ウェスト創設以来、一貫して西洋美術の市場を率いてきた役割とその売買のネットワークやストラテジーは、香港市場において、競合他社とは異なる独自のアプローチとして有効であることを再認識した。

総評

デコラティヴアートDecorative Arts

更なる飛躍へと向かうデコラティヴアート

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Lot 107　ティファニースタジオ「 蜻蛉と水生植物文テーブルランプ」

予想落札価格 HK$350,000 - 500,000落札価格 HK$1,003,000 　　　 JPY10,030,000

まっており、状況の変化が見て取れる。続く、Lot.107 ティファニースタジオ「蜻蛉と水生植物文テーブルランプ」は、本国アメリカからの電話ビッドが互いに競り合い、予想落札価格を大幅に超える 100 万香港ドル（約 1,000 万円）で落札されるなど、不動のティファニー神話を物語った。

大きく弾みをつけた終盤戦、セーブルスタイルの飾り壺やヴィエナスタイルの絵皿、KPM の陶板等、西洋陶磁器全般に会場の中国人ビッダーからの入札が相次ぎ、予想を上回る高額落札が続く。そして、今季のデコラティヴアート部門におけるスターロットとなったのが、Lot.113 クリストフル・ウィッドマンの「シルバーカトラリーセット」。下見会中も常に周囲に人だかりが出来るほどの人気は、実際の競りでも期待以上に白熱し、予想落札価格の約９倍にあたる 27 万香港ドル（約 270 万円）で会場の中国人ビッダーにハンマーが打たれると、会場から大きな拍手が沸き起こった。

Lot.132 R. ロマネッリの優品、「大理石彫刻クレオパトラ像」は、そのあまりの美しさに一目惚れをし、下見会中ずっとその側を離れられない愛好家もいたほど。その情熱的な愛好家も参戦した競りでは、会場の香港人ビッダーと電話ビッドが激しく競り合い、結果は落札予想を優に超える 63 万香港ドル（約 630 万円）で地元・香港人の愛好家のもとに落札され、香港での大理石作品の需要の高さを再確認した。

今季のセールの傾向としては、西洋装飾美術市場の著しい変化は先に述べた通りであるが、この種の作品の需要がより一層拡大することが見込まれるため、今後の出品に力を入れていきたい。

一方でシルバーカトラリーセットや日本の純銀急須や壺、ジュエリー部門の純金コレクションに多数ビッドが集まった点もまた特筆すべき点である。金や銀の実物資源の相場が破格の高騰を続けた 2011 年であったが、嗜好を満足させる調度品としても、資産運用の為のポートフォリオとしても有効であるこれらの商品は引き続き大きな需要が見込まれる。

また、今後の対策を考える上で、今季初めてシンガポールで下見会を開催したことの意味は大きい。東南アジア随一の好調な経済と社会の安定を誇るシンガポールの市場性、そしてその背景にあるインドネシア、マレーシア、ベトナムなど、東南アジアの新興国。これらの国は国際競争力もあり、ポテンシャルバイヤーとして非常に魅力な存在だ。市場の定着・活性化に加え、新興国市場の開拓もまた 2012 年以降大きな課題となる。

引き続き、時代とそしてアートシーンのイニシアティヴをとるべく、様々な活動を起こしていこうと思う。エスト・ウェストデコラティヴ部門の更なる飛躍にご期待を頂きたい。

Lot 132　R. ロマネッリ 「クレオパトラ像」

予想落札価格 HK$300,000 - 450,000落札価格 HK$625,400 　　　 JPY6,254,000

Lot 113　クリストフ・ヴィッドマン「木製デスク付シルバーカトラリー （全 136 点）」予想落札価格 HK$30,000 - 45,000落札価格 HK$271,400 　　　 JPY2,714,000

Lot 101　R. ラリック「シュザンヌ」 像

予想落札価格 HK$100,000 - 140,000落札価格 HK$236,000 　　　 JPY2,360,000

*1 香港ドルを 10 円で換算

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香港におけるジュエリー & ウォッチ部門は回を重ねるごとに定着し、毎回好評を頂いているが、従来の質の良さを保ちながら、ブランド力と鑑賞性を重視したセレクトが今回の特徴。リーマンショック以降の金融不安により、世界経済が低迷し続ける中で今回のジュエリー及び贅沢品のオークションを成功できるかと不安を抱いていたが、その心配をよそに、オークション当日たくさんの方にご来場を頂き、熱い競り合いを見せてくれた。総数 135 ロットのうち、予想をはるかに上回り落札されるロットが続出、落札総額はおよそ１億円という好結果を導き出した。

