2015 年新春座談会 最終学年に向けて~ unicorn english … ·...
TRANSCRIPT
2015 年新春座談会
最終学年に向けて~
UNICORN English Communication 3
明けましておめでとうございます。本年度は、新指導要領のもと編集された UNICORN
シリーズの最終章 UNICORN English Communication 3 がお手元に届く年となり
ました。今回はシリーズ著者の高橋和久先生と、UNICORN 3 と UNICORN BOOK
3(ワークブック)で執筆協力として参加していただいた先生方のうち、さいたま市立浦
和高等学校の浜野清澄先生と埼玉県立熊谷女子高等学校の閑野真理子先生に小
社までお越しいただき、最終学年に向けての UNICORN 3 を使った学習方法について
お話しいただきました。
さまざまな言語表現を学ぶための教科書
■UNICORN 3はシリーズ最終の教科書として発刊されますが、編集の際にお考え
になられたことはどのようなことで
しょうか。
高橋先生:高校 3 年生はいよい
よ年度末に入試が待っているわ
けですが、UNICORN 3 は「受
験に流されないで知的準備を
怠らないでほしい」という願いを
込めて編集しました。
大学進学の際に、高校生が
英語をどのように位置づけるかは、知的関心によって異なると思います。例えば自然
科学を嗜好する生徒と人文科学を嗜好する生徒では言語の位置づけが違うかもし
れません。自然科学や社会科学の分野では言語表現によって事実や相手の思考な
りが理解できる、という言語観が根底にある。一方で人文科学の分野では、言語とい
うのはかなりの難物であって、必ずしも現実をそのまま写し取ることはできないという考
えがある。
この教科書ではどちらか一方に偏ることなく、大学の昔の教養課程でいえば自然科
学・人文科学・社会科学から題材をまんべんなく選んでいます。冒頭にある
Guidance という章では、大学で落ちこぼれたダリルくんという男子生徒の話
(LESSON 1)と、「大学で学ぶ意義」が書かれている HOW TO STUDY(TRY
YOUR SKILLS! 1)という文章が紹介されています。このふたつの話から、高校まで
の勉強と大学での勉強の違いは何なのか、自分で学問を位置づけてみるとおもし
ろいかもしれません。
■文章スタイルもバラエティに富んでいます。ここで簡単に文章の種類について教えて
ください。
高橋先生:論理構成がはっきりしているものが論説文で、今回は半数以上の課がこの
スタイルです。対してエッセイは論理性というよりは、筆者のかなり自由な連想によって
パラグラフが展開していきます。明示的なロジックだけを追いかけようとすると読みにくい。
代表的なものは LESSON 10 のスーチーさんのエッセイです。説明文は LESSON 8
(ニュートンの法則と実験)のように先ほどご説明した「事実や現象を写し取る」文章
で、言語表現としては素朴なものだと思います。ただし、実際読んでみるとこのような
事実の説明というのは、そこで何が起きているのか、行われているのかを理解するのが
意外と難しい場合があります。
短編(小説)を読むと、For Reading 3 の「アラビー」(ジェイムズ・ジョイス)の
ように、言語表現というものが透明なものではないため、AはBだと記されていても、
実はそれ以外の意味作用があることを実感できます。同じ言葉といっても、このように
文章スタイルによっていろいろありますので、時間がなくて全部できないなら、各セクショ
ンから1課ずつでもよいので読んでみてください。
■それでは、実際に UNICORN 3 でご指導なさる先生方にお話を伺います。まず、
閑野先生の授業プランをお聞かせください。
閑野先生:本校では 4 月から UNICORN 3 に入ります。著編者の先生方の理念を
活かせるように使いたいですね。高橋先生がおっしゃるように LESSON 1 と TRY
YOUR SKILLS!の大問1は是
非生徒たちに読ませたいです。とか
く高校 3 年生は入試が目前に控
えているので、学ぶこととはどんな
ことなのか、なんのために勉強し
ているのかわからなくなりがちな時
期ですので。
■浜野先生がお考えになられている
UNICORN 3の活用方法につい
てお聞かせください。
浜野先生:個人的には、大学に行く
までには、英語でコミュニケーショ
ンがとれるようになっていてほしい
