2013.2 “likeコミュニケーション” 活性化させる未購入ファン · ー ン に...
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「好意」起点でつながる企業と生活者Facebookや Twitter、LINEなど、生活者同士のネット上でのつながりが活発になるなかで、企業と生活者とのつながりも同様に拡がっている。Twitterや Facebook利用者の約5割が企業アカウントをフォローしており、ネット上で生活者が好意に基づいて企業やブランドとつながることは既に身近なことになっているのだ(図1)。今号では、SNS上で「いいね!」や「フォロー」するなど、生活者の企業に対する能動的な意思表示によってつながる“Likeコミュニケーション”のあり方を探る。
購入ファンと未購入ファンの交流が“Likeコミュニケーション”を活性化Facebookで企業やブランドの公式ページに「いいね!」を押しているファンには、既にその商品を愛用している顧客が多く含まれるが、中には購入を止めた離反顧客や、関心はあるものの一度も購入したことがない潜在顧客も含まれており、その購入状況は Facebook
ページごとに異なる(裏面参照)。DNPが実施した「ファストファッションブランドの Facebookページに関する調査」では、ブランドと
の関わりが深い購入ファンは、そのブランドの洋服でコーディネートや着回しを楽しむなど、実際にそのブランドの商品を利用することへの意識が高く、彼らのLike(好意)はブランドや商品そのものへ向けられることがわかっている。そのため、Facebookページに
55VOL.
2013.2
Facebookページにおける企業と生活者のつながり
“Likeコミュニケーション”を活性化させる未購入ファン
対してはキャンペーンやセール情報など、購入を後押しする情報への期待が高い(図2)。一方、商品の購入経験がない未購入ファンは、ブランドの世界感や商品の楽しみ方が表現されているFacebook
ページへの関心がそのままLikeにつながっている。そのため、「商品の詳しい情報」のほか「読み物としての楽しさ」などを求める。そして、Facebookページでのつながりをひとつのきっかけとして、生活者のブランドや商品への関わりが深まるのだ。未購入ファンは掲載された記事に対して「いいね!」や「コメント」をするなど、Facebookページに対して、購入ファン以上に積極的に関わる(図3)。そして、「本当にこの素材は暖かいのか」「他のブランドの商品とどう違うのか」といった未購入ファンならではの純粋な問いかけによって、購入ファンの実感のこもった意見や感想が引き出され、未購入ファンの購入の後押しとなるだけでなく、購入ファンにとっては気づいていなかった価値の再発見につながる。Likeコミュニケーションは、購入しているかどうかに関わらず、商品やブランドに紐づく興味や関心で生活者をつなぐのだ。
ブランドの価値を拡げる“Likeコミュニケーション”ネット上のコミュニケーションの進化とともに、自らの考えや嗜好を表現する生活者はこれからも増えていく。特に未購入ファンは、興味本位のものから、友達との情報共有、自己表現など、多様なレベルの好意に基づいて、Facebookページに積極的に参加している。企業は、ターゲットを捉えて購入客を増やしていくマーケティングだけでなく、ブランドに向けられた様々な好意を醸成し、Likeコミュニケーションを活性化することでブランドの価値を拡げることが求められていく。
(%)80
60
40
20
0掲載された
内容を読む
掲載された内容に
「いいね!」を押す
掲載された内容を
「シェア」する
掲載された内容に
「コメント」する
告知されたキャン
ペーンに参加する
紹介されたアプリ
を利用する
購入ファン 未購入ファン
図3 Facebookページでの行動
DNP「ファストファッションブランドのFacebookページに関する調査」 2012年8月*「購入ファン」、「未購入ファン」の算出方法は裏面参照
(%)100
80
60
40
20
0キャンペーンに
関する情報
セール情報
商品の
詳しい情報
読み物として
の楽しさ
ゲームなど
のアプリ
購入ファン 未購入ファン
図2 Facebookページで充実して欲しいコンテンツ