香港でのオークションは圧倒的に中国圏のお客様が多く、ジュエリーブースでは英語、広東語、北京語、日本語が常に飛び交っており、外国語を使用しての接客の難しさを覚えながらも楽しみつつオークションを終えられたと思います。純金コレクションを交えた今回のジュエリー＆ウォッチ部門では、特に中国圏で人気の高い純金作品の結果を見てみると、金が高騰しているとはいえ、金製品のデザインも重視していることはとても興味深かったです。オークション時に成り行き作品であったブシュロンにビッドが集まったり、注目度の高かった VAN CLEEF & ARPELS「非加熱ルビープラチナリング」がおよそ 39 万香港ドル（約 390 万円）で落札されるなど、ブランドの強さを改めて実感しました。また日本人と香港人のニーズは大幅に異なると思っていたのですが、デザインが個性的で派手なものよりも、比較的普段使いもできるジュエリーにビッドが集まっていたように感じます。

ジュエリー＆ウォッチ

香港オークションレポート

新入社員　池島 留都子

Jewellery & Watches

不動の人気、ブランドジュエリー　純金への需要の拡大を実感

Lot 304 「マルチカラーストーン 象置物」予想落札価格 HK$200,000 - 300,000落札価格 HK$224,200 JPY2,242,000

Lot 247「ダイヤモンド ゴールドネックレス」

予想落札価格 HK$330,000 - 530,000落札価格 HK$389,400 JPY3,894,000

Lot 244「9.11ct ブルーサファイア ダイヤモンド プラチナリング(非加熱)」予想落札価格 HK$80,000 - 100,000落札価格 HK$153,400 JPY1,534,000

Lot 268 VAN CLEEF ＆ ARPELS「5.56ct ルビー ダイヤモンド プラチナリング ( 非加熱 )」予想落札価格 HK$330,000 - 530,000落札価格 HK$389,400 JPY3,894,000

*1 香港ドルを 10 円で換算

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北京プレビュー11 月 14 日（月）～ 17 日（木）北京シャングリラホテル

中国唯一の国営オークションハウスである瀚海がオークションを開催する北京シャングリラホテル特設会場にてエスト・ウェストの下見会が開催された。通関やスケジュール等の都合により、今回の北京下見会には純金作品、ジュエリー等限られた作品の展示であったものの、多くの新旧愛好家にご来場いただき、作品を鑑賞したり、展示出来なかった作品のコンディションを聞いたりなど大盛況であった。

実際に瀚海オークションに中国古美術を競りにきた愛好家がエスト・ウェストの下見会を知り、香港オークション当日に多くの競りに参加する姿も多数見受けられ、中国本土での下見会開催の重要性を再認識した。

Lot 192　石黒 光南　 「純金 銚子」予想落札価格 HK$300,000 - 400,000落札価格 HK$448,400 JPY4,484,000

Lot 309 PATEK PHILIPPE「サファイア ダイヤモンド ドレスウォッチ」予想落札価格 HK$50,000 - 80,000落札価格 HK$100,300 JPY1,030,000

Lot 176　「純銀霧霰紋壺」予想落札価格 HK$20,000 - 30,000落札価格 HK$82,600 JPY826,000

中国で茶道具が注目を浴びています2012 スプリングセール香港5 月 24 日（木）～ 26 日（土）会場：JW マリオット香港

2012 年 5 月香港オークションにて、中国で注目を浴び始めた日本茶道具を大募集。茶道の故郷である中国のお客様に日本の茶道具をご紹介いたします。中国から始まり、「道」にまで昇華した日本茶道の作法や精神性を伝承するべく、オークションを開催いたします。茶碗、急須、茶釜、茶杓、風炉、花入、水指、棚物など。特に金銀銅で作られた急須は人気が高く、それに合わせて茶道具も注目を浴びています。

