2013年 平成25年 栃木産業人クラブ...

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クラブ (大 インタ ュー 概  ◇1964 )4 67 3、TS ル4 028・622・0307 活に 2013年 平成25年 8月30日 金曜日 (第2部)

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Page 1: 2013年 平成25年 栃木産業人クラブ 情報交換活発に...富だ。須、足利など、観光資源も豊光をはじめ鬼怒川温泉や那ある二社一寺などを有する日

栃木産業人クラブ

高橋和夫氏(大高商事社長)

他地域のクラブと連携積極化

会長インタビュー

 ―現在の経済情勢をどの

ように見ていますか。

 「景気が良くなったと言

われていますが、あくまで

東京や大手企業の話だと感

じます。地方の中小企業経

営者らが実感するには、も

う少し時間がかかると見て

います。ただ今までは全体

的に沈んだムードでした

が、業種によっては手応え

を感じられるようになって

いるのではないでしょう

か」

 ―厳しい環境下で中小企

業が生き残るには、どのよ

うな取り組みが必要だと考

えていますか。

 「指をくわえて見ていれ

ば状況が良くなる訳ではあ

りません。企業のトップが

ピンチをチャンスと捉え、

いかに積極的に改革できる

かにかかっています。今ま

での企業は

周りが何とか

してくれる

と考えていま

した。依存体質が強くても

バブル期ならば成長できた

かもしれませんが、今は生

き残れません。取り組む姿

勢や考え方を変えること

で、少しでも前進できます

 ―具体的にはどのような

取り組みが必要ですか。

 「

良いモノを作った

だけでは売れません。売っ

ていくためには積極的に展

示会や商談会などに参加

し、自分から発信していく

べきです。当社は県外の展

示会などに参加しています

が、栃木県の企業の出展は

少ないと感じています。グ

ローバル化社会では

オレ

はこうする

こんなモノ

を作った

とアピールして

いく必要があります」

 ―栃木県内にはモノづく

りだけでなく農産物の生産

も盛んで、有名な観光地も

多くあります。

 「環境に恵まれているこ

とで、苦労しなくても何と

かなるという考えに漬かっ

てしまっているのも事実。

外に出ていろんな人と名刺

交換や会話をして、つなが

りを増やしていく姿勢が重

要です。構えてしまわず

に、大学などを訪ねるのも

良いのではないでしょう

か。素人発想だからこそ生

まれる商品もあります。

無理だ

と言っていたら

何もできません」

 ―産業人クラブにはどの

ような役割や活動が求めら

れていると考えますか。

 「会員どうしの情報交換

を活発にしたいと思いま

す。そのために気軽に会っ

て話せる環境をもっと作り

たいです。企業のトップ向

けセミナーや若手の会な

ど、イベントや場を作るこ

とが大切です。また産業人

クラブのネットワークを生

かし、工場見学会と交流会

を組み合わせるなどして、

他地域の産業人クラブ会員

との連携も積極化したいと

思います。

栃木産業人ク

ラブに入って良かった

会員が感じられる運営をで

きればと思います。連携は

大切。それぞれの得意分野

を持ち寄ることで、良いモ

ノやサービスを生んだり、

社会貢献をしたりといった

ことが可能になります。1

+1は2ではなく、5にも

にもなるのです」

概 要

◇1964年(昭 )4月2日設立 会員数67人◇事務局所在地   宇都宮市本町 の3、TSビル4階         (日刊工業新聞社栃木支局内)◇電話   028・622・0307

特集・挑戦する日本の経営者たち

情報交換活発にモノづくり県の底力示す

産学官連携の草分け来年50周年

自動車・航空宇宙医療関連など集積

毎年秋に開催している

情報交換会では県や大

学、地方銀行などが県

内の課題などについて

話し合うほか、県内企

業が取り組み事例を発

表している

7月の定時総会。「失敗しな

い経営承継」をテーマに講演

する原口純一郎東京中小企業

投資育成業務第五部長

 栃木県は東京から

―1

60

の距離と近く、東北

自動車道や北関東自動車道、

東北新幹線などの交通インフ

ラも充実している。県内総生

産に占める第二次産業の割合

が全国3位

2010年

・8%と高く、自動車や航

空宇宙、医療関連の分野を中

心に、大手企業や技術力のあ

る中小企業が集結している

「モノづくり県」として存在

感を示している。

■ 地域ネットワーク

 イチゴや二条大麦の産出額

で日本一を誇るなど農業も盛

んだ。県は

年に「フードバ

レーとちぎ推進協議会」を発

足し、食をテーマに幅広い主

体が交流して地域経済の発展

を目指している。世界遺産で

ある二社一寺などを有する日

光をはじめ鬼怒川温泉や那

須、足利など、観光資源も豊

富だ。

 