と思っています。UNICORN 3 ではそのあたりも手を抜かずに指導ができるところが魅
力です。通常の3年生の授業だとスピーキングやリスニングの時間が減っていく中、リ
スニングでの内容把握や学習者個々の見方を問うような英作文やプレゼンテーショ
ンが積極的に TASK で取り上げられています。難関大学や SGU(スーパー・グロー
バル・ユニバーシティー)対策としてぜひ飛ばさずにやっていきたいと思います。
UNICORN シリーズで学んでほしいこと
高橋先生:たしかに大学の授業になると、好きか嫌いかレベルの答えだけだとちょっと厳
しい。どうしても「なぜ」を問われますからね。
閑野先生:個人的には、UNICORN 3 で学ぶことによって、知らないことに対して「どう
したら理解できるようになれるか」といつも考えることができる人になってほしいです。
高橋先生:そうですね。英語の授業は「言語を習得するもの」という考えは正しいですが、
だからといって高校生が見知っている題材ばかりを使って教えても、そこから得るものが
なくなってしまう ― それは避けたいです。
閑野先生:よく、英語はわかっているみたいだけれど…中身がわかっていない生徒がいま
すが、これは教師の側の怠慢でもあるんですね(笑)。
浜野先生:そういった意味では UNICORN 2 も話の内容は結構むずかしいです
(笑)。本校では UNICORN 1 と 2 で予習プリントにある例文を中心に何度も音
読したり、本文を異なるアプローチ(リスニング・ライティング・スピーキング)で何度
も繰り返すことでインプットを増やしていきました。やはりインプットがないと、3 年生でい
きなり入試レベルの英作文やリスニングをやっても無理があります。教科書本文を自由
に使えることによって、プレゼンテーション・ディベート・英作文と多様なアウトプットが
可能になりますから。
高橋先生:ディベートといえば、浜野先生の生徒さんたち(UNICORN 2 LESSON 3
The Debate Girls の生徒さんたちです)、どうなさっていますか。
浜野先生:大学 2年生です。
高橋先生・閑野先生:早い!(笑)
浜野先生:パート1で登場した部長は英語を活かして上智大学に推薦で合格しまし
た。
高橋先生:英語学科?
浜野先生:それが理工学部です(笑)。もと
もと数学が得意だったので。英語の学力別だ
と上のほうのクラスに入れられて周りが帰国生
ばかりだ、と文句を言っていました。
高橋先生:海外文献を読むときは誰にも負け
ない(笑)。そういうのっていいですよね。たと
えば、文学部でいうなら、英語が得意なんだ
けれどあえて『源氏物語』を研究したい、とか。
そういう人にどんどん来てほしいなあ。
■UNICORN 3 と UNICORN 1,2 と異なる点では、本文にパートの区切りがなく
なっているのが大きな特長です。
高橋先生:ふつう、新聞記事やエッセイを読むときにパートごとに区切ってないですからね。
さきほど、営業の方から出た質問で、そういうのがありましたね。パートごとに区切ってな
いから使いにくいのでは、という質問。パートはあくまでも便宜的なものでしょう。とくに高
校1年生くらいだったら区切りがあったほうが親切だし、授業の進み方にも都合がよい
ですけれど。高校 3年生用からはパート区分をはずしたのでミクロ的な読み方はおしま
い、まずは全体として何を言っているのかを読み取ってほしいです。全体をつかんだう
えで、今度はどんな構造になっているのか ― その際に、今度は生徒が自分でパート
分けをしてみてはどうでしょうか。
浜野先生:そうですね。実際の入試問題にもパート分けはないので(笑)。また、
UNICORN 3 では、各セクションが長短組み合わさった題材でできています。500~
600語レベルは市販の長文問題集にもありますが、1000語を超える文章レベルは
ないので、このあたりは助かります。入試問題も年々長さがあるものが増えてきました
から。この「長さ」を我慢して読み込んでいく練習をしてほしいです。
閑野先生:題材に関しても生徒の興味や関心を持たせるような仕組みになっています
ね。たとえば英語が苦手だ、っていう理系の子がいても、LESSON 8 のニュートンの法
則は数式をみただけで何について書かれているのかだいたい予測がつくから、この課を
通じて英語に自信がつくかもしれません(笑)。
難関大学用の入試対策問題集として
UNICORN BOOK 3