茶室

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東京プレビュー10 月 29 日（土）～ 31 日（月）エスト・ウェスト 五反田セールルーム

ギャラリーテオ

熊谷直人展　2011 年 10 月 29 日（土）～ 12 月 3 日（土）ギャラリーテオでの展覧会が 3 度目となる熊谷直人氏の展覧会が香港セール・プレビューに併せ、開催された。

広々とした空間で世界の著名作家や若手作家の展覧会を開催しているエスト本社 3F 併設ギャラリー

www.galleryteo.com

3 日間に及ぶ東京プレビュー。開催期間中は多くの方にご来場頂き、多くの書面・電話入札を頂くなど、日本の愛好家の重要性、ひいては東京プレビューの影響力の大きさを目の当たりにした。1 階は絵画に家具や彫刻などの装飾美術を交えて展示し、華麗なインテリア空間を演出。2 階にはジュエリーや金製品と共に、個性豊かなコンテンポラリー作品が並べられ、訪れた愛好家は巧みに構成された空間での鑑賞を楽しんでいる様子であった。同時期に 3 階にあるギャラリー・テオでは若手コンテンポラリー作家、熊谷直人氏による個展も開催され、オークションのプレビューとは異なったアプローチで東京プレビューを盛り上げた。

ドーム シンガポールプレビュー11 月 3 日（木）～ 6 日（日）

シンガポール・ドームブティック

ドーム 香港プレビュー11 月 24 日（木）～ 25 日（金）

香港・ドームブティック

シンガポール、香港で行われたレクチャー「ドーム秘蔵コレクションその芸術性の回顧」では、ドーム兄弟の作品紹介やアール・ヌーヴォー & アール・デコ芸術の歴史、その作品の市場性について語られた。

ドームブティック、アジアの主要店であるシンガポールと香港で 2011 オータムセール香港に出品されたドーム作品 40点がコラボレーションという形で展示された。

英語、中国語の同時通訳をつけて行われたレクチャーは

シンガポールの愛好家から好評を得た

熱心にレクチャに耳を傾ける香港の

愛好家たち

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「石鍋コレクション」ワイン香港プレビュー11 月 27 日（日）～ 28 日（月）JW マリオット香港 ボールルーム Fine & Rare Wines

香港下見会において最も愛好家の関心が集まったのは、2012 年スプリングセール東京「石鍋コレクション」に向けての先行下見会であろう。著名なフレンチシェフ、石鍋裕氏が蒐集した作品の数々が飾られた部屋は、思わず見入ってしまうほどの素晴らしい空間であった。今回、展示された作品は、カミーユ・コロー、パブロ・ピカソ、J.W. ターナー、アンドレ・ドラン、ラウル・デュフィ、キース・ファン・ドンゲン、梅原龍三郎、藤田嗣治、千住博など計 28 点どれをとっても興味を引かれる作品が並んだ。東京で開催されるオークションにかかわらず、すかさずオークションスケジュールの確認をする香港在住の方、カタログを予約する方など石鍋コレクション開催に向けて期待が高まっているかことが実感できた。

期待高まる石鍋コレクション

石鍋裕氏によって厳選されたワインが並ぶワイン・セラー

Lot 474 Domaine de la Romanee-Contiロマネ コンティ 1976 - 1 ボトル予想落札価格 HK$36,000-60,000落札価格 HK$106,200 JPY1,062,000

オータムセール香港二日目。「石鍋コレクション」第一弾となる、選りすぐりのワインコレクションがおよそ 1,000 本出品された。内容はフランス・ボルドー、ブルゴーニュのワインを主とした名だたる一流シャトーやドメーヌのワインがほとんどで、石鍋氏が長年にかけて丹念に選び抜いて蒐集した貴重な品々である。料理はもとよりワインの造詣も深い石鍋氏がコレクションした価値ある逸品ということもあり、オークション開催前から国内外の愛好家より多数の問い合わせを頂くなど、高い関心が窺えた。オークション当日は平日であったこともあり、他ジャンルのオークションと比較して決して多くの参加者が来場されたわけではなかったが、日本、中国、台湾などから数多くの書面入札が入っていたおかげで、来場された愛好家とのビッドが重なり、ほぼ全てのロットがエスティメイトの上限付近で落札されるという好結果を導き出した。落札率93％、落札総額 290 万香港ドル（約 2,900 万円）という数字は、好景気に湧くアジア市場におけるワイン文化の浸透＝西洋的生活習慣のあらわれである。一時期の香港・中国におけるワインブームのような「何でも売れる」という感覚は次第に薄れて来てはいるものの、アジア市場におけるワインの需要は今後も続くことが予想される。

