20141208月刊石垣12月号_誤解だらけの日本エネルギー問題「このままではビジネスの継続が危うい」...

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Page 1: 20141208月刊石垣12月号_誤解だらけの日本エネルギー問題「このままではビジネスの継続が危うい」

題目司a:

回FE

ギのルけネ

A-d工

だの

和解本

諒日

痛みを感じている

産業界に声を上げてほしい

||今後のエネルギー

政策は

.

とう

変わっていくのでしょう。

原発事故で人々は恐怖を味

わった。

それを変えるためには「納

得性」が必要です。

再エネには買

い取り価格が「高すぎる」という

納得性があったから変えることが

できる。

原発再稼働の納得性はC

02なのでしょうね。地球環境に

対して最も怖いのは何かという議

論を真剣にすべきです。これは世

界規模で議論しなければ動かない。

COP(気候変動枠組条約締約国

会議)などで原発の必要性が冷静

に議論されることを望みます。

竹内

3

H以前の電力のエネル

ギー

比率は原子力お1

羽%、LN

G

お%、石炭お%程度で

残りを

石油と、水力を含めた再エネが賄つ

このままではビジネスの

継続が危うくなる

ここにきて

政府の「再生エネ

ルギー固定価格買取制度(FlTこ

の問題点が浮き彫りになっている。

申請に当たっての認定の甘さ

、電

力会社の買取拒否などだ。

現在の

エネルギー政策は、中小企業にど

んな

影響を与えるのか。

政府の電

力需給検証小委員会の委員でもあ

清水印刷紙工の清水宏和社長に、

中小企業の立場から問題点と展望

を語ってもらった。

タダでできる

節電には限界がある

東日本大震災以後の原子力発電

東京電力HP より

ていました。

オイルショ

クを経

験し

て、電源の多様化を進めてき

た成果です。

安定供給・安全保障

(Energ

y

security)、

経済性(Economy)、環境性

(Environment-

ェ、ネル

ギl

政策が混乱している今だから

こそ

3E

のバランスが必要だと

いう基本を思い起こす必要がある

でしょう。

エネルギーに対する総合的な

判断も必要ですね。

原子力規制委

員会という名の原

子力規制庁だけ

ではなく「エネルギー

規制庁」を

創設して地球環境全般を視野に入

れて総合的に判断し規制すべきで

しょう。

放射線の影響は見えるけ

れど、経済に与えてい

影響は見

えにくい。

そこで産業界から声が

上がることを期待しています。

竹内

原発が停止しても電気は供

給されているではないかと

言う人

もいます。

それは「茄でガエル」

のように、自分の身の回りにある

リスク

に気が付いていないだけな

のです。

電気料金上昇の痛みを

最も強く感じているのが産業界の

方々だと思うので、ぜひ一人ひと

りが声を上げていただきたいと

います。

清水宏和

清水印刷紙工株式会社代表取締役社長

所停止、それに伴う再生可能エネ

ルギー

推進のための賦課金、さら

には円安による燃料費の高騰。

れらは、私たちのような中小企業

「電気代高騰」という形で苦し

めています。

私の会社はUV

印刷

(紫外線硬化型インキによる印刷)

という特殊印刷を扱っています。

これは通常の印刷機に比べ2倍以

上の電気代がかかります。燃料調

整費も含めてですが、電気代は東

日本大震災以降、大体3割は上がっ

ています。

では、

値上げを節電で乗り越え

ようとした場合、どんな方法があ

るのか?方法は大きく分けて2

l 必長ゑ 2014.12唱7

Page 2: 20141208月刊石垣12月号_誤解だらけの日本エネルギー問題「このままではビジネスの継続が危うい」

あるのではないかと思います

つめは無償でできるもの。

これは、

こまめに電源をオフにするとか

コンプレッサー

の圧を下げるとか、

電力料単価の上昇が中小企業の経営に及ぼす彫曹は多大

周回

25.690.120 1.280.664 20.06 201之01 -2012.12

115.4% 3.949.166 29.639.286 1.280.868 23.14 2013.01 -2013.12

1327% 8.395.059 34.085.178 1.280.868 26.61 201X-a 侭tfJ単価 15%t)