■今回の UNICORN 3 の特長としてもうひとつ挙げられるのが、UNICORN
BOOK 3 の存在です。3 年生として「入試演習問題集」の役割を果たしている実
践的なワークブックです。
浜野先生:UNICORN 3 の編集が始まるとき、「高校 3 年生になると教科書をしっか
り使わずに終わってしまう」という現場の悩みに対して、「どのような教科書だったら最後
まで使ってもらえますか」という編集部の質問に「教科書の本文に実践的な問題がつ
いていればうれしい」というようなことをいいました。教科書の本文は丁寧に編集されて
いますから、それに見合う設問がついていれば最後まで使いたい」と。私も 2学期終わ
りくらいまでは使いたいです。
■それで今回は、受験生を何度もご指導なさった経験のある現場の先生方にお声を
かけて、「理想の問題集」を編集していただきました。
閑野先生:たとえば、教科書の本文後についている TASK は授業前・授業後どちらで
扱っていただいてもよいように、確認程度の比較的簡単なものですが、UNICORN
BOOK 3のMAIN TEXTで扱っている内容理解の設問は入試問題レベルの内容
です。語彙力・文法力・リーディングスキルと問われるので、予習段階でチャレンジし
てから授業に臨んでいくスタイルが可能です。
UNICORN BOOK 3 本冊:MAIN TEXT (LESSON 1)
■教科書の本文がそのまま入試問題形式になっています。
UNICORN BOOK 3 提出ノート:MAIN TEXT (LESSON 1)
■入試問題形式の設問と右頁には解答欄がついているので本番さながらの練習が可
能です。
閑野先生:本文が終わった秋口や夏休みの補習としてMAIN TEXT を使ってもいい
ですね。
浜野先生:ふつうのスタイルでワークブックを使いたい、ということであれば、教科書本文
を使った MAIN TEXT の設問は飛ばして、本文の流れやパラフレーズ・文構造が設
問になっている TASK を復習用に扱うとよいかと思います。
UNICORN BOOK 3 本冊:TASK(LESSON 1)
■教科書の流れを追ったり、本文のパラフレーズ・文構造を使った設問、入試問題によ
る文法・語彙問題からなっています。
通常授業と入試との架け橋として
Teacher’s Manual CD-ROM データ
■UNICORN シリーズでは豊富なデータ類が現場で支持されていますが、今回も
先生方にはたくさんのデータを作成していただきました。
閑野先生:英語が苦手な生徒が多いとき、とくに役立つのが「リーディングナビシート」
です。教科書の本文後の TASK はすべて英語ですが、このシートは日本語で構成さ
れています。最初は全体の流れが追えるように、ポイントとなる日本語文が約 20、そ
れに英文が対応しています。英文の穴埋め作業は教科書を見ながらでも構いません。
全体を追えるということが目的です。そのあとにT/F問題がありますが、こちらも教科書
の TASK1(英文での T/F問題)が難しければこの設問をかわりにやってもよいと思いま
す。そのあとは 100 字要約、TASK 2 のサマリーをこなすことによって、内容理解が
可能になります。
リーディングナビシート①
リーディングナビシート②
■浜野先生には現在、Mapping & Summary シートをお願いしていますが、こち
らについてもご説明いただけるでしょうか。
浜野先生:授業が終わったあと、全体の構造を「地図」をみるようにして確認できるも
のを心がけました。また、本文中のポイントとなる箇所に KEYマークを入れて、それらを
集めてくると英文サマリーができあがるような仕組みも入れました。こういった本文全体
を読み解く練習をするための教材が UNICORN では充実しているな、と思います。ま
た、教科書の TRY YOUR SKILLS! では、同様のスタイルの設問が用意されてい
るので、この Mapping シートで練習した成果を実践してみてください。
Mapping & Summary シート①
Mapping & Summary シート②
■今回、先生方にご説明いただいた UNICORN BOOK 3および CD-ROM データの
シ ー ト 見 本 は 小社 ホ ー ム ペ ー ジ : 英語教科書関連資料請求 ペ ー ジ
(http://www.bun-eido.co.jp/school/request.htm)よりご請求ください。そ
の他のシートも随時ご紹介させていただきます。