2012 スプリングセール東京「石鍋コレクション」

3 月 31 日（土） - 4 月 1 日（日）開催

於 東京・西麻布クイーン・アリス迎賓館

*1 香港ドルを 10 円で換算

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Lot 669 F. デル・カンポ「ヴェニス」予想落札価格 HK$250,000 - 380,000落札価格 HK$330,400 JPY3,304,000

今回の香港オークションも、ルノワール、フォンタナ、藤田嗣治、M. ヴラマンクといった巨匠の作品など市場価値の安定した作品を紹介する機会に恵まれた。これまでと同様に 2 日間にわたる下見会では、作品１点１点に時間をかけて入念に下見をする愛好家や、作品のコンディションを細かくチェックする愛好家が多くみられ、オークションへの参加が期待された。しかしながら、その多くが高額作品であるファインアートの分野は世界経済の煽りを受けやすい。ファインアートのバイヤー層を大きく担う北米、ヨーロッパは長引く不況の煽りを受け、これまでになく事前入札の数は減少していた。オークションが開始され、会場からのビッドに期待を寄せていたものの、慎重にビッドする参加者のムードが変わることはなかった。

そのような中で、Lot.676, Lot.677 の「DING Yanyong」の作品にはビッドが集まり、予想落札価格を大きく上回って落札された。19 世紀絵画に対する人気も高く、下見会では何人もの愛好家の方々から質問を受け、結果的にすべての作品が落札された。

現地ビッターの傾向を見ると、高額でも落札したい作品には勢いよくビッドするがその他の作品に対しては例え安い価格帯で手に入ろうともビッドには至らない、というように購入作品のシビアな絞り込みが見えてきた。今後の世界経済の動向を考えると、より良い結果を導くための課題は多く残されるが、それらを解決するすべを模索しながら、エスト・ウェストがこの市場において独自の路線を切り開くことが出来るよう邁進していこうと思う。

購入作品の絞り込みが進む絵画部門

ファインアートFine Art

Lot 676 丁 衍庸「蓮蛙図」予想落札価格 HK$40,000 - 60,000落札価格 HK$224,200 JPY2,242,000

Lot 654 P.A. ルノワール「薔薇図」予想落札価格 HK$2,000,000 - 3,000,000落札価格 HK$2,124,000 JPY21,240,000

新聞やインターネットなどの掲載メディアは40 媒体を超え、繰り返し報道された

メディアの報道2011 オータムセール香港

- 落札価格表示について -すべての図版に記載された落札価格は

買手手数料込みの価格です

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草間人気と健闘する若手作家 U-33

Lot 641 草間　彌生　「南瓜」予想落札価格 HK$700,000 - 1,000,000

落札価格 HK$826,000 JPY8,260,000

コンテンポラリーアートContemporary Art+

Lot 620 P. グラッシーノ　「Zerootto」予想落札価格 HK$180,000 - 280,000落札価格 HK$212,400 JPY2,124,000

Lot 653 M. ヴラマンク「Stormy Landscape」予想落札価格 HK$800,000 - 1,200,000落札価格 HK$896,800 JPY8,968,000

毎回下見会会場を華やかにしてくれるコンテンポラリー部門、今回も個性豊かな作品で会場を盛り上げた。2 日間の下見会の様子を見て驚いたのは、草間彌生キャンバス作品 8 点、白髪一雄、田中敦子、李禹煥、ダミアン・ハーストといった名立たる作品が飾ってある中、頻繁に愛好家の足を止めたのはロッカクアヤコ、細川真希など U-33作品など若手作家の集まるブースだった。若手作家に興味を持った愛好家からは「この作家は何歳くらいの人ですか？」「どのような経歴を持っていますか？」「オークションには何回くらい出ていますか？」など、多くの質問が寄せられた。U-33 や若手の作家が注目を浴び、その作家について興味を持って貰えるというのは非常に喜ばしいことである。