DNP「ファストファッションブランドのFacebookページに関する調査」 2012年8月(20~59歳の男女12,074名を対象としたインターネット調査)*「購入ファン」、「未購入ファン」の算出方法は裏面参照
0 20 40 60
Twitter(n=1415)
Facebook「いいね」(n=1335)
Facebookフィールド(n=1335)
Google+(n=239)
GREE(n=384)
mixi(n=1391)
(%)
図1
インプレスR&D「インターネット白書2012」各 SNSの利用者の中で、企業アカウントを1個以上フォローしていると回答した人の割合
企業アカウントをフォローしている割合
未購入ファンは、Facebookページの内容への関心が高い購入ファンは、ファストファッションを積極的に活用
C&I事業部 マーケティング開発室〒141-8001 東京都品川区西五反田3-5-20 URL http://www.dnp.co.jp/cio/ いかなる形式でも本紙の一部または全部の複製および無断転載をお断り致します。当レポートは、メディアバリュー研究が実施する調査を基にしています。©大日本印刷株式会社 2013 printed in japan 13.2
ファストファッションにおける「購入ファン」と「未購入ファン」
• DNPは2001年より、生活者の情報コミュニケーションや購買行動の変化を捉える生活者調査研究 に取り組んでいます。• 生活者の購買行動把握から、商品(ブランド)を通した、企業と生活者のコミュニケーション戦略まで 幅広くサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。
生活者とのコミュニケーションチャネルを探る
「メディアバリュー研究」http://www.dnp.co.jp/mediavalue
購入ファン 未購入ファン0 20 40 60 80(%)
ファストファッションは、お金をかけずにおしゃれができる
ファストファッションは、品質のよいものを安く買える
色々な洋服を着て、ファッションを楽しみたいほうだ
洋服のコーディネートや着まわしを考えるのが好き
ファストファッションを購入することに抵抗を感じない
0 (%) 20 40 60 80 100
UNIQLO(n=491)
無印良品(n=375)
GAP(n=282)
購入ファン 過去購入ファン 未購入ファン
84.4% 6.3% 9.4%
54.7% 18.4% 26.9%
43.9% 19.6% 36.5%
Facebookページの情報はもらさず見たい
Facebookページが好き
Facebookページで担当者が発信する情報は参考になる
Facebookページには人に伝えたくなる内容がある
購入ファン 未購入ファン0 20 40 60 80(%)
ファッションとの関わり
Facebookページのファンの購入状況
Facebookページに対する評価
DNP「ファストファッションブランドの Facebookページに関する調査」2012年8月
DNP「ファストファッションブランドの Facebookページに関する調査」2012年8月
*「購入ファン」、「未購入ファン」の算出方法UNIQLO、無印良品、GAPの購入ファンと未購入ファンの回答をそれぞれ平均して算出
• 購入ファン: 各ブランドの Facebookページに「いいね !」を押している人の中で、1年以内にそのブランドの商品を 購入している人• 過去購入ファン: 各ブランドの Facebookページに「いいね !」を押している人の中で、1年以内にはそのブランドの 商品を購入していないが、過去に購入したことがある人• 未購入ファン: 各ブランドの Facebookページに「いいね !」を押している人の中で、そのブランドの商品を購入した ことがない人
ファストファッションブランドの Facebookページを対象に、ファンの購入状況を見ると、購入ファンのシェアが高いUNIQLO、未購入ファンが比較的多いGAPといった違いが見られた。Facebookページへの期待や参加の仕方は購入状況によって異なり、その割合の違いは、ブランドにとっての Likeコミュニケーションの位置づけや内容に影響を与える。
ブランドごとに異なる“Likeコミュニケーション”
購入ファンは、商品の購入や利用の体験を通して、Facebookページでブランドとつながっている。未購入ファンは、Facebookページで語られる情報や世界観を通して、ブランドへの関心が高まっている。