年は栃木県と宇都宮県が

合併してから140周年の節

目。県は「一緒に歩む 元気

なとちぎ!」をサブテーマ

に、東日本大震災からの復興

に向けた応援メッセージを発

信するとともに、県の元気度

を県内外に強くアピールして

いく考えだ。

 栃木産業人クラブ

高橋和

夫会長

大高商事社長

は他

の産業人クラブに先駆け、1

964年4月2日に「栃木工

業人クラブ」として発足。産

学官連携の草分けとして、地

域のネットワークづくりに取

り組んできた。

年には

年を迎える。

 初代会長には自動車や航空

機の部品メーカーである栃木

富士産業

栃木市、現GKN

ドライブラインジャパン

栗原甚吾氏が就任。以後、今

年8月に創立130周年を迎

えた電設商社の藤井産業の藤

井清氏、栃木富士産業の栗原

義彦氏、自動車や航空機関連

のギアで実績を持つ菊地歯車

足利市

の菊地義治氏、藤

井産業の藤井昌一氏、バネメ

ーカーとしてグローバルに活

躍している村田発條

宇都宮

の村田一郎氏らが歴任し

てきた。

■ 交流深める

 現在の会長は大高商事

都宮市の高橋和夫社長だ。同

社はビルメンテナンスのほ

か、近年は宇都宮大学との産

学官連携で農産物の鮮度維持

機を開発するなど、モノづく

りの分野でも実績を積んでい

る。名誉会長は福田富一栃木

県知事、副会長は永野

尚富士重工業航空宇宙

カンパニープレジデン

トが務めている。

 会員企業として、栃

木県の地方銀行である

足利銀行と栃木銀行、

宇都宮大学や帝京大

学、県の産業振興セン

ター、産業技術センタ

ーや、県内で自動車や航空

機、機械関連の分野で活躍す

る有力企業が集結。意見交換

などを通じて交流を深めてい

る。

 毎年

月ごろには日本機械

学会栃木ブロックとの交流会

を開催。

年度は宇都宮市内

にある帝京大学理工学部航空

宇宙工学科から久保田弘敏教

授を講師に迎え、

年1月に

打ち上げ予定の国産基幹ロケ

ット「H2A」に搭載予定の

小型人工衛星「Teikyo

Sat―3」の開発について

学んだ。微小重力環境や放射

線で粘菌が受ける影響の解明

など期待される成果や、学生

の教育への寄与など、「栃木

」衛星の可能性につ

いて、

人の参加者は熱心に

耳を傾けていた。

■ 重点5分野

 毎年

月には栃木県産業労

働観光部との情報交換会を実

施。県の産業労働観光部や産

業振興センター、産業技術セ

ンター、足利銀行や栃木銀

行、宇都宮大学や帝京大学か

らの出席者らが意見を交わし

ている。

 

年度は県の重点5分野

自動車、航空機、医療機

器、環境、光

の状況や、産

学官連携、地域金融の役割な

どが主なテーマになった。

 続いての事例発表では、エ

レクトロニクス技術をコアに

医療用電子機器などの試作や

生産、自社製品開発などに取

り組んでいるアール・ティー

・シー

上三川町

の桜井仙

長社長と、地域でパンを製造

販売するとともに最長

カ月

の保存ができる缶詰パンを開

発し知名度を高めたパン・ア

キモト

那須塩原市

の秋元

義彦社長が自社の取り組みを

発表した。

 桜井社長は「受け身の下請

けから提案型への転身」をテ

ーマに「幅広い横断技術を融

合することで、技術力向上や

顧客からの信頼獲得につなげ

ている」と語った。秋元社長

はパンの缶詰を非常食として

2年間備蓄した後、飢餓に苦

しむ国々に義援物資として届

ける「救缶鳥プロジェクト」

の取り組みを紹介した。

 

年の賀詞交歓会ではスズ

キプレシオン

鹿沼市

の鈴

木庸介会長が「部品加工会社

の新展開―新規分野開拓と自

社製品開発」と題して講演。

同社は切削加工をコア技術

に、自動車や半導体装置など

の部品を生産している。下請

けからの脱却を目指し、医療

機器や工作機械分野で自社製

品の開発などにも積極的だ。

 CNC自動旋盤用4倍速ス

ピンドルの開発では、

年に

モノづくり部品大賞」

モノづくり日本会議、日刊

工業新聞社主催

の日本力賞

を受賞した。「医療機器分野

には中小企業の活躍の場が大

いにある」「中小企業が新規

参入をするためには自社の強

みを自覚したうえで、社員が

一丸となりとにかく体験して

みることが大切」と約

人の

参加者を鼓舞した。

■ 経営承継で講演

 7月の第

回定時総会では

会員である東京中小企業投資

育成

東京都渋谷区

の原口

純一郎業務第五部長が「失敗

しない経営承継」と題して講

演。経営承継に関する最近の

トピックスを交え、「大半の

経営者にとって経営承継は初

めての経験。誤った判断に気

づきにくい」として後継者教

育や株主選びの重要性などを

説明した。

 栃木産業人クラブは

年9

月に群馬産業人クラブとゴル

フ大会を共催するなど、他地

域の産業人クラブとの連携も

模索している。

   2013年 平成25年 8月30日 金曜日 (第2部)    ( )