今季の傾向を分析すると、U-33、若手作家の人気は決して悪くなかったといえる。細川真希、釜匠、田附楠人などの若手作家は着実に落札され、草間や白髪など市場価値が確立している作家に関しては、落札予想価格を大幅に超えるということはないものの、結果は極めて堅調であった。対照的に、かつては大幅な値上がりを見せていた投資目的の若い現代美術への買い控えムードが感じられ、市場におけるこれらの作品に対するある種の慎重さが窺える。景気の動向に最も影響を受けやすいコンテンポラリー部門ならではの典型的な兆候ではあるが、次回オークションの出品作品や構成をより慎重に検討しなければならないと感じた。

現地記者会見マンダリンオリエンタルホテル

　11 月 22 日（火）

香港マンダリンオリエンタルホテルでのプレス会見

22 日、香港に世界各国のオークション会社が集う中、プレス向けの記者会見を行った。会見ではルノワール、フォンタナ、純金作品、ワインなど香港セールの主要な作品について説明。また、2012 年スプリングセール東京「石鍋コレクション」の概要を発表した。香港現地の TV 2 社「ATV」「Phoenix TV」、新聞・雑誌など 15 社が取材に訪れ、活発に意見や質問が交わされた。

*1 香港ドルを 10 円で換算

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藤田　嗣治貯金箱を持つ少女油彩、キャンバス、額装22.0 × 16.0cm

草閒 彌生　DOTSアクリル、キャンバス　額装　53.0 × 45.8cm　1988

梅原　龍三郎 康城（戛納）風景油彩、パネル、額装47.0 × 39.0cm　1967

千住　博 ウォーターフォール紙本・彩色、パネル、額装111.5 × 145.2cm

2012 年スプリングセール東京会場東京西麻布クイーン・アリス迎賓館フレンチの巨匠石鍋氏のプライベート・コレクション

フレンチの巨匠石鍋氏のプライベート・コレクションが 2012 年 3 月 31 日、4 月 1 日、計 2 日間にわたりエスト・ウェストオークションズ「スプリングセール東京」に出品される。オークション会場となるクイーン・アリス迎賓館に美しく飾られた、優雅な貴族や神話をモチーフにした 18 ～ 19 世紀絵画をはじめ、近代の巨匠とよばれる、P. ピカソ、M. シャガール、キース・ファン・ドンゲン、日本で最も人気のある画家、藤田嗣治の充実したコレクション 10 数点をはじめ、アジアで人気を博す J.P. カシニョールの大作コレクション約 20 点、日本近代美術の巨匠である藤島武二、安井曾太郎、梅原龍三郎、岡鹿之助、日本現代美術界をけん引する千住博、草間彌生など、現代美術のコレクションにも目を惹かれ、長い年月を費やし蒐集されたコレクションは多種多様なジャンルで構成され、見る者を圧倒させる。

また、煌びやかなシャンデリアやダイニングテーブルなどの家具から、イタリアの彫刻家 A. フリーリが手がけた 2m を超える「三美神」の大理石彫刻、愛らしい天使や子供をモチーフにした M. モローや A. モローなどのブロンズ・大理石彫刻、ドイツの名窯マイセンの代表作「四大元素」を中心としたヨーロッパ磁器などヨーロッパにゆかりのある石鍋氏ならではの室内装飾美術も多数出品される。

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石鍋裕氏インタビューエスト・ウェストオークションズホームページにて公開中http://www.est-ouest.co.jp