144.5% 11.430.716 37.120.836 1.280.868 28.98 201X-b 但ft7J単価 15% t 、 賦探金 +2.37 内IkWh)

F".li~!áるf,,;

(円)

40,000,000

運用上の工夫でできるものです

もう

一つは設備投資を伴うもので

す。

例えば照明を全てL

ED

に換

えるこ

となどですね。

ただ

電気

-201X-a では、原発再稼働が進まないことが

主図となり、電力料単価が 15%値上げされた

・201X-b では、 電力料単価が 15%値上げされ、

さらに賦課金が既存分を含めて 3.12 円 /kWhに上昇 (3.12-0.75=2.37 円上昇)

35,000,000

30,000,000

25,000,000

20,000,000

-・・・圃官官~事::øJ=a;;'... - 201X・a で 839万円のコスト 1

.201X・b で 1143万円のコス ト 1

15,000,000

10,000,000

5,000,000

201X-a (電力単価 15% tl

-阻・u:e司置針傾遁Ii!lm薗町鋭酒量・R似![;,霊車庫回目岡田目沼田,--

代上昇分の213

割の節電をしよ

うとすると、運用上の工夫ではと

ても追いつきません。

つまり、節

電はタダではできないということ

なのです。

電気代が上がる中

中小企業

の製造現場はものすごいプレッ

シャー

をかけられています。

しか

も、

大企業と違って、円安のメリッ

を享受できないところがほとん

どです。

さらには

大企業からは

毎年のように値下げの要求がく

る。

非常に厳し

い状況です。

今、再エネ導入を

急ぐ必要があるか?

こうした電気料金の負担増とい

う視点から、現在の干ネルギl

策の問題点を捉えていくと、とん

でもない数字が出てきます。

ご存知のように、電気料金に

は再生可能エネルギー

の普及を促

すための賦謀金が上乗せされてい

ます。

FI

T

では、

買取価格が高

く、

設置が容易な太陽光を中心に

導入の拡大が進んでいます。

既に

政府による2

0

3

0

年の導入見通

しの似%を達成している状況です。

一方で、地熱などのより安価で安

定的な電源の導入は伸び悩んでい

ます。

ですから、現在0

万円/

k

W時の賦課金単価が急激に上が

る可能性があるわけです。この9

月に経産省が試算したものによる

と、現在、設備認定を受けている

設備がすべて運転を開始した場合、

賦謀金の領か単隼度で2兆7

01

8

円(現在は65

00

億円)、1kw

時の単価は3

ロ円にまでなると

いうものでした。

当然、認定の取り消しゃ事業断

念などで

すべての設備が運転開

始にまではいたらないとしても、

ネルギー

基本計画で再エネの比

2%を目指すということなら、将

来、このくらいの負担は覚悟しな

くてはなりません。

皆さんの事業

所の電力使用量に、毎時3

ロ円

という額が上乗せされたらどうな

るか。

驚くべき金額が出てくると

思います。

例えば、わが社では

年間に

1

28

万k

Wの電力を消費し、約

3

000

万円の電気代を払ってい

ますが、右の賦謀金が現実のもの

となると、年間に約400

万円の

負担増となってしまうのです。

こまでの負担を強いられながら、

今、急いで無計画な再エネ導入の

道へ進む意味がどこにあるのか、

はっきりいって理解できません。

先に、「無計画な導入」と述べ

ましたが、最大の問題点は「買取

価格は決めているが、導入量の上

限が決められていない

」というと

唱8五5 金主 2014.12 I

Page 3: 20141208月刊石垣12月号_誤解だらけの日本エネルギー問題「このままではビジネスの継続が危うい」

特集 1

誤解だらけの日本のエネルギー問題

再生可能エネルギー導入鉱大のためには別の蹄整可能な電源が必須

エネルギー累積生成量 (MW)

40,000

ころだと思います。

しかも、太陽

光の買取側格は1kW時で沼円、

風力のそれが辺円となっています。

発電コストが叩円前後の火力や原

子力より優遇されているのです。

さらに、初年にわたってこの価格

が保証されています。

また、認定基準のいい加減さも

問題です。

当初は、書類さえ揃っ

ていれば認定が出されていたので

-5.000 2 122 23 01 234567891011 12 1314151617 1 819202122 (時)