P. ピカソテレサ・ブラスコの肖像パステル、紙、額装35.5 × 26.7cm　1899

J.P. カシニョールAu bois油彩、キャンバス、額装195.5 × 130.0cm

J. パスキン　裸婦

油彩、キャンバス、額装73.0 × 59.5cm　1925

A. フリーリ　三美神像

大理石　h243.0 × w104.0 × d56.0cm

A. モロー　二人の子供

ブロンズ　h59.0 × w31.8 × d20.0cm

C. コロー　ボメロ島の浴女たち油彩、板、額装33.5 × 25.0cm

クイーン・アリス迎賓館の部屋。写真左からアンリ・ルソー、キース・ファン・ドンゲン、モーリス・ブラマンク、ラウル・デュフィの作品が並ぶ。

石鍋裕氏プロフィール（いしなべ　ゆたか）

1948 年 2 月 7 日　神奈川県横浜市生まれ。フランスの「マキシム」「ヴィヴァロア」「ムーラン・ド・ムージャン」などの一流レストランで修業し、帰国後、六本木「ビストロ・ロテュース」の料理長となる。東京・西麻布に「クイーン・アリス」を開店し、その後レストランチェーンを全国に展開。フジテレビの「料理の鉄人」初代フレンチの鉄人として出演、名誉鉄人として引退後も挑戦者から指名を受けるなど、料理人としての実力はもちろんのこと、料理に対する真摯な姿勢を見せることにより、シェフの本当の凄さを世の中に浸透させ「料理人」「シェフ」を憧れの職業にした。2002 年には中部国際空港の商業施設総合プロデューサーに任命されるなど、食を中心とする幅広いジャンルで斬新で新しい発想し、その手腕を発揮。1971 年の渡仏後、フランス各地での修行のかたわら、美術品に囲まれて豊かな生活をする人々と出会い「単に料理を食べる」だけではなく、それをとりまく場所、環境、空間も重要であると考え、食を楽しむためのツールの充実、とりわけ積極的に美術品の蒐集をはじめた。

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エスト・ウェスト オークションズ株式会社 / EST-OUEST AUCTIONS Co., Ltd.

作品募集締切 ※査定無料：2012 スプリングセール香港：4 月 6 日（金）

作品募集締切 ※査定無料：2012 スプリングセール東京：2 月 3 日（金）

2012 スプリングセール東京 3 月 31 日（土） - 4 月 1 日（日）開催 於 東京・西麻布クイーン・アリス迎賓館

2012 スプリングセール香港　5 月 24 日（木） - 26 日（土）開催 於 J.W マリオット香港

出品作品募集のご案内

東京オフィス 〒 141-0022 東京都品川区東五反田 2-5-15 2-5-15HigashiGotanda,ShinagawakuTokyo141-0022JAPAN Tel+81(0)357913131 Fax+81(0)357913133香港オフィス 25/F.,ChinaResourcesBuilding,26HarbourRoad,Wanchai,HONGKONG Tel+85239772131 Fax+85239772033www.est-ouest.co.jp info@est-ouest.co.jp

※スプリングセール東京は「石鍋コレクション」と共に、通常のオークションも開催される予定です。

コンテンポラリー & ファインアートP. ピカソ、M. シャガール、P.A. ルノワールなどの巨匠作品。草間彌生、奈良美智、白髪一雄、アジア・マーケットにおいて人気の高い 19 世紀絵画など。

デコラティヴアートガレ、ドーム、R. ラリック、L.C. ティファニー、マイセン、KPM、ヴィエナ、セーヴルなどの西洋陶磁器、大理石・ブロンズ彫刻、シルバー作品。

東洋美術明、清時代などの陶磁器や書画、油絵、鼻煙壺、玉器、犀角、など中国美術全般。現在、高値で取引されている中国切手も募集。

ジュエリー＆ウォッチCartier、VanCleef & Arpels などのブランドジュエリー 、ROLEX、PATEK PHILIPPE などのラグジュアリーウォッチ、アンティークジュエリー。

香港オフィス移転のお知らせ

香港 Est-Ouest Auctions Co., Ltd CEO の紹介　董 暁航

Est-Ouest Auctions Hong Kong25/F., China Resources Building, 26 Harbour Road , Wanchai, HONG KONGTel : +852 3977 2131 　 Fax : +852 3977 2033営業時間 : 月～金　11：00 - 13：00 / 14：00 - 18：00

エスト・ウェストオークションズ香港オフィスは、香港における事業拡大に伴い2011年12月10日より下記住所に移転致します。

留学の為来日後、株式会社エスト・ウェストオークションズ（東京）にジュエリーのエキスパートとして入社し、昨年はオークショニアとしてデビューを果たしました。この度、香港 Est-Ouest Auctions Co., Ltd CEO に就任し、日本での海外事業部部長と兼任になりました。今後は日本と香港の両国を拠点として総体的な活動をしてまいりますので、よろしくお願いします。