• HYDRO 水力発篭

IMPORTS-EXPORT5 電力の験出入

風力には.季節や日による出力の遣いに加え、 一日の中でも出力に変動がある。系統運用の現喝では これら風力全体の出力変動と電力需要自体の変動の双方を、水力や天然ガスなどの出力の踊益力句能な電源によって吸収し、需要と供鎗があうように踊笠する必要がある。例えば、上のスペインのケースでは、 一日の簡に水力に加え、ガス火力を1~から 27 1!の間でフルに出カ調整することにより、得総変動を吸収している。 再生可能エネルギーの導入lfi;'大を図るためには、こうした銅盤可能な電源を+分に保侍しておく必要がある。 {出展.スペインにおける 2010年3 月 3自の電力供総の状i兄/恩..Æl.五CT刊c:時xt島駅間旬、住跡周t.p r即時制・より資源エネルギー庁が作成)

す。

初期投資を差し引いても、巨

額の利拾が得られる、そんなうま

い話に乗り、たくさんのいわゆる

φ

素人。が参入しました。

ここに来

て「買取拒否」や

「認定取消」な

どが話題になっていますが、それ

もこれも政府の計画が甘かったた

めです。

早急な制度の見直しが必

要だと思います。

• REST OF RES + ζHP ・ CCGTその他の再生可能エネルギー コンバインド然竃供給ンステム サイクル発電

• WIND ・ FUELOIL + GAS ・ NUCLEAR風力発電 量泊・天然ガス 原子力発電

発電

• COAL 石炭発電

もう一度冷静に議論すべき

この夏、資源エネルギー庁の新

エネルギー小委員会の視察でスペ

インとドイツを囲ってきました

両国は、再エネ比率こそ引き上げ

ることに成功していますが、多大

な国民負担が発生しており決して

成功しているとは思えません。

かも

敵州は日本と違い、電力の

国際連携網が整備されています。

ドイツで電気が足りなくなったら、

フランスから原発の電

気を買って

くればいいし、風力発電の電力が

余ればポーランドに売ることもで

きる

わけで、前提が違います。

スペインの電力会社は、全てが

再エネ導入によるものというわけ

ではないですが、この叩年間で、

約3

兆6000

億円の負債を抱え

てしまいました。

-KW時に換算

すると、約ロ・必円の負債になり

ます。

しかも、閲定価絡買取制度

-A,

を遡及してほごにしていて、多く

の訴訟が起きている状況です。

ドイツにしても、昨

年の再エネ

比率はお%を達成しています。

人の「原発ゼロ」への覚悟は

揺るぎがないので、再エネへの道

を進んでいますが、賦謀

金は、1

kW時で8

・7

円を国民が負担し

ています。

ただ、調整用電力とし

て火力に頼っているので、C02

出量は逆に増えてきています。

ずれにしても

両国とも多大な国

民負担の上に再エネ化が進めら

ているのです。

もともと、再エネの問題は、地

球温暖化と相まって、

環境問題か

ら始まったことです。

ところが

福島の原発事故があり、

いつの間

にか当初の目的が忘れられてしま

いました。

私はもう

一度、冷静に

日本のエネルギー問題を考え

るべ

きだと思います

。今年の5

、私

は、宮城県・女川の原子力発電所

を訪れ

安全対策の説明を受けま

した。

あれだけ震源に近いにも関

わらず、震災の翌日には、発電所

機能の安全停止を実現。

国際原子

力機関

(IAEA

)からも注目さ

れました。

現在も、防潮堤のかさ

上げ工事など、彼らは必死に安全

性の向上に取り組んでいます。

私は、安全性が確認された原発

はできるだけ早く

再稼働させ、そ

の上で、再生可能エネルギー

への

道を探っていくべきだと思っていま

す。今のままでは、中小企業の負

担が過剰になることは自

に見えて

います。

閤定価格貿取から固定量

買取への転換、再エネのバランス

系統接続や蓄電池設置費用の精査

と開示など政府がやるべきことは

山積しているのではないでしょう

.刀

l 必~~ 2014.12 19